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【発明の名称】 緑化盤、緑地構造体及び緑地構造体の施工方法
【発明者】 【氏名】西川 一彦

【要約】 【課題】施工したときの歩行時のクッション性に優れると共に、芝などの緑化植物を植生したときに根付きがしやすく緑化植物の定着性が十分であり、より軽量につくることができる緑地構造体を提供する。

【解決手段】緑地構造体(B2)は、施工箇所に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材(3)を配し、排水部材(3)の上に、シラス30〜70重量%、砂10〜30重量%、ケイ酸ナトリウム10〜40重量%、アルミナセメント6重量%以上の適宜割合で配合して混合し撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物(4)を植生させたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して成形したことを特徴とする、
緑化盤。
【請求項2】
シラスを30〜70重量%、
砂を10〜30重量%、
ケイ酸ナトリウムを10〜40重量%、
アルミナセメントを6重量%以上、
を適宜割合で配合して成形したことを特徴とする、
緑化盤。
【請求項3】
裏面側に通水性を有し排水を良好に行うための排水部材(3)を備えていることを特徴とする、
請求項1または2記載の緑化盤。
【請求項4】
裏面側に通水性を有し排水を良好に行うための排水部材(3)を備えており、排水部材(3)の接合側には通水できるようにして補強部材(2)を備えていることを特徴とする、
請求項1または2記載の緑化盤。
【請求項5】
表面側に緑化植物(4)が植生させてあることを特徴とする、
請求項1、2、3または4記載の緑化盤。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の緑化盤を施工部に並設したことを特徴とする、
緑地構造体。
【請求項7】
施工箇所に、シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物を植生させて得られたことを特徴とする、
緑地構造体。
【請求項8】
施工箇所に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材(3)を配し、排水部材(3)の上に、シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物(4)を植生させて得られたことを特徴とする、
緑地構造体。
【請求項9】
施工箇所に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材(3)を配し、排水部材(3)の上に通水できるようにして補強部材(2)を配し、補強部材(2)の上に、シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物(4)を植生させて得られたことを特徴とする、
緑地構造体。
【請求項10】
シラス、砂、ケイ酸ナトリウム及びアルミナセメントの配合割合の範囲が、
シラス30〜70重量%、
砂10〜30重量%、
ケイ酸ナトリウム10〜40重量%、
アルミナセメント6重量%以上であり、
これらを適宜割合で配合してあることを特徴とする、
請求項6、7、8または9記載の緑地構造体。
【請求項11】
施工箇所(5)に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材(3)を配するステップ、
シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌して流動性を有する植生基材をつくるステップ、
排水部材(3)の全面に、植生基材を流して所要の厚さで固化させるステップ、
固化させたものの表面に緑化植物(4)を植生させるステップ、
を含むことを特徴とする、
緑地構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化盤、緑地構造体及び緑地構造体の施工方法に関するものである。更に詳しくは、芝などの植生される緑化植物の定着性に優れていると共に、敷設したあとの歩行時のクッション性に優れた緑化盤及び緑地構造体に関する。また、夜盗虫などの害虫による緑化植物に対する食害を防止することができる緑地構造体及び緑地構造体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、いわゆる癒しの空間づくりのために、屋外だけでなく屋上など建物内における緑化が図られている。特に屋上につくられる緑地には、癒しの空間としての作用の他、建物やその周囲の過熱を緩和する働きがあることも広く認知されている。
