| 【発明の名称】 |
挿し穂の培養方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤井 裕二
【氏名】藤田 啓子
【氏名】村上 邦睦
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| 【要約】 |
【課題】挿し穂からの不定根形成を促進して、難発根性植物に適用した場合にも、その発根性を向上させる、挿し穂の培養方法を提供する。
【解決手段】培地及び/又は培養土を用いて挿し穂を培養するにあたり、挿し穂の培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部を超音波処理することにより、不定根を形成させる。このため、例えば、適当な容器内に、固体培地、又は、水、市販の液肥もしくは公知の植物組織培養用液体培地で湿潤させた培養土を用意し、これに挿し穂を挿しつけた後、この容器ごと超音波処理を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 培地及び/又は培養土を用いて挿し穂を培養するにあたり、挿し穂の培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部を超音波処理することにより、不定根を形成させることを特徴とする、挿し穂の培養方法。 【請求項2】 培地及び/又は培養土と接する部分に、挿し穂の基部が存在することを特徴とする、請求項1に記載の挿し穂の培養方法。 【請求項3】 挿し穂が、培地及び/又は培養土と接する部分に、切断面又は切込み部を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の挿し穂の培養方法。 【請求項4】 周波数10〜100khzの超音波を用いて、30〜300秒間超音波処理を行うことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の挿し穂の培養方法。 【請求項5】 挿し穂を培養している培地及び/又は培養土を介して、挿し穂の培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部を超音波処理することを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の挿し穂の培養方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、挿し穂を培養して植物個体を得るための方法、特に、挿し穂からの発根率を向上させることのできる挿し穂の培養方法であって、発根が難しい植物を発根させるのに適した方法に関する。 【背景技術】 【0002】 植物を産業的に利用する場合において、目的に適った形質を持つ均質な苗を大量に増殖するステップは必ず要求される。これは、育種を行うにしても、植林を行うにしても変わらない。このとき苗の大量増殖手段として有用なのが、伝統的な挿し木法や、近年のバイオテクノロジーの発達により生まれた組織培養法である。これらの方法によれば、単に、苗の大量増殖ができるばかりではなく、同一の遺伝的性質を有する植物個体、即ちクローン苗を大量かつ迅速に増殖することができる。 【0003】 挿し木法においては、増殖しようとする植物個体から枝や、場合によっては芽、葉等を切取って挿し穂とし、これを適当な培養土に挿し付けて発根させ、苗を生産する。一方、組織培養法において木本植物を大量増殖しようとする場合には、多芽体や苗条原基を経由することが多い。具体的には、増殖しようとする植物個体から芽や茎頂点等を切取って培養し、多芽体や苗条原基を発生させた後、これらから伸長してくる不定芽を切取り、この不定芽を挿し穂として適当な支持体に挿し付けて発根させる。つまり、いずれの方法を用いてクローン苗を生産するにしても、最終的には挿し穂からの発根という過程を経ることが多い。 【0004】 しかし、挿し穂の発根性は、植物の種類により大きく異なっている。一般に、木本植物は、草本植物よりも発根性が劣っている。また、同じ木本植物においても、例えば、ヤナギやヒノキ等は挿し穂からの発根が容易であるが、ユーカリやマツでは挿し穂からの発根が極めて難しい。 【0005】 このような難発根性植物の発根性を改良する方法は、そのアプローチを、外的要因に着目するものと内的要因に着目するものとに、大きく分けることができる。この場合において、外的要因に着目したアプローチでは、挿し穂を培養する際の、温度、湿度、酸素、炭酸ガス濃度、光条件、培地等の環境条件を検討することで、発根に最も適する環境条件を見出し、これを実現しようとする。 【0006】 一方、内的要因に着目したアプローチでは、挿し穂自体として高い発根能を有するものを得るべく検討を行う。