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【発明の名称】 農業用散布装置
【発明者】 【氏名】長久保 有之

【氏名】西川 章

【要約】 【課題】別々に用意された第一の粒状物と第二の粒状物とを散布する直前に混合することが可能な農業用散布装置の提供を目的とする。

【解決手段】農業用散布装置1は、肥料を収容する肥料収容部10と、農薬を収容する農薬収容部11とを有し、肥料収容部10および農薬収容部11から払い出された肥料と農薬とを混合部5で混合可能な構成とされている。混合部5において肥料と農薬とを混合して形成された混合物は、散布部6に供給され、散布開口56から農業用散布装置1の外部に散布される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の粒状物を収容可能な第一の収容手段と、第二の粒状物を収容可能な第二の収容手段と、混合手段と、散布手段とを有し、
第一の収容手段および第二の収容手段に対して第一および第二の粒状物の流れ方向下流側に混合手段が設けられており、当該混合手段に第一の粒状物および第二の粒状物を供給して混合可能であり、
前記混合手段に対して第一の粒状物および第二の粒状物の流れ方向下流側に散布手段が設けられており、混合手段において混合された第一の粒状物および第二の粒状物を散布手段に供給して散布可能であることを特徴とする農業用散布装置。
【請求項2】
混合手段は、第一の収容手段および第二の収容手段から供給される第一の粒状物および第二の粒状物を収容可能な収容部と、収容部内で回動する混合部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の農業用散布装置。
【請求項3】
散布手段は、回転部を有し、当該回転部を回転させることにより混合手段から供給された第一の粒状物および第二の粒状物を散布可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用散布装置。
【請求項4】
混合手段は、混合側回転軸と混合部材とを有し、当該混合部材が前記混合側回転軸と一体的に回動するものであり、
散布手段は、回転部と散布側回転軸を有し、回転部が散布側回転軸と一体的に回動して混合手段から供給された第一の粒状物および第二の粒状物を散布可能なものであり、
混合側回転軸と散布側回転軸が単一の軸体によって構成されている、あるいは、混合側回転軸と散布側回転軸が一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用散布装置。
【請求項5】
混合手段は、混合側回転軸を有し、混合部材が前記混合側回転軸と一体的に回動するものであり、
散布手段は、散布側回転軸を有し、回転部が散布側回転軸と一体的に回動するものであり、
前記混合側回転軸が、散布側回転軸に対して交差、あるいは、ねじれの位置関係となるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用散布装置。
【請求項6】
混合手段が、第一および第二の粒状物の収容手段から散布手段に至る経路に配された邪魔部材を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の農業用散布装置。
【請求項7】
混合手段に供給する第一の粒状物と、第二の粒状物とを混合手段に対して間歇的に供給可能な供給状態調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の農業用散布装置。
【請求項8】
混合手段に供給する第一の収容手段に収容されている第一の粒状物と、第二の収容手段に収容されている第二の粒状物とを交互に混合手段に供給可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の農業用散布装置。
【請求項9】
第一の収容手段に設けられた第一の払出口、並びに、第二の収容手段に設けられた第二の払出口を閉塞可能な位置に供給状態調整手段が設けられており、
供給状態調整手段は、前記第一の払出口および第二の払出口を閉塞可能な閉塞部材を有し、
当該閉塞部材は、第一の連通口および第二の連通口を有し、所定の回転軸を中心として回動可能なものであり、
前記閉塞部材を回動させることにより、第一の払出口と第一の連通口とが連通した第一の状態と、第二の払出口と第二の連通口とが連通した第二の状態とに調整可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の農業用散布装置。
【請求項10】
第一の連通口および第二の連通口が、閉塞部材の回転方向に互いにずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の農業用散布装置。
【請求項11】
第一の粒状物と第二の粒状物との混合比に応じて第一の払出口及び/又は第二の払出口の開口面積を調整可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の農業用散布装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬や肥料などを散布するための農業用散布装置であり、特に2種類の粒状物を混合状態で散布可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているような農業用散布装置が提供されている。下記特許文献1に開示されている農業用散布装置は、肥料ホッパーに貯留されている肥料を散布板と称される部材に対して適宜払い出し、散布板を回転させて散布する構成とされている。
【特許文献1】特開平10−136736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているような農業用散布装置は、肥料等の粒状物を散布可能である。肥料と農薬とを同時に散布する場合には、予め肥料と農薬とを混合した混合物を用いて該農業用散布装置により散布することも可能であるが、少量の農薬を大量の肥料に対して予め均一に混合しておくことが必要であり、そのための混合装置が必要となる。また、肥料と農薬との混合物において、運搬時の振動等により偏析が生じることが懸念される。
【0004】
そこで、かかる知見に基づき、本発明は、別々に用意された第一の粒状物と第二の粒状物とを散布する直前に混合することが可能な農業用散布装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、第一の粒状物を収容可能な第一の収容手段と、第二の粒状物を収容可能な第二の収容手段と、混合手段と、散布手段とを有し、第一の収容手段および第二の収容手段に対して第一および第二の粒状物の流れ方向下流側に混合手段が設けられており、当該混合手段に第一の粒状物および第二の粒状物を供給して混合可能であり、前記混合手段に対して第一の粒状物および第二の粒状物の流れ方向下流側に散布手段が設けられており、混合手段において混合された第一の粒状物および第二の粒状物を散布手段に供給して散布可能であることを特徴とする農業用散布装置である。
【0006】
本発明の農業用散布装置によれば、第一の収容手段および第二の収容手段に別々に収容されている第一の粒状物および第二の粒状物を混合手段において混合し、これを散布手段に供給して散布することができる。そのため、本発明の農業用散布装置によれば、第一の粒状物および第二の粒状物の散布を一度に実施でき、散布作業に要する手間や時間を最小限に抑制できる。
