| 【発明の名称】 |
トマトとナスが実る苗。 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 貞一
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| 【要約】 |
【課題】トマトとナスの果実が見事に実る一本苗の生産を可能に至らしめる。二作物苗の先端切除、苗の複数切断、接木と挿し木の並行、脇芽先端切除、苗の剪定操作などの工程により苗生産方法を確立できる。苗商品化率が高く、生産原価を低減でき、しかも、ナスの土壌病害を防ぎ、苗からトマトとナスの枝が健全に伸長し、双方の果実がたわわに実り、果色の彩が鮮やかで、かつ収量が高い。
【解決手段】トマトとナス苗の先端部を摘除し、葉の付け根から脇芽が生育した苗を複数切断し、脇芽を含む切断部分同士を合体させ、トマトを台木としてナスとの接木苗を作り、トマト枝の伸長バランス調整を枝の先端部切除により行い、販売前の苗を適宜に剪定する。また、トマト果実は小〜中玉品種で、ナス果実は黒紫、白緑品種のうちから用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トマトとナス各苗について、生育先端を切除して育成し、葉の付け根から脇芽が発生した後、トマトとナス各苗を一箇所以上切断し、トマトを台木として接木する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項2】 接木前の苗を着色する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項3】 接木前の苗に植物ワクチンを接種する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項4】 二本以上の線状部材を用いて接木する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項5】 台木のトマトが自根或は挿し木である請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項6】 台木のトマト上にナスを接木する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項7】 台木のトマト上にトマトとナスを各一種類以上接木する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項8】 台木のトマトに台木専用品種を用いてトマトとナスを各一種類以上接木する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項9】 接木苗の脇芽は、トマトとナスの種類ごとに一本ずつ残して他は摘除する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項10】 接木苗から伸長したトマトの枝は、芽が発生した葉の付け根を残して生育先端を切除する請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項11】 接木苗のトマトとナスの各枝は、葉、芽等の混み合う部分を適宜に剪定して一本仕立てとする請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項12】 トマトの品種は、有支柱品種で、熟果平均果重が10〜70gのうちで、果色は赤、黄、橙のうちで、TMV抵抗性がTm2或はTm2aであるうちから用いる請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項13】 ナスの品種は、果形が大長、長、中長、長卵のうちで、果色が黒紫色、白緑色のうちから用いる請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項14】 接木苗の植付けは、太陽光に対して前部にナスの枝、後部にトマトの枝とする請求項1のトマトとナスが実る苗。 【請求項15】 出荷時苗のトマトとナスの枝の草丈は、地際部から10〜35cmで、トマトとナスとの枝の生育先端差が0〜15cmである請求項1のトマトとナスが実る苗。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、接木により一本苗からトマトとナスが実る新規な野菜苗に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、博覧会等で、一つの株からトマト、ナス等の果実が実った接木植物が展示されて話題になることがある。