| 【発明の名称】 |
作業車の作業機昇降制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】太田 真史
【氏名】萩原 裕之
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| 【要約】 |
【課題】安価なモータを用いて下降側に十分な減速が安定して行われることを可能にする作業車の作業機昇降制御装置を提供する。
【解決手段】作業車両1に支持された作業機14を昇降する油圧シリンダ6と、該油圧シリンダへの圧油の送油を昇降操作手段の操作により切り換えるポジション制御バルブ90と、該ポジション制御バルブ90の操作部に連繋された正逆回転可能な電動モータ95を備え、該モータ95にはその出力軸の回転位置を検出する手段85を備え、前記油圧シリンダ6により走行機体に支持された作業機14を、前記電動モータ95の操作位置に対応して昇降自在に制御する作業車の昇降制御装置60において、前記モータ95を制御装置60と接続し、前記モータの回転速度が低速の第一閾値S1以下に達したならば、モータ回転位置に関わらず前記モータ95に対する出力量をその回転速度に保持するように制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業車両に支持された作業機を昇降する油圧シリンダと、該油圧シリンダへの圧油の送油を昇降操作手段の操作により切り換えるポジション制御バルブと、該ポジション制御バルブの操作部にリンク機構を介して連繋された正逆回転可能な電動モータを備え、該モータにはその出力軸の回転位置を検出する手段を備え、前記油圧シリンダにより走行機体に支持された作業機を、前記電動モータの操作位置に対応して昇降自在に制御する作業車の作業機昇降制御装置において、 前記モータを制御装置と接続し、前記モータの回転速度が低速の第一閾値以下に達したならば、モータ回転位置に関わらず前記モータに対する出力量をその回転速度に保持するように制御することを特徴とした作業車の作業機昇降制御装置。 【請求項2】 前記モータに対する出力量を保持する間に、モータの回転速度が前記第一閾値以上に速くなったならば、出力量を保持する働きを解除することを特徴とした請求項1に記載の作業車の作業機昇降制御装置。 【請求項3】 前記モータに対する出力量を保持している間に、更に回転速度が低下して停止可能性のある第二閾値以下に達したならば、モータに対する出力量を増加することを特徴とした請求項1に記載の作業車の作業機昇降制御装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、トラクタなどの作業車両の昇降制御装置に関し、詳しくはポジション制御レバーまたはモータ操作具を独立して操作可能として、機械的に動作するポジション制御バルブを制御自在とした昇降制御装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、特許文献1などに紹介されるように、機械的なポジション制御バルブが電動モータと連繋されており、このモータの回転により走行車両に支持された作業機の昇降の速度を調整する機能は公知である。 また、特許文献2の如く、機械的リンク構造により作業機の下降速度を減速する装置が一般に知られている。 【特許文献1】特公平6−57082号公報 【特許文献2】特公平7−28569号公報 【特許文献3】特開2005−87169号公報 【特許文献4】特開2004−121072号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上述したこれらの技術を実際に運用しようとする際に、安価なモータを用いて行う場合、あらかじめ定められた出力量(例えばPWM出力など)に対してモータの動作速度が安定しない。つまり、作業機が下降する際に地面と接触するショックを軽減するために十分な減速が必要であるが、量産されたモータは各々の特性の固有差によって、あるモータでは十分な減速が得られず、あるモータは中途で停止してしまうというようなことが生じていた。 【0004】 これに対して、一般的にはアクチュエータであるモータが停止したならば、出力量を増大させる処理を行って、目標位置まで下降するようにシステムの機能を補助していた。しかしながら安価なDCモータの特性上、停止している状態から動作を開始する場合には大きな電力(トルク)が必要であり、いったん停止したモータを再度動作させると一定以上の回転速度が発生し、接地時にショックが発生する。つまり、油圧システムを十分に減速することができない。また、いったんモータが停止することは重力加速度を持って下降する作業機を空中で急激に停止させることになり、作業車両を操作するオペレータに過大な負荷を与えるものである。 