【0007】
なお、本願において、「粒状物」は、いかなる粒径のものであってもよい。さらに具体的には、「粒状物」とは、いわゆる「粒状」のものに加えて、これよりも粒径の細かな「粉状」のものや「微粉状」のもの等を総称するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、混合手段が、第一の収容手段および第二の収容手段から供給される第一の粒状物および第二の粒状物を収容可能な収容部と、収容部内で回動する混合部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の農業用散布装置である。
【0009】
かかる構成によれば、混合手段の収容部に供給された第一の粒状物と第二の粒状物とを混合部材で十分攪拌した状態でこれらの混合物を回転部に供給し、略均一に散布することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、散布手段が、回転部を有し、当該回転部を回転させることにより混合手段から供給された第一の粒状物および第二の粒状物を散布可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用散布装置である。
【0011】
かかる構成によれば、混合部から供給された第一の粒状物や第二の粒状物を略均一に散布することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、混合手段が、混合側回転軸と混合部材とを有し、当該混合部材が前記混合側回転軸と一体的に回動するものであり、散布手段が、回転部と散布側回転軸を有し、回転部が散布側回転軸と一体的に回動して混合手段から供給された第一の粒状物および第二の粒状物を散布可能なものであり、混合側回転軸と散布側回転軸が単一の軸体によって構成されている、あるいは、混合側回転軸と散布側回転軸が一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用散布装置である。
【0013】
本発明の農業用散布装置では、混合側回転軸と散布側回転軸とが連結されていたり、混合側回転軸と散布側回転軸として単一の回転軸を共用した構成とされている。そのため、本発明の農業用散布装置では、混合手段の混合部材と散布手段の回転部とを単一の動力源で作動させることができる。従って、本発明によれば、農業用散布装置の装置構成を単純化することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、混合手段が、混合側回転軸を有し、混合部材が前記混合側回転軸と一体的に回動するものであり、散布手段が、散布側回転軸を有し、回転部が散布側回転軸と一体的に回動するものであり、前記混合側回転軸が、散布側回転軸に対して交差、あるいは、ねじれの位置関係となるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用散布装置である。
【0015】
本発明の農業用散布装置では、混合側回転軸が散布側回転軸に対して交差、あるいは、ねじれの位置関係となるように配置されているため、第一の収容手段や第二の収容手段と散布手段との間隔を最小限に抑制しつつ、混合領域を大きくとることができる。そのため、本発明によれば、装置構成がコンパクトであり、第一の粒状物と第二の粒状物とを十分混合して散布可能な農業用散布装置を提供できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、混合手段が、第一および第二の粒状物の収容手段から散布手段に至る経路に配された邪魔部材を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の農業用散布装置である。
【0017】
かかる構成によれば、邪魔部材が配置された経路を第一および第二の粒状物が通過することによりこれらの攪拌を促進させることができる。従って、本発明によれば、第一および第二の粒状物を十分混合した状態で散布可能な農業用散布装置を提供できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、混合手段に供給する第一の粒状物と、第二の粒状物とを混合手段に対して間歇的に供給可能な供給状態調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の農業用散布装置である。
【0019】
かかる構成によれば、混合手段に対して第一の粒状物や第二の粒状物が一度に大量に払い出されるのを防止し、混合手段に第一の粒状物や第二の粒状物が詰まったり、いわゆるブリッジングを起こすといったような不具合の発生を抑制できる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、混合手段に供給する第一の収容手段に収容されている第一の粒状物と、第二の収容手段に収容されている第二の粒状物とを交互に混合手段に供給可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の農業用散布装置である。
【0021】
本発明の農業用散布装置では、第一の粒状物と第二の粒状物とが交互に混合手段に供給されるため、混合手段に一度に大量の第一の粒状物や第二の粒状物が払い出されるのを防止することができる。そのため、本発明の農業用散布装置によれば、混合手段内に第一の粒状物や第二の粒状物が詰まったり、いわゆるブリッジングと称される不具合の発生を抑制できる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、第一の収容手段に設けられた第一の払出口、並びに、第二の収容手段に設けられた第二の払出口を閉塞可能な位置に供給状態調整手段が設けられており、供給状態調整手段が、前記第一の払出口および第二の払出口を閉塞可能な閉塞部材を有し、当該閉塞部材が、第一の連通口および第二の連通口を有し、所定の回転軸を中心として回動可能なものであり、前記閉塞部材を回動させることにより、第一の払出口と第一の連通口とが連通した第一の状態と、第二の払出口と第二の連通口とが連通した第二の状態とに調整可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の農業用散布装置である。
【0023】
かかる構成によれば、閉塞部材を回動させて上記した第一の状態および第二の状態とすることにより、第一の収容手段や第二の収容手段から第一の粒状物や第二の粒状物を適宜払い出し、これらを混合することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、第一の連通口および第二の連通口が、閉塞部材の回転方向に互いにずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の農業用散布装置である。
【0025】
かかる構成によれば、閉塞部材を所定方向に回転させることにより第一の粒状物と第二の粒状物とを交互に払い出すことができる。そのため、本発明の農業用散布装置では、第一の粒状物や第二の粒状物を混合手段に順次供給することができ、第一の粒状物や第二の粒状物が混合手段の出口等に詰まるといったような不具合の発生を最小限に抑制できる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、第一の粒状物と第二の粒状物との混合比に応じて第一の払出口及び/又は第二の払出口の開口面積を調整可能であることを特徴とする請求項8又は9に記載の農業用散布装置である。
