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【発明の名称】 農作業車の作業装置昇降構造
【発明者】 【氏名】宮西 吉秀

【氏名】藤井 健次

【要約】 【課題】乗用田植機などの作業装置を連結するリンク機構の高さの位置合せを容易に行なえるようにするとともに、その連結作業を容易に確実に行なえるようにした農作業車の作業装置昇降構造を提供する。

【解決手段】リンク機構を昇降させるアクチュエータ4の駆動速度を高低に切り換える手段を備えるとともに、作業装置がリンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを判別するための装着状態検出手段22を備え、装着状態検出手段22の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結状態であることを判別したときに、昇降操作具12の昇降操作でアクチュエータ4を低速駆動させてリンク機構をゆっくりと昇降させて位置合わせを行い連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、前記リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいて前記アクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造において、
前記アクチュエータの駆動速度を変更する手段を備え、前記作業装置が前記リンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを検出するための装着状態検出手段を備え、
前記制御手段は前記装着状態検出手段の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときには前記アクチュエータの駆動速度を低速に設定することを特徴とする農作業車の作業装置昇降構造。
【請求項2】
走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、前記リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいて前記アクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造において、
前記アクチュエータの駆動速度を変更する手段を備え、前記作業装置が前記リンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを検出するための装着状態検出手段を備え、
前記制御手段は前記装着状態検出手段の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときには前記アクチュエータの駆動速度を低速に設定するとともに、前記昇降操作具の操作により前記リンク機構の対機体高さを前記作業装置の着脱に適した位置まで作動させることを特徴とする農作業車の作業装置昇降構造。
【請求項3】
走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、前記リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいて前記アクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造において、
前記リンク機構の対機体高さを検出する対機体高さ検出手段と前記リンク機構の対機体高さを設定する設定手段を備え、
前記アクチュエータの駆動速度を変更する手段を備え、前記作業装置が前記リンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを検出するための装着状態検出手段を備え、
前記制御手段は前記装着状態検出手段の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときには前記アクチュエータの駆動速度を低速に設定するとともに、前記リンク機構の対機体高さが前記作業装置の着脱に適した位置となる設定値に設定され、前記昇降操作具の操作により前記対機体高さ検出手段による検出値が前記設定値に一致するように前記アクチュエータを作動制御させることを特徴とする農作業車の作業装置昇降構造。
【請求項4】
前記リンク機構を微小作動させる微調整用設定器を備えてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農作業車の作業装置昇降構造。
