| 【発明の名称】 |
催芽種子形成装置及び催芽種子形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 一春
|
| 【要約】 |
【課題】緑化工事における種子の発芽率は30%から70%程度であり、防災効果や施工コストの点で問題を含んでいる。特に木本類(樹林科)は発芽率・発芽期間等に難点があり、植生工で採用され難いことが自然環境保全上の大きな課題である。林業における苗木生産、農業における苗生産においても発芽率の低い種子があり、経済効率の低さが問題となっている。
【解決手段】自動給排水機能を有する水槽内に設けられた回転筺体に多数の貫通孔を備えたカートリッジに種子を充填し、水槽に温水を満たし、低速回転で水中加温と水面上で酸素を交互に与え催芽させる。この間に自動給排水機構により水替えを行い、催芽が完了した時点で排水し、回転筺体を高速回転させ脱水し、乾燥フアンにより乾燥させる工程を経て催芽種子を形成する装置である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 定期的に給排水を自動的に行う自動給排水機能を有する水槽と、前記水槽内の温度を高めるヒーターと、周面に多数の貫通孔を有するカートリッジとを備えてなり、前記カートリッジを水中に浸水した状態と水面上に表出した状態とを交互に移動できるように設けたことを特徴とする催芽種子形成装置。 【請求項2】 定期的に給排水を自動的に行う自動給排水機能を有する水槽と、前記水槽内において回転可能に設けられた回転筐体と、前記水槽内の温度を高めるヒーターと、前記回転筐体に着脱可能であって周面に多数の貫通孔を備えた複数のカートリッジとを備えてなり、前記カートリッジを水中と水面上とを交互に移動可能に設けたことを特徴とする催芽種子形成装置。 【請求項3】 水槽に保温カバーを設け、保温カバー内部に発光灯を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の催芽種子形成装置。 【請求項4】 回転筺体の回転速度を可変とすると共に乾燥ファンを設け、回転筺体を高速回転させて催芽種子の脱水を行った後、乾燥ファンによって前記種子を乾燥することを特徴とする請求項2又は3記載の催芽種子形成装置。 【請求項5】 水分、温度、酸素、光および時間の各要素の少なくとも一つの要素を催芽の対象となる種子に応じて設定するための制御装置を備えることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の催芽種子形成装置。 【請求項6】 緑化植生や農林業の苗生産を目的として播種する催芽種子を形成する方法であって、周面に多数の貫通孔を形成したカートリッジに種子を収納し、前記カートリッジを水槽内の水中に浸水する状態と水面上に表出する状態とを交互に繰り返すことを特徴とする催芽種子形成方法。 【請求項7】 緑化植生や農林業の苗生産を目的として播種する催芽種子を形成する方法であって、周面に多数の貫通孔を有する収納カートリッジを回転筐体に装着し、前記回転筐体を回転させることによって前記カートリッジが水槽内の水中に浸水する状態と水面上に表出する状態とを交互に繰り返して催芽を行い、次いで水槽内の水又は温水を排水し、前記回転筐体を高速回転させて脱水し、乾燥ファンによって乾燥することを特徴とする催芽種子形成方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、催芽種子の形成装置及び方法に関する。 【背景技術】 【0002】 山を切り開いたり、その土を盛ったりしてできる人工的な斜面を法面というが、山の中の構造物造成では、発生した法面をいかにして早く緑化するかが重要な課題である。しかも、法面緑化は災害復旧や防災を目的とするものが多く、植物の成長と共に防災効果が増加してくるので、早期発芽および早期成長は極めて重要な課題である。 【0003】 通常、法面を緑化するための種子は休眠状態で播種される。つまり、吹付材料に休眠種子を混ぜて行う植生基盤吹付工が一般的である。 しかし、休眠種子は発芽率が低く、結果的に「二度吹き」(吹付のやり直し)を余儀なくされる場合が少なくない。