| 【発明の名称】 |
キノコ類の栽培装置及びこの装置を用いた栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】平岡 和司
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| 【要約】 |
【課題】キノコ類の成長状態、雑菌の繁殖の有無、成長を促進するための全工程を自動で行うことで、コンパクトにした栽培空間で大量のキノコ類を安定に供給する。
【解決手段】キノコ類の菌糸を成長させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持している培養ゾーン2と、キノコを発生させる際に適した環境条件を維持している培養促進ゾーン3と、キノコの子実体原基を形成させる際に適した環境条件を維持しているキノコ発生ゾーン4と、キノコを成育させる際に適した環境条件を維持しているキノコ成育ゾーン5と、培養ゾーン2、培養促進ゾーン3、キノコ発生ゾーン4及びキノコ成育ゾーン5における温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持する環境条件維持手段6と、培養ゾーン2、培養促進ゾーン3、キノコ発生ゾーン4、キノコ成育ゾーン5のそれぞれの空間に、キノコ類の育成培地1を順番に移動させる移動手段7と、を備えた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 培地の準備、菌の植え付けを行ったキノコ類について、その菌糸の成長、発生及び生育させるキノコ類の栽培装置であって、 キノコ類の菌糸を成長させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持している培養ゾーン(2)と、 キノコを発生させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持している培養促進ゾーン(3)と、 キノコの子実体原基を形成させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持しているキノコ発生ゾーン(4)と、 キノコを成育させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持しているキノコ成育ゾーン(5)と、 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)及びキノコ成育ゾーン(5)における温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持する環境条件維持手段(6)と、 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)、キノコ成育ゾーン(5)それぞれの空間に、キノコ類の育成培地(1)を順番に移動させる移動手段(7)と、を備えた、ことを特徴とするキノコ類の栽培装置。 【請求項2】 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)を、密閉された空間内に配置した、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項3】 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)の隣接する位置に、仕切り(8)を設けた、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項4】 前記仕切り(8)は、上下に昇降する幕を各ゾーン(2,3,4,5)間に配置したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項5】 前記仕切り(8)は、エアカーテンを各ゾーン(2,3,4,5)間に配置したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項6】 前記仕切り(8)は、柔軟な素材からなる幕を各ゾーン(2,3,4,5)間に配置したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項7】 前記移動手段(7)は、ベルトコンベア(11a,11b)を上下2段に配置し、かつ各ベルトコンベア(11a,11b)に育成培地(1)を昇降させる昇降装置(12)を付設したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項8】 前記移動手段(7)は、 ローラーコンベアを上下2段に配置し、かつ各ローラーコンベアの搬送方向と同方向にスプロケット間に架けたチェーンを並行に配置し、該チェーンに該ローラーコンベア側に向けて突出させた突起で前記育成培地(1)を掛け止めて該ローラーコンベア上で移動させるように構成し、 