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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】山崎 達也

【氏名】糸原 敦也

【要約】 【課題】脱穀装置において、扱室10を、アクチュエータ19の駆動に基づく上部フレーム17の昇降で開閉する構成にするにあたり、アクチュエータ19の駆動を、キースイッチ31をON操作することなく昇降スイッチ28、29の操作で行えるようにし、途中で昇降スイッチをOFFにしてもアクチュエータ駆動が継続するようにする。

【解決手段】ロック解除スイッチ24がONでかつ昇降スイッチ28、29がONとなって制御部30に電源供給された場合、自己保持手段34を通電状態として制御部30への電源供給を自己保持し、これによって昇降スイッチ28、29が途中でOFFになっても昇降制御を維持するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室を開閉すべく昇降自在に設けられる開閉体と、該開閉体の昇降作動の動力源となる昇降用アクチュエータと、該昇降用アクチュエータを昇降作動させるたの昇降スイッチと、該各昇降スイッチからの操作指令に基づいて昇降用アクチュエータに対して昇降指令を出力する制御部とを備えて構成される脱穀装置において、前記各昇降スイッチと制御部に電源供給をするための電源供給部とのあいだに、扱室の開放に対応してONになる開放スイッチ手段が直列接続されるようにして設けると共に、電源と制御部とのあいだに、昇降スイッチの一方と開放スイッチ手段とがONになって制御部に電源供給された場合に、電源から制御部への電源供給状態を保持するための自己保持手段を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
制御部は、該自己保持手段から電源供給を受けているあいだは、昇降用アクチュエータ以外の他のアクチュエータの作動を禁止するように設定されていることを特徴とする脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、米、麦等の穀粒の脱穀処理をする脱穀装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種脱穀装置においては、フィードチエンで搬送される穀稈を、扱室に配した扱胴によって脱穀処理をし、該脱穀処理された穀粒を選別した後、穀粒タンクに貯留する等して回収するようになっている。そしてこのようなものにおいて、例えば扱室内のメンテナンスをするような場合に、扱室の上部を覆蓋している開閉体(例えば上部枠体や天板)を昇降可能に設け、該上開閉体の昇降を、人手でなく電動モータや油圧シリンダ等のアクチュエータ駆動によって行うようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−102593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで前記従来のものは、アクチュエータの駆動制御をするための昇降スイッチを脱穀装置の外側面部に設けてはいるが、この昇降スイッチは、エンジン始動をするためのキースイッチをON操作してバッテリ電源が供給されている状態で操作する必要があった。このため上部枠体を昇降させるためには、運転操縦席まで行ってキースイッチをON操作するという作業が強いられることになって作業性が悪いだけでなく、メンテナンス後、キースイッチがON操作されていることを忘れてそのままにしておくと、バッテリが放電してしまうという問題があり、また昇降スイッチがショートした場合にはアクチュエータが駆動し続けるままになるという問題もあり、これらに本発明が解決せんとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、扱室を開閉すべく昇降自在に設けられる開閉体と、該開閉体の昇降作動の動力源となる昇降用アクチュエータと、該昇降用アクチュエータを昇降作動させるたの昇降スイッチと、該各昇降スイッチからの操作指令に基づいて昇降用アクチュエータに対して昇降指令を出力する制御部とを備えて構成される脱穀装置において、前記各昇降スイッチと制御部に電源供給をするための電源供給部とのあいだに、扱室の開放に対応してONになる開放スイッチ手段が直列接続されるようにして設けると共に、電源と制御部とのあいだに、昇降スイッチの一方と開放スイッチ手段とがONになって制御部に電源供給された場合に、電源から制御部への電源供給状態を保持するための自己保持手段を設けたことを特徴とする脱穀装置である。
