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【発明の名称】 間断式給水栽培装置
【発明者】 【氏名】山本 浩平

【氏名】山本 正和

【要約】 【課題】基礎工事及び架台設置工事が簡単かつ安価であるとともに、使用する培養液の量を少なくすることができ、さらに培養液を供給するための電気代等の維持費が安価な間断式給水栽培装置を提供すること。

【解決手段】複数の育苗ポット7を支持する育苗床パネル1と、育苗床パネル1を支持する高架床台8と、育苗床パネル1へ培養液を供給する培養液供給手段と、を備え、育苗床パネル1に支持された育苗ポット7に培養液供給手段によって培養液を供給することで育苗ポットに植えられた苗を育成する給水栽培装置であって、育苗床パネル1は一枚ごとに1つの高架床台8に支持され、培養液供給手段は1乃至複数の育苗床パネル1それぞれに連結され、育苗床パネル1に培養液供給手段から間断的に培養液を供給することによって育苗ポット7に植えられた苗を育苗する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の育苗ポットを支持する育苗床パネルと、前記育苗床パネルを支持する高架床台と、前記育苗床パネルへ培養液を供給する培養液供給手段と、を備え、前記育苗床パネルに支持された育苗ポットに前記培養液供給手段によって培養液を供給することで前記育苗ポットに植えられた苗を育成する給水栽培装置であって、
前記育苗床パネルは一枚ごとに1つの前記高架床台に支持され、前記培養液供給手段は1乃至複数の前記育苗床パネルそれぞれに連結され、該育苗床パネルに前記培養液供給手段から間断的に培養液を供給することによって前記育苗ポットに植えられた苗を育苗することを特徴とする間断式給水栽培装置。
【請求項2】
前記育苗床パネルは、所定の横幅、長さ及び厚みを有する合成樹脂製の支持板に形成した交差する複数本の溝からなる格子状の水路の各交点に、底部に給水口を有する前記育苗ポットを支持する支持手段を備え、前記支持板の底面に前記水路に連通する培養液の給排水口が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の間断式給水栽培装置。
【請求項3】
前記培養液供給手段は、前記育苗床パネルと培養液供給源との間を連結する配管と、前記配管に前記培養液供給源から培養液を供給する供給機構と、からなり、前記供給機構を制御することにより、前記培養液供給手段による培養液の供給を間断的に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の間断式給水栽培装置。
【請求項4】
前記配管はその中間部で複数に分岐され、該複数に分岐された配管はそれぞれ複数の前記育苗床パネルに連結していることを特徴とする請求項3に記載の間断式給水栽培装置。
【請求項5】
前記育苗床パネルには、前記水路に連通する給水口と排水口とがそれぞれ設けられ、前記給水口が前記培養液供給手段に連結され、前記排水口が水路の開閉が可能なバルブを有する排水用配管に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の間断式給水栽培装置。
【請求項6】
前記育苗床パネルには、前記水路に連通する1つの給排水口が設けられ、前記培養液供給手段の配管は前記給排水口に連結されているとともに、その中間部に排液用配管が水路の開閉及び切替えが可能なバルブを介して連結されていることを特徴とする請求項2に記載の間断式給水栽培装置。
【請求項7】
前記育苗床パネルの水路内の培養液の量を検出するセンサーあるいは前記育苗パネルへ培養液が供給された時点からの経過時間を経時するタイマーを更に設け、前記センサーあるいはタイマーの出力により前記培養液供給手段からの培養液の間断的な供給を行うことを特徴とする請求項2に記載の間断式給水栽培装置。
【請求項8】