各ローラーコンベアの端に前記育成培地(1)を昇降させる昇降装置(12)を付設したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項9】 前記移動手段(7)は、略長円形状のレール上に、育成培地(1)を載せるコンベアをそのレールに沿って移動するように構成したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項10】 前記移動手段(7)は、略長円形状のローラーコンベアを配置し、該ローラーコンベアの搬送方向と同方向にスプロケット間に架けたチェーンを並行に配置し、該チェーンに該ローラーコンベア側に向けて突出させた突起で前記育成培地(1)を掛け止めて該ローラーコンベア上で移動させるように構成したものである、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項11】 育成ビン等の前記育成培地(1)にインパルス電圧の課電する課電装置(16)を設けた、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項12】 前記育成培地(1)である育成ビン等を載せる容器に、課電装置(16)のインパルス電圧用の電極を設けた、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項13】 前記育成培地(1)に振動又は物理的衝撃を与える振動装置(17)を配置した、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項14】 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)におけるキノコ類の成長状況や、設備の可動状況、雑菌類の繁殖の有無などを監視する監視カメラを設置した、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項15】 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)に、キノコ類の生育状況に応じて、一部生育期間の変更が必要となったときに、前記育成培地(1)を移動手段(7)から降ろして退避させる一時退避スペースを設けると共に、前記育成培地(1)を一時退避スペースに出し入れする移動装置を設けた、ことを特徴とする請求項1のキノコ類の栽培装置。 【請求項16】 温度、湿度、採光及び空気の流れなどが異なる環境条件を調整した空間に、培地の準備、菌の植え付けを行ったキノコ類の育成培地(1)を移動させながら栽培するキノコ類の栽培方法であって、 前記キノコ類について、菌糸成長時期、キノコ発生時期、キノコ生育時期など各成長過程の時期における、温度、湿度、採光及び空調に関する最適な育成環境条件を有する空間を維持形成し、 前記キノコ類の育成培地(1)を各成長過程時期に相当する育成環境条件を有する空間移動させる際に、キノコ類の成長過程に応じた最適な育成雰囲気を充分に享受できるように、育成培地(1)の移動スピードを可変調整し、あるいは停止させながらキノコ類を栽培する、ことを特徴とするキノコ類の栽培方法。 【請求項17】 前記キノコ類の菌糸成長時期において、前記育成培地(1)に収穫増量のための高電圧のインパルス電圧を課電する、ことを特徴とする請求項16のキノコ類の栽培方法。 【請求項18】 前記キノコ類の菌糸成長時期において、前記育成培地(1)を収穫増量のために振動させる、ことを特徴とする請求項16のキノコ類の栽培方法。 【請求項19】 キノコ類の生育状況に応じて、一部生育期間の変更が必要となった育成培地(1)について、その移動を停止させ、所定期間経過後に移動を再開させる、ことを特徴とする請求項16のキノコ類の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植物の人工栽培技術に係り、特にキノコ類を屋内において栽培するキノコ類の栽培装置及びこの装置を用いた栽培方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 キノコ類の栽培については近年研究が進展し、人工栽培により季節を選ばず、大量かつ安定的にキノコ類を供給することが可能になった。また、トンネルなどを利用した栽培技術も提案されている。キノコ類の栽培は、一般的に図6に示すような作業の順番で実施する。例えば、培地の調整、殺菌、放冷、接種、培養、発生、育成、収穫、出荷の作業で完了する。この中で、培養(菌糸の成長時期)、キノコの発生時期では、それぞれの温度管理、湿度管理、採光管理などが異なるため、栽培量を増やすためには最適な調整が必要になる。