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【発明の名称】 農業土壌用粒状物
【発明者】 【氏名】鈴木 善久

【氏名】長谷川 謙司

【氏名】河野 憲治

【要約】 【課題】湖沼の堆積土砂等の浚渫土砂を含み、且つ、化学性、物理性、生物性に優れ、安価な農業土壌を提供すること。

【解決手段】天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂に、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物を所定量添加した被添加物を均一に混練し、造粒することで、農業土壌用粒状物を得た。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂に、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物が所定量添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項2】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物に、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物が所定量添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項3】
前記植物系バイオマスは、木質系バイオマス及び/又は農業廃棄物である請求項1又は2記載の農業土壌用粒状物。
【請求項4】
前記木質系バイオマスは、前記湖沼から得られた流木であり、
前記農業廃棄物は、前記湖沼の下流域から得られた籾殻である請求項3記載の農業土壌用粒状物。
【請求項5】
前記被添加物は、前記造粒前に、窒素及びリンを含有する堆肥又は有機性肥料が、所定の量添加されている請求項1から4いずれか記載の農業土壌用粒状物。
【請求項6】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂60質量部に、
(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、
(B)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜25質量部、
(C)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜25質量部、
(ただし、(A)、(B)、及び、(C)の被添加物の合計は40質量部である)
が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項7】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂60質量部に、
(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、
(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥15〜35質量部、
(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)
が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項8】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂60質量部に、
(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜35質量部、
(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜35質量部、
(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)
が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項9】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、
(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、
(B)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜25質量部、
(C)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜25質量部、
(ただし、(A)、(B)、及び、(C)の被添加物の合計は40質量部である)
が添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項10】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、
(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、
(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥15〜35質量部、
(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)
が添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項11】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、
(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜35質量部、
(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜35質量部、
(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)
が添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【請求項12】
JIS G 3553記載の開き目15mmの篩パスが80質量%以上である請求項1から11いずれか記載の農業土壌用粒状物。
