| 【発明の名称】 |
農用作業車の作業機姿勢制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】太田 真史
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| 【要約】 |
【課題】速やかに耕深制御を収束させ、かつ良好な対地作業機の姿勢制御を可能とする、農用作業車の対地作業機における制御技術を提案する。
【解決手段】トラクタ1の左右傾斜を検出する傾斜センサ16と該トラクタ1とロータリ耕耘装置14との相対角度を検出するストロークセンサ17とを併せ持つ検出手段を具備し、該検出手段に基づいて前記ロータリ耕耘装置14の相対角度を制御する制御手段を具備するトラクタ1において、前記検出手段が、前記ロータリ耕耘装置14を下降させて地表と接地する際には、前記トラクタ1と前記ロータリ耕耘装置14との相対角度を基準に動作範囲を規制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農用作業車の左右傾斜を検出する機構と該農用作業車と対地作業機との相対角度を検出する機構とを併せ持つ検出手段を具備し、該検出手段に基づいて前記対地作業機の相対角度を制御する制御手段を具備する農用作業車において、 前記検出手段が、前記対地作業機を下降させて地表と接地する際には、前記農用作業車と前記対地作業機との相対角度を基準に動作範囲を規制すること、 を特徴とした農用作業車の作業機姿勢制御装置。 【請求項2】 前記制御手段が、 前記対地作業機の対地高さを検出する手段を具備し、対地高さの変動が一定値以下に収束した状態が継続したときには、前記制御手段に対する規制を解除すること、 を特徴とした請求項1記載の農用作業車の作業機姿勢制御装置。 【請求項3】 前記制御手段が、 前記対地作業機の耕深を検出する手段を具備し、耕深の変動が一定値以下に収束した状態が継続したときには、前記制御手段に対する規制を解除すること、 を特徴とした請求項1または請求項2記載の農用作業車の作業機姿勢制御装置。 【請求項4】 前記制御手段が、 対地高さを検出する手段を具備し、前記対地作業機が下降されてから一定時間後に前記制御手段に対する規制を解除すること、 を特徴とした請求項1乃至請求項3いずれかに記載の農用作業車の作業機姿勢制御装置。 【請求項5】 前記制御手段が、 対地高さを変更するべく操作する手段を持ち、前記対地作業機が下降操作されてから一定時間後に前記制御手段に対する規制を解除すること、 を特徴とした請求項1乃至請求項4いずれかに記載の農用作業車の作業機姿勢制御装置。 【請求項6】 前記制御手段が、 前記対地作業機の昇降用油圧リンクを手動操作する操作手段と、 前記昇降用油圧リンクを駆動する外部アクチュエータの動作位置を検出する位置検出手段と、を具備し、 前記外部アクチュエータの動作位置に応じて前記制御手段に対する規制範囲を定めること、 を特徴とした請求項1記載の農用作業車の作業機姿勢制御装置。 【請求項7】 前記制御手段が、 前記外部アクチュエータの動作に対する速度制御手段を具備すること、 を特徴とした請求項6記載の農用作業車の作業機姿勢制御装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、トラクタ等の農用作業車に連結されるロータリ耕耘装置等の対地作業機等の姿勢を制御する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、農用作業車の一例として、その後部に圃場を耕耘するためのロータリ耕耘装置等の対地作業機が連結可能なトラクタは広く周知となっている。このようなトラクタにおいては、その本体のローリング方向(本体の左右方向の回転)の対地角度を検出すると共に、トラクタと対地作業機との相対角度を検出している。 さらにトラクタが傾いたときには、連結される対地作業機の傾きを補償し、油圧シリンダ等のアクチュエータを作動させることにより、対地作業機の傾きが水平に維持されるようにし、圃場を平坦にするべく耕耘する。 この対地作業機のローリング角度を対地高さ(リフトシリンダ高さ)を検出することにより姿勢制御量を制限する技術は特許文献1乃至特許文献3に記載の如く公知となっている。 【特許文献1】実開昭59−92764号公報 【特許文献2】特公平5−81201号公報 【特許文献3】特開平6−141604号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、現状の制御技術では、上昇状態にある対置作業機を下降させて地面に接地させ耕耘作業を開始する際に、開始直後には対地作業機が地中に入り込み、所定の目標耕深に至り耕深制御が収束状態になるまでの間は、対地作業機の姿勢制御動作が安定しない場合が多い。 この耕深が安定しない状態でローリング方向の姿勢制御を行うと、その制御動作が耕深の検知にも影響を与えて、耕深制御の収束を妨げることとなる。また耕深制御が安定しない状態では、農用作業車本体の姿勢も安定しないため、姿勢制御も安定せず、耕深制御および姿勢制御相互に動作の安定を妨げる結果となっている。 そこで本発明は、このような実状を鑑み、速やかに耕深制御を収束させ、かつ良好な対地作業機の姿勢制御を可能とする、農用作業車の対地作業機における制御技術を提案するものである。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 【0005】 即ち、請求項1においては、農用作業車の左右傾斜を検出する機構と該農用作業車と対地作業機との相対角度を検出する機構とを併せ持つ検出手段を具備し、該検出手段に基づいて前記対地作業機の相対角度を制御する制御手段を具備する農用作業車において、前記検出手段が、前記対地作業機を下降させて地表と接地する際には、前記農用作業車と前記対地作業機との相対角度を基準に動作範囲を規制すること、を特徴としたものである。 【0006】 請求項2においては、前記制御手段が、前記対地作業機の対地高さを検出する手段を具備し、対地高さの変動が一定値以下に収束した状態が継続したときには、前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたものである。 【0007】 請求項3においては、前記制御手段が、前記対地作業機の耕深を検出する手段を具備し、耕深の変動が一定値以下に収束した状態が継続したときには、前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたものである。 【0008】 請求項4においては、前記制御手段が、対地高さを検出する手段を具備し、前記対地作業機が下降されてから一定時間後に前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたものである。 