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【発明の名称】 畦シート敷設機
【発明者】 【氏名】増田 利左衛門

【要約】 【課題】畦シートを短時間で容易に敷設できる畦シート敷設機を提供する。

【解決手段】畦シートSを畦の側面に敷設する畦シート敷設機1において、畦の側面下端に沿って溝を形成する溝切り板11と、溝切り板11の上方に配置され、畦シートロールRを回転自在に支持するロール支持部材153と、このロール支持部材153に支持された畦シートロールRから巻き出された畦シートSの方向を転換し、溝の形成方向と同方向に差し向けるガイド手段12と、溝切り板11の一方の側壁を形成し、ガイド手段12によって方向転換された畦シートロールRを溝の一方の側壁に沿って案内する第一の側壁110aと、溝切り板11の他方の側壁110bを形成し、その一部を切り欠いて、ガイド手段12よりも後方に位置する切り欠き縁部114が、ガイド手段12と実質的に平行かつ第一の側壁110aよりも前方に位置する第二の側壁110bとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の畦シートを巻き出しながら畦の側面に敷設する畦シート敷設機において、
前記畦の側面下端に沿って溝を形成する溝切り板と、
前記溝切り板の上方に配置され、畦シートロールを回転自在に支持するロール支持部材と、
このロール支持部材に支持された前記畦シートロールから巻き出された畦シートの方向を転換し、前記溝の形成方向と同方向に差し向けるガイド手段と、
前記溝切り板の一方の側壁を形成し、前記ガイド手段によって方向転換された前記畦シートロールを前記溝の一方の側壁に沿って案内する第一の側壁と、
前記溝切り板の他方の側壁を形成し、その一部を切り欠いて、前記ガイド手段よりも後方に位置する切り欠き縁部が、前記ガイド手段と実質的に平行かつ前記第一の側壁よりも前方に位置する第二の側壁と、
を有することを特徴とする畦シート敷設機。
【請求項2】
前記他方の側板に、溝形成時の掘り上げた土を前記溝側に押して前記畦シートを覆土するための覆土手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の畦シート敷設機。
【請求項3】
前記覆土手段が、回転自在な円板体を有していることを特徴とする請求項2に記載の畦シート敷設機。
【請求項4】
前記一方の側板と前記他方の側板とを接合する接合部分がエッジ状の溝切部として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の畦シート敷設機。
【請求項5】
前記溝切り板又は前記溝切り板の前方に、藁や草根を切断する切断手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の畦シート敷設機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は圃場に設けられた畦の側面に漏水防止用の畦シートを敷設するための畦シート敷設機に関するもので、特に、自動一輪車に取り付けて畦シートの敷設作業を容易に行うことのできる畦シート敷設機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の畦の側面に漏水防止用の畦シートを敷設する際には、畦の下端に沿って溝を形成し、この溝に畦シートの一部を差し込んで前記溝とともに畦シートを覆土している。
しかし、圃場の周囲に形成された畦に沿って手作業で溝を形成し、さらにこの溝に畦シートを敷設して覆土する作業は重労働であるうえ、畦の長さに比例して長時間労働になり、農作業従事者に極めて大きさ作業負担を強いている。このような問題は、高齢化が進む農村では特に深刻化しており、かつ、米価格の自由化にともない、コスト削減の上においても大きな課題となっている。
そのため、従来より、畦シートを簡単に畦側面に敷設することのできる畦シート敷設装置が種々提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開2000−41407号公報
【特許文献2】特開2000−287503号公報
【特許文献3】特開平11−275906号公報
【特許文献4】特開平11−275905号公報
