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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】石田 健之

【要約】 【課題】穀粒排出螺旋軸の軸端に固設した従動プーリと、駆動力入力側の駆動プーリとの間に係回したVベルトを、緊張状態と弛緩状態に切換えるテンションクラッチを備えたコンバインのベルト伝動装置において、前記Vベルトをベルトガイドの上側を通さずに誤って下側を通してしまうことによるテンションクラッチの作動不良や、場合によってはVベルトの破損が発生するといった不具合が起こることを防止する。

【解決手段】棒状のベルトガイド43の基端部を穀粒タンク17または機体12に支持すると共に、当該ベルトガイド43の先端部を機体12の構造物44に対してVベルト34の幅Wよりも近づけて配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリ(28)と従動プーリ(33)に係回したベルト(34)を緊緩するテンションクラッチ(35)を備えるベルト伝動装置(31)によって、機体(12)に搭載した穀粒タンク(17)底部の穀粒排出螺旋を回転駆動させるコンバインにおいて、前記ベルト(34)の緊緩切換時の外れを防止するベルトガイド(43)を設けるにあたり、該ベルトガイド(43)の基端部を穀粒タンク(17)または機体(12)に支持すると共に、ベルトガイド(43)の先端部を機体(12)の構造物(44)に対してベルト(34)の幅(W)よりも近づけて配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
駆動プーリ(28)を機体(12)の内方側に、従動プーリ(33)を機体(12)の外方側に配置すると共に、ベルトガイド(43)を従動プーリ(33)の回転軸(32)より機体(12)の内方側に設けた請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの穀粒タンク底部に備える穀粒排出螺旋を回転駆動させるベルト伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいては、脱穀部で選別された穀粒を一時的に貯留する穀粒タンクを、この穀粒タンク底部の穀粒排出螺旋軸の軸心周りに、穀粒を貯留する直立姿勢状態と、機体の外側に向けて所定角度だけ傾ける傾倒姿勢状態とに亘り揺動可能に構成すると共に、穀粒排出螺旋軸の軸端に固設した従動プーリと、駆動力入力側の駆動プーリとの間に係回したVベルトを、テンションプーリにより緊張状態と弛緩状態に切換えるテンションクラッチを備えたベルト伝動装置を設け、更にテンションクラッチがオフの状態で弛緩状態にあるVベルトを緊張状態に切換える時、当該Vベルトの外れを防止するために駆動プーリと従動プーリの外周に近接し、且つ両プーリの外周側に先端部が臨むように丸棒で形成したベルトガイドを複数箇所設けたものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平1−130630号公報(第3図−第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1の穀粒タンクと脱穀部との間に設けられている伝動装置の点検や修理等のメンテナンス作業を行う際は、先ず従動プーリの外周からVベルトを取り外して駆動プーリ側にのみVベルトを係回した状態とし、しかる後に直立姿勢状にある穀粒タンクを、その底部の穀粒排出螺旋軸の軸心周りに機体の外側に向け所定角度だけ傾けた傾倒姿勢状態として作業空間を確保する。そして、メンテナンス作業を終了すると穀粒タンクを直立姿勢状に復帰させた後、再びVベルトを従動プーリに係回する。
【0004】
しかし、その際、両プーリの外周側に複数箇所設けられているベルトガイドのうち、従動プーリ外周の下部近傍で機体の内方側に設けられているベルトガイドの機体外方からの
視認性が極めて悪く、且つ作業スペースが狭いことから、Vベルトを当該ベルトガイドの上側を通さずに誤って下側を通してしまうことがある。そして、それに気付かずにVベルトの内周面がベルトガイドに強固に摺接した緊張状態での運転が繰り返されると、Vベルトの著しい伸びによるテンションクラッチの作動不良や、場合によってはVベルトの破損が発生するといった不具合を起こす虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的として創案した請求項1の発明は、駆動プーリと従動プーリに係回したベルトを緊緩するテンションクラッチを備えるベルト伝動装置によって、機体に搭載した穀粒タンク底部の穀粒排出螺旋を回転駆動させるコンバインにおいて、前記ベルトの緊緩切換時の外れを防止するベルトガイドを設けるにあたり、該ベルトガイドの基端部を穀粒タンクまたは機体に支持すると共に、ベルトガイドの先端部を機体の構造物に対してベルトの幅よりも近づけて配置したことを第1の特徴としている。