【0003】
このような屋上緑化において、例えば芝などの培地(植生部)として土を使用すると、大量の土が必要になるために屋上床の強度をその重さに十分に耐える強度にしなければならないことや、土が流れることにより排水部の目詰まりが起こること、あるいは土の飛散により周囲に迷惑がかかること、などへの対策や配慮が必要であり、管理がきわめて煩雑である。
【0004】
このため、屋上緑化などに適した、土を使わない軽量な緑化基盤が従来より提案されている。その一例として、特許文献1に記載された緑化基盤がある。
この緑化基盤は、シラスを主材としてセメントを所要割合で配合し、更に他の成分として非晶質シリカなどを適宜配合したものであり、製造にあたっては各成分を混合して撹拌し、ゼロスランプ材料(未固化のコンクリートのスランプ試験において、自重による変形量が0cmである状態のもの)をつくり、これを所要の圧力で成形加工して得られる。
緑化基盤は、芝などの緑化植物を植生するのに好適なシラス由来の良好な保水性を有している。
【0005】
【特許文献1】特開2003−245012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている緑化軽量シラス基盤は、基盤自体が硬く、クッション性に乏しい。このため、施工したときの歩行時には違和感があり、歩行時の転倒など万一の際の安全性に問題がある。
【0007】
また、硬い基盤は組織が比較的密なために、芝などの緑化植物を植生させたときに根付きがしにくく、緑化植物の定着性が十分ではない。
更には、シラスを採取したそのままの状態で配合するので含水率が高く、したがってできた基盤も、軽量であるとうたってはあるが相当に重い。
【0008】
なお、基盤を多数並べて敷設するときには、通常はメンテナンスや撤去の際の作業性をよくするために基盤の継ぎ目を接着しない。このため、継ぎ目部分には基盤の全厚みにわたって若干の隙間が形成されており、この隙間部分に例えばヨトウガ、シロシタヨトウ、ハスモンヨトウなどの夜盗虫(ヨトウムシ)が卵を産むことがある。
【0009】
夜盗虫の幼虫は、植物の根元など植生部の表面上にいては、大きくなる前に鳥などの天敵から食べられて、その多くは育つことができないが、上記のような隙間部分では安全なので十分に成長し、旺盛な食欲で植物の根や葉を食い荒らしてしまう。
【0010】
更に、上記のように隙間部分があると、この部分が分断部となり保水性を有する植生部が全体につながらないので、水の表面張力によって起こる毛細管現象による水の浸透が途切れてしまう。このため、緑化植物に水を撒くとき(灌水するとき)は、必ず植生部の全体に対して行わなければならないので相当な手間がかかる。
【0011】
(本発明の目的)
本発明の目的は、施工したときの歩行時のクッション性に優れると共に、芝などの緑化植物を植生したときに根付きがしやすく緑化植物の定着性が十分であり、より軽量につくることができる緑化基盤及び緑地構造体を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、植生部が全体につながるようにして隙間部分が形成されないようにして、夜盗虫などの害虫が卵を産んでも幼虫が育ちやすい環境を与えないようにし、緑化植物の根や葉に対する食害を防止することができる緑地構造体及び緑地構造体の施工方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、植生部が全体につながるようにして、水の毛細管現象による浸透範囲を広くし、必ずしも植生部全体に水を撒く必要がなく、水撒きの手間を軽減することができるようにした緑地構造体及び緑地構造体の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0015】
第1の発明にあっては、
シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して成形したことを特徴とする、
緑化盤である。
【0016】
第2の発明にあっては、
シラスを30〜70重量%、
