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【発明の名称】 接木方法及び接木装置
【発明者】 【氏名】花村 健

【氏名】花村 順也

【要約】 【課題】台木の茎と穂木の茎とを十分な強度で確実に結合することができる接木方法ないしは接木装置を提供する。

【解決手段】接木装置1には、ワークセットステーション11と、第1ワークカットステーション12と、第2ワークカットステーション13と、チューブ取付ステーション14と、チューブ押圧ステーション15と、ワーク取出しステーション16とが設けられている。チューブ取付ステーション14では、茎同士が同軸状に当接している台木7及び穂木9にC字形断面チューブ43が取り付けられる。チューブ押圧ステーション15では、C字形断面チューブ43のクリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力をC字形断面チューブ43に加えて該C字形断面チューブ43を塑性変形させることにより、C字形断面チューブ43の内周面と台木7及び穂木9の茎とが密接させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台木と穂木とを同軸状に接木するための接木方法であって、
弾性変形可能な材料でもって管状に形成され、管長手方向の一端から他端まで管長手方向に伸びるクリアランス部が設けられて略C字形の横断面を有している管状部材を、茎同士が同軸状に当接している台木及び穂木と平行になるように配置し、
クリアランス部の間隔が広がるように作用する外力を管状部材に加えて該管状部材を弾性変形させ、
弾性変形した状態で管状部材を、台木及び穂木の茎がクリアランス部を通って管状部材内に収容されるまで、台木及び穂木に向かって移動させ、
上記外力を除去して管状部材を弾性変形していない状態に復帰させ、管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させて台木と穂木とを互いに結合させることを特徴とする接木方法。
【請求項2】
管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させた後、クリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力を管状部材に加えて該管状部材を塑性変形させ、管状部材の内周面と台木及び穂木の茎とを密接させることを特徴とする、請求項1に記載の接木方法。
【請求項3】
台木と穂木とを同軸状に接木するための接木装置であって、
弾性変形可能な材料でもって管状に形成され管長手方向の一端から他端まで管長手方向に伸びるクリアランス部が設けられて略C字形の横断面を有している管状部材を、茎同士が同軸状に当接している台木及び穂木に取り付ける管状部材取付部と、
管状部材取付部に管状部材を供給する管状部材供給部とを備えていて、
管状部材取付部が、管状部材を台木及び穂木と平行になるように保持し、クリアランス部の間隔が広がるように作用する外力を管状部材に加えて該管状部材を弾性変形させ、弾性変形した状態で管状部材を台木及び穂木の茎がクリアランス部を通って管状部材内に収容されるまで台木及び穂木に向かって移動させ、上記外力を除去して管状部材を弾性変形していない状態に復帰させて管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させ、台木と穂木とを互いに結合させることを特徴とする接木装置。
【請求項4】
管状部材取付部によって管状部材が台木及び穂木の茎に取り付けられた後に、クリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力を管状部材に加えて該管状部材を塑性変形させ、管状部材の内周面と台木及び穂木の茎とを密接させる管状部材押圧部を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の接木装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、台木と穂木とを同軸状に接木するための接木方法及び接木装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、果物、野菜等の植物の栽培においては、台木と穂木とを同軸状に接木した接木苗が広く用いられている。かかる接木苗を製造する場合、台木の茎と穂木の茎とを、同軸状に当接させた上で互いに結合させることが必要である。このように台木の茎と穂木の茎とを結合させる結合手段としては、従来、粘着テープや、はさみ式クリップや、接着剤や、スティックなどが用いられている。
【0003】
