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【発明の名称】 くわい種球用手持ち田植具及びくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具
【発明者】 【氏名】小野田 哲

【要約】 【課題】くわい種球wの田面への植付を疲労少なく能率的に行えるようにする。

【解決手段】柄部1の基端部に操作ハンドル5を、そして先部に種球保持部3を設け、柄部1の内孔内には操作ハンドル5の操作に連動して柄部1の長手方向の前後へ変位される押し部材7を設けたくわい種球w用手持ち田植具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ凡そ80cm〜140cm程度の柄部を備え、この柄部の基端部に操作ハンドルを、そして先部にくわい種球を特定姿勢の固定状に保持する種球保持部を設け、前記柄部の内孔内には操作ハンドルの操作に連動して柄部長手方向の前後へ変位される押し部材を設け、前記種球保持部にくわい種球を保持させた後に前記操作ハンドルを操作することにより前記押し部材が前記種球保持部に保持されたくわい種球を前記種球保持部の先方へ押し出すように作動する構成を特徴とするくわい種球用手持ち田植具。
【請求項2】
種球保持部は、柄部先端部の上部左右に固定され且つ先鋭端を前方へ向けられ且つ柄部の先端からの張出長さが凡そ数mm〜十数mm程度となされている一対の針部材と、柄部先端からの張出長さを前記針部材の前記張出長さよりも小さくなされ且つ、くわい種球の芽との干渉を回避させるためにスリット部を前記一対の針部材の間範囲の上部前端縁から柄部基端側へ向け形成され且つくわい種球の側周囲を包囲するように形成され且つ柄部の先端部に固設されたものとなされた側周囲包囲部材とを備え、くわい種球を種球保持部に保持させる際にはくわい種球の球部が一対の針部材に挟み付けられ又は必要に応じ突き刺され側周囲包囲部材の内方に位置されると共に、くわい種球の芽がスリット部を通じて側周囲包囲部材の外上方へ出されることを特徴とする請求項1記載のくわい種球用手持ち田植具。
【請求項3】
全体が安定的に自立するものとなされ前後方向寸法をくわい種球の列上種球間距離以下となされ左右方向寸法をくわい種球の列間距離より少なくとも数cm程度小さくなされた自立構造体を備え、この自立構造体がくわい種球を植え付けるべき隣接した2つの列間に位置されたときに自立構造体の前部左右で前記2つの列の真上に位置する一対の前植付位置と、自立構造体の後部左右で前記2つの列の真上に位置し前記前植付位置よりも列上種球間距離だけ後方となる一対の中間植付位置と、これら中間植付位置から列上種球間距離だけ後方で前記2つの列の真上に位置する一対の後植付位置とからなる6位置のそれぞれの適当高さ位置に種球植付位置目印を自立構造体から水平方向へ張り出された支持棒部材で形成し、また前記2つの列の直ぐ外側で種球の既植付側となる列から自立構造体までの左右方向距離を特定するための左右方向位置決め棒部材を自立構造体の左右各側から張出状に形成され、さらには自立構造体の上部に上面の開放されたくわい種球容器を固定すると共に自立構造体を引き上げ移動させるための把手部を形成されてなることを特徴とするくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具。
【請求項4】
前記後植付位置に対応した支持棒部材、及び、左右各側の左右方向位置決め棒部材が自立構造体近傍位置で上方への折れ曲がり可能となされ且つ起立姿勢の維持可能となされていることを特徴とする請求項3記載のくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はくわい種球を的確且つ楽な姿勢で植え付けることを可能としたくわい種球用手持ち田植具及びくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来のくわい種球の植付の様子を示す平面図である。
くわい種球を植え付ける際には、一般に、代掻き行った田面に複数の作業者が入り、2人の作業者が綱の一定間隔位置に植付位置を示す目印の付けられた田植綱を位置決めし、次にこのように位置決めされた田植綱の目印の位置に、複数の作業者が田面に置いたくわい種球容器23a内に用意されているくわい種球wを手に取って各列R1〜R7に植え付けるという処理を繰り返す。