砂を10〜30重量%、
ケイ酸ナトリウムを10〜40重量%、
アルミナセメントを6重量%以上、
を適宜割合で配合して成形したことを特徴とする、
緑化盤である。
【0017】
第3の発明にあっては、
裏面側に通水性を有し排水を良好に行うための排水部材を備えていることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る緑化盤である。
【0018】
第4の発明にあっては、
裏面側に通水性を有し排水を良好に行うための排水部材を備えており、排水部材の接合側には通水できるようにして補強部材を備えていることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る緑化盤である。
【0019】
第5の発明にあっては、
表面側に緑化植物が植生させてあることを特徴とする、
第1、第2、第3または第4の発明に係る緑化盤である。
【0020】
第6の発明にあっては、
第1、第2、第3、第4または第5の発明に係る緑化盤を施工部に並設したことを特徴とする、
緑地構造体である。
【0021】
第7の発明にあっては、
施工箇所に、シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物を植生させて得られたことを特徴とする、
緑地構造体である。
【0022】
第8の発明にあっては、
施工箇所に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材を配し、排水部材の上に、シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物を植生させて得られたことを特徴とする、
緑地構造体である。
【0023】
第9の発明にあっては、
施工箇所に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材を配し、排水部材の上に通水できるようにして補強部材を配し、補強部材の上に、シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌したものを流して所要の厚さで固化させ、その表面に緑化植物を植生させて得られたことを特徴とする、
緑地構造体である。
【0024】
第10の発明にあっては、
シラス、砂、ケイ酸ナトリウム及びアルミナセメントの配合割合の範囲が、
シラス30〜70重量%、
砂10〜30重量%、
ケイ酸ナトリウム10〜40重量%、
アルミナセメント6重量%以上であり、
これらを適宜割合で配合してあることを特徴とする、
第6、第7、第8または第9の発明に係る緑地構造体である。
【0025】
第11の発明にあっては、
施工箇所に、通水性を有し排水を良好に行うための排水部材を配するステップ、
シラスを主材として、少なくとも砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントを適宜割合で配合して混合し、撹拌して流動性を有する植生基材をつくるステップ、
排水部材の全面に、植生基材を流して所要の厚さで固化させるステップ、
固化させたものの表面に緑化植物を植生させるステップ、
を含むことを特徴とする、
緑地構造体の施工方法である。
【0026】
本願発明において、緑化盤、緑地構造体の主材として使用されるシラスは、特に日本の南九州に広く分布する軽石質火山灰堆積物である。
シラスは、通常は採取された状態のものから含水率が小さくなるように調節したもの(例えば天日干しにしたものや加熱加工したシラスバルーンといわれるものなど)が使用されるが、無加工のものを使用することもできる。シラスの配合割合としては、30〜70重量%であるのが好ましく、50重量%程度であるのがより好ましい。
【0027】
使用されるシラスの含水率は特に限定しないが、10〜50%であるのが好ましく、20〜30%であるのがより好ましい。シラスの含水率が10%に満たないと飛散しやすいため取り扱いがしにくくなる傾向にあり、50%を超えると所要の重量%で使用したときに緑化盤が重くなりすぎる傾向にあり、いずれも好ましくない。なお、使用されるシラスの比重は0.7〜0.9であるが、この範囲に限定されるものではない。
【0028】
使用されるシラスの粒径は特に限定しないが、1〜20mmであるのが好ましく、3〜6mmであるのがより好ましい。粒径が1mmに満たないと、緑化盤の組織が詰まり密になりすぎて緑化植物の根が通らず定着しにくくなる傾向にあり、20mmを超えると緑化盤が脆くなる傾向にあり、いずれも好ましくない。