そこで、栽培室内の温度、湿度等の環境条件を所定の設定値に有効に維持するキノコ類栽培における制御技術が種々提案されている。 【0003】 例えば、特許文献1の特開平5−76243号公報「栽培室の制御装置」のように、栽培室内の温度、湿度、二酸化炭素濃度等の環境条件を維持するためのエアコントロール機構、加湿機構等の環境維持機構と、栽培室内の温度、湿度、二酸化炭素濃度等の環境データを検出するためのセンサー部と、センサー部による検出データに基づいて栽培室の環境条件が所定の基準値から外れた場合に、環境維持機構のうち当該環境条件をコントロールする機構を作動させて環境条件を基準値内に修正するとともに、環境維持機構を作動することによってたとえば温度と湿度のように関連して環境条件が変動する場合には、関連する他の環境条件を補正するための機構を同時に作動させ環境条件を総合的に修正することによって栽培室内の環境条件を所定基準内に保持する制御部とを有する制御技術が提案されている。 【0004】 この制御技術では、センサー部によって栽培室内の温度、湿度等の所要の環境条件を検知し、この検知結果に基づいて制御部によりエアコントロール機構等の環境維持機構を作動制御することによってあらかじめ設定した環境条件に適合するように栽培室を維持する。制御部で環境維持機構を制御する場合には、環境維持機構のひとつの機構を作動させた場合に関連して他の環境条件が変動する場合には、その変動する環境条件のずれを補正するように環境維持機構を有機的に作動させて栽培室の環境条件を総合的に制御することができる。 【特許文献1】特開平5−76243号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、従来のキノコ類の人工栽培技術では、特許文献1のように、栽培室の環境条件を制御するだけでは、大量のキノコ類を安定的に供給することはできない。大量のキノコ類を安定的に供給するためには、その栽培空間を広大にする必要があり、キノコ類の最適栽培環境のために広い空間と共に、多くの作業者のエネルギーが必要になるという問題を有していた。更に、広い場所において、キノコ類を人工栽培するときは、細菌類を排除する作業が煩雑になりやすかった。 【0006】 また、上述したように、キノコ類の栽培は菌糸の成長時期、キノコの発生時期などにより、温度管理、湿度管理、採光管理などが異なるため、栽培量を増やすためには最適な調整が必要となるが、広い空間で所定の環境条件を維持しようとすると膨大なエネルギーと管理が必要になるという問題を有していた。例えば、菌の植え付けから収穫までの間の工程を、極めて厳格に管理しないと商品にならないようなキノコ類もあり、そのようなキノコ類については需要が大きいにもかかわらず、妥当な価格レベルで安定的に供給することができなかった。 【0007】 本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、キノコの成長状態、雑菌の繁殖の有無、成長を促進するための全工程を自動で行うことで、コンパクトにした栽培空間で大量のキノコ類を安定に供給することができるキノコ類の栽培装置及びこの装置を用いた栽培方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の栽培装置によれば、培地の準備、菌の植え付けを行ったキノコ類について、その菌糸の成長、発生及び生育させるキノコ類の栽培装置であって、キノコ類の菌糸を成長させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持している培養ゾーン(2)と、キノコを発生させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持している培養促進ゾーン(3)と、キノコの子実体原基を形成させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持しているキノコ発生ゾーン(4)と、キノコを成育させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持しているキノコ成育ゾーン(5)と、前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)及びキノコ成育ゾーン(5)における温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持する環境条件維持手段(6)と、前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)、キノコ成育ゾーン(5)それぞれの空間に、キノコ類の育成培地(1)を順番に移動させる移動手段(7)と、を備えた、ことを特徴とするキノコ類の栽培装置が提供される。 