【請求項5】
前記微調整用設定器の操作により前記リンク機構を昇降させる前記アクチュエータを間歇的に駆動させて前記リンク機構を間歇的に徐々に作動させることを特徴とする請求項4記載の農作業車の作業装置昇降構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、前記リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいて前記アクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の農作業車には特許文献1に示されているように、走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結し、リンク機構の対機体高さを検出する対機体高さ検出手段と対機体高さを設定する設定器を備えるともに、対機体高さ検出手段の検出値が、走行機体に備えた設定器による設定値に合致するように駆動制御するようにアクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えたものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開平7−203720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の農作業車では、作業装置を走行車体に装着したときも走行車体から作業装置を離脱した状態のときも、リンク機構を昇降させる駆動速度は考慮されていなかったので、リンク機構の後部に作業装置を装着するためにリンク機構の高さの位置合せをするのにリンク機構が比較的速く昇降して、最適な高さにぴったりと位置合せするのが難しく装着作業が煩わしく手間の掛かるものとなっていた点などで不利になっていた。リンク機構の昇降速度は、作業装置を装着するときなど、作業装置を離脱させた無負荷の状態で昇降させるときにより速くなり、これが装着作業を煩わせる大きな原因ともなっていた。
【0005】
本発明の第1の目的は、作業装置と連結するリンク機構の高さの位置合せを行ないやすくすることにある。第2の目的は、作業装置をリンク機構に接続するためのリンク機構の高さの位置合せ並びにその連結作業を行ないやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
本発明の第1の特徴(請求項1)は、走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいてアクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造において、アクチュエータの駆動速度を変更する手段を備え、作業装置がリンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを判別するための装着状態検出手段を備え、制御手段は装着状態検出手段の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときにはアクチュエータの駆動速度が低速になるように設定する点にある。
【0007】
〔作用〕
上記第1の特徴によると、非連結の第2モードの状態であるときには、アクチュエータが低速で駆動されリンク機構が低速でゆっくりと上昇または下降するので、リンク機構と作業装置との高さの位置合わせがやり易い。
【0008】
〔発明の効果〕
上記第1の発明では、リンク機構と作業装置との位置合わせがやり易いので、連結作業を楽に行うことができる利点がある。
【0009】
〔第2発明の構成〕
本発明の第2の特徴(請求項2)は、走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいてアクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造において、アクチュエータの駆動速度を変更する手段を備え、作業装置がリンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを検出するための装着状態検出手段を備え、制御手段は装着状態検出手段の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときにはアクチュエータの駆動速度を低速に設定するとともに、昇降操作具の操作によりリンク機構の対機体高さを作業装置の着脱に適した位置まで作動させるようにした点にある。
