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【発明の名称】 刈込機
【発明者】 【氏名】小野瀬 美代次

【氏名】棚井 正実

【要約】 【課題】ブレードのクランクカムからの脱落を防いで常に安定した刈込作業を行うことができる刈込機を提供すること。

【解決手段】長手方向の両端縁に複数の切刃を形成して成る上ブレード3と下ブレード4とを上下に重ね合わせ、モータ6の回転をクランクカム13によって前記上ブレード3と下ブレード4の往復運動に変換し、上ブレード3(又は下ブレード4)端部の前記クランクカム13との係合部を曲げて曲げ部3cを形成するとともに、上ブレード3と下ブレード4の各端部間にプレート14を介装して成る刈込機1において、前記プレート14に、前記曲げ部3cが形成された上ブレード3との距離Sが該上ブレード3の厚み寸法tよりも小さくなる凸部14bを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両端縁に複数の切刃を形成して成る上ブレードと下ブレードとを上下に重ね合わせ、モータの回転をクランクカムによって前記上ブレードと下ブレードの往復運動に変換し、上ブレード又は下ブレード端部の前記クランクカムとの係合部を曲げて曲げ部を形成するとともに、上ブレードと下ブレードの各端部間にプレートを介装して成る刈込機において、
前記プレートに、前記曲げ部を有するブレードとの距離が該ブレードの厚み寸法よりも小さくなる凸部を形成したことを特徴とする刈込機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、草や木の枝等を切断する刈込機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の刈込機を図7に基づいて説明する。
【0003】
図7は従来の刈込機要部の断面図であり、図示の刈込機の外枠2には駆動源であるモータ6が内蔵されており、このモータの回転軸(モータ軸)7は図7において下方に延び、その中間部はベアリング8を介してホルダ9に回転可能に支持され、その端部(図7の下端部)にはピニオン10が形成されている。
【0004】
又、前記ホルダ9には、図7において垂直下方に延びるピン11が前記回転軸7と平行に圧入されており、このピン11にはギヤ12とクランクカム13が回転可能に支持されている。ここで、ギヤ12は、回転軸7の端部に形成された前記ピニオン10に噛合しており、このギヤ12には前記クランクカム13が嵌合連結されて両者は一体的に回転する。
【0005】
前記クランクカム13には、ピン11に対して偏心した上下2段の円板状の偏心カム13a,13bが180°の位相差をもって一体に形成されており、上段の偏心カム13aには上ブレード3の端部が係合し、下段の偏心カム13bには下ブレード4の端部が係合している。ここで、上ブレード3と下ブレード4の各幅方向両端縁には鋸刃状の複数の切刃(図示せず)が形成されており、両者は上下に重ねられて前方(図7の右方)へ延びている。
【0006】
而して、モータ6が駆動されると、回転軸7の回転はピニオン10とギヤ12を介して減速されてクランクカム13に伝達され、該クランクカム13が回転駆動される。そして、このクランクカム13の回転は、前述のように該クランクカム13の上下の偏心カム13a,13bにそれぞれ係合する上ブレード3と下ブレード4の往復動に変換され、交互に進退動する上ブレード3と下ブレード4によって草や木の枝が刈り込まれる。
【0007】
ところで、斯かる刈込機においては、下ブレード4が係合する下側の偏心カム13bの一部が上ブレード3と干渉しないでクランクカム13が滑らかに回転することができるように、上ブレード3の偏心カム13aとの係合部を曲げて曲げ部3cを形成し、該上ブレード3と下ブレード4の端部間に図示の隙間δを設けている。このため、刈込作業によっては上ブレード3に強い力が加わり、図8に示すように上ブレード3の端部がその曲げ部3cを起点として変形し、該上ブレード3の曲げ部3cよりも端部側(図8の左側)部分が図示のように下方へと垂れ下がり、上ブレード3の偏心カム13aとの係合が外れる可能性があった(図8のC部参照)。
【0008】
