| 【発明の名称】 |
コーティング種子の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】横地 太郎
【氏名】星加 誠
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 種子を、水又はバインダーを噴霧しながらコーティング材を供給して被覆加工するコーティング種子の製造方法であって、下記の2つの条件を満たす気体を、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させる工程を有することを特徴とする方法。 <気体が満たす2つの条件> (1)温度25℃以下であること。 (2)乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であること。 【請求項2】 気体を種子に対して直接的に接触させる工程が、被覆加工中の種子温度が30℃以下に維持されるように、下記の2つの条件を満たす気体を種子コーティング装置のコーティング槽内に供給する工程であることを特徴とする請求項1記載の方法。 <気体が満たす2つの条件> (1)温度25℃以下であること。 (2)乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であること。 【請求項3】 気体の供給量が、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して1〜50NL/minの範囲内であることを特徴とする請求項2記載の方法。 【請求項4】 気体が冷却空気であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、コーティング種子の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 コーティング種子の製造方法において通常用いられる種子コーティング装置(例えば、特許文献1参照)では、大量の種子を被覆加工する際に、例えば、夏場の雰囲気温度の上昇によって、又は、被覆加工の途中である被覆造粒された種子の攪拌により発生する熱の蓄積によって、被覆加工中に種子の温度が上昇し、そのことが原因で被覆加工の完了後の被覆造粒された種子の発芽・生育が異常を来たすことがあった。そのため、特に温度に対して過敏な種子等に係るコーティング種子の製造方法においては、被覆加工中の種子の温度を上昇させることなく、低温に維持する必要がある。 当該課題を解決するための従来方法としては、例えば、(1)種子コーティング装置の周囲温度を低温に維持する方法、(2)種子コーティング装置のコーティング槽自体を冷却する方法等が知られている。 【0003】 【特許文献1】特開平6−90602号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上記の従来方法では、例えば前者の場合には、種子コーティング装置を温度調節の可能な場所に設置する必要があり、コストがかかる。また、種子の攪拌により発生する熱の蓄積は、種子コーティング装置のコーティング槽の内部に留まるために、種子コーティング装置の周囲温度の調節だけでは被覆加工中の種子の温度を充分低く抑えることは必ずしも容易なことではなかった。一方、例えば後者の場合には、種子の冷却が、種子コーティング装置のコーティング槽から種子への熱伝導のみによるため、冷却速度が小さく、被覆加工中の攪拌により発生する熱の冷却が追いつかない。また、種子コーティング装置のコーティング槽の内壁が内部の雰囲気温度に対して過冷却になるため、当該内壁に結露が発生してしまう。すると、被覆加工中の種子が当該内壁に付着したり、被覆造粒された種子の被覆層が過剰に湿って当該種子同士が団粒したり、といった新たな課題を生じていた。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者は、被覆加工中の種子の温度を上昇させることなく、低温に維持することが可能となる新たなコーティング種子の製造方法について種々検討を行った。その結果、本発明に至った。 【0006】 即ち、本発明は、 1.種子を、水又はバインダーを噴霧しながらコーティング材を供給して被覆加工するコーティング種子の製造方法であって、下記の2つの条件を満たす気体を、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させる工程を有することを特徴とする方法(以下、本発明製造方法と記すこともある。) <気体が満たす2つの条件> (1)温度25℃以下であること。 (2)乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であること。; 2.気体を種子に対して直接的に接触させる工程が、被覆加工中の種子温度が30℃以下に維持されるように、下記の2つの条件を満たす気体を種子コーティング装置のコーティング槽内に供給する工程であることを特徴とする前項1記載の方法 <気体が満たす2つの条件> (1)温度25℃以下であること。 (2)乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であること。; 3.気体の供給量が、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して1〜50NL/minの範囲内であることを特徴とする前項2記載の方法; 4.気体が冷却空気であることを特徴とする前項1又は2記載の方法; 等を提供するものである。 【発明の効果】 【0007】 本発明製造方法により、低コストでかつコーティング種子の製造収率低下を抑制したうえで、被覆加工中の種子の温度を上昇させることなく、低温に維持することが可能となる。