【0027】
かかる構成によれば、第一の粒状物と第二の粒状物との混合比を容易かつ確実に調整することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、別々に用意した第一の粒状物と第二の粒状物とを混合した状態で散布可能な農業用散布装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
続いて、本発明の一実施形態である農業用散布装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の農業用散布装置である。農業用散布装置1は、図2に示すように収容部2と混合比調整部3(供給状態調整手段)と混合部5(混合手段)と散布部6(散布手段)とに大別される。農業用散布装置1は、収容部2に収容されている肥料や農薬を所定比で混合部5に供給して混合し、これを散布部6に供給して散布可能な構成とされている。
【0030】
さらに具体的に説明すると、収容部2は、肥料や農薬を収容し、混合部5に対して肥料や農薬を供給するためのホッパーとしての機能を有する。収容部2は、肥料や農薬の投入口となる上端側から底部側に向けて徐々に開口径が縮小する形状とされている。すなわち、収容部2は、図2に示すように肥料や農薬の投入口側(図2において上端側)から底側に向かって周面2aが傾斜した構成とされている。
【0031】
収容部2は、肥料収容部10(第一の収容手段)と農薬収容部11(第二の収容手段)とを有する。肥料収容部10は肥料を収容するために設けられたものであり、農薬収容部11は農薬を収容するために設けられたものである。肥料収容部10には、例えば、粒状や粉状の肥料や土壌改良剤が収容される。肥料として、具体的には、例えば窒素、リン酸、カリウム、珪酸、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ホウ素、鉄等の植物が要求する元素を含有する肥料を挙げることができる。肥料の原料としては、例えば、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石炭窒素、ホルムアルデヒド加工尿素肥料(UF)、アセトアルデヒド加工尿素肥料(CDU)、イソプチルアルデヒド加工尿素肥料(IBDU)、グアニール尿素(GU)等の窒素質肥料、過リン酸石炭、重過リン敦石炭、苦土過リン酸、リン酸アンモニウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安等のリン敦賀肥料、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、硝酸カリウム専のカリウム質肥料、珪酸カルシウム等の珪酸質肥料、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム質肥料、生石炭、消石炭、炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料、硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガン等のマンガン質肥料、ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素質肥料、鉄鋼スラグ等の含鉄肥料、更には有機質肥料等の肥料取締法に定められる肥料(複合肥料を含む)を挙げることができる。また、粒状の肥料としては、各種の合成樹脂、パラフィン類、硫黄等の被覆資材で表面を被覆した被覆粒状肥料も用いることができる。
【0032】
また、農薬収容部11には、例えば、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤等の農薬の粒剤や微粒剤が収容される。粒剤とは一般的に粒径が0.3〜2mm程度の粒径の固形製剤を意味し、微粒剤とは、50〜200μm程度の固形製剤を意味するが、一般的な粒状肥料の粒径と同等な粒径(2〜10mm)の農薬の大粒粒剤も用いることができる。そのような大粒粒剤は、例えば農薬活性成分を含有する溶液又は分散液を粒状肥料に含浸させる方法、農薬活性成分を粘着物質や樹脂と共に粒状肥料に被覆する方法等(例えば、特開平7−109192号、特開平08−231301号等を参照)により製造することが出来る。本実施形態の農業用散布装置1は、後述するように散布直前に肥料と農薬とを少量ずつ混合手段により混合することができる為、混合する肥料と農薬との粒径が異なっていても、肥料と農薬とを均一に混合して散布することが可能である。しかしながら散布手段の種類によっては、散布する肥料と農薬との粒径が異なった場合には、肥料と農薬との略均一な散布が困難な場合があるので、散布する肥料と農薬との粒径は、近似していることが好ましい。
【0033】
肥料収容部10と農薬収容部11との境界部分には、仕切板12が設けられている。そのため、収容部2は、肥料収容部10に収容されている肥料と、農薬収容部11に収容されている農薬とを別々に収容しておくことができる。また、肥料収容部10は、農薬収容部11よりも容積が大きい。
【0034】
収容部2の下方には、混合比調整部3が設けられている。混合比調整部3は、固定側板状部材20(閉塞部材)と回転側板状部材21と、動力伝達機構35とを有する。固定側板状部材20は、図2に示すように収容部2の底面全体を閉塞するように取り付けられた板状の部材である。固定側板状部材20は、図3(a)や図4に示すように円板状であり、収容部2の底板として機能する。
【0035】
固定側板状部材20は、図3(a)に示すように中心に軸挿通孔22が設けられ、その外周側に固定側肥料開口23(第一の払出口)と固定側農薬開口25(第二の払出口)とが設けられた構成とされている。固定側肥料開口23は、固定側農薬開口25よりも固定側板状部材20の中心側に存在している。さらに詳細に説明すると、固定側板状部材20を収容部2の下端部(底)に取り付けた際に仕切板12と当接する当接部26(図3(a)においてハッチングを付した部分)を境界として固定側板状部材20の中心側に固定側肥料開口23が存在し、当接部26よりも固定側板状部材20の外周側に固定側農薬開口25が存在する。固定側肥料開口23および固定側農薬開口25は、それぞれ当接部26を介して固定側板状部材20の半径方向に隣接した位置に設けられている。
【0036】
固定側肥料開口23および固定側農薬開口25は、それぞれ開口形状が扇面形とされている。固定側肥料開口23の開口面積は、固定側農薬開口25の開口面積よりも大きい。さらに具体的には、固定側肥料開口23の外縁を構成する円弧は、軸挿通孔22を中心として半径r1,r2の円の一部であり、その開き角はθ1(θ1<180度)とされている。また、固定側農薬開口25の外縁を構成する円弧は、軸挿通孔22を中心として半径r3,r4の円の一部であり、その開き角θ2は、固定側肥料開口23の開き角θ1以下である(θ1>θ2)。また、固定側農薬開口25を構成する円弧の半径r3,r4の差(|r4−r3|)は、固定側肥料開口23を構成する円弧の半径r1,r2の差(|r2−r1|)以下とされている。固定側肥料開口23および固定側農薬開口25の開口面積の大きさは、混合部5の混合能力等を考慮して適宜調整されている。また、固定側肥料開口23および固定側農薬開口25の開口面積の比率は、肥料と農薬との混合比に応じて適宜調整されている。