【0009】 請求項5においては、前記制御手段が、対地高さを変更するべく操作する手段を持ち、前記対地作業機が下降操作されてから一定時間後に前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたものである。 【0010】 請求項6においては、前記制御手段が、前記対地作業機の昇降用油圧リンクを手動操作する操作手段と、前記昇降用油圧リンクを駆動する外部アクチュエータの動作位置を検出する位置検出手段と、を具備し、前記外部アクチュエータの動作位置に応じて前記制御手段に対する規制範囲を定めること、を特徴としたものである。 【0011】 請求項7においては、前記制御手段が、前記外部アクチュエータの動作に対する速度制御手段を具備すること、を特徴としたものである。 【発明の効果】 【0012】 本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。 【0013】 請求項1においては、対地作業機の姿勢が、対地作業機と農用作業車との相対角度に基づき規制されることにより、対地作業機の角度が地表面と平行に近い状態に維持されるため、対地作業機を用いた作業の開始段階において、耕深制御が収束しやすくなる。 またこの結果、対地作業機を用いた作業の作業精度が向上する。 【0014】 請求項2においては、耕深安定後には対地作業機のローリング方向の傾き制御の精度を高める。耕耘開始時の作業精度の向上と耕深安定後の傾き制御の精度確保を両立することを可能としている。 【0015】 請求項3においては、耕深安定後には対地作業機のローリング方向の傾き制御の精度を高める。耕耘開始時の作業精度の向上と耕深安定後の傾き制御の精度確保を両立することを可能としている。 【0016】 請求項4においては、簡便な判断で規制解除を行うことが可能となる。また、耕深開始後、一定時間が経過したならば、耕深の変動は定常的なものである判断して、ローリング制御を規制することなく行うことにより作業精度の安定を可能にしている。 【0017】 請求項5においては、簡便な判断で規制解除を行うことが可能となるのと同時に、対地高さの検知が正常にできなくなった場合にもローリング制御の規制を解除できる。これによって、制御動作の安定を可能にする。 【0018】 請求項6においては、外部アクチュエータによる昇降制御とローリング制御の規制を同時に行うことにより、簡便なシステムで対地作業機が上昇しているときの姿勢と耕耘開始時の姿勢の安定を両立させることができる。 【0019】 請求項7においては、外部アクチュエータの動作速度を制御することによって、対地作業機が地面と接触する際のショックを軽減すると共に、耕耘開始時の耕深の安定を速やかにすることを両立する。つまり、簡便なシステムで対地作業機の下降接地時のショックを軽減し、耕耘開始時の制御姿勢の安定を両立させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。 【実施例1】 【0021】 図1は本発明の第一実施例の形態に係るトラクタ1の概略構成外観図、図2はトラクタ1の制御系に関するブロック図、図3はトラクタ1における油圧回路図である。 【0022】 先ず、図1、図2および図3を用いて本発明の農用作業車の一例であるトラクタの概略構成について説明する。 1はトラクタで、機体の前後部に夫々前輪2・2と後輪3・3とを備え、ミッションケース4の後上部には油圧シリンダケース5を固着して設けている。 該油圧シリンダケース5内には、単動式油圧シリンダ6が設けられており、油圧シリンダケース5の左右両側には該油圧シリンダ6の伸縮により回動するリフトアーム7・7を配置している。 【0023】 また、トップリンク10、ロワーリンク11・11からなる3点リンク機構12の後端部には、対地作業機の一例であるロータリ耕耘装置14がリフトアーム7・7にて昇降自在に連結されている。 したがって、上記単動式油圧シリンダ6を伸縮させることによって、リフトアーム7・7に連結されるロータリ耕耘装置14が上昇又は下降制御されることになる。 リフトアーム7、7とロワーリンク11・11との間にはリフトロッド15と傾倒シリンダ18が介装されている。 【0024】 また、傾倒シリンダ18は複動式とし、後述する制御弁の切換で伸縮され、ロータリ耕耘装置14をローリング方向(左右方向)に傾動させることが可能となり、ロータリ耕耘装置14の水平(姿勢)制御を行うことが可能となる。 また、17は本機と作業機の間の左右相対を検出する手段であり、トラクタ1とロータリ耕耘装置14との間の相対的回動量を検出するストロークセンサで構成して、具体的には直線式のポテンショメータで構成されている。 このストロークセンサ17は、上記傾倒シリンダ18の横側部に配設され、該傾倒シリンダ18の伸縮量を検出することによって、上記相対的回動量を検出するものである。 16は、本機の任意位置、例えば、油圧シリンダケース5の横側部に取り付けられた傾斜センサであって、トラクタ1の左右の傾斜角度(即ち対地角度)を検出する対地検出手段の一例である。 【0025】 <ロータリ耕耘装置14の位置決めに関するもの> 20はポジション制御用の油圧昇降レバーであって、この油圧昇降レバー20の回動基部には、トラクタ1の後部に連結されているロータリ耕耘装置14の対地高さを設定するためのポテンショメータからなる対地高さ設定器21(図2参照)が取り付けられている。一方、片側リフトアーム7の回動基部にもポテンショメータからなる対地高さセンサ23(図2参照)が設けられ、油圧昇降レバー20にて設定された位置にリフトアーム7、7が回動してその設定位置に停止するように構成している。該対地高さセンサ23は回転型のポテンショメータやロータリエンコーダ等の回転センサにより、リフトアーム7の回動角度を検知することにより、ロータリ耕耘装置(作業機)14の高さを検出するようにしている。 【0026】 <ロータリ耕耘装置14に関して> ロータリ耕耘装置14について簡単に説明すると、ロータリ耕耘装置14は、耕耘爪を回動して耕耘する耕耘部34と、耕耘部34の上方を覆うトップリンクブラケット35と、トップリンクブラケット35の後部にリヤカバー36を枢支し、該リヤカバー36の回動基部に、リヤカバー36の角度を検出する耕深センサ37が設けられている。該耕深センサ37はリヤカバー36の角度を検出しても、ハンガーロッドの伸縮長さを検知する構成であっても良い。 【0027】 次に油圧回路について図3を用いて説明する。 <ロータリ耕耘装置14の左右の傾動に関する油圧系統> 油圧ポンプ25から送り出された作動圧油は、分流弁26により一部は上述した水平制御用の傾倒シリンダ18側に送られ、他はトラクタ1の後部に連結可能な作業機(例えば、上述したロータリ耕耘装置14)を昇降するためのリフトアーム7・7に連結される単動式油圧シリンダ6側に送られる。 