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【発明の名称】 プラスチックハウス
【発明者】 【氏名】千葉 光律

【氏名】田村 和久

【要約】 【課題】内部を経済的に暖房することができて、農林水産、食品加工、上下水道処理等から出る残渣の資源リサイクルを行うプラスチックハウスを提供する。

【解決手段】複数のパイプ又は骨材を組み合わせて構成したフレーム2にフィルム3を張設したプラスチックハウス1の内側周辺部に溝状帯6を設け、溝状帯6に有機性廃棄物を堆積して堆肥化発酵処理を行い、発生する発酵熱を利用してハウス内を暖房する。また、溝状帯6の内側に、複数のパイプ又は骨材を組み合わせてフレームを構成するとともにフィルムを張設して、内外二重のフィルムで構成したプラスチックハウスとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパイプ又は骨材を組み合わせて構成したフレームにフィルムを張設したプラスチックハウスであって、該ハウスの内側周辺部に溝状帯を設け、該溝状帯に有機性廃棄物を堆積して堆肥化発酵処理を行い、該堆肥化発酵処理で発生する発酵熱を利用して前記ハウス内を暖房することを特徴とするプラスチックハウス。
【請求項2】
前記溝状帯が、内側遮水板及び外側遮水板により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックハウス。
【請求項3】
前記溝状帯が、内部に散気管を備え、該散気管から空気を供給することにより前記堆肥化発酵処理を促進することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックハウス。
【請求項4】
前記溝状帯の内側に、複数のパイプ又は骨材を組み合わせてフレームを構成するとともにフィルムを張設して、二重のフィルムで構成することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のプラスチックハウス。
【請求項5】
前記有機性廃棄物が、農作物残渣及び/又は家畜糞尿である請求項1乃至4の何れかに記載のプラスチックハウス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックハウスの内部暖房に関し、特に、資源リサイクルと環境保全に有効な暖房手段を採用したプラスチックハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や花卉の栽培施設としてプラスチックハウスは重要であるが、ハウス内を作物の育成に適した温度に維持するために暖房装置を設置することが少なくない。従来、ハウスの暖房方法としては、灯油等の燃料を燃焼して発生させた温風をハウス内に導入する方法や、温水ボイラーで発生させた温水をハウス内に導入する方法などが多く用いられてきた。また、電熱ヒータも多く用いられている。
【0003】
しかしながら、これらの方法は多大なエネルギーを消費するために、経済的に行うことができないという問題がある。また、使用する燃料は石油等の化石燃料であり、燃焼排ガスに含まれる有害物質が公害の原因となる問題があり、二酸化炭素を多量に排出して地球温暖化の原因となる問題もある。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために多くの研究が行われている。例えば、特許文献1にはヒートパイプを利用して地熱をハウス内に導入する方法が提案されている。すなわち、特許文献1に記載された方法は、ハウス内において、ヒートパイプを地中へ起立状に埋設し、ヒートパイプの下部を地熱又は熱源パイプで加熱し、得られた熱をヒートパイプの上部で地表に放出することによりハウス内を暖房する方法である。
【0005】
しかしながら、この方法で地熱を利用する場合は、1本のヒートパイプで地表に輸送できる熱量が非常に少なく、ハウス全体を暖房するには非常に多くのヒートパイプを必要とし、設備費用が多大となって不経済である。これは、ヒートパイプの下部において土壌と接触する面積が小さいために、地熱を効率的に収集することができないためである。また、ヒートパイプの下部を熱源パイプで加熱する場合には、結局は温水ボイラー等を用いることになり、従来の方法と何ら変わらないことになる。
