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【発明の名称】 コンバインの搬送装置
【発明者】 【氏名】横田 耕栄

【要約】 【課題】フィードチェーン9で受け継がれた穀稈は、藁押さえ板で強制的に穂先側を下方向に向けて扱胴22に案内されるが、稈量が多くなると水平に近い状態で搬送される。その為に、入口ホイルケース290や扱胴22平面部に突き当たり、穂先側が遅れた状態で扱歯による脱粒が始まることとなり、穂切れや藁屑発生の大きな要因となっている。

【解決手段】脱穀部20の扱室21に扱胴22を備え、該扱胴22の側方にフィードチェーン9を配設して穀稈を搬送するコンバインの搬送装置170において、前記フィードチェーン9の搬送面50の始端側を穀稈搬送方向に対して扱胴側が下がるように左右で傾斜させて、前記搬送面50が後方に進むに従い徐々に水平状態になるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部の扱室に扱胴を備え、該扱胴の側方にフィードチェーンを配設して穀稈を搬送するコンバインの搬送装置において、前記フィードチェーンの搬送面の始端側を穀稈搬送方向に対して扱胴側が下がるように左右で傾斜させて、前記搬送面が後方に進むに従い徐々に水平状態になるように構成したことを特徴とするコンバインの搬送装置。
【請求項2】
前記フィードチェーンの傾斜の後端を扱胴の前後方向中途部としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの搬送装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取部で刈り取った穀稈をフィードチェーンで搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から扱室の外側側方にフィードチェーンを配して、刈取装置によって刈り取られた穀稈を受け継いで、穀稈の穂先側を脱穀装置の扱胴の上方若しくは下方を通過させて脱穀していた。このようなコンバインの脱穀装置においては、穂切れや藁屑の発生を抑える技術は公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭57−41049号公報
【特許文献2】実開昭56−22415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような従来の脱穀装置において、フィードチェーンで受け継がれた穀稈は、藁押さえ板である挟扼杆で強制的に穂先側を下方向に向けて扱胴に案内されるが、正面視においてフィードチェーンの連結軸の軸心が扱胴側を下げて傾斜した配置とする場合、前端から後端まで同じ傾斜角度で穀稈が搬送されるため、脱穀装置後部に配置されるカッター装置等の排藁処理装置に搬送されるときには、穂先側が下がるので株元側は先に搬送されて、処理精度が悪くなる。また、正面視において、フィードチェーンの連結軸の軸心を水平方向に配置すると、穀稈も水平方向に支持されて搬送されるため、入口ホイルケースや扱胴平面部に突き当たり、穂先側が遅れた状態で扱歯による脱粒が始まることとなり、穂切れや藁屑発生の大きな要因となっている。
また、扱室入口部のフィードチェーンの位置を下げれば突き当たりを減少させることが考えられるが、そうした場合扱歯の作用位置が遠くなり穂先遅れや扱残しの原因となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、脱穀部の扱室に扱胴を備え、該扱胴の側方にフィードチェーンを配設して穀稈を搬送するコンバインの搬送装置において、前記フィードチェーンの搬送面の始端側を穀稈搬送方向に対して扱胴側が下がるように左右で傾斜させて、前記搬送面が後方に進むに従い徐々に水平状態になるように構成したものである。
【0006】
請求項2においては、前記フィードチェーンの傾斜の後端を扱胴の前後方向中途部としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0008】
請求項1においては、脱穀部の扱室に扱胴を備え、該扱胴の側方にフィードチェーンを配設して穀稈を搬送するコンバインの搬送装置において、前記フィードチェーンの搬送面の始端側を穀稈搬送方向に対して扱胴側が下がるように左右で傾斜させて、前記搬送面が後方に進むに従い徐々に水平状態になるように構成したことにより穀稈は常に斜め下方向に向いた状態で供給されるため、入口ホイルケースや扱胴への突き当たりも少なくなりスムーズに搬送される。そのため穂切れや藁屑発生を少なくすることができる。また一本のチェーンで対応が可能であるため、コスト低減が可能となる。
【0009】
請求項2においては、前記フィードチェーンの傾斜の後端を扱胴の前後方向中途部としたことにより扱胴の前後中途部からフィードチェーンにより穀稈も水平方向に支持されるため、穀稈が折れ曲がり、穀稈束は広げられ扱き残しを減少して脱穀性能を向上できる。そして、扱胴後部では排稈が水平方向となるため、スムーズに排藁処理装置へ供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体右側面図、図2は同じく全体平面図、図3は同じく全体左側面図、図4は脱穀部および選別部の右側面模式図、図5はエンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図、図6は穀稈搬送装置の側面図、図7は挟扼杆を示す側面図、図8は扱胴供給始端部の構成を示す正面図、図9はガイド板の斜視図、図10はリンクプレートの斜視図である。