【0003】
このとき、各作業者は田面上で左右方向f6へ移動しながら、自分の受持領域内の田植綱の目印の真下位置の土中に植え付けていくのであり、この植付時になるべく足跡を残さないようにして能率的に植え付けるため、作業者は1つの場所で矢印で示すように隣接した3列の位置p01、p02、p03に植え付けるようにしている。
【0004】
なお、くわい種球の田植作業に関係する公知文献は出願人に知る限りにおいて存在しない。
【0005】
【特許文献1】特開2002−186310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来のくわい種球の植付においては、次のような問題点がある。
即ち、作業者は通常、一人で多数列の植付をするため、左右方向f6へ移動することは避けられないのであり、このときの作業者の足跡ftがくわい種球の植付予定位置近傍mに不可避的に残ることとなる。この足跡ftはくわい種球を適正に植え付ける上で障害となることから、これを避けるため手で土均しをして足跡ftを無くするようにするが、この土均し処理は水面下の土を掻き混ぜることから土が水状となってくわい種球に対するその支持能力が低下し、植付後のくわい種球の浮き上がりや土中への過度な沈降を生じさせ、適正な植付を困難となすのである。
また田植綱が田面の水中に沈んで種球植付位置に対応した目印が確認し難くなり、くわい種球を正確な位置に植え付けることが困難となる。
【0007】
また上記した従来の植付作業では、くわい種球を手指で摘んで土中の数cm深さに植え付けることから、手指がくわい種球の周辺の比較的多くの土を押し除けるようになって植付後のくわい種球の姿勢を不安定となすのであり、これを修正するには、くわい種球の周辺の水面下の土を移動させてくわい種球に密着させる必要があるが、このときの土の移動処理が土を攪拌して水状となしその支持能力を低下させ、既述のように植付後のくわい種球の浮き上がりや沈降を生じさせることがある。また土中に植え付ける際に、くわい種球が腕の植付動作に関連してその芽が手前側から前方へ向かうように自転変位されることがあるのであり、この自転変位はくわい種球の芽が長く伸びているようなときにその芽を曲げ折ってしまうことがある。
【0008】
またくわい種球を手指で摘んで植え付けるには作業者は腰を大きく曲げることを繰り返す必要があって、身体の疲労が激しいことから、的確な植付を長時間に亘って安定的に継続することが困難となる。
さらには、従来の植付作業では一人の作業者が抜けると、田植綱の張り長さ範囲内の植付が均等に進行せず作業者の植付作業に無駄の生じることがある。
【0009】
本発明は、上記した問題点を解消するものとしたくわい種球用手持ち田植具及びくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のくわい種球用手持ち田植具は、請求項1に記載したように、長さ凡そ80cm〜140cm程度の柄部を備え、この柄部の基端部に操作ハンドルを、そして先部にくわい種球を特定姿勢の固定状に保持する種球保持部を設け、前記柄部の内孔内には操作ハンドルの操作に連動して柄部長手方向の前後へ変位される押し部材を設け、前記種球保持部にくわい種球を保持させた後に前記操作ハンドルを操作することにより前記押し部材が前記種球保持部に保持されたくわい種球を前記種球保持部の先方へ押し出すように作動する構成を特徴とするものである。
【0011】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項2に記載したように、種球保持部が、柄部先端部の上部左右に固定され且つ先鋭端を前方へ向けられ且つ柄部の先端からの張出長さが凡そ数mm〜十数mm程度となされた一対の針部材と、柄部先端からの張出長さを前記針部材の前記張出長さよりも小さくなされ且つ、くわい種球の芽との干渉を回避させるためにスリット部を前記一対の針部材の間範囲の上部前端縁から柄部基端側へ向け形成され且つくわい種球の側周囲を包囲するように形成され且つ柄部の先端部に固設されたものとなされた側周囲包囲部材とを備え、くわい種球を種球保持部に保持させる際にはくわい種球の球部が一対の針部材に挟み付けられ又は必要に応じ突き刺され側周囲包囲部材の内方に位置されると共に、くわい種球の芽がスリット部を通じて側周囲包囲部材の外上方へ出される構成となす。
