| 【発明の名称】 |
コンバインの穀稈搬送装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】安井 明司
【氏名】山崎 弘章
【氏名】錦織 将浩
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| 【要約】 |
【課題】前処理部に備える穀稈搬送装置から刈取り穀稈を引き継いで脱穀部に供給する脱穀フィードチェンを、刈取走行速度に同調して駆動させるコンバインにおいては、扱室内の扱胴に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加して急激なエンジンドロップ状態に陥る場合があり、このような急激なエンジンドロップ状態から速やかに安定したエンジン負荷状態に復帰できるようにする。
【解決手段】急激なエンジンドロップが起こった時に、一旦刈取走行速度を減速すると、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェン33を減速する減速制御手段Aを設け、この脱穀フィードチェン33が減速されるまでの間に、当該脱穀フィードチェン33によって扱室17内に搬送される穀稈の層厚を薄くし、扱室内17における実質的な刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させて扱胴59の駆動抵抗を軽減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前処理部(16)に備える穀稈搬送装置(31,32)から刈取り穀稈を引き継いで脱穀部(17)に供給する脱穀フィードチェン(33)を備えたコンバインの穀稈搬送装置において、刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェン(33)も速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェン(33)も遅くなるように、当該脱穀フィードチェン(33)を刈取走行速度に同調させて駆動制御すると共に、刈取走行速度を減速した時に、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェン(33)を減速する減速制御手段(A)を設けたことを特徴とするコンバインの穀稈搬送装置。 【請求項2】 前処理部(16)に備える穀稈搬送装置(31,32)から刈取り穀稈を引き継いで脱穀部(17)に供給する脱穀フィードチェン(33)を備えたコンバインの穀稈搬送装置において、刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェン(33)も速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェン(33)も遅くなるように、当該脱穀フィードチェン(33)を刈取走行速度に同調させて駆動制御すると共に、刈取走行中の脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段(86)を設け、該脱穀負荷検出手段(86)が脱穀過負荷を検出した時は、脱穀フィードチェン(33)を所定時間増速する増速制御手段(B)を設けたことを特徴とするコンバインの穀稈搬送装置。 【請求項3】 前処理部(16)の穀稈搬送装置(31,32)と脱穀フィードチェン(33)とを連動して駆動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインの穀稈搬送装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、前処理部に備える穀稈搬送装置から刈取り穀稈を引き継いで脱穀部に供給する脱穀フィードチェンを備えたコンバインの穀稈搬送装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来のコンバインにおいては、極めて低速で刈取走行を行う場合は、扱室内で穀稈を移動させながら脱穀処理を行う扱胴の扱作用を十分に受け得るように、脱穀フィードチェーンを一定速度以上で駆動させると共に、前記低速刈取走行以外では脱穀フィードチェーン及び前処理部の穀稈搬送装置を刈取走行速度に同調して駆動させるように構成したものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。 【特許文献1】特開平6−7020号公報(第2−3頁、図3) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかし、上述した従来のものでは、高速で刈取走行を行っていると、前処理部の穀稈搬送装置での稈詰りの発生や、扱室内の扱胴に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物(処理物)が著しく増加することにより急激なエンジンドロップが起こる場合があり、このような場合は、一旦刈取走行速度を減速して前処理部及び扱室内での刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減らし、それによって当該エンジンの過負荷状態を解消することを試みていたが、急激なエンジンドロップ状態から速やかに安定したエンジン負荷状態に復帰させることは困難なことから作業性に問題を有していた。