トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 農作業機
【発明者】 【氏名】宝蔵 伸行

【要約】 【課題】圃場での作業をあらゆる作業形態で対応可能な農作業機を提供する。

【解決手段】農作業機の一例である溝掘機1は、走行機体90の後部に装着される装着部10と、これに取り付けられて左右方向に移動可能な平行リンク機構をなすオフセット機構部20と、この後端側に取り付けられて所定方向に維持されて溝掘作業を行う作業部40を有する。作業部40はオフセット機構部の後端部に回動可能に取り付けられ、走行機体90の前進走行並びに後進走行に伴って進行して、左側オフセット作業位置から右側オフセット作業位置までの任意の位置において前進作業並びに後進作業を行う。作業部40は、溝掘り体を有し、これは螺旋刃体を備えた回転軸と、この上部に取り付けられた跳ね出し板を有する。跳ね出し板はカバー部43によって覆われ、カバー部43には土壌の排出方向を変更可能にする排出方向変更機構が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に配設された装着機構に装着されて該走行機体からの動力を入力する入力軸を備えた装着部と、該装着部から左右方向に移動可能
なオフセット機構部と、該オフセット機構部の移動端側に設けられて所定方向に維持されて前記入力軸から伝達される動力によって作業を行う作業部とを有し、
前記作業部は、前記走行機体の前進走行並びに後進走行に伴って進行して、左右方向一方側のオフセット作業位置から他方側のオフセット作業位置までの任意の位置において前進作業並びに後進作業を行うことができることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記作業部は、前記オフセット機構部の移動端側に回動支点を設けて該回動支点を回動中心として回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記作業部は、溝掘り体によって下方から上方へ向けて掘削した土壌を排出しながら進行して溝を形成する溝掘り作業部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記溝掘り体は、上下方向に延びて回転自在に支持された回転軸と、該回転軸の下部から上方に向けて設けられた螺旋刃体と、該螺旋刃体より上方の回転軸に設けられた跳ね出し板と、該跳ね出し板を覆うように配設されたカバー部とを有し、
前記カバー部は、前記跳ね出し板によって跳ね飛ばされる土壌を所定の方向に排出するための排出方向変更機構を備えることを特徴とする請求項3に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の側方のオフセットした位置で走行機体の走行とともに進行して直進作業が可能な農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような農作業機には、作業部をオフセット作業位置に移動させて走行機体の走行にともなって進行して圃場に溝を連続的に形成する溝掘機が知られている。このような溝掘機は、走行機体の進行方向に沿って直進作業を行うものであるが、走行機体の先端部が圃場の端に到達した時点でその後の溝掘り作業を行うことができなくなる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているように、作業部の位置を走行機体の左右方向一方側から他方側に移動させて作業部の姿勢を反転し、走行機体を後進させながら作業部によって未作業部分に溝を形成して、未作業部分が残らないようにした溝掘機が提案されている。
【0004】
この溝掘機80は、図8(a)(背面図)に示すように、走行機体90の後部に装着されて左右方向に延びる固定機枠81を備え、固定機枠81に設けられた回動支点S(文献では縦軸心)を回動中心として左右方向に移動可能なオフセットアーム82(文献では可動機枠)と、オフセットアーム82の移動端側に取り付けられて走行機体90から伝達される動力によって溝掘作業を行う作業部83(文献では溝掘部)とを有してなる。
【0005】
オフセットアーム82は、回動支点Sを回動中心として左右方向両側に約90°の角度を有して移動可能であり、回動支点Sから右側に約90°回動すると作業部83が右側オフセット作業位置Prに移動し、回動支点Sから左側に約90°回動すると、図8(b)(背面図)に示すように、作業部83が左側オフセット作業位置PLに移動する。このため、作業部83が右側オフセット作業位置から左側オフセット作業位置に移動すると、作業部83は反転した状態になって、走行機体90を後進させながら作業部83によって溝掘作業を行うことができる。
