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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】釘宮 啓

【要約】 【課題】一番物の選別性能を向上させると共に、二番物を減少させて脱穀装置の負荷を低減させるようにする。

【解決手段】扱室33内に扱胴31を軸架して設け、該扱室33下側の扱網30より漏下する被処理物を、揺動選別棚38で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、該揺動選別棚38の下方には選別風送り方向上手側から、唐箕43、一番ラセン46、二番ラセン47を設け、該一番ラセン46の一番棚先53の上方には上方棚先54を設け、前記揺動選別棚38のチャフシーブ38bの下方には前方ろ過体56を設けると共に、前記上方棚先54の後方に後方ろ過体55を設け、該上方棚先54と後方ろ過体55とを前記二番ラセン47の上方に設けたことを特徴とする脱穀装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(33)内に扱胴(31)を軸架して設け、該扱室(33)下側の扱網(30)より漏下する被処理物を、揺動選別棚(38)で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、該揺動選別棚(38)の下方には選別風送り方向上手側から、唐箕(43)、一番ラセン(46)、二番ラセン(47)を設け、該一番ラセン(46)の一番棚先(53)の上方には上方棚先(54)を設け、前記揺動選別棚(38)のチャフシーブ(38b)の下方には前方ろ過体(56)を設けると共に、前記上方棚先(54)の後方に後方ろ過体(55)を設け、該上方棚先(54)と後方ろ過体(55)とを前記二番ラセン(47)の上方に設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記上方棚先(54)の後方に設けている後方ろ過体(55)の終端部と、一番棚先(53)の終端部とを略同じ位置となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記前方ろ過体(56)の目合いに対して後方ろ過体(55)の目合いを小さくするように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインやハーベスタに搭載する脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扱室内に扱胴を軸架して設け、扱室下側の扱網より漏下する被処理物を、揺動選別棚で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、揺動選別棚の下方には選別風送り方向上手側から、唐箕、一番ラセン、二番ラセンを設け、一番ラセンの一番棚先の上方に上方棚先を設けると共に、この上方棚先の後方に後方ろ過体を設け、これら上方棚先と後方ろ過体とを二番ラセンの上方位置になるように配置したものはなかった。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−58155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のような技術では、二番ラセンの上方から落下してくる被処理物において、選別風で風選されるものを除いては、そのままの状態で二番ラセン内に取り込まれてしまう。その結果、再び二番を処理しても選別性能の向上は望めなかった。さらに、落下してくる被処理物の量が多くなると、二番ラセンに取り込まれる二番物の量も多くなるので脱穀装置全体の負荷が増大してしまい、詰まり等の発生やエンジン回転数の低下を招いていた。
【0004】
本発明の課題は、前述のような不具合を解消する脱穀装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、扱室33内に扱胴31を軸架して設け、該扱室33下側の扱網30より漏下する被処理物を、揺動選別棚38で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、該揺動選別棚38の下方には選別風送り方向上手側から、唐箕43、一番ラセン46、二番ラセン47を設け、該一番ラセン46の一番棚先53の上方には上方棚先54を設け、前記揺動選別棚38のチャフシーブ38bの下方には前方ろ過体56を設けると共に、前記上方棚先54の後方に後方ろ過体55を設け、該上方棚先54と後方ろ過体55とを前記二番ラセン47の上方に設けたことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0006】
請求項1の作用は、扱室33内の扱胴31で脱穀された被処理物は、扱網30より下方の揺動選別棚38上に落下する。そして、揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの選別風による風選作用によって選別される。また、前方ろ過体56を通過する被処理物は、この前方ろ過体56の目合いによっても選別される。そして、一番物は一番ラセン46内へ取り込まれる。また、二番ラセン47上方の揺動選別棚38から落下してきた被処理物のうちで、上方棚先54上に落下した被処理物は、唐箕43からの選別風によって風選されて、穀粒は上方棚先54の前方に移動し、一番棚先53の前方に移動して一番ラセン46内へ取り込まれる。藁屑は選別風によって後方へ吹き飛ばされる。
【0007】
また、後方ろ過体55上に落下した被処理物は、この後方ろ過体55の目合いと唐箕43からの選別風によって選別される。選別された穀粒は、下方の一番棚先53上に落下して、この一番棚先53の前方へ移動して一番ラセン46内へ取り込まれる。藁屑は選別風と共に後方へ吹き飛ばされる。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記上方棚先54の後方に設けている後方ろ過体55の終端部と、一番棚先53の終端部とを略同じ位置となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置としたものである。