【0029】
なお、シラスの配合割合が30重量%に満たないと保水性が十分でなくなる傾向にある。また、シラスの配合割合が70重量%を超えると脆くなり十分な強度が得られない傾向にあり、更には、他の成分の配合割合が少なくなるので本来必要なクッション性(ケイ酸ナトリウム由来)、強度(砂やアルミナセメント由来)が十分に得られない傾向にある。
【0030】
緑化盤、緑地構造体の成分として使用される砂は、一般的なもので粒径なども特に限定しない。砂の配合割合としては、10〜30重量%であるのが好ましく、15〜25重量%であるのがより好ましい。なお、砂の配合割合が10重量%に満たないと骨材としての機能が発揮できずに強度が十分でなくなる傾向にあり、30重量%を超えると他の成分の配合割合が少なくなるので本来必要な保水性(シラス由来)、クッション性(ケイ酸ナトリウム由来)、強度(アルミナセメント由来)が十分に得られない傾向にある。
【0031】
緑化盤、緑地構造体の成分として使用されるケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ:水ガラス)の一般的特性は、次のとおりである。まず、含まれる水を少なくすれば無水ガラスの性質に近づき、アルカリの量を少なくすればケイ酸ゲルの性質になる。すなわち、ケイ酸ナトリウムは、組成によってはガラスとしての弾性またはゲルとしての粘性を有することになる。ケイ酸ナトリウムを配合することにより、緑化盤または緑地構造体自体の弾性が増し、撓み性も増すので、敷設使用時のクッション性が向上する。
【0032】
使用されるケイ酸ナトリウムの形態は、通常はいわゆる水あめ状の液状体であるが、限定はしない。なお、配合材料の混合、撹拌時には通常は水を入れないが、混合物(植生基材)の流動性などを調整するために入れることもできる。なお、ケイ酸ナトリウムの組成としては、例えば、酸化ナトリウム(Na2O)が9〜10重量%、二酸化珪素(SiO2)が28〜30重量%であるがこれに限定はされない。
【0033】
ケイ酸ナトリウムの配合割合としては、10〜40重量%であるのが好ましく、20〜30重量%程度であるのがより好ましい。なお、ケイ酸ナトリウムの配合割合が10重量%に満たないとクッション性が十分でなくなる傾向にあり、40重量%を超えると他の成分の配合割合が少なくなるので、例えば保水性(シラス由来)や強度(砂やアルミナセメント由来)が十分に得られない傾向にある。
【0034】
緑化盤、緑地構造体の成分として使用されるアルミナセメントの配合割合としては、6重量%以上であるのが好ましい。なお、アルミナセメントの配合割合が6重量%に満たないと成形するときに固まりにくくなり、固まったとしても強度が十分でなく形状を維持できなくなる傾向にある。
【0035】
緑化盤の形状は、例えば平面視で四角形、六角形、三角形のものなど、敷設時に隙間なく敷き詰めることができる形状であるのが好ましいが、これに限定するものではなく、円形や楕円形、五角形のものなど、他の形状のものを採用することもできる。
【0036】
排水部材は、例えば所要の厚さを有する不織布などでつくられたシート状やマット状のもの、あるいは空隙を設けるスペーサ状のものなどであるが、これらに限定されるものではなく、通水性を有し表面側から透過してくる水を排水部または排水側へ誘導できるものであれば、その材質、構造、形状などを限定するものではない。
【0037】
補強部材は、例えば金属ワイヤでつくられたメッシュ状のものなどであるが、これに限定されるものではなく、緑化盤を補強できる強度を有し、表面側から透過してくる水を排水部材から排水部へ誘導できるものであれば、その材質、構造、形状などを限定するものではない。
【0038】
緑化植物としては、例えば芝草類や苔類あるいは水草類などであるが、これらに限定されるものではなく、緑化の目的に沿うものであれば、他の各種植物を採用することができる。
【0039】
なお、緑化盤(排水部材、補強部材や緑化植物を除いた部分:本実施の形態でいえば基板1)の厚さは、特に限定しないが、例えば10〜100mmとするのが好ましく、25〜50mmとするのがより好ましい。なお、緑化盤の厚さが10mmに満たないと撓み性は増しても強度が不足して割れやすくなり、また保水量が不足しやすい傾向にある。また、厚さが100mmを超えると、保水性に問題はないが剛性が増して撓みにくくなりクッション性が十分に得られない傾向にある。