【0010】
〔作用〕
上記第2の特徴によると、非連結の第2モードの状態であることを判別しているときに、昇降操作具を操作するとアクチュエータが低速で駆動されリンク機構が低速でゆっくりと昇降してリンク機構と作業装置との高さの位置合わせが自動的に行なわれる。そして、リンク機構の昇降速度が低速なので、連結作業を容易に確実に行うことができる。
【0011】
〔発明の効果〕
上記第2の発明では、リンク機構と作業装置との高さの位置合わせが自動的に行なわれ、リンク機構を作業装置に連結する動きもゆっくりなので連結作業を容易に確実に行うことができるとともに、能率的に連結することができる。
【0012】
〔第3発明の構成〕
本発明の第3の特徴(請求項3)は、走行機体の後部にアクチュエータの駆動により昇降するリンク機構を連結し、リンク機構の後部に作業装置を着脱自在に連結して、リンク機構を昇降させる昇降操作具の操作に基づいてアクチュエータを正逆に駆動制御する制御手段を備えた農作業車の作業装置昇降構造において、リンク機構の対機体高さを検出する対機体高さ検出手段とリンク機構の対機体高さを設定する設定手段を備え、アクチュエータの駆動速度を変更する手段を備え、作業装置がリンク機構の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを検出するための装着状態検出手段を備え、制御手段は装着状態検出手段の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときにはアクチュエータの駆動速度を低速に設定するとともに、リンク機構の対機体高さが作業装置の着脱に適した位置となる設定値に設定され、昇降操作具の操作により対機体高さ検出手段による検出値が設定値に一致するようにアクチュエータを作動制御させるようにした点にある。
【0013】
〔作用〕
上記第3の特徴によると、非連結の第2モードの状態であるときには、昇降操作具の操作により対機体高さ検出手段による検出値が作業装置の着脱に適した位置となるように設定された設定値に一致するようにアクチュエータが低速で駆動され、リンク機構が低速でゆっくりと昇降して、リンク機構と作業装置との高さの位置合わせが自動的に行なわれる。そして、リンク機構の昇降速度が低速なので、連結作業を容易に確実に行うことができる。
【0014】
〔発明の効果〕
上記第3の発明では、リンク機構の対機体高さが、設定された高さと一致するように自動的に位置合わせが行なわれるとともに、リンク機構の昇降速度が低速なので、連結作業を容易に確実に行うことができる。
【0015】
〔第4発明の構成〕
本発明の第4の特徴(請求項4)は請求項1〜3のいずれかに係る発明において、リンク機構を微小作動させる微調整用設定器を備えてある点にある。
【0016】
〔作用〕
上記第4の特徴によると、リンク機構を微小作動させる微調整用設定器の操作により作業装置に連結するリンク機構の高さ位置を微小作動させて位置合わせを行なう。
【0017】
〔発明の効果〕
上記第4の発明では、微調整用設定器の操作によりリンク機構の高さを微調整できるので、作業装置に連結するリンク機構の高さの位置合わせを行いやり易い。
【0018】
〔第5発明の構成〕
本発明の第5の特徴(請求項5)は請求項4に係る発明において、昇降操作具の操作によりリンク機構を昇降させるアクチュエータを間歇的に駆動させてリンク機構を間歇的に徐々に作動させるようにした点にある。
【0019】
〔作用〕
上記第5の特徴によると、昇降操作具の操作によりリンク機構を昇降させるアクチュエータを間歇的に駆動させて、リンク機構を間歇的に徐々に作動させるインチング作動をするようにしてあるので、連結中に連結不良を起すことなく連結が確実に行なわれる。
【0020】
〔発明の効果〕
上記第5の発明では、連結中に連結不良を起すことなく連結が確実に行なわれるので作業性がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、乗用型走行機体1の後部に平行四連リンク機構2を介して苗植付装置3〔作業装置の一例〕を油圧式のリフトシリンダ4〔アクチュエータの一例〕により駆動昇降自在に連結して農作業機の一例である乗用型田植機を構成してある。
【0022】
前記苗植付装置3は、一定ストロークで往復横移動する苗のせ台5、苗のせ台5の下端部から苗を一株ずつ取り出して植付ける植付機構6、後部支点周りで上下揺動自在に支持される複数の接地フロート7等を備えて構成され、エンジン8の動力が変速装置により変速された後、電動モータ9により入り切り操作される植付クラッチ10を介して供給されて植付け作動を行うよう構成してある。前記苗植付装置3は、運転座席11の横側に手動で前後揺動操作自在に設けられた操作レバー12〔昇降操作具の一例〕の切り換え操作によって昇降操作されるよう構成してある。