【0037】
回転側板状部材21は、図2や図4に示すように固定側板状部材20の下方に配されている。回転側板状部材21と固定側板状部材20との間には殆ど隙間がない。また、回転側板状部材21は、固定側板状部材20に対して略平行に配置されている。
【0038】
回転側板状部材21は、図3(b)や図4に示すように中心に軸挿通孔30を有し、その外周側に回転側肥料開口31(第一の連通口)と回転側農薬開口32(第二の連通口)とを設けた構成とされている。回転側肥料開口31は、上記した固定側肥料開口23と略同一の形状であり、開口面積も略同一とされている。さらに具体的には、回転側肥料開口31の外縁を構成する円弧は、軸挿通孔30を中心として半径r1,r2の円弧であり、その開き角はθ1(θ1<180度)とされている。回転側農薬開口32の外縁を構成する円弧は、軸挿通孔30を中心として半径r3,r4の円の一部であり、その開き角θ2は、回転側肥料開口31の開き角θ1以下である(θ1>θ2)。また、回転側農薬開口32を構成する円弧の半径r3,r4の差(|r4−r3|)は、回転側肥料開口31を構成する円弧の半径r1,r2の差(|r2−r1|)以下とされている。
【0039】
回転側板状部材21は、回転側肥料開口31と回転側農薬開口32との位置関係が、固定側板状部材20の固定側肥料開口23と固定側農薬開口25との位置関係と相違する。すなわち、回転側板状部材21の中心を通る仮想線Lを想定した場合に、仮想線Lを境界として一方側の領域に回転側肥料開口31が形成され、他方側の領域に回転側農薬開口32が形成されている。また、回転側肥料開口31は、図5(a)に示すように固定側農薬開口25と回転側農薬開口32とが連通するように回転側板状部材21と固定側板状部材20とを重ね合わせた場合に、前記した仮想線Lに対して固定側肥料開口23と線対称となる位置に設けられている。換言すれば、回転側肥料開口31は、回転側農薬開口32に対して回転側板状部材21の周方向に約180度ずれた位置に設けられている。
【0040】
動力伝達機構35は、入力軸36と動力変換手段37と出力軸38とを備えた構成とされている。入力軸36は、耕耘機やトラクターに設けられたPTO(Power Take Off)軸やモータの回転軸等のような動力源に接続される軸である。入力軸36は、動力変換手段37に接続されている。動力変換手段37には、図示しないギア等が内蔵されており、入力軸36を介して入力された動力を減速して出力軸38に出力するものである。出力軸38は、図2や図4に示すように固定側板状部材20および回転側板状部材21に設けられた軸挿通孔22,30に挿通されており、回転側板状部材21に固定されている。そのため、混合比調整部3は、出力軸38を回転させることにより、回転側板状部材21を固定側板状部材20に対して略平行な姿勢のまま回転させ、固定側板状部材20の固定側肥料開口23や固定側農薬開口25を開閉することができる。
【0041】
さらに詳細に説明すると、混合比調整部3は、回転側板状部材21を回転させることにより、図5(a)にハッチングで示すように固定側農薬開口25と回転側農薬開口32とを連通させることができる。すなわち、回転側板状部材21を図5(a)に示すような位置に調整すると、固定側農薬開口25が開き、農薬収容部11内に収容されている農薬を払い出し可能となる。また、この状態では、固定側肥料開口23が回転側板状部材21によって閉塞された状態になっている。そのため、図5(a)に示す状態では、肥料収容部10内の肥料を払い出すことができない。
【0042】
また、図5(a)に示す状態から回転側板状部材21をさらに反時計回り(図5(a)の矢印方向)に約180度回転させると、図5(b)にハッチングで示すように固定側肥料開口23と回転側肥料開口31とを連通させることができる。すなわち、回転側板状部材21を図5(b)に示すような位置に調整すると、固定側肥料開口23が開き、農薬収容部11内の農薬を下方に払い出し可能な状態になる。また、図5(b)に示す状態では、固定側農薬開口25が回転側板状部材21によって閉塞された状態となっており、農薬収容部11内の農薬を払い出すことができない。
【0043】
さらに、混合比調整部3は、回転側板状部材21を所定方向に回転させると、図5(a)のように固定側農薬開口25が開いた状態と、図5(b)のように固定側肥料開口23が開いた状態とが交互に入れ替わる。そのため、農業用散布装置1は、回転側板状部材21を一定方向に回転させることにより、収容部2から農薬および肥料を混合部5側に交互に払い出すことができる。
【0044】
混合部5は、図2に示すように混合比調整部3の下方側に設けられている。混合部5は、上端側および下端側が開口した混合室40(収容部)を有し、この内部に攪拌装置45が収容されている。混合室40は、上端部に設けられた開口41が混合比調整部3の固定側肥料開口23および固定側農薬開口25の直下となるような位置に設けられている。また、混合室40の下端部(底面)には開口43が設けられている。
【0045】
攪拌装置45は、一般的に鋤板混合機と称されるような攪拌機付混合装置によって構成されている。本実施形態において、攪拌装置45は、鋤板46(混合部材)を回転軸50(拡散側回転部材、混合側回転部材)に多数取り付けた構成とされている。鋤板46は、略鉛直に立設された回転軸50に対して螺旋状に取り付けられている。すなわち、攪拌装置45は、収容部2側から落下してくる肥料や農薬の落下方向に沿って延びる回転軸50を有し、この回転軸50に複数の鋤板46を取り付けた構成とされている。鋤板46は、回転軸50の周方向および軸方向に所定の間隔毎に複数取り付けられている。そのため、攪拌装置45を作動させると、収容部2から混合室40に落下してくる肥料や農薬を横切るように鋤板46が回転し、肥料に対して農薬が略均等に分散した状態になる。
【0046】
回転軸50は、後述する散布部6の下方に配された動力伝達機構47の出力用の軸である。動力伝達機構47は、上記した動力伝達機構35と同様に、入力軸48と動力変換手段49と回転軸50とを備えた構成とされている。入力軸48は、耕耘機やトラクターに設けられたPTO(Power Take Off)軸や、モータのような動力源に接続される軸であり、動力変換手段49に接続されている。動力変換手段49は、上記した動力変換手段37と同様に図示しないギア等を内蔵したものである。動力伝達機構47は、入力軸48を介して動力変換手段49に入力された動力を減速して回転軸50に出力する構成とされている。
【0047】
図2に示すように、散布部6は、上記した混合室40の直下に設けられた散布室58内に動力伝達機構47と回転板51とを収容した構成とされており、散布室58の周壁に設けられた散布開口56から肥料と農薬の混合物を散布可能な構成とされている。散布開口56の幅(開き角θ5)は、混合物の散布特性を向上させるべく大きくとることが望ましい。本実施形態において、散布開口56の開き角θ5は、90度から180度程度とされている。
【0048】
散布部6は、上記した攪拌装置45と動力伝達機構47の回転軸50を共用しており、この回転軸50に回転板51を取り付けた構成とされている。回転板51は、回転軸50に対して略垂直に取り付けられており、混合室40の底面に設けられた開口43の直下に存在している。