前記育苗ポットは上部から底部に向かって縮径され該底部に所定径の開口を備えた容器であることを特徴とする請求項1に記載の間断式給水栽培装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は植物の苗等を栽培するための給水栽培装置に関するものであり、特に小規模な園芸給水栽培から大規模な給水栽培農業にまで適用可能で経済的に安価な間断式給水栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の水耕栽培は、ハウス内で土を使わずに養分を含んだ培養液で季節や天候に左右されずに無農薬野菜や花卉類を一年中生産できるので、いまや個人的な規模の園芸から大規模な農業にまで広がっている。野菜に例をとれば、ラディッシュ、枝豆、サニーレタス、クレソン、ほうれん草、サラダ菜、チンゲンサイ、小松菜、べカナ、インゲン豆、ハギナ、ミニトマトなどが水耕栽培で栽培されている他、水稲、ハーブ、イチゴ、甘藷などの苗の育苗にも水耕栽培は使用されている。また花卉では、ヒヤシンス、スイセン、クロッカス、サフラン、チューリップ、サボテンなどの栽培が行われているなど極めて多種類の育成に使用されている。
【0003】
従来、水耕栽培として一般的に行なわれているものは、下記特許文献1に開示されたような湛液型循環式といわれるものであって、培養液を入れた大型の水槽に育苗床を浮かべ、これに苗を植えた育苗ポットを支持させて、ポンプで連続的に培養液を循環させ供給するものであった。この装置は、図11に示したように、播種された育苗ポット91群を一体に整形した育苗器92を載せる水耕栽培床93に培養液を適宜の深さに貯留しながら流動循環させるもので、一端部に培養液供給部96を形成し、他端部には培養液を越流する堰97及び排液口部99を形成し、これらの中間の水耕栽培床93上には、育苗器92の区切り溝95内に嵌合して支持する支持桟98を適宜区画に仕切り形成している。水耕栽培床93の下部には培養液槽100を設け、この培養液槽100から一体に突出する支柱101上に支持して取り付けられ、モータ102によって駆動されるポンプ103によって培養液が上方の培養液供給部96へ汲み上げられる。なお、符号104は汲み上げ用のパイプである。
【0004】
上述した湛水栽培装置においては、培養液供給部96は水耕栽培床93に培養液を供給するようになっているが、この他にも例えば栽培する苗の上から培養液を掛けることで供給するものがあるが、この方法を用いると育苗する苗に病気が発生しがちであった。これは苗の摘葉した傷などにカビが発生して苗が腐ることに起因する。そのため、培養液の供給を行う際には上述の湛液型循環式が用いられることが多かった。
【0005】
さらに最近では、下記特許文献2のような底面潅水が可能な水耕装置も開示されている。この装置は、図12に示したような、水稲の機械移植に供するマット状苗の水耕装置111であって、マット状苗の育苗のほかに花卉類や野菜類などの栽培にも使用することができるように、複数枚の育苗床材112を並べて敷き詰める育苗ベッド113を備えて構成されている。育苗ベッド113は全体に平面状であってその一部が多数の通水孔114をあけた通水面115を成していて、通水面115の下面に対応して上面に開いた凹溝状の水路構成体116を配置したことにより、育苗部118に対する流し給水方式の潅水と底面潅水のいずれにも対応できるようにしたものである。育苗ベッド113は前後方向に構成枠を設け、幅方向に複数の分割構成枠117が連結されて一体化されている。この装置は育苗ベッド113の上面から潅水する流し給水方式の潅水装置119を備えており、120はその給水系のポンプ、121は給水弁、122は水位保持オーバーフロー口、123は配水管、124は水タンクである。
【0006】
【特許文献1】特開平2−131529号公報(第1図、2頁)
【特許文献2】特開2002−34364号公報(図1、段落[0005]、[0006]、[0023])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記のような従来の水耕栽培技術の課題としては、次のような点があげられていた。
大型の水槽を使用するので、大型の装置が必要でかつ培養液の循環設備を必要とするため、装置自体が大がかりで高価になる。特に、培養液を水槽に均等に供給するためには高架床台に支えられた水槽の傾斜を小さくしなければならない。例えば、25mの長さを有する水槽ではその許容高低差は10cmであり、これ以上の高低差があると水槽内に培養液の偏りが発生してしまう。また、この水槽には4トンから5トンという水量を循環させて使用することになる。これらの点を踏まえて高架床台を作ろうとすると、その基礎工事及び架台設置工事は通常土木、鉄骨工事の専門家でないとできない。特に、このような高架床台を畑に作ろうとすると地盤が弱いため、工事が極めて困難である。またこれらの工事費は莫大な額となり、したがって農家がテント・ハウス内に自分で手軽に作ることができるようなものではない。