【0006】
【特許文献1】実公平5−87201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来の溝掘機は、作業部が左側オフセット作業位置並びに右側オフセット作業位置に移動した状態でオフセットアーム及び固定機枠に固定ピンを挿通してオフセットアームを固定機枠に固定することができるように構成されている。このため、左側オフセット作業位置と右側オフセット作業位置との間の任意の位置に作業部を移動させた状態でオフセットアームを固定機枠に固定することができない。このため、従来の溝掘機は、走行機体との相対位置が限られ、作業者によっては左側オフセット作業位置と右側オフセット作業位置の中間の位置で作業がやり易くても所望の位置で溝を形成することができないという課題を有している。
【0008】
本発明は、圃場での作業をあらゆる作業形態で対応可能な農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の農作業機(例えば、実施形態における溝掘機1)は、走行機体の後部に配設された装着機構(例えば、実施形態における三点リンク連結機構92)に装着されて該走行機体からの動力を入力する入力軸を備えた装着部と、該装着部から左右方向に移動可能なオフセット機構部と、該オフセット機構部の移動端側に設けられて所定方向に維持されて入力軸から伝達される動力によって作業を行う作業部とを有し、作業部は、走行機体の前進走行並びに後進走行に伴って進行して、左右方向一方側のオフセット作業位置から他方側のオフセット作業位置までの任意の位置において前進作業並びに後進作業を行うことができることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、作業部は、左右方向一方側のオフセット作業位置から他方側のオフセット作業位置までの任意の位置において前進作業並びに後進作業を行うことができ、作業部を走行機体の進行方向に対して左右方向一方側のオフセット作業位置に移動させて走行機体が前進走行すると、作業部は圃場内で前進作業を行う。また走行機体の先端部が圃場の端に到達して残った未作業部分は、作業部を走行機体の進行方向に対して左右方向他方側のオフセット作業位置に移動させて、走行機体を反対方向から前進走行すると、前進作業で未作業部分の作業が行え、既作業部分に繋げることができる。また既作業部分を跨いで作業が可能な場合は、作業部を左右方向一方側と他方側との間の中間作業位置に移動させて、走行機体を反対方向から前進走行すると、前進作業で未作業部分の作業が行え、既作業部分に繋げることができる。また、任意のオフセット作業位置において、作業部を後進作業が行える状態にすれば、走行機体を同一方向から後進走行させると前記未作業部分を圃場の端まで作業することができる。このように、本発明の農作業機は、圃場での作業をあらゆる作業形態で対応することができる。
【0011】
また本発明の作業部は、オフセット機構部の移動端側に回動支点を設けて該回動支点を回動中心として回動可能であることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、作業部をオフセット機構部の移動端側に設けた回動支点を回動中心として回動可能にすることにより、オフセット機構部の位置に拘わらずに作業部を回動させて反転した姿勢にすることができる。このため、作業者が望む作業形態に容易に変更することができ、作業性を向上することができる。
【0013】
本発明の作業部は、溝掘り体によって下方から上方へ向けて掘削した土壌を排出しながら進行して溝を形成する溝掘り作業部であることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、作業部は溝掘り作業部であることにより、作業部は、左右方向一方側のオフセット作業位置から他方側のオフセット作業位置までの任意の位置において前進作業並びに後進作業を行うことができ、作業部を走行機体の進行方向に対して左右方向一方側のオフセット作業位置に移動させて走行機体が前進走行すると、作業部は圃場内で前進溝掘作業を行う。また走行機体の先端部が圃場の端に到達して残った未作業部分は、作業部を走行機体の進行方向に対して左右方向他方側のオフセット作業位置に移動させて、走行機体を反対方向から前進走行すると、前進作業で未作業部分の溝掘作業が行え、既作業部分に繋げることができる。また既作業部分を跨いで作業が可能な場合は、作業部を左右方向一方側と他方側との間の中間作業位置に移動させて、走行機体を反対方向から前進走行すると、前進作業で未作業部分の溝掘作業が行え、既作業部分に繋げることができる。また、任意のオフセット作業位置において、作業部を後進作業が行える状態にすれば、走行機体を同一方向から後進走行させると前記未作業部分を圃場の端まで溝掘作業することができる。このように、本発明の農作業機は、圃場での溝掘作業をあらゆる作業形態で対応することができる。
