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【発明の名称】 育苗ポット及び水耕栽培装置
【発明者】 【氏名】山根 正義

【要約】 【課題】培地を保持する周壁の外側の空間により多くの光と空気を供給できるようにする。

【解決手段】育苗ポット1は、フロート体6の開口周縁部62に当接することによりフロート体6に対する相対位置が決められる当接部14と、この当接部14よりも内側に控えた位置で略鉛直方向に延びる周壁であって培地2を保持する周壁11aと、この周壁11aの上端部から前記周壁11aよりも水平に近い角度で外側に広がって、当該周壁11aの上端部と前記当接部14とを連結する連結部13とを備えている。そして、前記周壁11a及び前記連結部13にはそれぞれ複数の窓11c,13aが形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養液の液面を覆う支持体に設けられた開口に嵌め込まれて、下部が養液に浸された状態で前記支持体に支持される水耕栽培用の育苗ポットであって、
前記支持体の開口周縁部に当接することにより前記支持体に対する相対位置が決められる当接部と、この当接部よりも内側に控えた位置で略鉛直方向に延びる周壁を有し、この周壁で囲まれる空間に植物を支持する培地が装填されることにより当該培地を保持する培地保持部と、この培地保持部の周壁の上端部から前記周壁よりも水平に近い角度で外側に広がって、当該周壁の上端部と前記当接部とを連結する連結部とを備え、
前記周壁及び前記連結部にはそれぞれ複数の窓が形成されており、前記当接部が前記支持体の開口周縁部に当接した状態で、前記周壁の少なくとも下部が養液に浸るとともに、前記連結部に形成された窓を通じて前記連結部と当該連結部の下方に位置する養液の液面との間の空間に光と空気が供給されるように構成されていることを特徴とする育苗ポット。
【請求項2】
前記当接部から外側に広がって前記支持体の開口周縁部に載置可能な鍔部をさらに備え、前記連結部は、前記鍔部の内側端部と前記周壁の上端部とを連結しており、前記当接部は、前記鍔部と前記連結部との境界部分で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の育苗ポット。
【請求項3】
前記連結部は、上方に向かうほど拡開する形状をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の育苗ポット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の育苗ポットを備えるとともに、養液を溜めることが可能な上方に開口する栽培槽と、前記育苗ポットを支持する支持体であるパネルであって前記栽培槽の開口を塞ぐように当該栽培槽に取付けられるパネルとを備え、前記パネルには前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌め込み可能な開口が設けられており、この開口に前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌り込んだ状態で当該開口の周縁部に前記育苗ポットの当接部が当接可能となっていることを特徴とする水耕栽培装置。
【請求項5】
前記パネルの開口は、当該開口の周縁部に前記育苗ポットの当接部が当接したときに、当該開口周縁部の一部が平面視において前記育苗ポットにおける外周縁部よりも外側に張り出すような形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の水耕栽培装置。
【請求項6】
前記育苗ポットの外周縁部は平面視で略正方形の形状を有し、前記パネルの開口は平面視で略円形の形状を有しており、前記開口の周縁部の円弧状部分が前記育苗ポットの外周縁部よりも外側に張り出すように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の水耕栽培装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の育苗ポットを備えるとともに、養液を溜めることが可能な上方に開口する栽培槽と、前記育苗ポットを支持する支持体であるフロート体であって前記栽培槽に溜められた養液に浮かぶフロート体とを備え、前記フロート体の深さ寸法は前記