ロータリ耕耘装置14の水平制御用の切換弁27は、3位置4ポート式の弁にて構成され、左側のソレノイド27aが励磁されると傾倒シリンダ18は伸長し、逆に右側のソレノイド27bが励磁されると短縮する。 前記切換弁27は、制御装置60(図2参照)からパルス信号を受信した場合に、ソレノイド27a又はソレノイド27bにパルス信号を流すことによって、制御される比例式電磁弁であって、電流値に比例するものである。 また、上記切換弁27は常態においては中立位置を保っており、傾斜センサ16によってトラクタ1の傾斜が検出された場合に、制御装置60は、ロータリ耕耘装置14を水平に維持すべく、上記何れかのソレノイド(27a・27b)を励磁することによって切換弁27を切り替える。 【0028】 <リフトアーム7の上昇、下降に関する油圧系統> 40はメインの油圧昇降回路の一部を構成する油路、42は上昇用比例制御弁、45は下降用比例制御弁である。 上昇用比例制御弁42は、パイロット圧を制御する第1制御弁47と、流量を制御する第2制御弁48とからなり、第1制御弁47のソレノイドに流す電流値をコントロールすることによって第2制御弁48に掛かるパイロット圧が変わり、上記単動式油圧シリンダ6に至る作動油の量がコントロールされる。 同様に、下降用比例制御弁45も、パイロット圧をコントロールする第1制御弁49と、流量制御する第2制御弁50とからなり、第1制御弁49のソレノイドに通電する電流値を変えることによって、第2制御弁50に掛かるパイロット圧が変わり、単動式油圧シリンダ6から作動油タンクに排出される作動油の量が制御される。 これらの上昇用、下降用の比例制御弁42・45は水平制御用の切換弁27と同様、1パルス当たりのON時間を変えて電流値をコントロールする(デューティ制御)ものである。 また、上記切換弁27、前記上昇用比例制御弁42、及び前記下降用比例制御弁45は、制御装置60より送出されるPWM(Pulse Width Modulation)信号によって、切り替えられる構成であっても良い。 このようにPWM信号によって切り替えられる構成であるので、例えば、対地高さ設定器21による設定値と対地高さセンサ23の検出値との間に偏差が生じた場合に、制御装置60は、該偏差が小さい場合には1パルス当たりのON時間(オンタイム)を短くしてPWM信号を送出し、他方、該偏差が大きい場合には1パルス当たりのON時間を長くしてPWM信号を送出するように構成しても良い。 【0029】 制御系の構成としては、トラクタ1においてロータリ耕耘装置14の相対角度のローリング制御等を行うための制御手段の一例である制御装置60には、図2に示すように、トラクタ1の左右の傾斜角度の変化速度を計測する角速度センサ19を具備している。 その他、制御装置60には、トラクタ1の後部に取り付けられるロータリ耕耘装置14等の対地作業機の取り付け幅等の連結状態に応じて切り替えを設定するための設定手段の一例である取付切替スイッチ59、シフト位置を検出するシフト位置センサ56、エンジン回転数センサ57、及びトラクタ1の車速を検出するための車速検出手段の一例である車速センサ70等が接続されている。(以下、「スイッチ」を「SW」と表記する) 更に、ロータリ耕耘装置14の耕耘深さを設定するための耕深設定器51、トラクタ1とロータリ耕耘装置14との相対角度やトラクタ1の傾斜角度を予め設定するための傾斜設定器52、対地作業機の昇降を簡便に行うためのSWとして上昇SW81および下降SW82も接続されている。 また、上記取付切替SW59、傾斜設定器52、上昇SW81、下降SW82等は、トラクタ1の運転席近傍のダッシュボードやメータパネルに設けられても良い。 【0030】 また、制御装置60の入力側にはA/D変換器55が設けられており、該A/D変換器55を介して、取付切替SW59、シフト位置センサ56、傾斜設定器52、耕深設定器51、対地高さ設定器21、対地高さセンサ23、耕深センサ37、ストロークセンサ17、傾斜センサ16、角速度センサ19等が制御装置60に接続されている。 また、上記A/D変換器55を介さずに該制御装置60に接続されるものとしては、エンジン回転数センサ57、モードSW61、車速センサ70、上昇SW81、下降SW82等がある。 また、上記制御装置60は、MPUやCPU等の中央演算装置より成るものであっても良い。 【0031】 また、制御装置60の出力側には、リフトアーム7、7を昇降回動させる上昇用比例制御弁42と下降用比例制御弁45、及び水平制御用の傾倒シリンダ18を伸長させるソレノイド27aと短縮させるソレノイド27bが接続されている。 以上が本発明の農用作業車の一例であるトラクタの概略構成についての説明である。 【0032】 <第一実施例のトラクタ1が行う一連の処理> 次に、図4、図5および図6を用いてトラクタ1が行う一連の処理について説明をする。 図4は制御系が行う一連の処理の一例を示したフローチャート、図5は第一実施例における図4に示した処理(ステップA)の詳細フローチャート、図6は第一実施例における図4に示した処理(ステップB)の詳細フローチャートである。 尚、以下の括弧を付した記載は各フロー図に示すステップ番号を表している。 まず、図4に示す如く、制御装置60は前述のスイッチ類やセンサ類の設定や検出位置等を読み込んで(ステップ1)、トラクタ1の状況を認識する。制御装置60はその検出結果に基づき、図5に示す(ステップA)に基づきリフトアーム7の上昇・下降に関する制御処理(昇降制御)を行い、図6に示す(ステップB)に基づき傾倒シリンダ18の伸縮に関する処理(傾斜角制御)を行う。 【0033】 次に、図5を用いて(ステップA)におけるリフトアーム7の昇降、即ちロータリ耕耘装置14の昇降に関する処理について説明をする。 この昇降は上昇モードと下降モードの2つのモードで構成されている。 例えば、上昇SW81が操作された場合(ステップA−30)には以後を上昇モードとして処理を行い、リフトアーム7を予め定められた上昇時目標位置まで駆動するべく上昇用比例制御弁42を駆動し、前記予め定められた上昇時目標位置に達した場合(ステップA−130)にはその対地高さを維持する。 或いは、下降SW82が操作された場合(ステップА−10)には以後を下降モードとして処理を行い、対地高さ設定器21により設定される対地高さの設定位置を目標として上昇用比例制御弁42、下降用比例制御弁45を駆動する。そして、リフトアーム7の対地高さが前記設定位置と一致した場合(ステップA−130)にはその対地高さを維持する。 【0034】 次に、前記下降モードの状態において、耕深センサ37が検知した耕耘深さ偏差の処理について説明をする。 図5に示す如く、耕深センサ37が検知した耕深が耕深設定器51により設定された目標値より深い場合(ステップA−90)には、制御装置60は上昇用比例制御弁42を駆動し、リフトアーム7を上昇方向に動作させて耕深を浅くする。