【0015】
また本発明の溝掘り体は、上下方向に延びて回転自在に支持された回転軸と、該回転軸の下部から上方に向けて設けられた螺旋刃体と、該螺旋刃体より上方の回転軸に設けられた跳ね出し板と、該跳ね出し板を覆うように配設されたカバー部とを有し、該カバー部は、跳ね出し板によって跳ね飛ばされる土壌を所定の方向に排出するための排出方向変更機構を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、溝掘り体は回転軸と螺旋刃体と跳ね出し板とカバー部と排出方向変更機構を備えることにより、溝掘り体によって掘削された土壌を所望の方向に排出して、土を所望の側に寄せたり、飛散させたりすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係わる農作業機によれば、作業部は、走行機体の前進走行並びに後進走行に伴って進行して、左右方向一方側のオフセット作業位置から他方側のオフセット作業位置までの任意の位置において前進作業並びに後進作業を行うことができ、圃場での作業をあらゆる作業形態で対応可能な農作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係わる農作業機の好ましい実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。本実施の形態は、走行機体の前進走行並びに後進走行にともなって圃場に溝を形成する溝掘機を例にして説明する。なお、説明の都合上、図1(平面図)に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として、以下説明する。
【0019】
先ず、溝掘機が装着される走行機体について説明する。走行機体90は、図1に示すように、車体の前側及び後側に左右一対の前輪及び後輪91を配設したいわゆるトラクタであり、走行機体90の後部には三点リンク連結機構92が設けられている。
【0020】
三点リンク連結機構92は、走行機体90の機体幅方向に所定間隔を有して配設されて後方側に延びて上下方向に回動自在に取り付けられた一対のロアリンク92aと、これらロアリンク92a間の上方位置に配置されて後方側に延びて上下方向に回動自在に取り付けられたトップリンク92bと、ロアリンク92aを上下方向に揺動させる図示省略の昇降装置とを有し、ロアリンク92aの上下揺動によって、溝掘機1は上下方向に移動可能である。
【0021】
溝掘機1は、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構92に連結されて、走行機体90からの動力が入力される入力軸12aを備えた装着部10と、装着部10に取り付けられて走行機体90の左右方向に移動可能なオフセット機構部20と、オフセット機構部20の移動端側(後端側)に水平方向に回動自在に配設されて入力軸12aから伝達される動力によって走行機体90の左右両側あるいは所望の位置で溝掘り作業を行なう作業部40を有してなる。
【0022】
装着部10は、左右方向に延びるヒッチフレーム11と、ヒッチフレーム11の前側に取り付けられて走行機体90に設けられた三点リンク連結機構92に連結可能な図示省略の連結フレームを有してなる。
【0023】
ヒッチフレーム11の左右方向の中央部にはギアボックス12が設けられ、このギアボックス12は前述した入力軸12aを備え、入力軸12aは、走行機体90のPTO軸(図示せず)から伝動軸(図示せず)を介して動力が伝達されるようになっている。
【0024】
オフセット機構部20は、ヒッチフレーム11の中央部に前端側をリンク支点として回動自在に連結されて後方側へ延びるオフセットアーム21と、オフセットアーム21の左側に沿って並設されて前端側がヒッチフレーム11の左側端部に回動自在に連結されて後端側がオフセットアーム21の後端部を回動自在に取り付けたリヤアーム24に連結されたリンク部材22とを有し、ヒッチフレーム11、オフセットアーム21、リヤアーム24及びリンク部材22によって平行リンク機構を構成している。