【0009】
請求項2の作用は、請求項1の作用に加え、後方ろ過体55から落下した穀粒の略全てが下方の一番棚先53上に落ちるので、後方ろ過体55で選別された穀粒の略全ては一番ラセン46内へ取り込まれる。
【0010】
請求項3記載の発明では、前記前方ろ過体56の目合いに対して後方ろ過体55の目合いを小さくするように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱穀装置としたものである。
【0011】
請求項3の作用は、請求項1又は請求項2の作用に加え、前方ろ過体56からは唐箕43からの選別風が抜け易くなる。また、後方ろ過体55からは、藁屑や長い稈切れなどが落ちなくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、上方棚先54と後方ろ過体55とを二番ラセン47の上方に設けて選別しているので、二番ラセン47に直接取り込まれる二番物の量を減少させることができるようになる。これにより、脱穀装置全体の負荷を低減させることができるようになる。
【0013】
また、二番ラセン47の上方で穀粒を選別して一番ラセン46に回収するので、選別効率が向上するようになる。
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果に加え、後方ろ過体55から落下した穀粒の略全てが下方の一番棚先53上に落ちるので、穀粒の回収効率が向上するようになる。また、二番ラセン47の上方で選別された穀粒は、二番ラセン47内へ取り込まれるのを防止できるようになるので、脱っぷ等の発生を防止できるようになる。
【0014】
請求項3記載の発明においては、請求項1又は請求項2の効果に加え、前方ろ過体56からは唐箕43からの選別風が抜け易くなるので、唐箕43からの大きい風量で多量の処理物を選別できるようになる。また、後方ろ過体55からは、藁屑や長い稈切れなどが落ちなくなるので、二番ラセン47の負荷の増大を抑制することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び図2には、本発明を具現化した農業機械であるコンバインが示されている。
走行装置1を有する車台2の前方には、刈取装置3が設けられている。この刈取装置3には、植立穀稈を分草する複数の分草具4と、植立穀稈を引き起こす複数の引起装置5と、植立穀稈を刈り取る刈刃6と、該刈刃6にて刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する搬送装置7が設けられている。この搬送装置7は刈刃6後方の株元搬送装置8と該株元搬送装置8から搬送されてくる穀稈を引き継いで脱穀装置9に供給する供給搬送装置10とから構成されている。
【0016】
前記刈取装置3は、車台2の前部に立設する懸架台11の上方に設ける回転軸11aを支点にして上下動する刈取装置支持フレーム12にて、その略左右中間部で支持されている。そして、刈取装置3は操作部13に設ける操向レバー14を前後方向に傾動させることによって刈取装置支持フレーム12と共に上下動する構成である。
【0017】
車台2の上方には、前記供給搬送装置10から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェン15を有する脱穀装置9と、該脱穀装置9の右側方であって、この脱穀装置9で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク16と、該グレンタンク16の前方に位置していてコンバインの各種操作を実行する操作部13が載置されている。また、車台2の前部には走行装置1を駆動する走行伝動装置17が設けられている。
【0018】
脱穀装置9の後方には、前記フィードチェン15から搬送されてくる排稈を引き継いで搬送する排稈チェン18と、該排稈チェン18の終端部下方には排稈を切断するカッター装置19が設けられている。また、この実施例のカッター装置19の後方には、排稈を結束するノッター等の他の作業機を装着してもよい。
【0019】
前記グレンタンク16内の穀粒量が満杯となると、揚穀筒20と穀粒排出オーガ21から穀粒を機外へと排出する。揚穀筒20は電気モータ(図示せず)にて旋回可能に構成され、また、穀粒排出オーガ21は油圧シリンダ22にて昇降可能に構成されている。そして、穀粒排出オーガ21は揚穀筒20の上部に連結されて一体的に構成され、揚穀筒20が旋回すると、穀粒排出オーガ21も一緒に旋回する構成となっている。
【0020】
また、コンバインは操作部13に設ける副変速レバー23を操作して走行伝動装置17内の副変速の位置を決定し、その後、走行変速レバー24を操作してエンジン(図示せず)からの動力を油圧無段変速装置及び走行伝動装置17を介して走行装置1の左右のクローラ26、26に伝動して任意の速度で走行する構成である。このように、前記走行変速レバー24の操作量によって速度が変速されるとともに、走行変速レバー24の前方向と後方向の操作によってコンバインが前後進する構成である。
【0021】
また、コンバインは操作部13に設ける前記操向レバー14を左右方向に傾倒操作することによって左右方向に旋回する構成であり、さらに、操向レバー14の左右方向への傾倒操作量によって旋回半径が決定される構成である。
【0022】
このようなコンバインを前進させて刈取作業をすると、圃場面に植立している穀稈は、分草具4にて分草され、その後、引起装置5にて引き起こされて刈刃6にて刈り取られる構成である。その後、刈り取られた穀稈は株元搬送装置8にて後方へ搬送され、供給搬送装置10へと引き継ぎ搬送される。この供給搬送装置10に引き継がれた穀稈は、さらに後方へと搬送されて、脱穀装置9のフィードチェン15へと引継ぎ搬送され、穀稈はフィードチェン15で後方へ搬送されながら脱穀装置9にて脱穀選別される構成である。