【0005】 また、モータの動作速度を監視し、モータの位置に対して適正な速度を設定して出力量を増減する方法も一般的である(速度帰環、速度型フィードバック)。ただし、適正に減速された状態でも作業機の下降にかかる時間は数秒であるため、動作速度を検出して出力量の増減を行うことは困難である。つまり、動作速度を検出するためには対象となるアクチュエータの検出量を一定時間おきに比較する必要があるため、短時間に動作速度を正確に検出することができないのである。よって、このような方法では往々にしてアクチュエータ速度の検出が間に合わずモータの個体差を埋める出力量の調整が不可能となっていた。 これに対して、例えばステッピングモータ等のような比較的高価なモータをアクチュエータに用いて低速動作を実現することはできるが、この場合は製作上のコストが増大するなどの問題があった。 【0006】 そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは安価なモータを用いて下降側に十分な減速が安定して行われることを可能にする農用作業車の昇降制御機構を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 【0008】 即ち、請求項1においては、 作業車両に支持された作業機を昇降する油圧シリンダと、該油圧シリンダへの圧油の送油を昇降操作手段の操作により切り換えるポジション制御バルブと、該ポジション制御バルブの操作部にリンク機構を介して連繋された正逆回転可能な電動モータを備え、該モータにはその出力軸の回転位置を検出する手段を備え、前記油圧シリンダにより走行機体に支持された作業機を、前記電動モータの操作位置に対応して昇降自在に制御する作業車の作業機昇降制御装置において、 前記モータを制御装置と接続し、前記モータの回転速度が低速の第一閾値以下に達したならば、モータ回転位置に関わらず前記モータに対する出力量をその回転速度に保持するように制御するものである。 【0009】 請求項2においては、前記モータに対する出力量を保持する間に、モータの回転速度が前記第一閾値以上に速くなったならば、出力量を保持する働きを解除するものである。 【0010】 請求項3においては、前記モータに対する出力量を保持している間に、更に回転速度が低下して停止可能性のある第二閾値以下に達したならば、モータに対する出力量を増加するものである。 【発明の効果】 【0011】 本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。 【0012】 請求項1においては、安価なモータを用いて下降制御時の減速を行うことを可能にするため、従来の如く機械的な減速構造を省くことができ、組み立て調整が容易となる。また、モータが停止することなく動作するため、下降の減速動作が滑らかになり、作業車両の運転者にショックを与えない。さらに、電気的な調整で減速フィーリングを最適化することが可能となる。 【0013】 請求項2においては、リフトアームの下降速度が速いまま作業機を地面と設置させることを回避し、作業機下降時の減速を安定して行うことができ、作業機の損傷を防止できる。 【0014】 請求項3においては、モータは、慣性力の影響が低下するに従って出力量が保持されても動作速度は更に低下する場合があり、そのような場合にモータが停止することを防止することができ、再度モータを起動させることもなく、確実にショックなく接地させることが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。 【0016】 図1は本発明の一実施例に係るトラクタ1の全体的な構成を示した右側面図、図2はトラクタ1の制御系に関するブロック図、図3はトラクタ1における油圧回路図である。 【0017】 先ず、図1、図2および図3を用いて本発明の農用作業車の一例であるトラクタの概略構成について説明する。 1はトラクタで、機体の前後部に夫々前輪2・2と後輪3・3とを備え、ミッションケース4の後上部には油圧シリンダケース5を固着して設けている。 該油圧シリンダケース5内には、単動式油圧シリンダ6が設けられており、油圧シリンダケース5の左右両側には該油圧シリンダ6の伸縮により回動するリフトアーム7・7を配置している。 【0018】 また、トップリンク10、ロワーリンク11・11からなる3点リンク機構12の後端部には、対地作業機の一例であるロータリ耕耘装置14がリフトアーム7・7にて昇降自在に連結されている。 したがって、上記単動式油圧シリンダ6を伸縮させることによって、リフトアーム7・7に連結されるロータリ耕耘装置14が上昇又は下降制御されることになる。 