【特許文献5】特開平8−154411号公報
【0003】
しかし、これら文献に記載の装置は、構成が複雑で価格も高く、零細な経営が多い地方の農家では容易に購入することができないという問題がある。
特許文献6に記載の畦シート敷設機は、構成もシンプルで汎用の自動一輪車に取り付けて利用することができるという点で有利であるが、例えば覆土板が必要となるなど未だ改良の余地がある。
【特許文献6】実公昭55−25203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、特許文献6に記載の畦シート敷設機を基本としつつ、構成をさらに簡単にして軽量化と低価格化を実現することができ、かつ、畦シートを確実かつ短時間で容易に畦側面に沿って敷設することのできる畦シート敷設機の改良を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の発明者が鋭意研究を行った結果、溝切りを行う溝切り板の合対向する二つの側板のうち、他方に所定形状の切欠きを形成することで、溝切りの際に押しのけられた掘り上げた土が前記切欠きを形成した部分で自然に溝切り板の内部に流れ込み、一方の側板と掘り上げた土とで安定的に畦シートを挟み込んだ状態で溝に畦シートを受け渡し、敷設することができることに想到した。
【0006】
具体的には、請求項1に記載するように、ロール状の畦シートを巻き出しながら畦の側面に敷設する畦シート敷設機において、前記畦の側面下端に沿って溝を形成する溝切り板と、前記溝切り板の上方に配置され、畦シートロールを回転自在に支持するロール支持部材と、このロール支持部材に支持された前記畦シートロールから巻き出された畦シートの方向を転換し、前記溝の形成方向と同方向に差し向けるガイド手段と、前記溝切り板の一方の側壁を形成し、前記ガイド手段によって方向転換された前記畦シートロールを前記溝の一方の側面に沿って案内する第一の側壁と、前記溝切り板の他方の側壁を形成し、その一部を切り欠いて、前記ガイド手段よりも後方に位置する切り欠き縁部が、前記ガイド手段と実質的に平行かつ前記第一の側壁よりも前方に位置する第二の側壁とを有する構成としてある。
【0007】
もちろん、本発明においても、請求項2に記載するように、前記他方の側板に、溝形成時の掘り上げた土を前記溝側に押して前記畦シートを覆土するための覆土手段を設けてもよい。
この場合、請求項3に記載するように、前記覆土手段が、回転自在な円板体を有している構成としてもよい。
また、請求項4に記載するように、前記一方の側板と前記他方の側板とを接合する接合部分をエッジ状の溝切部として形成してもよい。若しくは、請求項5に記載するように、前記溝切り板又は前記溝切り板の前方に、藁や草根を切断する切断手段を設けてもよい。
このようにすることで、藁や草根の絡み付きを防止し、長時間にわたって溝切り及び畦シートの敷設作業を軽快に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掘り上げた土を畦シート側に強制的に押しやって覆土を行う覆土板が不要になり、装置全体の構成をさらに簡素化することができるばかりでなく、切欠きを形成することで材料を削減することができ、装置の軽量化とコストの削減を図ることができる。
本発明の畦シート敷設機は、構成が簡単かつ軽量であるので、農用に広く使用されている自動一輪車に取り付けて溝切りと畦シートの敷設作業を簡単かつ短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図4は本発明の一実施形態にかかる畦シート敷設機の構成を説明する図で、図1は、その斜視図、図2は、その左右の側面図、図3は、その正面図及び背面図、図4はその平面図及び底面図である。
図示するように、畦シート敷設機1は、畦に溝を切り入れる平面視して略三角形状の溝切り板11と、畦シートを巻回した畦シートロールRを回転自在に支持するロール支持軸13と、ロール支持軸13と溝切り板11とを連結する連結部材15と、畦シートロールRから巻き出された畦シートSの方向を、溝切り板11によって形成された溝と同方向に差しむけるガイド手段としてのガイドバー12とを有している。
【0010】