【請求項13】
請求項1から12いずれか記載の農業土壌用粒状物を主成分とする連作障害軽減材。
【請求項14】
流木及び/又は籾殻の粉状炭化物を主成分とする農業土壌改良材。
【請求項15】
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物と、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物と、を前記湖沼の下流域の農業土壌として使用する農業土壌改良方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、湖沼の浚渫土砂を含む農業土壌用粒状物、及び、湖沼の浚渫土砂を用いた農業土壌改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湖沼等の公共用水域における富栄養化は、深刻な問題である。この富栄養化は、湖沼の底に堆積された堆積土砂から、窒素やリン等のミネラルが水中へ流出し、プラクトンが異常増殖することによって起こると考えられている。
更に、ダム(人工湖沼)底に堆積された堆積土砂によって引き起こされる、人工湖沼貯水量の減少、及び人工湖沼の放流管や排砂管等の機能低下も問題となっている。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するために、従来から、湖沼の堆積土砂の浚渫が行われている。しかし、浚渫された堆積土砂は有効活用されることなく、廃棄されることが多かった。
【0004】
こういった中、近年の環境保護やコスト削減への要望の高まりに伴って、浚渫土砂を廃棄せずに有効利用することが注目を集めてきており、種々の試みがなされている。
【0005】
例えば特許文献1には、人工湖沼の堆積土砂を田畑の耕土に混ぜるとともに、堆肥等を施肥することを特徴とする、農業土壌の改良方法が開示されている。
この改良方法によれば、まず、多種類のミネラルをバランスよく含む人工湖沼の堆積土砂を田畑の耕土に混ぜることにより、田畑の耕土に多種類のミネラルをバランスよく与えることができる。次いで、この混ぜた田畑の耕土に堆肥等を施肥することにより、有機性肥料成分を与えることができる。従って、この改良方法によれば、田畑の耕土を、多種類のミネラルをバランスよく含み、且つ、有機性肥料成分も含む農業土壌に改良することができる。
【特許文献1】特開平10−276524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、堆積土砂は、例えばカリやマグネシウム等の水溶性ミネラルが水中に溶出するため、その水溶性ミネラルの含有量が不足している。また、酸性雨等の影響により、通常、浚渫土砂は酸性であるため、農業土壌には適さない(化学性に劣る)。
また、堆積土砂は、一般にシルト・粘土質であるため、通気性、透水性が悪い(物理性に劣る)。
更に、上述の通り、堆積土砂は通気性が悪いため、土壌中の有用微生物(好気性微生物)が生育しにくい(生物性に劣る)。
【0007】
このため、特許文献1記載の農業土壌を農業等に好適に用いるためには、その化学性、物理性、生物性を補うために、大量の堆肥等を施肥する必要があり、コスト面での負担が大きかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、湖沼の堆積土砂等の浚渫土砂を含み、且つ、化学性、物理性、生物性に優れ、安価な農業土壌を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、以上のような目的を達成するために鋭意研究を行った。その結果、例えば、流木や籾殻等の植物系バイオマスの炭化物を、湖沼堆積土砂の浚渫土砂に添加することにより、化学性、物理性、生物性に優れる安価な農業土壌を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0011】
(1) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂に、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物が所定量添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【0012】
まず、浚渫土砂に、植物系バイオマスの炭化物を所定量添加することにより、浚渫土砂に不足しがちな、例えばカリ、マグネシウム、カルシウム(石灰)等の水溶性ミネラルの含有量を、農業土壌用として適正にすることができる。また、通常、植物系バイオマスの炭化物は中性又は弱アルカリ性であるため、浚渫土砂に植物系バイオマスを添加することにより、pHを農業土壌用として適正にすることができる(化学性が向上する)。
また、炭化物の多孔が水分を吸着することにより、土の保水性を向上すると同時に、透水性を改善できる(物理性が向上する)。
なお、植物系バイオマスは、ほぼ無償で入手できる安価なものである。
【0013】
浚渫土砂は粘土質だから、気相、液相の割合が小さく、透水性が低い。しかし、この被添加物を造粒することにより、その構造が単粒構造から団粒構造へ変化されるため、気相、液相の割合が大きくなり、透水性を良化することができる(物理性が向上する)。なお、浚渫土砂は粘土質だから、これに粉状炭化物が添加されることで水分が吸着されたものを、例えば加熱等することにより、容易に造粒することができる。
【0014】
植物系バイオマスの炭化物は多孔質構造を持つため、有用微生物の繁殖拠点となる。また、この孔の中には有機物は存在せず、炭化物は中性から弱アルカリ性なので、この被添加物中においては、腐生菌(生物の死骸、排泄物に生える菌)が生育しにくくなるとともに、光合成可能な菌等(有用微生物)が生育しやすくなる。このため、植物系バイオマスの炭化物を添加することにより、有用微生物の生育に適した環境を与えることができる(生物性が向上する)。
【0015】
また、(1)の発明によれば、植物系バイオマスは、湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られたものを用いる。このため、湖沼の周辺地域等の農林業等と一体となった、物質循環の確保や天然資源の消費の抑制等を通じた地域ぐるみの循環型社会形成推進産業を行うことができるとともに、前記植物系バイオマスの運搬代等のコストを低減できる。