また、耕深センサ37が検知した耕深が耕深設定器51により設定された目標値よりも浅い場合(ステップA−90)には、制御装置60は下降用比例制御弁45を駆動し、リフトアーム7を下降方向に動作させて耕深を深くする。但し、この下降駆動は対地高さ設定器21により設定された対地高さを下限とする。 【0035】 次に、図6を用いてロータリ耕耘装置14の昇降制御と同時に処理されるローリング方向の傾斜制御について説明を行う。 図6に示す如く、作業機下降SW82の操作されたことが認識されるか(ステップB−10)、または対地高さが高い位置から低い位置に変化したことを認識した場合(ステップB−20)には、トラクタ1本体とロータリ耕耘装置14が平行となる中立位置を基準として傾き制御の動作範囲を限定する処理を行う(ステップB−30)。この処理と同時にそれぞれの傾き制御に対する規制が最大で実行される時間を決定し、時間のカウントを開始する(ステップB−31)。前記動作範囲の限定(規制)処理は、具体的には、作業機を下降させた時に障害物に作業機の一部が当接した場合や本機が傾いた場合等で、左右傾斜角度が設定した角度からしきい値を超えた角度に変化した場合であっても、設定角度まで戻す制御に制限を加え、作業機が地面と平行な状態で下降させることである。 【0036】 次に、傾き制御に対して前述の如く規制処理が実行されている場合には、(ステップB−60)から(ステップB−110)に示す如く、動作範囲規制処理を解除するか否かの判定を行った後に制御偏差の演算を行い、規制が実行されていない場合には制御偏差の演算処理に移行する。規制処理が実行されている場合、(ステップB−31)で設定された時間が経過したか否かを判定して(ステップB−60)、経過している場合には規制処理を解除する(ステップB−61)。 即ち、耕深センサ37が検知する定時間あたりの耕深変化量が一定値(しきい値)以下であり耕深が安定していると判断されるか(ステップB−80)、または対地高さセンサ23が検知する定時間あたりの対地高さ変化量が一定値以下であれば(ステップB−90)、能動的に耕深制御を行う必要のない状態であると判断し規制処理を解除する(ステップB−110)ようにしている。 【0037】 また、(ステップB−120)において傾き偏差が計算されるが、(ステップB−30)によって傾き制御の動作範囲が規制されている場合には、通常の目標値との偏差が演算される。 以上が、第一実施例のトラクタ1が行う一連の処理についての説明である。 【0038】 以下に、トラクタ1の左右傾斜を検出する傾斜センサ16と該トラクタ1とロータリ耕耘装置14との相対角度を検出するストロークセンサ17とを併せ持つ検出手段を具備し、該検出手段に基づいて前記ロータリ耕耘装置14の相対角度を制御する制御手段を具備するトラクタ1において、前記検出手段が、前記ロータリ耕耘装置14を下降させて地表と接地する際には、前記トラクタ1と前記ロータリ耕耘装置14との相対角度を基準に動作範囲を規制すること、を特徴としたことについて説明をする。 【0039】 前述のとおり、図6に示す如く、作業機下降SW82の操作されたことが認識されるか(ステップB−10)、または対地高さが高い位置から低い位置に変化したことを認識した場合(ステップB−20)には、トラクタ1本体とロータリ耕耘装置14が平行となる中立位置を基準として傾き制御の動作範囲を限定(規制)する処理を行う(ステップB−30)。 つまり、下降モード(対地作業機を下降させるモード)においては、トラクタ1本体とロータリ耕耘装置14が平行となる中立位置を基準として傾き制御の動作範囲を規制(限定)する処理を行っている。 【0040】 即ち、ロータリ耕耘装置14の姿勢が、ロータリ耕耘装置14とトラクタ1との相対角度に基づき規制されることにより、ロータリ耕耘装置14の角度が地表面と平行に近い状態に維持されるため、ロータリ耕耘装置14等の対地作業機を用いた作業の開始段階において、耕深制御が収束しやすくなるのである。 またこれにより、ロータリ耕耘装置14等の対地作業機を用いた作業の作業精度を向上させることができるのである。 【0041】 以下に、前記制御手段が、ロータリ耕耘装置14の対地高さを検出する対地高さセンサ23を具備し、対地高さの変動が一定値以下に収束した状態が継続したときには、前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたことについて説明をする。 【0042】 前述のとおり、傾き制御に対して規制処理が実行されている場合に、対地高さセンサが検知する定時間あたりの対地高さ変化量が一定値以下であれば、能動的に耕深制御を行う必要のない状態であると判断し(ステップB−90)、規制処理を解除する(ステップB−110)ようにしている。つまり、対地高さに変動がなく設定角度の状態であること(即ち耕深制御動作の収束状態)を検知することで、対地作業機のローリング制御の規制を解除するようにしている。 【0043】 即ち、耕深安定後において対地作業機のローリング方向の傾き制御の精度を高めることができるのである。またこれにより、耕耘開始時における作業精度の向上と耕深安定後の傾き制御の精度確保を両立することを可能としているのである。 【0044】 以下に、前記制御手段が、ロータリ耕耘装置14の耕深を検出する耕深センサ37を具備し、耕深の変動が一定値以下に収束した状態が継続したときには、前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたことについて説明をする。 【0045】 前述のとおり、傾き制御に対して規制処理が実行されている場合に、耕深センサ37が検知する定時間あたりの耕深変化量が一定値以下であり耕深が安定していると判断される(ステップB−80)ときには、能動的に耕深制御を行う必要のない状態であると判断し規制処理を解除する(ステップB−110)ようにしている。 つまり、耕深の変動を検知することによって制御動作の安定を判断し、制御動作の安定を確認した場合には、ローリング方向の制御動作に対する規制を解除するようにしている。 【0046】 即ち、耕深安定後には対地作業機のローリング方向の傾き制御の精度を高めることができるのである。またこれにより、耕耘開始時における作業精度の向上と耕深安定後の傾き制御の精度確保を両立することを可能としているのである。 【0047】 以下に、前記制御手段が、対地高さセンサ23を具備し、ロータリ耕耘装置14が下降されてから一定(設定)時間後に前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたことについて説明をする。 