連結部材15とロール支持軸13とは、容易に変形しないように鋼製のパイプで形成されている。ロール支持軸13の先端には、畦シートロールRが脱落しないように円板状のストッパ14が嵌め込まれ、ロール支持軸13の先端に着脱自在に取り付けられる止めピン141によって、ストッパ14がロール支持軸13から脱落しないようになっている。
【0011】
ロール支持軸13と溝切り板11とは、畦シートロールRを的確に溝内に挿入して敷設することができるように、好適な角度関係に設定するのが好ましい。そのため、連結部材15の下端に取付部152を設けて、この取付部152に溝切り板11の前端部分を溶接,リベット又はボルトで取り付けるようにしている。この取付部152には、自動一輪車のフレームに畦シート敷設機1を取り付けるためのボルトが挿通する貫通孔152aが形成されている。
なお、溝切り板11は取付部152のみで取り付けられるようにしてもよいが、溝切り板11の変形を防止するために、この実施形態では、連結部材15の途中部位と溝切り板11の中ほどの位置との間に架け渡された支持部材153によって、補強が施されている。
【0012】
溝切り板11は、鋼板やアルミ板,ステンレス板等の金属板から形成される。 一枚の金属板に絞り加工を施して溝切り板11を形成してもよいし、複数の金属板を溶接,リベット締め又はボルト締めして貼り合わせ、溝切り板11を形成してもよい。
溝切り板11は、畦シート敷設機1の進行方向(畦シートの敷設方向)である矢印Xに対して、ほぼ平行に設けられた第一の側壁110aと、この第一の側壁110aに対して若干扇状に傾斜するように設けられた第二の側壁110bとを有している。
第一の側壁110aと第二の側壁110bとが接する斜辺部分は、圃場に溝を切り込むためのエッジ部111として形成されている。このエッジ部111は、藁や草根等を切断し、これらの絡み付きによる溝切り時の抵抗を低減するために、可能な限り切刃状に形成するのが好ましい。エッジ部111の切り込みと溝切り板11の矢印X方向の前進動作とによって、泥土が第二の側壁110bに沿って押しのけられ、圃場に溝が形成される。
【0013】
ガイドバー12は、二つの側壁110a,110bの間の空間に斜め上方から挿入され、その先端が二つの側壁110a,110bの底部112に固定される。ロール支持軸13に支持された畦シートロールRから巻き出された畦シートSは、このガイドバー12によって上下方向から進行方向Xと同方向の前後方向に転換され、溝切り板11の後方から、溝切り板11によって形成された溝内に繰り出される。
【0014】
溝切り板11を構成する二つの側壁のうち、第一の側壁110aの後端縁113は、ガイドバー12によって方向転換された畦シートSの波打ちを防止しつつ平坦状に均しながら溝に受け渡すべく、ガイドバー12よりも後方に位置している。一方、第二の側壁110bは、ガイドバー12によって方向転換された畦シートSをただちに覆土すべく、後方の一部を切り欠いている。好ましくは、後端縁114がガイドバー12とほぼ同じ角度で傾斜し、かつ、ガイドバー12よりも若干後方に位置するように、後方の一部を切り欠くのがよい。このようにすることで、溝形成によって掘り上げられた泥土が、方向転換直後の畦シートSの上に自然に崩れ落ち、畦シートSを第一の側壁110aに押し付ける。そして、第一の側壁110aと切り欠きとの相乗効果によって、波打ちが効果的に抑制され、溝側壁に沿った良好な状態で畦シートSが敷設される。
【0015】
ガイドバー12は、一端が溝切り板11の底部112に固定され、他端が連結部材15の途中部位に設けられたブラケット151に、ボルトや溶接等によって固定される。このガイドバー12の傾斜角度は、畦シートのロールRから巻き出した畦シートSを的確に方向転換できるものに決定される。
畦シートSとガイドバー12との摩擦抵抗を可能な限り小さくするために、ガイドバー12は畦シートSとの摩擦係数が小さいものを選択するとよい。あるいは、ガイドバー12の両端を軸受で支持させる等して回転自在にしてもよい。また、図示の例のように、ガイドバー12に回転自在な案内筒121を取り付け、この案内筒121の回転によって畦シートSが繰り出されるようにしてもよい。
【0016】
次に、上記構成の畦シート敷設機1の作用を、図5及び図6を参照しながら説明する。
この実施形態では、畦シート敷設機1は、フレーム21に車輪23とエンジン20とが取り付けられ、エンジン20の駆動力をドライブシャフト25を介して車輪23に伝達する市販の自動一輪車2に取り付けられて用いられる。