【0011】
まず、本発明に係るコンバインの全体構成について、図1から図5を用いて説明する。
クローラ式走行装置1上には機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前端に引起し・刈取部3が昇降可能に配設されている。該引起し・刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。
【0012】
刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元側が穀稈搬送装置170のフィードチェーン9に受け継がれ、扱胴供給始端部280を介して脱穀部20に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁搬送チェーン10を備える排藁搬送装置320が配設され、該排藁搬送チェーン10後部下方には排藁カッター装置321、拡散コンベア等からなる排藁処理部11が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0013】
また、前記脱穀部20側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には操縦部を覆う運転室14が配設されている。つまり、運転室14は進行方向機体右前方に配置されている。一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にして排出オーガ15及びグレンタンク13が側方へ回動可能とし、グレンタンク13を側方へ回動することにより本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
【0014】
そして、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16の後部が縦オーガ15aの下部に連通されるとともに、該排出コンベア16後部から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部20下方には、選別部30が配設され、脱穀部20から流下する穀粒や藁屑等(以下「処理物」とする)から穀粒を選別し、精粒を前記グレンタンク13に搬送したり、藁屑等を機外に排出したり前記グレンタンク13に搬送するようにしている。
【0015】
ここで、エンジン60からグレンタンク13および排出オーガ15への駆動力伝達経路について、図5を用いて説明する。
エンジン60の前方出力軸60aは、クローラ式走行装置1を駆動するための走行用ミッションケース(図示せず)の入力軸と連結され、クローラ式走行装置1へ駆動力を伝達する。一方、後方出力軸60bには、脱穀部20や選別部30へ駆動力を伝達するためのプーリ62と、グレンタンク13および排出オーガ15へ駆動力を伝達するためのプーリ63とが嵌設されている。該プーリ62は、カウンターケース108から突出する入力軸108aに固設された入力プーリ109にVベルト110を介して連結され、該カウンターケース108の入力軸108aにエンジン60の駆動力の一部が伝達されるようにしている。こうして、エンジン60からの動力をカウンターケース108を介して各処理系に伝達し、扱胴22や唐箕32、一番コンベア41、フィードチェーン9、引起し・刈取部3の搬送装置や刈刃7等を駆動可能としている。カウンターケース108は各処理系へ適正速度を分配可能とするものであり、図2に示すように、エンジン60の左側方、且つ脱穀部20の前方に配設されている。
【0016】
また、グレンタンク13の底部前面はエンジン60の略後方に位置し、該グレンタンク13の底部前壁面には駆動部となる駆動ケース64が配設されている。そして、駆動ケース入力軸65が駆動ケース64から機体前方へ突出し、駆動ケース入力軸65の前端にはプーリ66が嵌設される。
【0017】
前記後方出力軸60b後端に嵌設されたプーリ63と、駆動ケース入力軸65前端に嵌設されたプーリ66とにVベルト67が巻回され、エンジン60の駆動力の一部が駆動ケース64の入力軸65に伝達される。
【0018】
また、プーリ63とプーリ66の間には、Vベルト67のテンションプーリを兼ねるオーガクラッチ68が設けられ、駆動力を駆動ケース64より下流側へ伝達・遮断可能に構成される。
【0019】
駆動ケース64内には互いに噛合する平歯車69a・69bが収納されており、平歯車69aは駆動ケース64に軸支された前記入力軸65の後端に外嵌固定され、平歯車69bは排出コンベア16の前端に嵌設された回転軸であるコンベア駆動軸70に外嵌固定される。
【0020】