【0048】 前述のとおり、対地高さが高い位置から低い位置に変化したことを認識し(ステップB−20)、傾き制御に対して規制処理が実行されている場合において、(ステップB−31)で設定された時間が経過したか否かを判定して、経過している場合には規制処理を解除する(ステップB−61)。 つまり、対地高さが非作業状態から作業状態の高さに人為的に変更された後に経過した時間を計測し、一定(設定)時間以上が経過したならば、対地作業機のローリング制御の規制を解除するようにしている。 【0049】 即ち、簡便な判断で規制解除を行うことが可能となるのと同時に、対地高さの検知が正常にできなくなった場合にもローリング制御の規制を解除することができるのである。またこれにより、制御動作を安定させることが可能となるのである。 【0050】 以下に、前記制御手段が、対地高さを変更するべく操作する手段を持ち、ロータリ耕耘装置14が下降操作されてから一定(設定)時間後に前記制御手段に対する規制を解除すること、を特徴としたことについて説明をする。 【0051】 前述のとおり、作業機下降SW82の操作されたことが認識され(ステップB−10)、傾き制御に対して規制処理が実行されている場合において、(ステップB−31)で設定された時間が経過したか否かを判定して(ステップB−60)、経過している場合には規制処理を解除する(ステップB−61)ようにしている。 つまり、対地高さが非作業状態(例えば、最上昇位置)から作業状態の高さ(例えば、最下降位置)になる時間を予め設定しておき、その設定時間以上が経過したならば、対地作業機のローリング制御の規制を解除する。 尚、本発明は、耕耘開始時に予測されるべく耕深が安定しない条件に対して、その制御収束を速やかにすることを目的としており、条件によってローリング制御の精度向上を放棄するものではない。よって、耕深制御開始後、一定(設定)時間が経過したならば、大きな変動はなく、耕深の変動は定常的であると判断して、ローリング制御を規制することなく行うことにより、作業精度の安定を可能にしている。なお、規制時間を設定するための設定器(図示せず)はA/D変換器55を介して制御装置60と接続されている。 尚、規制時間は予め固定の値を制御装置60に記憶させておいてもよく、設定器を用いて可能とする方式に限定するものではない。 【0052】 即ち、簡便な判断で規制解除を行うことが可能となるのである。 また、耕深開始後、一定(設定)時間が経過したならば、耕深の変動は定常的なものであると判断して、ローリング制御を規制することなく行うことにより、作業精度を安定させることができるのである。 【実施例2】 【0053】 次に、図7乃至図19を用いて、トラクタ1本機の基本構成は第一実施例と同様であるが、昇降制御の駆動源として比較的安価な油圧制御弁を用い、入力要素等を異なる構成とした本発明の第二実施例について説明をする。 尚、図7はトラクタ1の第二実施例における制御系に関するブロック図、図8はトラクタ1の第二実施例における油圧回路図、図9はトラクタ1の第二実施例におけるポジションリンク図、図10は上昇操作時のポジションリンク図、図11は下降操作時のポジションリンク図、図12は第二実施例におけるモータリンク図、図13は上昇操作時のモータリンク図、図14は第二実施例における耕深リンク図、図15は下降操作時の耕深リンク図、図16は、トラクタ1の第二実施例におけるリンク機構の正面図、図17はモータ位置センサ値により決定される傾き制御の動作範囲規制の例示図、図18は第二実施例における図4に示した処理(ステップA)の詳細フローチャート、図19は第二実施例における図4に示した処理(ステップB)の詳細フローチャートである。 【0054】 <第二実施例のトラクタ1が行う一連の処理> 図7および図8に示す如く、第二実施例における昇降制御の駆動源は、前記第一実施例において具備していた上昇用比例制御弁42および下降用比例制御弁45を省略し、その代わりとして油圧弁90を具備している。 また、制御装置60に接続される入力要素が第一実施例とは異なり、耕深センサ37および耕深設定器51は制御装置60には接続されない。またそれに加えて、前記油圧弁90も制御装置60には接続されない構成としている。 その代わりとして、耕深はリヤカバー36の回動により検知して油圧弁90を切り換える構成とし、後述するリンク動作に用いるモータ95と、モータ位置センサ85が制御装置60に接続される構成としている。 【0055】 図9乃至図11に示す如く、油圧弁90が油圧シリンダ6を収納する油圧シリンダケース5の側面に付設され、該油圧弁90は前後方向に伸縮動作可能とするスプール90aを具備しており、該スプール90aの一側が油圧弁90内に挿入されて油路を切換可能とし、他端にリンク機構を介して作業機を昇降操作する油圧昇降レバー20や作業機を設定深さ(高さ)に設定する耕深設定レバー74や昇降アクチュエータ(モータ95)と連結され、更に、フィードバックするためのリンク機構101・102を介してリフトアーム7とリヤカバー36に連結されている。 このスプール90aが後方に移動(短縮)したときにはリフトアーム7が下降方向に回動駆動され、また前方に伸長されたときにはリフトアーム7が上昇方向に油圧シリンダ6により回動駆動される。このスプール90aは油圧弁90に内蔵された図示しないバネの作用により、常時短縮方向に力が付勢されている。またスプール90aにはトラクタ1の左右方向に貫通する孔90bが形成されており、この貫通孔90bに挿通したスプリングピン(第一リンク軸75)により後述する第一連動リンク91および第二連動リンク100を回動可能に枢支している。 【0056】 次に、図9乃至図11および図16を用いて、油圧昇降レバー20によってリフトアーム7を昇降する方法について説明をする。 図9乃至図11および図16に示す如く、油圧弁90の側面に取付プレート89が固設されて前方に突出され、該取付プレート89の上部に第一リンク軸75の一端が固定されている。そして、該第一リンク軸75上に前記油圧昇降レバー20が取り付けられるレバーアーム22とモータ昇降レバー73と耕深設定レバー74が共通の軸心として回動自在に軸支されている。但し、レバーアーム22と耕深設定レバー74は第一リンク軸75上に外嵌した皿バネにより付勢されて、回動した位置を維持できるようにしている。前記レバーアーム22の基部22aはモータ昇降レバー73の上部に係合させており、該モータ昇降レバー73の下部に枢支ピン73aを枢支して、第一連動リンク91の上部を枢支している。該第一連動リンク91の上下中途部が第二リンク軸76に枢支され、該連動リンク91の下部がリンクレバー92の上部に突設した枢支ピン92bに枢支されている。そして、前記第二リンク軸76は前記スプール90aの前端と第二連動リンク100の中途部を枢支している。 【0057】 また、前記リンクレバー92は、前記取付プレート89の略中央部に固定されたリンク軸77を軸心として回動自在に枢支されており、該リンクレバー92の下端には第四リンク軸78を突設して第一リンクロッド93の前端を枢支している。