【0016】
従って、(1)の発明によれば、浚渫土砂を含み、且つ、化学性、物理性、生物性に優れ、安価な農業土壌を提供することができる。
【0017】
粘土質とは、加熱により容易に造粒することができるよう、粘土やシルトを多く含有する性質を指す。
浚渫土砂とは、人工又は天然の湖沼等の底に堆積された土砂が浚渫されたものを指す。
植物系バイオマスとは、例えば、流木、樹皮、有機性の塵芥(例えば、落葉、小枝、草等)、木質建築廃材、街路樹剪定材、木材加工木屑(例えば間伐材、おがくず、チップ、端材等)等の木質系バイオマスや、籾殻、稲わら、麦わら、バガス等の農業廃棄物等を指す。
粉状炭化物とは、上記の効果を有する粒度分布の農業土壌用粒状物に造粒することを妨げない程度の粒度を備える炭化物を指す。粉状炭化物の粒径としては、特に限定されないが、通常、JIS Z 8801記載の4メッシュ(目開き4.75mm)の篩パスが80質量%以上であれば、優れた物理性を有する粒度分布の農業土壌用粒状物に造粒することを妨げない程度の粒度にあると考えられる。炭化物の大きさによっては、必要に応じて、例えば粉砕等により粉状炭化物にすればよい。
【0018】
所定量とは、例えばカリ、マグネシウム、石灰等のミネラルの含有量が、農業土壌用として適正になるために、粉状炭化物を添加する必要のある量を指し、浚渫土砂及び植物系バイオマスの種類や組成等に応じて、適宜選択すればよい。
【0019】
周辺地域とは、湖沼内及び湖沼周辺の山地を指す。
下流域とは、湖沼から流れる河川の流域を指す。
【0020】
(2) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物に、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物が所定量添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【0021】
(2)の発明によれば、まず、乾燥化された浚渫土砂を使用する。このため、(1)のように水分吸着作用も有する植物系炭化物と混練した後ではなく、混練する前に、造粒することも可能となる。
【0022】
(2)の発明によれば、(1)の成分と変わらないため、(1)と同様の効果を得ることができる。
【0023】
乾燥化とは、当初、水分含量が非常に高い浚渫土砂から、造粒可能な程度に水分を除去することを指す。本発明で用いられる乾燥化の方法は、特に限定されないが、例えば、屋根付きの保管場所内に静置し、降雨による土砂の湿潤化を避けつつ、約一年間自然乾燥する等の方法を挙げることができる。
【0024】
(3) 前記植物系バイオマスは、木質系バイオマス及び/又は農業廃棄物である(1)又は(2)記載の農業土壌用粒状物。
【0025】
(4) 前記木質系バイオマスは、前記湖沼から得られた流木であり、前記農業廃棄物は、前記湖沼の下流域の稲作農家から得られた籾殻である(3)記載の農業土壌用粒状物。
【0026】
流木は、例えば人工湖沼の放水設備等の機能を損なうことから、人工湖沼設備の維持等のために流木の除去が必要になる。しかし、除去された流木は有効利用されることなく、大部分が廃棄、焼却等されてきたため、環境への負荷やコストの面で問題であった。(4)の発明によれば、(3)の発明により得られる効果に加えて、環境への負荷やコスト面の負担を回避しつつ、人工湖沼設備を維持できる。流木の粉状炭化物は、多孔質アルカリ性であり、且つ、通気性、保水性に富むため、土壌調整剤として使用することが可能である。
【0027】
米の籾摺により大量に排出される籾殻は、有効利用されることなく、大部分が廃棄、焼却等されてきたため、環境への負荷(籾殻の焼却は、二酸化炭素排出の原因になる)やコストの面で問題であった。(4)の発明によれば、(3)の発明により得られる効果に加えて、環境への負荷やコスト面の負担を回避することができる。
【0028】
(5) 前記被添加物は、前記造粒前に、窒素及びリンを含有する堆肥又は有機性肥料が、所定の量添加されている(1)から(4)いずれか記載の農業土壌用粒状物。
【0029】
(5)の発明によれば、(1)から(4)の農業土壌用粒状物に、更に、窒素及びリンを含有する堆肥又は有機性肥料が、所定の量添加されている。このため、(5)の発明によれば、(1)から(4)の農業土壌粒状物により得られる効果に加えて、窒素及びリンの含有量が農業土壌用として適正である(化学性により更に優れる)農業土壌を提供することができる。
【0030】
所定の量とは、窒素及びリンの含有量が、農業土壌用として適正になるために、粉状炭化物を添加する必要のある量を指し、浚渫土砂、植物系バイオマス、堆肥又は有機性肥料の種類や組成等に応じて、適宜選択すればよい。
【0031】
(6) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、(B)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜25質量部、(C)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜25質量部、(ただし、(A)、(B)、及び、(C)の被添加物の合計は40質量部である)が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【0032】
(7) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥15〜35質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【0033】
(8) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂60質量部に、(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜35質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜35質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されてなる農業土壌用粒状物。
【0034】