育苗ポットにおける連結部の鉛直方向の寸法よりも大きく設定されているとともに、前記フロート体には前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌り込み可能な開口が設けられ、この開口は、当該開口に前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌り込んで前記育苗ポットの当接部が当該開口の周縁部に当接した状態で前記培地保持部の周壁と対向し、かつ、前記周壁との間に所定の隙間を形成する内周面を有していることを特徴とする水耕栽培装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培に用いられる育苗ポット及びこの育苗ポットを用いた水耕栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水耕栽培に用いられる育苗ポットとしては、例えば特許文献1には図8(a)に示すように、培養液4(以下、養液という)を溜めることが可能な栽培槽3に取付けられる蓋体であるパネル5に支持される育苗ポット10Aが記載されている。または、特許文献2には図8(b)に示すように、栽培槽3に溜められた養液4に浮かぶフロート体6に支持される育苗ポット10Bが記載されている。
【0003】
これらの育苗ポット10A,10Bは、植物を支持する培地2を所定位置で保持するためのものであり、培地2を保持する構造は基本的に同じであるが、支持体であるパネル5やフロート体6に支持される構造のみが異なっている。
【0004】
すなわち、育苗ポット10A,10Bは、上方に向かうほど拡開するテーパー状に形成された周壁101と、この周壁101の下端部に連設される底壁102とを有しており、周壁101で囲まれる空間に植物を支持する培地2が装填されることにより当該培地2が周壁101に保持されるようになっている。
【0005】
前記育苗ポット10Aが前記パネル5に支持される構造としては、前記パネル5には、所定位置に前記育苗ポット10Aの周壁101が嵌め込み可能な大きさの開口であって当該パネル5を上下方向に貫通する開口51が設けられている一方、前記周壁101の上端部には、当該上端部から外側に広がって前記開口51の周縁部に載置可能な鍔部103が連設されており、この鍔部103が前記パネル5の開口周縁部に載置されることにより、周壁101の下部が養液4に浸された状態で育苗ポット10Aが前記パネル5に支持されるようになっている。
【0006】
一方、前記育苗ポット10Bが前記フロート体6に支持される構造としては、前記フロート体6には、所定位置に前記育苗ポット10Bの周壁101の下部のみが嵌め込み可能な大きさの開口であって当該フロート体6を上下方向に貫通する開口61が設けられており、この開口61に前記周壁101の下部が嵌め込まれたときに前記周壁101の所定部分が前記フロート体6の開口周縁部に載置されることにより、周壁101の下部が養液4に浸された状態で育苗ポット10Bが前記フロート体6に支持されるようになっている。
【0007】
また、前記育苗ポット10A,10Bの周壁101及び底壁102には、図9に示すように、それぞれ複数の窓104が形成されており、これらの窓104を通じて育苗ポット10A,10Bの内外での空気や養液の流通が可能となっている。
【特許文献1】特開2003−265057号公報
【特許文献2】特開2003−274775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記各特許文献に記載されている育苗ポット10A,10Bにおいては、育苗ポット10A,10Bが支持体に支持された状態で、支持体の上面を境としてその下側では、前記複数の窓104のうち前記開口51,61の周縁部と前記培地2の上端部との間に位置する窓104によってのみ育苗ポット10A,10Bの内外での空気の流通が可能となっている。すなわち、支持体の上面から下側の空間であって育苗ポット10A,10Bの外側の空間には、前記開口周縁部と培地2の上端部との間に位置する窓104を通じてしか上方からの光と空気が供給されないようになっている。
【0009】
しかしながら、前記周壁101は鉛直方向に対して僅かに傾斜するのみなので、支持体の上面から下側の空間であって育苗ポット10A,10Bの外側の空間に前記開口周縁部と培地2の上端部との間に位置する窓104を通じて上方から供給される光の量は極めて少ない。