【0023】
操作レバー12は、図2に示すように、「植付」位置、「下降」位置、「中立」位置、「上昇」位置及び「自動」位置の夫々に切り換え操作可能に構成され、その切り換え操作は、前後揺動量をポテンショメータ型レバーセンサ13により検出して、マイクロコンピュータを備えた制御装置14〔制御手段の一例〕によりレバーセンサ13の検出値のレベル判断によって行われる。つまり、制御装置14はそのレベル判断に基づいて、「植付」位置にあれば、苗植付装置3が接地下降した状態で植付クラッチ10をクラッチ入り操作させ、「下降」位置にあれば、植付クラッチ切り状態で苗植付装置3を接地下降させる。「中立」位置であればそのまま位置保持し、「上昇」位置であれば苗植付装置3を設定高さまで強制上昇させる。そして、「自動」位置に切り換え操作されると、後述するような、昇降操作スイッチ15による昇降操作を行うことができるとともに、ポジション制御を行うことができる。
【0024】
機体操縦部におけるステアリングハンドル16の下方側に指操作自在な操作具17が設けられ、この操作具17は戻し付勢された中立位置から下方側に揺動操作すると、昇降操作スイッチ15の下降側接点が入り作動して操作具17は中立位置に復帰し、上方側に揺動操作すると、昇降操作スイッチ15の上昇側接点が入り作動して操作具17は中立位置に復帰する。操作具17を上方に操作すると最大上昇位置まで苗植付装置3が上昇し、下方に操作すると苗植付装置3が接地するまで下降するように、制御装置14が電磁制御弁Vを切り換え制御する。尚、苗植付作業中に操作具17を上方に操作すると電動モータ9が作動して植付クラッチ10が切れ、操作具17を下方に操作して苗植付装置3が下降しフロート7が接地したことを検出すると植付クラッチ10が入るようにしてある。
【0025】
苗植付装置3が最大上昇位置まで上昇したことの検出は、リンク機構2の機体側枢支部分に設けられ、リンク機構2の相対角度変位つまり、対機体高さを検出するポテンショメータ型のリンクセンサ19の検出情報に基づいて判断される。上記したような昇降操作スイッチ15による苗植付装置3の昇降制御は、操作レバー12が「自動」位置に操作されている場合においてのみ行われるよう構成してある。又、操作具17は中立位置から前方側または後方側に操作すると右用または左用のマーカスイッチ26が入って収納姿勢にある右または左のマーカ27,28が線引き作用姿勢に下降するように構成されている。
【0026】
植付け作業中において、苗植付装置3の対地高さが設定値に維持されるべく自動昇降制御する昇降制御手段Aが制御装置14に制御プログラムで備えられる。つまり、図2に示すように、左右中央に位置する接地フロート7の接地圧変動に基づく上下揺動量を検出するポテンショメータ型フロートセンサ18〔接地式対地高さ検出手段の一例〕をコネクター22及びハーネス23,24を介して制御装置14に接続し、このフロートセンサ18の検出値が、操縦部パネル20に設けられたダイヤル式のポテンショメータ型感度設定器21で設定された設定値に合致するよう、制御装置14がリフトシリンダ4に対する電磁制御弁Vを自動で切り換え制御することで、苗植付装置3の対地高さが設定値に維持されることになる。前記感度設定器21には1〜7の目盛りを備えてあり、泥土の硬軟に応じて設定値を選択して接地フロート7の目標基準姿勢を変更させて、接地フロート7の感知荷重を変更させるのである。
【0027】
設定器21は複数の機能を兼ねており、ポジションモードスイッチ25がオフ状態で、フロートセンサ18に接続されたコネクター22が接続されているときに、接地フロート7の目標基準姿勢を変更するための感度設定器21として機能する。設定器21は、ポジションモードスイッチ25がオンのときは、コネクター22が接続・離脱状態に拘らず、「硬」から「軟」の操作範囲で「最下降位置」から「最上昇位置」までの範囲のポジション制御が行なえるポジション設定器として機能する。ポジションモードスイッチ25がオフ状態で、コネクター22が離脱状態にあるときに、ダイヤル式の設定器21の目盛りが4の「目標値」の位置にあると、標準装備される苗植付装置3が装着されるときの最適なリンク高さの目標値が与えられて、前記操作具17による下降操作により、リンク機構2が自動的に目標高さまで移動して停止する。ポジションモードスイッチ25がオフ状態で、コネクター22が離脱状態にあるときに、設定器21が「目標値」位置以外の位置にセットされているときは「目標値」の位置にセットし、この状態で操作具17を下降操作する。
