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【発明の名称】 コンバインの穀粒タンク
【発明者】 【氏名】舟木 大輔

【氏名】板持 透

【要約】 【課題】穀粒排出螺旋の搬送始端部と、この搬送始端部に対向する穀粒タンクの内壁との間に形成される空隙に穀粒が侵入して堆積し、それらの穀粒が回転駆動する穀粒排出螺旋の搬送始端部のエッジに揉まれて損傷するといった不具合の発生を軽減する。

【解決手段】穀粒タンク14の底部に備える穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aと、該搬送始端部Aに対向する穀粒タンク14の側壁14aとの間に形成される空隙Sに穀粒が侵入することを抑制すべく、前記空隙Sを上方から覆うカバー体41a,41b,51,61,71を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンク(14)の底部に備える穀粒排出螺旋(37)の搬送始端部(A)と、該搬送始端部(A)に対向する穀粒タンク(14)の側壁(14a)との間に形成される空隙(S)を上方から覆うカバー体(41a,41b,51,61,71)を設けたことを特徴とするコンバインの穀粒タンク。
【請求項2】
カバー体(41a,41b)が、穀粒排出螺旋(37)の上方に設けた流板(41)の穀粒排出螺旋(37)の搬送始端部(A)に対応する部位を、穀粒タンク(14)の左右の側壁(14c,14d)に近接させた構成であるか、または穀粒タンク(14)の左右の側壁(14c,14d)に近接する前記流板(41)の先端に、穀粒タンク(14)の左右の側壁(14c,14d)に摺接するシール部材(72)を取り付けた構成である請求項1に記載のコンバインの穀粒タンク。
【請求項3】
カバー体(51,61,71)が、穀粒排出螺旋(37)の搬送始端部(A)に対向する穀粒タンク(14)の側壁(14a)から穀粒排出螺旋(37)の搬送方向に下がり傾斜、且つ穀粒排出螺旋(37)の搬送始端部(A)側における螺旋体(36)の1/2巻き以上搬送方向に延出すると共に、左右両端部を穀粒タンク(14)の左右の側壁(14c,14d)に密着させた構成である請求項1に記載のコンバインの穀粒タンク。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの穀粒タンクの底部に備える穀粒排出螺旋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインに搭載される穀粒タンクの底部には、穀粒排出螺旋を横設すると共に、その上部には、山形状の断面形状を有する流板が設けてあり、該流板によって穀粒タンク内に貯溜される穀粒の重量が穀粒圧として穀粒排出螺旋に直接的にかかることを防ぎ、当該穀粒排出螺旋の回転に過大な負荷を与えることなくスムーズに穀粒を機外に搬送排出できるようにしている。
【0003】
そして、水分を多く含んだ籾や、濡れた穀粒が穀粒タンクに貯溜されると、その重量により穀粒タンク下方の漏斗状に形成された側壁と流板との間に穀粒が固く詰まる、所謂ブリッジ現象を生じ、穀粒排出螺旋を回転させても穀粒を連続的に排出することができないようになることから、穀粒排出螺旋の回転に連係するカム機構を介して当該流板を強制的に振動させるように構成したものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第2585016号公報(第2−3頁、図1−図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更に、上述した従来の穀粒タンクには、カム機構部への穀粒の侵入を規制するために、流板の上方位置で穀粒排出螺旋の搬送始端部に対向する穀粒タンクの内壁と当該カム機構とに二つのガイド板を設けているが、その効果が十分に得られておらず、穀粒排出螺旋の搬送始端部と、該搬送始端部に対向する穀粒タンクの内壁との間に形成される空隙に穀粒が侵入して堆積した場合は、それらの穀粒が回転駆動する穀粒排出螺旋の搬送始端部のエッジに揉まれて損傷するといった不具合を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、穀粒タンクの底部に備える穀粒排出螺旋の搬送始端部と、該搬送始端部に対向する穀粒タンクの側壁との間に形成される空隙を上方から覆うカバー体を設けたことを特徴としている。
【0006】
そして、カバー体が、穀粒排出螺旋の上方に設けた流板の穀粒排出螺旋の搬送始端部に対応する部位を、穀粒タンクの左右の側壁に近接させた構成であるか、または穀粒タンクの左右の側壁に近接する前記流板の先端に、穀粒タンクの左右の側壁に摺接するシール部材を取り付けた構成であることを第2の特徴としている。
【0007】
また、カバー体が、穀粒排出螺旋の搬送始端部に対向する穀粒タンクの側壁から穀粒排出螺旋の搬送方向に下がり傾斜、且つ穀粒排出螺旋の搬送始端部側における螺旋体の1/2巻き以上搬送方向に延出すると共に、左右両端部を穀粒タンクの左右の側壁に密着させた構成であることを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、穀粒タンクの底部に備える穀粒排出螺旋の搬送始端部と、該搬送始端部に対向する穀粒タンクの側壁との間に形成される空隙を上方から覆うカバー体を設けたことによって、前記穀粒排出螺旋の回転駆動中における空隙への穀粒の侵入をカバー体により抑制することができるので、回転駆動する穀粒排出螺旋の搬送始端部のエッジに穀粒が揉まれて損傷するといった従来の不具合を軽減できるようになる。
【0009】