(1990年 大阪「花と緑の博覧会」トマト、ナス等が実る接木植物の展示)しかし、これらの植物は、接木に大変な労力をかけ、大仕掛けの育苗設備を用いている。このような植物を、観賞用等ではなく、家庭菜園用苗としての販売や農家の実利栽培に利用するには、苗生産コストが高く、高価な苗となる欠点がある。 トマトとナスの接木で、強健性を付与したトマト台木に、収量性の優れたナスを接木することが知られている。(北海道旭川市(株)本郷種苗園 ピレネートマト台木とナスの接木苗)逆に、耐病性を有する台木ナスに果実品質の優れた穂木トマトを接木することも公知である。(青山種苗(株)ら出願 特開2002−345334)しかし、これらの接木苗は、ナス或はトマトのいずれかの枝を伸長させて一方の作物の収量安定を図ることが目的である。従って、双方の作物の果実が得られる接木苗となりえない。双方の果実が実る接木苗を作成するには、収量性や果実品質の優れた二作物の枝を一本苗から確実に発生させることが必須である。 本発明者は、特願2004−237794「数種類の果実が実る野菜苗」で一本の接木苗から数種類のナス科果実が得られる旨の発明を為した。しかし、収量重視のナスを台木としたナス枝と穂木のトマト枝のある接木苗を作って植付けた結果、苗から二作物の枝が伸長したものの、果実が熟し始める頃、茎葉の萎れ症状が先ずトマトに発生し、次にナスにも及び、やがて株全体が枯れて低収量となった。よって、この接木苗は病気に弱い欠点があった。 トマトとナスが実る苗を販売する場合、二作物の枝が見栄え良く伸長する苗の効率的な生産技術を確立して手ごろな価格販売を実現し、萎れ症状の病気に強く、栽培が簡単で、二作物がたわわに実り、果色が鮮やかで、高い収量性を示すことなどの課題解決が必要である。 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本発明は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、トマトとナスが実る苗の生産において、トマトとナス各苗の生育先端を切除することにより、生育エネルギーが苗先端から各葉の付け根に移行することに着目し、各葉の付け根から脇芽を確実に発生させ、その部分を切断して接木に利用すれば、トマトとナスの各枝が発生する接木苗を効率よく生産できる考えに至った。本発明は、一本の育成苗から複数の切断部分を得て接木苗の作成に用いるので、育成苗の使用効率を高め、苗生産原価の低減を図ることができる。また、本発明は、接木苗から伸張したトマトとナスの枝の伸長バランス調整ができ、さらに苗の葉、芽が込み合う部分を除去して双方の枝を一本に仕立て、販売苗として見栄え良く、かつ商品化率を高めることができる。また、台木をトマトとし、ナスの栽培に甚大な被害を齎している土壌病害を回避でき、栽培が安定し、双方の作物に高収量を期待できる。さらに、トマト数種とナスの接木苗を作成する場合、トマトのTMV抵抗性の相性を考慮に入れた品種を用いることにより、接木苗の各枝が健全に伸長し、収量が安定する。その上、トマトは有支柱用で、果実が小〜中玉品種で、果色は赤、黄、橙のうちで、ナスは、収量性に優れ消費者ニーズが高い大長、長、中長、長卵形のなかから選択して掛け合わせると。一本苗でバラエティに富んだトマトとナスが実る野菜苗ができる。 よって、本発明は、トマトとナスが実る新規な接木苗の効率的な生産ができ、見栄えの良い苗を手ごろな価格で販売でき、しかも、土壌病害に強く、栽培が簡単で、二作物が色彩豊かにたわわに実り、高い収量性を有するなどの利点を供えたトマトとナスが実る苗の提供を目的とすることにある。 【課題を解決するための手段】 【0004】 すなわち本発明は、特願2004−237794「数種類の果実が実る野菜苗」の発明を具体化したトマトとナスが実る苗であって、トマトとナス各苗について、生育先端を切除して育成し、葉の付け根から脇芽が発生した後、各苗を一箇所以上切断し、トマトを台木としてナス若しくはトマトとナスを接木する。そして、その台木トマトは自根若しくは挿し木である。接木苗の脇芽はトマトとナスの種類ごとに一本ずつ残して他は摘除し、接木苗から伸長したトマトの枝は、芽が発生した葉の付け根を残して生育先端を切除する。さらに、接木苗のトマトとナス各枝は、葉、芽等の混み合う部分を適宜に剪定して一本仕立てとする。 