【0010】
また、特に支持体としてフロート体6を用いた場合には、周壁101の外周面と開口61の内周面との間の隙間は極めて小さくなるので、前記開口周縁部と培地2の上端部との間に位置する窓104が略全面的に開口61の内周面で塞がれてしまい、当該窓104を通じた空気の流通が阻害されてしまう。
【0011】
このように、支持体の上面から下側の空間であって育苗ポット10A,10Bの外側の空間に供給される光と空気の量が著しく制限されると、植物の根を腐らせるフザリウム菌等の病原菌が繁殖し易くなるため、前記空間にはより多くの光と空気を供給することが望まれる。
【0012】
そこで、前記周壁101の水平面に対する傾斜角度をさらに小さくすることで、窓104を通過する光の量を増やすとともに、フロート体6を用いた場合の前記周壁101の外周面と前記開口61の内周面との間の隙間を大きくして窓104を通じた空気の流通を良好に確保することが考えられる。
【0013】
しかしながら、このようにした場合には、植物が成長したときに当該植物が培地2とともに倒れることを防止するために、培地2の上面の外周縁部を下面の外周縁部よりも大きく外側に張り出させて、培地2の外周面を周壁101の形状に合わせて傾斜させる必要があるが、培地2における下面の外周縁部よりも外側に張り出した部分は前記周壁101の内周面に当接して植物の倒れを防止するためだけのものであるので、培地2をこのような形状にすることは材料節約の観点から無駄である。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑み、略一定の断面形状で上下方向に延びる培地を用いながらも植物が成長したときの倒れを防止でき、かつ、支持体の上面から下側の空間であって育苗ポットの外側の空間に開口周縁部と培地の上端部との間に位置する窓を通じてより多くの光と空気を供給できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明の育苗ポットは、養液の液面を覆う支持体に設けられた開口に嵌め込まれて、下部が養液に浸された状態で前記支持体に支持される水耕栽培用の育苗ポットであって、前記支持体の開口周縁部に当接することにより前記支持体に対する相対位置が決められる当接部と、この当接部よりも内側に控えた位置で略鉛直方向に延びる周壁を有し、この周壁で囲まれる空間に植物を支持する培地が装填されることにより当該培地を保持する培地保持部と、この培地保持部の周壁の上端部から前記周壁よりも水平に近い角度で外側に広がって、当該周壁の上端部と前記当接部とを連結する連結部とを備え、前記周壁及び前記連結部にはそれぞれ複数の窓が形成されており、前記当接部が前記支持体の開口周縁部に当接した状態で、前記周壁の少なくとも下部が養液に浸るとともに、前記連結部に形成された窓を通じて前記連結部と当該連結部の下方に位置する養液の液面との間の空間に光と空気が供給されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、培地保持部は略鉛直方向に延びる周壁を有しているので、この周壁で囲まれる空間に略一定の断面形状で上下方向に延びる培地を装填すれば植物が成長したときの倒れを防止できる。また、支持体の開口周縁部に当接する当接部と前記周壁の上端部とを連結する連結部は、前記周壁の上端部から当該周壁よりも水平に近い角度で外側に広がっているので、連結部の下方の空間には当該連結部に形成された複数の窓を通じて上方から従来よりも多くの光と空気を供給することができる。
【0017】
前記育苗ポットにおいては、前記当接部から外側に広がって前記支持体の開口周縁部に載置可能な鍔部をさらに備え、前記連結部は、前記鍔部の内側端部と前記周壁の上端部とを連結しており、前記当接部は、前記鍔部と前記連結部との境界部分で構成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、育苗ポットを傾倒した姿勢で支持体の開口に嵌め込んでも、鍔部によって当接部よりも上の部分が開口内に入り込むことが抑制されて、当接部が確実に開口周縁部に当接し、育苗ポットが自然と直立した姿勢となる。
【0019】
また、前記連結部は、上方に向かうほど拡開する形状をなしていることが好ましい。
【0020】
