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【発明の名称】 屋上等緑化用植生マットおよびこれを用いる屋上等緑化用人工地盤
【発明者】 【氏名】門倉 伸行

【氏名】佐々木 静郎

【氏名】村上 順也

【要約】 【課題】屋上等の早期緑化を可能にするために、種子の飛散および乾燥を防止して前記種子の発芽を促進させることができる屋上等緑化用植生マットおよび屋上等緑化用人工地盤を提供すること。

【解決手段】屋上等緑化用植生マットは、それぞれが種子を含む土塊を受け入れる複数の凹所を上面に有する植生層を含み、前記植生層は繊維質材料等と土との混合物からなる。また、屋上等緑化用人工地盤は、給水口と排水口とを有する水溜と、少なくとも底部が前記水溜内にある透水材料層と、該透水材料層の上に配置された、それぞれが種子を含む土塊を受け入れる複数の凹所を上面に有する植生層とを含み、前記植生層は繊維質材料等と土との混合物からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが種子を含む土塊を受け入れる複数の凹所を上面に有する植生層を含み、前記植生層は繊維質材料等と土との混合物からなる、屋上等緑化用植生マット。
【請求項2】
前記植生層における前記繊維質材料等と前記土との重量比は1:5ないし2:1である、請求項1に記載の屋上等緑化用植生マット。
【請求項3】
給水口と排水口とを有する水溜と、少なくとも底部が前記水溜内にある透水材料層と、該透水材料層の上に配置された、それぞれが種子を含む土塊を受け入れる複数の凹所を上面に有する植生層とを含み、前記植生層は繊維質材料等と土との混合物からなる、屋上等緑化用人工地盤。
【請求項4】
前記透水材料層は不織布またはスポンジからなる、請求項3に記載の屋上等緑化用人工地盤。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋上または壁面(以下「屋上等」という。)に植物を生育させて屋上等を緑化するための屋上等緑化用植生マットおよびこれを用いる屋上等緑化用人工地盤に関する。
【背景技術】
【0002】
日射による熱が建築物の屋上等に蓄積され、その後大気中へ放出されることにより、都市部の気温が周辺地域に比べて高くなるヒートアイランド現象が引き起こされ、問題となっている。そこで、ヒートアイランド現象を抑制するための対策の1つとして、屋上等に植物を生育させて屋上等を緑化することが行われている。屋上等の緑化は、近年、国や一部地方自治体が屋上緑化に関する補助金制度を整備したことに伴い、急速に普及している。特に、東京都が条例により一定基準を超える敷地面積を有する新たな建築物について屋上を緑化することを義務付けたことにより、屋上等緑化の需要はより一層高くなっている。
【0003】
従来、屋上等の緑化のために生育させる植物には散水が必要であり、散水作業に手間を要した。そこで、散水を行うことなく植物に効率よく給水するための屋上緑化用の人工地盤が提案された。前記人工地盤は、給水源に接続された透水材料層と、該透水材料層の上に配置された植生層とを有する。この植生層は、タイルの粉砕物を焼結することにより形成されたもので、内部に毛細管現象が生じるような微細な連続空間が無数に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、散水を行わなくても、前記植生層が前記透水材料層に供給された水を毛細管現象により吸い上げることによって、前記植生層に生育させる植物に効率よく給水することができる。
【特許文献1】特開2003−105932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋上等は強風に曝されるため、屋上等に蒔かれる種子は飛散したり、乾燥しやすいという問題がある。これは屋上等の緑化を妨げる。しかし、前記人工地盤には前記種子の飛散を防止する対策は講じられていない。また、屋上等の早期緑化を実現するためには、強風下においても前記種子が乾燥しないように、前記種子への給水をより確実にすることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、屋上等の早期緑化を可能にするために、前記種子の飛散および乾燥を防止して前記種子の発芽を促進させることができる屋上等緑化用植生マットおよび屋上等緑化用人工地盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面に複数の凹所を有する植生層を用いることにより、前記種子の飛散および乾燥を防止する。
【0007】
本発明に係る屋上等緑化用植生マットは、それぞれが種子を含む土塊を受け入れる複数の凹所を上面に有する植生層を含み、前記植生層は繊維質材料等と土との混合物からなる。各凹所内に前記土塊を配置することによって、その飛散、すわなち前記土塊に含まれる前記種子の飛散を防止することができる。
【0008】
また、前記植生層が前記繊維質材料等と前記土との混合物からなることにより、前記繊維質材料等が核となって土が固まりやすくなるため、前記植生層の成形が容易となる。また、前記植生層は、水の通り道となる比較的多くの隙間を有するため、前記種子への給水が容易となる。前記植生層の下面に水が供給されるとき、該水は毛細管現象により前記植生層の内部へ吸い上げられる。前記水は前記植生層を経て前記土塊に供給される。各凹所内に配置された前記土塊と前記植生層との接触面は比較的広いため、前記種子への確実な給水が可能となる。前記植生層における前記繊維質材料等と前記土との重量比は1:5ないし2:1とすることができる。