【0009】 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)の隣接する位置に、仕切り(8)を設けた。 前記仕切り(8)は、上下に昇降する幕を各ゾーン(2,3,4,5)間に配置したものである。 前記仕切り(8)は、エアカーテンを各ゾーン(2,3,4,5)間に配置したものである。 前記仕切り(8)は、柔軟な素材からなる幕を各ゾーン(2,3,4,5)間に配置したものである。 前記移動手段(7)は、ベルトコンベア(11a,11b)を上下2段に配置し、かつ各ベルトコンベア(11a,11b)に育成培地(1)を昇降させる昇降装置(12)を付設したものである。 前記移動手段(7)は、ローラーコンベアを上下2段に配置し、かつ各ローラーコンベアの搬送方向と同方向にスプロケット間に架けたチェーンを並行に配置し、該チェーンに該ローラーコンベア側に向けて突出させた突起で前記育成培地(1)を掛け止めて該ローラーコンベア上で移動させるように構成し、各ローラーコンベアの端に前記育成培地(1)を昇降させる昇降装置(12)を付設したものである。 前記移動手段(7)は、略長円形状のレール上に、育成培地(1)を載せるコンベアをそのレールに沿って移動するように構成したものである。 前記移動手段(7)は、略長円形状のローラーコンベアを配置し、該ローラーコンベアの搬送方向と同方向にスプロケット間に架けたチェーンを並行に配置し、該チェーンに該ローラーコンベア側に向けて突出させた突起で前記育成培地(1)を掛け止めて該ローラーコンベア上で移動させるように構成したものである。 【0010】 育成ビン等の前記育成培地(1)にインパルス電圧の課電する課電装置(16)を設けた。 前記育成培地(1)である育成ビン等を載せる容器に、課電装置(16)のインパルス電圧用の電極を設けた。 前記育成培地(1)に振動又は物理的衝撃を与える振動装置(17)を配置した。 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)におけるキノコ類の成長状況や、設備の可動状況、雑菌類の繁殖の有無などを監視する監視カメラを設置した。 前記培養ゾーン(2)、培養促進ゾーン(3)、キノコ発生ゾーン(4)又はキノコ成育ゾーン(5)に、キノコ類の生育状況に応じて、一部生育期間の変更が必要となったときに、前記育成培地(1)を移動手段(7)から降ろして退避させる一時退避スペースを設けると共に、前記育成培地(1)を一時退避スペースに出し入れする移動装置を設けた。 【0011】 本発明の栽培方法によれば、温度、湿度、採光及び空気の流れなどが異なる環境条件を調整した空間に、培地の準備、菌の植え付けを行ったキノコ類の育成培地(1)を移動させながら栽培するキノコ類の栽培方法であって、前記キノコ類について、菌糸成長時期、キノコ発生時期、キノコ生育時期など各成長過程の時期における、温度、湿度、採光及び空調に関する最適な育成環境条件を有する空間を維持形成し、前記キノコ類の育成培地(1)を各成長過程時期に相当する育成環境条件を有する空間移動させる際に、キノコ類の成長過程に応じた最適な育成雰囲気を充分に享受できるように、育成培地(1)の移動スピードを可変調整し、あるいは停止させながらキノコ類を栽培する、ことを特徴とするキノコ類の栽培方法が提供される。 【0012】 前記キノコ類の菌糸成長時期において、前記育成培地(1)に収穫増量のための高電圧のインパルス電圧を課電する。 前記キノコ類の菌糸成長時期において、前記育成培地(1)を収穫増量のために振動させる。 キノコ類の生育状況に応じて、一部生育期間の変更が必要となった育成培地(1)について、その移動を停止させ、所定期間経過後に移動を再開させる。 【発明の効果】 【0013】 上述したように、本発明では、培地の準備、菌の植え付けを行った後、キノコ類の菌糸を成長させる培養ゾーン(2)と、キノコを発生させる培養促進ゾーン(3)と、キノコの子実体原基を形成させるキノコ発生ゾーン(4)と、キノコを成育させるキノコ成育ゾーン(5)とを設け、それぞれのゾーン(2,3,4,5)は温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持しているので、菌糸成長時期、キノコ発生時期、キノコ生育時期など、収穫までの工程を仕切り、温度・湿度調整などキノコ類の全工程に亘る必要な調整を自動的に行うことができる。そこで、栽培スペースをコンパクトにすることにより、低コストで高品質のキノコ栽培が可能となる。即ち、大量のキノコ類を安定的に収穫し、かつ新鮮で安全な品質のよいキノコを廉価で消費者に供給することが可能になった。 