リフトアーム7・7とロワーリンク11・11との間にはリフトロッド15と傾倒シリンダ18が介装されている。 【0019】 また、傾倒シリンダ18は複動式とし、後述する制御弁の切換で伸縮され、ロータリ耕耘装置14をローリング方向(左右方向)に傾動させることが可能となり、ロータリ耕耘装置14の水平(姿勢)制御を行うことが可能となる。 また、17は本機と作業機の間の左右相対を検出する手段であり、トラクタ1とロータリ耕耘装置14との間の相対的回動量を検出するストロークセンサで構成して、具体的には直線式のポテンショメータで構成されている。 このストロークセンサ17は、上記傾倒シリンダ18の横側部に配設され、該傾倒シリンダ18の伸縮量を検出することによって、上記相対的回動量を検出するものである。 16は、本機の任意位置、例えば、油圧シリンダケース5の横側部に取り付けられた傾斜センサであって、トラクタ1の左右の傾斜角度(即ち対地角度)を検出する対地検出手段の一例である。 【0020】 また、片側のリフトアーム7の回動基部には対地高さ検出手段として、ポテンショメータからなる対地高さセンサ23が設けられている。該対地高さセンサ23は回転型のポテンショメータやロータリエンコーダ等の回転センサで、リフトアーム7の回転角度を検知することによりロータリ耕耘装置14の対地高さ及び3点リンク機構12の状態を検知する。これにより、前述のストロークセンサ17による本機と作業機の相対角度の演算を補正する。 【0021】 ロータリ耕耘装置14について簡単に説明すると、ロータリ耕耘装置14は、耕耘爪を回動して耕耘する耕耘部34と、耕耘部34の上方を覆う耕耘カバー35と、耕耘カバー35の後部にリヤカバー36を枢支し、該リヤカバー36の回動基部に、リヤカバー36の角度を検出して、後述する油圧リンクにリヤカバー36の回動量を伝達するプッシュプルワイヤ37の一端が取り付けられている。 【0022】 次に油圧回路について図3を用いて説明する。 油圧ポンプ25から送り出された作動圧油は、分流弁26により一部は上述した水平制御用の傾倒シリンダ18側に送られ、他はトラクタ1の後部に連結可能な作業機(例えば、上述したロータリ耕耘装置14)を昇降するためのリフトアーム7・7に連結される単動式油圧シリンダ6側に送られる。 ロータリ耕耘装置14の水平制御用の切換弁27は、3位置4ポート式の弁にて構成され、左側のソレノイド27aが励磁されると傾倒シリンダ18は伸長し、逆に右側のソレノイド27bが励磁されると短縮する。 前記切換弁27は、制御装置60(図2参照)からパルス信号を受信した場合に、ソレノイド27a又はソレノイド27bにパルス信号を流すことによって、制御される比例式電磁弁であって、電流値に比例するものである。 また、上記切換弁27は常態においては中立位置を保っており、傾斜センサ16によってトラクタ1の傾斜が検出された場合に、制御装置60は、ロータリ耕耘装置14を水平に維持すべく、上記何れかのソレノイド(27a・27b)を励磁することによって切換弁27を切り替える。 【0023】 制御系の構成としては、トラクタ1においてロータリ耕耘装置14の相対角度のローリング制御等を行うための制御手段の一例である制御装置60には、図2に示すように、トラクタ1の左右の傾斜角度の変化速度を計測する角速度センサ19を具備している。 その他、制御装置60には、トラクタ1の後部に取り付けられるロータリ耕耘装置14等の対地作業機の取り付け幅等の連結状態に応じて切り替えを設定するための設定手段の一例である取付切替スイッチ59、作業機の下降時に下降減速を開始するタイミングを決定する下降速度設定器56、対地作業機の昇降を簡便に行うためのスイッチとして上昇スイッチ81および下降スイッチ82が接続されている。(以下、「スイッチ」を「SW」と記する) 更に、トラクタ1とロータリ耕耘装置14との相対角度やトラクタ1の傾斜角度を予め設定するための傾斜設定器52も接続されている。 また、上記取付切替SW59、傾斜設定器52、上昇SW81、下降SW82等は、トラクタ1の運転席近傍のダッシュボードやメータパネルに設けられても良い。 【0024】 また、制御装置60の入力側にはA/D変換器55が設けられており、該A/D変換器55を介して、取付切替SW59、傾斜設定器52、下降速度設定器56、対地高さセンサ23、ストロークセンサ17、傾斜センサ16、角速度センサ19等が制御装置60に接続されている。 また、上記A/D変換器55を介さずに該制御装置60に接続されるものとしては、モードSW61、上昇SW81、下降SW82等がある。 また、上記制御装置60は、MPUやCPU等の中央演算装置より成るものであっても良い。 