(9) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、(B)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜25質量部、(C)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜25質量部、(ただし、(A)、(B)、及び、(C)の被添加物の合計は40質量部である)が添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【0035】
(10) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥15〜35質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【0036】
(11) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜35質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜35質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加された被添加物が均一に混練されてなる農業土壌用粒状物。
【0037】
(6)から(8)までの発明、及び、(9)から(11)までの発明は、農業土壌用粒状物を製造する際に、所定量の浚渫土砂又は所定量の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物に添加する、湖沼から得られた流木の粉状炭化物、近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥、及び、湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥の添加割合を規定したものである。
【0038】
(6)から(8)に示す発明のように、所定量の浚渫土砂に、流木の粉状炭化物、塵芥堆肥、及び、牛糞堆肥が上記添加割合で添加された被添加物が均一に混練され、造粒されることにより、化学性、物理性、生物性により優れた農業土壌を提供することができる。
【0039】
また、(9)から(11)に示す発明のように、所定量の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物に、流木の粉状炭化物、塵芥堆肥、及び、牛糞堆肥が上記添加割合で添加された被添加物が均一に混練されることにより、化学性、物理性、生物性により優れた農業土壌を提供することができる。
【0040】
ここで、湖沼近隣の水力発電所とは、湖沼近隣に設けられた水力発電所を指す。また、水力発電所取水口等とは、水力発電所にて利用される水を取水する取水口、水中の砂を沈降させる沈砂池、及び、水槽等を指すが、これに限らず、水力発電所に設けられ有機性の塵芥を得られる設備であれば、特に限定されない。湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥とは、落葉、小枝、草等のような、森林から発生して湖沼に流出した有機性のゴミを指す。塵芥堆肥とは、有機性の塵芥が菌類や細菌等の微生物、ゾウリムシのような原生動物等によって分解されて得た堆肥を指す。すなわち、塵芥堆肥とは、有機性の塵芥が発酵されて得られた堆肥を指す。塵芥堆肥は、土壌の化学性及び物理性を改良する効果を持つ。
【0041】
また、湖沼から得られた流木を細片化して得たチップとは、湖沼から得られた流木を細片化して得られたものである。チップとなりえる流木の種類、チップの大きさ、チップの形状等は、チップと牛の糞尿とを混合して得られた混合物を発酵することによって、堆肥となりえるものであれば、特に限定されない。牛糞堆肥とは、チップと牛の糞尿とを混合して得た混合物が菌類や細菌等の微生物、ゾウリムシのような原生動物等によって分解されて得た堆肥を指す。すなわち、牛糞堆肥とは、チップと牛の糞尿とを混合して得た混合物が発酵されて得られた堆肥を指す。牛糞堆肥は、肥料的効果を有するともに、土壌の化学性及び物理性を改良する効果を持つ。
【0042】
(6)又は(9)の発明によれば、浚渫土砂又は乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、(B)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜25質量部、(C)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜25質量部、(ただし、(A)、(B)、及び、(C)の被添加物の合計は40質量部である)が添加されることが好ましい。流木の粉状炭化物の添加量が5質量部未満の場合は、化学性、物理性、及び、生物性が改善されず、25質量部を超える場合は、それ以上の効果を得ることができない。塵芥堆肥の添加量が5質量部未満の場合は、化学性及び物理性が改善されず、25質量部を超える場合は、それ以上の効果を得ることができない。牛糞堆肥の添加量が5質量部未満の場合は、肥料的効果を奏せず、25質量部を超える場合は、それ以上の効果を得ることができない。
【0043】
(7)又は(10)の発明によれば、浚渫土砂又は乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物5〜25質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥15〜35質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加されることが好ましく、浚渫土砂又は乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼から得られた流木の粉状炭化物10〜20質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥20〜30質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加されることがより好ましい。本発明では、牛糞堆肥の添加量が15質量部未満の場合は、肥料的効果をさほど奏せず、35質量部を超える場合は、土壌有機物の富化を起す。