【0040】
(作用)
本発明に係る緑化盤と緑地構造体の作用を説明する。なお、ここでは本発明の各構成要件のそれぞれに、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与し説明するが、この符号の付与は、あくまで説明の理解を容易にするためであって各構成要件の上記各部への限定を意味するものではない。
【0041】
本発明に係る緑化盤及び緑地構造体は、例えば地面や、建物内部の床や屋上の床など陸上での施工ばかりでなく、水族館の水槽や熱帯魚の水槽などの水中に施工することも可能である。
また、緑化盤は、例えば建物の屋上の緑地用などとして常設することもできるし、各種イベント会場に設ける緑地用として一時的な設置も可能である。
【0042】
緑化盤(A,1)は、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ:水ガラス)を所要割合で含んでいるので、アルミナセメント由来の所要の硬度を有してはいても、緑化盤(A,1)自体に若干の弾性がある。また、緑化盤(A,1)を所要の厚さ(例えば25〜50mm程度)に成形することにより若干の撓み性も有し、これを敷設使用した際(特に底部側に変形性を有するものを設けたとき)に、上記弾性と相まって歩行時のクッション性が得られる。
これにより、歩行時に良好な使用感が得られると共に、万一歩行者が転倒したときなどの歩行者に対する安全性が向上する。また、緑化盤(A,1)は上記性質を有することによって割れや破壊が起こりにくいという作用も有している。
【0043】
緑化盤(A,1)は、主材がシラスであるため土などと比べて軽量であり、その組織も芝草など緑化植物(4)の根が突き抜けることができるようなポーラス状である。
すなわち、緑化盤(A,1)は、良好な通水性及びシラス由来の保水性を有し、緑化植物(4)の根付きがしやすく、緑化植物(4)の定着性に優れる。また、根が十分に繁殖しやすいので根腐れも起こりにくく、緑化植物(4)の生育が良好である。
【0044】
裏面側に排水部材(3)を備えたものは、表面側から透過してきた水の排水性を高めることができるので、根腐れが起こりにくい。また、排水部材を一体に設ければ、全体の強度も多少向上するので、割れにくくなり、例え割れたとしても排水部材(3)がつなぎの役割をして破片が分離しない利点もある。
また、補強部材(2)を備えたものは、強度が向上して割れにくくなる。
【0045】
表面側に緑化植物(4)を植生させたものは、施工後にあらためて緑化植物(4)を植生させる場合と比べて、後で植生させる手間と期間が不要であり、施工にあたっては並べるだけでよく、緑地構造体(B1)の施工が短時間でできる。
【0046】
緑化盤(A,1)を使用した分割型の緑地構造体(B1)と、一体施工型の緑地構造体(B2)は、いずれもクッション性がある点や根が突き抜けることができる点、あるいは排水性を高めたり補強ができる点など、上記緑化盤(A,1)と同様の構成による作用については同様に有している。
【0047】
また、一体施工型の緑地構造体(B2)は、施工箇所(5)の全部に植生部(1a)の全体がつながるように施工するので、表面側に夜盗虫などの害虫が卵を産んでも潜り込むことができる部分がない。このため、卵や幼虫は鳥などの天敵に食べられて幼虫がほとんど育たない。これにより、夜盗虫などの幼虫による緑化植物(4)の葉や根に対する食害を防止することができる。
【0048】
また、緑地構造体(B2)は、植生部(1a)が全体につながっているために、水の毛細管現象による浸透範囲が広くなるので、必ずしも緑地構造体の全体に水を撒く必要がない。
更には、緑地構造体(B2)は、いわゆる現場打ちでの施工となるので、植生部の上面を必ずしも平面に仕上げる必要はなく、例えば上面がうねるように、または山なりになるように曲面状に自由に仕上げることが可能である。
【発明の効果】
【0049】
(a)緑化盤は、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ:水ガラス)を所要割合で含んでいるので、緑化盤自体に若干の弾性があり、緑化盤を所要の厚さに成形すれば若干の撓み性も有することになるので、これを敷設使用した際に歩行時のクッション性が得られる。これにより、歩行時に良好な使用感が得られると共に、万一歩行者が転倒したときなどの歩行者に対する安全性が向上する。また、緑化盤は上記性質を有することによって割れや破壊が起こりにくい。