一方、リフトアーム7の回動基部には軸支部7aが下方に突設されており、該軸支部7aにはピン孔7bが開口されている。そして、前記第一リンクロッド93後端に設けた枢支ピン93aの先端を前記ピン孔7bに挿入して回動自在に支持している。こうして、第一リンクロッド93の両端が各々回動自在に枢支されリンク機構101を構成している。 このように構成することにより、第一リンクロッド93はリフトアーム7の上昇時には後方へ引っ張られ、反対にリフトアーム7の下降時には前方へ押されるようにしている。 【0058】 このような構成において、油圧昇降レバー20(即ちレバーアーム22)を図9において時計回りに回動させた場合、即ち、上昇方向に回動すると、モータ昇降レバー73も時計回りに回動され、枢支ピン73aを介して第一連動リンク91を前方へ回動して、スプール90aをバネ力に抗して上昇側(前方)へ摺動させる。そして、このスプール90aの摺動により油圧弁90が切り換えられてリフトアーム7が上昇回動して作業機が持ち上げられる。このリフトアーム7の上昇回動に伴って、第一リンクロッド93が後方へ引っ張られ、リンクレバー92後方へ回動され、該リンクレバー92に連結された第一連動リンク91も後方へ回動され、スプール90aが後方へ摺動され、油圧弁90が中立位置に切り換えられると、リフトアーム7の上昇回動が停止される。つまり、油圧昇降レバー20により設定した高さまでリフトアーム7は回動して停止されるのである。 また、油圧昇降レバー20(即ちレバーアーム22)を反時計回り(下降側)に回動させた場合、モータ昇降レバー73も反時計回りに回動され、第一連度リンク91が後方へ回動されて、該第一連動リンク91に連結されたスプール90aも後方へ摺動されて、油圧弁90が下降側に切り換えられる。 前記油圧弁90の切り換えによりリフトアーム7が、図10に示す如く、下降すると、第一リンクロッド93は前方に押され、リンクレバー92が前方へ回動され、第一連動リンク91も前方へ回動してスプール90aは中立側に摺動され、油圧弁90が中立位置となると、下降は停止され、油圧昇降レバー20により設定した高さで停止されるのである。 【0059】 次に、図12、図13および図16を用いて、モータ95の駆動によりリフトアーム7を昇降する方法について説明をする。 図12および図16に示す如く、モータ95はミッションケースの側面等油圧弁90の下方に配置され、該モータ95のモータ軸(出力軸)95aにはモータアーム97の一端が固定されており、該モータアーム97の他端はモータリンクアーム96の下端に回動自在に枢支されている。該モータリンクアーム96は上方に延設されて、該モータアーム96の上部にはその長手方向に沿って長孔96aが開口され、該長孔96aに前記モータ昇降レバー73の上部に設けた摺動ピン73bが挿入されている。 このように構成することにより、モータ95を駆動しない状態では、前述のように、油圧昇降レバー20を操作して、モータ昇降レバー73が回動されても摺動ピン73bは長孔96a内を摺動するだけであって、回動操作を制限するものではない。そして、運転席等に配置した上昇スイッチ81を操作すると、モータ95が駆動されて、モータ軸95aが図13に示す反時計方向に回転され、モータアーム97が下方へ回動することにより、モータリンクアーム96が下方へ引き下げられて、これによりモータリンクアーム96に設けられた長孔96aと該長孔96aに挿通された摺動ピン73bが当接して、モータ昇降レバー73が時計方向に回動して、前記上昇回動操作と同様の動作をし、リフトアーム7が上昇回動される。 また、リフトアーム7が上昇位置にある時に、下降スイッチ82を操作すると、モータ95は前記と逆方向に回動され、モータ軸95aが図13に示す時計方向に回転され、モータアーム97が上方へ回動することにより、モータリンクアーム96が上方へ引き上げられて、これによりモータリンクアーム96に設けられた長孔96aと該長孔96aに挿通された摺動ピン73bが当接して、モータ昇降レバー73が反時計方向に回動して、前記下降回動操作と同様の動作をし、リフトアーム7が下降回動される。 【0060】 次に、図14、図15および図16を用いて、耕深の制御について説明を行う。 図14、図15および図16に示す如く、ミッションケースの後面より後方に突設したトップリンクブラケット35の側面に第三リンク軸83が突設され、該第三リンク軸83にベルクランク状の連動アーム98の中途部が枢支されている。該連動アーム98の後側先端には、プッシュプルワイヤ等を介してリヤカバー36の回動部と連結され、リヤカバー36の動き(上下回動)が伝えられるようにしており、耕深が変化するとリヤカバー36が回動して連動アーム98の角度も変更されるようにしている。 【0061】 また、前記連動アーム98の他方(前側)の先端には第二リンクロッド99の後部が枢結され、該第二リンクロッド99の前端は第二連動リンク100の下部に第五リンク軸79を軸心として回動自在に枢支されている。上下方向に配置した該第二連動リンク100の上下略中央部には略長方形の孔100aが開口されており、この孔100aに前記油圧弁90のスプール90aに枢支される第二リンク軸76が挿通されている。該孔100aは枢支軸80を中心として第二リンク76が円弧方向に移動可能な大きさとしている。該第二連動リンク100の上部に枢支軸80を介して耕深設定レバー74の下端と回転自在に枢結されている。 このような構成において、耕深設定レバー74を回動することにより枢支軸80の位置が前後に変更されて、第二連動リンク100とスプール90とリヤカバー36の角度との相対位置を変化させて耕深を設定することができる。具体的には、作業機を下降させた作業状態で、設定した深さで作業しているときに、圃場の土質等で作業機が設定深さよりも深くなると、リヤカバー36が上昇回動して、ワイヤーが引っ張られて、連動アーム98が図15に示すように下方へ回動される。該連動アーム98の下方回動により第二リンクロッド99が前方へ押され、第二連動リンク100が前方へ回動され、孔100aに係止された第二リンク軸76を介して油圧弁90のスプール90aが前方へ摺動され、油圧弁90は上昇側に切り換えられる。 この油圧弁90の切り換えによりリフトアーム7が上昇回動して作業機が上昇される。この作業機の上昇によりリヤカバー36は下方に回動し、ワイヤーを介して連動アーム98は上方へ回動され、該連動アーム98に連結した第二リンクロッド99が後方へ引っ張られて、該第二リンクロッド99に連結した第二連動リンク100が後方へ回動する。そして、耕深設定レバー74で設定した位置まで戻ると、スプール90aは中立位置に戻り上昇は停止される。逆に、作業機が持ち上げられてリヤカバー36が下方へ回動すると、連動アーム98は上方へ回動され、第二リンクロッド99を介して第二連動リンク100は後方へ回動され、第二リンク軸76は孔100a内を摺動する。