【0044】
(8)又は(11)の発明によれば、浚渫土砂又は乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥5〜35質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥5〜35質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加されることが好ましく、浚渫土砂又は乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥10〜30質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥10〜30質量部、(ただし、(A)、及び、(B)の被添加物の合計は40質量部である)が添加されることがより好ましく、浚渫土砂又は乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物60質量部に、(A)前記湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥20質量部、(B)前記湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥20質量部が添加されることが更に好ましい。本発明では、塵芥堆肥の添加量が35質量部を超える場合は、牛糞堆肥の割合が少ないため、肥料的効果を奏しない。
【0045】
(12) JIS G 3553記載の開き目15mmの篩パスが80質量%以上である(1)から(11)いずれか記載の農業土壌用粒状物。
【0046】
優れた物理性を与えるために、農業土壌用粒状物は、JIS G 3553記載の開き目15mmの篩パスが80質量%以上であるような粒度分布を持つことが好ましい。なお、(12)記載の農業土壌用粒状物を選別するためには、使用用途に応じて、造粒物を分級する必要がある。
【0047】
(13) (1)から(12)いずれか記載の農業土壌用粒状物を主成分とする連作障害軽減材。
【0048】
植物系バイオマスの炭化物は多孔質構造を持つため、有用微生物の繁殖拠点となる。このため、植物系バイオマスが添加された(1)から(12)の農業土壌用粒造物は、有用微生物の生育に適した環境を有するため、病害菌等が繁殖しにくい。従って、(13)の発明によれば、連作障害を軽減することができる。
【0049】
(14) 流木及び/又は籾殻の粉状炭化物を主成分とする農業土壌改良材。
【0050】
(14)の発明によれば、農業土壌における、例えばカリ、マグネシウム、石灰等のミネラルの含有量を、農業土壌用として適正にすることができる(化学性が向上する)。
【0051】
なお、「主成分とする」とは、(13)、(14)の発明で得られる効果を失わない限りにおいて、他の成分を含有していてもよいことを意味する。
【0052】
(15) 天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の乾燥化された浚渫土砂が造粒された被造粒物と、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物と、を前記湖沼の下流域の農業土壌として使用する農業土壌改良方法。
【0053】
上流から運ばれてくる土砂や流木等は、湖沼にとどまるため、その下流域にこの土砂や流木等が流れにくい傾向がある。その結果、下流域の土壌は栄養成分不足になる。
【0054】
(15)の発明によれば、湖沼から得られた化学性、物理性、生物性に優れ、安価な農業土壌を、この湖沼の下流域の農業土壌として使用する。このため、栄養成分が不足しがちな湖沼下流域の土壌を改良することができる。
【0055】
また、(15)の発明によれば、人工湖沼の設置に伴なう下流域への環境負荷を軽減することができるため、人工湖沼設置前と変わらない農業を行うことができる。このため、人工湖沼設置に際して、下流域の住民との確執を防止できるという点でも有利である。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、次の効果を得ることができる。
【0057】
浚渫土砂に、植物系バイオマスの炭化物を所定量添加したので、例えばカリ、マグネシウム、石灰等のミネラルの含有量を、農業土壌用として適正にすることができる(化学性が向上する)。また、造粒により、その構造が単粒構造から団粒構造へ変化されるため、透水性を良化することができる(物理性が向上する)。有用微生物の繁殖拠点となる植物系バイオマスの炭化物を添加することにより、有用微生物の生育に適した環境を与えることができる(生物性が向上する)。更に、植物系バイオマスは、湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られたものを用いたので、湖沼の周辺地域等の農林業等と一体となった、地域ぐるみの産業を行うことができるとともに、前記植物系バイオマスの運搬代等のコストを低減できる。
【0058】
従って、湖沼の浚渫土砂を含み、且つ、化学性、物理性、生物性に優れ、安価な農業土壌を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
本発明の農業土壌用粒状物は、天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂に、前記湖沼の周辺地域及び/又は下流域から得られた植物系バイオマスの粉状炭化物を所定量添加して得ることができる。以下、本発明の実施形態の一例について具体的に説明する。なお、図1は、この実施形態のフローを表す図である。
【0060】
<浚渫土砂の調整>
天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された浚渫土砂は、その操作性の点から、減容することが好ましい。減容の方法としては特に限定されないが、例えば、脱水処理機械の利用、天日干し、固化処理等の方法を挙げることができる。
【0061】
なお、減容された浚渫土砂は、ゴミ(例えばビニール、缶等)、石等を選別するために、篩にかけることもできる。この選別に用いる装置としては、特に限定されないが、通常、「パワートラック600(商品名)」(パワースクリーン社製)等を挙げることができる。
