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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】里路 久幸

【要約】 【課題】エンジンから、走行装置を駆動する静油圧式無段変速装置と、刈取装置及びフィードチェンを駆動する静油圧式無段変速装置とへの入力伝動経路を簡素化して、コンバインを安価に提供する。

【解決手段】可走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付ける。そして、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)と刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)の油圧ポンプ(5a)とを連動して駆動する連動機構(7)を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けるにあたり、前記走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)を走行ミッションケース(6)における機体内側寄りの位置に取り付け、前記刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)を走行ミッションケース(6)における機体外側寄りの位置に取り付けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けると共に、前記走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)と刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)の油圧ポンプ(5a)とを連動して駆動する連動機構(7)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインは、走行装置を駆動する走行ミッションケースへ静油圧式無段変速装置の駆動力を入力し、この駆動力を走行ミッションケース内で分岐させて出力して、刈取装置及び脱穀装置のフィードチェンを駆動する構成であった。
【0003】
これにより、刈取装置及びフィードチェンの駆動速度は、この走行ミッションケースへ入力される静油圧式無段変速装置の変速作動に比例して変速され、走行速度が高速になるほど、刈取装置及びフィードチェンの速度も増速されて、刈取穀稈量の増加に対応できる。
【0004】
しかしながら、例えば、圃場に植立する穀稈が倒伏している場合には、走行速度に対して刈取装置の駆動速度をより増速して、この倒伏穀稈の引起しを円滑に行わなければならないのであるが、この従来のコンバインの構成の場合では、走行装置の増速量と、刈取装置及びフィードチェンの増速量との比率が固定され、この比率を変更することができない。このため、倒伏穀稈の刈取作業において、引起し速度が十分に増速されていない状態で穀稈を刈り取るために、この刈取穀稈は、穂先が遅れた姿勢でフィードチェンへ引き継がれて脱穀装置へ供給される。この結果、扱ぎ残しを生じる不具合があるものであった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に示すように、刈取装置及びフィードチェンを、走行装置を駆動する静油圧式無段変速装置とは独立した別の静油圧式無段変速装置によって駆動するように構成し、走行装置の増速量と、刈取装置及びフィードチェンの増速量との比率を、変更自在とする技術が試みられている。
【特許文献1】特開2003−235328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載された技術は、刈取装置及びフィードチェンを駆動する静油圧式無段変速装置を走行ミッションケースとは離れた位置に設置する構成である。従って、エンジンから、走行装置を駆動する静油圧式無段変速装置への入力伝動経路とは別に、エンジンから、刈取装置及びフィードチェンを駆動する静油圧式無段変速装置への入力伝動機構を設けねばならず、
この伝動機構が複雑化して安価に提供できない問題が残る。
【0007】
また、この刈取装置及びフィードチェンを駆動する静油圧式無段変速装置は、走行ミッションケースよりも後方であって機体の奥側に配置されるため、機体外側からメンテナンスを容易に行うことができず、また、この静油圧式無段変速装置自体の空冷効率も低くなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0009】
しかして、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とが、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けられるために、エンジンから、この2つの静油圧式無段変速装置(2,5)への入力伝動機構を共用化することが容易となる。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けるにあたり、前記走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)を走行ミッションケース(6)における機体内側寄りの位置に取り付け、前記刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)を走行ミッションケース(6)における機体外側寄りの位置に取り付けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0011】