また、植生基盤吹付工は施工後2〜3ヶ月程度経過したときの発芽状態を基準とするため、この間に降雨により基盤の流出や種子の流亡が発生する恐れもある。 【0004】 これらに対して、発芽率の低さを補うべく休眠種子の播種量を多くする手法が採られるが、工事費が増大するという問題があり、また、降雨による休眠種子の流亡を防止するために土壌安定剤(糊)の濃度を高める手法が採られる場合もあるが、基盤が硬くなる結果、種子が発芽し難くなるので相当ではない。 【0005】 さらに、近年、周辺環境との調和や森林生態系の保全のためには木本類(樹林科)による良質な緑化が望まれており、森林環境保全や周辺環境との調和が重要な課題になっている。例えば、沖縄を初めとする離島では地元で採取した木本類の種子を採用することを義務付けした公共事業が増加している。しかし、木本類の休眠種子は単価が比較的効果であるのみならず、木本類は他の類に比較して発芽率が低く且つ発芽日数が永いという問題を抱えている。 【特許文献1】特開平07−255219 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところで、上述の法面緑化とは異なるが、農業目的として休眠種子を催芽して利用することが一部で採用されている。ここで催芽とは、休眠種子を人工的に水分や温度、酸素を与え発芽直前の状態に活性化させることである。そこで、この催芽を利用すれば、法面緑化するにあたり、発芽率を向上させることができるほか、発芽日数も短縮できると考えられる。 【0007】 かかる催芽を促進する装置として、特許文献1に示す催芽機が存在する。この催芽機は、催芽対象物を温水に浸すタンクと、タンク内の温水を循環する循環装置を備えており、タンク内の催芽対象物に対して酸素を供給するべく、循環装置によってタンク内の温水をタンク上方から散水する構成を採用している。この構成により、催芽対象物に対して人工的に水分、温度および酸素を与えて発芽直前の状態に活性化させるのである。 しかし、この催芽機によれば、ネット袋等に収納された対象物たる種子をタンク内に浸漬した状態で使用するため、種子は常に所定の位置に水没した状態で留まることになる。また、複数の品種を同時に処理する場合、複数の品種に対応する複数のネット袋がタンク内に積み重ねられた状態になる結果、ネット袋内の種子が所定の位置に固定されて移動できない状態になる。したがって、他の種子と比較して酸素を十分に取り込めない種子が存在し、各種子における酸素供給率が不均一になる恐れがある。 【0008】 また、タンク上方から散水する手段によってタンク内に酸素を供給しているものの、種子を収納したネット袋自体はタンク内に積み重ねて浸漬された状態であるので、大気中の酸素を効果的に取り込むことは難しい。さらに、種子の催芽活動中には不純物が多く生じるため、雑菌が発生し易い環境になるところ、この催芽機は給排水機能を備えていないので、効果的に雑菌に防止し得るものではない。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明は上記に鑑みて創作されたものであり、具体的には、緑化植生や農林業の苗生産を目的として播種する催芽種子を形成する装置であって、定期的に給排水を自動的に行う自動給排水機能を有する水槽と、前記水槽内の温度を高めるヒーターと、周面に多数の貫通孔を有するカートリッジとを備えてなり、前記カートリッジを水中に浸水した状態と水面上に表出した状態とを交互に移動できるように設けたことを特徴とする催芽種子形成装置である。 【0010】 本発明の特徴は、緑化植生や苗木や農業用苗の生産を目的として播種する種子を事前に催芽させるものであり、定期的に給排水を自動的に行う自動給排水機能を有する水槽と、前記水槽内の温度(水温)を高めるヒーターと、水槽内において水中から水面上へと移動可能なカートリッジを備えてなり、カートリッジが水中と水面上とを交互に移動可能であるから、カートリッジ内に収納される種子に対して、水中において水分と温度(熱)を与え、水面上(大気中)において酸素を効果的に与えることにより、催芽を促進させることができる。