【0008】
また、設備費に加えてメンテナンス費用も高額となるほか、設備自体が大型のために使用される培養液の量も多く、無駄が発生しやすい。さらに、育苗ポットが常時培養液に浸されているので、苗が根腐れを起こさないように、ポンプは常に運転し培養液を循環させておく必要があるため電気代がかさむことになる。
【0009】
本願の発明者は、前記の問題点を解消すべく種々検討を行った結果、基礎工事及び架台設置工事が簡単かつ安価な給水栽培装置を提案し、また培養液の供給を間断式とすることで培養液の消費量の少ない経済的な構造に形成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は基礎工事及び架台設置工事が簡単かつ安価な間断式給水栽培装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
また本発明は、使用する培養液の量を少なくすることができ、さらに培養液を供給するための電気代等の維持費が安価な間断式給水栽培装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る間断式給水栽培装置の発明は、複数の育苗ポットを支持する育苗床パネルと、前記育苗床パネルを支持する高架床台と、前記育苗床パネルへ培養液を供給する培養液供給手段と、を備え、前記育苗床パネルに支持された育苗ポットに前記培養液供給手段によって培養液を供給することで前記育苗ポットに植えられた苗を育成する給水栽培装置であって、
前記育苗床パネルは一枚ごとに1つの前記高架床台に支持され、前記培養液供給手段は1乃至複数の前記育苗床パネルそれぞれに連結され、該育苗床パネルに前記培養液供給手段から間断的に培養液を供給することによって前記育苗ポットに植えられた苗を育苗することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の間断式給水栽培装置において、前記育苗床パネルは、所定の横幅、長さ及び厚みを有する合成樹脂製の支持板に形成した交差する複数本の溝からなる格子状の水路の各交点に、底部に給水口を有する前記育苗ポットを支持する支持手段を備え、前記支持板の底面に前記水路に連通する培養液の給排水口が設けられてなることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の間断式給水栽培装置において、前記培養液供給手段は、前記育苗床パネルと培養液供給源との間を連結する配管と、前記配管に前記培養液供給源から培養液を供給する供給機構と、からなり、前記供給機構を制御することにより、前記培養液供給手段による培養液の供給を間断的に行うことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の間断式給水栽培装置において、前記配管はその中間部で複数に分岐され、該複数に分岐された配管はそれぞれ複数の前記育苗床パネルに連結していることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の間断式給水栽培装置において、前記育苗床パネルには、前記水路に連通する給水口と排水口とがそれぞれ設けられ、前記給水口が前記培養液供給手段に連結され、前記排水口が水路の開閉が可能なバルブを有する排水用配管に連結されていることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の間断式給水栽培装置において、前記育苗床パネルには、前記水路に連通する1つの給排水口が設けられ、前記培養液供給手段の配管は前記給排水口に連結されているとともに、その中間部に排液用配管が水路の開閉及び切替えが可能なバルブを介して連結されていることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の間断式給水栽培装置において、前記育苗床パネルの水路内に培養液の量を検出するセンサーを設け、前記センサーの出力により前記培養液供給手段からの培養液の間断的な供給を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の間断式給水栽培装置において、前記育苗ポットは上部から底部に向かって縮径され該底部に所定径の開口を備えた容器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏するものである。すなわち、本願の請求項1に係る発明によれば、高架床台と育苗床パネルとがそれぞれ一対となっており、この高架床台と育苗床パネルとのセットを育苗したい数だけ複数個用いるようにすれば、従来の水耕栽培として知られる循環式の栽培方法に比べて育苗床パネル単位でその水平面の傾斜を調節することができ、以って設置作業に専門家等を必要としないので、設置費用が安く済むようになる。また、培養液を間断的に供給するので、従来の循環式のように常にポンプを稼動させる必要がなく電気代等の維持費も削減できる。すなわち、これにより安価な間断式給水栽培装置を提供することができる。
【0021】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、育苗床パネルは、安価な材料でかつ簡単な形状及び構造、すなわち、例えば発泡スチロール製の支持板に縦横に延びる水路を形成し、この水路の各交点に育苗ポットを支持する突起を設けるのみで形成されるので、育苗床パネル自体も容易かつ安価に製作できる。
【0022】
また、本願の請求項3に係る発明によれば、溝内に培養液を供給するための培養液供給手段が、例えばポンプ等からなる供給機構及び各パネルに接続された配管からなることにより、培養液供給手段も簡単な構成であるので設備費を削減することができる。
【0023】
また、本願の請求項4に係る発明によれば、配管を分岐させることで複数の育苗床パネルに対して1つのポンプで培養液の供給を行うことができるので、より安価な設備で培養液を供給することができるようになる。
【0024】
また、本願の請求項5及び6に係る発明によれば、培養液の給排水に際し、給水設備と排水設備を別個に設けてもよく、また給排水を1つの給排水口から行うこともできるので、用途に応じて給排水設備を選択できるようになる。
【0025】
また、本願の請求項7に係る発明によれば、育苗床パネル内の培養液の量をセンサーを用いて測るようになせば、培養液の残存量に応じて培養液の供給を行うことができ、また培養液供給手段からの培養液の供給時間の間隔を経時するタイマーを用いれば、所定量供給された培養液の残存量を容易に推測できるため、いずれも最適な供給タイミングでの培養液の歓談供給を実現することができるようになる。またこれらの機構を用いればこの培養液給排水作業を自動化することも可能となる。
【0026】
また、本願の請求項8に係る発明によれば、育苗ポットを上部から底部に向かって縮径していることで育苗床パネルへの設置がより容易になるとともに、底部に設けた開口から培養液を給水することで、その培養液の給水量を容易に制御することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る間断式給水栽培装置について、具体的実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は本発明の技術思想を具体化するための間断式給水栽培装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態についても等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の一実施例に係る間断式給水栽培装置の模式的説明図、図2は図1の間断式給水栽培装置の概略斜視図、図3は育苗床パネルの平面図、図4は図3の育苗床パネルの一部拡大平面図、図5は図4のA−A断面図、図6は図4のB−B断面図、図7は図5の育苗床パネルの交点部分の使用状態を示す断面図、図8は育苗床パネルのさらに他の実施例の平面図、図9は育苗床パネルのさらに他の実施例の拡大平面図、図10は図9の育苗床パネルの交点部分の使用状態を示す断面図である。
【0029】
本発明の間断式給水栽培装置は、図1及び図2に示すように、育苗ポット7を支持する育苗床パネル1と、育苗床パネル1を支持する高架床台8と、育苗床パネル1への培養液給排水手段9とを備えている。育苗床パネル1は一枚ごとに一台の高架床台8に支持され、高架床台8に支持された育苗床パネル1の給排水口4には培養液給排水手段9の配管9aが連結されている。