しかし、これらの従来の結合手段では、台木の茎と穂木の茎との結合強度が十分に得られないといった問題がある。そこで、結合手段としてチューブないしはパイプを用い、台木の茎と穂木の茎とを、それぞれ、互いに反対側の端部からチューブの穴部に挿入することにより、台木の茎と穂木の茎とを十分な強度で結合させるようにした接木方法ないしは接木装置が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開平5-30856号公報(段落[0025]、図14)
【特許文献2】特開平9-107795号公報(段落[0007]、図1)
【特許文献3】特開平9-121677号公報(段落[0013]、図2)
【特許文献4】特開平11-168974号公報(段落[0019]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1〜4に開示された、結合手段としてチューブないしはパイプを用いる従来の接木方法ないしは接木装置では、台木及び穂木の茎のチューブの穴部への挿入を失敗することが多く、歩留まりが低いといった問題がある。また、結合後に、台木又は穂木の茎がチューブから抜け出ることがあるといった問題もある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、台木の茎と穂木の茎とを十分な強度で確実に結合することができる接木方法ないしは接木装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る、台木と穂木とを同軸状に接木するための接木方法は、以下の手順で台木と穂木とを結合(固定)させる。すなわち、まず、弾性変形可能な材料でもって管状に形成され、管長手方向の一端から他端まで管長手方向に伸びるクリアランス部(背割り部)が設けられて略C字形の横断面を有している管状部材を、茎同士が同軸状に当接している台木及び穂木(茎)と平行になるように配置する。次に、クリアランス部の間隔(幅)が広がるように作用する外力を管状部材に加えて該管状部材を弾性変形させる。さらに、弾性変形した状態で管状部材を、台木及び穂木の茎がクリアランス部を通って管状部材内に収容されるまで、(平行状態を保って)台木及び穂木に向かって移動させる。この後、上記外力を除去して管状部材を弾性変形していない状態に復帰させ、管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させて台木と穂木とを互いに結合させる。
【0007】
本発明に係る接木方法においては、管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させた後、クリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力を管状部材に加えて該管状部材を塑性変形させ、管状部材の内周面と台木及び穂木の茎とを密接させるのが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る、台木と穂木とを同軸状に接木するための接木装置は、弾性変形可能な材料でもって管状に形成され管長手方向の一端から他端まで管長手方向に伸びるクリアランス部が設けられて略C字形の横断面を有している管状部材を茎同士が同軸状に当接している台木及び穂木の茎に取り付ける管状部材取付部と、管状部材取付部に管状部材を供給する管状部材供給部とを備えている。ここで、管状部材取付部は、次のような動作により台木と穂木とを結合する。すなわち、まず管状部材を台木及び穂木の茎と平行になるように保持する。次に、クリアランス部の間隔が広がるように作用する外力を管状部材に加えて該管状部材を弾性変形させる。そして、弾性変形した状態で管状部材を台木及び穂木の茎がクリアランス部を通って管状部材内に収容されるまで台木及び穂木に向かって移動させる。さらに、上記外力を除去して管状部材を弾性変形していない状態に復帰させて管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させ、台木と穂木とを互いに結合させる。
【0009】
本発明にかかる接木装置は、管状部材取付部によって管状部材が台木及び穂木の茎に取り付けられた後に、クリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力を管状部材に加えて該管状部材を塑性変形させ、管状部材の内周面と台木及び穂木の茎とを密接させる管状部材押圧部を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る接木方法又は接木装置によれば、台木の茎と穂木の茎とを十分な強度で確実に結合させることができる。