特に、催芽活動の当初は、種子から不純物が多く、水中の酸素が不足する危険性もあるが、本発明によれば水面上(大気中)において効果的に酸素を与えことができるので、酸素不足に対する有効な手段になる。 【0011】 しかも、自動給排水機能を有する水槽であって、定期的に給排水を自動的に行うので、雑菌が発生する恐れを可及的に防止することができる。上述のとおり、催芽当初は種子から不純物が多く、水中の酸素が不足する危険性もあるが、本発明の自動給排水機能によれば、雑菌が発生する恐れを可及的に防止することができるので、酸素不足に対して有効な手段になる。 さらに、水槽内の水中から水面上へと移動可能なカートリッジを備えているので、カートリッジの移動中に、カートリッジ内の種子同士が互いに接触することによって、種皮に傷が付きやすく(ひいては種皮が剥がれやすく)、殻に傷がつけば吸水性が改善されるので、例えば木本類のような硬質の種子においても、催芽を促進する効果が期待できる。つまり、上記従来技術のように、ネット袋がタンク内に積み重ねられた状態に固定された場合は、種皮に傷がつくことがなく、この意味における吸水性が改善される余地はないので、本発明は種子の吸水性が改善されるといえる。 【0012】 また、本発明は、定期的に給排水を自動的に行う自動給排水機能を有する水槽と、前記水槽内において回転可能に設けられた回転筐体と、前記水槽内の温度を高めるヒーターと、前記回転筐体に着脱可能であって周面に多数の貫通孔を備えた複数のカートリッジとを備えてなり、前記カートリッジを水中と水面上とを交互に移動可能に設けたことを特徴とする催芽種子形成装置である。 【0013】 本発明によれば、回転筺体が回転運動を行うので、大気中の酸素を水中に酸素を送り込むことができる。しかも、水槽内で回転するカートリッジは水中から水面上へと交互に移動を繰り返すので、複数のカートリッジの全部が水没することなく、一部が水面上へと表出するので、種子に対して酸素を効果的に与えることができる。 【0014】 また、回転筺体の回転運動によって、カートリッジ内の種子が攪拌されるので、種子に対して万遍なく酸素や温度(熱)を与えることができる。また、カートリッジを複数備えるので、複数種類の種子を同時に処理することができる。さらに、種子の種類によって催芽時期(催芽するまでの期間)が異なるところ、本発明のカートリッジは着脱自在であるので、催芽が完了したものから順に取り出すことができる。この点、水面上に表出したときに取り出すことができるので、取り出し作業も容易である。 【0015】 また、本発明は、水槽に保温カバーを設け、保温カバー内部に発光灯を設けたことを特徴とする催芽種子形成装置である。 本発明によれば、水槽に保温カバーを備えているので、水槽内の放熱を防ぐことができる。また、保温カバー内部に発光灯を備えているので、例えば、催芽活動に光りが必要な種子の場合は、赤色灯を使用することによって、催芽活動を促進できる。また、催芽活動中に発生する雑菌の殺菌を目的とする場合は、殺菌灯を使用することによって、種子の腐敗を防止することができる。 【0016】 ところで、催芽した種子は高水分の状態で放置すると発芽成長し、いわゆる「モヤシ」になる恐れがあり保存性に問題が生じる。そこで、本発明は、回転筺体の回転速度を可変とすると共に乾燥ファンを設け、回転筺体を高速回転させて催芽種子の脱水を行った後、乾燥ファンによって前記種子を乾燥することを特徴とする催芽種子形成装置である。 【0017】 本発明によれば、回転筐体を高速回転させることによって水切り脱水をすることができる。さらに、脱水後は保温カバー上部に付けた乾燥ファンにより、催芽状態にある種子を乾燥させることができるので、種子の成長を一時的に休止させることができる。 【0018】 また、催芽の促進に関連する要素には、水分・温度・酸素・光・時間等があり、これらの要素は種子の種類によって異なるところ、本発明は、水分、温度、酸素、光および時間の各要素の少なくとも一つを催芽の対象となる種子に応じて設定するための制御装置を備えることを特徴とする催芽種子形成装置である。 