【0025】 図4乃至図6に示す如く、油圧弁(ポジション制御バルブ)90が油圧シリンダ6を収納する油圧シリンダケース5の側面に付設され、該油圧弁90は前後方向に伸縮動作可能とするスプール90aを具備しており、該スプール90aの一側が油圧弁90内に挿入されて油路を切換可能とし、他端にリンク機構を介して作業機を昇降操作する油圧昇降レバー20や作業機を設定深さ(高さ)に設定する耕深設定レバー70や昇降アクチュエータ(モータ95)と連結され、更に、フィードバックするためのリンク機構101・102を介してリフトアーム7とリヤカバー36に連結されている。 耕深はリヤカバー36の回動により検知して油圧弁90を切り換える構成とし、後述するリンク動作に用いるモータ95と、出力軸の回動位置を検出するモータ位置センサ85が制御装置60に接続される構成としている。 前記スプール90aが後方に移動(短縮)したときにはリフトアーム7が下降方向に回動駆動され、また前方に伸長されたときにはリフトアーム7が上昇方向に油圧シリンダ6により回動駆動される。このスプール90aは油圧弁90に内蔵された図示しないバネの作用により、常時短縮方向に力が付勢されている。またスプール90aにはトラクタ1の左右方向に貫通する孔90bが形成されており、この貫通孔90bに挿通したスプリングピン(第二リンク軸76)により後述する第一連動リンク91および第二連動リンク100を回動可能に枢支している。 【0026】 次に、図4乃至図6および図11を用いて、油圧昇降レバー20によってリフトアーム7を昇降する方法について説明をする。 図4乃至図6および図11に示す如く、油圧弁90の側面に取付プレート89が固設されて前方に突出され、該取付プレート89の上部に第一リンク軸75の一端が固定されている。そして、該第一リンク軸75上に前記油圧昇降レバー20が取り付けられるレバーアーム22とモータ昇降レバー73と耕深設定レバーアーム74が共通の軸心として回動自在に軸支されている。但し、レバーアーム22と耕深設定レバーアーム74は第一リンク軸75上に外嵌した皿バネにより付勢されて、回動した位置を維持できるようにしている。前記レバーアーム22の基部22aはモータ昇降レバー73の上部に係合させており、該モータ昇降レバー73の下部に枢支ピン73aを枢支して、第一連動リンク91の上部を枢支している。該第一連動リンク91の上下中途部が第二リンク軸76に枢支され、該連動リンク91の下部がリンクレバー92の上部に突設した枢支ピン92bに枢支されている。そして、前記第二リンク軸76は前記スプール90aの貫通孔90bに固定され、第二連動リンク100の中途部を枢支している。 【0027】 また、前記リンクレバー92は、前記取付プレート89の略中央部に固定された第三リンク軸77を軸心として回動自在に枢支されており、該リンクレバー92の下端には第四リンク軸78を突設して第一リンクロッド93の前端を枢支している。一方、リフトアーム7の回動基部には軸支部7aが下方に突設されており、該軸支部7aにはピン孔7bが開口されている。そして、前記第一リンクロッド93後端に設けた枢支ピン93aの先端を前記ピン孔7bに挿入して回動自在に支持している。こうして、第一リンクロッド93の両端が各々回動自在に枢支されリンク機構101を構成している。 このように構成することにより、第一リンクロッド93はリフトアーム7の上昇時には後方へ引っ張られ、反対にリフトアーム7の下降時には前方へ押されるようにしている。 【0028】 このような構成において、油圧昇降レバー20(即ちレバーアーム22)を図5に示す如く反時計回りに回動させた場合、即ち、上昇方向に回動すると、モータ昇降レバー73も反時計回りに回動され、枢支ピン73aを介して第一連動リンク91を前方へ回動して、スプール90aを弾性力に抗して上昇側(前方)へ摺動させる。そして、このスプール90aの摺動により油圧弁90が切り換えられてリフトアーム7が上昇回動して作業機が持ち上げられる。このリフトアーム7の上昇回動に伴って、第一リンクロッド93が後方へ引っ張られ、リンクレバー92後方へ回動され、該リンクレバー92に連結された第一連動リンク91も後方へ回動され、スプール90aが後方へ摺動され、油圧弁90が中立位置に切り換えられると、リフトアーム7の上昇回動が停止される。つまり、油圧昇降レバー20により設定した高さまでリフトアーム7は回動して停止されるのである。 また、図6に示す如く、油圧昇降レバー20(即ちレバーアーム22)を時計回り(下降側)に回動させた場合、モータ昇降レバー73も時計回りに回動され、第一連動リンク91が後方へ回動されて、該第一連動リンク91に連結されたスプール90aも後方へ摺動されて、油圧弁90が下降側に切り換えられる。 