また、本発明に係る接木方法又は接木装置において、管状部材の内周面を台木及び穂木の茎に当接させた後、クリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力を管状部材に加えて該管状部材を塑性変形させ、管状部材の内周面と台木及び穂木の茎とを密接させるようにすれば、台木の茎と穂木の茎との結合強度をより高くすることができ、台木の茎又は穂木の茎が管状部材から抜けるのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1〜図3に示すように、本発明にかかる接木装置1には、インデックステーブル2が設けられている。インデックステーブル2は、それぞれ、平面視で略円形の回転テーブル3とチャック開閉カム4とチャック昇降カム5とを有している。回転テーブル3には、複数(6組)のチャックセット6が、その円周方向に互いに中心角で一定角度(60°)ずつ隔てて配置されている。各チャックセット6は、開閉により台木7を非クランプ状態又はクランプ状態とすることができる台木チャック8と、開閉により穂木9を非クランプ状態又はクランプ状態とすることができる穂木チャック10とを有している。ここで、台木チャック8の上下方向の位置(高さ)は一定であるが、穂木チャック10は上下方向に変位することができるようになっている。
【0012】
回転テーブル3は、矢印A1で示す方向(上側からみて反時計回り)に、一定時間毎に一定角度(60°)ずつ間欠的に回転する。チャック開閉カム4は、各チャックセット6と係合して台木チャック8及び穂木チャック10を開状態にする大径カム面4aと、閉状態にする小径カム面4bとを有している。チャック昇降カム5は、穂木チャック10と係合して該穂木チャック10を上側位置に位置決めする上位カム面5aと、下側位置に位置決めする下位カム面5bとを有している(図6参照)。
【0013】
インデックステーブル2の周囲には、回転テーブル回転方向にみて、順に、中心角で一定角度(60°)ずつ隔てて、ワークセットステーション11と、第1ワークカットステーション12と、第2ワークカットステーション13と、チューブ取付ステーション14と、チューブ押圧ステーション15と、ワーク取出ステーション16とが設けられている。これらの各ステーション11〜16は、いずれも、回転テーブル停止時にいずれかのチャックセット6に対応ないしは係合する位置に配置されている。
【0014】
ワークセットステーション11では、後で詳しく説明するように、台木7及び穂木9が、それぞれ、台木チャック8及び穂木チャック10に自動的にセットされる。なお、このようにセットされたときには、台木7の上端部と穂木9の下端部とは、適度に離間している。
【0015】
第1ワークカットステーション12ないし第2ワークカットステーション13では、台木7の茎と穂木9の茎とが、両者が同軸状に当接可能な形状となるようにカット(切断)される。ここで、台木7の上端部付近と穂木9の下端部付近とを同一の傾斜角で斜めにカットした上で、台木7と穂木9とを傾斜面同士で当接させる場合は(図11(a)参照)、第1ワークカットステーション12に、台木7の上端部付近と穂木9の下端部付近とを同時に斜めにカットする台木・穂木斜めカット装置40(図9参照)が設けられる。なお、この場合、第2ワークカットステーション13には、カット装置は設けられない。
【0016】
また、台木7の上端部付近をV字形(V字谷形)にカットする一方、穂木9の下端部付近をV字形(くさび形)にカットした上で、台木7と穂木9とをV字面同士で当接させる場合は(図11(b)参照)、第1ワークカットステーション12に、穂木9の下端部付近のみをV字形(くさび形)にカットする穂木Vカット装置41(図10(a)参照)が設けられる。そして、第2ワークカットステーション13には、台木7の上端部付近のみをV字形(V字谷形)にカットする台木Vカット装置42(図10(b)参照)が設けられる。
【0017】
チューブ取付ステーション14では、茎同士が同軸状に当接している台木7及び穂木9にC字形断面チューブ43(管状部材)が取り付けられる。C字形断面チューブ43は、弾性変形可能な材料、例えば、合成樹脂(プラスチック)、金属(例えばアルミニウム)等でもって管状に形成され、管長手方向の一端から他端まで管長手方向に伸びるクリアランス部43a(チューブ壁欠損部ないしは背割り部)が設けられ、略C字形の横断面を有している(図12(b)参照)。
【0018】
チューブ押圧ステーション15では、C字形断面チューブ43のクリアランス部の間隔が狭まるように作用する押圧力をC字形断面チューブ43に加えて該C字形断面チューブ43を塑性変形させることにより、C字形断面チューブ43の内周面と台木7及び穂木9の茎とが密接させられる。かくして、台木7と穂木9とが、C字形断面チューブ43によって互いに強固に結合させられて接木苗となる。
【0019】