【0025】
オフセットアーム21とリンク部材22との間には、オフセット機構部20の移動を規制して作業部40を右側オフセット作業位置から左側オフセット作業位置までの任意の位置に維持する移動規制装置30が位置調整可能に取り付けられている。
【0026】
オフセットアーム21の後端部を回動自在に連結するリヤアーム24には、下方へ延びる支持軸25が取り付けられ、この支持軸25の下側に作業部40が回動可能に支持されている。つまり、作業部40は支持軸25の中心軸線を回動中心として回動可能に支持されている。
【0027】
作業部40は、図2(a)(平面図)、図2(b)(背面図)、図2(c)(平面図)に示すように、支持軸25の下端部に設けられたフランジ部41に回動自在に取り付けられた溝掘り体60を有する。溝掘り体60は上下方向に延びる回転軸61を備え、回転軸61の下部から上方に向けて螺旋刃体62が取り付けられている。回転軸61は前述した入力軸12aに伝達された動力を受けて回転するように構成されている。回転軸61は螺旋刃体62が下部から上方へ移動するように、矢印A方向に回転する。なお、回転軸61は、作業時において略垂直方向に向いた姿勢になる。
【0028】
回転軸61の上部には上下方向に延びる跳ね出し板63が複数取り付けられ、この跳ね出し板63を覆うようにしてフランジ部41にカバー部43が取り付けられている。カバー部43は、跳ね出し板63の上方に天板44を備え、この天板44上に所定間隔を有して対向して配設された一対の矩形状の側天板45と、これらの側天板45に取り付けられて跳ね出し板63の一方側(図面では右側)を覆う円弧状の右側板46を有してなる。天板44はフランジ部41に固定されている。
【0029】
このため、カバー部43の左側には、跳ね出し板63によって放てきされる土壌の排出口47が形成されている。このように、天板44、側天板45及び右側板46によって、土壌の排出方向を所定方向にする排出方向変更機構50が構成されている。なお、右側板46は、ボルト・ナット等の図示省略の締結手段によって一対の側天板45に取り付けられており、この締結手段による締結を解除することで右側板46を取り外すことができる。この取り外された右側板46は、締結手段によって排出口47を覆った状態で天板44の左側に締結されて左側板として機能して、カバー部43の右側に排出口を形成することができる。
【0030】
回転軸61の後方であってカバー部43の下方位置には、形成される溝の側面及び底面を整形する板状の溝形成部70が設けられ、カバー部43の後部には、斜め後方へ延びて溝の上縁部に土盛りを行う排土板71が取り付けられている。
【0031】
天板44の上部であって支持軸25を中央にしたその両側には、略水平方向に延びて直線状に配置された一対の固定部材33,34が取り付けられている。固定部材33,34の先端部には上下方向に貫通して係止ピン35を挿通可能な貫通孔が設けられている。固定部材33,34は、リヤアーム24の端部から後方側へ延びる係止部材26の先端部に設けられた係止孔と固定部材33,34のいずれかの貫通孔に係止ピン35を挿通することによって、係止部材26に固定される。このため、一方の固定部材33を係止部材26に固定すると(図2(a)の状態)、排土板71が走行機体後方側へ延びて、作業部40は走行機体の前進走行による前進作業が可能となり、他方の固定部材34を係止部材26に固定すると(図2(c)の状態)、排土板71が走行機体前方側へ延びて、作業部40は走行機体の後進走行による後進作業が可能となる。
【0032】
次に、本発明の溝掘機1によって圃場に溝を形成する場合の溝掘機1の動作について説明する。先ず、矩形状の圃場の左右方向右側の一辺に沿って溝を形成する場合について説明する。図3(a)(平面図)及び図4(a)(平面図)に示すように、先ず、走行機体90の後部に溝掘機1を装着し、溝を形成する場所に走行機体90を設置し、一方の固定部材33を係止部材26に固定して前進作業が可能な状態にする。そして、オフセット機構部20を移動させて作業部40を右側オフセット作業位置Prに移動し、移動規制装置30によってオフセット機構部20の移動を規制する。そして、形成される溝Mが所定深さになるまで溝掘機1が自重で下方に移動できるようにするため、三点リンク連結機構のロアリンクの下限揺動位置を設定する。
【0033】