トマトの品種は有支柱で、熟果平均果重が10〜70gのうちで、果色は赤、黄、橙のうちで、TMV抵抗性がTm2或はTm2aであるうちから用いる。ナスの品種は、果形が大長、長、中長、長卵のうちで、果色が黒紫色、白緑色のうちから用いることなどを特徴とするトマトとナスが実る苗である。 【0005】 以下、本発明のトマトとナスが実る苗について[実施例1]を示し、添付した図面に基づき具体的に説明する。 【実施例1】 【0006】 本発明のトマトとナスが実る苗に用いるトマトは、先ず有支柱用品種が上げられ、このトマトは枝の高段に順次実り、株低段に茂るナス枝との合体は太陽光を効率よく浴びる上で好ましい。また、熟果平均果重が10〜70gの小〜中玉品種は、着果性に優れ、生育が旺盛で、果実がたわわに実る上で好ましく、トマトとナスを実らせる土台部分に好適である。それと、TMV抵抗性はTm2型或はTm2a型の品種を用いると各枝が相性よく健全に生育する。また、果色は赤、黄、橙のうちから選び、果形も考慮に入れて接木すると、たわわに実った果実の色や形が豊かな様となる。また、トマトを台木とするので、ナスの土壌病害である半枯れ病、半身萎凋病などの萎れ症状を起こす病気を防止できる。また、トマトの台木専用品種を接木苗の土台として用いれば、強健性、耐病性を付与できる。さらに、一種類苗に植物ワクチンを接種して接木すれば、植物ワクチンがトマトとナスの植物体全部分に移行し、ウイルスに強い高付加価値野菜苗となる。 ナスの品種は、家庭菜園、実利栽培等で最も需要の大きい大長、長、中長、長卵の品種のうちから選択し、果色は黒紫色の品種でよいが、一本苗に二品種のナスを組み込むなら、黒紫色と白緑色を用いるとバラエティに富み、トマトとの彩が一層鮮やかとなる。 【0007】 (接木前のトマト苗の育成操作) [図1]に、トマト苗(A1)の生育先端部(A3)を切除し、脇芽(A6)を発生させ、苗(A1)を切断する工程を示す。 先ず(1)より、育苗トレイ等で育成した本葉4枚期のトマト苗(A1)で、主枝(A2)、子葉の付け根(A4)が二箇所、本葉の付け根(A5)を四箇所示す。主枝(A2)の先端部(A3)は、カッター等で切断(切断線)し、数日〜三週間育成する。この場合の先端部(A3)の切除は、本葉4枚期の苗(A1)に限定するものではなく、脇芽が発生する葉の付け根が4〜10枚得られる本葉2〜8枚期の苗が好ましい。 次に(2)より、子葉の付け根(A4)と本葉の付け限(A5)から、計六箇所の脇芽(A6)が発生する。 次に(3)より、トマト苗(A1)を二箇所切断(切断線)し、自根切断部分(A7)と二つの切断部分(A8)を得る。この場合、適宜な脇芽(A6)が含まれている切断部分を得るために主枝(A2)を切断するので、二箇所切断に限定するものではなく、必要に応じて一箇所若しくは二箇所以上切断すればよい。また、接木にトマト苗(A1)を数種類用いるなら、トマト苗(A1)の種類別に着色液(A9)をスプレー(A10)等で噴霧する。着色液(A9)に用いる着色料は、食用に供する作物苗に噴霧するので、食品添加物着色料製剤が好ましい。この着色液(A9)に植物ウイルスの弱毒系統から選択したウイルスの精製液或は粗汁液を混合し、植物ワクチン液として接種しても良い。一種類の着色液(A9)に植物ワクチンを混合して接種すれば、接木後苗全体に植物ワクチンが移行する。この場合、予め接種苗からウイルス核酸分析等の電気泳動で意図するRNAを検出し、抗原抗体反応分析等で苗の感染確認を行っておく必要がある。トマトはナスより植物ワクチンの体内移行が早く感染確認しやすい。本発明者らが発明した接種方法の「植物ウイルス接種法 特許2908594」、ワクチン用植物ウイルスの「CMVの弱毒ウィルス 特開平11−276178」などを参考に上げる。 【0008】 (接木前のナス苗の育成操作) [図2]に、ナス苗(B1)の、生育先端部(B3)を切除し、脇芽(B6)を発生させ、苗(B1)を切断する工程を示す。 先ず(1)より、育苗トレイ等で育成した本葉3枚期のナス苗(B1)で、主枝(B2)、子葉の付け根(B4)が二箇所、本葉の付け根(B5)を三箇所示す。ナス苗(B1)の主枝(B2)の先端部(B3)を、カッター等で切断(切断線)して数日〜三週間育成する。この場合の先端部(B3)の切除は、本葉3枚期のナス苗(B1)に限定するものではなく、脇芽(B6)が発生する葉の付け根が3〜8枚得られる本葉1〜6枚期の苗が好ましい。 次に(2)より、子葉の付け根(B4)と本葉の付け根(B5)から計五箇所の脇芽(B6)が発生する。 