ワーク取出しステーション16では、接木苗が取り出される。なお、各ステーション11〜16では、回転テーブル停止時に、台木7、穂木9又は接木苗に対する上記各処理がほぼ同時に行われる。
【0020】
以下、インデックステーブル2の構造及び機能を詳しく説明する。インデックステーブル2を構成する略円板形の回転テーブル3には、台木チャック8と穂木チャック10とを有するチャックセット6が、回転テーブル円周方向に中心角で60°ずつ隔たった各部位に6組配置されている。ここで、台木チャック8は下側に配置され、穂木チャック10は上側に配置されているが、平面視では、両者はほぼ重なる位置に配置されている。各台木チャック8の下方には、ぞれぞれ、台木7から脱落する土を受けるための受皿18が設けられている。
【0021】
回転テーブル3は、図示していない制御装置によって制御され、一定の短い時間毎に、60°ずつ、図1中の矢印A1方向(反時計回り)に間欠的に回転する。なお、チャックセット6の数は6組に限定されるわけではなく、7組以上であってもよい(例えば、8組)ただし、チャックセット6の数が7組以上である場合は、上記中心角及び回転角度は60°ではなく、360°をチャックセット数で除算した値となる(例えば、8個の場合は45°)。
【0022】
ここで、回転テーブル3の回転位相は、回転テーブル停止時にはいずれかのチャックセット6が正面Fに位置するように制御されている。したがって、回転テーブル停止時には回転テーブル円周方向にみて、正面Fから中心角で60°ずつ隔たった位置に、それぞれ、いずれかのチャックセット6が位置する。なお、以下では、正面Fを第1停止位置といい、回転テーブル円周方向にみて正面F(第1停止位置)から反時計回りに60°ずつ隔たった位置を、順に、第2停止位置、第3停止位置……第6停止位置という。
【0023】
そして、この接木装置1では、第1〜第6停止位置に対応する部位に、それぞれ、ワークセットステーション11と、第1ワークカットステーション12と、第2ワークカットステーション13と、チューブ取付ステーション14と、チューブ押圧ステーション15と、ワーク取出ステーション16とが配置されている。
【0024】
穂木チャック10は、チャック開閉カム4のカム面と当接するカムフォロア10aと、1対のギヤセット10bと、1対のアームセット10cとを備えている。そして、チャック開閉カム4には、大径カム面4aと小径カム面4bとが形成され、大径カム面4aと小径カム面4bとの接続部には、両カム面4a、4bを円滑に接続するための過渡カム面4cが形成されている。ここで、チャック開閉カム4は、大径カム面4aがカムフォロア10aと当接するときにはアームセット10cを開かせる一方(非クランプ状態)、小径カム面4bがカムフォロア10aと当接するときにはアームセット10c閉じさせるようになっている(クランプ状態)。なお、台木チャック8の開閉メカニズムは、穂木チャック10と同様であるので、その説明を省略する。
【0025】
さらに、穂木チャック10は、チャック昇降カム5のカム面と当接するカムフォロア10dを備えている。図6に示すように、チャック昇降カム5には、底面からの高さが高い上位カム面5aと、高さが低い下位カム面5bとが形成され、上位カム面5aと下位カム面5bとの接続部には、両カム面5a、5bを円滑に接続するための過渡カム面5cが形成されている。ここで、チャック昇降カム5は、上位カム面5aがカムフォロア10dと当接するときには穂木チャック10を上側位置に位置させる一方、(台木7と穂木9とが離間している)、下位カム面5bがカムフォロア10dと当接するときには穂木チャック10を下側位置に位置させる(台木7と穂木9とが当接する)。
【0026】
以下、チャックセット6(台木チャック8及び穂木チャック10)の動作を制御するチャック開閉カム4及びチャック昇降カム5の構造及び動作を説明する。
図4及び図5に示すように、チャック開閉カム4は、回転はしないが、回転テーブル回転方向にみて、回転テーブル中心回りに、前側位置と後側位置との間で回動することができるようになっている。なお、チャック開閉カム4は、図4では後側位置に位置し、図5では前側位置に位置している。図4から明らかなとおり、チャック開閉カム4が後側位置に位置しているときには、ワーク取出ステーション16に位置しているチャックセット6のみが開状態となり、その他のチャックセット6は閉状態となる。また、図5から明らかなとおり、チャック開閉カム4が前側位置に位置しているときには、ワークセットステーション11に位置しているチャックセット6のみが開状態となり、その他のチャックセット6は閉状態となる。
【0027】