【0014】 特に、キノコ類の栽培を密閉された移動手段(7)の上で完結させることができるので、新たな雑菌類の雑菌の繁殖阻止することができるので、作業効率が高くしかも狭い空間で省エネルギーを実現しながら大量のキノコ類を栽培することができる。 【0015】 更に、キノコ類を密閉された装置内で栽培する際に、収穫量を増大させるために、インパルスの課電装置(16)や振動装置(17)を容易に実施することができる。また、キノコ類の成長状態など全工程に亘る状態を監視することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明は、キノコ類の栽培を密閉された空間内で移動させながら完結させる栽培技術であり、作業スペースで菌の植え付けを行った後は、菌糸成長時期、キノコ発生時期、キノコ生育時期など収穫までの工程を仕切り、温度・湿度調整などのほか作業・監視を自動で行い最適空間と効率化を図ることができる栽培装置と栽培方法である。 【実施例1】 【0017】 以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。 図1は本発明のキノコ類の栽培装置の全体構成図である。図2は栽培装置上段の培養ゾーン、培養促進ゾーン及びキノコ発生ゾーンを示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。図3は栽培装置下段のキノコ育成ゾーンを示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。 本発明のキノコ類の栽培装置は、培地の準備、菌の植え付けを行ったキノコ類の育成培地1を移動させる培養ゾーン2、培養促進ゾーン3、キノコ発生ゾーン4及びキノコ成育ゾーン5とを設け、温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持する環境条件維持手段6と、これらの培養ゾーン2、培養促進ゾーン3、キノコ発生ゾーン4及びキノコ成育ゾーン5のそれぞれの空間に、キノコ類の育成培地1を移動させる移動手段7とを備えた装置である。 【0018】 各栽培用の各ゾーン2,3,4,5は、キノコ類の菌糸を成長させる際に適した温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を維持しているゾーンである。培養促進ゾーン3は、キノコを発生させる際に適した環境条件を維持しているゾーンである。キノコ発生ゾーン4は、キノコ類の子実体原基を形成させる際に適した環境条件を維持しているゾーンである。キノコ成育ゾーン5はキノコを成育させる際に適した環境条件を維持しているゾーンである。 【0019】 図4はキノコ類の育成培地が隣接するゾーンへ移動するときの仕切りの動作状態を示す説明図である。 培養ゾーン2、培養促進ゾーン3、キノコ発生ゾーン4又はキノコ成育ゾーン5の隣接する位置に、仕切り8を設けた。この図示する仕切り8は、上下に昇降する、巻き上げ、巻き下げするように構成した幕を配置したものである。この幕に代えてエアカーテン等を各ゾーン2,3,4,5間に配置することも可能である。各仕切り8は、温度と湿度、空気の流れを、隣接するゾーンで混在することを阻止して、キノコの種類によって異なる最適条件を各ゾーン2,3,4,5ごとにそれぞれ的確に維持するものである。即ち、キノコ類の栽培ではきめ細かな環境条件の管理が必要である。そこで、本発明では各ゾーン2,3,4,5に応じてキノコの種別に応じて決まっている各々の生育期間の長さに、ゾーン2,3,4,5を仕切り8で最適条件に近似した栽培条件を生成するようになっている。なお、図示するように、キノコ類の育成培地1を隣接するゾーンへ移動させるときは、仕切り8の幕を巻き上げて、その通過の邪魔にならないようにする。きのこ類が発生する前の段階では柔軟な幕を使用することで巻上げを省略することも可能である。 【0020】 このような温度、湿度、採光及び空調に関する環境条件を最適に維持するために環境条件維持手段6がある。この環境条件維持手段6は、例えば、温度と湿度はそれぞれ氷貯蔵や水冷却蓄熱装置、あるいはCO2冷媒とヒートポンプ空調機や湿度調整器により調整する。一箇所管理方式としてダクトで仕切られた装置内の温度や湿度を供給する方法とそれぞれの仕切り8空間の近辺に空調機器)を設置する場合があり、レイアウト等の条件で任意に選択できるようになっている。採光はキノコの種類や育成プロセスに応じた適正な明るさや光の波長を備えた照明装置10或いは自然光を用いる。 【0021】 この環境条件維持手段6は、キノコ類の種菌植え込みから栽培完了まで、キノコ類の成長過程ごとの最適育成条件に応じて、キノコ類の種類に応じた温度、湿度、採光、空調などのデータを蓄積し、そのデータベースに基づいて、コンピュータ制御することができる。 