次に(3)より、ナス苗(B1)を二箇所切断(切断線)し、二つの切断部分(B8)を得る。この場合、適宜な脇芽(B6)が含まれている切断部分を得るために主技(B2)を切断するので、二箇所切断に限定するものではなく、必要に応じて一箇所若しくは二箇所以上切断すればよい。尚、ナス苗(B1)の自根切断部分(B7)は接木に用いない。また、接木にナス苗(B1)を数種類用いるなら、トマト苗と同様にスプレー(B10)等と着色液(B9)を用いて苗を色分けする。 【0009】 (トマトとナスの接木操作) [図3]に、トマトの自根切断部分(A7)にナスの切断部分(B8)を接木(15)する工程を示す。 先ず、トマトの自根切断部分(A7)に、ナスの切断部分(B8)を二本の線状部材(16a、16b)を介して接木(15)する。このとき各脇芽(A6、B6)は発生した状態で接木(15)される。双方の茎の接合部に二本の線状部材(16a、16b)を差し込むことにより、接合部が固定され、接木の活着が良い。この線状部材(16a、16b)については、特願2004−237794「数種類の果実が実る野菜苗」に詳しく記載されてある。 【0010】 (トマトとナスの接木と挿し木並行操作) [図4]に、トマトの切断部分(A8)にナスの切断部分(B8)を接木(15)し、さらに挿し木(17)する工程を示す。 ナスの切断部分(B8)を、土台となるトマトの切断部分(A8)に二本の線状部材(16a、16b)を介して接木(15)し、トマトの切断部分(A8)の下端部を培地に挿し木(17)する。このとき各脇芽(A6、B6)は発生した状態で接木(15)される。 【0011】 (二種類のトマトと一種類のナスが実る苗を作成する場合の接木操作) [図5]に、トマトの自根切断部分(A7)に、異なる種類のトマトの切断部分(Aa8)を接木(15)し、さらにナスの切断部分(B8)を接木(15)する工程を示す。 先ず、トマトの自根切断部分(A7)に、異なる種類のトマトの切断部分(Aa8)を二本の線状部材(16a、16b)を介して接木(15)し、さらにナスの切断部分(B8)を二本の線状部材(16a、16b)を介して接木(15)する。このとき各脇芽(A6、Aa6、B6)は発生した状態で接木(15)される。 [図5]では、トマト二種とナス一種の組み合わせであるが、これに限定するものではなく、トマトの上にトマトとナス各一種類以上を接木することができる。また、接木苗の土台はトマトの自根切断部分(A7)でなく、トマトの挿し木を利用しても良い。台木トマトの上に接木するトマトとナスの切断部分同士の重ね合わせ順についてはこだわるものではない。また、台木専用品種のトマトを土台にして接木し、強健性を付与した苗を作成しても良い。 【0012】 (接木後の養生) 接木(15)と挿し木(17)が完了したら直に育苗トレイごと湿度95%程度、温度27〜32℃、薄曇り条件のもと3〜6日間養生する。その後直接日光の当たらない場所に育苗トレイを移して徐々に外気に馴らす操作、馴化処理を数日行う。 【0013】 (接木苗のトマトとナスの脇芽を一本ずつにする操作) [図6]に、接木苗(18)から発生する脇芽(A6−1、A6−2、A6−3、B6−1、B6−2)をトマトとナス各一本にする工程を示す。 接木苗(18)からトマトの脇芽(A6−1、A6−2、A6−3)とナスの脇芽(B6−1、B6−2)が伸長しているうち、生育が良く、好ましくは左右対称となるトマトとナスの脇芽(A6−1、B6−1)を一本ずつ選び、他の脇芽(A6−2、A6−3、B6−2)は摘除する。この操作は、育苗トレイ上若しくは鉢上げ苗の時期に行ってもかまわない。 【0014】 (鉢上げ) 接木苗(18)の根が育苗トレイの孔に根鉢を形成したら、床土を詰めたポリポットなどの移植鉢に植えかえる。鉢上げ用ポットは10.5〜15.0cmサイズが一般的である。 【0015】 (トマト枝の先端部切除によるトマトとナスの枝の伸長バランス調整操作) [図7]に、接木苗(18)から発生するトマトの脇芽(A6−1)とナスの脇芽(B6−1)との伸長バランス調整を行う工程を示す。 先ず、接木苗(18)のトマトの脇芽(A6−1)の生育速度はナスの脇芽(B6−1)より速く、脇芽同士の生育バランスが合わなくなる。そこで、トマトの脇芽(A6−1)の葉の付け根(A14)の芽(A12、A12−1)発生を確認し、先端部(A13)を切除(切断線)する。この場合、数あるトマトの芽(A12、A12−1)から、ナスの脇芽(B6−1)と丈が同等或はやや低めの芽(A12−1)を選びその上の部分を切除する。