図6に示すように、チャック昇降カム5は、回転せずかつ回動しない固定カムである。このチャック昇降カム5は、回転テーブル円周方向にみて、ワークセットステーション11に対応する部位のやや後側位置から第2ワークカットステーション13に対応する部位のやや前側位置にかけて上位カム面5aを備えるように形成されている。したがって、チャック昇降カム5は、ワークセットステーション11及び両ワークカットステーション12、13では、穂木チャック10を上側位置に配置し、その他のステーション14〜16では、穂木チャック10を下側位置に配置する。
【0028】
以下、各ステーション11〜16の構成及び機能を説明する。
再び、図1に示すように、ワークセットステーション11には、台木7を台木チャック8にセットする台木セット部21と、穂木9を穂木チャック10にセットする穂木セット部22と、台木7及び穂木9の不要部、すなわち台木7の上部及び穂木9の下部を切除するカット刃23(円形1枚刃)とが設けられている。
【0029】
台木セット部21は、矢印A2方向に往復移動することができる台木投入チャック24を備えている。そして、台木7を台木チャック8にセットする際には、手前位置(台木チャック8と反対側)において、まず人手で、押しボタンスイッチ、エアセンサ、光電センサなどを用いて、台木7を台木投入チャック24にチャックさせる。台木7は、台木供給コンベア25により台木セット部21に搬入される。
【0030】
この後、台木投入チャック24は、台木チャック8に向かって移動する。その途中で、台木7の上部(不要部)はカット刃23によって切除される。そして、台木投入チャック24は、開状態にある台木チャック8に台木7をセット(非クランプ状態)する。次に、チャック開閉カム4の回動により、台木チャック8が閉状態となり、台木7は台木チャック8によってクランプされる。この後、台木投入チャック24は、台木7をアンチャックし、元の位置に復帰する。かくして、台木7が、台木チャック8にクランプ(セット)される。
【0031】
穂木セット部22は、矢印A3方向に往復移動することができる穂木投入チャック26を備えている。そして、穂木9を穂木チャック10にセットする際には、手前位置(穂木木チャック10と反対側)において、まず人手で、押しボタンスイッチ、エアセンサ、光電センサなどを用いて、穂木9を穂木投入チャック26にチャックさせる。穂木9は、穂木供給コンベア27により穂木セット部22に搬入される。
【0032】
この後、穂木投入チャック26は、穂木チャック10に向かって移動する。その途中で、穂木9の下部(不要部)はカット刃23によって切除される。そして、穂木投入チャック26は、開状態にある穂木チャック10に穂木9をセット(非クランプ状態)する。次に、チャック開閉カム4の回動により、穂木チャック10が閉状態となり、穂木9は穂木チャック10によってクランプされる。この後、穂木投入チャック26は、穂木9をアンチャックし、元の位置に復帰する。かくして、穂木9が、穂木チャック10にクランプ(セット)される。なお、台木チャック8への台木7のセット及び穂木チャック10への穂木9のセットを完全に自動化してもよく、また完全に人手で行うようにしてもよい。
【0033】
このインデックステーブル2では、1つのチャック開閉カム4によって、台木チャック8及び穂木チャック10が同時に開閉されるので、台木7のセット及び穂木9のセットは、ほぼ同一タイミングで行われる。しかし、台木チャック8と穂木チャック10とに対して個別にチャック開閉カムを設け、台木7のセット及び穂木9のセットを、異なるタイミングで行うようにしてもよい。
【0034】
図7(a)、(b)及び図8に示すように、穂木チャック10は、第1爪部30aと第2爪部30bと第3爪部30cとで、第2爪部30bのV字状の切欠部30d内に配置された穂木9をクランプする。他方、台木チャック8は、第1爪部31aと第2爪部31bと第3爪部31cとで、第2爪部31bのV字状の切欠部31d内に配置された台木7をクランプする。このように、穂木9を3つの爪部30a、30b、30cでクランプし、また台木7を3つの爪部31a、31b、31cでクランプするのは、穂木9及び台木7を、その軸線が鉛直方向に正しく向くようにするためである。この場合、穂木9及び台木7は、それぞれ、第1爪部30a、31aと第2爪部30b、31bとにより平面的に位置決め(位置出し)され、第3爪部30c、31cにより鉛直性が確保される。
【0035】
図9は、台木7の上端部付近と穂木9の下端部付近とを同一の傾斜角で斜めにカットした上で台木7と穂木9とを傾斜面同士で当接させて接木する場合(斜めカット方式)に、第1ワークカットステーション12に設けられる台木・穂木斜めカット装置40の構成を模式的に示している。図9に示すように、この台木・穂木斜めカット装置40は、それぞれ下方に傾斜して互いに平行に配置された薄い上刃45a及び下刃45bを有する2枚刃のカッター45と、台木7の茎と穂木9の茎とをクランプするクランパ46とを備えている。
【0036】