そして、請求項2の発明によれば、穀粒排出螺旋の上方に設けた流板の穀粒排出螺旋の搬送始端部に対応する部位を、穀粒タンクの左右の側壁に近接させた構成であるか、または穀粒タンクの左右の側壁に近接する前記流板の先端に、穀粒タンクの左右の側壁に摺接するシール部材を取り付けた構成であることから、当該カバー体を簡潔且つ安価に構成することができる。
【0010】
また、請求項3の発明によれば、カバー体が、穀粒排出螺旋の搬送始端部に対向する穀粒タンクの側壁から穀粒排出螺旋の搬送方向に下がり傾斜、且つ穀粒排出螺旋の搬送始端部側における螺旋体の1/2巻き以上搬送方向に延出すると共に、左右両端部を穀粒タンクの左右の側壁に密着させた構成であることから、前記穀粒排出螺旋の回転駆動中における空隙への穀粒の侵入を効率よく抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、コンバイン11は、穀稈を刈取る前処理部12と、刈取穀稈から穀粒を脱穀し、この穀粒を選別する脱穀装置13と、選別済みの穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク14と、脱穀済みの排稈を排出処理する後処理部15と、オペレータが着座する運転席16と各種の操作具を備える操縦部17と、左右一対のクローラ走行装置18L,18Rを走行方向に沿わせて配設した機体フレーム19を備えている。
【0012】
そして、穀粒タンク14に貯留された穀粒は、穀粒タンク14の後側下部に固設した図示しない固定パイプと、この固定パイプに回動可能に接続した縦パイプ21と、該縦パイプ21の上端に一体旋回可能に接続すると共に起伏動作可能な穀粒排出オーガ22を経由して機外に排出できるようになっている。
【0013】
更に詳しくは、図示しないエンジン動力は、その出力軸23に設けた出力プーリ24、Vベルト25を介してカウンタケース26の入力プーリ27に伝達され、次いでカウンタケース26の出力プーリ28を駆動プーリとするベルト伝動装置31、即ち穀粒タンク14底部の穀粒排出螺旋軸32の軸端に固設した従動プーリ33と、前記両プーリ28,33に係回したVベルト34と、該Vベルト34を緊緩するテンションクラッチ35等を備えるベルト伝動装置31を介して穀粒排出オーガ22へ伝達されるようになっている。
【0014】
そして、穀粒タンク14の下部は正面視で漏斗状(図4及び図6参照)に形成されており、その底部には、捩れ板からなる螺旋体36を穀粒排出螺旋軸32に巻き付けて一体に固設した穀粒排出螺旋37を機体の前後方向に設けている。
【0015】
更に詳しくは、穀粒タンク14は、前後の側壁14a,14b並びに、図3及び図4に示すような左右の側壁14c,14dを備えており、全体としての平断面を略方形状に形成すると共に、左右の側壁14c,14dを底部14eに向けて漏斗状に形成している。
また、穀粒排出螺旋軸32の一側の軸端(前端)を、ボールベアリングを内装したベアリングホルダ38に軸支すると共に、図示しない他側の軸端(後端)も穀粒タンク14の後側下部に固設した固定パイプに回転可能に軸支している。
【0016】
そして、穀粒排出螺旋37の上方には、螺旋体36の外周に対して所定の間隔を隔てて山形状の断面形状を有する流板41を回動可能に枢支している。即ち、流板41の頂部には支軸42が一体的に固設してあり、この支軸42の両端を穀粒タンク14の前後の側壁14a,14bに回動可能に枢支している。
【0017】
また、支軸42の前端側で穀粒タンク14の前側側壁14aの近傍には、下方に向けてカム板43を固設している。このカム板43の下部には、二又状の切欠部43aを形成してあり、穀粒排出螺旋軸32に設けたカム44に嵌合させることによって流板41の揺動機構45を構成している。即ち、穀粒タンク14内に貯溜される穀粒の重量が穀粒圧として穀粒排出螺旋37に直接的にかかることを、穀粒排出螺旋軸32の回転に伴って揺動する流板41によって防ぎ、当該穀粒排出螺旋37の回転に過大な負荷を与えることなく穀粒をスムーズに機外に搬送排出できるようにしている。
【0018】
そして、上述した構成により、穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aと、この搬送始端部Aに対向する穀粒タンク14の前側側壁14aとの間に空隙Sが必然的に形成されるが、当該空隙Sに穀粒が侵入して堆積した場合は、それらの穀粒が回転駆動する穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aのエッジに揉まれて損傷するといった不具合を従来は有していた。
【0019】
そこで、本発明では、前記空隙Sに穀粒が侵入することを抑制するためのカバー体を設けており、このカバー体について以下詳細に説明する。
【0020】
図3及び図4は、カバー体51の第1実施例であって、このカバー体51は、穀粒タンク14の前側側壁(穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aに対向する側壁)14aから略45度(穀粒の安息角)の下がり傾斜で後方(穀粒排出螺旋37の搬送方向)に向けて延出した傾斜面51aと、この傾斜面51aが流板41の支軸42と重合する部分Bを下方に屈曲形成した穀粒排出螺旋軸32と直交する垂直面51bを設けあり、当該カバー体51と穀粒タンク14の前側側壁14aによって空隙Sの上方を略閉鎖的に覆っている。
【0021】
更に詳しくは、カバー体51の垂直面51bの下部には、穀粒排出螺旋37の螺旋体36を挿通可能にする略円形の切欠きE1を形成すると共に、当該カバー体51の左右両端部は、穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに密着させてあり、上述した空隙Sを上方から覆うことができるようになっている。尚、この実施例では、流板41をカバー体51の垂直面51bの後方に設けている。