請求項2の発明は、制御部は、該自己保持手段から電源供給を受けているあいだは、昇降用アクチュエータ以外の他のアクチュエータの作動を禁止するように設定されていることを特徴とする脱穀装置である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明にすることにより、自己保持手段があることで、昇降スイッチを、押している指を離せば自動的にOFFになる自動復帰型のものにして、昇降スイッチOFFへの切換え忘れのないものにできるうえ、昇降スイッチがショートしてON状態のままになっても、開放スイッチ手段がOFFであれば昇降用アクチュエータが作動することがない。
請求項2の発明とすることにより、昇降用アクチュエータの駆動の可能性が有る自己保持手段から電源供給を受けているあいだは、他のアクチュエータの作動が禁止されることになって、不用意に他のアクチュエータが作動することは無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次ぎに、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図中、1はコンバインであって、該コンバイン1は、圃場に植立する茎稈の刈り取りをする前処理部2、該刈り取られた茎稈の脱穀処理および脱穀された扱下し物の選別処理をする脱穀部(脱穀装置)3、脱穀処理された茎稈を細断や結束する等の後処理をする後処理部4、選別処理された穀粒を貯留する貯留タンク(グレンタンク)5、運転操縦席6、クローラ式の走行体7等の各種の部材装置によって構成されていることは何れも従来通りである。
【0007】
前記脱穀部3には、茎稈の搬送をするフィードチエン8、挟扼レール9、扱室10に設けられる扱胴11、受網12、処理室13に設けられる処理胴14、扱室10を覆う天板(上部カバー)15等の各種の部材装置があるが、本実施の形態では、天板15が、扱胴11、排藁搬送チエン16と共に支軸17bを支点として上下揺動して扱室10の閉鎖、開放ができるようになっていて本発明の開閉体を構成しており、以下、この構成について詳述する。
【0008】
前記天板15は、前記扱胴11、排藁搬送チエン16が設けられる上部フレーム17に支軸15aを介して独立して開閉自在に設けられているが、前記上部フレーム17に設けられる支持アーム17aが前記支軸17bを介して開閉揺動されるように脱穀部3に支持されていて前述した本発明の開閉体となっている。支軸16は作動アーム18を介して正逆駆動するアクチュエータ(本実施の形態では電動シリンダが採用されている)19に連動連結され、該アクチュエータ19の伸縮作動によって前記上部フレーム17の開閉揺動ができるようになっている。
【0009】
前記上部フレーム17には、ロックプレート20が支軸20aを介して揺動自在に設けられているが、該ロックプレート20は、支軸20aを支点とする揺動で、ロックプレート20に形成されるロック溝20bが、上部フレーム17に設けたロックピン21に係脱自在に係止するようになっている。22は上部フレーム17に支軸22aを介して揺動自在に支持されるロック解除レバーであって、該ロック解除レバー22は、レバーガイド23によってロック姿勢とロック解除姿勢とに揺動案内されるが、ロック解除姿勢に操作されたロック解除レバー22は、レバーガイド23から折曲する状態で延長形成された係止溝23aに係止することで、ロック解除姿勢に保持できるようになっている。そしてロック解除レバー22がロック解除姿勢に保持されたことを後述するロック解除検知スイッチ(本発明の開放スイッチ手段に相当する)24によって検知できるようになっている。
【0010】
前記ロック解除レバー22は、リンク25、揺動プレート26、リンク27を介して前記ロックプレート20に連動連結されており、そしてロック解除レバー22をロック姿勢からロック解除姿勢に操作することで、ロックプレート20をロック解除姿勢に揺動変姿できるようになっている。さらに本実施の形態では、脱穀部カバー3aに後述する昇降スイッチ28、29が上下に隣接する状態で設けられているが、該昇降スイッチ28、29は、本実施の形態では自動復帰型(押し操作しているあいただけスイッチONし、押し操作をやめると自動的にスイッチOFFになるもの)のものが採用されるが、ヒンジ3bによって開閉自在に構成される蓋体3cによって常時は覆蓋されており、該蓋体3cを持上げ開放することでスイッチ操作(押し操作)できるようになっている。
【0011】
30はマイクロコンピュータを用いて構成される制御部であって、該制御部30は、作業状況に対応した前処理制御、脱穀制御、選別制御等の各種の制御をするものであるが、これらの制御については本発明とは直接関係がないので省略し、以下、前記アクチュエータ19の駆動制御に関連することについて説明する。制御部30のイグニッション端子30aおよび電源端子30bは、キースイッチ(エンジン始動スイッチ)31を介してバッテリ(電源)32に電気的に接続され、キースイッチ31をON操作することで電源供給がなされて起動して始動制御を実行するようになっている。
【0012】