【0022】 移動手段7は、ベルトコンベア11a,11bを上下2段に配置したものである。その移動スピードを調整可能にしたものである。このスピードは自由に変更可能であり、停止させることも当然可能である。図示例では、本発明の栽培装置をコンパクトに構成するためにベルトコンベア11a,11bを上下2段の仕切られた空間に配置した。上段ベルトコンベア11aは、培養ゾーン2、培養促進ゾーン3、キノコ発生ゾーン4の順番に育成培地1を移動させる。下段ベルトコンベア11bは、キノコ成育ゾーン5のみに育成培地1を長い距離移動させる。この配置は栽培するキノコ類の種類に応じて可変するものである。ベルトコンベア11a,11bの幅も、キノコ類の生育につれ、最終段(下段ベルトコンベア11b)の幅を広くすることも可能である。また、ベルトコンベアの変わりにローラコンベアを用いることができる。例えばローラーコンベアの搬送方向と同方向にスプロケット間に架けたチェーンを並行に配置し、このチェーンにローラーコンベア側に向けて突出させた突起で育成培地1を掛け止めてこのローラーコンベア上を押し出し、または引っ張るように移動させても良いし、要所要所のローラーコンベアに同期制御可能なモータを設置しても良い。 【0023】 上段ベルトコンベア11aから下段ベルトコンベア11bへ育成培地1を移動させるときは、付設した昇降装置12を用いる。この昇降装置12は、リフトのように構成したものである。このリフトに代えて、螺旋状に形成したレール上に育成培地1を滑り落す構成のものを用いることができ、図示例のリフトに限定されない。また、逆に、下段ベルトコンベア11bから上段ベルトコンベア11aに流れるような構成でも良い。 【0024】 なお、移動手段7は、上下2段にベルトコンベア11a,11bを配置したものに限定されず、3段又は1段のものでもよい。あるいは、育成培地1を移動させることができるものであれば、ベルト式のコンベアに限定されず、例えば略長円形状のレール上に、育成培地1を載せるコンベアをそのレールに沿って移動するように構成したものでもよい。移動手段7は、各ゾーン2,3,4,5間を移動させるものであれば、ベルト式、レール式に限定されず、これ以外のコンベアを用いることは勿論可能である。このときは、昇降装置12の構造もそれぞれの移動手段7の構造に応じて可変することは勿論である。 【0025】 図1における、2段にベルトコンベア11a,11bの左側には、作業スペース13を設けた。この作業スペース13において、培地調整、滅菌、冷却、種菌植え込み用の作業をする。更に、この作業スペース13では、上段ベルトコンベア11aに隣接する送り込み台14から育成培地1を載せる。また、下段ベルトコンベア11bに隣接する収穫台15から成長したキノコ類を収穫する。 【0026】 培養促進ゾーン3には、図1と図2に示すように、キノコ類の収穫増量のための高電圧のインパルス電圧を課電することができるインパルス電圧課電装置16を備えた。例えば、種菌の植え込みの後、菌が培地のなかを蔓延する間の期間で、22kVから110kV程度の高電圧のインパルス電圧を育成培地1にかけることにより、菌塊が刺激され菌の蔓延スピードを速めると共に確実に満遍なく培養を促進することができる。 【0027】 インパルス課電を効果的に行うための電極(図示していない)を育成ビン又は容器類に取り付ける。インパルス電圧の課電を行うために、自動的に育成容器の中の培地に電極を挿入することも可能であるが、効率よくこれを行うために、育成容器自体に電極を取り付け、容器の外側から課電することがよい。 【0028】 培養促進ゾーン3には、図4に示すように、キノコ類の収穫増量のための振動又は物理的衝撃を与えることができる振動装置17を備えた。種菌の植え込みの後、菌が培地のなかを蔓延する間の期間で、人為的に振動を与えると菌塊が刺激され菌の蔓延スピードを速めると共に確実に満遍なく培養を促進することができる。振動装置17は水平方向への振動、垂直方向への振動、又はこれらの組み合わせの振動と種々組み合わせることができる。栽培しようとするキノコ類の種類に応じて選択するものである。例えば、図5に示すように、育成培地1を入れるケース18に振動用の接触子を当て、この接触子を振動装置17で振動させるように構成することができる。 【0029】 本発明の栽培装置の各ゾーン2,3,4,5に、所定位置に監視カメラ(図示していない)を複数設置し、常時又は必要に応じてキノコ類の成長状況や、設備の可動状況、雑菌類の繁殖の有無などを監視する。例えば、本発明の栽培装置における移動手段7は必要最小限の細長い矩形あるいはトンネル型の容器の中をベルトコンベア11a,11b方式などの移動手段7により動くように作られているが、装置全体のケースは透明のアクりルやガラスなど外から見える部材で構成し、中の状態を常時あるいは任意に監視するための監視カメラが必要個所に設置することができる。 