【0030】
高架床台8は、例えば水耕栽培に使用されるような、長さ方向に数十mもある一体構造のステンレス・スチールやアルミニウムからなる水槽を保持するものではなく、従来、テント・ハウスでのポット育苗に使用されているようなもの、つまりは比較的小さな簡易パネルのようなものである。高架床台8は、図2に示したように、所定寸法の支柱8aと棚板8bとを備え、この棚板8bに所定の横幅、長さ及び厚みを有する育苗床パネル1を載置支持する。
【0031】
図3及び図4に示すような、この間断式給水栽培装置に使用される育苗床パネル1は、幅90cm、長さ120cm、厚み10cmの寸法を有する矩形状の発泡合成樹脂からなる矩形状支持板本体2からなり、その表面に縦横の溝3a、3bからなる格子状水路5が形成され、格子状水路5の底面に培養液の給排水口4が設けられる。また、溝3a、3bの交点には育苗ポット7の支持部6が設けられる。これらの格子状水路5及び支持部6は育苗床パネル1の一体成形によって形成される。格子状水路5は矩形状支持板本体2の端面から各溝3a、3bまでの距離を5cmとして、長さ方向に伸びる溝3aを9本、横方向に交差する溝3bを12本、それぞれ10cm間隔で設けられている。格子状水路5の各交点の内、給排水口4が設けられた交点を除く交点計108ヵ所は支持部6を構成し、図4に示すように支持突起11が設けられ、それぞれ育苗ポット7が支持されるようになっている。詳しくは、図5に示すように、各支持部6の穴の周囲に設けられた、嵩上げした突起からなる支持突起11が育苗ポット7のフランジ7cを支えるようになっている。また、育苗床パネル1の溝3の断面は、矩形であっても差し支え無いが、図6に示すように、略V字状とすると使用する培養液の量がさらに少なくて済むので好ましい。加えて、この溝3における支持部6に対応する底部に上方に向かって突出した突出部14を設ければ、支持部の底部に培養液が滞留する恐れをさらに軽減でき、この培養液の滞留による根腐れをなくすることができる。なお、この育苗床パネル1の形状は上述したものに限らず、例えば図8に示す育苗床パネル1Aのように、溝3a、3bを縦横ではなく、斜めに交差するように設けても同様の効果を奏することができる。
【0032】
培養液給排水手段9はその配管9aが分岐されて複数の育苗床パネル1の給排水口4に連結されることで、培養液供給源である貯水槽13から培養液が間断的に供給され、育苗ポット7内の苗等の育成がなされる。培養液給排水手段9は、複数の育苗床パネル1へ培養液を供給するための供給機構としてのポンプ12と、給水弁10aと排水弁10bとからなり育苗床パネル1への培養液の供給及び排水等を切替制御する切替弁機構10と、各育苗床パネル1に個別に接続された配管9aと、排水弁10bに連結された排水用配管9bと、からなる。
【0033】
育苗床パネル1の格子状水路5の底面に設けた培養液の給排水口4には、ポンプ12からの送水圧力により給水弁10aが開弁して培養液が送られ育苗床パネル1に潅水する。この培養液は図示しない給水制御装置によってその給水量は制御されている。また、ポンプ12が停止されている状態においては給水弁10aも閉鎖されており、この状態で切替弁機構10を操作し排水弁10bが開弁されると、育苗床パネル1の培養液は格子状水路5の底面に設けられた給排水口4を通り、排水弁10bを介して排水用配管9bから自然排水される。なお、育苗床パネル1には、排水弁10bによる排水の他に給水中においても培養液の水位を一定に保てるようにオーバーフロー口(図示省略)を設けておくとより好ましい。また、育苗床パネル1への給水は苗19の状態を観察しながら、必要に応じて間断的に行なわれるが、溝3a、3bにこの溝内の培養液の貯水量を検出するセンサーを設け、センサーにより検知した培養液の貯水量に基づいてポンプ12など培養液給排水手段9を間断的に駆動するようにしてもよい。さらには、前記センサーに代えて育苗床パネル1への培養液の供給後の時間を経時するタイマーを設け、このタイマーを育苗パネル1の溝3a、3bの培養液の貯水量の減少時間に合わせて設定しておき、タイマーの出力に応じて培養液供給手段9を間断的に駆動するようにしてもよい。このようにセンサーあるいはタイマーを用いた制御を行うことで培養液の給排水作業を自動化することも容易となる。