そして、図4(a)の(a)に示すように走行機体90を前進走行させるとともに、走行機体90からの動力を溝掘機1の入力軸12aに伝達する。溝掘機1に動力が伝達されると、図2(a)及び図2(b)に示すように、回転軸61が回転して螺旋刃体62の回転によって圃場Fの土壌が下方から上方に持ち上げられて移動して、跳ね出し板63によって土壌が排出口47から走行機体90の進行方向左側に排出される。これと同時に、溝形成部70によって圃場Fに形成された溝Mの左右両側面及び底面が整形される。また回転軸61は、溝掘機1の自重によって圃場Fの内部に入り込む。このため、溝掘機1の進行に伴って溝Mの深さは徐々に深くなり、所定深さになると、三点リンク連結機構によって溝掘機1の下方への移動が規制されて、溝掘機1は所定深さの溝を連続的に形成する。
【0034】
そして、図4(a)に示すように、走行機体90の先端部が圃場Fの端に到達すると、圃場Fの隅部Fcの一辺に沿った領域に走行機体90の長さ分と略等しい長さの未作業部分Wが残る。そこで、この未作業部分Wに溝を形成するため、図4(b)(平面図)に示すように、作業部40を右側オフセット作業位置Prから左側オフセット作業位置PLに移動し、図2(a)に示す右側板46を天板44の左側に付け替えて左側板とし、作業部40が未作業部分Wにおける圃場Fの端に位置するように走行機体90を走行させる。そして、走行機体90を反対方向から前進走行すると、作業部40によって前進作業で未作業部分Wの作業が行え、既作業部分に繋げることができる。
【0035】
またこの未作業部分Wに溝を形成するため、図3(c)(平面図)に示すように、作業部40を右側オフセット作業位置Prから左側オフセット作業位置PLに移動するとともに、作業部40の向きを反転させて固定してもよい。この場合、固定部材34を係止部材26に固定して作業部40による後進作業が可能な状態にする。そして、図4(c)(平面図)に示すように、反転した作業部40が既作業部分の端に位置するように走行機体90を走行させ、走行機体90が圃場の端部側に接近するように後進走行すると、作業部40によって未作業部分Wの作業が行え、既作業部分に繋げることができる。
【0036】
また既形成溝を跨いで作業が可能な場合は、図3(b)(平面図)に示すように、作業部40を右側オフセット作業位置Prと左側オフセット作業位置との間の任意の位置(中間作業位置Ps)に移動し、オフセット機構部20の移動を移動規制装置30で規制する。このときの作業部40は前側に向いた状態にある。
【0037】
そして、走行機体90を前進走行させるとともに、溝掘機1に動力を伝達すると、前進走行する走行機体90の後方側に溝Mを形成することができる。そして、走行機体90の先端部が圃場Fの端に到達すると、圃場Fの隅部に未作業部分が残る。そこで、この未作業部分に溝を形成するには、前述したように作業部40を中間作業位置Psから右側オフセット作業位置又は左側オフセット作業位置に移動し、作業部40が未作業部分における圃場Fの端に位置するように走行機体90を走行させ、走行機体90を反対方向から前進走行すると、作業部40によって前進作業で溝掘作業が行え、既作業部分に繋げることができる。
【0038】
また前述したように作業部40を中間作業位置Psから右側オフセット作業位置又は左側オフセット作業位置に移動するとともに、作業部40を反転し、作業部40が既作業部分の端に位置するように走行機体90を走行させて、走行機体90を後進走行すると、作業部40によって後進作業で溝掘作業が行え、既作業部分に繋げることができる。さらに作業部40を中間作業位置Psに位置したままで、作業部40を反転して作業部40が既作業部分の端に位置するように走行機体90を走行させて、走行機体90を後進走行させると作業部40によって後進作業で溝掘作業を行うことができる。
【0039】
このように、本発明に係わる溝掘機1は、右側オフセット作業位置Pr、左側オフセット作業位置PL及びこれらの中間の任意の作業位置において前進作業並びに後進作業を行うことができる。このため、本発明の溝掘機1は、圃場での作業をあらゆる作業形態で対応することができ、作業者にとって作業し易い作業形態で溝掘作業を行うことができる。このため、溝掘作業の作業性を向上することができる。
【0040】
なお、排出方向変更機構50は、図5(a)(平面図)、図5(b)(背面図)及び図5(c)(側面図)に示すように、天板44に側天板45を所定間隔を有して対向して配設し、これらの側天板54に跳ね出し板63の側方を覆う円弧状の左側板51又は右側板46を着脱自在に取り付けてもよい。左側板51及び右側板46の各上端部には、所定間隔を有して並設されて内側方向に延びる一対の軸部53が取り付けられ、側天板45の上部の左右両端部には対応する軸部53を嵌合する筒部54が左右方向に延びて取り付けられている。軸部53の先端側と筒部54のそれぞれには孔部が設けられ、筒部54に軸部53を挿通すると、これらの孔部が連通し、この連通した孔部に係止ピン55を挿通することによって、軸部53が筒部54に固定されて左側板51又は右側板46が側天板45に固定される。