これらの操作は、育苗トレイ上若しくは鉢上げ苗のいずれの時期に行っても良い。尚、その後の生育で、選んだトマトの芽(A12−1)がナスの脇芽(B6−1)より大幅に伸びた場合、トマトの芽の先端部切除によるトマトとナスの枝の伸長バランス調整を繰り返す。 【0016】 (苗剪定によるトマトとナスの枝の一本仕立て操作) [図8]に、接木苗(18)のトマトとナスの葉、芽(A11、A12、B11)等の混み合う部分は、適宜に剪定し、各枝を一本仕立てとする工程を示す。 接木苗(18)の生育に伴い、トマトの葉(A11)、芽(A12、A12−1)とナスの葉(B11)等が繁茂し、販売苗として見栄えが悪くなる。よって、トマトの混みすぎた葉(A11)、芽(A12)等を適宜に剪定する。ナスも混んでいる葉(B11)、芽等を適宜に剪定する。そしてトマトとナスの各枝を一本仕立てとする。この場合、接木苗(18)を出荷する直前に剪定すると茎葉の傷が目立ち、商品として見栄えが悪い。従って、出荷する数日〜数十日前までに行う。出荷時苗のトマトとナス枝の丈は、ポットの地際部から先端まで10〜35cmで、トマトとナスの枝の生育先端差が0〜15cmであることが好ましい。 (苗の植付け操作) 接木苗の植付けは、太陽光に対し前部にナスの枝、後部にトマトの枝とする。トマトは株の高段に順次に実り、ナスは株の低段にこんもりと実り太陽光を効率よく浴びる。肥料は単独トマト、ナス苗より多めとし、他の栽培管理等は一般的なトマトとナスの方法に準じる。 【0017】 次に、本発明のトマトとナスが実る苗について、トマト一種類とナス一種類の接木苗を作成して栽培した結果を[実施例2]に示し、さらに具体的に説明する。 【実施例2】 【0018】 1.接木前のトマト苗とナス苗の育成操作 トマト(カネコ種苗(株)製 中玉品種 レッドオーレ)とナス(タキイ種苗(株)製 長卵形品種千両2号)の種を、培土(タキイ種苗(株)製たねまき培土)を詰めた水稲箱にスジ播きし、子葉展開後、培土(渡辺採種場(株)販売スミソイルN−150)を詰めたセル状の孔を有する72穴育苗トレイに移値し、各苗を育成した。トマトは播種後30日の苗が草丈9〜11cm、本葉3〜4枚期に達し、ナスは播種後35日の苗が草丈6〜8cm、本葉2〜3枚期に達した。次に[図1][図2]の如く、トマトとナスの苗の先端部を切除し、18日間通常の育苗管理を行い、各苗の葉の付け根から脇芽発生を確認し、トマトとナス苗の節間を切断し、トマトの自根切断部分とトマトとナスの切断部分を得た。 【0019】 2.接木によるトマトとナスの合体操作 次に[図3]の如く、トマトの自根切断部分に、ナスの切断部分を二本の線状部材を介して接木した。また[図4]の如く、トマトの切断部分にナスの切断部分を接木し、トマトの切断部の下端部を挿し木した。 【0020】 3.接木後の養生 接木を終えた後、接木苗或は接木と挿し木を行った苗を育苗トレイごと湿度95%程度、温度27〜34℃、薄曇り条件のもと5日間養生した。その後直接日光の当たらない場所に育苗トレイを移して徐々に外気に馴らす操作、馴化処理を数日行った。 【0021】 4.接木活着率と接木苗のトマトとナスの脇芽を一本ずつにする操作 接木活着率は、トマトの自根部に接木した接木苗は90%、トマトの切断部を挿し木した接木苗は85%で、接木活着上の問題はなかった。次に[図6]の如く、接木して一週間後、苗から発生したトマトとナスの脇芽は各一本ずつ残し、余分な脇芽は摘除した。 【0022】 5.鉢上げ及びトマト枝の生育調整と苗剪定による各枝の一本仕立て操作 接木苗の根が育苗トレイの孔に根鉢を形成した後、床土(渡辺採種場(株)販売スミソイルN−150)を詰めたポリポット直径15.0センチに植えかえて35日育成したその間に[図7]の如く、接木苗から伸長したトマトの一本の脇芽について、その先端部を芽の発生した葉の付け根を残して摘除し、トマトとナスの脇芽の伸長バランスを整えた。さらに[図8]の如く、接木苗のトマトとナスの葉、芽等の混み合う部分は剪定し、トマトとナスの枝を各一本仕立てとした。植付け直前の苗の草丈は、トマトとナスの各枝が地際部から先端まで15〜30センチで、トマトとナスとの枝の生育先端差が0〜10センチであった。 【0023】 6.鉢上げ苗の植付けと栽培管理 鉢上げ苗を、通常の肥料を混合した畑土壌(ナス科連作4年)を詰めたプラ鉢(ディックプラスチック製NPポット515×395)に植付けた。太陽光に対しナスの枝を前部、後部をトマトの枝とし、苗全体が光を浴びて育つようにした。植付け後、トマトとナスの各枝に支柱を立て、誘引、追肥、潅水等、通常のトマトとナスの露地栽培に準じる管理を行った。 【0024】 7.本発明のトマトとナスが実る苗の収穫確認 2月に播種し、4月に苗生産して5月に定植し、一本苗からトマト台木の枝とナス穂木の枝が健全に伸長し始め、6月には株の低段にナス、高段にトマトがたわわに実り、7月には果実が着色し、収穫は7〜10月まで行った。この本発明苗の収穫状況を、同じ条件で栽培した比較例1のトマト自根苗、比較例2のナス自根苗と比べて[表−1]に示す。 【0025】 【表−1】