このとき、スプール90はバネにより後方へ摺動するように付勢されているため、スプール90aは後方(下降方向)へ摺動し、油圧弁90は下降側に切り換えられる。この作業機の下降により、リヤカバー36は上昇回動し、連動アーム98が下方へ回動し、前記同様のリンク動作で、耕深設定レバー74により設定した位置で、スプール90aは中立に戻り、作業機は設定した深さに落ち着く。こうして耕深制御が行われる。なお、耕深制御時は前記油圧昇降レバー20は最下降位置に回動しておく。 【0062】 次に、前述のような構成の油圧システムに対する処理について説明をする。 モータ軸95aの回転位置を検知するモータ位置センサ85(例えばポテンショメータなど)がモータ95近傍に設置されている。該モータ位置センサ85で検知されるモータ軸95aの回転位置に応じて図17に示すように作業機の傾き制御の動作範囲を予め定めておく。なお、この場合モータ95は通電しない状態ではモータ軸95aは回転自在であり、モータ昇降レバー73とモータリンクアーム96は枢結されて、モータ位置センサ85でリフトアーム7の回動角を検知する構成としている。 モータ位置センサ85の検知した値(即ち、モータ軸95aの回転位置)から、リフトアーム7が上限高さ近くまで上昇していると判断される場合には、傾き制御の動作範囲を最小値に設定し、またモータ位置センサ85の検知した値から、リフトアーム7が中間域まで上昇していると判断される場合には、その検知した値に応じて傾き制御の動作範囲を比例的に変化させ、また、またモータ位置センサ85の検知した値から、リフトアーム7が前記中間域よりも低いと判断される場合には、傾き制御の動作範囲を最大値に設定するようにしている。 【0063】 図18に示す如く、第二実施例での(ステップA)における作業機の昇降制御は、モータ軸95aの回転位置(角度)を規定位置(角度)に一致させるように制御を行う。 また、最後にSW操作されたのが下降SW82であったか、上昇SW81であったかを判別し、下降SW82であったならば下降操作側に(ステップA−210)、上昇SW81であったならば、上昇操作側に(ステップA−220)それぞれモータ95を駆動する。下降時には目標停止位置近傍になるに従いPWM制御によって出力量を小さくして回転速度を遅くすることとする。 【0064】 すると、作業機を上下に駆動するモータリンクアーム96の昇降速度も、リフトアーム7の回動速度も遅くなるためスプール90aの摺動速度も遅くなり、作業機が低速で下降されるために接地時のショックが小さく、運転者に負担をかけないとともに耕耘開始時にリヤカバー36の傾きが緩やかに変化するため、耕深制御が安定しやすい。 この時、モータ軸95aの回転位置(角度)により図17に示す如く傾き制御の動作範囲は規制されている。つまり、作業機の上昇端近傍では本機と平行な原点位置近傍の角度のみ傾倒可能であり、中間域から傾き制御の範囲が広げられ、耕耘等の作業を行なえる中間域より下方から下端位置までは最大限、つまり、傾斜シリンダ18の作動範囲(フルストローク)で傾倒制御を可能としている。よって、地面に平行に近い状態で耕耘が開始され、耕深制御が速やかに安定することを助ける。 【0065】 その後、モータ軸95aは目標角度まで回転するが、前述のリヤカバー36が接地すると上方へ回動されるので、フィードバックリンク機構102を介して第二連動リンク100が上昇側へ回動され、目標の耕深位置付近でスプール90aが中立位置となって収束すべくリヤカバーは上下動作をはじめる。但し、図19に示す如く、(ステップB)における傾き偏差の計算結果により、モータ位置センサ値に対して定められた傾き制御の動作範囲を最大値とする規制が行われており、モータ軸95aの回転位置が最終的な下降目標位置に達するまでは作業機の傾き範囲の規制を行っている。モータ軸95aの回転位置が最終的な目標位置に達すると、作業機は動作範囲を規制されなくなり(ステップB−210)、通常の傾き制御が始まる。 【0066】 即ち、モータ軸95aの回転角速度とモータ軸95aの回転角度による規制範囲を良好に調整することにより、耕深制御が速やかに安定することを助ける。 【0067】 また、図17に示す如く、リフトアーム7が上昇位置にあると判断される回転角度にモータ軸95aがある場合には、作業機の動作範囲が限定されることから、(特許文献3)に示されるような上昇時の作業機姿勢の安定もあわせて簡便な方法で実現することができる。 以上が、第二実施例のトラクタ1が行う一連の処理についての説明である。 【0068】 以下に、前記制御手段が、前記リンク機構101を手動操作する油圧操作レバー20と、前記リンク機構101を駆動するモータ95のモータ軸95aの動作位置を検出するモータ位置センサ85と、を具備し、前記モータ軸95aの動作位置に応じて前記制御手段に対する規制範囲を定めること、を特徴としたことについて説明をする。 【0069】 前述したとおり、油圧昇降レバー20(即ちレバーアーム22)を図9において時計回りに回動させた場合、即ち、上昇方向に回動すると、モータ昇降レバー73も時計回りに回動され、枢支ピン73aを介して第一連動リンク91を前方へ回動して、スプール90aをバネ力に抗して上昇側(前方)へ摺動させる。そして、油圧弁90が切り換えられてリフトアーム7が上昇回動すると、第一リンクロッド93が後方へ引っ張られ、リンクレバー92後方へ回動され、該リンクレバー92に連結された第一連動リンク91も後方へ回動され、スプール90aが後方へ摺動され、油圧弁90が中立位置に切り換えられると、リフトアーム7の上昇回動が停止される。つまり、油圧昇降レバー20により設定した高さまでリフトアーム7は回動して停止されるのである。 また、油圧昇降レバー20(即ちレバーアーム22)を反時計回り(下降側)に回動させた場合、モータ昇降レバー73も反時計回りに回動され、第一連度リンク91が後方へ回動されて、該第一連動リンク91に連結されたスプール90aも後方へ摺動されて、油圧弁90が下降側に切り換えられる。 前記油圧弁90の切り換えによりリフトアーム7が、図10に示す如く、下降すると、第一リンクロッド93は前方に押され、リンクレバー92が前方へ回動され、第一連動リンク91も前方へ回動してスプール90aは中立側に摺動され、油圧弁90が中立位置となると、下降は停止され、油圧昇降レバー20により設定した高さで停止されるのである。 【0070】 また、図12および図16に示す如く、モータ95はミッションケースの側面等油圧弁90の下方に配置され、該モータ95のモータ軸(出力軸)95aにはモータアーム97の一端が固定されており、該モータアーム97の他端はモータリンクアーム96の下端に回動自在に枢支されている。