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【発明の名称】 刈払用プラスチック製抜け止め付きコード
【発明者】 【氏名】相澤 和宏

【要約】 【課題】プラスチック製抜け止めの形状を種々選択することができて、その抜け止めとプラスチック製コードとの結合強度を大きくし、更に加工精度を高く、加工時間を短くして生産性に優れた製品にする。

【解決手段】プラスチック製抜け止め2をレーザービーム溶接によりプラスチック製コード3の一端部付近、例えば一端面に固着して一体化する。その際、プラスチック製抜け止め2とプラスチック製コード3とに同種又は異種のプラスチック材を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製抜け止めをレーザービーム溶接によりプラスチック製コードの一端付近に固着して一体化することを特徴とする刈払用プラスチック製抜け止め付きコード。
【請求項2】
プラスチック製抜け止めをレーザービーム溶接によりプラスチック製コードの一端面に固着して一体化することを特徴とする刈払用プラスチック製抜け止め付きコード。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は草、幼木等を刈り払いする機械に装着して用いる刈払用プラスチック製コードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、草、木等の刈り払い用の機械として、金属製丸刃、プラスチック製コード等を装着した刈払機を使用している。この金属製丸刃は金属円板の外周面に多数の刃を設けているので、切断力が大きく、草の太い茎、木の細い幹等の切断に適する。しかし、建物や木の幹、石等の障害物の近くを刈る際刈り等には適さず、又刃に触れて足等を損傷することがあって、作業時の危険性が大きい。その点、プラスチック製コードは切断力は小さいが、際刈りに適し、触れても足等を傷付けることもなく、未熟練者の刈払作業にも適している。
【0003】
このようなプラスチック製コードには、長いナイロンコードをローターの内部に巻回しておき、適宜引き出して使用するものと、金属製抜け止めに設けた嵌合用穴内に、短いナイロンコードの一端部を挿入し、かしめて固着した金属製抜け止め付きナイロンコードをローターに設けた装着用の貫通穴内に通して使用するものとがある。そして、刈払機に取り付けて使用する際、前者のナイロンコードより後者のナイロンコードの方が安全で取り扱い易い。しかし、金属製抜け止め付きナイロンコードを用いると、金属製抜け止めの固着力のばらつきが大きいため、刈り払い中にコードが障害物に当って大きな衝撃力を受けた時等に、金属製抜け止めがコードに強固に固着されていないと分離して、草中等に飛散することがある。すると、金属製抜け止めは小さいので簡単に見つけて取り除くことができないで残る。それ故、新しい金属製抜け止め付きナイロンコードを装着して草刈りを続行し、或いは次回の草刈りや農作業をする際に、残った金属製抜け止めにナイロンコードや農具が当ると、それ等を傷付け易く、飛んだりする等して人体に危険を及ぼす虞もあって障害となる。
【0004】
そこで、抜け止めとコードを共にナイロン製にして、使用中に抜け止めがコードから分離し、草中に放置されていても、草刈りを続行し、農作業をする際等に障害とならないものが提示された。
【特許文献1】特開2002−354920
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような刈払用のナイロン製抜け止め付きコードは、ナイロンコードの一端部にナイロン系接着剤を塗布した後、その部分にナイロン製筒状体を被せ、加熱圧着して、両者の重合部を固着して抜け止めを設けている。或いはナイロンコードの一端部にナイロン製筒状体を射出成形により一体的に形成して抜け止めを設けている。それ故、抜け止めを設けるに際し、両者共にナイロン製筒状体を必要とするため、抜け止めの形状選択の自由度が小さく、ナイロンコードの一端部に対し、前者では接着剤の塗布、加熱圧着等の工程を必要とし、後者では溶融プラスチックの射出から固化するまでの射出成形工程を必要とするので、抜け止めを設けるのに時間がかかり、生産性が低くなる。なお、ナイロンコードには断面形状が円形、三角形、四角形、五角形、星形等のものがあり、更に角のあるコードをねじったねじりコード、複数のコードをより合せたより合せコード等がある。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、プラスチック製抜け止め形状を種々選択することができて、その抜け止めとプラスチック製コードとの結合強度が大きく、更に加工精度が高く、加工時間が短くて生産性に優れた刈払用プラスチック製抜け止め付きコードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による刈払用プラスチック製抜け止め付きコードは、プラスチック製抜け止めをレーザービーム溶接によりプラスチック製コードの一端付近に固着して一体化する。