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、前処理部に備える穀稈搬送装置から刈取り穀稈を引き継いで脱穀部に供給する脱穀フィードチェンを備えたコンバインの穀稈搬送装置において、刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェンも速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェンも遅くなるように、当該脱穀フィードチェンを刈取走行速度に同調させて駆動制御すると共に、刈取走行速度を減速した時に、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェンを減速する減速制御手段を設けたことを第1の特徴としている。 【0005】 また、前処理部に備える穀稈搬送装置から刈取り穀稈を引き継いで脱穀部に供給する脱穀フィードチェンを備えたコンバインの穀稈搬送装置において、刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェンも速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェンも遅くなるように、当該脱穀フィードチェンを刈取走行速度に同調させて駆動制御すると共に、刈取走行中の脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を設け、該脱穀負荷検出手段が脱穀過負荷を検出した時は、脱穀フィードチェンを所定時間増速する増速制御手段を設けたことを第2の特徴としている。 【0006】 そして、前処理部の穀稈搬送装置と脱穀フィードチェンとを連動して駆動させることを第3の特徴としている。 【発明の効果】 【0007】 請求項1の発明によれば、刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェンも速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェンも遅くなるように、当該脱穀フィードチェンを刈取走行速度に同調させて駆動制御すると共に、刈取走行速度を減速した時に、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェンを減速する減速制御手段を設けたことによって、高速で刈取走行を行っている時に、前処理部の穀稈搬送装置での稈詰りの発生や、扱室内の扱胴に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加することにより急激なエンジンドロップが起こった場合、一旦刈取走行速度を減速すると、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェンが減速制御され、このように脱穀フィードチェンが減速されるまでの間に、当該脱穀フィードチェンによって扱室内に搬送される穀稈の層厚は薄くなり、扱室内における実質的な刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させることができるようになる。即ち、扱胴に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が減り扱胴の駆動抵抗が軽減され、急激なエンジンドロップ状態から安定したエンジン負荷状態に速やかに復帰できるようになって作業性が向上する。 【0008】 また、請求項2の発明によれば、刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェンも速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェンも遅くなるように、当該脱穀フィードチェンを刈取走行速度に同調させて駆動制御すると共に、刈取走行中の脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段を設け、該脱穀負荷検出手段が脱穀過負荷を検出した時は、脱穀フィードチェンを所定時間増速する増速制御手段を設けたことによって、高速で刈取走行を行っている時に、扱室内の扱胴に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加することにより急激な脱穀過負荷が起こった場合、脱穀フィードチェンが所定時間増速制御され、このように脱穀フィードチェンが増速されている間に、当該脱穀フィードチェンによって扱室内に搬送される穀稈の層厚は薄くなり、扱室内における実質的な刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させることができるようになる。即ち、扱胴に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が減り扱胴の駆動抵抗が軽減され、急激な脱穀過負荷状態から安定し脱穀負荷状態に速やかに復帰できるようになって作業性が向上する。 