このような形状の連結部であれば、前記周壁で囲まれる空間に培地を挿入する際に当該培地が前記連結部に案内されるため、培地を前記空間に装填し易くすることができる。
【0021】
また、本発明の水耕栽培装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の育苗ポットを備えるとともに、養液を溜めることが可能な上方に開口する栽培槽と、前記育苗ポットを支持する支持体であるパネルであって前記栽培槽の開口を塞ぐように当該栽培槽に取付けられるパネルとを備え、前記パネルには前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌め込み可能な開口が設けられており、この開口に前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌り込んだ状態で当該開口の周縁部に前記育苗ポットの当接部が当接可能となっていることを特徴とするものである。
【0022】
このように支持体として栽培槽に取付けられるパネルを用いた場合であっても、育苗ポットの培地保持部の周壁は育苗ポットの当接部よりも内側に控えているので、前記当接部がパネルの開口周縁部に当接した状態では平面視において前記開口周縁部と前記周壁との間には周壁の全周に亘って連結部が介在することになり、この連結部に形成された窓を通じて周壁の外側の空間に上方から従来よりも多くの光と空気を供給することができる。
【0023】
また、前記パネルの開口は、当該開口の周縁部に前記育苗ポットの当接部が当接したときに、当該開口周縁部の一部が平面視において前記育苗ポットにおける外周縁部よりも外側に張り出すような形状に形成されていることが好ましい。
【0024】
このような形状であれば、育苗ポットの外周縁部とこの外周縁部から外側に張り出す開口周縁部の一部とで囲まれる領域によってパネルの下の空間を育苗ポットの上方まで鉛直方向に開放する通気口が確保されるため、この通気口を通じてさらに多くの光と空気をパネルの下方の空間に供給することができる。
【0025】
さらに、前記育苗ポットの外周縁部は平面視で略正方形の形状を有し、前記パネルの開口は平面視で略円形の形状を有しており、前記開口の周縁部の円弧状部分が前記育苗ポットの外周縁部よりも外側に張り出すように構成されていることが好ましい。
【0026】
このような形状であれば、簡単な形状で前記効果を得ることができる。
【0027】
または、本発明の水耕栽培装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の育苗ポットを備えるとともに、養液を溜めることが可能な上方に開口する栽培槽と、前記育苗ポットを支持する支持体であるフロート体であって前記栽培槽に溜められた養液に浮かぶフロート体とを備え、前記フロート体の深さ寸法は前記育苗ポットにおける連結部の鉛直方向の寸法よりも大きく設定されているとともに、前記フロート体には前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌り込み可能な開口が設けられ、この開口は、当該開口に前記育苗ポットの培地保持部及び連結部が嵌り込んで前記育苗ポットの当接部が当該開口の周縁部に当接した状態で前記培地保持部の周壁と対向し、かつ、前記周壁との間に所定の隙間を形成する内周面を有していることを特徴とするものである。
【0028】
このように支持体として育苗ポットの周壁と対向する内周面を有する開口が設けられたフロート体を用いた場合であっても、育苗ポットの培地保持部の周壁は育苗ポットの当接部よりも内側に控えているので、前記当接部がフロート体の開口周縁部に当接した状態では前記周壁とこの周壁に対向する前記開口の内周面との間に所定の隙間が確保され、この隙間に育苗ポットの連結部に形成された窓を通じて上方から従来よりも多くの光と空気を供給することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、育苗ポットの回りにより多くの光と空気を供給して、植物の根腐れ等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1及び図4に示すように、本発明の一実施形態に係る育苗ポット1は、フロート体6を用いた水耕栽培装置9Aと、パネル5を用いた水耕栽培装置9Bとに共通に使用されるものである。
【0032】