【0050】
(b)緑化盤は、主材がシラスであるため土などと比べて軽量であり、その組織も芝草など緑化植物の根が突き抜けることができるようなポーラス状である。
すなわち、緑化盤は良好な通水性及びシラス由来の保水性を有し、緑化植物の根付きがしやすく、緑化植物の定着性に優れる。また、根が十分に繁殖しやすいので根腐れも起こりにくく、緑化植物の生育が良好である。
【0051】
(c)裏面側に排水部材を備えた緑化盤及び緑地構造体は、表面側から透過してきた水の排水性を高めることができるので、根腐れが起こりにくい。また、排水部材を一体に設ければ、全体の強度も多少向上するので、割れにくくなり、例え割れたとしても排水部材がつなぎの役割をして破片が分離しない利点もある。更には、排水部材に例えば不織布のシートやマットなどクッション性を有するものを採用すれば、全体のクッション性が向上する。また、補強部材を備えたものは、強度が向上して割れにくくなる。
【0052】
(d)表面側に緑化植物を植生させた緑化盤は、施工後にあらためて緑化植物を植生させる場合と比べて、後で植生させる手間と期間が不要であり、施工にあたっては並べるだけでよく、緑地構造体の施工が短時間でできる。
【0053】
(e)施工箇所の全部に植生部の全体がつながるように施工する、いわゆる一体型の緑地構造体は、表面側に夜盗虫などの害虫が卵を産んでも潜り込むことができる部分がない。このため、卵や幼虫は鳥などの天敵に食べられて幼虫がほとんど育たない。これにより、夜盗虫などの幼虫による緑化植物の葉や根に対する食害を防止することができるので、緑化植物を生育させる上で好ましい。
【0054】
(f)植生部が全体につながっている緑地構造体は、水の毛細管現象による浸透範囲が広くなるので、必ずしも緑地構造体の全体に水を撒く必要がなく、水撒きの手間を軽減することや節水が可能になる。
【0055】
(g)植生部が全体につながっている緑地構造体は、いわゆる現場打ちでの施工となるので、植生部の上面を必ずしも平面に仕上げる必要はなく、例えば上面がうねるように、または山なりになるように曲面を形成するなど自由な形状に仕上げることが可能であり、市場の様々なニーズに柔軟に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0057】
図1は本発明に係る緑化盤の一実施の形態を示す斜視図、
図2は緑化盤の施工状態を示す分解斜視説明図である。
【0058】
緑化盤Aは、植生部である基板1、補強部材である金属メッシュ2、排水部材である不織布マット3及び緑化植物である芝草4により構成されている。
なお、本実施の形態ではこれらを構成要件としているが、例えば基板1のみ、基板1と金属メッシュ2の組み合わせ、基板1と不織布マット3の組み合わせ、基板1、金属メッシュ2と不織布マット3の組み合わせ、あるいはそれぞれの組み合わせに更に芝草4を組み合わせたものなども本発明に係る緑化盤として使用することが可能である。
【0059】
上記基板1は、シラスを49重量%、砂を20重量%、ケイ酸ナトリウムを25重量%、アルミナセメントを6重量%配合し、長方形の板状に成形したものである。
基板1の裏面側には、まず上記金属メッシュ2が配され、それを挟むようにして更に不織布マット3が接合され、これにより基板1、金属メッシュ2及び不織布マット3は一体化している。なお、金属メッシュ2は、基板1と別体にせず基板1に埋め込む構造としてもよい。
【0060】
植生部である基板1の上面には、芝草4が植生されている。芝草4の植生は、基板1、金属メッシュ2及び不織布マット3を一体に成形した後、適当な時期に芝草4のマットを基板1の上面に被せて所要の期間おいて定着させて行われる。基板1は主材がシラスであるため土などと比べて軽量であり、その組織が芝草など緑化植物の根が突き抜けることができるいわゆるポーラス状であるために、良好な通水性及びシラス由来の保水性を有し、芝草4の根付きがしやすく、定着性に優れる。
【0061】
なお、基板1のサイズは、たて330mm、よこ330mm、厚さ25mmであるがこれに限定はされない。また、金属メッシュ2と不織布マット3の平面視の広さは基板1と同じであり、厚さは順に2.6mm、10mmであるが、これに限定はされない。
本実施の形態において、緑化盤Aの1平方メートル当たりの重量は約17kgであり、軽量につくられている。
【0062】
緑化盤Aは次のようにしてつくられている。まず、平面視長方形状の成形型(図示省略)の底部の全面に不織布マット3を敷き、その上部の全面に金属メッシュ2を配する。