クランパ46は、それぞれ上刃45a及び下刃45bと同一の傾斜角で傾斜して互いに平行に配置された上側スリット46a及び下側スリット46bを備えている。ここで、上側スリット46aは穂木9の茎の下端部付近に位置するように形成され、下側スリット46bは台木7の茎の上端部付近に位置するように形成されている。そして、上側スリット46a及び下側スリット46bは、それぞれ、上刃45a及び下刃45bを挿入することができるようになっている。なお、台木7の茎の径と穂木9の茎の径とが大きく異なる場合は、クランパ46を、台木用のクランパと穂木用のクランパとに分割してもよい。また、上刃45aと下刃45bとを互いに独立して動作させるようにしてもよい。
【0037】
かくして、カッター45を矢印A4で示す方向に移動させて上刃45a及び下刃45bをそれぞれ上側スリット46a及び下側スリット46bに挿入することにより、図11(a)に示すように、同時に台木7の上端部付近と穂木9の下端部付近とを同一の傾斜角で斜めにカットすることができる。なお、前記のとおり、この場合、第2ワークカットステーション13にはカット装置は設けられない。
【0038】
図10(a)及び図10(b)は、それぞれ、台木7の上端部付近をV字形(V字谷形)にカットする一方、穂木9の下端部付近をV字形(くさび形)にカットした上で、台木7と穂木9とをV字面同士で当接させて接木する場合(Vカット方式)に、第1ワークカットステーション12及び第2ワークカットステーション13に設けられる台木Vカット装置41及び穂木Vカット装置42の構成を模式的に示している。
【0039】
図10(a)に示すように、穂木Vカット装置41は、それぞれ左右反対方向から下方に傾斜して配置された薄い左刃47a及び右刃47bを有するカッター47と、穂木9の茎をクランプするクランパ48とを備えている。クランパ48は、それぞれ左右反対方向から左刃47a及び右刃47bと同一の傾斜角で傾斜して配置された左側スリット48a及び右側スリット48bを備えている。ここで、両スリット48a、48bは穂木9の茎の下端部付近に位置するように形成されている。そして、左側スリット48a及び右側スリット48bは、それぞれ、左刃47a及び右刃47bを挿入することができるようになっている。かくして、左刃47a及び右刃47bをそれぞれ左側スリット48a及び右側スリット48bに挿入することにより、図11(b)の上半部に示すように、穂木9の下端部付近をV字形(くさび形)にカットすることができる。
【0040】
また、図10(b)に示すように、台木Vカット装置42は、それぞれ左右反対方向から下方に傾斜して配置された薄い左刃49a及び右刃49bを有するカッター49と、台木7の茎をクランプするクランパ50とを備えている。クランパ50は、それぞれ左右反対方向から左刃49a及び右刃49bと同一の傾斜角で傾斜して配置された左側スリット50a及び右側スリット50bを備えている。ここで、両スリット50a、50bは台木7の茎の上端部付近に位置するように形成されている。そして、左側スリット50a及び右側スリット50bは、それぞれ、左刃49a及び右刃49bを挿入することができるようになっている。かくして、左刃49a及び右刃49bをそれぞれ左側スリット50a及び右側スリット50bに挿入することにより、図11(b)の下半部に示すように、台木7の上端部付近をV字形(V字谷形)にカットすることができる。
【0041】
図12(a)に示すように、チューブ取付ステーション14(図1参照)には、茎同士が同軸状に当接している台木7及び穂木9にC字形断面チューブ43を取り付ける(装着する)チューブ装着装置51が設けられている。このチューブ装着装置51においては、チューブリール52に巻き掛けられているC字形の横断面をもつ連続チューブ53が、チューブ供給ローラ54によってチューブ取付ヘッド55に供給される。ここで、連続チューブ53は、チューブ取付ヘッド55に供給される前に、チューブ拡張部56によって半径方向に拡張される(すなわち、拡管される)。なお、詳しくは図示していないが、チューブ拡張部56は、連続チューブ53を、下方に向かって徐々に大径となる心棒を取り巻きながら通過させることにより拡張させるようになっている。
【0042】
連続チューブ53がチューブ取付ヘッド55に供給された後、該連続チューブ53は、チューブ取付ヘッド55の直前の位置でチューブカッター57によって、チューブ径方向に切断される。これにより、すでにチューブ取付ヘッド55に供給されている連続チューブ53は、台木7及び穂木9の茎の長さに相応する短いC字形断面チューブ43となる。図12(b)に、クリアランス部43aを備えたC字形断面チューブ43の横断面を示す。なお、チューブ取付ヘッド55は、C字形断面チューブ43を、同軸状に当接している台木7及び穂木9の茎と平行となるように(すなわち、鉛直に)保持している。
【0043】