そこで、上ブレード3が偏心カム13aから外れにくくするため、図9に示すように、図11(a)〜(c)に示すような馬蹄形の平板状プレート14を上ブレード3と下ブレード4の端部間に介装し、上ブレード3に強い力が加わった場合の該上ブレード3端部の変形をプレート14によって抑制する構成が考えられた。尚、図11において(a)はプレートの平面図、(b)は同プレートの側面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【特許文献1】特開2003−235351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、プレート14を上ブレード3と下ブレード4の端部間に介装した図9に示す構成であっても、プレート14と上ブレード3との間に隙間Eを設けていたため、上ブレード3に強い力が加わった場合には、図10に示すように、隙間Eだけ上ブレード3の端部が変形して垂れ下がる。
【0010】
又、プレート14は、図11に示すように単純な平板で構成されていたため、剛性が低くて変形し易く、図10に示すように上ブレード3が変形したままの状態で長時間運転すると、上ブレード3が偏心カム13aの端部(図10のD部) に接触して偏摩耗し、該上ブレード3が偏心カム13aから外れ易くなる。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ブレードのクランクカムからの脱落を防いで常に安定した刈込作業を行うことができる刈込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、長手方向の両端縁に複数の切刃を形成して成る上ブレードと下ブレードとを上下に重ね合わせ、モータの回転をクランクカムによって前記上ブレードと下ブレードの往復運動に変換し、上ブレード又は下ブレード端部の前記クランクカムとの係合部を曲げて曲げ部を形成するとともに、上ブレードと下ブレードの各端部間にプレートを介装して成る刈込機において、前記プレートに、前記曲げ部を有するブレードとの距離が該ブレードの厚み寸法よりも小さくなる凸部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上ブレードと下ブレードの端部間に介装されたプレートに、曲げ部を有するブレードとの距離が該ブレードの厚み寸法よりも小さくなる凸部を形成する構成を採用したため、曲げ部が形成されたブレードに強い力が加わった場合には、該ブレードの変形の起点よりも端部側の部分がプレートの凸部によって受けられる。又、プレートの剛性が凸部によって高められるため、該プレートの変形が小さく抑えられる。
【0014】
従って、曲げ部が形成されたブレードに強い力が加わった場合であっても、該ブレードの変形が小さく抑えられ、ブレードのクランクカムからの脱落が防がれて常に安定した刈込作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る刈込機の外観斜視図であり、図示の刈込機1は、外枠2から水平に延びて上下に重なる上ブレード3と下ブレード4を備えており、両ブレード3,4の各幅方向両端縁には鋸刃状の複数の切刃3a,4aがそれぞれ形成されている。尚、外枠2からは給電用の電気コード5が延びている。
【0017】
次に、本発明に係る刈込機1の内部構造と動作を図2〜図6に基づいて説明する。
【0018】
図2は本発明に係る刈込機要部の断面図、図3(a)はプレートの平面図、同図(b)は同プレートの側面図、同図(c)は(a)のA−A線断面図、図4〜図6は刈込機のブレードの動作を示すクランクカム部分の底面図である。
【0019】
本発明に係る刈込機1の内部構造は、一部を除き図9に示した従来の刈込機のそれと同じである。
【0020】
即ち、図2に示すように、刈込機1の外枠2には駆動源であるモータ6が内蔵されており、このモータ6の回転軸(モータ軸)7は図2の下方に延び、その中間部はベアリング8を介してホルダ9に回転可能に支持され、その端部(図2の下端部)にはピニオン10が形成されている。
【0021】