【0019】 たとえば、水槽の「温度」(水温)は催芽にとって重要な要素であり、本発明では水温を15℃〜45℃程度まで上昇させることができ、種子の種類により、催芽に最適な温度を設定する。例えば、種子の種類により与える温度は25℃群、35℃群、45℃群、昼間35℃夜間15℃群、等がある。 また、「水分」即ち水の入れ替えも催芽にとって重要な要素であり、例えば、処理開始日においては、不純物が非常に多く出るため(酸素不足の危険性があり)、3〜4時間毎を目安に水を入れ替える必要があるので、かかる時間サイクルを設定する。この点、煩雑な作業負担が軽減される。 【0020】 また、一部の種子は催芽時に「光」を必要とする種子があるところ、かかる種子の場合は催芽に適当な「光」を照射するように設定する。また、たとえば、水温が30℃前後の時に雑菌が繁殖し易くなる等、特定の条件に応じた殺菌を要する場合にも、適当な「光(殺菌灯)」を照射するように設定する。また、同様に、「酸素」や「時間」も種子の種類に応じて設定することができる。 【0021】 また、緑化植生や農林業の苗生産を目的として播種する催芽種子を形成する方法であって、周面に多数の貫通孔を形成したカートリッジに種子を収納し、前記カートリッジを、水槽内の水中に浸水する状態と水面上に表出する状態とを交互に繰り返すことを特徴とする催芽種子形成方法である。 【0022】 また、緑化植生や農林業の苗生産を目的として播種する催芽種子を形成する方法であって、周面に多数の貫通孔を有する収納カートリッジを回転筐体に装着し、回転筐体を回転させることによって前記カートリッジが水槽内の水中に浸水する状態と水面上に表出する状態とを交互に繰り返して催芽を行い、次いで水槽内の水又は温水を排水し、回転筐体を高速回転させて脱水し、乾燥ファンによって乾燥することを特徴とする催芽種子形成方法である。 【発明の効果】 【0023】 本発明によれば、発芽日数が短くなることで緑化工事においては早期緑化が可能で法面基盤材や種子の流出が防止でき、施工品質が向上する。また、催芽によって発芽率が高くなることで種子の使用量が削減でき、緑化工事や苗木生産のコストが削減され、経済的に寄与できる。 【0024】 さらに、水面上(大気中)の酸素を効果的に与えることにより、催芽を促進させることができる。しかも、自動的に所定のサイクルで水槽内の水を入れ替えることが可能であるから、雑菌が発生する恐れを可及的に防止することができる。 さらに、カートリッジの移動中に収納された種子同士が互いに接触することによって、殻(種皮)に傷が付きやすく、殻に傷がつくと吸水性が改善され易くなるので、その結果として催芽が促進される。 【0025】 また、種子に対して万遍なく酸素や温度(熱)を与えることができ、複数種類の種子を同時に処理することができる。さらに、本発明の種子収納カートリッジは着脱自在であるので、催芽が完了したものから順次容易に取り出すことができる。 【0026】 また、水槽に保温カバーによって水槽内の放熱を防ぐことができる。また、催芽活動に光りが必要な種子の場合は赤色灯を使用することによって、催芽活動を促進できる。また、催芽活動中に発生する雑菌の殺菌を目的とする場合は殺菌灯を使用することによって、種子の腐敗を防止することができる。 【0027】 また、回転筐体を高速回転させることによって水切り脱水し、さらに、脱水後は保温カバー上部に付けた乾燥ファンにより、催芽状態にある種子を乾燥させるので、種子の成長を一時的に休止させることができる。 【0028】 また、催芽の促進に関連する要素には、水分・温度・酸素・光・時間等があり、これらの要素は種子の種類によって異なるところ、本発明は、水分、温度、酸素、光および時間の各要素の少なくとも一つを催芽の対象となる種子に応じて設定する制御装置を備えることにより、種子の種類に応じた催芽を自動的に行うことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0029】 本発明は各種の種子を効率的に催芽させ、発芽率向上による種子の有効利用を可能にする技術である。緑化工事においては、生育日数短縮による早期緑化、施工品質の向上の効果をもたらす。また、苗木生産、農業用苗生産、催芽・発芽食品生産にも摘要できる装置である。 