このような挿し穂を得る方法として、例えば、暗黒状態で挿し穂を萌芽させる(黄化処理)、挿し穂を種々のオーキシンで処理する、挿し穂の葉からの蒸散を抑制する、樹齢の若い親木からの挿し穂を用いる、親木をB−ナインやパクロブトラゾールなどのジベレリン生合成阻害剤(特許文献1)で処理する、挿し穂に負電圧を印加する(特許文献2)等の方法が、これまでに報告されている。 【0007】 【特許文献1】特開2001−231355 【特許文献2】特開2005−13163 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 難発根性植物の発根性を向上させるには、挿し穂の外的要因のみならず、内的要因をも発根に最も適した状態とする必要がある。しかしながら、挿し穂の内的要因に着目した発根性の向上については、まだ十分に検討がなされているとは言えない。 【0009】 本発明は、かかる問題点を踏まえ、挿し穂の内的要因に着目し、その発根性を向上させるべくなされたものである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは鋭意研究の結果、挿し穂を超音波処理すると、挿し穂の内的要因にこの超音波処理が影響を及ぼして、不定根の形成が促進されることを見出し、本発明を完成させた。 【0011】 即ち、本発明は、培地及び/又は培養土を用いて挿し穂を培養するにあたり、挿し穂の培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部を超音波処理することにより、不定根を形成させることを特徴とする、挿し穂の培養方法に関する。 【発明の効果】 【0012】 本発明によれば、挿し穂からの不定根形成が促進される。 【0013】 従って、本発明によれば、挿し穂からの発根率が向上し、また、このとき生じる根の本数も増加する。そして、かかる効果は、挿し穂からの発根が難しいとされている、難発根性植物においても発揮される。 【0014】 即ち、本発明によれば、ユーカリプタス・グロブラス(Eucalyptus globulus、以下、単にE.グロブラスと略記する。)等、有用な形質を有する難発根性植物のクロ−ン苗の挿し木法又は組織培養法による大量増殖が、産業的に可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 本発明において挿し穂として用いることのできる植物の種類に特に制限はない。ユーカリ、マツ、アカシア、ヤマモモ、クヌギ、ブドウ、リンゴ、サクラ、バラ、ツバキ、ウメ等の木本植物の他、キクやカーネーション等の草本植物にも本発明を適用することができる。もっとも、本発明は、ユーカリやマツ等の難発根性の植物に適用した場合に、特に効果を発揮する。 【0016】 これらの挿し穂は、温室や屋外に生育している植物個体から得られたものでも、組織培養法により得られたものでもよい。植物個体から挿し穂を得る場合には、枝、茎、芽又は葉を切取り、これらを挿し穂として用いればよい。木本植物の場合は緑枝(当年枝)や熟枝(前年以前に伸びた枝)、草本植物の場合は芽や葉を用いるのが普通である。挿し穂として枝を用いる場合には、その枝についた葉の蒸散作用を抑制して不定根の形成をより促進させるため、葉の一部を切除することも有効である。なお、本発明において、不定根とは、枝、茎、葉など、通常は根が形成されない部分に形成される根のことをいう。 【0017】 組織培養により挿し穂を得る場合には、多芽体や苗条原基を誘導し、これらの組織から伸長してくる不定芽を、その根元付近から切取って、これを挿し穂として用いればよい。多芽体又は苗条原基は、それぞれの植物において公知の方法を用い、誘導することができる。例えば、前記の木本植物から、多芽体を形成させて本発明で使用する挿し穂を取得するには、概ね次のようにして行う。 【0018】 まず、材料とする植物から頂芽、腋芽等の組織を採取し、採取した組織について、有効塩素量0.5〜4%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液又は有効塩素量5〜15%の過酸化水素水溶液に10〜20分間浸漬して表面殺菌を行う。次いで、これを滅菌水で洗浄し、固体培地に挿し付けて芽を開じょさせ、伸長してきたシュートを同じ組成の培地で継代培養することにより、多芽体を形成させる。ユーカリ属やアカシア属の腋芽を用いる場合には、固体培地は、ショ糖1〜5重量%、植物ホルモンとしてベンジルアデニン(以下、BAと略す。)0.02〜1mg/l、ゲランガム0.2〜0.3重量%もしくは寒天0.5〜1重量%を含有するムラシゲスクーグ(以下、MSと略す。)培地又はこのMS培地の硝酸アンモニウム成分と硝酸カリウム成分とを半減させた改変MS培地を用いるのが好ましい。こうして形成された多芽体からは活発に不定芽が分化し、伸長してくるので、本発明においてはこの伸長して来た不定芽を切取り、挿し穂として使用すればよい。