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【発明の名称】 緑化システム
【発明者】 【氏名】高辻 隆

【氏名】中岡 一正

【要約】 【課題】屋上緑化の観点での植物の育成に適し、屋根における保温・保冷効果、並びに消雪効果に優れ、且つ水の確保や潅水時期の制御に優れた緑化システムの提供。

【解決手段】液状の熱媒体がポンプの加圧により流通する地上循環路と地下循環路が連結されて成り、前記地上循環路の一部が厚さ約30mmから約20mmの培地の内部に配設され、当該培地に浅い培地で育成可能な植物を植生せしめた緑化システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の熱媒体がポンプの加圧により流通する地上循環路と地下循環路が連結されて成り、前記地上循環路の一部が厚さ約30mmから約20mmの培地の内部に配設され、当該培地に浅い培地で育成可能な植物を植生せしめた緑化システム。
【請求項2】
前記培地の内部に配設される地上循環路に、土壌に埋められた埋設部分と土壌の表面から露出した非埋設部分を設けた前記請求項1に記載の緑化システム。
【請求項3】
団粒反応を経た土壌基盤を培地とし、セダム類を植生せしめた前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載の緑化システム。
【請求項4】
前記地上循環路が、前記地下循環路に連結される幹線と、前記培地の内部を並走する複数の支線とを各々直列に連結して成る前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の緑化システム。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、家屋、又は道路等の建造物の屋上或いはベランダ、屋根、又は外壁面(以下、屋上等と記す。)の緑化を主な目的とした植物の育成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記屋上等の緑化システムにおいては、土壌重量が嵩むことや、傾斜箇所での雨による土壌が流出することや、植えられた植物の根の育成不足や、潅水の困難さが問題となっており、対処法として、針葉樹皮薄片、ポートモス、軽石細片等からなる軽質培地と、セダム類の根によって軽質培地の下側に形成された織物状部分とからなるカーペットを屋上等に敷設する手法(例えば、下記特許文献1参照)や、太陽光発電によって駆動するポンプで揚水し、屋上等に植えられた植物に水遣りを行う潅水システム(例えば、下記特許文献2参照)が紹介されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−28024号公報
【特許文献2】特開2003−199422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者にあっては、潅水上の問題が解決できず、後者にあっては、実際に水を撒くことによって、散水用の水を確保する困難さや、潅水時期を制御する上での困難さが伴うという問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、屋上緑化の観点での植物の育成に適し、屋根における保温・保冷効果、並びに消雪効果に優れ、且つ水の確保や潅水時期の制御に優れた緑化システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為になされた本発明による緑化システムは、液状の熱媒体がポンプの加圧により流通する地上循環路と地下循環路が連結されて成り、前記地上循環路の一部が厚さ約50mmから約30mm(好ましくは、約30mmから約20mm)の培地の内部に配設され、当該培地に浅い培地で育成可能な植物を植生せしめたことを特徴とする。前記培地の内部に配設される地上循環路に、土壌に埋められた埋設部分と土壌の表面から露出した非埋設部分を設けた構成としても良い。
【0007】
土壌を団結させ基板の定形性を高めるには、団粒反応を経た土壌基盤を培地とすることが望ましい。また、浅い培地で育成可能な植物としては、セダム類が望ましい。
【0008】
前記ポンプによる熱媒体の流通効率を高めるべく、前記地上循環路が、前記地下循環路に連結される幹線と、前記培地の内部を並走する複数の支線とを各々直列に連結して成る構造を採用することが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、屋上緑化の観点での植物の育成に適し、屋根における保温・保冷効果、並びに消雪効果に優れ、且つ、寒い時期には水滴の発生を抑えて土壌を暖め、暑い時期には、地下において冷やされた熱媒体との熱交換によって土壌を冷やすことができる。土壌が過熱され循環路の内部を流通し地下で冷やされた熱媒体との温度格差が増大すると、循環路の結露が活発化し土中や空気中の水分を結集することによって植物による水を確保することを容易にする。
【0010】
殊に、培地の内部に配設される地上循環路に、土壌に埋められた埋設部分と土壌の表面から露出した非埋設部分を設け、例えば、その下部が培地に埋められ、且つその上部が培地から露出する様に配設することによって、たとえ夏季の日差しにより土壌の水分量が不足したとしても、培地における地上循環路の熱交換で空気中の水分を凝集し水分の補給が可能となる他、培地表面の雰囲気温度を低下させることに寄与する。
【0011】
以上の如く、熱媒体は循環路を流通するのみで散布されることは無いから、潅水用水の確保は不要であり、また、気温に応じて自動的に結露が発生する等、自然の潅水制御が働くことによって植物による水分吸収の便宜を図ることとなり、更に、土壌温度の時期的格差を少なくすることができるので、植物の育成は、より好適なものとなり、実際に屋上に敷設した試験においても、例えば、株の丈にあっては略2倍を記録する等の実績が得られている。
【0012】
又、地下と地上とを循環する熱交換機として位置づけられるので、気候に応じた保温・保冷効果、並びに直射日光の遮断効果、及び打ち水的効果、更には、融雪効果をも奏することとなり、通常、夏季と冬季には休眠状態となる植物であっても、適温と水分が与えられることによって緑化システムとして活性化し、一年間を通して上記問題点の解決に余りある実用効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による緑化システムの実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示す例は、不凍液からなる熱媒体がポンプ1の加圧により流通する地上循環路2と地下循環路3が連結されて成り、前記地上循環路2の一部が厚さ約30mmから約20mmの培地4の内部に配設され、当該培地4に浅い培地で育成可能な植物を植生せしめた緑化システムである。