まず、前記フロート体6を用いた水耕栽培装置9Aについて説明する。
【0033】
前記水耕栽培装置9Aは、複数の前記育苗ポット1とフロート体6の他に、養液4を溜めることが可能な栽培槽3を備えている。この栽培槽3は、図示は省略するが平面視において特定方向に延びる略長方形状をなしているとともに上方に開口しており、当該栽培槽3内に上方から前記フロート体6が挿入可能となっている。
【0034】
前記フロート体6は、前記栽培槽3の長手方向と直交する幅方向に沿って延びるとともに水平方向に扁平な略直方体状をなしており、その長さ寸法は、前記栽培槽3の幅方向における内側面同士の間の寸法よりも僅かに小さく設定されている。そして、このフロート体6は、前記栽培槽3内に当該栽培槽3の長手方向と直交する姿勢で嵌め込まれることにより、前記栽培槽3の開口をその幅方向に亘って全面的に塞いだ状態で前記養液4に浮かぶようになっている。換言すれば、前記栽培槽3に溜められた養液4の液面は、前記フロート体6によって覆われるようになっている。
【0035】
前記フロート体6は、当該フロート体6の長手方向に沿って配列された前記各育苗ポット1を、これらの育苗ポット1の下部が養液4に浸された状態で支持するものであり、このフロート体6には、前記配列状態の各育苗ポット1の下部がまとまって嵌り込み可能な開口61が設けられている。この開口61は、平面視において前記フロート体6の長手方向に沿って延びているとともにフロート体6を鉛直方向に貫通しており、当該開口61から養液4の液面が上方に開放されるようになっている。そして、この開口61内に、前記配列状態の各育苗ポット1の下部が嵌め込まれ、後述する各育苗ポット1の当接部14が開口61の周縁部62に当接することにより、各育苗ポット61の下部が養液4に浸された状態で各育苗ポット1が前記フロート体6に支持されるようになっている。
【0036】
前記各育苗ポット1は、植物を支持する培地2を養液4に浸した状態で保持するためのものであり、合成樹脂等で一体に成形されて、図2に示すように、水平方向の断面形状は略正方形状のままで上方に向かうほど外側に広がる形状をなしている。
【0037】
これらの育苗ポット1は、前記フロート体6の開口61内に嵌り込む培地保持部11と、前記フロート体6の上面63に載置される鍔部12とを備えているとともに、前記鍔部12と前記培地保持部11とを連結する連結部13を備えている。なお、育苗ポット1における培地保持部11と連結部13とを合わせた鉛直方向の寸法は、前記フロート体6の深さ寸法よりも小さく設定されている(図3参照)。
【0038】
前記鍔部12は、前記開口61の長手方向と直交する幅方向で当該開口61を跨って前記フロート体6の上面63に載置可能な大きさを有し、略鉛直方向に延びる平面視略正方形の筒状をなしている。この鍔部12における対向する部分同士の内側面12b間の距離は、前記開口61の幅方向における当該開口61の内周面61a間の距離よりも小さく設定されている。すなわち、前記鍔部12が前記フロート体6の上面63に載置されたときには、鍔部12の内側端部は前記開口61の内周面61aよりも内側に張り出すようになる。
【0039】
前記培地保持部11は、前記鍔部12よりも一回り小さな断面形状で略鉛直方向に延びる平面視略正方形の筒状の周壁11aと、この周壁11aの下端部に連設される略正方形板状の底壁11bとを有しており、前記周壁11aで囲まれる空間に前記培地2が装填されることにより当該培地2を保持するものである。
【0040】
前記周壁11aにおける対向する部分同士の外側面11d間の距離は、前記鍔部12における対向する部分同士の内側面12b間の距離よりも小さく設定されており、前記周壁11aの外側面11dと前記鍔部12の内側面12bとの間には平面視において周壁11aの全周にわたり隙間が形成されている(図2(a)参照)。
【0041】
また、前記周壁11a及び前記底壁11bには、それぞれ複数の窓11cが形成されている。これらの窓11cは、当該窓11cを通じて前記周壁11aで囲まれる空間に装填される培地2に養液4を供給したり、培地2に支持された植物が成長したときに植物の根が当該窓11cから育苗ポット1の外側に張り出したりすることを可能とするためのものであり、各窓11cは、それぞれ矩形状を有しているとともにマトリクス状に配置されて、各窓11cの総面積が大きく確保できるように構成されている。