排出コンベア16の後端にはベベルギア71が嵌設され、縦オーガ15a内のスクリュー式の縦送りコンベア72下端に嵌設されたベベルギア73と噛合している。一方、縦送りコンベア72上端にはベベルギア74が嵌設され、該ベベルギア74と噛合するベベルギア75、チェーンやスプロケットを内設する中間ケース76、続いてベベルギア77・78を経て穀粒排出オーガ15内のスクリュー式の横送りコンベア79を回転駆動する。
【0021】
このように構成することにより、グレンタンク13に貯溜された穀物は排出コンベア16により後方に搬送され、グレンタンク13後方に位置する縦オーガ15aを経て、穀粒排出オーガ15先端から強制的に排出される。
【0022】
次に、脱穀部20について図4を用いて説明する。
脱穀部20に形成された扱室21には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴22が設けられ、該扱胴22の外周面には扱歯22a・22a・・・が植設されている。そして、該扱胴22の下部周辺を覆うように半円形状の受網23が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン9により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端(穂先)側が扱胴22の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴22の回転により脱粒が行われ、受網23から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0023】
前記扱室21を被覆する扱室カバー21aの内周面には送塵弁24が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されている。そして、該送塵弁24を回動操作することにより、穀稈が扱室21内を移動する時間を穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整することを可能としている。
【0024】
そして、前記扱胴22の後部の側方(グレンタンク13側、本実施例では機体進行方向右側)から後方には、処理室25が形成され、該処理室25内には略円柱形状に構成した送塵口処理胴26が扱胴22と平行となるように、扱胴22の後部の側方で前後方向に横架・軸支されている。また、扱胴22を覆って扱室21を形成する扱胴ケースの後部(右)側面、及び、送塵口処理胴26を覆って処理室25を形成する処理胴ケースの前部(左)側面には送塵口27が開口され、扱室21と処理室25が連通されている。そして、該送塵口処理胴26の下部周辺を覆うように半円形状の処理胴網28が周設されている。こうして、扱胴22で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口27より処理室25内に搬送されて処理され、前記処理胴網28に設けられた孔(網目)を通過して処理物のみが漏下するようにしている。
【0025】
また、送塵口処理胴26の後端部の外周面には前後に長い板体より成る羽体26aが固設されている。該羽体26aは、該送塵口処理胴26と一体的に回転し、送塵口処理胴26により処理室25後方まで搬送されてきた藁屑は該羽体26aの回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴26の下方に排出され、図示せぬガイド板によって機体外部に案内される。
【0026】
前記処理胴網28の下方には、送塵搬送コンベア29が前後方向に軸架されている。送塵搬送コンベア29はスクリュー式のコンベアであり、該送塵搬送コンベア29によって、処理胴網28に設けられた孔(網目)を通過して下方に落下してきた処理物は、機体前方(すなわち、送塵口処理胴26の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送されて、送塵搬送コンベア29前端に設けられた排塵口29aより選別部30に再投入される。
【0027】
そして、前記扱胴22の後方には出口仕切板52が配設され、該出口仕切板52の下部であって扱胴受網23の延長線上後方には篩分装置120が配設されて、稈切れの防止が図られている。
【0028】
続いて、選別部30について、図4を用いて説明する。
選別部30においては、揺動選別装置31による揺動選別と唐箕32による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0029】
揺動選別装置31は機枠33内に収納される。揺動選別装置31の前端部は扱胴22の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置31の後端部は送塵口処理胴26後端部の下方まで延出されるように揺動選別装置31の前後長さが定められている。そして、揺動選別装置31前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には揺動駆動機構34が設けられ、揺動駆動機構34によって揺動選別装置31が機枠33に対して揺動するように構成されている。
【0030】