【0022】
即ち、上述の如く構成したカバー体51によって、穀粒排出螺旋37の回転駆動中における当該穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aと、この搬送始端部Aに対向する穀粒タンク14の前側側壁14aとの間に形成される空隙Sに穀粒が侵入することを効率よく抑制することができるので、回転駆動する穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aのエッジに穀粒が揉まれて損傷するといった従来の不具合を軽減できるようになる。
【0023】
そして、図5及び図6に示す遮蔽手段の第2実施例は、カバー体61を、穀粒タンク14の前側側壁14aから略45度の下がり傾斜で後方に向けて延出し、その左右両端部を穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに密着させると共に、流板41の左右揺動を許容し、且つ穀粒排出螺旋37の螺旋体36の挿通を可能にする略山形の切欠きE2をカバー体61の下部に設けてあり、このカバー体61も上述した第一実施例のカバー体51と同様の作用効果が得られる。
【0024】
また、図7及び図8に示す遮蔽手段の第3実施例は、カバー体71を、穀粒タンク14の前側側壁14aから略45度の下がり傾斜で後方に向けて流板41の頂部近傍まで延出(換言すると、穀粒排出螺旋37の搬送始端部A側における螺旋体36の1/2巻き以上搬送方向に延出)し、その左右両端部を穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに密着させると共に、穀粒排出螺旋37の上方に設けた流板41の穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aに対応する左右の部位41a,41bを、穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに近接するように延出させてある。
【0025】
更に上述の如く穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに近接する流板41の部位41a,41bの先端には、前記側壁14c,14dに摺接するゴム等の弾性体からなるシール部材72,72を取り付けている。尚、シール部材72,72は、穀粒タンク14の左右の側壁14c,14d側に取り付けてもよい。
【0026】
即ち、上述の如く構成したカバー体71と、穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに近接するように延出させた流板41の部位であるカバー体41a,41b、または穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに近接する当該カバー体41a,41b(流板)の先端に取り付けたシール部材を穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに摺接させることによって、穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aと、この搬送始端部Aに対向する穀粒タンク14の前側側壁14aとの間に形成される空隙Sに穀粒が侵入することを効率よく抑制することができるので、回転駆動する穀粒排出螺旋37の搬送始端部Aのエッジに穀粒が揉まれて損傷するといった従来の不具合を軽減できるようになると共に、当該カバー体71、41a,41bを、比較的簡潔且つ安価に構成できるといった利点がある。尚、上述したカバー体71と、穀粒タンク14の左右の側壁14c,14dに近接するように延出させた流板41の部位であるカバー体41a,41bは、穀粒タンク14内に単独で設けてもよい。
【0027】
そして、以上説明したカバー体の第1〜第3実施例は、コンバイン11の脱穀装置13の下部に設けられている図示しない一番樋内の横搬送螺旋や、二番樋内の横搬送螺旋の搬送始端部にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】カバー体の第1実施例を示す一部省略側面図。
【図4】カバー体の第1実施例を示す一部省略正面図。
【図5】カバー体の第2実施例を示す一部省略側面図。
【図6】カバー体の第2実施例を示す一部省略正面図。
【図7】カバー体の第3実施例を示す一部省略側面図。
【図8】カバー体の第3実施例を示す一部省略正面図。
【符号の説明】
【0029】
14 穀粒タンク
14a 側壁(前側側壁)
14c 側壁(正面視左側側壁)
14d 側壁(正面視右側側壁)
36 螺旋体
37 穀粒排出螺旋
41 流板
41a カバー体(穀粒排出螺旋の搬送始端部に対応する流板の正面視左側部位)
41b カバー体(穀粒排出螺旋の搬送始端部に対応する流板の正面視右側部位)
51 カバー体
61 カバー体
71 カバー体
72 シール部材
A 搬送始端部
S 空隙
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成17年12月21日(2005.12.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−166948(P2007−166948A)
【公開日】 平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願番号】 特願2005−367407(P2005−367407)