【0042】
前記連結部13は、前記周壁11aの上端部から外側に広がって前記鍔部12の下面12aの内側端部につながるように上方に向かうほど拡開するテーパー状をなしている。この連結部13における対向する部分同士の外側面13bの上端部同士の間の距離は、前記開口61の幅方向における当該開口61の内周面61a間の距離と略一致する程度に設定されている。これにより、前記連結部13は全体が前記開口61内に嵌り込み可能となっており、当該連結部13が開口61内に嵌め込まれて前記鍔部12が前記フロート体6の上面63に載置されたときには、前記連結部13の外側面13bと前記鍔部12の下面12aとの境界部分が前記開口周縁部62に当接して、前記育苗ポット1の前記フロート体6に対する相対位置が決められるようになっている。すなわち、前記連結部13の外側面13bと前記鍔部12の下面12aとの境界部分が本発明に係る当接部14を構成している。
【0043】
また、前記連結部13には、複数の窓13aが形成されている。これらの窓13aは、前記連結部13の互いに異なる方向に傾斜する各壁面において水平方向に並んで配置されており、前記連結部13の各壁面における両端部に位置する窓13aは台形状をなし、それらの間の窓13aは矩形状をなしていて、前記窓11cと同様に各窓13aの総面積が大きく確保できるように構成されている。また、これらの窓13aは、前記連結部13の上端部にまで達するように形成されているため、前記当接部14は、前記各窓13aの間で点在するようになっている。
【0044】
以上説明した育苗ポット1を使用するには、まず周壁11aで囲まれる空間に培地2を装填して培地保持部11に培地2を保持させる。前記周壁11aは略鉛直方向に延びているので、この周壁11aで囲まれる空間に略正方形の断面形状で上下方向に延びる直方体状の培地2を装填すれば植物が成長したときの倒れを防止できる。また、前記周壁11aの上端部に連設された前記連結部13は上方に向かうほど拡開するテーパー状になっているので、前記周壁11aで囲まれる空間に前記培地2を挿入する際には当該培地2が前記連結部13に案内されるため、培地2を簡単に前記空間に装填することができる。
【0045】
そして、培地2が装填された育苗ポット1を複数個用意し、これらの育苗ポット1をフロート体6の開口61に順次嵌め込めんでいけばよい。具体的には、各育苗ポット1の培地保持部11及び連結部13を開口61に嵌め込むことにより、各育苗ポット1の当接部14が開口61の周縁部62に当接して、各育苗ポット1のフロート体6に対する相対位置が決められるとともに、周壁11aの下部が養液4に浸された状態で各育苗ポット1がフロート体6に支持される。
【0046】
このようなフロート体6を用いた水耕栽培装置9Aでは、養液4の水位に拘わらず、育苗ポット1の周壁11aの下部を常に一定の深さで養液4に浸すことができるため、後述するパネル5を用いた水耕栽培装置9Bよりも好ましいが、フロート体6の開口61の内周面61aが開口周縁部62から養液4の液面まで達しているため、前記育苗ポット1の当接部14を開口周縁部62に当接させたときには、開口61の幅方向においては培地保持部11の周壁11aと開口61の内周面61aとが対向するようになる。
【0047】
しかしながら、本実施形態の育苗ポット1では、培地保持部11の周壁11aは当接部14よりも連結部13の水平方向の寸法分内側に控えているので、周壁11aと開口61の内周面61aとの間には連結部13の水平方向の寸法と略一致する寸法の隙間7が形成される。また、隣接する育苗ポット1の周壁11a同士の間には、隣接する育苗ポット1は鍔部12同士が当接した状態で配列されるため、前記隙間7の2倍よりも少し大きな隙間が形成される。
【0048】
そして、前記連結部13には、複数の窓13aが形成されており、前述したように前記周壁11aの外側面11dと前記鍔部12の内側面12bとの間には平面視において周壁11aの全周に亘って隙間が形成されているため、前記隙間7を含む周壁11aの外側の空間には全周に亘って前記窓13aを通じて上方から従来の図8に示す育苗ポット10A,10Bよりも多くの光と空気が供給されるようになる。
【0049】
このように、本実施形態の育苗ポット1を用いれば、当該育苗ポット1をフロート体6に支持させる場合であっても、培地2を保持する周壁11aの外側の空間により多くの光と空気を供給して、植物の根腐れ等を防止することができる。