次に、上記配合のシラス、砂、ケイ酸ナトリウム、アルミナセメントの混合物を撹拌したものを金属メッシュ2の上面に流し入れて成形し、基板1を固化させてつくられている。
【0063】
このとき、アルミナセメントなどを含む液分が金属メッシュ2を通って不織布マット3に浸潤するので、混合物が固化したときには、基板1、金属メッシュ2及び不織布マット3は一体となっている。そして、上記のように基板1の上面に芝草4の植生を行う。
また、緑化盤Aの他の製造方法として、上記混合物をより大きな型に入れて一旦大きくつくったものを、上記のような長方形状に分割切断してつくることもできる。
【0064】
(作用)
図1、図2を参照して緑化盤Aの作用及び施工方法を説明する。
緑化盤Aは、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ:水ガラス)を上記割合で比較的多く含んでいるので、基板1自体に若干の弾性がある。また、基板1の厚さが25mmであるので、若干の撓み性も有している。
緑化盤Aを敷設使用した際には、基板1の弾性や撓み性によって歩行時の適度なクッション性が得られる。なお、クッション性については、芝草4や不織布マット3自体が有するクッション性も緑地(緑地構造体)のクッション性に少なからず寄与することはいうまでもない。
【0065】
上記のようなクッション性を有する緑化盤A及びそれを施工した緑地は、歩行時に良好な使用感が得られると共に、万一歩行者が転倒したときなどの歩行者に対する安全性が向上する。また、緑化盤は上記性質を有することによって、基板1の割れや破壊が起こりにくい。
【0066】
また、緑化盤Aの基板1は、主材がシラスであるため土などと比べて軽量であり、その組織も芝草4の根が突き抜けることができるようなポーラス状である。すなわち、良好な通水性及びシラス由来の保水性を有し、芝草4の根付きがしやすく、定着性に優れる。また、根が十分に繁殖しやすいので根腐れも起こりにくく、芝草4の生育が良好である。
【0067】
更に、不織布マット3は、基板1の表面側から透過してきた水の排水性を高めることができるので、根腐れが起こりにくい。また、金属メッシュ2と不織布マット3を基板1と一体に設けているので、緑化盤Aの全体的な強度も向上する。これにより、基板1が割れにくくなり、例え割れたとしても不織布マット3がつなぎの役割をして分離しない利点もある。
【0068】
(緑地構造体B1の施工方法)
緑地構造体B1を施工する施工部は、地面に埋設または設置された煉瓦6で長方形状に囲まれた部分である。施工部の形状は、本実施の形態では、たてよこ四枚ずつ、合計十六枚の緑化盤Aを並べて嵌め入れることができるように形成されている。なお、施工部には、底部に溜まった水を外部へ排出するための排水孔などの排水手段(図示省略)を設けることもできる。
【0069】
図2に示すように、基板1、金属メッシュ2、不織布マット3及び芝草4からなる緑化盤Aを煉瓦6で囲まれた施工面5に順に嵌め入れていき、十六枚の緑化盤Aで施工面5の全面を覆うようにする。これにより、施工部に緑地構造体B1が施工される。なお、施工部の広さは自由に設定できる。
このように、緑地構造体B1の施工に当たって、緑化盤の施工後にあらためて芝草などを植生させる場合と比べて、後で植生させる手間と期間が不要であり、施工にあたっては緑化盤Aを並べるだけでよく、緑地構造体B1の施工が短時間でできる。
【0070】
なお、上記したように緑化盤Aを芝草4を植生しないタイプとした場合は、芝草が定着し自然な外観となるまでにやや期間を要するが、まず基板1が表面に出るように施工面5に順に嵌め入れ、その後、基板1の上面に芝草4のマットを被せて所要の期間おいて定着させることによって緑地構造体を施工することもできる。
【0071】
他の構成部である金属メッシュ2は緑地施工の補強部材として再利用が可能であり、金属材料としてリサイクルをし他の製品として再利用することも可能である。不織布マット3も同様に、緑地施工の排水部材として再利用が可能であり、例えば合成樹脂製である場合は合成樹脂材料としてリサイクルをし他の製品として再利用することも可能である。
【実施例2】
【0072】
図3は本発明に係る緑地構造体の施工状態を示す一部を断面した斜視説明図である。
【0073】
緑地構造体B2の施工は次のように行う。