又、前記ホルダ9には、図2において垂直下方に延びるピン11が前記回転軸7と平行に圧入されており、このピン11にはギヤ12とクランクカム13が回転可能に支持されている。ここで、ギヤ12は、回転軸7の端部に形成された前記ピニオン10に噛合しており、このギヤ12には前記クランクカム13が嵌合連結されて両者は一体的に回転する。
【0022】
前記クランクカム13には、図4〜図6に示すように、ピン11に対して偏心した上下2段の円板状の偏心カム13a,13bが180°の位相差をもって一体に形成されており、上段の偏心カム13aには、上ブレード3の外枠2内に臨む基端部に形成された長円状の係合孔3bが係合し、下段の偏心カム13bには、下ブレード4の外枠2内に臨む基端部に形成された長円状の係合孔4bが係合している。
【0023】
ところで、斯かる刈込機1においては、下ブレード4の端部が係合する下側の偏心カム13bの一部が上ブレード3と干渉しないでクランクカム13が滑らかに回転することができるように、図2に示すように、上ブレード3の端部の偏心カム13aとの係合部を曲げて曲げ部3cを形成している。従って、そのままでは、上ブレード3と下ブレード4の端部間に図示の隙間δが生じ、刈込作業によっては上ブレード3に強い力が加わり、該上ブレード3の端部がその曲げ部3cを起点として変形し、この上ブレード3の曲げ部3cよりも端部側の部分(図2の左側部分)が下方へと垂れ下がって偏心カム13aとの係合が外れる可能性がある。
【0024】
そこで、上ブレード3が偏心カム13aから外れにくくするため、本実施の形態においても、従来と同様に平板状プレート14を上ブレード3と下ブレード4の各端部間に介装し、上ブレード3に強い力が加わった場合の該上ブレード3端部の変形をプレート14によって抑制するようにしている。
【0025】
ここで、プレート14は、図3(a)に示すように、クランクカム13の偏心カム13a,13bとの干渉を避けるために半円形の切欠き14aが形成されて馬蹄形に成形されており、その上面の前記切欠き14aの周囲の2箇所には平面視円弧状の凸部14bが形成されている。
【0026】
而して、プレート14が図2に示すように上ブレード3と下ブレード4の各端部間に介装された状態では、該プレート14の凸部14bと上ブレード3との間に、上ブレード3の厚み寸法tよりも小さな隙間S(<t)が形成されるように凸部14bの高さ寸法h(図3(b)参照)が設定されている。
【0027】
次に、本発明に係る刈込機1の動作を図4〜図6を参照しながら説明する。
【0028】
駆動源であるモータ6に通電されて該モータ6が駆動されると、その回転軸7の回転はピニオン10とギヤ12を介して減速されてクランクカム13に伝達され、該クランクカム13が回転駆動される。そして、このクランクカム13の回転は、前述のように該クランクカム13の上下の偏心カム13a,13bにそれぞれ係合する上ブレード3と下ブレード4の往復動に変換される。
【0029】
即ち、前述のように、クランクカム13の偏心カム13a,13bは、ピン11に対して偏心した位置に180°の位相差をもって形成されているため、図4〜図6の矢印方向に回転するクランクカム13の上下の偏心カム13a,13bが図4に示すようにピン11に対して前後にεだけ偏心した位置にある場合には、上ブレード3は図5に示す中立位置に対してεだけ前進して前進限に位置し、下ブレード4は図5に示す中立位置に対してεだけ後退して後退限に位置する。
【0030】
そして、クランクカム13が図4に示す位置から矢印方向に回転すると、上ブレード3は後退し、下ブレード4は前進するが、クランクカム13が図4に示す位置から90°回転すると、両偏心カム13a,13bが図5に示すように横方向(図5の上下方向)に並ぶ中立状態となり、上ブレード3と下ブレード4とは上下に完全に重なる。
【0031】
その後、クランクカム13が図5に示す中立位置から矢印方向に回転すると、上ブレード3は更に後退し、下ブレード4は更に前進する。そして、クランクカム13が図5に示す中立位置から矢印方向に90°回転すると、図6に示すように、上ブレード3は図5に示す中立位置に対してεだけ後退して後退限に位置し、下ブレード4は図5に示す中立位置に対してεだけ前進して前進限に位置する。
【0032】