【0049】
回転板51は、図6(a)に示すように平面視が略円形の円板によって構成される円板部52と、これに対して略垂直に立ち上がる散布羽根53とを有する。散布羽根53は、平面視した状態において円板部52の略中心部から外側に向かって放射状に延びるように設けられている。回転板51の略中心部には、軸挿通孔55が設けられている。回転板51は、散布羽根53が混合部5側を向く姿勢とされ、軸挿通孔55に挿通された回転軸50に固定されている。
【0050】
回転板51は、中央を離れた位置に上記した混合室40の開口43から肥料と農薬の混合物が落ちるように位置合わせされ、設置されている。そのため、回転軸50を作動させ回転板51を回転させると、回転板51上に落下してきた肥料と農薬の混合物が回転板51の外側に向けて拡散され、略均一に散布される。回転板51の回転に伴い散布された混合物は、散布室58の側方に設けられた散布開口56から農業用散布装置1の外部に拡散され、散布される。
【0051】
上記したように、農業用散布装置1は、肥料収容部10および農薬収容部11に肥料と農薬とを入れるだけで、これらを混合部5において所定比に混合し、この混合物を散布部6に供給して散布することができる。そのため、農業用散布装置1によれば、肥料および農薬の散布を一度に実施でき、散布作業に要する手間や時間を最小限に抑制できる。
【0052】
また、上記した農業用散布装置1では、肥料収容部10および農薬収容部11から肥料および農薬を混合部5の混合室40に供給すると、これらが回転軸50に取り付けられた鋤板46によって攪拌可能な構成とされている。そのため、農業用散布装置1は、肥料に対して農薬が略均一に分散した状態として散布部6に供給し、これを散布することができる。
【0053】
上記したように、本実施形態の農業用散布装置1では、混合部5と散布部6とで回転軸50を共用する構成とされている。そのため、農業用散布装置1では、混合部5の混合部材と散布部6の回転部とを単一の動力源で作動させることができる。従って、農業用散布装置1は、装置構成がシンプルである。
【0054】
上記実施形態において、回転軸50は、単一の軸体によって構成されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば回転軸50のうち混合部5側の部位と散布部6側の部位とが別体であり、これらを連結して一体化したものであってもよい。
【0055】
上記実施形態の農業用散布装置1は、回転軸50を混合部5と散布部6とで共用しているため、混合部5に設けられた鋤板46と、散布部6に設けられた回転板50とが同一の回転数で回転することになる。ここで、散布部6に設けられた回転板50は、肥料と農薬との混合物を飛散させるために高速での回転が要求される場合があるが、混合部5の鋤板46はさほど高速で回転する必要がないものと想定される。すなわち、鋤板46の回転速度の最適値と、回転板50の回転速度の最適値とが異なる場合がある。そのため、このような場合は、混合部5と散布部6との間に変速機を設け、回転軸50を散布部6用に使用すると共に、前記した変速機に回転軸50の動力を入力可能な構成とし、変速機の出力軸を混合部5用の回転軸として使用する構成としてもよい。換言すれば、上記実施形態における回転軸50に相当する軸を混合部5側と散布部6側とで別々に用意し、これらを変速機を介して接続した構成としてもよい。かかる構成とすれば、鋤板46と回転板50を単一の動力で作動させることができると共に、それぞれの回転速度を独立的に調整することができる。
【0056】
ここで、上記した農業用散布装置1において、開口43を混合部5の底部の略中央部に設けた場合、混合部5において肥料と農薬とを混合して形成される混合物が散布部6の回転板51の略中央に落下し、散布開口56が開いていない部分にまで混合物が飛散してしまい、混合物の散布ロスが発生する可能性がある。そこで、本実施形態では、混合部5の底部の中央を外れた位置に開口43を設け、混合物を回転板51の中央を離れた位置に落下させる構成としている。従って、本実施形態の農業用散布装置1では、回転板51に落下してきた混合物を無駄なく広範囲にわたって略均等に散布することができる。
【0057】
本実施形態では、散布開口56の開き角θ5の大きさを考慮して混合物を回転板51の中央を離れた位置に落下可能な位置に開口43を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、混合部5の底部の略中央に開口43を設け、回転板51の中央部やこの近傍に混合物を落下可能な構成としてもよい。かかる構成とした場合、散布開口56の開き角θ5等を大きく取れれば、散布部6における混合物の散布可能領域をより一層拡大することができる。
【0058】
上記実施形態では、開口43を混合部5から払い出される混合物を散布部6に設けられた回転板51の中央を外れた位置に落下させることが可能な位置に設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、開口43を混合部5の略中央等、適宜の位置に設け、この下方にホッパー等の混合物案内手段65を設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合、混合物案内手段65により散布部6の回転板51の所定位置に供給可能な構成とすれば、本実施形態と同様に回転板51に落下してきた混合物を無駄なく広範囲にわたって略均等に散布することができる。
【0059】
上記したように、本実施形態の農業用散布装置1では、固定側板状部材20と回転側板状部材21とを組み合わせて構成される混合比調整部3が設けられており、肥料と農薬との混合比に応じて固定側肥料開口23、固定側農薬開口25、回転側肥料開口31および回転側農薬開口32の開口面積が調整されている。そのため、本実施形態の農業用散布装置1は、肥料収容部10や農薬収容部11に肥料や農薬を入れておくだけでこれらを所望の混合比で混合し、散布することができる。
【0060】
また、上記した農業用散布装置1において、混合比調整部3は、回転側板状部材21を回転させると、固定側肥料開口23と回転側肥料開口31とが連通する状態と、固定側農薬開口25と回転側農薬開口32とが連通する状態とが交互に到来する。そのため、農業用散布装置1では、回転側板状部材21を一定方向に回転させると、回転側板状部材21の回転周期毎に固定側肥料開口23や固定側農薬開口25が開き、第一の粒状物と第二の粒状物とが交互に混合手段に供給されることとなる。よって、農業用散布装置1では、混合部5に一度に大量の第一の粒状物や第二の粒状物が払い出されることがなく、これらが混合部5の払出口として機能する開口43に詰まるといったような不具合が起こりにくい。
【0061】
上記実施形態において、混合比調整部3は、固定側板状部材20と回転側板状部材21とを組み合わせて構成されるものであり、回転側板状部材21を回転させるだけで肥料と農薬とを間歇的に混合部5に払い出すことができる。そのため、農業用散布装置1では、農薬や肥料が混合部5の出口に相当する開口43に詰まったり、混合部5内でいわゆるブリッジングを起こすのを防止できる。
【0062】