前記バッテリ32からの電源回路32aは分岐されて分岐回路33を備え、該分岐回路33に前記ロック解除スイッチ24が接続されているが、分岐回路33は、バッテリ32からロック解除スイッチ24に至る以前でさらに分岐されて自己保持回路33aが形成されている。そしてこの自己保持回路33aには自己保持手段34、本実施の形態では通電により励磁するコイル34aと、該コイル34aの励磁に基づいてON作動するスイッチ部34bとを備えたリレーで構成されているが、コイル34aは制御部30の自己保持端子30cに接続され、スイッチ部34bは制御部30の前記電源端子30bに接続されている。
【0013】
また、前記分岐回路33は、ロック解除スイッチ24を経由して直接制御部30のロック解除スイッチ端子30dに接続される解除スイッチ回路33bと、上昇操作スイッチ28に至る上昇スイッチ回路33cと、下降操作スイッチ29に至る下降スイッチ回路33dとに分岐され、上昇スイッチ回路33cは制御部30の電源端子30bと上昇スイッチ端子30eとに電気的に接続され、囲うスイッチ回路33dは制御部30の電源端子30bと下降スイッチ端子30fに電気的に接続されており、これによって昇降スイッチ28、29はロック解除スイッチ24とはそれぞれ直列接続されている。
【0014】
そしてロック解除レバー22がロック解除位置保持姿勢にセットされた状態になってロック解除スイッチ24がONの状態で、昇降スイッチ28、29の何れか一方をON操作すると、制御部30には電源端子30bと昇降スイッチ端子30eあるいは30fとにバッテリ32から電源供給がなされ、これによって制御部30は起動し、後述する制御作動を実行するようになっている。
【0015】
一方、制御部30には、上昇出力端子30gと下降出力端子30hとが設けられていて、上昇出力回路35と下降出力回路36とが形成されているが、後述するように上昇出力回路35からの出力があると、該回路35に設けた上昇用リレースイッチ37の励磁コイル37aが励磁して上昇用リレースイッチ37がONになり、これによって前記アクチュエータ19は、バッテリ32からの電源が投入されて上昇駆動をする。また下降出力回路36からの出力があると、該回路36に設けた下降用リレースイッチ38の励磁コイル38aが励磁して下降用リレースイッチ38がONになり、これによって前記アクチュエータ19は、バッテリ32からの電源が投入されて下降駆動をするようになっている。
尚、図中、39はガスダンパ、40は復帰弾機である。
【0016】
次に、前記制御部30の制御手順について、図7のフローチャート図に基づいて説明する。前述したように、ロック解除スイッチ24がONで、かつ昇降スイッチ28、29の何れか一方がON操作されたとき、あるいはキースイッチ31がON操作されたとき、制御部30にはバッテリ32から電源供給がなされ起動(スタート)することになるが、該起動した場合に、必要な情報読み込みをして初期設定されるが、さらに電源供給の原因、つまりキースイッチ31のON操作によるものか、ロック解除スイッチ24と上昇スイッチ28とがONになったことによるものか、ロック解除スイッチ24と下降スイッチ29とがONになったことによるものかの判断がなされる。そして後二者、つまりロック解除スイッチ24と昇降スイッチ28、29の一方とがONになったことによるもの判断された場合に、アクチュエータ19以外のアクチュエータ作動の禁止を実行すると共に、制御部30は、自己保持用リレー34aに電流が流れるべく処理をし、これによって自己保持手段34が閉成状態を保持することになり、これによってバッテリ32からの電流は、オペレータが昇降スイッチ28、29から手を離してOFFにしても、自己保持手段34を介して制御部30に供給され続けるようになっている。そして制御部30は、上昇スイッチ28が操作されたものである場合にはアクチュエータ19の上昇制御を実行し、下降スイッチ29が操作されたものである場合にはアクチュエータ19の下降制御を実行するようになっている。因みに、アクチュエータ19の昇降制御において、上下限に達したことによるアクチュエータ19の駆動停止は、上下限を検知するリミットスイッチによるもの、上下限に達するまでの時間を見越したタイマ時間によるもの、アクチュエータ19が上下限に達したときに増加する負荷を検知するもの等を必要において適宜採用できることは言うまでも無い。
因みに、本実施の形態では、自己保持手段34による電源回路の自己保持を、ロック解除スイッチ24がON操作されたことを要件の一つにしたが、これに換えて扱室開放をする際に操作するセイフティスイッチを別途設け、該セイフティスイッチがONであることに基づいて実施するようにしてもよい。
【0017】
さらに本実施の形態のものでは、制御部30への電源供給が、ロック解除スイッチ24がONで、かつ昇降スイッチ28、29の何れか一方がON操作されたことによる場合では、前記自己保持手段34への電源供給制御を、昇降スイッチ28、29が予め設定されるタイマ時間のあいだないと判断される場合に停止して制御部30への電源供給を停止するように制御している。この場合に、タイマ時間の始動は、電源投入と同時であってもよいし、前記昇降制御の終了に対応させたものであってもよい。