そして、本発明製造方法による被覆加工の完了後の被覆造粒された種子においては、発芽・生育に係る何ら異常も生じることはなかった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明製造方法は、種子を、水又はバインダーを噴霧しながらコーティング材を供給して被覆加工するコーティング種子の製造方法であって、下記の2つの条件を満たす気体を、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させる工程を有する。 <気体が満たす2つの条件> (1)温度25℃以下であること。 (2)乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であること。 【0009】 本発明製造方法において使用される種子としては、特に何らの制限はないが、例えば、レタス、白菜、キャベツ、ブロッコリー、カブ、大根、人参、タマネギ、ネギ、中国菜、漬菜、野沢菜等の野菜種子や花卉種子等を挙げることができる。 種子を被覆加工する方法は、水又はバインダーを噴霧しながらコーティング材を供給することにより実施される通常のコーティング種子の製造方法(例えば、転動造粒法)等に従った方法であればよい。このような製造方法において一般的に使用されるコーティング装置としては、例えば、パングラニュレーター、遠心流動型造粒機、流動層造粒機等のコーティング装置を挙げることができる。この中でも、パングラニュレーター、遠心流動型造粒機等を好ましく挙げることができる。 【0010】 本発明製造方法において使用される気体としては、種子の発芽に悪影響を与えるものでない限り種類は特に限定されないが、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。最も簡便に利用できるものとしては、例えば、空気が挙げられる。より好ましくは、冷却空気を挙げることができる。因みに、冷却空気の場合には、(1)冷却空気が、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触するため、種子の冷却速度が大きいこと、(2)冷却空気が、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触する際に、被覆造粒の途中である種子から水が蒸発するため、当該種子から蒸発潜熱が奪われる。このことによって、投入されたエネルギーに対し、より効率良く大きな冷却効果が得られること、(3)種子コーティング装置の固定壁の内側(即ち、コーティング槽内)が結露することがないため、被覆加工自体に何らの悪影響も与えず、むしろ結露を防止し被覆加工し易くなること、等の効果が容易に得られる。 【0011】 本発明製造方法において使用される気体は、(1)温度25℃以下であること、(2)乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であること(即ち、重量基準の絶対湿度が0.02kg/kg(乾燥空気)以下であること)、の2つの条件を満たす。前記(1)の条件は、コーティング種子の冷却を主目的としているため、25℃以下であることが必要であり、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下である。一方、前記(2)の条件は、コーティング種子の表面からの蒸発潜熱による冷却を主目的としているため、乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下であることが必要があり、好ましくは0.01kg以下である。 【0012】 本発明製造方法において、前記気体を種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させるには、本発明製造方法により得られる効果を消失させないものである限り特に限定されないが、使用される種子コーティング装置の構造に応じた適切な方法を適宜採用すればよい。 具体的には例えば、種子コーティング装置としてパングラニュレーター等のような、コーティング装置の回転底部と固定壁との隙間のスリット部分等が存在しないタイプの装置を使用する場合には、前記気体を種子コーティング装置のコーティング槽内に供給するための管をコーティング槽内(の底部)に設置し、当該気体を種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させることができるように噴射する方法を採用すればよい。他には、種子コーティング装置の固定壁に微細な空気穴や網目を設け、そこから前記気体を種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させることができるように注入する方法を採用してもよい。 また種子コーティング装置として遠心流動型造粒機等のような、コーティング装置の回転底部と固定壁との隙間のスリット部分等が存在しているタイプの装置を使用する場合には、上記と同様の方法も可能であるがその他として、当該隙間のスリット部分等から気体を注入する方法を採用すればよい。 【0013】 このようにして前記気体を種子コーティング装置のコーティング槽内に供給する場合において、当該気体の供給量は、例えば、種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して1〜50NL/minの範囲内であることが好ましい。ここで「NL」とはノルマルリットルを意味し、20℃1気圧換算時の空気体積量を表す単位である。 【実施例】 【0014】 以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。 