又、プラスチック製抜け止めをレーザービーム溶接によりプラスチック製コードの一端面に固着して一体化する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、請求項1記載の発明によれば、プラスチック製抜け止めをプラスチック製コードの一端付近に密接触させた後、その合せ目付近にレーザービームを照射し、その合せ目付近を加熱、溶融し、溶接することにより、抜け止めをコードに簡単に固着して一体化できる。このレーザービーム溶接は他の溶接法と比べて次の特徴を有する。(1)
高出力密度ビームにより、ビーム径を約0.1〜数mmに絞って、キーホール状の溶融池を形成し、深溶かし込み溶接ができる。(2)瞬時に伝送、透過が可能な熱源であり、光分岐により多数箇所の同時溶接も可能である。(3)非接触の溶接法であって、狭あいな部分でもレーザービームを送って溶接が可能である。又、高速で動いている加工物の溶接も可能である。(4)精密な溶接に適した溶接法であって、数10〜100μmのビームスポットにもできるので、溶接時の熱入力量が極めて少なくてすみ、溶接変形や歪みが従来のアーク溶接に比べて数分の1と少ない。それ故、プラスチック製抜け止めの形状を種々選択することができて、その抜け止めとプラスチック製コードとの溶着強度が大きく、更に加工精度が高く、加工時間が短くて生産性に優れた製品を得ることができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明によれば、プラスチック製コードの一端面が広く平らであって、コードの長手方向とほぼ垂直な面となっているので、その一端面をプラスチック製抜け止めの一面との接触箇所にすると、種々の形状を有する抜け止めをコードの長手方向に配置して、そのコードの断面形状が種々異なり、或いはねじりコードやより合せコードであっても、抜け止めの接触面とコードの一端面とを良く密接触できて、溶接により抜け止めをコードに強固に固着して一体化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付の図1〜7を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した刈払用プラスチック製抜け止め付きコードの正面図である。このプラスチック製抜け止め付きコード1の製作に際し、先ずプラスチック製抜け止め2とプラスチック製コード3とを、個別にプラスチック成形品として夫々用意する。しかも、刈り払いの用途に応じてプラスチック製コード3の断面形状、構造、長さ等を選択し、更にプラスチック製抜け止め2の形状等を選択する。
【0011】
例えばプラスチック製コード3として、長さが24cmで、直径が3mmの円形断面を有するナイロンコードを用い、更にプラスチック製抜け止め2として、直径が7mm、高さが3mmの円板状のナイロン抜け止めを用いる。そして、レーザービーム溶接法に透過溶接法を採用する場合、ナイロン抜け止め2を透明にし、ナイロンコード3を不透明にするため、ナイロンコード3には顔料等を混入させ、或いは表面にペンキ等を塗っておく。
【0012】
溶接時、図2に示すようにナイロンコード3を垂直に立てて固定し、その水平な上端面にナイロン抜け止め2を乗せて、その抜け止め2とコード3の中心線を一致させ、更に抜け止め2を下方に押して固定し、抜け止め2の下面とコード3の上端面とを密接触する。その後、レーザービーム溶接機例えばYAGレーザービーム溶接機から発せられるレーザービーム4を絞って、上方から矢印方向に抜け止め2とコード3の中心線に一致させて照射する。
【0013】
すると、レーザービーム4は透明な抜け止め2を透過し、コード3の上端面の中心付近に達するが、コード3は不透明であるため、その上端面の中心付近に吸収される。そして、コード3の上端面の中心付近が発熱し、その熱が抜け止め2の下面の中心付近に伝導し、両接触面の中心付近が溶融して結合する。このようにして、レーザービーム溶接を行うと、抜け止め2とコード3との溶着強度が大きく、更に加工精度が高く、加工時間が短くて生産性に優れた刈払用プラスチック製抜け止め付きコード1を製作できる。
【0014】