【0062】
<植物系バイオマスの粉状炭化物の調整>
[植物系バイオマスの炭化]
植物系バイオマスの炭化は、特に限定されないが、通常400℃〜500℃で、約1日〜3日間薫燃することにより行う。ただし、上述の炭化条件は、使用する植物系バイオマスの組成や量等により変化するものであり、適宜選択することができる。
【0063】
[植物系バイオマス炭化物の粉状化]
植物系バイオマス炭化物は、例えば、炭化物を粉砕等することにより、後述する造粒工程を経て、物理性に優れる造粒物を得ることができるような粒度分布にする必要がある。このような粒度分布としては、特に限定されないが、例えば、JIS Z 8801記載の4メッシュ(目開き4.75mm)の篩パスが80質量%以上である。
【0064】
なお、炭化物の粒径が既にこのような範囲にある場合、破砕等を行う必要はない。
【0065】
<混練・造粒>
[混練(図1中のS1)]
栄養成分を均質化するために、被添加物を混練する必要がある。本発明における混練の条件としては、特に限定されないが、例えば、アーム:10rpm〜15rpm、ロータ:200rpm〜400rpmで、1分〜1分30秒行うことができる。
【0066】
[造粒(図1中のS2)]
被添加物を造粒することにより、その構造が単粒構造から団粒構造へ変化される。被添加物に含まれる浚渫土砂は粘土質だから、例えば加熱等することにより、容易に造粒することができる。このため、本発明における造粒のための加熱条件としては、特に限定されないが、通常、200℃〜270℃で、30秒〜1分間である。
【0067】
また、造粒を容易に行うために、水分調整剤(微粉炭)を加えることが好ましい。水分調整剤の添加量としては、通常、被添加物100質量部に対し、5〜10質量部である。
【0068】
造粒可能な程度まで乾燥化されている浚渫土砂を使用するときは、この乾燥化浚渫土砂を造粒して被造粒物を得た後、得られた被造粒物に植物系バイオマスの粉状炭化物を添加し、混練してもよい(図1の破線矢印参照)。
【0069】
<熱処理(図1中のS3)>
主に雑菌や雑草の種子を除去するために、造粒物の熱処理を行うことが好ましい。本発明の熱処理としては、特に限定されないが、雑菌等の除去を十分に行う点とコストとを考慮すれば、例えば、200℃〜270℃で、30秒〜1分間行うことができる。
【0070】
なお、造粒、及び熱処理による乾燥を施すことにより、取扱いが極めて容易になる。
【0071】
<造粒物の分級(図1中のS4)>
所定の物理性を有する農業土壌用粒状物を得るために、粒状物を分級することが好ましい。優れた物理性を有するためには、農業土壌用粒状物は、JIS G 3553記載の開き目15mmの篩パスが80質量%以上であることが好ましい。
【0072】
このために本発明で用いられる使用用途別分級の方法としては、特に限定されないが、例えば、2種類の篩、例えば、JIS G 3553記載の開き目15mm(第1開き目)と、JIS G 3553記載の開き目2mm(第2開き目)とを用いた方法を挙げることができる。すなわち、熱処理した粒状物を、第1開き目により、振盪数1100回/分、振盪幅11mmの条件で、約10分間振盪し、篩パスである粒状物を一般農業土壌用粒状物とし、第2開き目により、更に同条件の振盪数等にて、篩パスであった粒状物を、育苗用農業土壌用粒状物として回収する。
【実施例】
【0073】
次に、実施例、比較例、参考例を挙げて本発明を具体的に説明するが、浚渫土砂に植物系バイオマスの炭化物を添加することにより、化学性、物理性、生物性に優れる安価な農業土壌を製造する、という本質を損なわない限りにおいて、本発明は以下の実施例等により限定されるものではない。
【0074】
<実施例1>
立岩ダム(人工湖沼)の流木(約1m長)を、炭焼釜「GS−4000(商品名)」(エンバイロシステック社製)内に置き、400℃で約3日間静置することにより、流木の炭化物を得た。
【0075】
得られた炭化物を、粉砕機「ハンマーミル粉砕機THM−2(商品名)」(大気テクノ社製)を用いて、平均粒径5mmに破砕することで、粉状炭化物を得た。
【0076】
約1年間天日乾燥した立岩ダムの浚渫土砂から、「パワートラック600(商品名)」(パワースクリーン社製)を用いて、ゴミ(例えばビニール、缶等)、石等を選別した。
【0077】
選別後の浚渫土砂100質量部に対し、上記の粉状炭化物を10質量部添加したものを、混練造粒機「ペレック(商品名)」(北川鉄工所社製)に投入し、アーム:10rpm〜15rpm、ロータ:200rpm〜400rpmで、1分〜1分30秒混練し、造粒することにより粒状物を得た。
【0078】
得られた粒状物を、熱処理機「ロータリーキルン ガンバーナーMGWA555(商品名)」(コロナ社製)を用い、270℃で30秒間、熱処理した。
【0079】
熱処理した粒状物を、JIS G 3553記載の開き目15mmにより、振盪数1,100回/分、振盪幅11mmの条件で、10分間振盪した。これにより、篩パスであった粒状物を、農業土壌用粒状物として回収した。
【0080】
<実施例2>
選別後の浚渫土砂100質量部に対し、流木の粉状炭化物を30質量部添加した点を除き、実施例1と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0081】
<実施例3>
浚渫土砂に含まれる雑菌や雑草の種子を除去するために、熱処理機「ロータリーキルン ガンバーナーMGWA555(商品名)」(コロナ社製)により、200℃〜270℃で30秒〜1分間、熱処理した立岩ダムの浚渫土砂を用いた点を除き、実施例2と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0082】
<実施例4>
籾殻を、薫燃器「クンネン器203型(商品名)」(香蘭産業社製)を用い、450℃で約3日間静置することにより、籾殻の炭化物を得た(既に、粉状炭化物の状態にあった)。そして、得られた籾殻の炭化物を破砕せずに混練造粒機に投入した点を除き、実施例1と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0083】
<実施例5>
選別後の浚渫土砂100質量部に対し、上記の籾殻の粉状炭化物を30質量部添加した点を除き、実施例4と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0084】