【0017】
フレーム21には、下方に突出する取付バー24が設けられ、この取付バー24の先端に設けられたブラケット24aに、取付部152を介して畦シート敷設機1がボルトで取り付けられる。
作業者は、エンジン20を始動させ、ハンドル22を持って圃場の畦に沿って自動一輪車2を前進させる。
【0018】
図6は、畦に沿って畦シートSが敷設される様子を示す図である。(a)〜(c)の各図において、上段には敷設の状態を示す断面図を示し下段には、上段のI方向から見た平面図を示す。なお、この図においても畦シートSの敷設方向、つまり、畦シート敷設機1の進行方向を矢印Xで示すものとする。
(a)に示すように、溝切り板11を畦下の圃場に切り込ませ、自動一輪車2とともに矢印Xの方向に前進させることで、溝切り板11を構成する第二の側壁110bによって泥土が堀り上げられ(堀り上げられた泥土を符号Tで示す)、溝が形成される。
【0019】
これと同時に、ガイドバー12によって前後方向に方向転換された畦シートSが溝内に供給されはじめる。
(b)に示すように、掘り上げられた泥土Tが第二の側壁110bの後端縁114に達すると、泥土Tがその自重によって溝切り板11の内側に向かって崩れる。これにより、畦シートSが覆土される(畦シートSを覆土したときの泥土を符号T′で示す)と同時に、畦シートSを溝切り板11を構成する第一の側壁110aに押し付ける。
そのため、第一の側壁110aと泥土T′とにより、波打ちが効果的に抑制され、溝側壁に沿った平らな状態で畦シートSが溝内に受け渡される。
(c)に示すように、本発明の畦シート敷設機1を用いた畦シートSの敷設は、簡単,迅速で作業者の労力負担もきわめて小さくてすみ、かつ、敷設仕上がりも良好である。
【0020】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、第二の側壁110bには、図7(a)に示すような覆土板31(覆土手段)を取り付けてもよい。また、このような板状の覆土板の代わりに、図7(b)に示すような回転自在な円板体32を覆土手段として設けてもよい。
さらに、溝切り板111の前方に、藁や草根を切断し、これらの絡み付きを防止するための別体のカッターを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、畦シートを敷設する必要のある圃場であれば、水田に限らず畑その他の農地用にも広く適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかる畦シート敷設機の構成を説明する図で、その斜視図である。
【図2】図1の畦シート敷設機の左右の側面図である。
【図3】図1の畦シート敷設機の正面図及び背面図である。
【図4】図1の畦シート敷設機の平面図及び底面図である。
【図5】畦シート敷設機の作用を説明する図で、自動一輪車に畦シート敷設機を取り付けた一例を示す側面図である。
【図6】本発明の畦シート敷設機による畦シートの敷設手順を説明する図である。
【図7】覆土板を溝切り板に取り付けた一例を示す溝切り板の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 畔シート敷設機
11 溝切り板
110a 第一の側壁
110b 第二の側壁
111 エッジ部
112 底部
113 後端縁
114 後端縁
12 ガイドバー
121 案内筒
13 ロール支持軸
14 ストッパ
141 止めピン
15 連結部材
151 ブラケット
152 取付部
152a 貫通孔
153 支持部材
R 畔シートロール
S 畔シート
【出願人】 【識別番号】506079353
【氏名又は名称】増田 利左衛門
【出願日】 平成18年3月7日(2006.3.7)
【代理人】 【識別番号】100110814
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 敏郎


【公開番号】 特開2007−236252(P2007−236252A)
【公開日】 平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願番号】 特願2006−61695(P2006−61695)