【0009】 そして、請求項3の発明によれば、前処理部の穀稈搬送装置と脱穀フィードチェンとを連動して駆動させることによって、前処理部の穀稈搬送装置で稈詰りが発生して急激なエンジンドロップが起こった場合でも、当該前処理部の穀稈搬送装置での実質的な刈取り穀稈の搬送量を減少させることができるので、急激なエンジンドロップ状態から安定したエンジン負荷状態に速やかに復帰できるようになる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、コンバイン11の側面図であって、コンバイン11は、左右一対のクローラ走行装置12,12によって支持される機体フレーム13を有し、この機体フレーム13の前部右側にエンジン14を搭載すると共に、該エンジン14の上方に運転席15を設けている。 【0011】 そして、機体フレーム13の前方左側には、穀稈を刈取って搬送する前処理部16を昇降可能に支持すると共に、この前処理部16の後方には、刈取った穀稈を脱穀し、且つ脱穀した穀粒を選別する脱穀部17と、脱穀済みの排稈を排出処理する後処理部18を設けている。更に詳しくは、前処理部16のフレームを兼ねる伝動軸ケース19の後端を機体フレーム13の前部に設けた支点21に軸支すると共に、伝動軸ケース19の下面と機体フレーム13の間に油圧シリンダ22を介装し、該油圧シリンダ22の伸縮作動させることによって支点21を回動中心とする前処理部16の昇降を可能にしている。 【0012】 一方、運転席15の後方には、選別済みの穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク23が設けてあり、この穀粒タンク23内に貯留された穀粒は、当該穀粒タンク23の後面下端部に固設した固定パイプ(不図示)と、この固定パイプに回動可能に接続された縦パイプ24と、該縦パイプ24の上端に一体回動可能で、且つ、上下方向に起伏可能(上下昇降可能)に接続した穀粒排出オーガ25とを経由して機外に排出できるようになっている。 【0013】 また、前処理部16には、刈り取り穀稈を分草する複数の分草体26を分草体支持フレーム27に一体的に取り付けると共に、分草体26の後方には、この分草体26により分草された後の穀稈を引き起す引起装置28と、該引起装置28により引き起こされた穀稈の株元を切断する刈刃を備えた刈取装置29と、該刈取装置29によって刈り取られる穀稈を掻き込んで搬送する掻込搬送装置31と、該掻込搬送装置31の後方で刈取穀稈の稈長を検出して自動的に適正な扱ぎ深さに調節する扱深搬送装置32等の穀稈搬送装置が設けてあり、扱深搬送装置31の終端部まで搬送された穀稈は、脱穀フィードチェン33を介して脱穀部17に供給されるようになっている。 【0014】 そして、エンジン14を動力源とするコンバイン11の駆動系統は、図2に示すように構成してあり、穀粒タンク23へは、エンジン14の出力軸34に固設したエンジンプーリ35、伝動ベルト36、及び入力プーリ37を介してエンジン14の動力を穀粒タンク23に入力し、この動力によって穀粒タンク23の下部に設けられている図示しない穀粒排出螺旋を回転駆動させることができるようになっている。 【0015】 また、左右一対のクローラ走行装置12,12へは、エンジンプーリ38、伝動ベルト39、及び入力プーリ41を介して、コンバイン11の走行駆動系を構成するトランスミッション42にエンジン14の動力を入力すると共に、このトランスミッション42に設けた主変速機を構成する走行用油圧式無段変速装置43(以下、走行用HST43とする)と、副変速機構44及び歯車列45を介して変速された動力が両クローラ走行装置12,12の駆動スプロッケット46に伝動されるようになっている。 【0016】 そして、脱穀部17へは、エンジンプーリ47、作業機伝動ベルト48、及び詳細は後述するギヤケース49の入力プーリ51を介して、当該ギヤケース49の入力軸52に動力を一旦伝動し、ここからカウンタプーリ53、脱穀伝動ベルト54、及び脱穀入力プーリ55を介して動力が伝動される。更にこの動力は、唐箕軸56を介して選別室の揺動選別体57に伝動されると共に、伝動ベルト58等を介して扱胴59に伝動されるようになっている。 【0017】 前記ギヤケース49は、入力軸52から入力されるエンジン14の動力を前処理用油圧式無段変速装置61(以下、前処理用HST61とする)で無段変速し、前処理部16及び脱穀フィードチェン33に伝動するように構成してあり、それによって、前処理部16及び脱穀フィードチェン33の穀稈搬送速度を任意に変更することができるようになっている。 【0018】 そして、前処理用HST61は、HSTポンプ(斜板式可変容量油圧ポンプ)63と、このHSTポンプ63から供給される圧油によって駆動する油圧モータ(固定容量油圧ポンプ)64とを備えており、HSTポンプ63の斜板操作に応じて前処理用HST61を無段階に変速することができる。尚、本実施形態においては、HSTポンプ63の斜板に斜板制御用モータ(搬送HSTモータ)65を連係し、この斜板制御用モータ65を介してHSTポンプ63の斜板操作を行えるようにしてある。 