【0012】
次に本発明のくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具は、請求項3に記載したように、全体が安定的に自立するものとなされ前後方向寸法をくわい種球の列上種球間距離以下となされ左右方向寸法をくわい種球の列間距離より少なくとも数cm程度小さくなされた自立構造体を備え、この自立構造体がくわい種球を植え付けるべき隣接した2つの列間に位置されたときに自立構造体の前部左右で前記2つの列の真上に位置する一対の前植付位置と、自立構造体の後部左右で前記2つの列の真上に位置し前記前植付位置よりも列上種球間距離だけ後方となる一対の中間植付位置と、これら中間植付位置から列上種球間距離だけ後方で前記2つの列の真上に位置する一対の後植付位置とからなる6位置のそれぞれの適当高さ位置に種球植付位置目印を自立構造体から水平方向へ張り出された支持棒部材で形成し、また前記2つの列の直ぐ外側で種球の既植付側となる列から自立構造体までの左右方向距離を特定するための左右方向位置決め棒部材を自立構造体の左右各側から張出状に形成され、さらには自立構造体の上部に上面の開放されたくわい種球容器を固定すると共に自立構造体を引き上げ移動させるための把手部を形成されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項4に記載したように、前記後植付位置に対応した支持棒部材、及び、左右各側の左右方向位置決め棒部材が自立構造体近傍位置で上方への折れ曲がり可能となされ且つ起立姿勢の維持可能となされている構成となす。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
即ち、請求項1記載のものによれば、種球保持部にくわい種球を固定状に支持させる処理や、このように支持させたくわい種球を代掻きされた田面の土中に植え付ける処理を腰を曲げることなく行えるようになり、したがって作業者の疲労が少なくなり、くわい種球の的確な植付を長時間に亘って安定的に継続することができるようになる。
【0015】
また種球保持部がくわい種球を固定状に支持した状態で土中においてその植付位置まで平行移動させることができるため、くわい種球は土中での自転変位が生じなくなくなり、したがってたとえくわい種球から芽が長く伸びていても、この芽が土の抵抗で折れるようなことは生じ難くなる。
【0016】
さらに種球保持部に支持されたくわい種球が土中にて押し部材に押し出されるようになるため、その球部に土が密着し易くなり、くわい種球の浮き上がりや沈降が生じ難くなる。
【0017】
請求項2記載のものによれば、一対の針部材の間にくわい種球の芽を位置させると共に球部を押し込むことにより種球保持部にくわい種球を固定状に支持させることができるのであり、また針部材の少なくとも一方にくわい種球の球部を突き刺すことにより種球保持部にくわい種球を一層確実に支持させることができ、しかも、種球保持部に固定されたくわい種球を押し部材の押し力で簡単に外方へ押し出すことができるものとなる。
【0018】
また側周囲包囲部材が種球保持部によるくわい種球をその芽を傷めることなく一層確実に支持する上で寄与すると共に、土中への植付時に土をくわい種球の球部に密着させるように作用し、くわい種球の浮き上がりや沈降をさらに確実に防止することが可能となる。さらには側周囲包囲部材のスリット部が種球保持部に支持されたくわい種球の芽の伸長方向の向きを一定範囲内で任意に変更することを可能となし、これにより柄部を傾斜させて土中に植え付けられるくわい種球の芽を上向きに近付けることができ、その成育を促進することができる。
【0019】
請求項3記載のものによれば、作業者が腰を曲げることなく、くわい種球容器内のくわい種球を摘んでくわい種球用手持ち田植具の種球保持部に支持させ土中に植え付けることができるようになり、したがって作業者の疲労は少なくなり、くわい種球の植付における田面上での全作業を長時間に亘って的確且つ安定的に継続することができるようになる。
