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【発明の名称】 植栽用タイル
【発明者】 【氏名】中島 竹壽

【要約】 【課題】良好な景観を保ちつつ、経済性にも優れた壁面等の緑化を可能にする植栽用タイルを提供する。

【解決手段】この植栽用タイルは、発泡セラミックス焼成体で構成された基板部と、該基板部の上面側に一体的に形成された裂溝セラミックス焼成体で構成された表層部とからなることを特徴とする。基板部では焼成により体積が膨張するが、表層部では体積膨張しないため、表層部の表面に開口する多数の裂状溝が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡セラミックス焼成体で構成された基板部と、該基板部の上面側に一体的に形成されその表面に開口する多数の裂状溝をもつ裂溝セラミックス焼成体で構成された表層部とからなることを特徴とする植栽用タイル。
【請求項2】
前記発泡セラミックス焼成体は、焼成により膨張して体積が増大したものであり、前記表層部の前記裂状溝は、該発泡セラミックス焼成体の体積膨張により引き裂かれて形成されたものである請求項1記載の植栽用タイル。
【請求項3】
前記発泡セラミックス焼成体は、独立気泡をもつセラミックスである請求項1または2記載の植栽用タイル。
【請求項4】
前記表層部を構成する前記裂溝セラミックス焼成体は、連続気泡をもつ多孔質セラミックスである請求項1〜3のいずれかに記載の植栽用タイル。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に直接植物を着生させることのできる多孔質のセラミックス製植栽用タイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌を用いずに壁面に植物を成育させるための基盤材としては、連続気孔を有する多孔質のセラミックブロックが開発されている。特開2000−92978号公報には、気孔率が50%以上で透水性が1×10-4cm/秒以上であるセラミックブロックが開示されている。また、特開2002−348171号公報には、気孔率が60%以上の連続気孔を有するセラミックス製の植生基盤材料が開示されている。これらの基盤材は土壌材を用いることなく、表面に植物を直接植栽することができるものであり、植物の成育に必要な透水性、保水性を有するものである。
【0003】
しかし、これらの植生基盤材は、透水性を有する多孔質層のみからなるものであるので、建築物の壁面に敷設した場合、基盤材の裏面まで水分が透過することにより建築物自体の壁面に悪影響を及ぼすおそれがあった。また、高い透水性、通気性を有する基盤材は、断熱効果に乏しいという欠点を有している。
【特許文献1】特開2000−92978号公報
【特許文献2】特開2002−348171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたもので、土壌材を用いることなく表面に直接植物を植栽することができる植栽用タイルであって、植物の固定、成育に必要な凹部、透水性、保水性を有し、裏面まで水を通さない非透水性で断熱効果を有する植栽用タイルを提供することを課題とする。
【0005】
また、工業的に量産でき、軽量で施工の簡便な植栽用タイルを提供することを目的とする。
【0006】
さらに、良好な景観を保ちつつ、経済性にも優れた植栽用タイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の植栽用タイルは、発泡セラミックス焼成体で構成された基板部と、該基板部の上面側に一体的に形成されその表面に開口する多数の裂状溝をもつ裂溝セラミックス焼成体で構成された表層部とからなることを特徴とする。基板部を構成する発泡セラミックス焼成体で断熱性が付与され、表層部を構成する裂溝セラミックス焼成体は植物の固定に有効である。
【0008】
前記発泡セラミックス焼成体は、焼成により膨張して体積が増大したものであり、前記表層部の前記裂状溝は、該発泡セラミックス焼成体の体積膨張により引き裂かれて形成されたものであるのが好ましい。これにより一度の焼成で異なる性質を有する基板部と表層部を一体的に形成することができる。
【0009】
また、前記発泡セラミックス焼成体は、独立気泡をもつセラミックスであるのが好ましい。独立気泡を有することで水分の透過を防ぐとともに優れた断熱効果を発揮する。
【0010】
さらに、前記表層部を構成する前記裂溝セラミックス焼成体は、連続気泡をもつ多孔質セラミックスであるのが好ましい。連続気泡を通じて水分や空気が表層部内に行き渡る。また、連続気泡により形成される凹凸が植物の成育場所となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の植栽用タイルは、セラミックス焼成体で形成された少なくとも二層をもつ建材用タイルであり、表面にコケ類等の植物を着生させて植栽することができる。
【0012】