【0019】 また、ギヤケース49の出力軸66には、脱穀フィードチェン33に向けて延出させた 脱穀フィードチェン駆動軸67が連結してあり、この脱穀フィードチェン駆動軸67は、 機体フレーム13の上方で脱穀部17の前方に横設されて機体の左端部に至り、その先端に設けた駆動スプロケット68を介して当該脱穀フィードチェン33が駆動されるようになっている。 【0020】 一方、ギヤケース49の前処理出力軸69には、前処理出力プーリ71が設けてあり、この前処理出力プーリ71から前処理伝動ベルト72、及び前処理入力プーリ73を介して前処理部16に動力が伝動されるようになっている。そして、前処理出力プーリ71と前処理入力プーリ73の間には、ベルトテンション式の刈り取りクラッチ74が設けてあり、この刈り取りクラッチ74の入り/切り操作によって前処理部16への動力の供給が断続される。 【0021】 尚、上述したエンジンプーリ35とギヤケース49の入力プーリ51の間にもベルトテンション式の作業機クラッチ75が設けてあり、この作業機クラッチ75の入り/切り操作によってギヤケース49への動力の供給が断続される。 【0022】 また、図3に示すように、運転席15が設けられている操縦部76の前側には、前処理部16の昇降操作具を兼ねる操向レバー(マルチステアリングレバー)77が設けてあり、この操向レバー77によってコンバイン11の左右操向操作及び前処理部16の昇降操作が行えるようになっている。 【0023】 そして、運転席15の左側には上述した走行用HST43を変速操作する操作具としての主変速レバー78や、トランスミッション42内の副変速機構44を操作して車速を段階的に変更する副変速レバー79を配設してある。 【0024】 また、図4に示すブロック図のように、コンバイン11は、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM、EEPROM等を含む)を用いて構成される制御部81を備えており、この制御部81の入力側には、トランスミッション42の副変速軸82の軸端に取り付けて、該副変速軸82の回転速度をコンバイン11の走行速度として検出するミッション回転センサ83、ギヤケース49の前処理出力軸84の軸端に取り付けて、該前処理出力軸84の回転速度を前処理部16における穀稈の搬送速度として検出する搬送回転センサ85、エンジン14の負荷状態を検出するエンジン負荷検出手段であるエンジン回転ピックアップセンサ86等を接続する一方、制御部81の出力側には、HSTポンプ63の斜板に連係する斜板制御用モータ65(搬送HSTモータ)を接続している。 【0025】 そして、制御部81による穀稈搬送制御は、前処理部16における穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の穀稈搬送速度を刈取走行速度に同調して駆動させる車速同調制御モード、即ち刈取走行速度が速いと脱穀フィードチェン33も速く、刈取走行速度が遅いと脱穀フィードチェン33も遅くなるように駆動制御されるモードと、前記穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の穀稈搬送速度を刈取走行速度に拘らず設定速度に保つ定速制御モードを備えるだけでなく、当該定速制御モードのもとでは、前記設定速度を所定の操作により変更できるようになっている。 【0026】 ところで、上述した車速同調制御モードのもとで高速で刈取走行を行っている時は、前処理部16の穀稈搬送装置31,32での稈詰りの発生や、扱室17内の扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物(処理物)が著しく増加することにより急激なエンジンドロップが起こる場合があり、このような場合は、一旦刈取走行速度を減速して前処理部16及び扱室内17での刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減らし、それによって当該エンジン14の過負荷状態を解消することを試みていたが、急激なエンジンドロップ状態から速やかに安定したエンジン負荷状態に復帰させる復帰所要時間T1が長くかかり作業性に問題を有していた。 【0027】 そこで、本発明は、上述の如く高速で刈取走行中に、前処理部16の穀稈搬送装置31,32での稈詰りの発生や、扱室17内の扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加し、急激なエンジンドロップが起こった時、当該前処理部16の穀稈搬送装置31,32における刈取り穀稈の搬送量を減少させると共に、脱穀フィードチェン33により扱室17内に搬送される穀稈の層厚を薄くして、実質的な扱室17内での刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させ、それによって急激なエンジンドロップ状態から安定したエンジン負荷状態に速やかに復帰させる脱穀フィードチェン33の減速制御手段A(第一実施例)、または増速制御手段B(第二実施例)を提供するものである。 