【0030】 具体的には、種子は催芽活動するとき酸素を必要とするが、本発明は水中で水分と温度を与え、水面上で酸素を与える構造である。また、回転によりカートリッジ内の種子が撹拌され、万遍なく酸素や温度を与えることができることを特徴とする装置である。 【実施例】 【0031】 図1〜8に本発明の催芽種子形成装置1の実施例を示す。図1〜3は本実施例の構造を示す断面図、図4は回転筐体22の構造を示す断面図、図5及び6はカートリッジ5を示す図、図7は制御システムの構成を示す図、図8は制御装置(制御盤6)の入出力装置を示す図である。 【0032】 催芽種子形成装置1の基本構成は、移動可能な移動架台27に箱状の筐体2を取り付け、筐体2の内方に水槽3を形成し、水槽3の内部に回転筺体22を回転可能に取り付け、回転筺体22に複数のカートリッジ5を着脱自在に装着している。 【0033】 (筺体2・移動架台27) 移動架台27は底面に複数のキャスターを取り付けた移動可能な架台である。移動架台27の上方には筺体2が載置される。筺体2は上方に開口した箱状体であり、その内方に水槽3が形成される。 【0034】 (水槽3) 水槽3は、筺体2の内方にあって水又は温水を貯水する容器である。水槽3の底面には、水槽中の水又は温水に熱を加えるヒーター33が取り付けられると共に、水温を感知する水温センサー25が取り付けられる。また、水槽3の側面には排水電磁バルブ32を介して排水管32aが連結しており、他方、水槽3内には給水電磁バルブ31を介して給水管31aが導入されると共に、水位を感知する水位センサー26が取り付けられる。 【0035】 給水管31aおよび排水管32aによる自動給排水装置は、一定の時間で自動的に排水と吸水とを繰り返し行う。排水が開始すると水位センサー26によって水位の最低位が検知されて排水バルブが閉じ、給水が開始される。水位が満タン位(所定水位)で給水が止まる。 【0036】 (回転筺体22・カートリッジ5) 水槽3には、回転筺体22が回動可能に取り付けられる。回転筺体22はギアー又はVベルトを介してモーター21によって駆動する。なお、回転速度は可変である。例えば5段階程度に高速から低速まで可変である。 なお、回転速度も、催芽の促進に関連する要素であり、催芽の対象となる種子に応じて設定される要素の一つである。 【0037】 回転筺体22は回転軸を有する側面視略十字状の枠体であり、略十字状の枠体には4つのカートリッジ5を着脱自在に取り付けることができる。 【0038】 カートリッジ5は、催芽すべき種子を収納する円筒状の容器である。カートリッジ5の周面には約10mmの多数の貫通孔56が形成されており、さらに、充填する種子Sの種類によっては0.1mm程の細粒顆粒状の細かい種子もあるため、比較的目の細かい中網54を取り付けている。カートリッジ5には蓋52が取り付けられ、ファスナー53で固定される。なお、蓋52には種子の流出防止のためにパッキン55を取り付けている。 【0039】 (保温カバー4・赤色灯42・殺菌灯41・乾燥用ファン44) また、筺体2及び水槽3の上方には、水槽3を上方から覆い囲む保温カバー4が着脱自在に取り付けられ、保温カバー4の内側には、赤色灯42、殺菌灯41、乾燥用ファン44が取り付けられる。 【0040】 保温カバー4は下方に開口した箱状体であり保温性の高い材料で成形される。保温カバー4は水槽3に対して、水槽3の開口を覆い囲うようにして連結可能であって、着脱自在である。 【0041】 赤色灯42は保温カバー4の内側隅部に取り付けられ、催芽活動に光りが必要な種子の場合に使用することにより、催芽活動を促進する。また、殺菌灯41は保温カバー4の内側隅部に取り付けられ、催芽活動中に発生する雑菌の殺菌を行い、種子の腐敗を防止する。 【0042】 なお、一般的に種子は播種する前に農薬で消毒を行うが、本実施例はこれを殺菌灯41で行うことが可能である。また、催芽に必要な日数は種子により異なるが、例えば7日間で行う場合に雑菌が増殖する恐れがあり、水温が30℃前後の時、雑菌が繁殖し易いので、殺菌灯41はかかる障害を防止するために有効である。 