前記油圧弁90の切り換えによりリフトアーム7が、図5に示す如く、下降すると、第一リンクロッド93は前方に押され、リンクレバー92が前方へ回動され、第一連動リンク91も前方へ回動してスプール90aは中立側に摺動され、油圧弁90が中立位置となると、下降は停止され、油圧昇降レバー20により設定した高さで停止されるのである。 【0029】 次に、図7、図8および図11を用いて、モータ95の駆動によりリフトアーム7を昇降する方法について説明をする。 図7および図11に示す如く、モータ95の出力軸はリンク機構を介して油圧弁90と連繋(連動連結)されている。即ち、モータ95はミッションケースの側面等油圧弁90の下方に配置され、該モータ95のモータ軸(出力軸)95aにはモータアーム97の一端が固定されており、該モータアーム97の他端はモータリンクアーム96の下端に回動自在に枢支されている。該モータリンクアーム96は上方に延設されて、該モータリンクアーム96の上部にはその長手方向に沿って長孔96aが開口され、該長孔96aに前記モータ昇降レバー73の上部に設けた摺動ピン73bが挿入されている。 このように構成することにより、図7の状態でモータ95を駆動しない状態では、前述のように、油圧昇降レバー20を操作して、モータ昇降レバー73が回動されても摺動ピン73bは長孔96a内を摺動するだけであって、回動操作を制限するものではない。そして、運転席等に配置した上昇SW81を操作すると、モータ95が駆動されて、モータ軸95aが図8に示す時計方向に回転され、モータアーム97が下方へ回動することにより、モータリンクアーム96が下方へ引き下げられて、これによりモータリンクアーム96に設けられた長孔96aと該長孔96aに挿通された摺動ピン73bが当接して、モータ昇降レバー73が時計方向に回動して、前記上昇回動操作と同様の動作をし、リフトアーム7が上昇回動される。 また、リフトアーム7が上昇位置にある時に、下降SW82を操作すると、モータ95は前記と逆方向に回動され、モータ軸95aが図8に示す反時計方向に回転され、モータアーム97が上方へ回動することにより、モータリンクアーム96が上方へ引き上げられて、これによりモータリンクアーム96に設けられた長孔96aと該長孔96aに挿通された摺動ピン73bが当接して、モータ昇降レバー73が時計方向に回動して、前記下降回動操作と同様の動作をし、リフトアーム7が下降回動される。 【0030】 次に、図9、図10および図11を用いて、耕深の制御について説明を行う。 図9、図10および図11に示す如く、ミッションケースの後面より後方に突設したトップリンクブラケット38の側面に第五リンク軸83が突設され、該第五リンク軸83にベルクランク状の連動アーム98の中途部が枢支されている。該連動アーム98の後側先端には、前述のプッシュプルワイヤ37等を介してリヤカバー36の回動部と連結され、リヤカバー36の動き(上下回動)が伝えられるようにしており、耕深が変化するとリヤカバー36が回動して連動アーム98の角度も変更されるようにしている。 【0031】 また、前記連動アーム98の他方(前側)の先端には第二リンクロッド99の後部が枢結され、該第二リンクロッド99の前端は第二連動リンク100の下部に第六リンク軸79を軸心として回動自在に枢支されている。上下方向に配置した該第二連動リンク100の上下略中央部には略長方形の孔100aが開口されており、この孔100aに前記油圧弁90のスプール90aに枢支される第二リンク軸76が挿通されている。該孔100aは枢支軸80を中心として第二リンク軸76が円弧方向に移動可能な大きさとしている。該第二連動リンク100の上部に枢支軸80を介して耕深設定レバーアーム74の下端と回転自在に枢結されている。 このような構成において、耕深設定レバーアーム74を回動することにより枢支軸80の位置が前後に変更されて、第二連動リンク100とスプール90aとリヤカバー36の角度との相対位置を変化させて耕深を設定することができる。具体的には、作業機を下降させた作業状態で、設定した深さで作業しているときに、圃場の土質等で作業機が設定深さよりも深くなると、リヤカバー36が上昇回動して、プッシュプルワイヤ37が引っ張られて、連動アーム98が図10に示すように下方へ回動される。該連動アーム98の下方回動により第二リンクロッド99が前方へ押され、第二連動リンク100が前方へ回動され、孔100aに係止された第二リンク軸76を介して油圧弁90のスプール90aが前方へ摺動され、油圧弁90は上昇側に切り換えられる。 この油圧弁90の切り換えによりリフトアーム7が上昇回動して作業機が上昇される。この作業機の上昇によりリヤカバー36は下方に回動し、ワイヤーを介して連動アーム98は上方へ回動され、該連動アーム98に連結した第二リンクロッド99が後方へ引っ張られて、該第二リンクロッド99に連結した第二連動リンク100が後方へ回動する。