【0023】
このように脱穀選別された穀粒は、一番揚穀筒27からグレンタンク16内へと搬送されて一時貯留され、このグレンタンク16内に貯留される穀粒量が満杯になると、操作部13の報知手段(ブザーや表示装置)でオペレータに報知される構成である。その後、刈取作業を中断して、グレンタンク16内の穀粒を機外へと排出する作業を開始する。コンバインを任意の位置(トラック近傍位置)へと移動させ、穀粒排出オーガ21をオーガ受け28から離脱させて穀粒排出口21aをトラックの荷台等の位置へ移動させる。そして、操作部13に設けている穀粒排出レバー29を入り状態として、グレンタンク16内の穀粒を機外へと排出し、グレンタンク16内の穀粒排出が終了すると、穀粒排出オーガ21は再びオーガ受け28へと収納されていく構成である。
【0024】
前記脱穀装置9について、図3〜図5に基づいて説明する。
図3は脱穀装置9の側面図、図4は脱穀装置9の平面図である。
脱穀装置9内には、扱網30を有する扱胴31を扱胴軸32で軸架した扱室33と、該扱室33の一側には、扱室33の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網34を有する排塵処理胴35を排塵処理胴軸36で軸架した排塵処理室37が設けられている。そして、扱室33と排塵処理室37の下方には揺動選別棚38を設けている。33aは扱室33終端部に設けられている排出口である。
【0025】
また、排塵処理胴35の前方には、二番処理胴39と二番処理胴受樋40(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室41が構成されている。二番処理胴39は、本実施例では扱胴31の一側(グレンタンク16側)であって、排塵処理胴35の前方にこの排塵処理胴35と一体的に構成されている。この二番処理胴39は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴39は二番処理胴軸42にて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴35と二番処理胴39とは一体的に排塵処理胴軸36と二番処理胴軸42とで支持されている構成である。
【0026】
さらに、図5は図4にて示すA−A断面図であるが、扱網30から漏れた被処理物は二番処理室41内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴39は二番物の他に、扱室33内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網30と二番処理胴受樋40(網や格子状でもよい)と排塵処理網34は、それぞれ扱胴31と二番処理胴39と排塵処理胴35の下方に設けられている。
【0027】
前記扱室33と二番処理室41と排塵処理室37の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚38が設置されていて、該揺動選別棚38の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕43を設け、該唐箕43から送風される選別風の送り方向下手側には、風路44と風路45が設けられていて、この風路44と風路45の下手側に一番ラセン46を設け、該一番ラセン46の選別風送り方向下手側には二番ラセン47を設けている。この二番ラセン47にて収集された二番物を前記二番処理室41へ揚穀するための二番揚穀筒48が設けられている。
【0028】
前記揺動選別棚38の構成について説明する。揺動選別棚38は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚49,脱穀物を選別するグレンシーブ38a,二番物を選別するチャフシーブ38b,排塵物をほぐしてササリ粒を回収すると共に排塵物を機外に移送して放出するストローラック38cとから構成されている。該ストローラック38cの下方は、二番物を二番ラセン47内へ案内する二番棚先47aで構成されていて、この二番棚先47aの終端部近傍まで前記排塵処理胴35が延出している構成である。吸引ファン51は、選別室50内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、扱胴31に対して排塵処理胴35と対向する位置に設けられている。52は揺動選別棚38を揺動駆動させるクランク軸である。
【0029】
前記刈取装置3から搬送されてきた穀稈は、脱穀装置9のフィードチェン15の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン15に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴31と扱網30により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚38上に落下して、該揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの風選作用により選別され、一番ラセン46内へと取り込まれていき、該一番ラセン46に取り込まれた穀粒は、グレンタンク16内に一時貯溜される構成である。脱穀後の排稈はフィードチェン15の終端部から、排稈チェン18の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター19に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0030】