使用時、刈払機の動力伝達用シャフトの先端に取り付けられている金属製丸刃を外し、その丸刃を止めるボルト、ナットをそのまま用いて円盤状のローターを装着する。このローター5には図3に示すようなコード装着用貫通穴6が、上面の中央部付近から外周面の下部を通して設けられているので、そのコード装着穴6にプラスチック製抜け止め付きコード1を上方から差し込んで側方に引き出す。すると、プラスチック製抜け止め付きコード1の抜け止め2をローター5の上面付近に設け、抜け止め2の径より僅かに大きな径にした設置穴7内に一部収容する等して、ローター5に装着できる。なお、コード装着穴6の抜け止め設置穴7に続く入口側はコード3の径より僅かに大きい径にし、出口側ではコード3の径より外周面に沿って数倍長く伸びる長方形状の口8にする。
【0015】
このようにして、図4に示すようにローター5の相対する位置にプラスチック製抜け止め付きコード1を夫々装着した後、シャフト9を通じてローター5に動力を伝達する。すると、ローター5が回転して、両コード3に遠心力が作用し、外方に伸びて回転を始めるので、草、幼木等の刈り払いを行える。そして、刈り払い中にプラスチック製抜け止め2が仮にプラスチック製コード3から分離して、草中等に飛散し、発見できなくても、抜け止め2をプラスチック製にしておくと、金属と比べて柔らかで劣化も速いので、その後の草刈りや農作業の際にコード3や農具が残った抜け止め2に当っても傷つき難く、飛んだりしても人体に危険を及ぼす虞も小さくて障害とならない。なお、使用中にコード3が短くなって、新しいものと取り替える場合、ローター5から側方に突出するコード3を持って抜け止め2の側に押すと、抜け止め2が設置穴7から簡単に抜けるので、取り外し易い。
【0016】
上記実施の形態ではプラスチック製抜け止め2をレーザービーム溶接によりプラスチック製コード3の一端面に固着して一体化する場合について説明したが、図5に示すプラスチック製抜け止めコード10のように、抜け止め11の下面中央に嵌合用凹所12を設け、そこにコード13の上端部を嵌合して、レーザービーム溶接により1箇所又は複数箇所固着して一体化し、又図6に示すプラスチック製抜け止めコード14のように、コード15の上端部を一部16切り欠き、そこに抜け止め17の一部を嵌め合せ、レーザービーム溶接により1箇所又は複数箇所固着して一体化し、又図7に示すプラスチック製抜け止めコード18のように、抜け止め19をコード20の上端部の一部側面にレーザービーム溶接により1箇所又は複数箇所固着して一体化することができる。
【0017】
なお、プラスチック製抜け止めには円板状の板体以外、三角形以上の角状板体、円錐台、角錐台等の錐体、角柱、円柱等の柱状体等、種々の形状を有するものを用途に応じて適宜使用することができる。
【0018】
又、プラスチック製抜け止め付きコードのプラスチック製抜け止めとプラスチック製コードの材質は、同種のものだけでなく、当然異種のものでも、プラスチック製抜け止めをレーザービーム溶接によりプラスチック製コードに固着して一体化できるものは使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した刈払用プラスチック製抜け止め付きコードの正面図である。
【図2】同プラスチック製抜け止め付きコードのレーザービーム照射による溶接工程を示す要部の正面図である。
【図3】同プラスチック製抜け止め付きコードをローターに装着する過程を示す要部の斜視図である。
【図4】同プラスチック製抜け止め付きコードを2本、ローターに装着した状態を示す要部の斜視図である。
【0020】
【図5】同プラスチック製抜け止め付きコードの他の1実施形態を示す要部の正面図である。
【図6】同プラスチック製抜け止め付きコードの他の1実施形態を示す要部の正面図である。
【図7】同プラスチック製抜け止め付きコードの他の1実施形態を示す要部の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1、10、14、18…プラスチック製抜け止め付きコード 2、11、17、19…プラスチック製抜け止め 3、13、15、20…プラスチック製コード 4…レーザービーム 5…ローター 6…コード装着穴 7…抜け止め設置穴 8…長方形出口 9…シャフト 12…嵌合用凹所 16…切り欠き箇所
【出願人】 【識別番号】594008143
【氏名又は名称】カルエンタープライズ株式会社
【出願日】 平成17年11月15日(2005.11.15)
【代理人】 【識別番号】100088188
【弁理士】
【氏名又は名称】柳沢 大作


【公開番号】 特開2007−135418(P2007−135418A)
【公開日】 平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願番号】 特願2005−330289(P2005−330289)