【0034】
この間断式給水栽培装置は、図2により明らかなように、その設置に当たり各高架床台8単位で水平に保つことができれば培養液の偏りが発生するおそれがなく、またこの各高架床台8それぞれは上述したように比較的小さなものであるので、育苗床パネル1を水平に保持することは肉眼によっても可能となる。すなわち、大掛かりな基礎工事や架台設置工事が不要となり地盤を選ばなくとも設置が可能となる。また施工は専門家でなくとも可能であるため安価に設置することができる。
【0035】
なお、育苗床パネル1は、高架床台8に一枚のみ載置しそれぞれに培養液給排水手段9の配管9aを連結するのみでなく、例えば育苗床パネル1と高架床台8とのセットを複数枚隣接させ、この育苗床パネル1それぞれの格子状水路5を連結するようになせば、複数の育苗床パネル1のいずれか1つにのみ培養液給排水手段9を接続するだけで連結された全ての育苗床パネル1への培養液の給排水を制御することができるようになる。また、家庭園芸など1枚乃至少数枚で使用する場合のように装置自体が小規模な場合には、給水ポンプ12などの特別な給排水手段は必ずしも必要ではなく、水路5に培養液がなくなり潅水が必要になったときに必要な量の培養液をバケツなどで流し込むだけでよい。また、育苗床パネル1を多数使用するような大規模栽培の場合には、貯水槽13や給水ポンプ12などの給排水手段を設けるが、この場合も間断運転なので電気代は大幅に節約できる。
【0036】
育苗ポット7は、図7に示したように、胴部7aと底部7bが一体に形成され、胴部7aには波形形状の凹凸が設けられることがあり、またその上縁に側方に張り出した補強用のフランジ7cが形成されている。育苗ポット7の底面7bには、苗が容器内で発育を継続できるように、適当な大きさの給水用の孔や通気孔を1乃至複数個形成してある。育苗ポット7の中は培土が満たされ、イチゴなどの育成される苗20が植えられている。
【0037】
水耕栽培が基本的には土を使用せず、水を媒体とした養分を含んだ培養液で人工的に積極的なコントロールのもとで花卉や野菜を栽培するのに対して、間断式給水栽培方法は、培土を入れたポットを使用し、給水は必要なときに間断的にかけ流しまたは底面からの潅水で行なうものである。本発明においては底面からの給水を採用し、根腐れを避けるために必要なときにのみ間断的に給水を行なう。しかも、本発明においては培養液は水路の大きさ(断面積、長さ)と深さとで計算した量を供給すればよいので、培養液は無駄が無く、使用量を大幅に節減できる。
【0038】
この栽培装置は、育苗床パネル1が発泡スチロールなどの合成樹脂からなる矩形状支持板本体2の表面に縦横の溝3a、3bで格子状水路5を形成するので、材料費は安く、成形加工が簡単であるので、極めて安価である。また、水耕栽培のように大規模な水槽に満たした培養液を常時循環させるものではなく、育苗床パネル1に形成された溝3の部分のみに、それも育苗ポットの底面が一時的に浸る程度に培養液を流せばよいので、培養液を循環させるためのポンプを用いなくとも根腐れを防止することができるとともに培養液の量はきわめて少なくてすむ。さらに、給水は間断的に行なえばよいので、大規模な循環装置などは不要であり電気代も節約できる。
【0039】
また、水路交点に設けられた育苗ポット7の支持部6は、図7のように育苗ポット7を垂直に支持するように形成するのが普通であるが、図9に示すように、育苗ポット7を斜めにした状態で支持するように形成してもよい。育苗ポット7を斜めに保持するには、図9に示すように、交点の穴6'は、例えば縦横いずれかの溝3a'、3b'部分に拡張して平面視で楕円状に形成し、その側壁の斜面は緩やかに形成し、穴の周囲の育苗ポット7の支持手段11'には側壁の傾斜角度に対応して斜めに高低を設ける。このように、育苗ポット7を斜めに保持すると、図10に示すように、苗20の根が横に寝ることにより垂直に保持する場合よりも培養液に浸漬される面積が大きくなり培養液を効率的に吸い上げることができる。さらに、イチゴの育苗においては、苗を本圃に定植した後の分割生育がよいという付加的な効果もある。
【0040】