【0043】 乾燥用ファン44は保温カバー4の上面に取り付けられ、保温カバー4と水槽3によって囲まれた空間を乾燥するものであり、脱水後の種子を乾燥する。 【0044】 (循環ポンプ24等) また、水槽3には循環ポンプ24が取り付けられ、循環ポンプ24から吸水された水又は温水は、水槽3上方に位置するストレーナーボックス43に導かれ、水槽3の上方から散水される。水槽3の底には沈殿物(種皮、果肉、ゴミ等)が溜まるので、水槽3内の水をポンプで汲み上げ、ストレーナー内のフィルターで濾過(浄化)させて循環させる。 【0045】 (エアブロア34) また、水槽3には、給気源に接続した送気管34bを介して酸素が導入される。本発明において酸素補給は、回転筺体22及びカートリッジ5の回転によって水面上で行われるので、エアブロア34は不必要であるが、何らかの理由で回転が停止した時に酸素不足の恐れがあるため、補助的手段としてエアブロアを備えている。 【0046】 (制御盤6) また、本発明の制御装置(制御盤6)の構成例を図7に示す。また、本発明の制御盤6の入出力装置の一構成例を図8に示す。 【0047】 制御盤6は、入力装置61,表示装置62、マイクロコンピューター等で構成される中央制御装置63,半導体メモリー等で構成される記憶装置64,電源装置65を有する。 【0048】 制御盤6は主として入力装置61、表示装置62で構成され、制御入力と状態を示し、自動催芽装置のヒューマンインターフェイス部分となる。 制御盤6の入力装置としては、催芽対象とする種子を選択する「種子選択ボタン」、催芽から脱水、乾燥までの目的に合ったコースを選択する「コース選択ボタン」、新しい種子や特殊な種子に対する新しいプロセス(各種データの組み合わせ)を入力するための「データ入力キー」、装置稼動を開始又は停止する「開始及び停止ボタン」で構成される。 【0049】 制御盤6の表示装置62は、プロセスの進行状況を表示する「状況表示ランプ」と液晶やその他のデイスプレー手段等により、残時間表示、センサーの状態表示、出力の状態表示、異常状態の表示をする「表示部」と、種子の種類により最適の催芽条件を時間、温度を含めたプロセス管理をし、記憶装置64にデータを記憶するための「データ入力表示部」とがある。 【0050】 制御盤6の中央制御装置63は入力装置61,表示装置62,記憶装置64と水温センサー25,水位センサー26,気温センサー28,保安センサー29,その他のセンサー部に接続されている。 【0051】 また、制御盤6の中央制御装置63は、催芽、脱水、乾燥のプロセスにより最適の速度と回転方向で作動する回転モーター21、給水のための給水電磁バルブ31,排水のための排水電磁バルブ32,必要とする最適温度を水に与えるためのヒーター33,酸素補給用のエアブロア34,殺菌灯41,赤色灯42,乾燥用ファン44,水の循環ポンプ24等の出力機器が接続されている。 【0052】 記憶装置64は中央制御装置63に接続され、全てのプロセス管理、また種子により異なる催芽条件を記憶し、開始ボタンで全てのプロセスが自動化される機能を有している。 【0053】 (本実施例における催芽工程) 本発明に係わる催芽種子形成方法は、自動給排水機能を有する水槽内に設けられた回転筺体に多数の貫通孔を備えたカートリッジに種子を充填し、水槽に温水を満たし、低速回転で水中加温と水面上で酸素を交互に与えて催芽させる。この間に自動給排水機構により水替えを行い、催芽が完了した時点で排水し、回転筺体を高速回転させて脱水し、乾燥ファンにより乾燥させる工程を経て催芽種子を形成するのである。 なお、高速とは催芽が完了する前の回転速度に対して高速である。 【0054】 具体的には、本発明に係わる催芽種子形成方法としては、先ずカートリッジ5に種子Sを充填し、回転筐体22に固定バンド23でセットする。水槽3に給水し回転筺体22を回転させながらヒーター23の温度を上昇させる。上昇させる温度は種子の種類により異なるが大別すると25℃、35℃、45℃グループの他に昼間35℃で夜間15℃のサイクルで行う種子がある。温度制御は水温センサー25により温度を検出し、制御盤6で行う。 【0055】 まず、催芽の初期段階では約4時間毎に水の入れ替えを行う。