多芽体自体は、適当に分割して多芽体形成に用いた培地と同一組成の培地で培養することにより維持し、増殖させることができる。 【0019】 本発明においては、こうして得られた挿し穂を培地や培養土で培養する。このとき用いる培地及び/又は培養土は、それぞれの植物の発根用に適したものを用いるとよい。例えば、培地としては、ムラシゲ・スクーグ(MS)培地、リンスマイヤー・スクーグ培地、ガンボーグのB5培地、ホワイトの培地、ニッチ・ニッチの培地等、植物の組織培養用培地として一般的に良く知られた基本培地又はこれを希釈したものに、必要に応じ、植物ホルモンとして1種類以上のオーキシン類、及び/又は、炭素源としてショ糖5〜30g/lを添加して用いることができる。オーキシン類も特に限定されるものではないが、インドール酪酸(IBA)やナフタレン酢酸(NAA)等が入手も容易であり使いやすい。本発明において、培地は液体培地であっても固体培地であっても構わない。固体培地として使用する場合には、上記成分に寒天又はゲランガムを更に加え、固化させて使用する。なお、炭素源として、微生物の炭素源でもあるショ糖等を添加した培地を使用する場合には、無菌環境下で挿し穂を培養する。炭素源としてショ糖等の炭水化物を用いる代わりに、炭酸ガスを培養環境中に濃度300〜1500ppm程度付与して培養することもでき、この場合には、挿し穂を無菌環境下で培養する必要がない。 【0020】 培養土としては、赤土(赤玉土)、川砂、山砂、鹿沼土、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、水ごけ等、挿し木に用いられる一般的な培養土を使用することができる。その他の発根用資材として、スミザーオアシス社製「オアシス(登録商標)」、日清紡績(株)製「フロリアライト(登録商標)」等も用いることができる。 【0021】 挿し穂から不定根を形成させるにあたっては、通常、上記培地や培養土に挿し穂を挿しつけて培養する。即ち、挿し穂として枝、茎、芽又は不定芽を用いる場合には、もとの個体や組織から切出されたこれらの挿し穂を、上記固体培地、又は、水、市販の液肥もしくは上記液体培地で湿潤させた培養土に挿しつけ、挿し穂として葉を用いる場合には、もとの個体や組織から葉柄をつけて葉を切出し、この葉柄を同様の固体培地や上記培養土に挿しつけて培養すればよい。なお、培養土は、挿し穂の挿しつけ後に水等で湿潤させても構わない。 【0022】 本発明においては、このようにして不定根を形成させる挿し穂の、培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部に超音波処理を行う。このとき用いる超音波の周波数は、10〜100khzの範囲であることが好ましく、特に20〜30khzの範囲であることが好ましい。また、超音波処理の時間は、30〜300秒であることが好ましく、特に60〜180秒であることが好ましい。用いる超音波の周波数が10khz未満の場合、又は、超音波処理の時間が30秒未満の場合は、不定根の形成促進に対する効果があまり期待できない。一方、超音波の周波数が100khzを超える場合、又は、超音波処理の時間が300秒を超える場合は、挿し穂を挿しつけている固体培地や培養土中の水分が発熱して挿し穂の細胞に間接的に障害を与えるおそれがある他、挿し穂の細胞が超音波処理により直接的に障害を受けるおそれも生じる。 【0023】 具体的に、挿し穂の培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部に超音波処理を行うには、例えば、適当な容器内に、固体培地、又は、水、市販の液肥もしくは前記液体培地で湿潤させた培養土を用意し、これに挿し穂を挿しつけた後、水を張っておいた超音波洗浄機の超音波処理槽に、この容器を、容器内に水が入らないように置いて、超音波洗浄機を動作させればよい。このとき超音波は、超音波洗浄槽に張った水、そして培地及び/又は培養土を介して、固体培地や培養土に挿しつけられた挿し穂の組織に達することから、挿し穂の培地及び/又は培養土と接する部分の少なくとも一部に超音波処理を行うことができる。超音波洗浄機としては、出力10〜100w程度の市販の超音波洗浄機を用いることができる。もっとも、本発明においては、固体培地や培養土に挿しつける前の挿し穂に超音波処理を行っても構わない。この場合においても、挿し穂からの不定根形成は促進される。 【0024】 本発明において、挿し穂は、その基部を固体培地、又は、水、市販の液肥もしくは前記液体培地で湿潤させた培養土に挿しつけて、培養することが好ましい。植物は、本来的に頂部と基部とを認識し、不定根は、通常、その基部から形成されるため、このようにして挿し穂を挿しつけることにより、形成された不定根はそのまま、必要な栄養素を含有する固体培地や培養土中に伸長することができるからである。 