緑地構造体B2を施工する施工部は、地面に埋設または設置された煉瓦6で長方形状に囲まれた部分である。なお、施工部には、底部に溜まった水を外部へ排出するための排水孔などの排水手段(図示省略)を設けることもできる。
【0074】
(1)煉瓦6で囲まれた施工面5の全面に排水部材である不織布マット3aを敷設する。
(2)シラスを49重量%、砂を20重量%、ケイ酸ナトリウムを25重量%、アルミナセメントを6重量%配合し、混合し撹拌して流動性を有する植生基材をつくる。
【0075】
(3)植生基材を不織布マット3a上面に適当な厚さ(本実施の形態では50mm程度:植生基材の上面が煉瓦6の上面よりやや低くなる程度)になるよう流し込み、これをバーナーで加熱して化学反応を早めることにより短時間で固化させ、植生部1aとする。なお、不織布マット3aの上面のほぼ全面に金属メッシュを配し、その上に植生基材を流し込んで、更に強度を高めるようにしてもよい。
(4)植生部1aの上面に芝草4aのマットを敷き詰め、所要期間おいて定着させる。これにより、緑地構造体B2が施工される。
【0076】
緑地構造体B2は、上記緑化盤Aと同様の構成からは同様の作用を呈する。すなわち、植生部1a自体には若干の弾性があり、また、厚さが50mm程度であり、底部側に不織布マット3aが敷いてあるため全体として若干の撓み性も有しており、それらと芝草4aの持つクッション性とも相まって歩行時の適度なクッション性が得られる。
これにより、緑地構造体B2は歩行時に良好な使用感が得られると共に、万一歩行者が転倒したときなどの歩行者に対する安全性が向上する。また、植生部1aは上記性質を有することによって、割れや破壊が起こりにくい。
【0077】
また、植生部1aは、主材がシラスであるため土などと比べて軽量であり、その組織も芝草4の根が突き抜けることができるようなポーラス状である。すなわち、良好な通水性及びシラス由来の保水性を有し、芝草4aの根付きがしやすく、定着性に優れる。また、根が十分に繁殖しやすいので根腐れも起こりにくく、芝草4aの生育が良好である。
【0078】
更に、不織布マット3aは、植生部1aの表面側から透過してきた水の排水性を高めることができるので、根腐れが起こりにくい。また、不織布マット3aが植生部1aと一体になっているので、緑地構造体B2の全体的な強度も向上する。これにより、植生部1aが割れにくくなり、例え割れたとしても不織布マット3aがつなぎの役割をして分離しない利点もある。
【0079】
緑地構造体B2の植生部1aは、全体が一度に施工されており、継ぎ目や分断部が形成されていない。つまり、施工部の全部に植生部1aの全体がつながるように施工されているので、表面側に夜盗虫などの害虫が卵を産んでも潜り込むことができるような部分がない。このため、卵や幼虫は鳥などの天敵に食べられて幼虫がほとんど育たない。これにより、夜盗虫などの幼虫による緑化植物の葉や根に対する食害を防止することができる。
また、通水性(透水性)を有する植生部1aが全体につながっているために、水の表面張力によって起こる毛細管現象による水の浸透範囲が広くなるので、必ずしも緑地構造体の全体に水を撒く必要がない。
【0080】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る緑化盤の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】緑化盤の施工状態を示す分解斜視説明図。
【図3】本発明に係る緑地構造体の施工状態を示す一部を断面した斜視説明図。
【符号の説明】
【0082】
A 緑化盤
1 基板
2 金属メッシュ
3 不織布マット
4 芝草
B1 緑地構造体
5 施工面
6 煉瓦
B2 緑地構造体
1a 植生部
3a 不織布マット
4a 芝草
【出願人】 【識別番号】503446947
【氏名又は名称】有限会社エコ・アース
【識別番号】505376569
【氏名又は名称】大塚 幸弘
【出願日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【代理人】 【識別番号】100085327
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克彦


【公開番号】 特開2007−97522(P2007−97522A)
【公開日】 平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願番号】 特願2005−294047(P2005−294047)