扱室31の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室41内に取り込まれていく。該二番処理室41内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴39と二番処理胴受樋40との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚38上に落下していく。扱胴31と二番処理胴39と排塵処理胴35は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況(脱穀装置9の正面視)において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴39の処理歯39aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0031】
即ち、該処理歯39aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯39aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋40との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴39の搬送終端部に設けられている羽根39bは、被処理物を揺動選別棚38上に強制的に送り出すものである。
【0032】
前記排塵処理胴35の排塵処理歯35aは、扱室33の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯35aは、排塵処理胴35の外周面に巻回いされているラセン形状となっている。
【0033】
しかし、本実施例では、排塵処理網34の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚38上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室37の終端部まで搬送されて、排塵処理胴35の終端部の羽根35bにてストローラック38c上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室37内にて搬送される間に、排塵処理胴35とこの排塵処理胴35の設けられている処理歯35cと排塵処理網34との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚38上に落下し、さらに、二番ラセン47内へと回収されていく構成である。
【0034】
前述のように、扱室33内の脱穀物で揺動選別棚38上に落下せず、二番処理室41内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室33の終端部まで搬送されていく。この扱室33の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室37内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室33の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室37内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚38上に落下していく構成である。
【0035】
扱室33内の終端部から排塵処理室37内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室33から排塵処理室37への引継ぎ部分においても、排塵処理胴35の外周にラセン形状の排塵処理歯35aを設けていて、該排塵処理歯35aの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0036】
このような、揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン46内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン47内へと取り込まれていく。該二番ラセン47内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒48にて前記二番処理室41の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室33からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋40との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根39bにより下方の揺動選別棚38上に強制的に落下していく構成である。
【0037】
図6は揺動選別棚38の拡大図を示している。
一番棚先53の上方には、上方棚先54を設ける構成とする。この上方棚先54部分で事前に選別され、再び、一番棚先53部分で選別されるので、選別精度が向上するようになる。また、上方棚先54の上方を通過した選別風は、矢印Bに沿って吸引ファン51方向へと向かうので、送風効率が向上するようになる。また、一番棚先53の上方を通過した選別風は、矢印Cに沿って三番出口に向かうので、排出効率が向上するようになる。
【0038】
そして、この上方棚先54の後部には、後方ろ過体55を設ける構成としている。また、前記チャフシーブ38bの下方にも前方ろ過体56を設ける構成としている。該前方ろ過体56の目合いよりも、後方ろ過体55の目合いを同じか、又は、小さくなるように構成した。前方ろ過体56では、多量の処理物が導かれ、又、唐箕43からの選別風が抜けるようにするために目合いを大きくする必要がある。また、後方ろ過体55は夾雑物が比較的多いので、単粒のみを下方に落下させる必要がある。これにより、良好な選別が可能となる。
【0039】