【0050】
次に、図4及び図5を参照して、前記パネル5を用いた水耕栽培装置9Bについて説明する。この水耕栽培装置9Bは、前述した水耕栽培装置9Aに対し、前記育苗ポット1を支持する支持体がフロート体6からパネル5に変わっただけのものである。
【0051】
前記パネル5は、前記栽培槽3の開口を塞ぐように当該栽培槽3に取付けられるようになっている。このパネル5には、前記育苗ポット1の連結部13及び培地保持部11がポット毎に嵌り込み可能な開口51が適所に複数設けられている。
【0052】
具体的には、前記開口51は、平面視において略円形状をなしており、その径は、前記育苗ポット1の当接部14が形成する略正方形の対角寸法と略一致する程度に設定されている。このため、前記開口51に前記育苗ポット1の連結部13及び培地保持部11が嵌り込んだときには、前記当接部14におけるコーナー部分が前記開口51の周縁部52に4点で当接することになり、これにより、育苗ポット1のパネル5に対する相対位置が決められるとともに、培地保持部11の周壁11aの下部が養液4に浸された状態で育苗ポット1がパネル5に支持されるようになる。また、前記当接部14が前記開口周縁部52に当接した状態では、前記鍔部12の外側に当該鍔部12と開口周縁部52とで囲まれる領域によってパネル5の下方の空間を育苗ポット1の上方まで鉛直方向に開放する通気口51bが四方に略均等な大きさで確保されるようになる。
【0053】
このように育苗ポット1がポット毎に嵌め込められる開口51が設けられたパネル5を用いた場合であっても、前記当接部14が前記開口51の周縁部52に当接した状態では平面視において前記開口周縁部52と前記周壁11aとの間には周壁11aの全周に亘って連結部13が介在することになり、周壁11aの外側の空間8には全周に亘って連結部13に形成された窓13aを通じて上方から適度な量の光と空気を供給することができる。
【0054】
また、育苗ポット1の鍔部12の外側には、四方に通気口51bが形成されているので、この通気口51bを通じても、さらに多くの光と空気をパネル5の下方の空間に供給することができる。パネル5を用いた場合には、パネル5が栽培槽3の開口を塞いでしまうため、パネル5の下方の空間に空気が滞留し易く、またその空間に光も入り難い。そこで、パネル5に複数の通気口を設けることも考えられるが、あまりに多くの光と空気をパネルの下方の空間に供給すると、雑菌やバクテリア等の繁殖が活発になるおそれがある。しかしながら、本実施形態のように、育苗ポット1の鍔部12を平面視で略正方形状にするとともに、パネル5に設ける開口51を平面視で略円形状にすることで、簡単な形状でパネル5の下方の空間に雑菌やバクテリア等の繁殖を抑制することが可能な適度な量の空気と光を供給することができる。そして、このことは、本出願の出願人が行った数々の実験により立証された。
【0055】
なお、本発明の育苗ポットは、前述した実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、前記実施形態では、平面視で略正方形状の複数の育苗ポット1をフロート体6の長手方向に延びる開口61に嵌め込む形態を示したが、図6に示すように、開口61の周縁部62に全周に亘って当接部14が当接するように、開口61の形状に合わせて平面視で略長方形状に形成した育苗ポット1’を1つだけ開口61に嵌め込むようにしてもよい。このようにしても周壁11aの外側面11dと開口61の内周面61aとの間の隙間に周壁11aの全周に亘って連結部13の窓13aを通じて上方から従来よりも多くの光と空気を供給することができる。
【0057】
また、育苗ポット1がポット毎に嵌め込み可能な平面視で略正方形状の開口をフロート体6に複数設けてもよい。
【0058】
さらには、パネル5に設ける開口51は、平面視で略円形状である必要はなく、例えば平面視で略正八角形状であっても、育苗ポット1の鍔部12の外側に通気口51bを形成することは可能である。そして、後述する図7(a)に示す育苗ポット1,1’のように鍔部12を設けない場合には、通気口51bは平面視において育苗ポット1の外周縁部とパネル5の開口周縁部52とで囲まれる領域で形成されていてもよい。
【0059】