【0025】 また、挿し穂が、その培地及び/又は培養土と接する部分に、切断面又は切込み部を有していれば、その挿し穂からの不定根形成は促進される。これは、挿し穂の切込みや切断により、その部位の細胞が傷つけられたことが生理的刺激となって、その近辺の部位からの不定根形成を促進させるためであると考えられる。このため、人為的に、挿し穂の培地等への挿しつけ部に、カッター等で1以上の小さな傷をつけてもよいが、通常、挿し穂は、もとの個体や組織から枝、芽、葉又は不定芽等を切出すことによって得られ、その基部には切断面を有しているので、普通は、単に挿し穂の基部を培地等に挿しつけるだけで、この効果は得ることができる。このとき、挿し穂を斜めに切出せば、細胞の傷害による刺激が大きくなると共に、その切断面と培地及び/又は培養土との接触面積も大きくなるので、不定根の形成は一層促進される。 【0026】 さらに、培養前の挿し穂に対し、予めオーキシン処理を行っておくことで、挿し穂からの不定根形成を、促進することもできる。オーキシン処理は、挿し穂を、濃度5〜100ppmのオーキシン溶液に浸漬したり、タルク1gあたり1〜20mgのオーキシンを混合した粉末を挿し穂の切断面に塗布することによって行えばよい。 【0027】 なお、固体培地、又は、水、市販の液肥もしくは前記液体培地で湿潤させた培養土に挿しつけた後の挿し穂は、好ましくは、温度23〜28℃、650〜670nmの波長成分と450〜470nmの波長成分とを、9:1〜7:3の割合で含む光照射下で培養することが好ましい。不定根は、こうして培養している挿し穂の基部より、通常、2〜5週間で形成される。 【0028】 不定根が形成された挿し穂は、これをある程度の期間、そのまま培養を続けて根を充実させた後、発根苗として育苗容器又は苗畑等に移植して育成することにより、植林等の所定の目的に使用可能な苗とすることができる。苗を育成する際の用土や、温度・光強度等の条件は、その植物に適するように適宜設定すればよい。なお、多芽体や苗条原基等、培養組織由来の不定芽を挿し穂とした場合には、通常、育苗容器等への移植の前に、順化の過程を経る必要がある。 【0029】 [作用] 挿し穂を適当な培地及び/又は培養土で培養すると、培地等に接している部分から、培地等の成分が挿し穂に吸収され、不定根が形成される。このとき、挿し穂のこの部分が超音波を受けると、細胞が活性化し、細胞分裂も促進されて、不定根形成が促進されると考えられる。特に、難発根性植物は、発根に要する期間が長く、不定根が形成されるまでに挿し穂が枯死してしまうことが多いため、かかる超音波処理による不定根形成の促進効果は、難発根性植物において非常に有利に作用する。 【0030】 また、超音波処理は、培地や培養土が含有する水のイオン化と水クラスターの低分子化も起こすと考えられる。従って、培地及び/又は培養土を介して挿し穂に超音波処理を行った場合には、水はもちろん、水に溶解している培地及び/又は培養土の成分が、挿し穂の細胞膜やその細胞内に存在するオルガネラの膜を浸透しやすくなって、養分や植物ホルモン等が細胞に有効に利用されるようになるので、不定根の形成が一層促進される。 【実施例】 【0031】 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。 【0032】 [実施例1] E.グロブラス2系統の当年生枝よりそれぞれ芽を取得し、これらの芽を材料として、特開平8−228621に示す方法を用い、これら2系統に由来する多芽体2系統(系統1及び系統2)を誘導した。多芽体の誘導を開始してから約1ヵ月後、得られた多芽体2系統から、2〜5cmの長さに伸長してきた不定芽を切取り、これを挿し穂として用いた。なお、不定芽についた比較的大きな葉は、半分程度に切断して蒸散作用を抑制すると共に、挿し穂を密植した場合に、隣り合った挿し穂の葉と葉が重なり合わないようにした上で、挿し穂として用いた。 【0033】 一方、植物ホルモンとしてIBA2mg/l、チオ硫酸銀(STS)2μMを添加した4倍希釈MS液体培地にて湿潤させた、スミザーオアシス社製「オアシス(登録商標)」(縦1cm×横1cm×深さ3cm)を、頂面に孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製膜(ミリポア社製『ミリシール』)を貼り付けた直径1cmの円形開口部1個が設けられ、胴部がやや張出した立方体形状をしたポリカーボネート製の培養容器(最大寸法:縦8.4cm×横8.4cm×高さ5.4cm)内に、培養容器1ケースあたり16個用意し、上記のようにして得られた挿し穂を、その1個につき1本づつ挿しつけた。なお、このとき、液体培地中のSTSは、エチレンの発生を抑制して、挿し穂の枯死を防止するために添加されている。 