【0015】 実施例1 白菜種子2000gを遠心流動型造粒機(直径1000mm)に仕込み、バインダー(PVA0.5%水溶液)を噴霧しながら、コーティング材(クレー80部、ステアリン酸カルシウム20部)を供給しながら、直径が2.5〜3.5mmになるまで被覆加工した。被覆加工の際には、前記造粒機の回転底部と固定壁との隙間のスリット部分を通じて、15℃に冷却されかつ乾燥空気1kgに伴われる水蒸気の重量が0.02kg以下である空気(約0.01kg(水蒸気)/kg(乾燥空気)程度)を注入(種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して5〜20NL/minの範囲内に設定)することにより、当該気体を種子コーティング装置に仕込まれた種子又は被覆造粒の途中である種子に対して直接的に接触させながらコーティング槽内を通過させた。このとき、種子コーティング装置のコーティング槽内の雰囲気温度は40℃であったが、被覆造粒の途中である種子からの蒸発潜熱及び前記冷却空気の顕熱により、被覆造粒の途中である種子の温度は25℃に維持されていた。被覆加工完了後の被覆造粒された種子(即ち、コーティング種子)の製造収率は100%であった。次いで、得られた被覆造粒された種子(即ち、コーティング種子)をその含水率が5%以下になるまで回転ドラム乾燥機を用いて乾燥することにより、乾燥被覆造粒種子を得た。得られた乾燥被覆造粒種子を播種・育苗した結果、その発芽率は99%であり、また正常苗率は98%であった。つまり、本発明製造方法による被覆加工の完了後の被覆造粒された種子においては、発芽・生育に係る何ら異常も生じないことが確認された。 【0016】 比較例1 白菜種子2000gを遠心流動型造粒機(直径1000mm)に仕込み、バインダー(PVA0.5%水溶液) を噴霧しながら、コーティング材(クレー80部、ステアリン酸カルシウム20部)を供給しながら、直径が2.5〜3.5mmになるまで被覆加工した。被覆加工の際には、何ら冷却・絶対湿度制御等を行わなかった。このとき、種子コーティング装置のコーティング槽内の雰囲気温度は40℃であったが、被覆造粒の途中である種子の温度は38℃にまで達していた。被覆加工完了後の被覆造粒された種子(即ち、コーティング種子)の製造収率は100%であった。次いで、得られた被覆造粒された種子(即ち、コーティング種子)をその含水率が5%以下になるまで回転ドラム乾燥機を用いて乾燥することにより、乾燥被覆造粒種子を得た。得られた乾燥被覆造粒種子を播種・育苗した結果、その発芽率は85%であり、また正常苗率は60%という低い数値であった。つまり、本発明製造方法による被覆加工の完了後の被覆造粒された種子においては、被覆加工中に受けた高温ストレスにより種子が劣化するため、発芽・生育に係る異常が生じたことが確認された。 【0017】 比較例2 白菜種子2000gを遠心流動型造粒機(直径1000mm)に仕込み、バインダー(PVA0.5%水溶液) を噴霧しながら、コーティング材(クレー80部、ステアリン酸カルシウム20部)を供給しながら、直径が2.5〜3.5mmになるまで被覆加工した。被覆加工の際には、前記造粒機の外壁に5℃の冷却管を設置し、被覆造粒の途中である種子を種子コーティング装置のコーティング槽から種子への熱伝導のみにより冷却した。このとき、種子コーティング装置のコーティング槽内の雰囲気温度は40℃であったが、被覆造粒の途中である種子の温度は31℃に維持されていた。しかしながら、種子コーティング装置のコーティング槽の内壁が内部の雰囲気温度に対して過冷却になるため、当該内壁に結露が発生しており、被覆加工中の種子が当該内壁に付着したり、被覆造粒された種子の被覆層が過剰に湿って当該種子同士が団粒したため、被覆加工完了後の被覆造粒された種子(即ち、コーティング種子)の製造収率は80%であった。次いで、得られた被覆造粒された種子(即ち、コーティング種子)をその含水率が5%以下になるまで回転ドラム乾燥機を用いて乾燥することにより、乾燥被覆造粒種子を得た。得られた乾燥被覆造粒種子を播種・育苗した結果、その発芽率は95%であり、また正常苗率は82%であった。つまり、本発明製造方法による被覆加工の完了後の被覆造粒された種子においては、被覆加工中に受けた高温ストレスにより種子が劣化するため、発芽・生育に係る異常が生じたことが確認された。 【産業上の利用可能性】 【0018】 本発明製造方法により、低コストでかつコーティング種子の製造収率低下を抑制したうえで、被覆加工中の種子の温度を上昇させることなく、低温に維持することが可能となる。そして、本発明製造方法による被覆加工の完了後の被覆造粒された種子においては、発芽・生育に係る何ら異常も生じることはなかった。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】596005964 【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
|
| 【出願日】 |
平成17年7月6日(2005.7.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093285 【弁理士】 【氏名又は名称】久保山 隆
【識別番号】100113000 【弁理士】 【氏名又は名称】中山 亨
【識別番号】100119471 【弁理士】 【氏名又は名称】榎本 雅之
|
| 【公開番号】 |
特開2007−14234(P2007−14234A) |
| 【公開日】 |
平成19年1月25日(2007.1.25) |
| 【出願番号】 |
特願2005−197089(P2005−197089) |
|