揺動選別装置31の前部には前流穀板35が設けられるとともに、該前流穀板35の後下方に後流穀板36が設けられる。該前後の流穀板35・36は板状の部材を波形に成形したものであり、受網23を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は前後の流穀板35・36上に落下し、揺動選別装置31の揺動により機体後方に搬送される。そして、前記後流穀板36後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ37が連設されるとともに、該グレンシーブ37と前記後流穀板36の上方、かつ前流穀板35の後方には、第一選別部であるチャフシーブ38が被装されている。チャフシーブ38の後方には、ストローラック39が配設される。
【0031】
こうして、穀粒および細かい藁屑はチャフシーブ38を通過して下方に落下し、チャフシーブ38の開口よりも大きい藁屑等は後方に搬送される。このとき、チャフシーブ38とグレンシーブ37との間には唐箕32により選別部30の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0032】
また、前記揺動選別装置31の前流穀板35後部下方かつ後流穀板36前部下方に唐箕32が配置され、チャフシーブ38やグレンシーブ37に選別風を送風するようにしている。さらに、一番コンベア41と二番コンベア42との間にも副圧送ファンであるセカンドファン43が設けられて選別風を送風し、唐箕32による選別風の風力が弱まる選別部30後部においても風選別による選別性能が低下しないようにしている。
【0033】
そして、揺動選別装置31の後端部近傍には吸引ファン40が全幅に横設され、前記唐箕32、セカンドファン43から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃等を、該吸引ファン40により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0034】
また、図4に示すように、前記揺動選別装置31下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア41と二番コンベア42とが横設される。一番コンベア41と二番コンベア42との位置関係は、一番コンベア41が唐箕32に近い側(機枠33の前部)、二番コンベア42が唐箕32から遠い側(機枠33の後部)となる。
【0035】
一番コンベア41の右端部にはその長手方向(搬送方向)が略上下方向となるように設けられた揚穀コンベア44が連結され、該揚穀コンベア44の上端はグレンタンク13内と連通している。
【0036】
選別部30内に投入され、前流穀板35上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、チャフシーブ38上に漏下される過程で唐箕32により発生する選別部30の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。チャフシーブ38上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、揺動選別装置31の揺動により、後方に搬送される、このとき、穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等はチャフシーブ38の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ38後方まで搬送され、ストローラック39を経て機外に排出される。
【0037】
チャフシーブ38の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等は後流穀板36およびグレンシーブ37上に漏下される。このときにも唐箕32からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0038】
グレンシーブ37上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等のうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等はグレンシーブ37を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部46(流穀板45の後方に設けられた選別部30底面の窪みであり、一番コンベア41が収容されている)に回収され、一番コンベア41から揚穀コンベア44を経て、グレンタンク13に搬送される。
【0039】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒等が混じった未処理粒は、唐箕32からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部47(一番回収部46の後方に設けられた選別部30底面の窪みであり、二番コンベア42が収容されている)に回収され、二番コンベア42から二番還元コンベア48を経て、枝梗処理胴49に搬送され、該枝梗処理胴49により枝梗が除去された後、前流穀板35上(またはチャフシーブ38上)に再投入される。
【0040】