そして、耕深設定レバー70で設定した位置まで戻ると、スプール90aは中立位置に戻り上昇は停止される。逆に、作業機が持ち上げられてリヤカバー36が下方へ回動すると、連動アーム98は上方へ回動され、第二リンクロッド99を介して第二連動リンク100は後方へ回動され、第二リンク軸76は孔100a内を摺動する。このとき、スプール90aはバネにより後方へ摺動するように付勢されているため、スプール90aは後方(下降方向)へ摺動し、油圧弁90は下降側に切り換えられる。この作業機の下降により、リヤカバー36は上昇回動し、連動アーム98が下方へ回動し、前記同様のリンク動作で、耕深設定レバー70により設定した位置で、スプール90aは中立に戻り、作業機は設定した深さに落ち着く。こうして耕深制御が行われる。なお、耕深制御時は前記油圧昇降レバー20は最下降位置に回動しておく。 【0032】 次に、前述のような構成の油圧システムに対する処理、つまり、本発明の昇降制御について説明をする。 モータ軸95aの回転位置を検知するモータ位置センサ85(例えばポテンショメータなど)がモータ95近傍に設置されている。該モータ位置センサ85で図17に示すようにモータ軸95aの回動位置と時間から角速度を演算して検知する構成としている。 【0033】 図12に示す如く、作業機の昇降制御は、モータ軸95aの回転位置(角度)を規定位置(角度)に一致させるように制御を行う。 また、最後にSW操作されたのが下降SW82であったか、上昇SW81であったかを判別し、下降SW82であったならば下降操作側に、上昇SW81であったならば、上昇操作側にそれぞれモータ95を駆動する。下降時には目標停止位置近傍になるに従いPWM制御によって出力量を小さくして回転速度を遅くすることとする。 【0034】 すると、作業機を上下に駆動するモータリンクアーム96の昇降速度も、リフトアーム7の回動速度も遅くなるためスプール90aの摺動速度も遅くなり、作業機が低速で下降されるために接地時のショックが小さく、運転者に負担をかけないとともに耕耘開始時にリヤカバー36の傾きが緩やかに変化するため、耕深制御が安定しやすい。 【0035】 その後、モータ軸95aは目標角度まで回転するが、前述のリヤカバー36が接地すると上方へ回動されるので、フィードバックリンク機構102を介して第二連動リンク100が上昇側へ回動され、目標の耕深位置付近でスプール90aが中立位置となって収束すべくリヤカバーは上下動作をはじめる。 【0036】 次に、制御装置60のメモリに記憶される昇降制御プログラムについて説明する。図12のフロー図に示す通り、まず、制御装置60はスイッチ、センサ類の状態を読み込む(ステップS10)。次に最後に操作されたのが下降SW82であるか、上昇SW81であるかを判別し(ステップS20〜S30)、下降SW82が最後に操作された時は、下降方向にモータ95を駆動し、上昇SW81が操作されたときは上昇方向にモータ95を駆動する。 上昇時には目標停止位置とモータ位置との偏差に応じ出力制御設定を行い(ステップS60)、モータ95に上昇方向の出力を行う(ステップS−70)。 一方、下降時には目標停止位置近傍になるに従いPWM制御によって出力量を小さくして回転速度を遅くする(ステップS90)。図15に目標停止位置とモータ位置との偏差ごとにPWMのデューティを変化させた一例を示す。この場合は偏差ごとに階段状にPWMデューティすなわち出力量を変化させている(偏差が大きくなるほど出力量を増加させている)が、比例制御などの線形的な関数を当てはめるなどでも良く限定するものではない。 下降速度設定器56により、図15における最小の出力に至る偏差の範囲を調整することができる。即ち最小出力量に至る範囲を広くすることによって徐々に出力が小さくなる範囲が図の右側に移動し、最終目標位置から離れた位置で減速されることになり、最小出力量に至る範囲を狭くすることでによって最終目標位置に近い偏差で減速が始まることになる。この偏差の計算は後述のステップS−M40で行われる。この最小出力に至る偏差範囲の変更により、作業機が上昇位置から下降位置に至るリフトアーム7の動作時間が変化するとともに、作業機の下降が減速されるタイミングが変化し、作業機に応じた調整が可能になる。 【0037】 このように出力を変化させることでモータ95が正常に動作し図16、図17に示すように低速で回転することが可能であれば、作業機を上下に駆動するモータリンクアーム96の昇降速度も遅くなるため、スプール90aの摺動速度も遅くなり、リフトアーム7の回動速度(図18)も遅くなるため、作業機が低速で下降することとなり耕深制御も安定しやすい。 