【特許文献1】特開2003−185368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来の暖房方法がもつ問題点を解決したものであって、経済的な暖房をすることができるプラスチックハウスを提供することを目的とする。また、資源リサイクルを行うことにより、公害の原因や地球温暖化の原因となる化石燃料を低減して暖房をすることができるプラスチックハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような問題点を解決するために、本発明の請求項1に係るプラスチックハウスは、複数のパイプ又は骨材を組み合わせて構成したフレームにフィルムを張設したプラスチックハウスであって、該ハウスの内側周辺部に溝状帯を設け、該溝状帯に有機性廃棄物を堆積して堆肥化発酵処理を行い、該堆肥化発酵処理で発生する発酵熱を利用して前記ハウス内を暖房する手段を採用している。最終残渣は完熟堆肥として農林水産用にリサイクルすることができる。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るプラスチックハウスは、請求項1に記載のプラスチックハウスにおいて、前記溝状帯が、内側遮水板及び外側遮水板により形成されている手段を採用している。さらに、本発明の請求項3に係るプラスチックハウスは、請求項1又は2に記載のプラスチックハウスにおいて、前記溝状帯が、内部に散気管を備え、該散気管から空気を供給することにより前記堆肥化発酵処理を促進する手段を採用している。
【0009】
また、本発明の請求項4に係るプラスチックハウスは、請求項1乃至3の何れかに記載のプラスチックハウスにおいて、前記溝状帯の内側に、複数のパイプ又は骨材を組み合わせてフレームを構成するとともにフィルムを張設して、内外二重のフィルムで構成する手段を採用している。さらに、本発明の請求項5に係るプラスチックハウスは、請求項1乃至4の何れかに記載のプラスチックハウスにおいて、前記有機性廃棄物が、農作物残渣及び/又は家畜糞尿である手段を採用している。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプラスチックハウスは、前記のような手段を採用したことにより、燃料を低減して経済的な暖房をすることができる。また、農作物残渣や家畜糞尿及び一般有機廃棄物を有効にリサイクルすることが可能であり、公害の原因や地球温暖化の原因となる化石燃料の使用を低減して暖房をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。図1及び2には、本発明によるプラスチックハウスの一実施の形態が示されていて、このプラスチックハウス1は、複数のパイプ又は骨材を組み合わせてフレーム2を構成し、その上にフィルム3を張設したものである。ハウスは任意の形状とすることができるが、正面アーチ状のフレームとするのが最も経済的である。
【0012】
フィルム3としては、透明又は半透明のプラスチックフィルムを使用することができるが、透光性の高いフィルムを使用することが好ましい。また、フィルム3の断熱性を高めてハウス内の放熱を防ぐことが好ましく、空気が封入された二重膜フィルムを用いることが特に好ましい。
【0013】
本発明のプラスチックハウス1は、ハウスの内側周辺部に溝状帯6を設けることを特徴としている。溝状帯6は、ハウスの全周辺長に対して設ける必要はないが、全周辺長の50%以上に設けることが好ましく、80%以上に設けることが特に好ましい。また、溝状帯6の幅は30〜100cmとすることが好ましく、深さは50〜130cmとすることが好ましい。
【0014】
溝状帯6は、その内外に内側遮水板4及び外側遮水板5を敷設して形成し、その幅及び深さを確保することが好ましい。内側遮水板4は、その上端部を苗床8の上面よりも5cm以上高くすることが好ましく、外側遮水板5は、その上端部をハウス外部の地表面(GL)よりも5cm以上高くすることが好ましい。
【0015】
内側遮水板4は、ハウス内の苗床8における土壌水分を最適に維持するために有効であり、外側遮水板5は、外部からの雨水の浸入を防ぐために有効である。さらに、両遮水板4、5は、溝状帯6の内部を堆肥化発酵処理に最適な状態に維持するために有効である。
【0016】
溝状帯6の内部には、その全長にわたって散気管7を設けることが好ましい。散気管7は、その全長にわたって適当な間隔で多数の孔を設けたパイプであり、送風機(図示せず)を用いてパイプ内に空気を導入することにより、多数の孔を通して溝状帯6の内部に散気するものである。そして、散気管7から空気を供給することにより堆肥化発酵処理を促進するものである。
【0017】
本発明のプラスチックハウス1は、溝状帯6に有機性廃棄物を堆積して堆肥化発酵処理を行うことを特徴としている。使用する有機性廃棄物としては、藁、籾殻、野菜屑、花卉屑等の農作物残渣を使用することができる。また、牛、馬、豚等の家畜糞尿を使用することができ、その他有機性残渣、農作物残渣と家畜糞尿とを併せて使用することができる。