【0020】
またくわい種球を同時に植え付けられる2つの列の間に作業者が位置して種球植付目印を列方向へ移動させるように使用することができるため、作業者の足跡がこれから植え付ける位置の近傍に残されることは生じないものとなって、足跡がくわい種球を植え付ける上で障害となることがなくなり、足跡に起因したくわい種球の浮き上がりや沈降は生じ難くなる。
【0021】
従来の植付作業では、横方向と後方への移動であるが、本発明によれば前進歩行のみのため歩行が容易であり、疲れ難い。しかも、長時間素手で水中作業を行うと手がふやけて、爪も柔らかくなり反転する場合もあり、更に爪の間に土が入り込み洗ってもなかなか除り難いが、このようなことも全て解消される。一方、屈むことによる血圧の異常時(推測の範囲)も考えられるが、その心配もないので高血圧症の人なども作業を安全に行うことができる。
【0022】
他方田面の代掻きが適正に行われている限り、種球植付位置目印が従来の田植綱のように弛んで水没してしまうことは生じず、6つの種球植付位置目印を基準として的確な植付が行える。
さらには各作業者が単独で取り扱うことができるものとなって、他の作業者に影響されることなく6つの種球植付位置目印を基準として的確な植付が行えるものとなる。
【0023】
請求項4記載のものによれば、後植付位置に対応した支持棒部材、及び又は、左右の左右方向位置決め棒部材を必要に応じて自立構造体からの水平張出量を少なくするように姿勢変更させることができ、持ち運び時の取扱いを容易となすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るくわい種球用手持ち田植具を示す斜視図、図2は前記くわい種球用手持ち田植具の種球保持部を示す斜視図、図3は前記種球保持部の側面視断面図、図4は本発明に係るくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具を示す斜視図、図5はくわい種球用手持ち田植具や前記くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具の使用状態を示す説明図、図6は前記くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具の使用例を示す説明図である。
【0025】
先ず、くわい種球用手持ち田植具について説明する。
図1において、1は長さ凡そ80cm〜140cm程度(最適には100cm〜120cm)及び外径凡そ20mm程度となされた塩ビ材からなる筒状の柄部である。この柄部1の基端部に操作部2、そして先部に種球保持部3が形成されている。
【0026】
操作部2は手掛けハンドル4及び操作ハンドル5からなっている。手掛けハンドル4は柄部1の基端部の外周面の下部に締結線部材6で固定され、下向き張出把手部4aを具備している。
【0027】
操作ハンドル5は下向き張出把手部4aに平行に対峙した状態に配置されており、上端部を柄部1の内孔に密状且つ摺動変位自在に挿通され直径凡そ13mm程度となされた棒状の押し部材7の後端に固定されている。柄部1の基端部と操作ハンドル5の間となる押し部材7の後端部にコイルスプリング8が外嵌状且つ圧縮状に装着してあり、また下向き張出把手部4aと操作ハンドル5との間には、操作ハンドル5がコイルスプリング8の伸長弾力の消失する位置まで後方f1へ離れるのを規制するための規制部材(U字形金具或いは輪ゴムなどでよい)9が装着されている。
【0028】
種球保持部3は図2及び図3にも示すように、柄部1の先部と、押し部材7と、くわい種球wを挟み付け状に支持し或いはくわい種球wを突き刺され支持する一対の針部材10、10と、くわい種球wの側周囲を包囲する筒状の側周囲包囲部材11などで形成されている。
【0029】
柄部1の先端面a1は、図3に示すように、下部が上部よりも前方へ張り出すような傾斜面となされており、この際の先端面a1の柄部1長手方向の垂直面に対する傾斜角度θは凡そ数十度程度(好ましくは10〜30度程度)となされる。押し部材7の先端a2は操作ハンドル5の非操作状態の下で柄部1の先端面a1から前方f2へ張り出さない範囲で成る可く先端面a1に近接されている。