【0028】
上記「目標値」は、ポジションモードスイッチ25がオフでコネクター22が離脱状態のときにのみ、ロータリ式の押しボタンスイッチ33によって3つの標準高さを選択することができる。ポジションモードスイッチ25がオフでコネクター22が離脱状態のときに押しボタンスイッチ33を押したときに青色のランプ34が点灯すると、標準装備の苗植付装置3を装着するときに適した高さの目標値が選択される。スイッチ33をもう一度押すと橙色のランプ35が点灯し、溝切り器を装着するときに適した高さの目標値が選択される。スイッチ33を更にもう一度押すと黄色のランプ36が点灯し、予め設定された任意の目標高さ(出荷時は地上75cm)としての目標値が選択される。この目標高さは、利用者が任意に選択設定できるようになっている。この任意の設定は、リンク機構2の連結部37の高さを操作レバー12の操作で所望高さにした状態で、操作具17を前方に操作して右マーカ接点をオン状態にしたままスイッチ33を押圧すると設定されるように構成されている。
尚、図3の符号38はリンク機構2から外した苗植付装置3を載置するための支持台である。
【0029】
リンク機構2が目標値の位置まで移動した状態で、少しだけ上昇または下降させたいときは、「目標値」の感度設定用の目盛り4(その上に表示の位置目盛り0)の位置から下降(1,2,3)位置又は上昇(1,2,3)位置にセットする。「目標値」位置から離れる程、移動量が1cm、2cm、3cmと大きくなる。設定器21のダイヤル操作位置は、その中間位置でも設定可能である。3cm以上大きく移動させたいときは、二つの方法がある。ひとつは、設定器21を「目標値」の位置にセットした状態で、操作レバー12で昇降操作した後、設定器21を操作して微調整をする。第2の方法は、例えば5cm程上昇させるときは、設定器21を上3の位置にセットして3cm上昇させた後、設定器21を一旦「目標値0」に戻してリセットした後、再度上2の位置にセットすると残り2cm上昇して停止する。下降させるときは同様に下降(1,2,3)の位置を選択して行なう。
ポジションモードスイッチ25がオフ状態で、コネクター22が離脱した状態にあるときは、設定器21は上記のように高さを微調整する設定器(以下、微調整用設定器という)として機能する。
【0030】
前記微調整用設定器21の操作により、リンク機構2を昇降させるリフトシリンダ4を間歇的に駆動させてリンク機構2を間歇的に徐々に作動させるインチング作動をするようにしてある。これにより、苗植付装置3の離脱並びに連結が行ない易くなる。
【0031】
この田植機では、苗植付装置3に代えて例えば溝切り器等の別の作業装置を連結して作業を行う場合においても、作業装置を任意の対機体高さに変更調節できるよう構成してある。詳述すると、ポジションモードスイッチ25がオンの状態であるかオフの状態であるかを判別し、且つ苗植付装置3が連結された状態であるか取り外された状態であるかを判別し、これらの判別に基づいて制御装置14が制御状態を自動で切り換えるモード切換手段Bを制御プログラムで備えてある。つまり、苗植付装置3をリンク機構2から取り外す場合には前記フロートセンサ18から制御装置14への接続配線を途中のコネクター22において分離させる必要があるが、ポジションモードスイッチ25がオフの状態において、コネクター22の接続が解除された場合、各接続端子における入力電圧が制御動作範囲から外れるので、その電圧レベル判断より、制御装置14が昇降制御手段Aによる制御状態〔第1モード〕からリンク機構2をインチング作動させながら微調整を行える制御状態〔第2モード〕に切り換わるよう制御するのである。又、ポジションモードスイッチ25がオンの状態で、コネクター22が接続状態にある制御状態〔第3モード〕からコネクター22の接続が解除された場合の制御状態〔第4モード〕への切り換え、或いは、コネクター22が離脱または接続された状態で、ポジションモードスイッチ25がオフの状態のときの第1モードまたは第2モードからコネクター22が離脱または接続された状態で、ポジションモードスイッチ25をオンの状態にしたときの第3モードまたは第4制御への切り換えを行うことができる。
【0032】