上記実施形態では、固定側肥料開口23や固定側農薬開口25、回転側肥料開口31、回転側農薬開口32の開口面積が一定であるため、混合部5に対する肥料および農薬の払い出し量や、これらの比率が一定であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記開口23,25,31,32から選ばれる一又は複数、あるいは、全ての開口面積を適宜調整可能な構成としてもよい。さらに具体的には、例えば図9に示すように、固定側板状部材20と回転側板状部材21との間等の位置に、固定側板状部材20に設けられた固定側肥料開口23や固定側農薬開口25と同一の位置関係にある開口81,82を持つ板状の開口面積調整手段80を、回転側板状部材21に対して独立的に作動可能なように設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合、開口面積調整手段80,85を図9に矢印で示すように固定側板状部材20に対して相対回転させることにより固定側肥料開口23や固定側農薬開口25の開口面積を調整することができる。なお、図9に示す例において開口面積調整手段80は、円板状であったが、固定側肥料開口23や固定側農薬開口25の開口面積を調整可能なものであれば形状等については特に限定されるものではなく、例えば扇形のものや矩形状のものであってもよい。
【0063】
また、固定側肥料開口23の開口面積調整用の開口面積調整手段と固定側農薬開口25の開口面積調整用の開口面積調整手段とを設け、それぞれが独立的に作動可能な構成としてもよい。かかる構成とした場合は、混合部5に対する肥料および農薬の払い出し量だけでなく、これらの払い出し量の比率(混合比)まで調整することができる。
【0064】
さらに、上記した固定側板状部材20に設けられた固定側肥料開口23や固定側農薬開口25と同様の位置に、前記開口23,25と開口面積の異なる開口を設けた開口面積調整用の板体を用意し、これを肥料や農薬の払い出し量や混合比に応じて適宜入れ替え可能な構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、開口面積調整用の板体に開口23,25に対応して設けられる開口の開口面積を適宜調整することにより、混合部5に対する肥料や農薬の払い出し量や、肥料と農薬の混合比を調整することができる。
【0065】
上記実施形態では、固定側板状部材20と回転側板状部材21とで肥料の出口を形成する固定側肥料開口23および回転側肥料開口31の位置関係が線対称の位置関係にある構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの開口23,31は固定側板状部材20や回転側板状部材21の周方向にいくらかずれた構成であってもよい。
【0066】
また、混合比調整部3は、固定側板状部材20および回転側板状部材21における固定側肥料開口23および回転側肥料開口31の位置関係は同一であってもよい。すなわち、混合比調整部3は、固定側板状部材20および回転側板状部材21を重ねた際に、固定側肥料開口23と回転側肥料開口31とが連通すると共に、固定側農薬開口25と回転側農薬開口32とが連通する構成であってもよい。
【0067】
上記実施形態では、混合比調整部3として固定側板状部材20と回転側板状部材21とを組み合わせた構成のものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば肥料収容部10および農薬収容部11のそれぞれの底部にシャッター等を設け、これを作動させることにより所定量の肥料や農薬を混合部5の混合室40に投入する構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、肥料収容部10側のシャッターと農薬収容部11側のシャッターとが交互に開く構成とすれば、肥料と農薬の混合状態を最適化することができる。
【0068】
上記実施形態において、散布部6に設けられた回転板51は、中央部から外周側に向けて回転板51の径方向にまっすぐ放射状に延びる散布羽根53を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図6(b)に示すように湾曲した散布羽根57を設けた構成としてもよい。
【0069】
上記実施形態では、混合部5に設ける攪拌装置45として、回転軸50に鋤板46を多数取り付けた鋤板混合機と称されるような攪拌機付混合装置を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、攪拌装置45は、例えば図7(a)に示すように回転軸50に対してスクリュー60(混合部材)を取り付けた、いわゆるスクリュー混合機と称されるようなものや、図7(b)に示すような攪拌片61(混合部材)を取り付けた、いわゆるリボン混合機と称されるようなもの等、適宜の構成のものを採用することができる。
【0070】
ここで、上記した農業用散布装置1において、混合部5は、回転軸50が立設され、これに鋤板46が取り付けられた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図8に示す農業用散布装置70のように、回転板51が取り付けられる回転軸50とは別に混合部5の鋤板46が取り付けられる回転軸71(混合側回転軸)を持ち、この回転軸71に鋤板46やスクリュー60、攪拌片61等を装着した構成としてもよい。
【0071】
さらに具体的に説明すると、図8に示す農業用散布装置70は、大部分が上記した農業用散布装置1と同一であるが、混合部75(混合手段)の構成が上記した混合部5と異なる。農業用散布装置70において採用されている混合部75は、混合比調整部3の下方に形成された混合室76(収容部)内を横断するように回転軸71が設けられており、これに鋤板46が多数、螺旋状に取り付けられた構成とされている。回転軸71は、耕耘機やトラクターに設けられたPTO(Power Take Off)軸やモータの回転軸等のような動力源に接続される。
【0072】
混合室76は、肥料収容部10および農薬収容部11の底部に設けられた固定側肥料開口23および固定側農薬開口25の鉛直下方となる位置に肥料や農薬の入口となる開口77が設けられている。開口77は、混合室76内に配置されている回転軸71の一端側に存在する。また、混合室76の底面であって、前記した開口77とは反対側(回転軸71の他端側)に相当する位置には、肥料と農薬とを混合した混合物の排出口となる開口78が設けられている。開口78の下方には、上記した農業用散布装置1において設けられていたのと同様の構成の散布部6が設けられている。開口78は、上記した農薬散布装置1の混合部5に設けられた開口43と同様に、混合室76内で混合された混合物を散布部6の回転板51の略中央を離れた位置に落下させることが可能な位置に開口している。
【0073】
図8に示すように、混合室76の底面は、開口77側から開口78側にむかって徐々に下方に傾斜した構成とされている。すなわち、混合室76の底面には、開口78側に向かう下り勾配が付けられている。そのため、開口77から混合室76内に肥料や農薬を投入すると、これらが徐々に開口78側に誘導されていく。
【0074】
図8に示す農業用散布装置70では、肥料収容部10や農薬収容部11から肥料や農薬が払い出されると、開口77から混合室76内に肥料や農薬が払い出される。この状態で回転軸71を回転させると、肥料および農薬は、混合室76内において回転する鋤板46によって混合されながら下流側、すなわち開口78側に向かい、徐々に混合されていく。混合室76において肥料と農薬とを混合して形成される混合物は、開口78からこの下方に配されている散布部6の回転板51の中央部あるいはこの近傍に落下する。回転板51上に落下した混合物は、回転板51の回転により発生する遠心力の影響を受けて飛散し、散布開口56から農業用散布装置70の外側に散布される。