しかして、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とが、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けられるために、エンジンから、この2つの静油圧式無段変速装置(2,5)への入力伝動機構を共用化することが容易となる。また、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)が走行ミッションケース(6)における機体内側寄りの位置に取り付けられ、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)が走行ミッションケース(6)における機体外側寄りの位置に取り付けられるために、この2つの静油圧式無段変速装置(2,5)の重量が走行ミッションケース(6)の左右両側に振り分けられ、機体の左右重量バランスを適正に設定しやすくなる。また、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)が走行ミッションケース(6)における機体外側寄りの位置に取り付けられるために、この静油圧式無段変速装置(5)のメンテナンスを機体外側から容易に行える。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とを、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けると共に、前記走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)と刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)の油圧ポンプ(5a)とを連動して駆動する連動機構(7)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0013】
しかして、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とが、走行ミッションケース(6)に対して一体的に取り付けられるために、エンジンから、この2つの静油圧式無段変速装置(2,5)への入力伝動機構を共用化することが容易となる。即ち、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)と刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)の油圧ポンプ(5a)とが、連動機構(7)によって連動して駆動されるため、エンジンから、この2つの静油圧式無段変速装置(2,5)への入力伝動機構が簡素化される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によると、エンジンから、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とへの入力伝動機構を共用化すれば、この入力伝動機構の構成を簡素化して安価に提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、エンジンから、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とへの入力伝動機構を共用化すれば、この入力伝動機構の構成を簡素化して安価に提供することができる。また、この2つの静油圧式無段変速装置(2,5)の重量が走行ミッションケース(6)の左右両側に振り分けられるために、機体の左右重量バランスの適正化が図り易く、コンバインの直進走行性能を良好にすることができる。また、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)のメンテナンスを機体外側から容易に行うことができ、メンテナンス作業の能率を向上させることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によると、エンジンから、走行装置(1)を駆動する静油圧式無段変速装置(2)と、刈取装置(3)及びフィードチェン(4)を駆動する静油圧式無段変速装置(5)とへの入力伝動機構を簡素化して安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明におけるコンバインの実施の形態を、自脱型のコンバインを例示して説明する。
図1、図2、図3に示すように、走行ミッションケース6は、主伝動ケース6Aの上部右側に左分割伝動ケース6Lを一体形成すると共に、該左分割伝動ケース6Lの右側に右分割伝動ケース6Rを接合して構成する。
【0018】
そして、前記左分割伝動ケース6Lの上部左側に、クローラ7,7を備えた走行装置1,1を駆動する静油圧式無段変速装置2の下部右側をボルト締結して取り付ける。これにより、該走行装置1,1を駆動する静油圧式無段変速装置2は、主伝動ケース6Aの上方空間に配置される。更に、前記静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aを駆動する油圧ポンプ入力軸2bの左側突出端部には、エンジン8の出力プーリ8aとの間に伝動ベルト8bを掛け回す入力プーリ9を取り付ける。また、該入力プーリ9の外側部に、冷却ファン10をボルト固定して取り付ける。尚、11は、前記伝動ベルト8bに張力を付与するテンションローラである。尚、前記油圧ポンプ入力軸2bの右側部分は、スプライン雄軸として、静油圧式無段変速装置2の本体から右側へ突出させる。また、2cは、前記油圧ポンプ2aの斜盤角度を変更して吐出油量を変更するトラニオン軸、2dは該トラニオン軸2cの回動操作アームである。
【0019】