本発明の植栽用タイルは、次のような方法で製造することができる。まず、磁器タイルの原料に炭化ケイ素を混入して泥状にしたものを熱風中に吹き込んで瞬間的に乾燥することにより顆粒状にし、セラミックス原料を得る。このセラミックス原料には、発泡材として0.05〜0.20重量%程度の炭化ケイ素が混入されており、融点は炭化ケイ素の発泡温度とほぼ同一の1200〜1250度である。このセラミックス原料を金型に入れて表面をならした後、耐火粘土または耐火シャモットに気泡付与材を添加したセラミックス原料を上層に流し入れ、さらに表面をならす。これを150〜300kg/cm2の圧力で乾式プレス成形して形成する。このとき、セラミックス原料に酸化カルシウムを適量混入すると、原料の融点を調整して基板部の発泡を良好に行わせることができる。
【0013】
表層部の裂溝セラミックス焼成体は、気泡率5〜50%であるのが好ましい。気泡付与材としては、例えば、紙製品の切断の際に生じる紙屑で、粒径が0.5〜2mm程度の微細なもの、あるいは鋸屑のような木屑、火力発電所からの廃棄物である石炭屑(フライアッシュ)等を使用できる。これらは他の製品等を生産する際に生じる廃棄物であり、このような廃棄物を有効利用できる点において優れている。尚、気泡付与材以外にも必要に応じて添加剤を混合でき、例えば水ガラスや長石のような無機バインダーを添加すれば、より低い温度で焼成することも可能である。
【0014】
このようにして得られた本発明の植栽用タイルは、基板部では焼成により体積が膨張するが、表層部では体積膨張しないため、表層部の表面に開口する多数の裂状溝が形成される。表層部の裂溝セラミックス焼成体は、気泡付与材の焼失または体積が減少することにより、全体的に連続気泡が形成され、その気泡径の主体は0.2〜2000μmの範囲となる。従って、この連続気泡により表面に形成される凹凸から水分を吸収し、内部の連続気泡に保持され、植物の生育に必要な保水性、通気性を確保することができる。
【0015】
本発明の植栽用タイルは、セラミックス製であるので、従来のタイルと同様に取り扱い及び施工が容易である。植栽用タイルは多孔質であるので、保水性に優れ、土壌を用いずに植物の成育を可能とする。また、軽量であり取り扱い及び施工が容易である。
【0016】
植栽用タイルの表層部は、気泡率5〜50%の多孔質であるのが好ましい。植生基材の充填性及び植生の面から、気泡率は20%以上であるのが特に好ましく、主に強度の面から50%以下であることが好ましいからである。
【0017】
本発明の植栽用タイルは、厚さが7〜15mm程度の方形とすることができる。尚、厚さ及び形状はタイルとしての用途、機能に合わせて適宜選択することができる。
【0018】
植栽用タイル上に植栽する植物は、その上に着生し得る植物であればよく、特に限定はされない。例えば、芝や蔦、地衣類、サボテン類、草花、キノコ類等がある。特にコケ類は、対暑性があり少ない水分でも生育できるので適している。
【0019】
植栽用タイルには予め植物を着生させ、一定期間養生しておいてもよい。納期に合わせて植物の育成養生を図ることにより、施工と同時に壁面の緑化が完了し美しい外観を呈する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を説明する。本実施例の植栽用タイルの斜視図を図1に、A−A’断面図を図2に示す。この植栽用タイルは、表層部1及び基板部2とからなる。図2中の3は気泡を模式的に表したものであり、4は表層部1の表面に形成された裂状溝を表したものである。
【0021】
まず、通常の磁器タイルの原料に炭化ケイ素を混入して泥状にしたものを熱風中に吹き込んで瞬間的に乾燥することにより顆粒状にし、セラミックス原料を得る。このセラミックス原料には、発泡材として0.05〜0.20重量%程度の炭化ケイ素が混入されており、融点は炭化ケイ素の発泡温度とほぼ同一の1200〜1250度である。このセラミックス原料を金型に入れて表面をならした後、耐火粘土または耐火シャモットに気泡付与材を添加したセラミックス原料を上層に流し入れ、さらに表面をならす。これを150〜300kg/cm2の圧力で乾式プレス成形して形成する。この表層部1は気泡率約18%、全体の寸法は、縦210mm、横60mm、厚さ約2mmであった。気泡付与材としては、紙屑、木屑、石炭屑を使用した。また、植栽用タイル全体の寸法は、縦210mm、横60mm、厚さ12mmであった。
【0022】
植栽用タイルを建築物の壁面に施工する方法としては、従来用いられている方法により施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の植栽用タイルの斜視図である。
【図2】実施例の植栽用タイルの断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1:表層部 2:基板部 3:気泡 4:裂状溝
【出願人】 【識別番号】592233082
【氏名又は名称】玉川窯業株式会社
【出願日】 平成17年10月7日(2005.10.7)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏


【公開番号】 特開2007−97537(P2007−97537A)
【公開日】 平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願番号】 特願2005−295089(P2005−295089)