【0075】
上記した農業用散布装置70のように、混合部75の回転軸71が回転板51の回転軸50に対して交差する(本実施形態では略直交)構成とすれば、肥料収容部10や農薬収容部11と散布部6との間隔、すなわち混合部75の高さを抑制することができる。また、上記したような構成とすれば、肥料や農薬の入口となる開口77から出口となる開口78までの距離を十分確保でき、肥料と農薬とを十分混合することができる。従って、農業用散布装置70のような構成を採用すれば、装置構成をコンパクトにしつつ、肥料と農薬とを十分混合して散布することができる。
【0076】
上記した農業用散布装置70では、混合室76の底面に下り勾配を付けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、底面が略水平な構成であってもよい。また、図8や上記した説明では、回転軸71に鋤板46を取り付けた構成を例示したが、農業用散布装置1と同様に鋤板46に代わってスクリュー60や攪拌片61を取り付けた構成としてもよい。
【0077】
上記した農業用散布装置1,70において、混合部5,75は、鋤板46やスクリュー60、攪拌片61が作動して肥料と農薬を混合するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば鋤板46やスクリュー60、攪拌片61が作動する構成とする代わりに金網やパンチングメタル、エキスパンドメタル等の網状の部材や邪魔板などを配置した構成としてもよい。すなわち、農業用散布装置1,70は、上記した混合部5,75のように何らかの動力を利用して積極的に肥料や農薬を混合する構成に限定されるものではなく、肥料や農薬が通過する散布部6に至る経路の中途に網状の部材や邪魔板等の邪魔部材を設けた構成としてもよい。また、混合部5,75は、鋤板46やスクリュー60、攪拌片61を設けると共に、金網やパンチングメタル、エキスパンドメタル等の網状の部材や邪魔板などを配置した構成としてもよい。かかる構成によれば、邪魔部材が配置された経路を肥料や農薬が通過することにより肥料と農薬との攪拌を促進させ、肥料と農薬とを混合した状態で散布することができる。
【0078】
また、農業用散布装置1,75は、肥料や農薬が通過する散布部6に至る経路の中途に、混合部5,75のように動力を利用して積極的に肥料や農薬を混合する構成に加えて、網状の部材や邪魔板等の邪魔部材を設けた構成としてもよい。かかる構成によれば、肥料と農薬との攪拌をより一層促進させることができ、肥料と農薬とがよく混ざった状態で散布することができる。
【0079】
上記実施形態に示した農業用散布装置1,70は、耕耘機やトラクターに取り付け、これらから動力を得て動作可能なものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば動力源として別途モータやエンジンを備えた構成とすることも可能である。かかる構成とした場合、農業用散布装置1,70を単独で使用可能な構成としたり、農業用散布装置1,70を携帯して使用可能な構成とすることができる。
【0080】
上記実施形態では、単一の収容部2を仕切板12で仕切ることにより肥料収容部10と農薬収容部11とを形成した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、肥料収容部10と農薬収容部11とを別々に設けた構成としてもよい。
【0081】
また、農業用散布装置1,70は、上記実施形態において採用されていた混合比調整部3に代わって、図10(a)に示すような構成の混合比調整部90を設けた構成としてもよい。さらに具体的には、混合比調整部90は、図10(a)に示すように肥料収容部10や農薬収容部11の下方を横断するように設けられた回転軸91に対して2つの繰り出しロール92,93を装着した構成とされている。回転軸91は、図示しない動力源に接続されており、農業用散布装置1,70の本体に回転自在なようにに支持されている。
【0082】
繰り出しロール92,93は、図10(b)に示すように略円筒形のロール本体92a,93aの外周部に周方向に略等間隔に複数のポケット92b,93b(凹部)を設けた構成とされている。繰り出しロール92,93は、それぞれ肥料収容部10および農薬収容部11の底部に設けられた開口から肥料や農薬をポケット92b,93bに払い出し可能なように配置されている。ポケット92b,93bの大きさは、肥料や農薬の混合比に応じて調整されている。
【0083】
混合比調整部90は、回転軸91を回転させて繰り出しロール92,93が回転させることにより、各ポケット92b,93bに溜まっている肥料や農薬を所定比で混合部5側に払い出すことができる。また、混合比調整部90は、繰り出しロール92,93の回転時間(回転量)を調整することにより混合部5に対する肥料や農薬の払い出し量を調整することができる。そのため、農業用散布装置1,70は、上記した混合比調整部3に代わって混合比調整手段90のような構成のものを採用しても、肥料や農薬を所定比で混合部5に供給することができる。
【0084】
上記した混合比調整部90は、回転軸91の回転に伴って繰り出しロール92,93が一緒に回転する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば繰り出しロール92,93の間にクラッチ機構のような動力を伝達あるいは遮断可能な機構を設けるなどして繰り出しロール92,93を独立的に作動可能な構成としてもよい。かかる構成とした場合、繰り出しロール92,93を交互に作動させることができ、上記した混合比調整部3を設けた場合と同様に肥料と農薬を交互に払い出すことが可能となる。
【0085】
また、図11に示す農業用散布装置100のように、上記実施形態において採用されていた混合比調整部3に代わって、独立的に作動可能な繰り出しロール113,114,115を備えた混合比調整部110を設けた構成としてもよい。以下、農薬散布装置100の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、農薬散布装置100は、混合比調整部110の構成に特徴を有し、他の部位は上記した農薬散布装置1,70とほぼ同様の構成を有するため、共通する部分には同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。また、農業用散布装置100は、上記した農業用散布装置1,70に採用されていた混合部5,75のいずれかや散布部6と同様の構成を採用できるため、図11では混合部5,75や散布部6については図示せず省略する。
【0086】
混合比調整部110は、図11に示すように農薬散布装置100の幅方向に挿通されたロール軸111を有する。ロール軸111は、農薬散布装置100の本体ケース101に対して軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。ロール軸111は、図示しないモータ等の動力源に接続されており、この動力を受けて回転できる。ロール軸111にはフォークガイド112が取り付けられている。ロール軸111は、フォークガイド112を介して軸方向に移動させることができる。
【0087】