【0014】
図1(A)に示す例は、前記地上循環路2は、前記地下循環路3に連結される幹線5と、前記培地4の内部を並走する複数の支線6とを各々直列に連結して成り、前記幹線5を通じて引き揚げられた不凍液が、複数の支線6に分流する形で培地4の内部又は表面部を通過しつつ、当該培地4の土壌7及び当該土壌7の粒子間に存在する空気、又は培地4の上に存在する空気と熱交換を行うようにされている(図2又は図3参照)。
【0015】
具体例としては、例えば、塩化ビニル管を、その全体又は一部(例えば、半分又は三分の1)が培地4に埋まる状態に(例えば、直径約10mm以下、ステンレス等の金属管でも良い。)、支線6として複数並行に満遍なく配設し、各支線6の両端部にそれぞれ当該支線6より太い同様の素材からなる幹線5を接続して不凍液を流通させるといった手法が挙げられる(図2参照)。当該培地4の内部又は表面部に、図1(B)の如く一本の管路を当該培地の幅一杯の振幅で蛇行する状態に配設しても良いが、培地4に配設する管は比較的細身で満遍なく配設されることが望ましいことから、比較的径の細い管路の蛇行によって管路に不凍液を循環させる際の抵抗が増加する懸念がある。
【0016】
当該例における培地4は、図2の如く四方が壁に囲われ、且つ方形状で水はけの良い底を持った栽培箱8の中に、地上循環路2を通過させ、団粒反応を経た土壌7を充填したものである。培地4は、植物が育つ環境が整った箇所であるから、生育する際の土台としての安定性を具備し、適性な水持ちと、適正な水はけとを併せ持つ事が必要とされる。当該例においては、有機高分子を含んだ団粒材を土壌に混入させ撹拌することによって、基材たる泥状の土粒子と有機高分子とを電気的に結合させ、水が抜けることによってゲル化し土粒同士の団結状態を維持できる団粒反応を経た土壌7を用いる。
【0017】
前記培地4を形成する際には、当該土壌7が泥状の状態の時にセダム類(キリンソウ属のベンケイソウ、キリンソウ、マンネングサ等(上記特許文献1より抜粋))等の種子を混入させて流し込んでも良いし、種子を含まない土壌の上に、前記特許文献2に開示されているように、セダム類等の苗が固定されたカーペットを貼りつけても良い。この様に培地4を形成することによって、雨風や傾斜によっても培地4が安定し植物が生育できる安定した地盤を得ることができる。尚、当該培地4を、前記栽培箱8で覆わず敷設箇所へ直接吹き付け等により形成する手法を採る場合もある。
【0018】
前記培地4は、先に記した厚さに設定してあるものの、培地の最深部以上に植物の根の伸びを防止する措置が必要となる場合もあり、また、培地4に含まれる水分の量を適正に調整する措置が必要とされる場合もある。当該例は、それらに対応する措置として、培地4の底に、一定の飽和量に至るまで水分を積極的に吸収・保持し、当該飽和量を超した場合に吸収した水分を排出するろ過シート9を敷設すると共に、その下に透水性を有するが根の通過を防止する防根シート10を重ねて敷設した(図2(A)又は図3(A)参照)。この様に、培地4より深い箇所へ根が侵入することを確実に防止することによって、敷設箇所に凹凸が存在する場合であっても、他の植物の繁殖を有効に防止することが可能となる。
【0019】
一方、前記地下循環路3は、前記地上循環路2と同様の管を以って構成され、地下約1mから約2mの深さ(それより深くても良い。)に埋設する。かくのごとく埋設された地下循環路3は、当該管路に流れる不凍液の温度を一年間に亘って出来るだけ均一に近い状態に保つ温度制御を行い、夏季にあっては不凍液を地下で冷却し培地4の保冷や当該培地4の内部や表面部において、土壌や空気中に含まれる水分の集結を行うと共に、冬季にあっては不凍液を地下で暖めることによって培地4の保温機能や消雪機能を奏する。
【0020】
採用すべき前記ポンプ1の能力は、上記地上循環路2及び地下循環路3の太さや長さ、或いは単位時間当たりに循環させるべき熱媒体の量に応じて適宜設定すればよく、その稼動状態にあっても、コンピュータやタイマ等を用いた制御装置を付設し、稼動タイミング或いは稼働時間を、季節、温度、照度、その他の稼動条件に基づき制御を行えば良い。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上記緑化システムによれば、コンクリート屋上や、工場等のスレート屋根に培地を敷設することによって、住宅地、ビル街、或いは工場集合地域における緑化が促進される他、水を撒かない循環路を採用することによって、地下水や水道水が無駄に使用されることもなく、降雪地域においては当該循環路による熱交換で消雪機能をも奏することから、散水による消雪装置が不要となり上記水の使用を更に抑えることができる。また、本願緑化システムの培地が敷設された屋根を持つ建築物の内部における保温・保冷効果が向上し、エアコンディショナの出力を絞ることが出来ることによって省電力化、延いては省資源に寄与することにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による緑化システムの例を示す説明図である。
【図2】本発明による緑化システムの一例を示す(A):断面図と(B):平面図である。
【図3】本発明による緑化システムの一例を示す(A):断面図と(B):平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ポンプ,2 地上循環路,3 地下循環路,4 培地,5 幹線,6 支線,
7 土壌,8 栽培箱,9 ろ過シート,10 防根シート,
【出願人】 【識別番号】504398362
【氏名又は名称】高辻 隆
【識別番号】504398373
【氏名又は名称】中岡 一正
【出願日】 平成17年8月19日(2005.8.19)
【代理人】 【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道


【公開番号】 特開2007−49969(P2007−49969A)
【公開日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願番号】 特願2005−239036(P2005−239036)