【0018】
堆肥化発酵処理は好気性微生物を利用して発酵反応を行うものであり、有機性廃棄物の堆積層内を好気性雰囲気に維持することが重要である。このためには、人力又は機械力によって堆積層を攪拌する方法もあるが、散気管7を用いて堆積層内に空気を吹き込む方法が有効で確実である。
【0019】
散気の効果を十分に発揮するために、有機性廃棄物は導入空気と良く接触することが好ましく、さらさらした性状であることが好ましい。すなわち、処理すべき廃棄物の水分は60%以下が好ましく、比重は0.6〜0.7kg/L程度であることが好ましい。したがって、予めこれらの調整を行うことが好ましく、水分を増加したい場合には散水を行い、水分を低減したい場合には木屑やオガクズ等の低水分の有機物質を混合することが好ましい。また、処置の進行に伴う水分の変化を避けるために、堆積層の上を表土やシートで覆うことも有効である。
【0020】
好気性微生物が順調に育成することにより、発酵反応が安定する。そして、発生する発酵熱により、堆肥化発酵処理は50℃以上の高い温度を維持して行われることになる。したがって、この発酵熱を利用してハウス内を暖房することができる。ハウス内は太陽光によって十分な熱を受け入れることができるので、暖房が必要となるのは、夜間や悪天候で日光が得られない場合である。そして、放射冷却により地表から熱を失うとともに、土壌の熱伝導によって地中から熱を失うために暖房が必要となる。
【0021】
本発明のプラスチックハウス1においては、ハウス内の苗床8及びその下の土壌が50℃以上の溝状帯6で包囲されるために、土壌の熱伝導によって地中から熱を失うことはない。すなわち、高温の溝状帯6は土壌の熱伝導に対して断熱層となる。さらに、地表からの放射冷却に対しても失われる熱を補充することになる。そして、これらの相乗効果によってハウス内を暖房することになる。
【0022】
堆肥化発酵処理は1ヶ月程度の期間で行うことができる。完熟した堆肥は溝状帯6から取り出し、新たな有機性廃棄物を投入して次の堆肥化発酵処理を行う。この場合、完熟した堆肥の全部を取り出しても良いが、完熟した堆肥の一部を残して、次の堆肥化発酵処理で新しい有機性廃棄物と混合して用いることも好ましい方法である。また、ハウス内の溝状帯6の全部にわたって、一斉に次の堆肥化発酵処理に移行しても良いが、幾つかの部分に分けて、逐次的に次の処理に移行することも有効である。完熟した堆肥は圃場へ戻して活力のある土を作り、農業における循環システムの一端を担うことになる。
【0023】
図3及び4には、本発明によるプラスチックハウスであって他の実施の形態が示されている。このプラスチックハウス11は、先に示した実施の形態の内部に、さらに、複数のパイプ又は骨材を組み合わせて構成したフレーム12を形成し、その上にフィルム13を張設したものである。このように、内外二重のフィルムで構成したハウスとすることにより、ハウス内外の熱伝導が著しく低くなり、非常に大きな断熱効果を得ることができる。
【0024】
この場合において、溝状帯6は内側のフィルム13と外側のフィルム3との間に位置することが好ましい。両フィルム間を堆肥化発酵処理の発酵熱で加熱することにより、ハウス内外の断熱効果が一層増大し、非常に大きな暖房効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明によるプラスチックハウスの一実施の形態を示した概略断面図である。
【図2】図1に示すプラスチックハウスの概略平面図である。
【図3】この発明によるプラスチックハウスの他の実施の形態を示した概略断面図である。
【図4】図3に示すプラスチックハウスの概略平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1、11 プラスチックハウス
2、12 フレーム
3、13 フィルム
4 内側遮水板
5 外側遮水板
6 溝状帯
7 散気管
8 苗床
【出願人】 【識別番号】500485855
【氏名又は名称】千葉 秀俊
【出願日】 平成17年7月22日(2005.7.22)
【代理人】 【識別番号】100088074
【弁理士】
【氏名又は名称】中林 幹雄


【公開番号】 特開2007−28928(P2007−28928A)
【公開日】 平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願番号】 特願2005−213213(P2005−213213)