一方、前記右分割伝動ケース6Rの上部右側に、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5の下部左側をボルト締結して取り付ける。該静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ5aを駆動する油圧ポンプ入力軸5bの左側部分は、スプライン雄軸として、該静油圧式無段変速装置5の本体から左側へ突出させる。また、5cは、前記油圧ポンプ2aの斜盤角度を変更して吐出油量を変更するトラニオン軸、5dは該トラニオン軸5cの回動操作アームである。尚、該静油圧式無段変速装置5内の作動油を補給するタンク5tを、ポートブロック部分の上側に取り付ける。
【0020】
これにより、前記左分割伝動ケース6Lと右分割伝動ケース6Rとから成る伝動ケースを挟んで、該伝動ケースの左右側面に、夫々、走行装置1,1を駆動する静油圧式無段変速装置2と刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5とを配置してコンパクトに構成することができる。
【0021】
そして、前記走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2における油圧ポンプ入力軸2bの右側突出部分と、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5における油圧ポンプ入力軸5bの左側突出部分とを、スプライン雌軸12によって連結する。該スプライン雌軸12による油圧ポンプ入力軸2bの右側突出部分と油圧ポンプ入力軸5bの左側突出部分との連結構成を、連動機構7と称する。
【0022】
しかして、前記走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2eの出力軸2fに取り付けた出力歯車2gを、下位の中間軸2hに軸承した中間歯車2iに噛み合わせ、該中間歯車2iを、走行ミッションケース6上部に軸承した走行入力軸13右端の入力歯車2jに噛み合わせて、走行駆動用ギヤトレイン2kを形成する。
【0023】
一方、前記刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5の油圧モータ5eの出力軸5fに取り付けた出力歯車5gを、下位の中間軸5hに軸承した中間歯車5iに噛み合わせ、該中間歯車5iを、前記右分割伝動ケース6Rの下部に軸承した作業機出力軸14左端の入力歯車5jに噛み合わせて、刈取・フィードチェン駆動用ギヤトレイン5kを形成する。
【0024】
そして、前記走行入力軸13には、副変速歯車15を、副変速シフタ16によって軸方向に摺動自在にスプライン嵌合して設けると共に、後進伝動用歯車17を遊転状態に設ける。また、該走行入力軸13の突出端部には、刈取出力補助プーリ18を取り付ける。そして、前記走行入力軸13の下位に軸承した中間軸19には、前記副変速歯車15と択一的に噛み合う入力歯車20と、前記後進伝動用歯車17と常時噛み合う後進入力歯車21と、出力歯車22とを固設する。そして、前記中間軸19の下位に軸承したサイドクラッチ軸23の中央部に中央歯車24を固設すると共に、該中央歯車24の左右両側に対して係合離脱自在な左右のサイドクラッチ歯車25L,25Rを、スプリング26L,26Rによって係合側へ付勢して設ける。27L,27Rは、該左右のサイドクラッチ歯車25L,25Rを制動するブレーキである。更に、前記サイドクラッチ軸23の下位に軸承した左右の車軸28L,28Rの各内側端部に左右の車軸歯車29L,29Rを固設して、該左右の車軸歯車29L,29Rを前記左右のサイドクラッチ歯車25L,25Rに噛み合わせる。30L,30Rは、前記左右の車軸28L,28Rの各突出端部に取り付けた左右の駆動スプロケットであり、該左右の駆動スプロケット30L,30Rによって左右のクローラ7,7を駆動するように構成する。
【0025】
また、前記作業機出力軸14の突出端部には、刈取駆動用出力プーリ31とフィードチェン駆動用出力プーリ32とを取り付けると共に、該作業機出力軸14を包囲する軸筒33の端部には、テンションローラ34を揺動自在に支持するテンションアーム35を軸支して設ける。
【0026】
更に、前記刈取駆動用出力プーリ31と、刈取装置3側の刈取入力軸36に設けた刈取入力プーリ37との間に刈取伝動ベルト38を掛け回すと共に、前記フィードチェン駆動用出力プーリ32と、フィードチェン4の駆動スプロケット39と同軸に設けたフィードチェン入力プーリ40との間にフィードチェン伝動ベルト41を掛け回す。
【0027】
尚、図2、図3において、42L,42Rは、前記左右のサイドクラッチ歯車25L,25Rを中央歯車24から離脱させて左右のブレーキ27L,27R側へ押し付ける左右のプッシュシリンダである。
【0028】
次に、図4に示すコンバインの伝動系について説明する。
刈取装置3は、機体に対して油圧シリンダの推力によって昇降回動自在に設けた縦支持フレーム43の前端部に左右方向姿勢の下部ギヤケース44を取り付け、該下部ギヤケース44部から前方へ分草杆を延出して該延出端部に分草体45を取り付け、該分草体45の後側に引起装置(図示省略)を斜設し、該引起装置の後側に掻込装置46を配置し、該掻込装置46の下側に刈刃装置(図示省略)を配置し、該掻込装置46に続く株元搬送チェン47を設け、更に、該株元搬送チェン47に続く供給搬送装置(扱ぎ深さ調節装置)48を設けて、該供給搬送装置48の終端部からフィードチェン4へ刈取穀稈を引き継ぐように構成する。尚、前記縦支持フレーム43内には、前記刈取入力軸36から連動される伝動軸を内装し、該伝動軸から前記下部ギヤケース44内の伝動軸を経て前記引起装置と、掻込装置46と、刈刃装置と、株元搬送チェン47と、供給搬送装置48等を連動して駆動する構成である。尚、この図4においては、フィードチェン4の駆動スプロケット39とフィードチェン入力プーリ40との間に減速歯車機構49を介在させている。また、前記フィードチェン伝動ベルト41に張力を付与するテンションローラ50を配置している。