【0030】 本発明の栽培装置のキノコ類の生育状況に応じて、一部生育期間の変更が必要となったことを確認した場合に、遠方からの操作で特定の育成培地1をベルトコンベア11a,11bに隣接するように設けた一時退避スペース(図示していない)へ移動し、所定期間滞在の後、ベルトコンベア11a,11bへ戻す機構とを設けることができる。このように管理しながら育成したキノコ類は、最終段で収穫される際には均一な大きさ、品質の製品とすることができる。 【0031】 上述したように、本発明では、キノコ類の栽培を密閉されたベルトコンベア11a,11b等の移動手段7上で完結させ、キノコ類の種類によって異なる温度管理、湿度管理、採光管理などを最適状態で管理することができる。キノコ類は長期の育成期間の全工程を温度や湿度などを極めで綿密に調整する必要があり、夏季や冬季などに十分な収穫を得るためには、多量の熱や電気エネルギーを必要とする栽培となるのが従来の栽培方法であるが、本発明によれば省エネルギーを実現しながら最適な条件で実施することができる。このため、4カ月もの長期の育成期間を必要とするようなハナビラタケなどのキノコ類の栽培も低コストで実施することができる。 【0032】 例えば、本発明の栽培装置と栽培方法を、廃坑や使われていないトンネル、余裕スペースのある湯水発電所の縦横に張り巡らされたトンネルなど、四季を通じ自然に18℃から22℃程度の温度に保たれている場所で実施するときは、キノコ類の栽培を更に低コストで実施することができる。特に、トンネルの中で本発明のように細長い構成の栽培装置と栽培方法を実施すれば、トンネルとしての所要の機能を果たしつつ、空スペースにおいて容易に低コストで高品質のキノコ栽培が可能となる。 【0033】 なお、本発明は上述した発明の実施の形態に限定されず、キノコ類の成長状態、雑菌の繁殖の有無、成長を促進するための全工程を自動で行うことで、コンパクトにした栽培空間で大量のキノコ類を安定に供給することができる栽培装置、栽培方法であれば、図示したような構成に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【産業上の利用可能性】 【0034】 本発明のキノコ類の栽培装置と栽培方法は、キノコ類の栽培に利用できるだけでなく、細かな環境条件を必要とする植物の自動栽培に利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0035】 【図1】本発明のキノコ類の栽培装置の全体構成図である。 【図2】栽培装置上段の培養ゾーン、培養促進ゾーン及びキノコ発生ゾーンを示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。 【図3】栽培装置下段のキノコ育成ゾーンを示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。 【図4】キノコ類の育成培地が隣接するゾーンへ移動するときの仕切りの動作状態を示す説明図である。 【図5】振動装置により振動させる際に使用するケースを示す断面図である。 【図6】キノコ類の栽培方法の一例を示すフロー図である。 【符号の説明】 【0036】 1 キノコ類の育成培地 2 培養ゾーン 3 培養促進ゾーン 4 キノコ発生ゾーン 5 キノコ成育ゾーン 6 環境条件維持手段 7 移動手段 8 仕切り 11a 上段ベルトコンベア 11b 下段ベルトコンベア 12 昇降装置 16 インパルス電圧の課電装置 17 振動装置
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| 【出願人】 |
【識別番号】000211307 【氏名又は名称】中国電力株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年9月6日(2005.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099667 【弁理士】 【氏名又は名称】武政 善昭
【識別番号】100120101 【弁理士】 【氏名又は名称】畑▲崎▼ 昭
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| 【公開番号】 |
特開2007−68440(P2007−68440A) |
| 【公開日】 |
平成19年3月22日(2007.3.22) |
| 【出願番号】 |
特願2005−257204(P2005−257204) |
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