【0028】 即ち、第一実施例である脱穀フィードチェン33の減速制御手段Aは、車速同調制御モードのもとで高速で刈取走行を行っている時に、図6に示すタイムチャートのような急激なエンジンドロップが起こり、それに対応して一旦刈取走行速度を減速した場合、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェン33を減速するように構成した穀稈搬送制御であり、当該遅延時間T3は、所定のエンジン過負荷回転Rに達しない僅かなエンジンドロップが起こった時の遅延時間T4に対し、T4<T3の如くエンジン14の負荷状態に対応して変更されるようになっている。 【0029】 次に、上述した減速制御手段Aである穀稈搬送制御を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。 【0030】 先ず、図7に示すステップS1では、コンバイン11における通常の穀稈搬送制御条件が成立しているか否か、即ち作業機クラッチレバー91と刈取クラッチレバー92が入り操作され、当該作業機クラッチ75と刈取クラッチ74がONの通常の穀稈搬送作業状態になっているか否かを判断し、穀稈搬送自動条件が成立していればステップS2に進み、成立していなければステップS3に進む。 【0031】 ステップS2では、ミッション回転センサ83により検出する現在の車速から穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値を計算してステップS4に進み、一方、ステップS3、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値を0としてステップS4に進む。 【0032】 そして、ステップS4では、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値を搬送回転センサ85による実搬送速度と比較し、目標値=実搬送速度であればステップS5に進み、目標値>実搬送速度であればステップS6に進み、目標値<実搬送速度であればステップS7に進む。 【0033】 ステップS5では、前処理用HST61に備えるHSTポンプ63の斜板制御用モータである搬送HSTモータ65の駆動を停止させてステップS8に進む。また、ステップS6では、搬送HSTモータ65を増速駆動させてステップS8に進む。 【0034】 ステップS8では、エンジン14の負荷状態を検出するエンジン回転ピックアップセンサ86によって、エンジン14が過負荷状態にあるか否か、即ち所定のエンジン過負荷回転R以下までエンジンドロップが起こっているか否かを判断し、エンジン14が過負荷状態にあればステップS9に進み、エンジン14が過負荷状態でなければステップS10に進む。 【0035】 ステップS9では、減速タイマーを過負荷値にセットし、またステップS10では、減速タイマーを標準値にセットしてステップS1に戻る制御が実行されるようになっている。尚、両ステップS9,S10における減速タイマーのセット値は、過負荷値>標準値となっている。また、上記実施例の構成に限らず、エンジン14が過負荷状態にある時だけ減速タイマーをセットし、エンジン14が過負荷状態にある時だけ脱穀フィードチェン33の減速が遅延してなされるように構成してもよい。 【0036】 一方、ステップS7では、コンバイン11が刈取走行中にあるか否かを、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値が0であるか否かによって判断し、0でなければステップS11に進み、0であればステップS12に進む。 【0037】 ステップS11では、減速タイマーが0になったか否かを判断し、0になったならばステップS14に進み、0になっていなければステップS13に進む。 【0038】 そして、ステップS12では、減速タイマーを0にセットしてステップS14に進み、ステップS14では、搬送HSTモータ65を目標値に減速駆動させてニュートラルにする一方、ステップS13では、搬送HSTモータ65の駆動を停止させてステップS1に戻る制御が実行されるようになっている。 【0039】 以上説明したような脱穀フィードチェン33の減速制御手段Aを設けることによって、車速同調制御モードのもとで高速で刈取走行を行っている時に、前処理部16の穀稈搬送装置31,32での稈詰りの発生や、扱室17内の扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加することにより急激なエンジンドロップが起こった場合、一旦刈取走行速度を減速すると、所定時間遅延した後に脱穀フィードチェン33が減速制御され、このように脱穀フィードチェン33が減速されるまでの間に、当該脱穀フィードチェン33によって扱室17内に搬送される穀稈の層厚は薄くなり、扱室内17における実質的な刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させることができるようになる。即ち、扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が減り扱胴59の駆動抵抗が軽減され、急激なエンジンドロップ状態から安定したエンジン負荷状態に速やかに復帰できるようになる。