【0029】
また、前記走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2の回動操作アーム2dを、主変速レバー51から連動ロッド52を介して回動操作できるように構成する。53は、主変速レバー51を強制回動させることのできる走行変速用電動モータである。また、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5の回動操作アーム5dを、作業変速用電動モータ54から連動ロッド55を介して回動操作できるように構成する。
【0030】
また、脱穀装置56は、エンジン8の出力軸に設けた出力プーリから伝動ベルトを介してカウンタ軸58へ駆動力を入力し、該カウンタ軸58からベベルギヤ伝動機構59を介して処理胴60を有する処理胴軸61を駆動し、該処理胴軸61からギヤ伝動機構62及びベルト伝動機構63を介して扱胴64を有する扱胴軸65を駆動するように構成する。また、前記カウンタ軸58からベルト伝動機構66を介して唐箕67を有する唐箕軸68を駆動し、該唐箕軸68からベルト伝動機構69及びクランク軸70を介して揺動選別棚71を揺動駆動するように構成する。また、前記唐箕軸68からベルト伝動機構72を介して一番螺旋軸73及び一番揚穀螺旋軸74と、二番螺旋軸75及び二番揚穀螺旋軸76を駆動するように構成し、更にカウンタ軸77及びベルト伝動機構78を介して吸引式の排塵ファン79を駆動するように構成する。更に、エンジン8の出力軸に設けた別の出力プーリから、ベルト伝動機構80及びベベルギヤ伝動機構81を介して、穀粒排出オーガ82の揚穀螺旋軸83と引継螺旋軸84と排出螺旋軸85とを連動して駆動するように構成する。
【0031】
以上の構成により、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2と、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5とが、走行ミッションケース6に対して一体的に取り付けられるために、エンジン8から、この2つの静油圧式無段変速装置2,5への入力伝動機構を共用化することが容易となる。また、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2が走行ミッションケース6における機体内側寄りの位置に取り付けられ、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5が走行ミッションケース6における機体外側寄りの位置に取り付けられるために、2つの静油圧式無段変速装置2,5の重量が走行ミッションケース6の左右両側に振り分けられ、機体の左右重量バランスを適正に設定しやすくなる。また、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5が走行ミッションケース6における機体外側寄りの位置に取り付けられるために、この静油圧式無段変速装置5のメンテナンスを機体外側から容易に行える。また、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aと刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ5aとが、連動機構7によって連動して駆動されるため、エンジンから、この2つの静油圧式無段変速装置2,5への入力伝動機構が簡素化される。
【0032】
また、右分割伝動ケース6Rの上部右側に、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5を取り付けることにより、該静油圧式無段変速装置5および出力歯車5g,中間歯車5i,入力歯車5jから成るギヤトレインがフィードチェン4に近付き、これらフィードチェン4の駆動機構をコンパクトに構成することができる。
【0033】
また、前述のように、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2を走行ミッションケース6の主伝動ケース6Aの上方に配置することにより、エンジン8の出力プーリ8aと、静油圧式無段変速装置2の入力プーリ9との左右位置合わせを容易に行うことができる。
【0034】
また、上述のように、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aと刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ5aとを、連動機構7としてのスプライン雌軸12によって連動して駆動することができるため、該2つの静油圧式無段変速装置2,5への駆動力の伝達機構を簡素に構成でき、安価に製造することができる。
【0035】
また、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ入力軸2bと、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ入力軸5bとを、連動機構7としてのスプライン雌軸12によって連結する構成であり、このスプライン雌軸12を伝動カップリング(伝動継手)として利用するため、これら静油圧式無段変速装置2,5の走行ミッションケース6への組み付けを容易に行うことができる。
【0036】
また、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ入力軸2bの左側突出端部に取り付けた入力プーリ9の外側部に、冷却ファン10を取り付けることにより、該冷却ファン10によって起された冷却風によって2つの静油圧式無段変速装置2,5を冷却することができ、これら2つの静油圧式無段変速装置2,5に夫々冷却ファンを設ける場合に比較して、静油圧式無段変速装置の冷却構造を簡素化することができる。