かくして、チューブ取付ヘッド55は、チューブ装着装置51から連続チューブ53が供給される位置(以下「チューブ供給位置」という。)から、矢印A5で示す方向に移動して、後で詳しく説明するように、保持しているC字形断面チューブ43を、同軸状に当接している台木7及び穂木9の茎に取り付ける(装着する)。チューブ取付ヘッド55は、C字形断面チューブ43を取り付けた後、チューブ供給位置に後退する。そして、チューブ供給ローラ54は、連続チューブ53を、C字形断面チューブ43に対応する長さ分だけチューブ取付ヘッド55に送り出す。このような動作が繰り返され、C字形断面チューブ43が、次々と、台木7及び穂木9の茎に取り付けられる。
【0044】
以下、図13(a)〜(c)を参照しつつ、チューブ取付ヘッド55における、台木7及び穂木9の茎へのC字形断面チューブ43の取付動作を説明する。図13(a)〜(c)に示すように、チューブ取付ヘッド55は、C字形断面チューブ43の背面(クリアランス部43aと背向する面)と当接するチューブ当接部60と、それぞれ回動軸61、62のまわりに回動することができる1対のチューブフィンガ63、64とを備えている。
【0045】
チューブ取付ヘッド55がチューブ供給位置に位置しているときには、図13(a)に示すように、チューブ当接部60はC字形断面チューブ43(又は連続チューブ53)の背面に当接し、両チューブフィンガ63、64はクリアランス部43ないしはチューブ壁の縁部と係合している。このとき、両チューブフィンガ63、64は、クリアランス部43aの間隔をやや広げ、C字形断面チューブ43(又は連続チューブ53)を少しだけ拡張させている。なお、チューブカッター57による連続チューブ53の切断は、この前に行われているが、この後で行うようにしてもよい。
【0046】
次に、図13(b)に示すように、両チューブフィンガ63、64を、回動軸61、62まわりに回動させて中程度に広げる。これにより、両チューブフィンガ63、64は、クリアランス部43aの間隔を大幅に広げ、弾性変形によりC字形断面チューブ43(又は連続チューブ53)を大幅に拡張させる。この状態で、チューブ取付ヘッド55は、台木7及び穂木9に向かって移動する(図12(a)参照)。その結果、チューブ取付ヘッド55の位置を固定して相対的に考えれば、台木7及び穂木9の茎は、間隔が広がったクリアランス部43aを通ってC字形断面チューブ43内に収容され、C字形断面チューブ43の内周面に当接する(台木7及び穂木9が移動するわけではない)。
【0047】
この後、図13(c)に示すように、両チューブフィンガ63、64を、回動軸61、62まわりにさらに回動させて大きく広げる。これにより、両チューブフィンガ63、64は、クリアランス部43ないしはチューブ壁の縁部から外れて上記係合は解除され、C字形断面チューブ43には外力が作用しなくなる。その結果、C字形断面チューブ43は弾性変形していない状態に復帰し、C字形断面チューブ43の内周面は台木7及び穂木9の茎と当接する。すなわち、C字形断面チューブ43が台木7及び穂木9の茎に取り付けられ(装着され)、台木7と穂木9とがC字形断面チューブ43を介して互いに結合(固定)される。なお、このとき、C字形断面チューブ43の内周面と台木7及び穂木9の茎とは、部分的には離間していることがある。
【0048】
図14(a)、(b)に示すように、チューブ押圧ステーション15(図1参照)には、C字形断面チューブ43のクリアランス部43aの間隔が狭まるように作用する押圧力をC字形断面チューブ43に加えて該C字形断面チューブ43を塑性変形させ、C字形断面チューブ43の内周面と台木7及び穂木9の茎とを密接(密着)させるチューブ押圧装置66が設けられている。このチューブ押圧装置66は、C字形断面チューブ43の背面に当接する当接部材67と、台木7及び穂木9の茎に当接するパンチ68と、互いに反対方向からC字形断面チューブ43に押圧力を加えて塑性変形させる1対の押圧部材69、70とを備えている。
【0049】
そして、チューブ押圧装置66によりC字形断面チューブ43を台木7及び穂木9の茎に密接させる際には、図14(a)に示すように、まず、当接部材67でC字形断面チューブ43の背面を固定(支持)するとともに、台木7及び穂木9の茎をパンチ68で固定(支持)する。次に、図14(b)に示すように、1対の押圧部材69、70で反対方向からC字形断面チューブ43を押圧する。その結果、C字形断面チューブ43は、塑性変形により、クリアランス部43aの間隔が狭まるように押圧されて縮小(縮管)される。これにより、C字形断面チューブ43の内周面と台木7及び穂木9の茎とが全面的に密接し、台木7と穂木9とが、C字形断面チューブ43によって互いに強固に結合させられて接木苗となる。
【0050】