したがって、図6に示すタイムチャートにおける復帰所要時間T2と、図5に示す従来のタイムチャートにおける復帰所要時間T1を比較するとT1>T2となり、大幅に復帰所要時間が短縮されるので作業性が向上する 【0040】 また、第二実施例である脱穀フィードチェン33の増速制御手段Bは、車速同調制御モードのもとで高速で刈取走行を行っている時に、図8に示すタイムチャートのような急激なエンジンドロップ(エンジン14の過負荷)が起こり、このエンジンドロップをエンジン回転ピックアップセンサ86が検出すると、脱穀フィードチェン33を所定時間増速制御するように構成した穀稈搬送制御であり、当該増速時間T5は、所定のエンジン過負荷回転Rに達しない僅かなエンジンドロップが起こった時の遅延時間T4に対し、T4<T5の如く所定時間増速されるようになっている。 【0041】 次に、上述した増速制御手段Bである穀稈搬送制御を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。 【0042】 先ず、図9に示すステップS1では、コンバイン11における通常の穀稈搬送制御条件が成立しているか否か、即ち作業機クラッチレバー91と刈取クラッチレバー92が入り操作され、当該作業機クラッチ75と刈取クラッチ74がONの通常の穀稈搬送作業状態になっているか否かを判断し、穀稈搬送自動条件が成立していればステップS2に進み、成立していなければステップS3に進む。 【0043】 ステップS2では、ミッション回転センサ83により検出する現在の車速から穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値を計算してステップS4に進み、一方、ステップS3、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値を0としてステップS4に進む。 【0044】 そして、ステップS4では、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値を搬送回転センサ85による実搬送速度と比較し、目標値=実搬送速度であればステップS5に進み、目標値>実搬送速度であればステップS6に進み、目標値<実搬送速度であればステップS7に進む。 【0045】 ステップS5では、前処理用HST61に備えるHSTポンプ63の斜板制御用モータである搬送HSTモータ65の駆動を停止させてステップS8に進む。また、ステップS6では、搬送HSTモータ65を増速駆動させてステップS8に進む。 【0046】 ステップS8では、エンジン14の負荷状態を検出するエンジン回転ピックアップセンサ86によって、エンジン14が過負荷状態にあるか否か、即ち所定のエンジン過負荷回転R以下までエンジンドロップが起こっているか否かを判断し、エンジン14が過負荷状態にあればステップS9に進み、エンジン14が過負荷状態でなければステップS10に進む。 【0047】 ステップS9では、増速タイマー(図8に示す増速時間T5)をセットすると共に遅延タイマーを0とし、またステップS10では、遅延タイマー(図8に示す増速時間T4)をセットすると共に増速タイマーを0としてステップS1に戻る。 【0048】 一方、ステップS7では、コンバイン11が刈取走行中にあるか否かを、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値が0であるか否かによって判断し、0でなければステップS11に進み、0であればステップS12に進む。 【0049】 ステップS11では、遅延タイマーが0になったか否かを判断し、0になったならばステップS13に進み、0になっていなければステップS14に進んで搬送HSTモータ65の駆動を停止させてステップS1に戻る制御が実行されるようになっている。 【0050】 一方、ステップS12では、遅延タイマーと減速タイマーを0にセットしてステップS15に進み、このステップS15では、搬送HSTモータ65を目標値に減速駆動させニュートラルにしてステップS1に戻る制御が実行されるようになっている。 【0051】 また、ステップS13では、増速タイマーが0になったか否かを判断し、0になったならばステップS15に進み、0になっていなければステップS16に進む。 【0052】 ステップS16では、ステップS2において計算した穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の目標値に、増速補正値U(図8参照)を加えて新目標値としてステップS17に進む。 【0053】 ステップS17では、穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33の搬送速度の新目標値を搬送回転センサ85による実搬送速度と比較し、目標値=実搬送速度であればステップS18に進み、目標値>実搬送速度であればステップ19に進み、目標値<実搬送速度であればステップS15に進む。 【0054】 そして、ステップS18では、前処理用HST61に備えるHSTポンプ63の斜板制御用モータである搬送HSTモータ65の駆動を停止させてステップS1に戻り、また、ステップS19では、搬送HSTモータ65を増速駆動させステップS1に戻る制御が実行されるようになっている。 