トマト:中玉 レッドオーレ カネコ種苗(株)製 ナス:長卵形 千両2号 タキイ種苗(株)製試験地:陸前高田市 栽培形態:露地栽培 収穫:7月31日〜10月25日まで [表−1]より、本発明苗はトマトの健全果数は104個、ナスの健全果数は41個であった。これに対し、比較例1のトマトの健全果数は102個で本発明苗とほぼ同等であったが、比較例2のナスの健全果数は本発明苗の健全果数の四分の一に満たなかった。これはナス自根苗に連作畑土壌から病気が侵入し、茎葉が萎れたことによる。よって本発明苗は、茎葉の萎れ病害に強く、双方の果実がたわわに実り、収穫物が多く得られることが分かった。 【0026】 次に、本発明のトマトとナスが実る苗について、トマトニ種類とナス一種類の接木苗を作成して栽培し、収穫確認を行った結果を[実施例3]に示す。 【実施例3】 【0027】 本発明苗について、台木赤トマト枝と穂木黄トマト枝とナス枝の三本枝がある一本苗を[図5]の如く作成した。二種類トマト苗の草姿区別のため食用色素(共立食品(株)販売 食品添加物着色料製剤)を苗に用いた以外は[実施例2]の一連の苗作成方法に準じた。この本発明苗を畑土壌充填のプラ鉢(ディックプラスチック製NPポット515×395)に定値し、トマトに各一本の支柱を立てて誘引して脇芽欠き等の通常管理を行い、ナスも支柱に縛り整枝等の通常の管理を行って栽培し、一本苗から収穫物を得た結果を[表−2]に示す。 【0028】 【表−2】
1〕赤トマト:中玉品種レッドオーレ TMV抵抗性はTm2 カネコ種苗(株)育成 2〕黄トマト:小玉品種イエローミミ TMV抵抗性はTm2 カネコ種苗(株)育成 3〕ナス:中長品種くろべえ 渡辺採種場(株)育成品種 試験地:陸前高田市 栽培形態:露地栽培 収穫:7月31日〜10月25日まで [表−2]より、健全熟果は赤トマト98個、黄トマト512個、ナスの健全果は31個収穫し、計640個以上の収穫物を一本の野菜苗から得るに至った。降雨によるトマトの裂果、腐敗果や、元成りナスの腐敗果が少し発生したが、本発明苗は、赤と黄の二色のトマトと黒紫のナスが色彩豊かにたわわに実り、鉢での狭い栽培スペースでも多くの収穫物を得たことが分かる。また、通常の栽培管理で三種の各枝が順調に伸長し、ナスに被害が多い茎葉の萎れ病害は発生せず、トマト双方のTMV抵抗性はTm2で相性は良く、ナスの枝との相性にも問題はなく健全に生育した。 【0029】 次に、本発明のトマトとナスが実る苗について、茎葉の萎れ症状を起こす土壌妨害に対する防除効果の確認を行った結果を[実施例4]に示す。 【実施例4】 【0030】 本発明のトマトとナスが実る苗は、毎年ナスの萎れ症状が発生する畑の土壌に植付けた場合にその病害が発生するか否か、本発明苗を[実施例2]に基づきトマトとナス各一種組み合わせで[図3]の如く接木して作成し、比較例はナスの台木にトマトを接木してトマトとナスの枝が伸長した苗を作成し、対照は通常のナス自根苗とし、比較調査を行った。その結果を[表−3]に示す。 【0031】 【表−3】
トマト:中玉品種 レッドオーレ ナス:長卵形品種 千両2号 ※茎葉萎れ程度:日中萎れて朝夕方回復する場合は除外。完全に茎葉が萎れた状態を示す。 試験地:岩手県陸前高田市 ナス科連作4年畑、ハウス雨よけ栽培 管理等同一条件 [表−3]から、本発明のトマト台木のトマトとナスが実る苗は、7月下旬までトマトとナス双方の枝の茎葉が健全であった。これに対し、比較例のナス台木苗は6月下旬にナス5株が健全症状であったものの、トマトは5株中3株に枝先端の茎葉が萎れ、7月下旬には全株のトマトとナスの茎葉が萎れ、やがて株全体が枯れて収穫皆無となった。また、対照のナス自根苗も7月下旬に全株の茎葉が萎れて枯れた。[表−3]には示さないが、本発明苗は10月まで全株の茎葉が萎れず健全に生育し、収穫を継続できた。 