【0037】
また、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2は、走行ミッションケース6内のミッションオイルを作動油として共用し、一方、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5は、該静油圧式無段変速装置5の上側に取り付けたタンク5t内の作動油を利用する構成である。即ち、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2には重負荷がかかるため、走行ミッションケース6内の多量のミッションオイルを循環させて共用することによって作動油の劣化を遅くし、一方、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5にかかる作業負荷は軽負荷であってその負荷変動も小さいため、該静油圧式無段変速装置5に直接取り付けたタンク5t内の作動油で足り、これによってコンパクトに構成することができる。
【0038】
また、前記テンションローラ34による刈取伝動ベルト38の張力付与機構を、刈取クラッチとし、また、前記テンションローラ50によるフィードチェン伝動ベルト41の張力付与機構を、フィードチェンクラッチとすることにより、該刈取クラッチを切り、フィードチェンクラッチを入りとした状態で、作業変速用電動モータ54を作動させて静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ5aのトラニオン軸5cを回動調節すれば、走行を停止し脱穀装置56を一定速度で駆動したままの状態で、フィードチェン4を任意の速度で駆動して、手扱ぎ穀稈をこのフィードチェン4に供給して手扱ぎ作業を行うことができる。また、静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ5aのトラニオン軸5cを中立位置へ回動させることによって、刈取装置3の駆動とフィードチェン4の駆動とを停止させることができるうえに、刈取クラッチとフィードチェンクラッチとを切ることによっても刈取装置3の駆動とフィードチェン4の駆動とを停止させることができ、2重の安全機構とすることができる。また、刈取クラッチとフィードチェンクラッチとが入りになっていても、静油圧式無段変速装置5の油圧ポンプ5aのトラニオン軸5cを中立位置へ回動させることによって、上手に位置する作業機出力軸14が停止し、刈取装置3の駆動とフィードチェン4の駆動とを停止させることができ、安全性を向上させることができる。
【0039】
また、図5に示すように、コンバインの一部の伝動機構を変更してもよい。即ち、作業機出力軸14の先端部に設ける刈取駆動用出力プーリ31を、小径の刈取駆動用出力プーリ31aと大径の刈取駆動用出力プーリ31bとし、一方、刈取入力軸36に設ける刈取入力プーリ37を、大径の刈取入力プーリ37aと小径の刈取入力プーリ37bとする。そして、前記小径の刈取駆動用出力プーリ31aと大径の刈取入力プーリ37aとにわたって低速用刈取伝動ベルト38aを巻き回し、前記大径の刈取駆動用出力プーリ31bと小径の刈取入力プーリ37bとにわたって高速用刈取伝動ベルト38bを巻き回し、前記低速用刈取伝動ベルト38aに張力を付与する低速駆動用テンションローラ34aと、高速用刈取伝動ベルト38bに張力を付与する高速駆動用テンションローラ34bとを設ける。即ち、前述の構成では、走行速度が遅いとフィードチェン4の駆動速度も遅くなり、脱穀装置56内における穀稈の通過速度が遅くなって藁屑が多量に発生して選別が悪くなることも考えられる。これに対して、上述のように構成し、高速駆動用テンションローラ34bによる高速用刈取伝動ベルト38bへの張力付与を断ち、低速駆動用テンションローラ34aによって低速駆動用刈取伝動ベルト38aへの張力付与を行えば、作業機出力軸14の駆動速度が一定の場合には刈取装置3が低速で駆動されることになるため、刈取装置3を所定の速度に維持するためには、作業機出力軸14の駆動速度を増速する必要が生じ、静油圧式無段変速装置5の油圧モータ5eの出力回転を増速させて作業機出力軸14の駆動速度を増速させた結果、フィードチェン4の駆動速度が高まることになる。これにより、走行速度および刈取装置3の駆動速度が一定であっても、フィードチェン4が増速駆動され、脱穀装置56内における穀稈の通過速度を高めて藁屑の発生を少なくし、選別性能を維持することができる。図6に示す標準状態では、フィードチェン駆動速度F1と刈取駆動速度F2とは、速度比率が1対1の関係で、走行速度Vの増速に比例して増速する。また、図7に示すように、高速駆動用テンションローラ34bによる高速用刈取伝動ベルト38bへの張力付与を断ち、低速駆動用テンションローラ34aによって低速駆動用刈取伝動ベルト38aへの張力付与を行った場合には、フィードチェン駆動速度F1は、刈取駆動速度F2よりも高いラインにて、走行速度Vの増速に比例して増速する。一方、図8に示すように、低速駆動用テンションローラ34aによる低速駆動用刈取伝動ベルト38aへの張力付与を断ち、高速駆動用テンションローラ34bによる高速用刈取伝動ベルト38bへの張力付与を行った場合には、フィードチェン駆動速度F1は、刈取駆動速度F2よりも低いラインにて、走行速度Vの増速に比例して増速する。
【0040】