【0034】 挿しつけ後の挿し穂は、ポリカーボネート製の培養容器ごと、水を張った超音波洗浄機(本多電子製卓上型超音波洗浄機『W−113MKII』)の超音波洗浄槽に、培養容器内に水が入らないように置いて、周波数31khz、出力100wにて、60、180又は300秒間超音波処理を行ってから、炭酸ガス濃度1000ppm、温度25℃、湿度60%に調節した培養室内で、650〜670nmの波長成分と450〜470nmの波長成分とを、8:2の割合で含む光照射下で培養した。 【0035】 挿しつけから3週間後、目視にて発根状況を観察し、発根した挿し穂の数と、そのときの挿し穂一本当りに生じた根の数を調査した。結果を表1に示す。 【0036】 [比較例1] 超音波処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、2系統のE.グロブラスに由来する多芽体2系統より得られた挿し穂を、「オアシス(登録商標)」に挿しつけて培養し、その発根状況を観察し、発根した挿し穂の数と、そのときの挿し穂一本当りに生じた根の数を調査した。結果を表1に示す。 【0037】 【表1】
【0038】 表1より明らかなように、E.グロブラス2系統の挿し穂はいずれも、超音波処理を行うことにより不定根形成が促進され、超音波処理を行わなかった場合と比べ、発根率が向上し、また発根した挿し穂1本あたりに生じた根の本数も多かった。 【0039】 [実施例2] リンゴ(Malus pumila var. domestica)の当年枝2〜5cmを切取って挿し穂として用いた。なお、このときも、上記当年枝についた比較的大きな葉は、半分程度に切断して蒸散作用を抑制すると共に、挿し穂を密植した場合に、隣り合った挿し穂の葉と葉が重なり合わないようにした上で、挿し穂として用いた。 【0040】 一方、植物ホルモンとしてIBA2mg/lを添加した4倍希釈MS液体培地にて湿潤させた、スミザーオアシス社製「オアシス(登録商標)」を、ポリカーボネート製の培養容器内に、培養容器1ケースあたり16個用意し、上記のようにして得られた挿し穂を、その1個につき1本づつ挿しつけた。なお、このとき、「オアシス(登録商標)」及びポリカーボネート製培養容器は、実施例1で使用したものと同じ寸法・形状等のものを用いた。 【0041】 挿しつけ後の挿し穂は、ポリカーボネート製の培養容器ごと、水を張った超音波洗浄機(本多電子製卓上型超音波洗浄機『W−113MKII』)の超音波洗浄槽に、培養容器内に水が入らないように置いて、周波数31khz、出力100wにて、60秒間超音波処理を行ってから、炭酸ガス濃度1000ppm、温度25℃、湿度60%に調節した培養室内で、650〜670nmの波長成分と450〜470nmの波長成分とを、8:2の割合で含む光照射下で培養した。 【0042】 挿しつけから3週間後、目視にて発根状況を観察し、発根した挿し穂の数と、そのときの挿し穂一本当りに生じた根の数を調査した。結果を表2に示す。 【0043】 [比較例2] 超音波処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、リンゴの当年枝より得られた挿し穂を、「オアシス(登録商標)」に挿しつけて培養し、その発根状況を観察し、発根した挿し穂の数と、そのときの挿し穂一本当りに生じた根の数を調査した。結果を表2に示す。 【0044】 【表2】
【0045】 表2より明らかなように、E.グロブラスと同様、リンゴの挿し穂も、超音波処理を行うことにより不定根形成が促進され、超音波処理を行わなかった場合と比べ、発根率の向上と、発根した挿し穂1本あたりに生じる根の本数の増加とが認められた。とりわけ、この場合は、発根率の向上に対する効果が顕著であった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183484 【氏名又は名称】日本製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年9月30日(2005.9.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074572 【弁理士】 【氏名又は名称】河澄 和夫
【識別番号】100126169 【弁理士】 【氏名又は名称】小田 淳子
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| 【公開番号】 |
特開2007−97432(P2007−97432A) |
| 【公開日】 |
平成19年4月19日(2007.4.19) |
| 【出願番号】 |
特願2005−288358(P2005−288358) |
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