再び、図1に示すように、ワーク取出しステーション16には、台木7と穂木9とが接合されてなる接木苗をチャックセット6から取り出すワーク取出し装置36が設けられている。ワーク取出し装置36は、まず台木チャック8及び穂木チャック10によってクランプされている接木苗を、取出しチャック37でチャックする。
【0051】
この後、チャック開閉カム4の回動により、台木チャック8及び穂木チャック10が開状態となり、接木苗はチャックセット6によるクランプ状態が解除され、取出しチャック37のみによってチャックされた状態となる。この後、取出しチャック37は矢印A6方向に回動し、接木苗を取出しコンベア38(ベルトコンベア又はチェーンコンベア)の上に移動させ、チャックを解除する。かくして、接木苗は接木装置1から搬出される。搬出された接木苗は、所定の場所にストックされる。なお、搬出した接木苗を、直接育苗トレイに戻すようにしてもよい。
【0052】
かくして、この接木装置1ないしはこれを用いた接木方法によれば、台木7の茎と穂木9の茎とを十分な強度で確実に結合させることができる。また、C字形断面チューブ43の内周面と台木7及び穂木9の茎とが密接させられるので、台木7の茎と穂木9の茎との結合強度をより高くすることができ、台木7の茎又は穂木9の茎がC字形断面チューブ43から抜けるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明にかかる接木装置の模式的な平面図である。
【図2】インデックステーブルの模式的な平面図である。
【図3】図2に示すインデックステーブルの模式的な立面断面図である。
【図4】チャックセットを備えた回転テーブル及び後側位置にあるチャック開閉カムの模式的な平面図である。
【図5】チャックセットを備えた回転テーブル及び前側位置にあるチャック開閉カムの模式的な平面図である。
【図6】チャック昇降カムの斜視図である。
【図7】(a)は穂木チャックの爪部の平面図であり、(b)は台木チャックの爪部の平面図である。
【図8】台木及び穂木をクランプした爪部の立面断面図である。
【図9】台木・穂木斜めカット装置の模式的な立面図である。
【図10】(a)は穂木Vカット装置の模式的な立面図であり、(b)は台木Vカット装置の模式的な立面図である。
【図11】(a)は図9に示す台木・穂木斜めカット装置によって茎が斜めに切断された台木及び穂木の立面図であり、(b)は図10(a)、(b)に示す穂木Vカット装置及び台木Vカット装置によって茎がV字形に切断された台木及び穂木の立面図である。
【図12】(a)はチューブ装着装置の模式的な立面図であり、(b)はC字形断面チューブの横断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、チューブ取付ヘッドの模式的な平面図である。
【図14】(a)、(b)は、チューブ押圧装置の模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 接木装置、 2 インデックステーブル、 3 回転テーブル、 4 チャック開閉カム、 4a 大径カム面、 4b 小径カム面、 4c 過渡カム面、 5 チャック昇降カム、 5a 上位カム面、 5b 下位カム面、 5c 過渡カム面、 6 チャックセット、 7 台木、 8 台木チャック、 9 穂木、 10 穂木チャック、 11 ワークセットステーション、 12 第1ワークカットステーション、 13 第2ワークカットステーション、 14 チューブ取付ステーション、 15 チューブ押圧ステーション、 16 ワーク取出しステーション、 18 受皿、 21 台木セット部、 22 穂木セット部、 23 カット刃、 24 台木投入チャック、 25 台木供給コンベア、 26 穂木投入チャック、 27 穂木供給コンベア、 30a 第1爪部、 30b 第2爪部、 30c 第3爪部、 30d 切欠部、 31a 第1爪部、 31b 第2爪部、 31c 第3爪部、 31d 切欠部、36 ワーク取出し装置、 37 取り出しチャック、 38 取出しコンベア、40 台木・穂木斜めカット装置、41 穂木Vカット装置、42 台木Vカット装置、43 C字形断面チューブ、43a クリアランス部、51 チューブ装着装置、53 連続チューブ、55 チューブ取付ヘッド、66 チューブ押圧装置。
【出願人】 【識別番号】599042647
【氏名又は名称】メカテック有限会社
【出願日】 平成17年11月2日(2005.11.2)
【代理人】 【識別番号】100098280
【弁理士】
【氏名又は名称】石野 正弘


【公開番号】 特開2007−124936(P2007−124936A)
【公開日】 平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願番号】 特願2005−319726(P2005−319726)