【0030】
そして、一対の針部材10、10は柄部1の先端部上部の左右に直径1mm〜2mm程度となされ且つ柄部1先端面a1から数mm〜十数mm程度前方f2へ張り出された状態に固設されている。
【0031】
側周囲包囲部材11は柄部1先端面a1からの張出長さを針部材10の張出長さよりも短い状態となるように柄部1先端部の外周面に固定されると共に、くわい種球wの芽w1との干渉を回避させるために一対の針部材10、10の間範囲の上部前端縁から後方f1へ向け切り込まれた状態のスリット部b1を形成されている。このスリット部b1は前部の巾を前方f2へ向かうに伴って漸次拡大し、芽w1の入り込みを円滑となしている。
【0032】
さらに柄部1の基端寄り位置の上部には吊り環12(図1)が固定されており、この吊り環12に肩掛け紐13が繋着されている。
【0033】
次に上記したくわい種球用手持ち田植具の使用例及び作用について説明する。
くわい種球wの植付時に、作業者は肩掛け紐13を肩に掛け、この肩掛け紐13によりくわい種球用手持ち田植具を肩で支持した状態で、一方の手で種球保持部3を図2に示すような斜め上向きに向けて保持し、他方の手でくわい種球wを掴み、その球部w2の全体又は一部を側周囲包囲部材11の内方に嵌め込み、その芽w1を上方へ向けてスリット部b1の成る可く奥部を経て外方へ出し芽w1の先側が後方f1へ傾斜した姿勢となす。
【0034】
これにより、くわい種球wは後方f1側を柄部1の先端面a1及び押し部材7の先端面a2で支持され、球部w2の側周囲を側周囲包囲部材11の内周面に支持され、球部w2の左右側又は芽w1下部の左右側を左右の針部材10、10で挟み付け状に或いは少なくとも一方の針部材10に突き刺された状態で支持され固定状態となる。なお、球部w2を針部材10に突き刺すことはくわい種球wの活着に障害を及ぼすものではない。
【0035】
次に作業者は図5に示すように一方の手で柄部1の途中を握り、種球保持部3が下向きとなるような傾斜姿勢となし、他方の手を下向き張出把手部4aと操作ハンドル5に掛け渡すようにして両手でくわい種球用手持ち田植具T1を支持する。
【0036】
そして、種球保持部3及び柄部1をくわい種球wの植付予定位置の土中深さ5cm〜6cm程度の位置へ向け、柄部1の長手方向へ突き出すように操作する。この突き出し操作の過程で、種球保持部3に固定状に保持されたくわい種球wは斜め下方へ平行移動され、手植えのときのように自転変位されることがないため、芽w1が土抵抗を受けて折れるなどの事態は発生し難いのであり、また側周囲包囲部材11がくわい種球wの前方f2の土を球部w2周りへ集めて密着させる作用をし、土押さえ作用が安定的に得られるのである。
【0037】
田面の水面に対する柄部1の位置とか柄部1の下方への撓み具合から判断して、くわい種球wが植付予定深さ位置に到達したと判断されるとき、前記他方の手で操作ハンドル5を下向き張出把手部4aに近付けるように把握操作する。これにより柄部1の位置が維持されたまま、くわい種球wは種球保持部3から球部w1に密着した土と一緒に前方f2へ平行移動されつつ押し出される。
【0038】
この後、柄部1をこれの後方f1へ引き移動させて種球保持部3を土中から引き抜くのである。こうして植え付けられたくわい種球wは芽w1の伸長方向が図3に示す傾斜角度θに関連して柄部1の先端面a1に沿わせられているため、柄部1を傾斜状に土中に突き刺しても直立に近寄る状態となる。
【0039】
このようなくわい種球用手持ち田植具T1(図5)によるくわい種球植付作業においては腰を曲げる必要がなくなって身体の苦痛が無くなるのであり、また腰の曲げ伸ばし動作が激減して長時間作業の場合にも疲れが少なくなって、植付を継続して的確且つ安定的に行えるのである。
【0040】
次にくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具について説明する。
図4において、20は細径棒部材により形成され概ね方形枠構造となされた軽量の自立構造体である。この自立構造体20は脚部21と、この脚部21の上端から起立させた起立部22とからなっていて、安定的に自立するものとなされ前後方向寸法L1をくわい種球wの列上種球間距離s1(図6参照)と概ね合致されるかそれよりも小さくなされ、左右方向寸法B1をくわい種球wの列間距離s2(図6参照)より少なくとも数cm程度小さくなされている。