この目的は休眠種子に吸水させ、休眠打破活動させると排出物を多量に出す種子もあり、水(温水)の汚れによる酸素不足を防止するためである。排水電磁バルブ32が開くと回転筐体22やヒーター33が停止し、排水が始まる。 【0056】 排水がほぼ終了した後、給水電磁バルブ31が開き、数分間洗浄用の水を出し、排水電磁バルブ32の弁座の汚れを洗浄する。洗浄が完了すると排水電磁バルブ32が閉じる。 【0057】 水位センサー26が水の満タン(所定水位)を感知すると給水電磁バルブ31が閉じ、催芽運転が再開される。このように本実施例は自動給排水を特徴としている。 【0058】 さらに、本実施例に係る催芽種子形成方法は、種子の催芽から脱水乾燥に至るまでの工程を自動的に処理することが可能である。本実施例による発芽の向上率は種子の種類により異なるが休眠種子に比べて、概ね16%〜70%向上する試験データが得られた。 【0059】 また、発芽日数の短縮も可能である。樹林科種子は発芽に3〜4ヶ月必要であるが本装置では数週間で発芽する。 【0060】 (他の実施態様) なお、上記実施例においては、回転ホルダー22に4個のカートリッジをセットしたが数に制限はない。1個であっても良く、より多くカートリッジを装着して良い。 【0061】 また、数種類の種子を同時に催芽する場合は、催芽が完了した種子を順次取り出して装置外で乾燥・芽止めさせ、他方、同一種子の場合は、上述のとおり、排水した後、回転筐体22をモーター21で高速回転させ脱水し、乾燥ファン44により乾燥・芽止めを行うことができる。 【0062】 また、上記実施例においては、カートリッジ5の形状を円筒状としたが特に問わない。 また、上記カートリッジ5内の中網54に代替するものとして、洗濯ネット袋のような網状体小袋57を利用することもできる。網状体小袋57は種子の種類が多く、量が少ない時に便利である。 【0063】 また、本実施例は木本類緑化用種子の他に杉や檜等の林業用種子にも適用できる。また、健康食品としての発芽穀物(大豆、米、大麦等)の催芽種子形成にも適用できる。さらに、農業においても発芽率の低い種子(種無しスイカ、カボチャ等)に適用できる。 【図面の簡単な説明】 【0064】 【図1】本実施例の構造を示す断面図 【図2】本実施例の構造を示す断面図 【図3】本実施例の構造を示す断面図 【図4】本実施例の回転筐体22の構造を示す断面図 【図5】本実施例のカートリッジ5を示す図 【図6】本実施例のカートリッジ5を示す図 【図7】本実施例の制御システムの構成を示す図 【図8】本実施例の制御盤6を示す図 【符号の説明】 【0065】 S 種子 1 催芽種子形成装置 2 筐体 21 モーター 22 回転筐体 23 カートリッジ固定バンド 24 循環ポンプ 25 水温センサー 26 水位センサー 27 移動架台 3 水槽 31 給水電磁バルブ 32 排水電磁バルブ 33 ヒーター 34 エアブロア 34b 送気管 4 保温カバー 41 殺菌灯 42 赤色灯 43 ストレーナーボックス 44 乾燥フアン 5 カートリッジ 51 カートリッジ筐体 52 カートリッジ蓋 53 ファスナー 54 中網 55 パッキン 56 貫通孔 57 小袋(洗濯袋) 6 制御盤 61 入力装置 62 表示装置 63 中央制御装置 64 記憶装置 65 電源装置
|
| 【出願人】 |
【識別番号】506152760 【氏名又は名称】株式会社小島組
|
| 【出願日】 |
平成18年5月2日(2006.5.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072213 【弁理士】 【氏名又は名称】辻本 一義
【識別番号】100119725 【弁理士】 【氏名又は名称】辻本 希世士
【識別番号】100121577 【弁理士】 【氏名又は名称】窪田 雅也
|
| 【公開番号】 |
特開2007−295878(P2007−295878A) |
| 【公開日】 |
平成19年11月15日(2007.11.15) |
| 【出願番号】 |
特願2006−128112(P2006−128112) |
|