従って、本発明のトマトとナスが実る苗は、茎葉の萎れ症状を引き起こす病害に対し、防除効果を有する有利な苗であることが判明した。 【本発明の効果】 【0032】 本発明は、トマトとナス各苗先端切除、脇芽発生苗の複数切断、トマト台木に接木、トマトの脇芽先端切除、苗の剪定などの工程により、一本の植物からトマトとナスが実る苗生産を現実に可能に至らしめる。しかも、通常の育苗ハウスで効率的な苗の大量生産ができ、見栄えの良い苗を手ごろな価格で販売できる効果がある。また、本発明は、博覧会等で展示されている大仕掛けの育成施設を用いた数種果実が成る接木植物と異なり、露地或はハウス等の一般的栽培形態で、トマトとナスの通常の管理に準じた方法で栽培でき、現実に家庭菜園や農家の実利栽培に普及しうる効果がある。しかも、ナスに被害が多い土壌病害を防ぎ、トマトとナスの収量が安定する。また、一本苗からトマトとナスがたわわに実るので、狭いスペースでも栽培でき、都会のベランダ菜園などには好適である。それにトマトとナス果実の色彩が豊かで、ガーデニングの色合いが鮮やかになる。その上、収穫物を生食或は調理用とし、一本苗から二作物の果実の栄養成分を摂取できる効果も合わせて奏するものである。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、(1)トマト苗の生育先端部切除、(2)脇芽発生、(3)苗切断の工程を示す概略説明図である。 【図2】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、(1)ナス苗の生育先端部切除、(2)脇芽発生、(3)苗切断の工程を示す概略説明図である。 【図3】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、自根切断トマトを用いた接木の工程を示す概略説明図である。 【図4】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、接木と挿し木を並行して行う工程を示す概略説明図である。 【図5】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、二種類のトマトと一種類のナスとの接木工程を示す概略説明図である。 【図6】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、トマトとナスの脇芽を種類別に一本にする工程を示す概略説明図である。 【図7】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、伸長が早いトマトの脇芽の生育先端切除の工程を示す概略説明図である。 【図8】は、本発明のトマトとナスが実る苗について、苗の剪定操作によりトマトとナスの枝を一本仕立てにする工程を示す概略説明図である。 【符号の説明】 A1…トマト苗 A12…芽 15…接木 A2…主枝 A13…生育先端部 16a…線状部材 A3…先端部 A14…葉の付け根 16b…線状部材 A4…子葉の付け根 B1…ナス苗 17…挿し木 A5…本葉の付け根 B2…主枝 18…接木苗 A6…脇芽 B3…先端部 A6−1…脇芽 B4…子葉の付け根 A6−2…脇芽 B5…本葉の付け根 A6−3…脇芽 B6…脇芽 Aa6…脇芽 B6−1…脇芽 A7…自根切断部分 B6−2…脇芽 A8…切断部分 B7…自根切断部分 Aa8…切断部分 B8…切断部分 A9…着色料 B9…着色料 A10…スプレー B10…スプレー A11…葉 B11…葉
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| 【出願人】 |
【識別番号】501426703 【氏名又は名称】佐藤 貞一
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| 【出願日】 |
平成17年11月21日(2005.11.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2007−135572(P2007−135572A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月7日(2007.6.7) |
| 【出願番号】 |
特願2005−367100(P2005−367100) |
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