該モータリンクアーム96は上方に延設されて、該モータアーム96の上部にはその長手方向に沿って長孔96aが開口され、該長孔96aに前記モータ昇降レバー73の上部に設けた摺動ピン73bが挿入されている。 このように構成することにより、モータ95を駆動しない状態では、前述のように、油圧昇降レバー20を操作して、モータ昇降レバー73が回動されても摺動ピン73bは長孔96a内を摺動するだけであって、回動操作を制限するものではない。そして、運転席等に配置した上昇スイッチ81を操作すると、モータ95が駆動されて、モータ軸95aが図13に示す反時計方向に回転され、モータアーム97が下方へ回動することにより、モータリンクアーム96が下方へ引き下げられて、これによりモータリンクアーム96に設けられた長孔96aと該長孔96aに挿通された摺動ピン73bが当接して、モータ昇降レバー73が時計方向に回動して、前記上昇回動操作と同様の動作をし、リフトアーム7が上昇回動される。 また、リフトアーム7が上昇位置にある時に、下降スイッチ82を操作すると、モータ95は前記と逆方向に回動され、モータ軸95aが図13に示す時計方向に回転され、モータアーム97が上方へ回動することにより、モータリンクアーム96が上方へ引き上げられて、これによりモータリンクアーム96に設けられた長孔96aと該長孔96aに挿通された摺動ピン73bが当接して、モータ昇降レバー73が反時計方向に回動して、前記下降回動操作と同様の動作をし、リフトアーム7が下降回動される。 【0071】 また、傾き制御については、以下のような処理を行うようにしている。 モータ軸95aの回転位置を検知するモータ位置センサ85(例えばポテンショメータなど)がモータ95近傍に設置されており、該モータ位置センサ85で検知されるモータ軸95aの回転位置に応じて図17に示すように作業機の傾き制御の動作範囲を予め定めておく。 モータ位置センサ85の検知した値(即ち、モータ軸95aの回転位置)から、リフトアーム7が上限高さ近くまで上昇していると判断される場合には、傾き制御の動作範囲を最小値に設定し、またモータ位置センサ85の検知した値から、リフトアーム7が中間域まで上昇していると判断される場合には、その検知した値に応じて傾き制御の動作範囲を比例的に変化させ、また、モータ位置センサ85の検知した値から、リフトアーム7が前記中間域よりも低いと判断される場合には、傾き制御の動作範囲を最大値に設定するようにしている。 【0072】 即ち、外部アクチュエータによる昇降制御とローリング制御の規制を同時に行うことにより、簡便なシステムで対地作業機が上昇しているときの姿勢と耕耘開始時の姿勢の安定を両立させることができるのである。 【0073】 以下に、前記制御手段が、前記モータ95の動作に対する速度制御手段を具備すること、を特徴としたことについて説明をする。 【0074】 図18に示す如く、第二実施例での(ステップA)における作業機の昇降制御は、モータ軸95aの回転位置(角度)を規定位置(角度)に一致させるように制御を行う。 また、最後にSW操作されたのが下降SW82であったか、上昇SW81であったかを判別し、下降SW82であったならば下降操作側に、上昇SW81であったならば、上昇操作側にモータ95を駆動する。下降時には目標停止位置近傍になるに従いPWM制御によって出力量を小さくして回転速度を遅くすることとする。 【0075】 すると、作業機を上下に駆動するモータリンクアーム96の昇降速度も、リフトアーム7の回動速度も遅くなるためスプール90aの摺動速度も遅くなり、リヤカバー36からもフィードバックされ、作業機が低速で下降されるために接地時のショックが小さく、運転者に負担をかけないとともに耕耘開始時にリヤカバー36の傾きが緩やかに変化するため、耕深制御が安定しやすい。 この時、モータ軸95aの回転位置(角度)により図17に示す如く傾き制御の動作範囲は規制されている。つまり、作業機の上昇端近傍では本機と平行な原点位置近傍の角度のみ傾倒可能であり、中間域から傾き制御の範囲が広げられ、耕耘等の作業を行なえる中間域より下方から下端位置までは最大限、つまり、傾斜シリンダ18の作動範囲(フルストローク)で傾倒制御を可能としている。よって、地面に平行に近い状態で耕耘が開始され、耕深制御が速やかに安定することを助ける。 【0076】 即ち、モータ95の動作速度を制御することによって、対地作業機が地面と接触する際のショックを軽減すると共に、耕耘開始時の耕深の安定を速やかにすることを両立させることができるのである。つまり、簡便なシステムで対地作業機の下降接地時のショックを軽減し、耕耘開始時の制御姿勢の安定を両立させることができるのである。 【図面の簡単な説明】 【0077】 【図1】本発明の実施の形態に係るトラクタ1の概略構成外観図。 【図2】トラクタ1の制御系に関するブロック図。 【図3】トラクタ1における油圧回路図。 【図4】制御系が行う一連の処理の一例を示したフローチャート。 【図5】第一実施例における図4に示した処理(ステップA)の詳細フローチャート。 【図6】第一実施例における図4に示した処理(ステップB)の詳細フローチャート。 【図7】トラクタ1の第二実施例における制御系に関するブロック図。 【図8】トラクタ1の第二実施例における油圧回路図。 【図9】トラクタ1の第二実施例におけるポジションリンク図。 【図10】上昇操作時のポジションリンク図。 【図11】下降操作時のポジションリンク図。 【図12】トラクタ1の第二実施例におけるモータリンク図。 【図13】下降操作時のモータリンク図。 【図14】トラクタ1の第二実施例における耕深リンク図。 【図15】下降操作時の耕深リンク図。 【図16】トラクタ1の第二実施例におけるリンク機構の正面図。 【図17】モータ位置センサ値により決定される傾き制御の動作範囲規制の例示図。 【図18】第二実施例における図4に示した処理(ステップA)の詳細フローチャート。 【図19】第二実施例における図4に示した処理(ステップB)の詳細フローチャート。 【符号の説明】 【0078】 1 トラクタ 14 ロータリ耕耘装置 16 傾斜センサ 17 ストロークセンサ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000198330 【氏名又は名称】石川島芝浦機械株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年10月7日(2005.10.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2007−97546(P2007−97546A) |
| 【公開日】 |
平成19年4月19日(2007.4.19) |
| 【出願番号】 |
特願2005−295454(P2005−295454) |
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