また、従来においては、後方ろ過体55を設けていないので、ここの部分を落下してきた被処理物は、二番ラセン47に取り込まれていた。しかし、前述のような構成とすることで、二番ラセン47に取り込まれる二番物の量が減少するので、脱穀装置の負荷を低減させることができるようになると共に、一番の選別が良好となる。
【0040】
前記前方ろ過体56の前部と後部で目合いを変えるように構成する。即ち、後部の目合い56bに対して、前部の目合い56aの目合いを小さくするように構成した。また、後方ろ過体55の目合いは、前記前方ろ過体56の前部目合い56aと後部目合い56bの中間の大きさの目合いか、又は、前方ろ過体56の前部目合い56aの目合いと同じになるように構成している。
【0041】
前方ろ過体56のろ過始端部は、揺動選別棚38前方部の比較的比重選別が行なわれていない部位からのろ過であり、又、唐箕43からの選別風も一番棚先53部よりも弱いので、一番棚先53近傍部よりもろ過を制限するよう目合いを小さくすることで、選別を良好に保ち、粗大な夾雑物などの混入を防止できるようになる。また、後方ろ過体55も単粒のみを一番ラセン46に回収するべきであり、又、処理物量も少ないので、前方ろ過体56の前部目合い56aと同じか、それよりもわずかに大きい目合いとすることで、枝梗や稈切れ等の混入を防止して、良好な選別を行なうことができるようになる。前記前方ろ過体56と後方ろ過体55の目合いは変更可能に構成してもよい。また、前方ろ過体56や後方ろ過体55を樹脂で構成すると、軽量化を図ることができるようになる。
【0042】
図7に示すように、前記上方棚先54と後方ろ過体55については、樹脂で一体的に構成することで、さらなる軽量化を図ることができるようになる。樹脂で成型する場合においては、上方棚先54の前端部57を鋭利な構成となるようにする。これにより、樹脂化に伴って肉厚が増大しても、上方棚先54の前端部57を鋭利な構成とすることで、唐箕43からの選別風の気流の乱れや処理物の引っ掛かりを防止できるようになる。
【0043】
また、鉄系で構成する場合については、打ち抜きで一体的に成形すると製造工程が短くなりコストダウンを図ることができるようになる。
前記一番棚先53は、上方棚先54に対して角度を少し緩くなるように構成して、直線的になるように構成している。
【0044】
これにより、上方棚先54と一番棚先53の間の風路(一番ラセンへのろ過物の通路)を広く構成でき、また、選別風は一番棚先53上面の流速が速いので、一番棚先53上での風選別が促進され、良好な選別ができるようになる。また、一番棚先53の角度は、上方棚先54の角度よりも緩く構成しているので、夾雑物の割合が上方棚先54部分よりも多いとしても、一番棚先53部分の選別風量が拡大されていることと合わせて、夾雑物の分離が行なわれ易いので、良好な選別となる。
【0045】
一番棚先53の長さL1は、上方棚先54の長さL2よりも長くなるように構成している。これにより、比較的夾雑物割合の多い処理物が投入されても、長い選別距離を確保しているので、塵埃の風選別、比重選別が行なわれ易くなる。
【0046】
そして、それぞれの終端部分は略同じ位置に構成しているので、上方棚先54後方の後方ろ過体55終端より、稈切れなどの粗大で比重の高い夾雑物が一番棚先53上に落下しにくくなる。
【0047】
また、図7、図8、図9に示すように、上方棚先54の上面側にガイド板58を設けるように構成する。選別室50の全幅域において、唐箕43からの選別風の風速は一定でなく、特に、小型の脱穀装置においては、唐箕43の径を大きくすると、中央部の風速が高く、左右両側の風速が低くなる傾向がある。処理物は必ずしも中央部が多くはなく、いずれか片方が多い傾向がある。
【0048】
従って、上方棚先54上に風寄せガイド板58を設けることで、選別風の風速分布の均一化を図ると共に、処理物をより風速の高い部分に導くことで選別を向上させることができるようになる。
【0049】
また、この風寄せガイド板58についても、上方棚先54と後方ろ過体55と一体的に樹脂で成型することで、安価で軽量化を実現させることができるようになる。
前記風寄せガイド板58と、上方棚先54及び後方ろ過体55とを一体的に樹脂で成型する構成にしたが、さらに、一番棚先53も一体的に樹脂で構成することにより、更なる軽量化とコストダウンを図ることができるようになる。また、風寄せガイド板58、上方棚先54、後方ろ過体55及び一番棚先53が一体的になることで、剛性が向上して強度も向上するようになる。図11はこれらの断面図を示している。59は、上方棚先54と一番棚先53の連結部材である。この連結部材59は、選別風のガイドも兼ねる構成としている。
【0050】
このように、上方棚先54と一番棚先53の連結部材59を幅方向の中間部に設けることで、剛性が向上するようになる。また、樹脂で長尺物を成型する際に発生する成型歪を防止できるようになる。さらに、上方棚先54と一番棚先53との間の空間部の選別風ガイドも兼ねることで、別部材が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】脱穀装置の側断面図
【図4】脱穀装置の平面図
【図5】脱穀装置正面の断面図
【図6】脱穀装置の一部の側断面図
【図7】揺動選別棚の平面図
【図8】揺動選別棚の正面図
【図9】揺動選別棚の正面図
【図10】斜視図
【符号の説明】
【0052】
9 脱穀装置
30 扱網
31 扱胴
33 扱室
38 揺動選別棚
38a 網体
49 移送棚
51 空間部
53 案内ガイド
54 移送棚
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成17年11月30日(2005.11.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−143520(P2007−143520A)
【公開日】 平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願番号】 特願2005−345439(P2005−345439)