次に、穀稈搬送装置170について図6から図10を用いて説明する。
穀稈搬送装置170は、上述の脱穀部20において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、引起し・刈取部3で刈り取った穀稈を排藁搬送装置320の排藁搬送チェーン10まで搬送するフィードチェーン9と、該フィードチェーン9上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆171と、該挟扼杆171を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体172・172・・・等とから構成されている。
【0041】
この穀稈搬送装置170においては、対向配置される挟扼杆171とフィードチェーン9とによって、引起し・刈取部3で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室21内の扱胴22によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆171とフィードチェーン9とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部20にて脱粒された後の排藁は、フィードチェーン9の後端部(下流側端部)において、排藁搬送装置320の排藁搬送チェーン10へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン10によって排藁処理部11へと搬送される。
【0042】
挟扼杆171は、扱室カバー21aの機体進行方向左側端部においてステー173・173等によって固設される支持杆174と、該支持杆174に複数の弾性支持体172・172・・・を介して弾性支持されて設けられている。この挟扼杆171は、フィードチェーン9に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、該フィードチェーン9による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0043】
支持杆174は、中空の柱状部材であり、扱室カバー21a内左側において前後方向に長く、挟扼杆171と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆174には一定間隔ごとに弾性支持体172・172・・・がその上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体172・172・・・の下部に挟扼杆171が弾性支持されている。この弾性支持体172の下部は、挟扼杆171に連結ピン175で枢支されており、該弾性支持体172の上部は支持杆174よりも上方に延出されている。そして、挟扼杆171がフィードチェーン9側へ常に付勢され、搬送される穀稈を挟扼できる構成としているのである。
【0044】
次に、本発明に係る穀稈搬送装置170について説明する。
図6に示すように、フィードチェーン9は一個のチェーンが巻回されており、扱胴22の機体進行方向左側端部で前低後高に傾斜状に配置している。
【0045】
また、図8に示すように、扱胴供給始端部280近傍のフィードチェーン9における搬送面50が搬送方向に対して扱胴側が若干(約15度程度)下がるように傾斜を持たせるように配置している。搬送面50の傾斜はフィードチェーン9の始端部から扱胴供給始端部280近傍まで続き、それより後方から扱胴22の中途部近傍までに徐々に搬送面50が水平状態にもどるように形成されている。
即ち、具体的に説明すると、図6において、フィードチェーン9は搬送フレーム等に支持された駆動スプロケット193と従動スプロケット194・194とテンションスプロケット195に巻回されている。搬送面50側のフィードチェーン9aは前端の従動スプロケット194と後部上に配置した従動スプロケット194との間に巻回される。側面視において、扱胴22前端下方に駆動スプロケット193が配置されている。そして、前記搬送面50の下側には長帯状のプレートにより構成されるガイド板192が配置され、該ガイド板192上に図10に示すフィードチェーン9の連結軸198上のローラ197が配置されて転動するようにしている。
該ガイド板192は図9に示すように、板面の前部が扱胴側が下がるように最大傾斜(角度θ)され、後方に向かって徐々に水平方向となるように捩じられた構成としている。この水平となる位置、つまり、フィードチェーン9の傾斜の後端は側面視において、扱胴22の前後方向中途部としている。つまり、図6においては、前端の従動スプロケット194の後部から挟扼杆171の前後中途部までのLの間ガイド板192が捩じられた構成としている。該ガイド板192の下面が図8に示すフィードチェーン支持フレーム190により支持されている。なお、フィードチェーン9は図10に示すように、搬送方向にリンクプレート196を左右一対配置して、前後のリンクプレート196を連結軸198で枢結し、該連結軸198上にローラ197を回転自在に外嵌している。そして、連結軸198とリンクプレート196との間には若干の遊び(隙間、または、ガタ)を有しているため、前後方向に長いフィードチェーン9が多少捩じられても十分に許容される。