<実施例6>
選別後の浚渫土砂100質量部に対し、上記の籾殻の粉状炭化物を50質量部添加した点を除き、実施例4と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0085】
<比較例1>
約1年間天日乾燥した立岩ダムの浚渫土砂から、「パワートラック600(商品名)」(パワースクリーン社製)を用いて、ゴミ(例えばビニール、缶等)、石等を選別した。
【0086】
選別された浚渫土砂に、炭化物を添加せず、造粒も行わなかった点を除き、実施例1と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0087】
<比較例2>
熱処理機「ロータリーキルン ガンバーナーMGWA555(商品名)」(コロナ社製)により、200℃〜270℃で30秒〜1分間、熱処理した立岩ダムの浚渫土砂を用い、実施例1と同様の手順で造粒を行った点を除き、比較例1と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0088】
<参考例1>
肥沃な畑地をそのまま農業土壌用粒状物として回収した。
【0089】
<評価>
[化学性評価]
農業土壌用粒状物の化学性を評価するため、表1に示すような測定を行った。
【0090】
【表1】


【0091】
[物理性評価]
農業土壌用粒状物の物理性を評価するため、変水位法により透水性を測定した。
【0092】
[評価結果]
化学性評価及び物理性評価の結果を、表2及び表3に示す。
【0093】
【表2】


【0094】
【表3】


【0095】
表2及び表3に示される通り、比較例1及び2においては、腐植、Ca/Mg(当量比)を除き、適正値の範囲にはなかった。これに対し、実施例1から6で回収された農業土壌用粒状物は、電気伝導率、置換性石灰、置換性マグネシウム、塩基置換容量等において、適正値の範囲にあり、参考例1よりも優れる化学性を有していることが分かった。
【0096】
また、実施例1、2、3の順、実施例4、5、6の順にpHが適正値に近づいていた。従って、植物系バイオマスの粉状炭化物を添加することにより、pHを農業土壌用粒状物として適正に近づける(化学性を向上する)ことができることが分かった。
【0097】
また、表3に示される通り、比較例1に比べ、実施例1〜6で回収された農業土壌用粒状物は、透水性が適正値に近く、物理性に優れていることが分かった。特に、実施例2及び実施例3で回収された農業土壌用粒状物は、透水性が農業土壌として適正値の範囲にあり、物理性に特に優れることが分かった。
【0098】
次に、浚渫土砂に、塵芥堆肥、流木の粉状炭化物、籾殻の炭化物、石炭灰、牛糞堆肥を所定量添加して得られた被添加物を混錬、造粒して得られた農業土壌用粒状物を用いて、より好適な農業土壌用粒状物について検討した。
【0099】
<実施例7>
立岩ダム(人工湖沼)近隣の水力発電所の取水口、沈砂池、水槽等に設けられたスクリーンにかかった塵芥を発酵させて塵芥堆肥を得た。
【0100】
立岩ダム(人工湖沼)の流木(約1m長)を、粉砕機「オガイーグル可搬型CQ300E(商品名)」(富士鋼業株式会社製)を用いて、おがくず状に粉砕、細片化してチップを得た。このチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵させて牛糞堆肥を得た。
【0101】
約1年間天日乾燥した立岩ダムの浚渫土砂から、「パワートラック600(商品名)」(パワースクリーン社製)を用いて、ゴミ(例えばビニール、缶等)、石等を選別した。
【0102】
選別後の浚渫土砂50質量部に対し、上記の塵芥堆肥を20質量部、及び、上記の牛糞堆肥を30質量部添加したものを、混練造粒機「ペレック(商品名)」(北川鉄工所社製)に投入し、アーム:10rpm〜15rpm、ロータ:200rpm〜400rpmで、1分〜1分30秒混練し、造粒することにより粒状物を得た。
【0103】
得られた粒状物を、熱処理機「ロータリーキルン ガンバーナーMGWA555(商品名)」(コロナ社製)を用い、270℃で30秒間、熱処理した。
【0104】
熱処理した粒状物を、JIS G 3553記載の開き目15mmにより、振盪数1,100回/分、振盪幅11mmの条件で、10分間振盪した。これにより、篩パスであった粒状物を、農業土壌用粒状物として回収した。
【0105】
<実施例8>
選別後の浚渫土砂60質量部に対し、塵芥堆肥を20質量部、実施例1で得た流木の粉状炭化物を10質量部、及び、牛糞堆肥を10質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0106】
<実施例9>
選別後の浚渫土砂60質量部に対し、流木の粉状炭化物を20質量部、及び、牛糞堆肥を20質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0107】
<実施例10>
選別後の浚渫土砂60質量部に対し、塵芥堆肥を10質量部、流木の粉状炭化物を10質量部、及び、牛糞堆肥を20質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0108】
<実施例11>
選別後の浚渫土砂60質量部に対し、塵芥堆肥を30質量部、及び、牛糞堆肥を10質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0109】
<比較例3>
選別後の浚渫土砂60質量部に対し、塵芥堆肥を10質量部、火力発電所のボイラーから得られた石炭灰を20質量部、及び、牛糞堆肥を10質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0110】
<比較例4>
選別後の浚渫土砂60質量部に対し、石炭灰を30質量部、及び、牛糞堆肥を10質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0111】
<比較例5>
選別後の浚渫土砂70質量部に対し、石炭灰を20質量部、及び、牛糞堆肥を10質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0112】
<比較例6>