【0041】
脚部21は前部と後部に最下水平支持棒部21a、21bを有すると共に、この最下水平支持棒部21a、21bから棒部材を延長させて最下水平支持棒部21a、21bから凡そ15〜25cm程度の高さ位置の左右に前後向きの中間水平支持棒部21c、21dを形成したものとなされている。そして、左右の前後向きの中間水平支持棒部21c、21dの前端間及び後端間のそれぞれを左右向きの中間水平支持棒部21e、21fで結合されている。
【0042】
起立部22は前後向きの中間水平支持棒部21c、21dの前後端で且つ左右向きの中間水平支持棒部21c、21dの左右端である四隅個所から直状棒部材22a、22b、22c、22dを起立されており、前側の左右の直状棒部材22a、22bの上端同士、及び、後側の左右の直状棒部材22c、22dの上端同士は左右向き水平結合棒部22eで結合されており、また左側の前後の直状棒部材22a、22cの上寄り位置同士、及び、右側の前後の直状棒部材22b、22dの上寄り位置同士のそれぞれは前後向き水平結合棒部22fで結合されている。
【0043】
自立構造体20の基本的な骨組みは上記のとおりであるが、さらに補強用の棒部材を任意に設けることは差し支えない。
【0044】
起立部22の上部にはくわい種球wの多数を収容し発泡スチロール材などの軽量材で形成され上面を開放され方形となされたくわい種球容器23が水平状に固定されている。このくわい種球容器23の底面は最下左右向き水平棒部21a、21bから高さは凡そ65cm〜75cm程度となされ、くわい種球容器23の上端は最下左右向き水平棒部21a、21bから凡そ75cm〜90cm程度となされている。
【0045】
自立構造体22がくわい種球wを植え付けるべき隣接した2つの列、例えば図6中の列R1及び列R2間に位置されたときに、これら2つの列R1、R2上において自立構造体20の前端左右となる一対の前植付位置p1、p2と、自立構造体20の後端左右で一対の前植付位置p1、p2から列上種球間距離(凡そ27cm〜30cm程度)s1だけ後方f3となる一対の中間植付位置p3、p4と、これら一対の中間植付位置p3、p4から列上種球間距離s1だけ後方f3となる一対の後植付位置p5、p6とからなる6位置のそれぞれの真上位置を示す種球植付位置目印c1〜c6(図4)が中間水平支持棒部21c〜21dと約同一の高さ位置に形成されており、この目印c1〜c6のそれぞれは自立構造体22から水平方向へ張り出された支持棒部材24a〜24dを介して形成されている。
【0046】
この際、左側の種球植付位置目印c1、c3、c5(図6)と右側の種球植付位置目印c2、c4、c6との相互間距離は上記2つの列R1、R2の間隔s2に合致され、凡そ75cm〜84cm程度となされる。
【0047】
さらに詳細には次のようになされるのであって、即ち、種球植付位置目印c1、c2は自立構造体20の前端の左右向きの中間水平棒部21eを左右外方へ延長した支持棒部材24a、24bを介して中間水平棒部21eと一体状に形成されており、これら支持棒部材24a、24bのそれぞれの先端に種球植付位置目印c1、c2としての縦向き棒片が固着されている。また種球植付位置目印c3、c4は自立構造体20の後端の左右向きの中間水平棒部21fを左右外方へ延長しさらに90度後側へ屈曲した左右の鈎状支持棒部材24c、24dを介して形成されており、この際、屈曲した個所が種球植付位置目印c3、c4をなしている。また種球植付位置目印c5、c6は前記左右の鈎状支持棒部材24c、24dを介して種球植付位置目印c3、c4と兼用して形成されており、左右の鈎状支持棒部材24c、24dの先端に種球植付位置目印c5、c6としての縦向き棒片が固着されている。この際、左右の支持棒部材24c、24dは左右向きの中間水平棒部21fに支持されて左右向き中心線回りの上方へ90度回動されて仮想線位置d1に移動可能且つ位置保持可能となされている。
【0048】