【0041】
このため、左側板51又は右側板46のいずれか一方を取り付けると、跳ね出し板63によって放てきされる土壌の排出口47が形成される。このように、側天板45とこれに着脱自在に取り付けられる左側板51又は右側板46によって、土壌の排出方向を変える排出方向変更機構50が構成され、左側板51又は右側板46のいずれかを取り付けることにより、跳ね出し板63から放てきされる土壌の排出方向を左右方向のいずれかにすることができる。
【0042】
また図6(a)(平面図)、図6(b)(背面図)に示すように、側天板45に取り付けられた円板状の天板44に対して側板57を回動自在に取り付けてもよい。側板57は、湾曲した側部57aと側部57aの上部に接続されて天板44の上方に配置されて回転軸61に回動自在に嵌合する支持部57bとを有する。支持部57bは平面視において扇状に形成され(図面では中心角θは約125°)、その周縁部は天板44のそれより外側に配置され、支持部57bの周縁部から側部57aが下方へ延びる。側部57aはその中心角θが支持部57bのそれより大きい(図面では中心角θ'は約210°)。このため、側板57を右側に移動させると、天板44の左側の下方に排出口47が形成され、側板57を左側に回動すると、図7(a)(平面図)、図7(b)(側面図)に示すように、天板44の右側の下方に排出口47が形成される。
【0043】
支持部57bの中間部には、ねじ部65が回動自在に取り付けられ、天板44の上部には円弧状の締結部材67が取り付けられている。締結部材67の両端部にはねじ部65が螺合するねじ穴67a,67bが設けられている。これらのねじ穴67a,67bは、側板57を右側に回動させるとねじ部65がねじ穴67aと螺合し、側板57を左側に回動させるとねじ部65がねじ穴67bに螺合可能に配置されている。このため、ねじ部65及び締結部材67によって排出口47が開口した状態で側板57を天板44に固定することができる。このように、側板57を天板44に対して回動するだけで排出口の位置を変えることができ、作業条件に応じて掘削された土壌の排出方向を左右方向のいずれかにすることができる。このため、土を所望の側に寄せたり、飛散させたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる溝掘機の平面図を示す。
【図2】溝掘機の作業部を示し、同図(a)は作業部の平面図であり、同図(b)は作業部の部分背面図であり、同図(c)は作業部の平面図である。
【図3】溝掘機の動作を説明するための平面図を示す。
【図4】圃場の端から端までの溝を形成する場合の溝掘機の動作を説明するための平面図を示す。
【図5】本発明の他の実施の形態に係わる溝掘機の作業部を示し、同図(a)は作業部の平面図であり、同図(b)は作業部の部分背面図であり、同図(c)は作業部の側面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係わる溝掘機の作業部を示し、同図(a)は作業部の平面図であり、同図(b)は作業部の部分背面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係わる溝掘機の作業部を示し、同図(a)は作業部の平面図であり、同図(b)は作業部の部分背面図である。
【図8】従来の溝掘機の背面図を示す。
【符号の説明】
【0045】
1 溝掘機(農作業機)
10 装着部
12a 入力軸
20 オフセット機構部
40 作業部
43 カバー部
50 排出方向変更機構
60 溝掘り体
61 回転軸
62 螺旋刃体
63 跳ね出し板
90 走行機体
92 三点リンク連結機構(装着機構)
M 溝
【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【出願日】 平成18年2月3日(2006.2.3)
【代理人】 【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所


【公開番号】 特開2007−202505(P2007−202505A)
【公開日】 平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願番号】 特願2006−26788(P2006−26788)