【0006】
そして、請求項2の発明は、駆動プーリを機体の内方側に、従動プーリを機体の外方側に配置すると共に、ベルトガイドを従動プーリの回転軸より機体の内方側に設けたことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、穀粒タンク底部の穀粒排出螺旋を回転駆動させる駆動プーリと従動プーリに係回したベルトを緊緩するテンションクラッチを備えるベルト伝動装置に、前記ベルトの緊緩切換時の外れを防止するベルトガイドを設けるにあたり、該ベルトガイドの基端部を穀粒タンクまたは機体に支持すると共に、ベルトガイドの先端部を機体の構造物に対してベルトの幅よりも近づけて配置したことによって、点検や修理等のメンテナンス作業等において一旦両プーリのうち一方のプーリからVベルトを取り外し、メンテナンス作業が終了した後に再びベルトを当該プーリに係回する際、ベルトガイドの先端部と機体の構造物との隙間にベルトが嵌らないので、注意不足によりベルトガイドの下側にベルトを通してしまうことはない。したがって、従来のようにベルトをベルトガイドの下側に誤って通し、それに気付かずにベルトの内周面がベルトガイドに強固に摺接した緊張状態での運転を繰り返して、ベルトの著しい伸びによるテンションクラッチの作動不良や、場合によってはベルトの破損が発生するといった不具合が起こることを解消できるようになる。
【0008】
そして、請求項2の発明によれば、駆動プーリを機体の内方側に、従動プーリを機体の外方側に配置すると共に、ベルトガイドを従動プーリの回転軸より機体の内方側に設けたものであることから、特に機体の外方からのベルトガイドの視認性が従来は極めて悪かったが、ベルトガイドの視認性が改善され、作業スペースが狭い当該ベルトガイドの下方に誤ってベルトを通してしまうといった不具合が起こることを確実に防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るコンバイン11の右側面図、図2は、コンバイン11の平面図である。
【0010】
コンバイン11は、機体12の下方に左右一対のクローラ走行装置13を有し、このクローラ走行装置13の作動によって走行及び旋回可能に構成されると共に、機体12の左右一側に運転席14、他側に脱穀部15、また機体12の前方に穀稈を刈取る前処理部16を昇降自在に支持している。
【0011】
そして、脱穀部15において刈取穀稈から穀粒を脱穀して選別し、この選別済みの穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク17を運転席14の後方の機体12上に搭載している。更に、脱穀部15及び穀粒タンク17の後方には、脱穀済みの排稈を排出処理する後処理部18を設けている。
【0012】
また、穀粒タンク17内に貯留された穀粒は、該穀粒タンク17の後面下端部に固設した図示しない固定パイプと、この固定パイプに回動可能に接続した縦パイプ21と、該縦パイプ21の上端に一体旋回可能に接続すると共に起伏動作可能な穀粒排出オーガ22を経由して機外に排出できるようになっている。尚、図2(コンバイン11の平面図)には、折畳み式穀粒排出オーガ22を例示している。そして、穀粒タンク17は、縦パイプ21の縦軸心Y中心に、実線でしめす収納位置から二点鎖線で示す開放位置に亘り回動自在に支持されている。
【0013】
更に詳しくは、運転席14下方の機体12上に搭載したエンジンからの動力は、図示しないベルト伝動装置を介して図3に示すカウンタケース26の入力プーリ27に伝達され、次いでカウンタケース26の出力プーリ28を駆動プーリとするベルト伝動装置31、
即ち機体12の内方側に配置した駆動プーリ28と、穀粒タンク17底部に備える図示しない穀粒排出螺旋の回転軸32の軸端に固設(機体12の外方側に配置)した従動プーリ33と、両プーリ28,33に係回したVベルト34と、該Vベルト34を緊緩するテンションクラッチ35等を備える当該ベルト伝動装置31を介して穀粒排出オーガ22へ伝達されるようになっている。
【0014】
そして、上述したテンションクラッチ35は、図4に示すように、カウンタケース26に基端部を軸支して回動自在なクラッチアーム36と、このクラッチアーム36の先端に設けたテンションプーリ37、及び当該テンションクラッチ35を常時は切側に付勢する引張スプリング38等からなり、Vベルト34の緊緩切換は、運転席14の左側後方に設けた穀粒排出クラッチレバー39を入/切操作し、図示しないワイヤを介してクラッチアーム36を回動させることによって行なわれるようになっている。
【0015】
また、ベルト伝動装置31を構成する駆動プーリ(出力プーリ)28の外周近傍には、プレートを略コの字状に折り曲げ形成したベルトガイド41が、当該駆動プーリ28を包み込むようにカウンタケース26に取り付けてあって、このベルトガイド41によって駆動プーリ28側からVベルト34が外れることを防いでいる。