またくわい種球wの植付を終了した2つの列、例えば列R1及び列R2(図6参照)の次に植え付けるべき2つの列R3、R4に植え付ける際の、前記2つの列R1、R2の中間点e1から自立構造体20までの距離を特定するための左右方向位置決め目印g1、g2は自立構造体20の左右各側から左右方向の張出状に設けられた左右方向位置決め棒部材25a、25bを介して形成されている。
【0049】
左右の左右方向位置決め棒部材25a、25bは対称状に形成されており、各左右方向位置決め棒部材25a、25bは左右向きとなされ前後方向位置を左右向きの中間水平棒部21fに合致され長さを列間距離s2の1.5倍となされている。これら左右各側の左右方向位置決め棒部材25a、25bはその対応する側の中間前後向き水平棒部21c、21dに前後向き部j1、j2回りの上方へ90度回動され仮想線位置h1に係止可能に装着されている。
【0050】
さらにくわい種球容器23の上方に把手部26aを有する提げ手26が設けられており、図示例では左右の前後向き結合棒部22fの中間点間に正面視門形の棒部材を固定状に架設したものとなされている。この提げ手26は種々に変形して差し支えない。
【0051】
次に上記したくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具の使用例及び作用について説明する。
代掻きした田面に図6に示すようにくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2を搬入する。この際、くわい種球容器23内には多数のくわい種球wを入れておく。またくわい種球wを植え付けるべき最初の列R1の近傍には列上種球間距離s1ごとに目印の付された田植綱を列R1に沿わせて位置決めする。
【0052】
そしてくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2(図5)をくわい種球wを植え付けるべき予定の隣接した最初の2つの列R1、R2間に位置させ、第1列R1上の種球植付位置を初期位置決め田植綱の目印を基準として特定し、その真上に種球植付位置目印c1、c3、c5を合致させ、自立構造体20を介して田面上に自立させる。
【0053】
次に左右の前植付位置p1、p2と、左右の中間植付位置p3、p4と左右の後植付位置p5、p6の6位置のそれぞれに、その対応する種球植付位置目印c1〜c6を基準として、既述のくわい種球用手持ち田植具T1を使用して1つのくわい種球wを植え付けるのであり、これにより第1列R1と第2列R2の6位置の種球植付位置p1〜p6への第一回目の植付が終了する。この際、種球植付位置目印c1〜c6は田面の水面の高さが適正であればこの水面より上方に位置し、作業者はその対応する種球植付位置p1〜p6を直ちに特定することができる。
【0054】
この第一回目の植付が終わったとき、作業者は一方の手にくわい種球用手持ち田植具T1を持ったまま、他方の手で提げ手26を持ち上げてくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2を列方向の前方f4へ移動させ、田植綱の目印を基準として第2回目の植付のための位置決めをし、先と同様に、自立構造体20を介して田面上に自立させ、同じ2つの列R1、R2上の次の6位置の種球植付位置p1〜p6を特定し植付を行う。
【0055】
以後は、上記第2回目の植付と同様な処理を繰り返すことで第1列R1と第2列R2への植付が終了する。この植付では、左右一対からなる左右方向位置決め棒部材25a、25bは前後向き部j1、j2回りの上方へ90度回し仮想線h1で示す位置に係止させておくのがよい。
【0056】
次に2つの列R1、R2の終端で矢印f5で示すように180度回行して、第3列R3と第4列R4の間に移動すると共に、ここでは左右一対からなる左右方向位置決め棒部材25a、25bを図示のように左右向きの水平姿勢となして、作業者の前進方向の右側の左右方向位置決め棒部材25bの目印g2を第1列R1と第2列R2との中間点に合致させ、且つ、その長さ途中を既に植え付けられた第2列R2上の対応するくわい種球wの真上に合致させるようにして、くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2を位置決めし、先と同様に、自立構造体20を介して田面上に自立させ、種球植付位置目印c1〜c6を基準として、これらの列R3、R4上の第一回目の種球植付位置p1〜p6への植付を行う。