選別後の浚渫土砂70質量部に対し、石炭灰を10質量部、及び、牛糞堆肥を20質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0113】
<比較例7>
選別後の浚渫土砂70質量部に対し、石炭灰を10質量部、流木の粉状炭化物10質量部、及び、牛糞堆肥を10質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0114】
<参考例2>
選別後の浚渫土砂70質量部に対し、実施例4で得た籾殻の炭化物を30質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0115】
<参考例3>
選別後の浚渫土砂70質量部に対し、実施例1で得た流木の粉状炭化物を30質量部添加した点を除き、実施例7と同様の条件で、農業土壌用粒状物を回収した。
【0116】
<評価>
[化学性評価]
実施例7〜11、比較例3〜7、並びに、参考例2及び3で得られた農業土壌用粒状物の化学性を評価するため、カラム(直径10cm、高さ20cm)に、表1に示した測定のうち、pH、可給態リン酸、及び、電気伝導率の測定を行った。また乾式燃焼法によるN含有率測定により農業土壌用粒状物に含まれる窒素の含有率を測定した。
【0117】
[物理性評価]
実施例7〜11、比較例3〜7、並びに、参考例2及び3で得られた農業土壌用粒状物の物理性を評価するため実容積法による土壌三相分布、及び、pF−水分曲線(砂柱法−遠心法)による有効水分量(保水性)を測定した。また、実施例7〜11、比較例3〜7、並びに、参考例2及び3で得られた農業土壌用粒状物の透水速度を以下の方法により測定した。
【0118】
カラム(直径10cm、高さ20cm)に実施例7〜11、比較例3〜7、並びに、参考例2及び3で得られた農業土壌用粒状物を高さ15cmまで充填し、カラムの上部から200mlの水を添加して、カラムの下部から水が流出を開始するまでの時間を測定した。高さ15cmを測定時間で割ることにより、透水速度を求めた。
【0119】
[栽培試験]
実施例7〜11、比較例3〜7、並びに、参考例2及び3で得られた農業土壌用粒状物を用いて、以下の方法によりコマツナによる栽培試験(幼植物生育検定)を行った。
【0120】
カラム(直径10cm、高さ20cm)に、実施例7〜11、比較例3〜7、並びに、参考例2及び3で得られた農業土壌用粒状物を充填し、農業土壌用粒状物にコマツナを1カラム当たり10粒播種した後、30日間栽培した。
【0121】
10日、20日、30日のコマツナの草丈(cm)を測定し、並びに、30日目に採取したコマツナの収穫量(地上部乾物量)及びコマツナのリン含有率を以下のように求めた。
【0122】
コマツナの地上部乾物重の測定は、生育したコマツナをカラム地際から刈り取り、生重を測定した後、80℃で48時間乾燥させ乾物重を測定することにより行った。また、刈り取った植物体を硫硝酸分解した後、硫酸モリブデン法でリン含有率を測定した。
【0123】
[評価結果]
化学性評価及び物理性評価の結果を、表4に示す。栽培試験の結果を表5に示す。
【0124】
【表4】


【0125】
【表5】


【0126】
表4に示すように、pHは、比較例4、5及び7において適正値範囲外であったが、実施例、参考例、及び、その他の比較例が適正値範囲内であった。有効態リン酸は、比較例3〜7、及び、参考例2、3において低かったのに対し、実施例7〜11全てにおいて高かった。電気伝導率は、実施例7以外は、全てにおいて適正値範囲内であった。窒素含有率は、比較例4及び5、並びに、参考例2及び3において低かったのに対し、実施例7〜11全てにおいて高かった。すなわち、実施例7〜11は、比較例3〜7及び参考例2及び3よりも優れた化学性を有していることが分かった。
【0127】
また、表4に示すように、透水速度は、全てにおいて、一定値(10mm/s)以上であった。有効水分量は、実施例7で最も小さく、比較例3で最も多かった。三相分布は、全ての農業土壌用粒状物において、気相率が約50%と高く、参考例2及び3を除くといずれも固相率が40%以下と低かった。すなわち、実施例7〜11の物理性は、比較例3〜7、及び、参考例2、3の物理性と比較して、遜色ないレベルであることが分かった。
【0128】
また、表5に示すように、コマツナの草丈は、比較例3〜7、及び、参考例2、3において低かったのに対し、実施例7〜11において高かった。コマツナの地上部乾物量は、比較例3〜7、及び、参考例2、3において軽かったのに対し、実施例7〜11全てにおいて重かった。コマツナのリン含有率は、参考例2、3を除き総じて高かったが、特に、実施例7〜11においてリンの含有率が高かった。
【0129】
以上の結果、コマツナの生育が実施例7〜11において良好であった要因は、流木の粉状炭化物及び塵芥堆肥が添加されたことにより物理性が向上し、塵芥堆肥及び牛糞堆肥が添加されたことにより化学性が向上したことによるものと考えられる。
【0130】
すなわち、天然又は人工の湖沼の底土砂が浚渫された粘土質の浚渫土砂に、湖沼から得られた流木の粉状炭化物、湖沼近隣の水力発電所取水口等から得られた有機性の塵芥を発酵して得た塵芥堆肥、湖沼から得られた流木を細片化して得たチップと牛の糞尿とを混合して得た混合物を発酵して得た牛糞堆肥が添加された被添加物が均一に混練され、造粒されることにより、化学性、物理性、生物性により優れた農業土壌を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施形態(製造工程)のフローを表す図である。
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【識別番号】594127330
【氏名又は名称】中国高圧コンクリート工業株式会社
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
【出願日】 平成18年9月13日(2006.9.13)
【代理人】 【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之


【公開番号】 特開2007−105036(P2007−105036A)
【公開日】 平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願番号】 特願2006−248716(P2006−248716)