ポジションモードスイッチ25がオフのときで、コネクター22が接続された苗植付装置3での作業状態のときの制御状態(第1モード)では、操作レバー12を「自動」位置で接地フロート7が接地した自動昇降制御を行っているときで、デューティ比の小さいパルス信号により電磁制御弁Vを作動させる緩速度での自動昇降制御を行ない、昇降操作具17の操作で苗植付装置3を浮上させるとき或いは植付姿勢の高さまで下降させるときは、比較的デューティ比の大きいパルス信号で電磁制御弁Vを作動させて比較的高速度で苗植付装置3を昇降作動させる。
【0033】
第1モードの状態となるポジションモードスイッチ25がオフの状態でコネクター22が接続されている状態において、苗植付作業姿勢でない接地フロート7を浮上させた状態では、リンク機構2は高速で昇降するが、苗植付装置3を取り外されるときにコネクター22が離脱されると第2モードとなり、この第2モードでは操作具17を下降操作してリンク機構2を昇降させた場合はデューティ比の小さい信号で電磁制御弁Vが制御され、油圧式のリフトシリンダ4の作動速度が低下し、リンク機構2が「目標値」の高さまで低速で昇降するようになる。
【0034】
ポジションモードスイッチ25がオンの状態では、制御装置14は、ポジション制御手段Cにより前記設定器21による設定値と前記リンクセンサ19〔対機体高さ検出手段の一例〕による検出値とが合致するように電磁制御弁Vを切り換え制御して、リンク機構2の対機体高さ、即ち、作業装置の対機体高さが設定器21により設定された対機体高さに一致するようにポジション制御されることになる。尚、このポジション制御作動は、操作レバー12が「自動」位置に操作されている場合においてのみ行われ、このポジション制御状態においても昇降操作スイッチ15による昇降操作は可能である。上記構成とすることで、苗植付装置3を装着して苗植付け作業を行っているとき、フロートセンサ18が故障して昇降制御作動が不能になった場合には、コネクター22を分離させることで、ポジション制御によって苗植付装置3を適切な対機体高さに調節することで、植付け作業を続行することが可能となる。
【0035】
ポジションモードスイッチ25がオンされている状態で、コネクター22が接続された状態であるときは、ダイヤル式の前記設定器21の操作で「軟1」の最下降位置から「硬7」の最上昇位置の範囲でポジションを設定して設定された位置まで苗植付装置3が比較的デューティ比の小さいパルス信号で電磁制御弁Vを作動させて比較的遅い速度で昇降するようにポジション制御が行なわれる。
ポジションモードスイッチ25がオンされている状態で、苗植付装置3がリンク機構2から外されてコネクター22が離脱された状態では、比較的デューティ比の大きいパルス信号で電磁制御弁Vが作動して比較的速い速度でポジション制御が行なわれる。このとき、設定器21で「軟1」から「硬7」の間の任意の位置に設定された場合は、リンク機構2が設定器21で設定された位置に対応する高さ位置まで上下動するように高速度で昇降する。
【0036】
〔ポジションモードスイッチ25がオフでコネクター22が接続状態の場合:第1モード〕
設定器21は感度設定器として機能し、操作レバー12が自動位置にセットされているときに、フロートセンサ18に基づく自動昇降制御が行われているときは、電磁制御弁Vがデューティ比の小さい信号で制御されてリンク機構2が低速度で昇降作動する。そしてフロートセンサ18の検出値が目標深さとの偏差が大きいときほど昇降速度が速くなる。これによってハンチング制御を防止して植付高さを所定値に保つことができる。
操作具17の昇降操作で接地フロート7が浮上しているときは、電磁制御弁Vがデューティ比の多きい信号で制御されてリンク機構2が高速度で昇降作動する。
【0037】
〔ポジションモードスイッチ25がオフでコネクター22が離脱状態の場合:第2モード〕
本発明に対応する場合で、設定器21が微調整用設定器として機能し、微調整用設定器21を「標準値」の位置(上下目盛りの0の位置)にセットした状態で操作具17を下降操作すると、電磁制御弁Vがデューティ比の比較的小さい信号で制御されてリンク機構2が低速度で予め設定された目標高さまで作動し、目標高さに達すると停止する。
この停止位置で、リンク機構2の高さの微調整を必要とするときは、設定器21のダイヤルを所望の下降または上昇距離に相当する位置に設定すると、設定された位置に対応する距離(1〜3cm)だけインチング作動しながら下降または上昇する。更に調整をする必要がある場合は設定器21のダイヤルを一旦「目標値」の位置に戻してリセットした後、再度所望の下降または上昇位置にセットすると所望の距離だけインチング作動しながら下降または上昇して停止する。