【0018】
一方、制御部30への電源供給がキースイッチ31をONにしたことによる場合、さらにロック解除スイッチ24のON−OFFを判断し、OFFである場合には通常の制御を実行し、ONである場合にはアクチュエータ19以外のアクチュエータの作動を禁止すると共に、昇降スイッチ28、29の何れかがON操作があるか否かの判断がなされ、そして何れか一方がON操作された場合に、該ON操作されたことに対応する昇降制御が実行されるようになっている。
【0019】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、ロック解除レバー22を持上げてロック解除位置に保持すると、ロック解除スイッチ24がONに切換わり、このロック解除状態で上昇スイッチ28を押してON操作すると、バッテリ32からの電源が、キースイッチ31を経由することなく、ロック解除スイッチ24、上昇スイッチ28を経由して制御部30に供給され、これに基づいてアクチュエータ19の上昇制御が実行され、上部フレーム17が上昇して扱室10が開放する。この場合に、制御部30は、該電源供給がキースイッチ31を経由したものでない、つまりイグニッション端子30aからの電源入力がない、あるいはロック解除スイッチ端子30dから電源入力があったの何れかの判断で、扱室10の開放作動を実行していることが判別され、これに基づいて自己保持手段34に電源供給すべく制御し、上昇スイッチ28の押し操作をやめて該上昇スイッチ28がOFFになっても制御部30への電源供給が保持されることになってアクチュエータ19の上昇駆動制御は継続して実行される。また、上部フレーム17の下降制御についても下降スイッチ29を押し操作してロック解除スイッチ24、下降スイッチ29を経由して制御部30に電源供給がなされることで同様にして実行されることになる。
【0020】
このように本発明が実施されたものにあっては、制御部30への電源供給が、キースイッチ31をON操作することなく、ロック解除操作をすることに伴うロック解除スイッチ24のONと、昇降スイッチ28、29をON操作することに基づいてなされるため、いちいち操縦室6に戻ってキー操作する必要がない。この結果、扱室10の開閉制御を操縦席6に戻るという面倒がなく簡単に行えることになって、操作性が向上する。
しかも開閉制御指令を出力する制御部30は、キースイッチ31のON操作がない状態、あるいはロック解除スイッチ24がON操作されたことで電源供給されたと判断することで、自己保持手段34に通電して電源供給を自己保持することになり、この結果、昇降制御の途中で昇降スイッチ28、29をOFFにしても昇降制御は維持されることになって、確実な開閉が実行され、途中で停止してしまうことがない。
【0021】
しかもこのものでは、ロック解除スイッチ24がON状態である場合、キースイッチ31のON−OFFに関係なく昇降用アクチュエータ19以外の他のアクチュエータの作動を禁止するように制御部30が制御することになるため、例えば不用意に作業クラッチが入り状態になって作動してしまうことがない。
【0022】
またこのものでは、自己保持手段34の通電状態を、所定のタイマ時間が経過した後は停止するように制御されるから、上部フレーム17を長時間に亘って上昇し続けておくような場合に、いちいち電源を切るという操作が不要になってバッテリの放電を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】扱室を閉鎖した状態の脱穀部の正面図である
【図3】扱室を開放した状態の脱穀部の正面図である。
【図4】扱室を閉鎖した状態の脱穀部の側面図である。
【図5】扱室を閉鎖した状態の脱穀部の平面図である。
【図6】扱室を閉鎖した状態の脱穀部の斜視図である。
【図7】アクチュエータを駆動するための回路図である。
【図8】制御手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0024】
3 脱穀部(脱穀装置)
10 扱室
17 上部フレーム
17b 支軸
19 アクチュエータ
22 ロック解除レバー
24 ロック解除スイッチ
28 上昇スイッチ
29 下降スイッチ
30 制御部
31 キースイッチ
32 バッテリ
34 自己保持手段
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成18年3月28日(2006.3.28)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫


【公開番号】 特開2007−259753(P2007−259753A)
【公開日】 平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願番号】 特願2006−88953(P2006−88953)