この育苗床パネル1は、発泡スチロールなどによって成形製造されるものであるが、他の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンや、バイオポリマー、生分解性ポリマー等が用いられる。
【0041】
本発明の間断式給水栽培装置を用いた栽培方法は、育苗床パネル1に供給される培養液を所定時間間隔おきにこの育苗床パネル1の水路5内に、支持部6に支持された育苗ポット7の底部7bが数ミリ浸る程度の量給水し、成分の変化や病気の防止のため循環させることなく給水の前段階で既に水路5内に溜まっている培養液を排出するようになっている。これは供給した培養液が長時間残っていると苗が根腐れを起こしてしまうことがあることに起因する。排水方法は図1に示す切替弁機構10を備えている際には排出弁10bによって排出させても良いし、育苗床パネル1に別途排出用の流路を形成しておき、そこから排出しても良い。
【0042】
図3の間断式底面給水栽培用育苗床パネル1の場合には、所定の横幅、長さ及び厚みを有する矩形状の発泡合成樹脂の矩形状支持板本体2に水路5を形成し、水路5以外は均一な厚みを有するものとして成形されている。しかし、育苗床パネル1が水路5の周辺を除き薄く加工したものであってもよい。つまり水路5に囲まれた島部分15の樹脂は材料節約のため裏面側は窪ませてあって、必要な強度が保たれる程度に薄く加工される。さらに必要な強度が得られる樹脂であれば、育苗床パネル1が、島部分15の中央を中抜きして縦横の樋を連結してなる格子状の構造体であってもよい。
【0043】
以上、図面を参照して本発明の実施例を説明した。しかし、本発明においては、必ずしも実施例に示したような育苗床パネルを使用する必要はなく、他の形式の育苗床パネルであっても設備装置の設置工事が簡単で済み、設備費が安価になることは理解できるであろう。これにより、設備費を軽減して安価な装置を供給でき、加えて使用する培養液を少なくすることができ維持費も安価ですむようになり、また培養液の供給を間断方式にすることによって電気代が安くなるなどの利点によって、本発明の産業上の効果は大きい。
【0044】
また、上述の実施例においては高架床台8と育苗床パネル1とを1つずつセットにして使用すると述べたが、育苗床パネル1が小さい場合、あるいは肉眼でその水平状態を容易に調節できる程度の枚数であれば、育苗床パネル1を高架床台8上に複数枚設置するようにしても実質的に同一であることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る間断式給水栽培装置の模式的説明図である。
【図2】図2は図1の間断式給水栽培装置の概略斜視図である。
【図3】図3は育苗床パネルの平面図である。
【図4】図4は図3の育苗床パネルの一部拡大平面図である。
【図5】図5は図4のA−A断面図である。
【図6】図6は図4のB−B断面図である。
【図7】図7は図5の育苗床パネルの交点部分の使用状態を示す断面図である。
【図8】図8は育苗床パネルのさらに他の実施例の平面図である。
【図9】図9は育苗床パネルのさらに他の実施例の拡大平面図である。
【図10】図10は図9の育苗床パネルの交点部分の使用状態を示す断面図である。
【図11】図11は従来の湛水式水耕栽培方式の設備の側断面図である。
【図12】図12は従来の底面潅水が可能な水耕栽培装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1、1A 育苗床パネル
2 矩形状支持板本体
3a、3b 溝
4 給排水口
5 (格子状)水路
6 支持部
7 育苗ポット
7a 胴部
7b 底部
7c フランジ
8 高架床台
9 培養液給排水手段
10 切替弁機構
10a 給水弁
10b 排水弁
12 ポンプ
13 貯水槽
14 突出部
15 島部分
【出願人】 【識別番号】591038026
【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
【出願日】 平成17年12月2日(2005.12.2)
【代理人】 【識別番号】110000187
【氏名又は名称】特許業務法人ウィンテック


【公開番号】 特開2007−151451(P2007−151451A)
【公開日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願番号】 特願2005−350022(P2005−350022)