従って、クランクカム13が連続的に回転すると、図4〜図6に示す動作が順次繰り返され、上ブレード3と下ブレード4とはストローク2εで交互に進退動するため、これらの各幅方向両端縁に形成された複数の切刃3a,4a(図1参照)によって草や木の枝が刈り込まれる。
【0033】
ところで、上ブレード3が後退方向に移動中に枝等を噛み込んだために該上ブレード3がロック状態になった場合等、刈込作業によっては上ブレード3に強い力が加わる場合があり、この強い力によって上ブレード3がその曲げ部3cとギヤ12と接触点(図2の点P1)を起点として変形しようとする。
【0034】
ところが、本実施の形態では、上ブレード3と下ブレード4の端部間に介装されたプレート14に凸部14bを形成し、この凸部14bと上ブレード3との間に、上ブレード3の厚み寸法tよりも小さな隙間S(<t)を形成する構成を採用したため、上ブレード3の変形の起点(点P1)よりも端部側(図2の左側)の部分がプレート14の凸部14bによって受けられる(図2の点P2)。又、プレート14の剛性は凸部14bによって高められるため、該プレート14の変形が小さく抑えられる。
【0035】
従って、上ブレード3に強い力が加わった場合であっても、該上ブレード3の端部(点P2よりも端部側(図2の左側)の部分)の変形が小さく抑えられ、この部分に形成された係合孔3b(図4〜図6参照)と偏心カム13aとの係合が外れることがなく、刈込機1の円滑な動作が可能となって常に安定した刈込作業を行うことができる。
【0036】
尚、本実施の形態では、上ブレード3に曲げ部3cを形成した構成について説明したが、下ブレード4に曲げ部を形成した構成では、プレート14に形成された凸部と下ブレード4との間に、下ブレード4の厚み寸法よりも小さな隙間を形成すれば、下ブレード4に強い力が加わった場合であっても、該下ブレード4端部の変形を小さく抑えて前記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実発明に係る刈込機の外観斜視図である。
【図2】本発明に係る刈込機要部の断面図である。
【図3】(a)は本発明に係る刈込機のプレートの平面図、(b)は同プレートの側面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係る刈込機のブレードの動作を示すクランクカム部分の底面図である。
【図5】本発明に係る刈込機のブレードの動作を示すクランクカム部分の底面図(クランクカムを図4に示す状態から90°回転させた中立状態を示す図)である。
【図6】本発明に係る刈込機のブレードの動作を示すクランクカム部分の底面図(クランクカムを図5に示す中立位置から90°回転させた状態を示す図)である。
【図7】従来の刈込機要部の断面図である。
【図8】従来の刈込機における上ブレードの変形の様子を示す要部断面図である。
【図9】プレートを用いた従来の刈込機要部の断面図である。
【図10】プレートを用いた従来の刈込機における上ブレードの変形の様子を示す要部断面図である。
【図11】(a)は従来のプレートの平面図、(b)は同プレートの側面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 刈込機
2 外枠
3 上ブレード
3a 上ブレードの切刃
3b 上ブレードの係合孔
3c 上ブレードの曲げ部
4 下ブレード
4a 下ブレードの切刃
4b 下ブレードの係合孔
5 電気コード
6 モータ
7 回転軸(モータ軸)
8 ベアリング
9 ホルダ
10 ピニオン
11 ピン
12 ギヤ
13 クランクカム
13a,13b 偏心カム
14 プレート
14a プレートの切欠き
14b プレートの凸部
h プレート凸部の高さ寸法
S プレート凸部の上ブレート間の隙間
t 上ブレードの厚み寸法
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成17年11月16日(2005.11.16)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2007−135435(P2007−135435A)
【公開日】 平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願番号】 特願2005−330959(P2005−330959)