ロール軸111には、3つの繰り出しロール113,114,115が回転可能なように装着されている。繰り出しロール113,114は、肥料収容部10の直下に位置しており、それぞれロール軸111を中心として回動することにより、肥料収容部10内に収容されている肥料を混合部5側に払い出すことができる。また、繰り出しロール115は、農薬収容部11の直下に位置しており、ロール軸111を中心として回動させると、農薬収容部11内の農薬を混合部5に払い出すことができる。繰り出しロール114は、繰出ロール113よりも軸方向に短く、一回転当たりの肥料の払い出し量が繰り出しロール113よりも少ない。そのため、混合比調整部111は、繰り出しロール113,114のいずれを回転させるかによって混合部5への肥料の払い出し量を調整し、肥料と農薬との混合比を調整することができる。
【0088】
繰り出しロール113,114の間には、クラッチ爪116,116が互いに対向するように配置されている。また、繰り出しロール113,114の間には、クラッチA117が設けられている。クラッチA117は、ロール軸111の外周に固定されている。また、繰り出しロール115の側面には、クラッチ爪118が取り付けられている。
【0089】
ロール軸111の端部には、クラッチB119が、クラッチロール軸111と共に回転し、軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。クラッチ119には、上記したクラッチ爪118に対向するようにクラッチ爪120が設けられている。また、クラッチ119の外周にはフォークガイド121が設けられており、これを用いてロール軸111の軸方向にスライドさせることができる。繰り出しロール113,114間および繰り出しロール114,115間は、仕切板122,123によって仕切られている。
【0090】
混合比調整部110は、図11に示す状態においてクラッチA,B117,120の双方が切れた状態にある。そのため、図示しない動力源からロール軸111に動力が伝達してきても、繰り出しロール113,114,115には動力が伝達しない。クラッチB119は、フォークガイド121を用いてクラッチB119を軸方向にスライドさせ、クラッチ爪120を繰出ロール115の側面に設けられたクラッチ爪118に噛み合わせることによりロール軸111から繰り出しロール115にトルクを伝達させ、繰り出しロール115を回転させることができる。農薬収容部11に主要されている農薬は、繰り出しロール115の回転に伴って、混合比調整部110の下方に設けられた混合部5に払い出される。
【0091】
また、混合比調整部110は、フォークガイド121を用いてロール軸111を軸方向に移動させ、ロール軸111を図11の左方向に移動させると、ロール軸111の中途であって繰り出しロール113,114間に取り付けられているクラッチA117が繰り出しロール113のクラッチ爪116に噛み合って繰り出しロール113にロール軸111からトルクが伝達し、繰り出しロール113が回転する。繰り出しロール113が回転すると、肥料収容部10に収容されている肥料が混合部5に払い出される。これとは逆に、フォークガイド112を用いてロール軸111を図11の右方向にスライドさせると、クラッチA117が繰出ロール114のクラッチ爪116に噛み合って繰出ロール114がローラ軸111と共に回転し、肥料収容部10内の肥料が混合部5側に払い出される。
【0092】
上記した農業用散布装置100についても、ロール軸111を軸方向にスライドさせることにより所定の繰り出しロール113,114,115を回転させ、繰り出しロール113,114,115の回転時間を調整したり、ロール軸111の回転量を調整するなどして肥料や農薬の払い出し量を調整することができる。また、ロール軸111を適宜スライドさせることにより、肥料と農薬とを交互に払い出す構成とすることができる。
【0093】
上記した混合比調整部110では、肥料の払い出しように2つの繰り出しロール113,114を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、肥料払い出し用の繰り出しロールが単一の構成であっても、さらに多数設けた構成としてもよい。また、上記した混合比調整部110では、繰り出しロール115が単一の構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、肥料払い出し用に2つの繰り出しロール113,114を設けたのと同様に複数の繰り出しロールを設け、これらの全て又は一部を回転させて農薬を払い出し可能な構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態にかかる農業用散布装置を示す斜視図である。
【図2】図1の農業用散布装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】(a)は固定側板状部材を示す正面図であり、(b)は、回転側板状部材を示す正面図である。
【図4】混合比調整部の構造を示す分解斜視図である。
【図5】(a)は混合比調整部の第一の状態を示す正面図であり、(b)は混合比調整部の第二の状態を示す正面図である。
【図6】(a)は回転板を示す斜視図であり、(b)は(a)の変形例を示す斜視図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ攪拌装置の変形例を示す斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態にかかる農業用散布装置を示す断面図である。
【図9】混合比調整部の変形例を示す分解斜視図である。
【図10】(a)は図1および図8に示す農業用散布装置の変形例を示す要部断面図であり、(b)は(a)に示す農業用散布装置において採用されている混合比調整部の構造を示す斜視図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態にかかる農業用散布装置を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 農業用散布装置
2 収容部
3 混合比調整部(供給状態調整手段)
5,75 混合部(混合手段)
6,76 散布部(散布手段)
10 肥料収容部(第一の収容手段)
11 農薬収容部(第二の収容手段)
21 回転側板状部材(閉塞部材)
23 固定側肥料開口(第一の払出口)
25 固定側農薬開口(第二の払出口)
31 回転側肥料開口(第一の連通口)
32 回転側農薬開口(第二の連通口)
40 混合室(収容部)
46 鋤板(混合部材)
50 回転軸(散布側回転軸、混合側回転軸)
60 スクリュー(混合部材)
61 攪拌片(混合部材)
70 農業用散布装置
71 回転軸(混合側回転軸)
80 開口面積調整手段
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成17年11月21日(2005.11.21)
【代理人】 【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆


【公開番号】 特開2007−135515(P2007−135515A)
【公開日】 平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願番号】 特願2005−335934(P2005−335934)