【0057】
この植付が終わると、作業者は先と同様にくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2を列方向の前方f4へ移動させ、これらの列R3、R4上の次の6つの種球植付位置p1〜p6を種球植付目印c1〜c6を基準として特定し、これらの列R3、R4上の第2回目の種球植付位置p1〜p6への植付を行う。
【0058】
以後は、これらの列R3、R4上で上記第2回目の植付と同様な処理を繰り返すことによりこれら列R3、R4への植付が終了する。
【0059】
この後は、先の矢印f5に準じて180度回行して、第5列と第6列の間に移動するのであり、この際、作業者の進行方向の左側の左右方向位置決め棒部材25aを右側のそれ25bに準じて使用し、くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2の左右方向上の位置を決める。以後は、既述したところに準じてこれら第5列及び第6列への植付を行う。
このような植付作業を繰り返すことにより田面全体への植付が実行されるのである。
【0060】
上記した植付においては、提げ手26の把手部26aやくわい種球容器23が作業者の直立姿勢のまま手の届く位置となるため、作業者は植付作業中、殆ど腰を曲げる必要はなくなり、長時間の植付作業であっても、疲労少なく継続して的確且つ安定的に行えるようになる。
【0061】
なお、上記した左右方向位置決め棒部材25a、25bのそれぞれの長さを列間距離s2に合致させてもよいのであり、この場合はその先端の目印g1又はg2は既に植付の終わった最も近い列上に植えられたくわい種球wの真上に合致させるようにして、くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具T2の左右方向上の位置を特定するのである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るくわい種球用手持ち田植具を示す斜視図である。
【図2】前記くわい種球用手持ち田植具の種球保持部を示す斜視図である。
【図3】前記種球保持部の側面視断面図である。
【図4】本発明に係るくわい種球用可搬型容器付植付位置決め具を示す斜視図である。
【図5】前記くわい種球用手持ち田植具及び前記くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具の使用例を示す説明図である。
【図6】前記くわい種球用可搬型容器付植付位置決め具の使用例を示す説明図である。
【図7】くわい種球を植え付ける従来の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 柄部
3 種球保持部
5 操作ハンドル
7 押し部材
10 針部材
11 側周囲包囲部材
20 自立構造体
23 くわい種球容器
24a 支持棒部材
24b 支持棒部材
24c 支持棒部材
24d 支持棒部材
25a 左右方向位置決め棒部材
25b 左右方向位置決め棒部材
26b 把手部
b1 スリット部
p1 前植付位置
p2 前植付位置
p3 中間植付位置
p4 中間植付位置
p5 後植付位置
p6 後植付位置
c1 種球植付位置
c2 種球植付位置
c3 種球植付位置
c4 種球植付位置
c5 種球植付位置
c6 種球植付位置
s1 列上種球間距離
w くわい種球
w1 芽
w2 球部
【出願人】 【識別番号】505260947
【氏名又は名称】小野田 哲
【出願日】 平成17年7月8日(2005.7.8)
【代理人】 【識別番号】100065721
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 弘稔


【公開番号】 特開2007−14285(P2007−14285A)
【公開日】 平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願番号】 特願2005−200257(P2005−200257)