【0009】
本発明に係る屋上等緑化用人工地盤は、給水口と排水口とを有する水溜と、少なくとも底部が前記水溜内にある透水材料層と、該透水材料層の上に配置された、それぞれが種子を含む土塊を受け入れる複数の凹所を上面に有する植生層とを含み、前記植生層は繊維質材料等と土との混合物からなる。前記水溜に給水して前記透水材料層に水が供給されることにより、該水は前記植生層の下面に接し、毛細管現象により前記植生層の内部へ吸い上げられる。前記水は前記植生層と前記土塊との接触面を経て前記土塊へ供給され、これにより前記種子の乾燥を防止することができる。前記透水材料層には不織布またはスポンジを用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上面に複数の凹所を有する植生層を用いることにより、前記種子の飛散および乾燥を防止することができる。これにより前記種子の発芽を促進して屋上等の早期緑化を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すように、屋上等緑化用の植生マット10は植物を生育させるための植生層12からなる。植生層12の平面形状は、一辺が50cm程度の正方形であるが、正方形の例に代え、長方形、三角形、他の多角形、円形、楕円形でもよい。植生層12の厚さは5cmないし10cm程度である。植生層12は、その上面に配置された複数の凹所14を有する。各凹所には、種子を含む土塊16が受け入れられる。
【0012】
土塊16は、前記種子と土とを混合して団子状に成形したものであり、直径が5mmないし30mm程度である。前記種子が土塊16内に含まれることにより、前記種子の乾燥を防止する。土塊16の成形は、特許文献2ないし4で知られる混合装置のいずれかによることができる。
【特許文献2】特開2000−210548
【特許文献3】特開2000−176302
【特許文献4】特開2000−238030
【0013】
植生マット10が凹所14を有することにより、各凹所内に土塊16を配置して、土塊16の飛散、すなわち土塊16に含まれる前記種子の飛散を防止することができる。これにより、強風に曝される屋上等においても前記種子の飛散を防止することができる。
【0014】
また、植生マット10が凹所14を有することにより、各凹所内に土塊16を配置して植物の位置を決めることができる。例えば、等間隔で設けられた凹所14のそれぞれに土塊16を配置することにより、等間隔で植物を生育させることができる。近年、一種類の植物を一面に生育させるという単調な屋上緑化が多い中で、利用者の嗜好を反映した屋上緑化が求められている。凹所14の配置を変えることや土塊16を配置する凹所を選択することにより、利用者の好みに応じて植物を様々な配置で生育させることができる。また、土塊16毎に混入する種子を変えることにより、利用者の好きな植物を、利用者の好きな配置で生育させることができる。
【0015】
植生層12には土と繊維質材料等、すなわちもみ殻のような殻、おが屑、竹や木材を細片化したもの、鋼繊維、ガラス長繊維等のいずれか(以下「繊維質材料等」という。)が含まれる。前記繊維質材料等は、長さが2mmないし10mm程度のものが好ましい。植生層12に用いる前記繊維質材料等は一種類でもよいし、複数の種類でもよい。植生層12に含まれる前記土とは、土または土の軽量化のために用いられる土壌改良剤をいう。前記土壌改良剤には、パーライト、バーミキューライト、多孔性材料等がある。植生層12における前記繊維質材料等と前記土との重量比は1:5ないし2:1である。
【0016】
植生層12が前記繊維質材料等と前記土との混合物からなることにより、前記繊維質材料等が核となって土が固まりやすくなるため、植生層12の成形が容易となる。また、植生層12は、水の通り道となる比較的多くの隙間を有するため、前記種子への給水が容易となる。植生層12の下面に水が供給されるとき、該水は毛細管現象により植生層12の内部へ吸い上げられ、植生層12を経て土塊16に供給される。各凹所内に配置される土塊16と植生層12との接触面は比較的広いため、前記種子への確実な給水が可能となる。もみ殻のような殻、おが屑、竹や木材を細片化したもの等の有機質繊維または鋼繊維は時間の経過とともに腐って土と一体化するため、植生層12に生育する植物にとって好ましい。前記繊維質材料等は、土塊16の材料としても用いることができる。土塊16が前記繊維質材料等を含むことにより、土塊16の保水性を向上させて前記種子の乾燥を防止することができる。また、前記繊維質材料等が核となり土が固まりやすくなることによって、土塊16の成形を容易にすることができる。
【0017】
植生層12を作るとき、まず、前記繊維質材料等と前記土との混合物に肥料と接着剤とを添加する。前記土と前記接着剤との重量比は1:1から1:0.2とし、前記接着剤には、PVA(ポリビニルアルコール)系接着剤、アクリル樹脂エマルジョン系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤、でんぷんのり等を使用する。その後、前記繊維質材料等と前記土と前記肥料と前記接着剤との混合物を加圧によりマット状に成形する。植生層12の成形は、5kgf/cm以上の圧力で行う。
【0018】