【0016】
そして、上述したテンションクラッチ35によるVベルト34の緊緩切換時の外れを防止するための棒状のベルトガイド42,43を従動プーリ33側に設けるにあたり、これら棒状のベルトガイド42,43の基端部を穀粒タンク17の前側の側板17aに支持して、両ベルトガイド42,43の先端を従動プーリ33外周の上部と下部近傍に臨ませて延出すると共に、下側のベルトガイド43の先端部43aを、機体12の構造物である側面視L字状のプレート、具体的には、穀粒タンク17を収納位置で位置決めする図示しない係止ピンの係止部材44に対して、当該Vベルト34の幅Wよりも近づけて配置し、その隙間W1がW>W1(図4参照)となるよう構成している。尚、前記W1は、Vベルト34の厚さよりも狭いことが好ましく、また、両ベルトガイド42,43の基端部を機体12に支持するように構成してもよい。
【0017】
即ち、点検や修理等のメンテナンス作業等において一旦両プーリ28,33のうち一方のプーリ33からVベルト34を取り外し、メンテナンス作業が終了した後に再びベルト34を当該プーリ33に係回する際、ベルトガイド43の先端部43aと機体12の構造物44との隙間W1にVベルト34が嵌らないので、注意不足によりベルトガイド43の下側にベルト34を通してしまうことはない。したがって、従来のようにVベルト34をベルトガイド43の下側に誤って通し、それに気付かずにVベルト34の内周面がベルトガイド43に強固に摺接した緊張状態での運転を繰り返して、Vベルト34の著しい伸びによるテンションクラッチ35の作動不良や、場合によってはVベルト34の破損が発生するといった不具合が起こることを解消できるようになる。
【0018】
更に、駆動プーリ28を機体12の内方側に、従動プーリ33を機体12の外方側に配置すると共に、ベルトガイド43を従動プーリ33の回転軸32より機体12の内方側に設けたものであることから、特に機体12の外方からのベルトガイド43の視認性が従来は極めて悪かったが、ベルトガイド43の先端を機体12の構造物である係止部材44に近づけて延出することにより、ベルトガイド43の先端の視認性が改善され、作業スペースが狭い当該ベルトガイド43の下方に誤ってベルト34を通してしまうといった従来の不具合が起こることを確実に防止できるようになる。
【0019】
ところで、図5(a)に示すように、点検や修理等のメンテナンス作業が終了した後に、実線で示す開放位置にある穀粒タンク17を再び二点鎖線で示す収納位置に閉じようとすると、穀粒タンク17下部の左前側の角部EがVベルト34に当たり、当該Vベルト34が奥側(機体12の内方側)に押しやられることがあるので、図5(b)に示すようにVベルト34に対する適切な案内板45を設けてもよい。
【0020】
また、図6は、図2に例示した折畳み式穀粒排出オーガ22の連結部の構造を示したものであって、この折畳み式穀粒排出オーガ22の基端部側移送筒22aの終端には、基端側螺旋軸51aを軸支する軸受け部52を固設する一方、折畳み式穀粒排出オーガ22の先端部側移送筒22bの基端には、先端側螺旋軸51bを軸支する軸支部53aを一体に形成した鋳物製の連結部材53を備えている。
【0021】
しかし、上述した鋳物製の連結部材53は、成形及び組立誤差等により、その内筒側のエッジeに基端部側移送筒22aの終端との段差が生じやすく、特に前記エッジeが基端部側移送筒22aの終端よりも高い段差になると穀粒の搬送不良に繋がる虞があることから、当該エッジeには面取りを施している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】ベルト伝動装置の構成を示す正面図。
【図4】ベルト伝動装置の構成を示す側面図。
【図5】(a),(b)Vベルトに対する案内板の作用形態を示す平面図。
【図6】折畳み式穀粒排出オーガの連結部の構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0023】
12 機体
17 穀粒タンク
28 駆動プーリ
31 ベルト伝動装置
32 回転軸
33 従動プーリ
34 ベルト
35 テンションクラッチ
43 ベルトガイド
44 構造物
W 幅(ベルト)
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成18年1月10日(2006.1.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−181430(P2007−181430A)
【公開日】 平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願番号】 特願2006−1964(P2006−1964)