しかし、実際にはワイパモータなどに用いられる安価なDCモータをこのシステムに用いた場合、出力が小さい場合にはモータの動作特性にばらつきがあり、図19、図20の如く途中で停止してしまう場合がある。すると図21に示すようにリフトアーム7も途中で停止してしまうため目標位置まで作業機が下降しないことがある。 このような不具合が発生することを防止するため、制御装置60はステップS90において図15のように定められたデューティで出力を行うのみならず、次のような処理を行う。 【0038】 図13及び図14にステップS90における処理の詳細を示す。 まず、モータが下降目標位置に到達していないと判定された場合(ステップS80)モータ95には動作出力をこれから行うか、または行っている最中である。このときモータの動作速度を判定するためにまず、モータ速度を判定する単位時間のカウントを行っているか否かを判定し(ステップS−M10)、カウントが行われていないまたは一旦カウントが終了していると判定されたならば、モータ速度を判定する単位時間のカウントを開始し(ステップS−M15)そのときのモータ位置を記憶する(S−M16)。 【0039】 次に単位時間が経過したか否かを判定し(S−M20)、単位時間が経過していたならば、モータ出力量の固定セット・解除をする(図14)。すなわち、ステップS−M16で記憶したモータ位置と現在のモータ位置を比較し、単位時間内でのモータの動作量を計算する(S−M21)。この計算結果に基づき動作量即ち単位時間当たりの動作速度が第一閾値S1(ゆっくり接地できる程度の低速となる低速S1)以下であるならば出力を現在の値より低下させる必要がないと判断してステップS−M24の判定に移行する。ステップS−M24によって更に第二閾値S2(S2はS1よりも小さくモータが停止するおそれがある速度)以下の動作量であると判定されたならば、モータが停止するおそれがあると判断しモータの出力量を現在の値より所定量増加し、それ以下には出力量が減少しないように出力値を保ち、下降目標値の位置まで下降させる。 【0040】 こうしてステップS−M22〜S−M25に至る処理により、十分な減速が得られたならばそれ以下には出力量を減少しないよう出力値を保持する機能を得ることができる。その場合の下降目標位置までのモータ位置との偏差とモータ出力量を図22に示す。二点鎖線に示すのが図15における偏差に応じて予め定められた出力量であり、破線太線に示すのが出力値を途中より低下させない処理をした場合の実際の出力値を示す一例である。 【0041】 このようにモータがS1以下の低速動作に至った場合にそれ以上出力を低下させない処理を行っても更にモータの動作速度が低下する場合がある。これは極短時間にDCモータ速度の判定を行わなくてはならない本システムに固有の問題であり、モータの速度がS1を越える速度からS1以下に低下する過程にある出力を保持したとしても、その出力量がS1近傍の動作速度を維持するとは限らないためである。すなわち、モータ95は出力が低下して出力量を保持する前の大きな出力量による慣性力の影響を受けて動作しており、その慣性力の影響が低下するに従って出力量が保持されても動作速度は更に低下するおそれがある。DCモータの特性上、慣性力は急激に低下しないため、短時間での速度の認識では、その後のモータの速度低下を予測することは困難である。 【0042】 よって、ステップS−M22〜S−M26に至る処理により、出力を保持していてもモータ停止に至るおそれがある動作速度の低下がある場合にはモータが停止する前にその出力量を増加させる。図23にそのように出力を増加させた場合の偏差に対する実際の出力特性の一例を示す。二点鎖線があらかじめ定められた出力特性、破線細線がステップS−M22〜M25に至る処理で保持された出力特性、そして破線太線がその後のモータの動作速度が低下して、出力の増加を行った場合の出力特性になる。この例では、出力の増加量を図15に示す階段状のデータに基づいて偏差が大きい場合の出力量にステップアップするよう増加させている。ただしこれは図15に示すパターンとは別に増加量を定めても良く、限定するものではない。 これらの処理によってモータの最終的な動作速度は S2<(モータ動作速度)≦S1 に安定することになる。 ステップS−M22において閾値S1を超える動作量が検出されたならばいまだ十分な減速が行われていないと判断してモータ出力量を図15のように偏差に応じて徐々に小さくする処理を行うべきであると判断し、モータ出力量を保持することを解除する(S−M23)。 もし出力量を保持した後にS1以上の動作量が検出された場合は、モータの最終的な動作速度が速すぎることになる。一般に動作量を微分して速度を検出した場合にはその値は安定しないことが多く、瞬間的にS1以下の動作量を検出した場合でもその後S1以上の動作速度にならない保証はない。