フロートセンサ18が故障した場合などにこの第2モードで植付作業を行なうこともできる。又、苗植付装置3に代えて、リンク機構2の後部に溝切り器や除草剤・肥料散布器等の別の作業装置を接続した場合もこの第2モードを利用することができる。
【0038】
〔ポジションモードスイッチ25がオンでコネクター22が接続状態の場合:第3モード〕
この場合は、設定器21がポジション設定器として機能し、電磁制御弁Vが比較的デューティ比の小さい信号で制御されてリンク機構2が低速度で昇降作動する。
フロートセンサ18が故障した場合にはこの第3モードを使用して植付作業を行なうこともできる。
【0039】
〔ポジションモードスイッチ25がオンでコネクター22が離脱状態の場合:第4モード〕
この場合は、苗植付装置3に代えて、リンク機構2の後部に溝切り器や除草剤・肥料散布器等の別の作業装置を接続した場合で、フロートセンサ18による自動昇降制御が行われずポジション制御によって作業装置を昇降制御する場合である。
この場合は、設定器21がポジション設定器として機能し、電磁制御弁Vが比較的デューティ比の大きい信号で制御されてリンク機構2が高速度で昇降作動する。
【0040】
苗植付装置3の左右には、マーカ27,28を備えており、左右のマーカ27,28が圃場に突入する線引き作用姿勢の状態にあるか否かを検出する左マーカセンサ29と、右マーカセンサ30とを制御装置14に接続してある。左右のマーカ27,28は前記操作具17の操作によって、リンク機構2の昇降操作とは異なる方向(前後方向)に操作することによって右又は左のマーカ27,28を選択的に下降させることができ、線引き姿勢に下降された右又は左のマーカ27,28は苗植付装置3の上昇作動に連動して格納姿勢に上昇するようになっている。
尚、符号31はエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサである。
【0041】
図4は、エンジン回転数とリンク機構2の昇降速度の関係を示す。従来はエンジン回転数に比例して苗植付装置の上昇速度を上げていたため高回転域ではマーカ27,28が泥をまき上げる場合があった。
苗の植付作業中は苗植付装置3の作業負荷や牽引抵抗などの負荷が掛かるのでエンジン回転数が大きく上がらないが、旋回するときは苗の植付作業を停止させるので、エンジン回転数が一時的に上昇する。リンク機構2の昇降速度は、エンジン8によって駆動される油圧ポンプ(図示せず)の吐出量が増大するとこれに相関してリンク機構2の昇降速度も上がる。したがってエンジン回転数の上昇に相関してリンク機構2の昇降速度が上がり、上記のようにエンジン回転数が上がると、これに比例して苗植付装置3の上昇速度も上がる。そして、線引き作用姿勢にあるマーカ27,28は苗植付装置3の上昇に関連して収納姿勢に向けて上昇するように設けられている。このため高回転域では苗植付装置3を上昇させるときにマーカ27,28が泥をまき上げる場合があった。
【0042】
そこで、本発明では油圧回路の途中に流量調整弁32を設けて、右又は左のマーカ27,28の何れかが線引き姿勢にあるか否かを左又は右マーカセンサ29,30によって検出し、何れかのマーカ27,28が線引き姿勢にあることを検出したことを判別し、且つ苗植付装置3が上昇したことを判別したときに、エンジン回転数センサ31の検出値の入力信号に基づいて流量調整弁32に流れる流量を調整し、設定されたエンジン回転数以上になるとそれ以上流量が上昇しないように流量を制限して、リンク機構2の最高上昇速度が所定以上にならないようにしている。このようにエンジン回転数を制御装置14で監視し、エンジン回転数に応じて上昇速度をコントロールしている。これによってマーカ27,28の持ち上げによる泥のまき上げを防止している。
【0043】
上記苗植付装置3が上昇するときであっても右又は左のマーカ27,28の何れも線引き姿勢にないときは、流量調整弁32による流量調整は行なわないで、電磁制御弁Vからの流量はそのままリフトシリンダ4に供給される。
これによって、マーカ27,28が引上げられるときのみリフトシリンダ4への流量が制限され、回り植え作業などのマーカ27,28を使用しない作業では、苗植付装置3の昇降速度が低下することがない。
【0044】
〔別実施例〕
(1)上記実施例では、ポジションモードスイッチ25を設けていたが、ポジションモードスイッチ25を設けないで、上記第1モードに相当するコネクター22を接続した場合と第2モードに相当するコネクター22を離脱した場合の2つの切換えモードでの制御とすることもできる。