植生層12への給水は、図2に示すように、植生層12を屋上のスラブ18上に敷かれた非透水性シート20の上に設置して植生層12に散水することにより行う。非透水性シート20はスラブ18への漏水を防止する。また、植生層12への給水は、図3に示すように、植生層12を水溜22の中に設置することにより行うこともできる。植生層12を水溜22の中に設置することにより植生層12に水が供給され、該水は毛細管現象により植生層12の内部へ吸い上げられ、土塊16に供給される。
【0019】
図4には屋上等緑化用の人工地盤24が示され、該人工地盤は、屋上のスラブ26上に設置された水溜28と、該水溜の中に設置された透水材料層30と、該透水材料層上に設置された植生層12とを備える。
【0020】
水溜28は非透水性材料からなり、底部28aと、該底部と一体をなす側部28bとを有し、内部に水を貯め、スラブ26への漏水を防止する。水溜28は循環ポンプに接続された配管(図示せず)がそれぞれに取り付けられた給水口32および排水口34を有し、前記循環ポンプを用いて水溜28への給排水を行うことができる。また、水溜28は水道に接続された配管が取り付けられた給水口36を有し、水溜28内に水道水を供給することができる。
【0021】
透水材料層30は少なくとも底部が水溜28内にあり、植生層12に水を供給する。透水材料層30は、不織布、スポンジ等の透水性材料からなり、厚さは2cmないし3cm程度である。透水材料層30は、前記透水性材料からなる例に代え、前記土壌改良剤を敷き詰めたものであってもよい。植生層12は、図1に示した例と同じものであり、上面に複数の凹所14を有し、前記繊維質材料等と前記土とを含む。人工地盤24は、植生層12と透水材料層30とが別物であっても、一体化されたものであってもよい。
【0022】
前記循環ポンプの運転時、一方の配管から給水口32を経て水溜28に水が供給される。前記水は透水材料層30を経て給水口32側(図面右方)から排水口34側(図面左方)へ流れ、排水口34を経て他方の配管から排出され、前記循環ポンプへ戻る。これにより、前記水は植生層12の下面に供給され、毛細管現象により植生層12の内部へ吸い上げられる。前記水は植生層12と土塊16との接触面を経て土塊16へ供給され、前記種子の乾燥を防止する。前記循環ポンプにより水を循環させることにより、水の滞留を防ぎ、常に酸素を多く含んだ水を供給することができる。また、散水を行うことなく効率よく植物へ給水することができ、人工地盤24の管理作業を軽減することができる。前記循環ポンプは、太陽エネルギーにより稼働させることによって省エネルギー化を図ることができる。
【0023】
水溜28内の水が不足するとき、給水口36から水道水を水溜28に供給する。このとき、前記循環ポンプが設けられた水槽(図示せず)に予め設置された水位計と連動させて水溜28への給水を行うことによって水溜28の水位を一定に保つことができ、人工地盤24の管理作業の軽減を図ることができる。人工地盤24は、前記循環ポンプにより水を循環させる例に代え、水溜28への給水を水道水により行い、排水口34から排出される水を循環させないこともできる。水溜28への給水方法は、降雨、散水、水溜28の側壁を越えて水を流入させることであってもよい。
【0024】
人工地盤24が単体で配置された図4に示した例に代え、図5に示す例では、建築物の壁面(図示せず)に沿って複数の人工地盤38が段違いに配置されている。最上段の人工地盤38aの給水口32と最下段の人工地盤38bの排水口34とのそれぞれに、循環ポンプに接続された配管(図示せず)が取り付けられている。前記循環ポンプを運転すると、水が一方の配管から最上段の人工地盤38aの水溜28に供給される。前記水は透水材料層30を通り、水溜28の側壁を越えて、上から2段目の人工地盤38cの水溜28に流れる。前記水は、最上段の人工地盤38aの場合と同様に、透水材料層30を通り、その下の人工地盤に流れる。このように、前記水は次々と下の人工地盤に供給され、最下段の人工地盤38bの排水口34から排出された前記水は、配管を経て前記循環ポンプに戻る。これにより、建築物の壁面を緑化することができる。
【0025】
本発明によれば、上面に複数の凹所14を有する植生層12を用いることにより、前記種子の飛散および乾燥を防止することができる。これにより前記種子の発芽を促進して屋上等の早期緑化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る屋上等緑化用植生マットの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施例に係る屋上等緑化用植生マットの断面図。
【図3】本発明の第2の実施例に係る屋上等緑化用植生マットの断面図。
【図4】本発明の第1の実施例に係る屋上等緑化用人工地盤の断面図。
【図5】本発明の第2の実施例に係る屋上等緑化用人工地盤の断面図。
【符号の説明】
【0027】
10 植生マット
12 植生層
14 凹所
16 土塊
24 人工地盤
28 水溜
30 透水材料層
32、36 給水口
34 排水口

【出願人】 【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
【出願日】 平成17年8月15日(2005.8.15)
【代理人】 【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行

【識別番号】100125081
【弁理士】
【氏名又は名称】小合 宗一


【公開番号】 特開2007−49907(P2007−49907A)
【公開日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願番号】 特願2005−235293(P2005−235293)