また、育苗ポット1は、水耕栽培装置9Aと水耕栽培装置9Bとに共通して使用されるものである必要はなく、それぞれの装置9A,9Bに専用の育苗ポットとしてもよい。この場合には、水耕栽培装置9Aとしては、フロート体6の開口61を平面視で円形状とするとともに、育苗ポットの水平方向の断面形状をそれに合わせて円形状としてもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、鍔部12の下面12aと連結部13の外側面13bとの境界部分で当接部14が構成された形態を示したが、図7(a)に示すように、鍔部12を省略するとともに、連結部13をそのまま上方に延在させて、連結部13の外側面の中間部分で当接部14を構成してもよい。この場合には、窓13aも上方に延在させて当該窓13aの面積をさらに大きく確保することもできる。ただし、この場合には、育苗ポット1,1’が傾倒した姿勢で支持体(フロート体6またはパネル5)の開口(開口51または開口61)に嵌め込まれたときにはその姿勢のまま支持体に支持されることがあるため、育苗ポット1,1’を直立した姿勢で支持体の開口に嵌め込む必要があるが、前記実施形態のように、当接部14を鍔部12の下面12aと連結部13の外側面13bとの境界部分で構成すれば、育苗ポット1,1’を傾倒した姿勢で支持体の開口に嵌め込んでも、鍔部12によって当接部14よりも上の部分が開口内に入り込むことが抑制されて、当接部14が確実に開口周縁部(開口周縁部52または開口周縁部62)に当接して育苗ポット1,1’が自然と直立した姿勢となるため、育苗ポット1,1’を支持体の開口に嵌め込む作業時間を短縮することができる。
【0061】
また、当接部14は開口周縁部62に当接することにより限られた範囲内で支持体に対する相対位置が決められればよく、当接部14が培地保持部11を挟んで離間する距離は、開口周縁部間の距離よりも小さく設定されていて、連結部13が開口に遊嵌した状態で嵌め込まれるように構成されていてもよい。
【0062】
さらに、本発明に係る連結部は、周壁11aの上端部から当該周壁11aよりも水平に近い角度で外側に広がっていればよく、例えば図7(b)に示すように、周壁11aの上端部から水平方向で外側に広がって前記鍔部12の下面12aの内側端部につながるようになっていてもよい。
【0063】
また、育苗ポット1,1’の周壁11aは、略鉛直方向に延びていて、平面視において当接部14との間に所定の隙間を形成できればよく、例えば上方に向かうほど拡開するように鉛直方向に対して僅かに傾斜した形状であってもよい。このような形状であれば、周壁11aで囲まれる空間に培地2をさらに装填し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る育苗ポットをフロート体に支持させた水耕栽培装置の斜視図である。
【図2】(a)は前記育苗ポットの平面図、(b)はその一部断面側面図である。
【図3】図1の要部を拡大した断面側面図である。
【図4】前記育苗ポットをパネルに支持させた水耕栽培装置の斜視図である。
【図5】図4の要部を拡大した断面側面図である。
【図6】(a)は変形例の育苗ポットの平面図、(b)はその側面図である。
【図7】(a)(b)は変形例の育苗ポットの側面図である。
【図8】(a)(b)は従来の育苗ポットの断面側面図である。
【図9】従来の育苗ポットの斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1,1’ 育苗ポット
11 培地保持部
11a 周壁
11b 底壁
11c 窓
12 鍔部
13 連結部
13a 窓
14 当接部
2 培地
3 栽培槽
4 養液
5 パネル
51,61 開口
52,62 周縁部
6 フロート体
7,8 空間
9A,9B 水耕栽培装置
【出願人】 【識別番号】595053375
【氏名又は名称】山根 正義
【出願日】 平成17年7月5日(2005.7.5)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎

【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎


【公開番号】 特開2007−14225(P2007−14225A)
【公開日】 平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願番号】 特願2005−196725(P2005−196725)