よって、ステップS−M23によって動作速度が速い場合には出力の保持機能を解除し、再度モータの動作速度がS1以下になった場合に出力量を保持するようにする。 【0043】 これにより、動作速度が速い場合には、出力量を保持する働きを解除し、モータの動作速度が速いまま油圧リンクを動作させ続けることを回避している。そのため、リフトアーム7の下降速度が速いまま作業機を地面と設置させることを回避し、作業機下降時の減速を安定して行うことができる。 なお、本実施例では説明を簡略化するため、この出力量保持解除の判定閾値として前述のS1を流用したが、S1よりも多少大きな別のパラメータを用いて判定にヒステリシスを設けても良く限定するものではない。 以上の判定処理の後、ステップS−M30にてモータ出力量を固定されているか否かを判定し、固定されていないならば図15に定めるように偏差に応じた制御出力を設定し(S−M40)、固定されている場合はその固定値を制御出力量に設定する(S−M50)。 その後、モータ95に下降方向の出力を行う(S−100)。 【0044】 図19乃至図21で示した、途中で停止するモータと同一のモータに対して図12乃至図14の処理を行った結果を、図24乃至図26に示す。この場合、ステップS−M24によって更に閾値S2以下の動作量であると判定されたため、モータが停止するおそれがあると判断しモータの出力量を現在の値より増加し、下降目標値の位置まで、それ以下には出力量を減少しないような出力値を保つことを決定した。 【図面の簡単な説明】 【0045】 【図1】本発明の一実施例に係るトラクタ1の全体的な構成を示した右側面図。 【図2】トラクタ1の制御系に関するブロック図。 【図3】トラクタ1における油圧回路図。 【図4】トラクタ1のポジションリンク図。 【図5】トラクタ1の上昇操作時ポジションリンク図。 【図6】トラクタ1の下降操作時ポジションリンク図。 【図7】トラクタ1のモータリンク図。 【図8】トラクタ1の上昇操作時モータリンク図。 【図9】トラクタ1の耕深リンク図。 【図10】トラクタ1の耕深リンク図。 【図11】トラクタ1のリンク機構の正面図。 【図12】制御系が行う一連の処理の一例を示したフロー図。 【図13】図12に示したフロー図における処理の詳細なフロー図。 【図14】図13に示したフロー図における処理の詳細なフロー図。 【図15】制御装置60がモータ95に出力するPWM出力量の出力特性を表したグラフ図。 【図16】良好に動作した場合のモータの動作(モータセンサ値)を表したグラフ図。 【図17】図16におけるモータ位置とモータ動作速度の関係を表したグラフ図。 【図18】図16のモータ動作時におけるリフトアーム7のリフトアーム位置とリフトアーム動作速度の関係を表したグラフ図。 【図19】動作途中で停止した場合のモータの動作(モータセンサ値)を表したグラフ図。 【図20】図19におけるモータ位置とモータ動作速度の関係を表したグラフ図。 【図21】図19のモータ動作時におけるリフトアーム7のリフトアーム位置とリフトアーム動作速度の関係を表したグラフ図。 【図22】制御装置60がモータ95に出力するPWM出力量の出力特性を表したグラフ図。 【図23】制御装置60がモータ95に出力するPWM出力量の出力特性を表したグラフ図。 【図24】図20と同様のモータを動作させた場合のモータの動作(モータセンサ値)を表したグラフ図。 【図25】図24におけるモータ位置とモータ動作速度の関係を表したグラフ図。 【図26】図24のモータ動作時におけるリフトアーム7のリフトアーム位置とリフトアーム動作速度の関係を表したグラフ図。 【符号の説明】 【0046】 1 トラクタ 14 ロータリ耕耘装置 16 傾斜センサ 17 ストロークセンサ 59 取付切替スイッチ 81 上昇スイッチ 82 下降スイッチ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000198330 【氏名又は名称】石川島芝浦機械株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年12月21日(2005.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2007−166969(P2007−166969A) |
| 【公開日】 |
平成19年7月5日(2007.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−368662(P2005−368662) |
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