また、図9に示すように、コンバインの一部の伝動機構を変更してもよい。作業機出力軸14の先端部に設けるフィードチェン駆動用出力プーリ32を、小径のフィードチェン駆動用出力プーリ32aと大径のフィードチェン駆動用出力プーリ32bとし、一方、フィードチェン入力プーリ40を、大径のフィードチェン入力プーリ40aと小径のフィードチェン入力プーリ40bとする。そして、前記小径のフィードチェン駆動用出力プーリ32aと大径のフィードチェン入力プーリ40aとにわたって低速用フィードチェン伝動ベルト41aを巻き回し、前記大径のフィードチェン駆動用出力プーリ32bと小径のフィードチェン入力プーリ40bとにわたって高速用フィードチェン伝動ベルト41bを巻き回し、前記低速用フィードチェン伝動ベルト41aに張力を付与する低速駆動用テンションローラ50aと、高速用フィードチェン伝動ベルト41bに張力を付与する高速駆動用テンションローラ50bとを設ける。この構成によっても、図5の実施例と同様、図6〜図8のグラフに示す速度関係を実現することができる。
【0041】
また、図10〜図11に示すように、コンバインの伝動機構の一部を変更してもよい。即ち、図1の構成に対して、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2における油圧モータ2e側の斜盤角度を変更自在に構成し、該斜盤角度の変更を電動モータ86から連動ロッド87を介して行わせるように構成する。この構成における油圧回路は、図11に示すように、メインの油圧ポンプ88の吐出側に、操向レバーの前後傾動操作によって切り換わるソレノイド式の3位置切換弁89を配置し、該3位置切換弁89の作動によって刈取昇降用油圧シリンダ90への送油及び返油を行わせるように構成する。また、前記3位置切換弁89を中立位置とした状態で連通する油路に、ソレノイド式の3位置切換弁91を配置し、該3位置切換弁91のソレノイドを、分草杆に設けた左右の方向制御センサー92L,92Rからの穀稈検出信号に基づいて通電するように構成する。また、前記3位置切換弁91の下手側に左右のプッシュシリンダ42L,42Rを接続して、該3位置切換弁91の作動によって、左右のプッシュシリンダ42L,42Rが択一的に作動するように構成する。そして、該左右のプッシュシリンダ42L,42Rにおけるサイドクラッチ切り位置以後の部位に返油路93を接続し、該返油路93の途中部位に電磁流量制御弁94と、操向レバーの左右傾動操作角度に応じてリリーフ圧が変化する可変リリーフバルブ95を接続する。また、該可変リリーフバルブ95の下手側には、前記走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2における閉回路と、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5における閉回路とに作動油を補給するチャージ油路96を並列に接続する。前記走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置2における閉回路と、刈取装置3及びフィードチェン4を駆動する静油圧式無段変速装置5における閉回路とには、高圧側と低圧側とを短絡する油路に設けた逆止弁97、絞り弁98、定圧リリーフバルブ99を設けた構成である。尚、100は、前記メインの油圧ポンプ88の吐出ポート直後に設けた定圧リリーフバルブである。また、前記走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置の油圧モータ2e側の斜盤角度を変更する電動モータ86は、主変速レバー51の把手部に設けたスイッチ101の操作によって作動するように連繋する。102は作動油タンク、103は扇形ギヤである。このように、走行装置1を駆動する静油圧式無段変速装置の油圧モータ2e側の斜盤角度を、主変速レバー51の把手部に設けたスイッチ101の操作によって調節することにより、前記シフタ16の操作によるギヤチェンジ以外にも有段変速を行うことができ、副変速段数を増やすことができると共に、主変速レバー51を操作しながら容易に副変速操作を行うことができ、操作性を向上させることができる。尚、前記油圧モータ2eの斜盤角度を、手動操作レバー104によって変更操作できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】要部の一部を断面して示す説明用正面図である。
【図2】要部の説明用右側面図である。
【図3】要部の説明用左側面図である。
【図4】コンバインの伝動説明図である。
【図5】別実施例におけるコンバインの伝動説明図である。
【図6】走行速度に対するフィードチェン駆動速度と刈取駆動速度との関係を示すグラフである。
【図7】走行速度に対するフィードチェン駆動速度と刈取駆動速度との関係を示すグラフである。
【図8】走行速度に対するフィードチェン駆動速度と刈取駆動速度との関係を示すグラフである。
【図9】別実施例におけるコンバインの伝動説明図である。
【図10】別実施例における要部の説明用正面図である。
【図11】別実施例における油圧回路図である。
【図12】別実施例におけるコンバインの伝動説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 走行装置
2 静油圧式無段変速装置(走行装置駆動用)
2a 油圧ポンプ
3 刈取装置
4 フィードチェン
5 静油圧式無段変速装置(刈取装置及びフィードチェン駆動用)
5a 油圧ポンプ
6 走行ミッションケース
7 連動機構
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成17年9月29日(2005.9.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−89517(P2007−89517A)
【公開日】 平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願番号】 特願2005−285380(P2005−285380)