(2)上記実施例では、設定器21を第1モード、第2モード、第3、4モードで、夫々感度設定器、微調整用設定器及びポジション設定器として、異なる機能を持たせているが、設定器を夫々機能が固定の、感度設定器、微調整用設定器及びポジション設定器を別々に設けてもよい。又、何れか2つの機能を共用して、2つの設定器で構成してもよい。
(3)前記苗植付装置3が連結された状態であるか取り外された状態であるかを判別する装着状態検出手段22としては、上記したように、苗植付装置側のセンサ類の接続配線における制御装置自身によるレベル判断に基づく構成に代えて、リンク機構2と苗植付装置3との連結箇所に、連結状態であるか分離状態であるかを検出する、例えば、リミットスイッチや光センサ等の専用のセンサを設けてその検出情報から判別するようにしてもよい。
【0045】
(4)上記実施例では、第2モードのときに、操作具17を下降操作するとリンク機構2が低速度で目標高さまで作動し、目標高さに達すると停止するように実行させたが、操作具17を下降操作または上昇操作の何れかの操作で上記の実行をさせるようにしてもよい。
(5)上記実施例では、第2モードのときに、操作具17を下降操作するとリンク機構2が低速度で目標高さまで作動し、目標高さに達すると停止するように実行させたが、操作具17の昇降操作(上昇操作か下降操作の何れかの操作)または操作レバー12の下降操作で上記の実行をできるようにしてもよい。この場合、操作レバー12の上昇操作で所望量の上昇操作を行えるようにしてあるものとする。この場合、目標高さを少し低い目に設定しておくと都合がよい。
(6)上記実施例では、第2モードのときに、操作具17を下降操作するとリンク機構2が低速度で目標高さまで作動し、目標高さに達すると停止するように実行させたが、操作具17の昇降操作または操作レバー12を1秒以内で昇降操作をして、直ぐに中立に戻す操作をすることで上記の実行、即ち、第2モードのときに、操作具17または操作レバー12による上昇操作または下降操作でリンク機構2が低速度で目標高さまで作動し、目標高さに達すると停止させる実行処理をできるようにしてもよい。この場合、第2モードにおいて、操作レバー12を1秒以上上昇操作または下降操作を継続すると操作方向に対応する昇降操作が開始されるようにするものとする。
【0046】
この第2モードのときに、操作具17を上昇操作するか下降操作する、または操作レバー12を1秒以内で僅かに上昇または下降操作をして中立位置に戻す操作をすることで、対機体高さ検出手段であるリンクセンサ19による検出値が目標位置となる設定値に一致するようにリフトシリンダ4が低速で作動して、リンク機構2は低速で自動的に目標の対機体高さまで移動して停止する。
上記操作具17または操作レバー12を昇降操作具と総称する。
【0047】
この発明は、特に前記制御手段14に、リフトシリンダ4の駆動速度を制御するパルス信号のデューティ比を変更する手段を備えるとともに、作業装置3がリンク機構2の後部に連結された第1モードの状態であるか非連結の第2モードの状態であるかを判別するための装着状態検出手段22を備え、制御手段14は装着状態検出手段22の検出信号に基づいて連結・非連結の状態を判別し、非連結の第2モードの状態であることを判別したときにはリフトシリンダ4の駆動速度を低速に設定するとともに、リンク機構2の対機体高さが作業装置3の着脱に適した位置となる設定値に設定され、対機体高さ検出手段19による検出値が前記設定値に一致するようにリフトシリンダ4を作動制御させるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】田植機の全体側面図
【図2】制御ブロック図
【図3】作業装置を外した状態の側面図
【図4】エンジン回転数とリンク機構の昇降速度の関係を示す図
【符号の説明】
【0049】
1 走行機体
2 リンク機構
3 作業装置
4 アクチュエータ
12,17 昇降操作具
14 制御手段
19 対機体高さ検出手段
21 設定器
22 装着状態検出手段
B モード切換手段
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成17年9月22日(2005.9.22)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2007−82474(P2007−82474A)
【公開日】 平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願番号】 特願2005−275972(P2005−275972)