【0046】
また、フィードチェーン9の搬送面50上には上述したように前記挟扼杆171が対向して配置され、該挟扼杆171が扱室カバー21aにバネを介して弾性支持され、図6に示すように、フィードチェーン9は挟扼杆171の下方に配置してアンダーチェーン型としている。前記挟扼杆171は、前後方向に短い複数の杆を枢結して、それぞれバネによってフィードチェーン171側に付勢されている。この挟扼杆171とフィードチェーン9とで穀稈の株元側を挟持し、フィードチェーン9を回動することによって後方に搬送する。よって、前記引起し・刈取部3で刈り取られた穀稈は、フィードチェーン9に受け継がれ搬送される。
【0047】
このような構成において、刈り取られた穀稈が大量に扱胴22に搬送された場合に、挟扼杆171の付勢が十分に働かずに穂先が水平状態になることがあるが、扱胴供給始端部280近傍のフィードチェーン9の搬送面50に傾斜を設けたことによって、穀稈がやや斜め下方向を向いて扱胴22内にスムーズに入っていくようになり、入口ホイルケース290との衝突等も抑えられるため、扱残しがなくなり、脱粒精度が向上するのである。
【0048】
すなわち、脱穀部20の扱室21に扱胴22を備え、該扱胴22の側方にフィードチェーン9を配設して穀稈を搬送するコンバインの搬送装置170において、前記フィードチェーン9の搬送面50の始端側を穀稈搬送方向に対して扱胴側が下がるように左右で傾斜させて、前記搬送面50が後方に進むに従い徐々に水平状態になるように構成したことにより穀稈は常に斜め下方向に向いた状態で供給されるため、入口ホイルケース290や扱胴22への突き当たりも少なくなりスムーズに搬送される。そのため穂切れや藁屑発生を少なくすることができる。また一本のチェーンで対応が可能であるため、コスト低減が可能となる。
さらに、前記フィードチェーン9の傾斜の後端を扱胴22の前後方向中途部としたことにより扱胴22の前後中途部からフィードチェーン9により穀稈も水平方向に支持されるため、穀稈が折れ曲がり、穀稈束は広げられ扱き残しを減少して脱穀性能を向上できる。そして、扱胴22後部では排稈が水平方向となるため、スムーズに排藁処理装置11へ供給することができるのである。
【0049】
また、本発明においては、図8に示すようにフィードチェーン9の上部搬送部9aと下部搬送部9bを鉛直方向に配置している。
【0050】
このような構成において、搬送装置全体を傾斜させる場合は、機体幅が広がり、かつ大掛かりなものとなり部品点数が多くなってしまう。そのためコストアップを余儀なくされていたが、本発明においては上部搬送部9aに傾斜をつけて、かつ上部搬送部9aと下部搬送部9bとを鉛直方向に配置する構成にしたことにより機体幅を広げる必要が無いのである。
【0051】
すなわち、前記フィードチェーン9の上部搬送部9aと下部搬送部9bとを略鉛直方向に配置したことにより機体幅の広がりが抑えられ、コスト低減が可能となる。
【0052】
なお、本実施例では扱胴供給始端部280近傍のフィードチェーン9の搬送面角度を15度程度としているが、特にこれに限るものではなく穀稈の大きさや脱穀部20の装置構成等に応じて角度調整しても構わない。また、フィードチェーンフレーム190の一部を回動自在にして随時角度調整をできるような構成としても構わない。
また、本実施例では図6に示すように挟扼杆171の下方にフィードチェーン9を配置してアンダーチェーン型としているが、フィードチェーン9を上方に、挟扼杆171をその下方に対向して配したオーバーチェーン型においても、前記と同様に扱胴供給始端部280近傍のフィードチェーン9の搬送面50を傾斜させて徐々に水平状態に戻すといった構成にしても構わない。また、上扱き式とする場合にも本発明を適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体右側面図。
【図2】同じく全体平面図。
【図3】同じく全体左側面図。
【図4】脱穀部および選別部の右側面模式図。
【図5】エンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図。
【図6】穀稈搬送装置の側面図。
【図7】挟扼杆を示す側面図。
【図8】扱胴供給始端部の構成を示す正面図。
【図9】ガイド板の斜視図。
【図10】リンクプレートの斜視図。
【符号の説明】
【0054】
9 フィードチェーン
9a 上部搬送部
9b 下部搬送部
20 脱穀部
21 扱室
22 扱胴
50 搬送面
170 穀稈搬送装置
280 扱胴供給始端部
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【出願日】 平成18年3月9日(2006.3.9)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎


【公開番号】 特開2007−236301(P2007−236301A)
【公開日】 平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願番号】 特願2006−64115(P2006−64115)