【0055】 以上説明したような脱穀フィードチェン33の増速制御手段Bを設けることによって、車速同調制御モードのもとで高速で刈取走行を行っている時に、エンジン14の負荷を検出するエンジン負荷検出手段(エンジン回転ピックアップセンサ)86によって、当該エンジン14の過負荷を検出した時は、脱穀フィードチェン33を所定時間増速制御する穀稈搬送制御が実行されるので、前処理部16の穀稈搬送装置31,32での稈詰りや、扱室17内の扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加することにより急激なエンジンドロップが起こった場合、脱穀フィードチェン33が所定時間増速され、このように脱穀フィードチェン33が増速されている間に、当該脱穀フィードチェン33によって扱室17内に搬送される穀稈の層厚は薄くなり、扱室内17における実質的な刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させることができるようになる。即ち、扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が減り扱胴59の駆動抵抗が軽減され、急激なエンジンドロップ状態から安定したエンジン負荷状態に速やかに復帰できるようになる。したがって、図8に示すタイムチャートにおける復帰所要時間T6と、図5に示す従来のタイムチャートにおける復帰所要時間T1を比較するとT1>T6となり、大幅に復帰所要時間が短縮されるので作業性が向上する。 【0056】 尚、上述した第二実施例では、車速同調制御モードのもとで高速で刈取走行を行っている時に、扱室17内の扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が著しく増加して急激なエンジンドロップ、即ち脱穀部の過負荷によるエンジンドロップが起こった場合、このエンジンドロップをエンジン負荷検出手段であるエンジン回転ピックアップセンサ86が検出すると、脱穀フィードチェン33を所定時間増速制御する穀稈搬送制御が実行されるようになっているが、前記エンジン回転ピックアップセンサ86に換えて、例えば、扱胴17の脱穀負荷を検出する脱穀負荷検出手段としての扱胴回転ピックアップセンサ(不図示)を設け、この扱胴回転ピックアップセンサが脱穀過負荷を検出した時に、脱穀フィードチェン33が所定時間増速されるように増速制御手段Bを設けてもよい。この場合も第二実施例と同様に脱穀フィードチェン33が増速されている間に、当該脱穀フィードチェン33によって扱室17内に搬送される穀稈の層厚は薄くなり、扱室17内における実質的な刈取り穀稈の単位時間当たりの処理量を減少させることができ、それによって扱胴59に連れ回りする切れ藁等の扱ぎ降ろし物が減り扱胴59の駆動抵抗が軽減され、急激な脱穀過負荷状態から安定し脱穀負荷状態に速やかに復帰できるようになって作業性が向上する。 【0057】 また、上述した減速制御手段A(第一実施例)、または増速手段B(第二実施例)によれば、前処理部16の穀稈搬送装置31,32と脱穀フィードチェン33とを連動して駆動させることによって、前処理部16の穀稈搬送装置31,32で稈詰りが発生して急激なエンジンドロップが起こった場合でも、当該前処理部16の穀稈搬送装置31,32での実質的な刈取り穀稈の搬送量を減少させることができるので、急激なエンジンドロップ状態から安定したエンジン負荷状態に速やかに復帰できるようになる。 【図面の簡単な説明】 【0058】 【図1】コンバインの断側面図。 【図2】コンバインの駆動系統図。 【図3】コンバインの操縦部周りの斜視図。 【図4】制御部のブロック図。 【図5】従来の穀稈搬送制御を示すタイムチャート。 【図6】穀稈搬送手段A(第一実施例)による穀稈搬送制御のタイムチャート。 【図7】穀稈搬送手段A(第一実施例)による穀稈搬送制御を示すフローチャート。 【図8】穀稈搬送手段B(第二実施例)による穀稈搬送制御のタイムチャート。 【図9】穀稈搬送手段B(第二実施例)による穀稈搬送制御を示すフローチャート。 【符号の説明】 【0059】 16 前処理部 17 脱穀部 31 穀稈搬送装置(掻込搬送装置) 32 穀稈搬送装置(扱深搬送装置) 33 脱穀フィードチェン 86 脱穀負荷検出手段(エンジン回転ピックアップセンサ) A 減速制御手段(第一実施例) B 増速制御手段(第二実施例)
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年8月31日(2005.8.31) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2007−60983(P2007−60983A) |
| 【公開日】 |
平成19年3月15日(2007.3.15) |
| 【出願番号】 |
特願2005−250804(P2005−250804) |
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