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【発明の名称】 電子部品の製造方法
【発明者】 【氏名】落合 建壮
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株式会社鹿児島国分工場内

【氏名】出田 右文
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株式会社鹿児島国分工場内

【氏名】森田 史子
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株式会社鹿児島国分工場内

【要約】 【課題】デラミネーションがなく、寸法精度の高い電子部品の製造方法を提供する。

【解決手段】支持体1上に導体層2を形成する工程と、導体層2を形成した支持体1上に第1のセラミックグリーンシート3を作製する工程と、第2のセラミックグリーンシート4を作製する工程と、第1のセラミックグリーンシート3と第2のセラミックグリーンシート4とを積層して加熱することによって導体層2と第1,第2のセラミックグリーンシート3,4から成る積層セラミックグリーンシート5を形成する工程と、積層セラミックグリーンシート5を複数枚積層して加熱することによってセラミックグリーンシート積層体6を作製する工程と、セラミックグリーンシート積層体6を焼成する工程とを具備しており、第2のセラミックグリーンシート4は、積層セラミックグリーンシート5を作製する際およびセラミックグリーンシート積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有していることを特徴とする電子部品の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に導体層を形成する工程と、該導体層を形成した支持体上に第1のセラミックグリーンシートを作製する工程と、第2のセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを積層して加熱することによって前記導体層と前記第1,第2のセラミックグリーンシートから成る積層セラミックグリーンシートを形成する工程と、前記積層セラミックグリーンシートを複数枚積層して加熱することによってセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを具備しており、前記第2のセラミックグリーンシートは、前記積層セラミックグリーンシートを作製する際および前記セラミックグリーンシート積層体を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有していることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記溶融成分の融点が35乃至100℃であることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至25質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの分子量が8万乃至30万であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して8乃至20質量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの平均分子量が5万乃至80万であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至10℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記積層セラミックグリーンシートを作製する工程における加熱は、前記溶融成分の融点より0乃至70℃高い温度にて行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサや積層セラミック配線基板等のような電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、積層コンデンサや積層セラミック配線基板のような電子部品において、小型化および高性能化が望まれている。例えば、積層コンデンサにおいては小型化および高容量化のためにより薄い誘電体層および導体層を多層化したものが求められている。また、積層セラミック配線基板においては小型化および配線導体の高密度化のためにより薄い絶縁層および配線導体層を多層に形成し、配線導体層の幅および間隔もより微細なものが求められている。
【0003】
このような電子部品は、セラミック粉末に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を成形した後、金属粉末を含有する導体ペーストを印刷するなどして上述のグリーンシート上に導体層を形成し、ついで複数枚の導体層が形成されたグリーンシートを積層して加圧することにより圧着して積層体を得て、この積層体を焼成することで得られる。
【0004】
電子部品に対する要求に対応して導体層が形成されたグリーンシートを多数積層すると、導体層が形成された領域が重なる部分とそうでない部分ではその厚み差が大きくなる。このため積層されたグリーンシートを厚み方向に加圧した場合、導体層が形成された領域が重なる部分においては加圧力が十分に加わるものの、そうでない部分においては加圧力が十分に加わりにくくなるので、不十分な圧着となってしまいやすい。その結果、そのような積層体を焼成すると、圧着が不十分な部分でデラミネーション(層間剥離)が発生するという問題があった。
【0005】
このようなデラミネーションが電子部品の内部に存在すると、電気的な容量値の変化や絶縁破壊が起りやすくなるので電気的な特性が確保できないという問題があった。
【0006】
このような問題に対して、特許文献1では、加圧された際の流動性が高い高流動性部分を有する積層体を用いることが提案されている。積層体を厚み方向に加圧した際に、内部電極が積層されている領域に存在する高流動性部分が残りの部分に移動して残りの部分の厚みが増大しようとすることにより、加圧力が全体に均一に加わることとなるので、デラミネーションが生じ難くなるものである。
【0007】
また、グリーンシート上に形成された導体層の上に別のグリーンシートを積層する場合、この導体層の断面形状にグリーンシートが追従し難いために導体層の周辺に空隙が発生し、この空隙を起因とするデラミネーションが発生しやすいという問題があった。特に導体層の間隔が微細な場合は、導体層間に空隙が発生しやすかった。
【0008】
この問題に対しては、特許文献2では、グリーンシート上に導体層を形成した後、導体層の形成されている部分の周囲の領域にセラミックペーストを印刷することが提案されている。このような方法を用いれば、導体層の形成されている部分の周囲の領域にセラミックペーストを印刷することで導体層とグリーンシートとの段差をなくすことができる。このため、導体層の周辺や配線導体層間に空隙が発生することを抑え、空隙に起因するデラミネーションの発生も抑えることが可能となる。また、導体層が形成されたグリーンシートを複数枚積層しても厚み差が発生しないので、ムラなく加圧して圧着することが可能となり、圧着が不十分な部分が発生することを抑え、デラミネーションの発生を抑えることが可能となる。
【0009】
また、特許文献3に記載されているような、導体が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを塗布して乾燥した後に剥離することにより、導体が形成された面が平坦なグリーンシートを形成する製法が提案されている。この方法でも同様に、配線導体層間の空隙に起因するデラミネーションや厚み差による圧着時の加圧ムラに起因するデラミネーションの発生を抑えることが可能となる。
【特許文献1】特許第3344100号公報
【特許文献2】特開平5−217448号公報
【特許文献3】特開昭50−64768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の高流動性部分を有する積層体を用いる方法においては、高流動性部分を移動させてデラミネーションが発生しないような圧着を行なうためには、例えば厚み方向に180MPaという高い圧力を加える必要がある。このような高い圧力を導体層が形成されたグリーンシートに加えると、グリーンシートや導体パターンの形状が変形してしまうこととなる。その結果、積層セラミック配線基板の所望の寸法精度が得られないために積層セラミック配線基板上への部品実装が困難となったり、設計通りの導体パターンの形状が得られないために、特に高周波用配線基板等ではインピーダンス整合等の電気的特性が得られなくなるという問題があった。さらに、導体パターンの間隔が微細な場合の導体層の周囲に発生する空隙の問題は解決されないままであった。
【0011】
また、導体層の形成されている部分の周囲の領域にセラミックペーストを印刷する方法においては、導体層が形成されたグリーンシート上にさらにセラミックペーストを印刷するという工程が加わるばかりでなく、微細な導体パターンに正確に位置合わせして印刷するのが困難であり、特に導体パターンの間隔が微細な場合は隣り合う導体層間にセラミックペーストを印刷することが困難であった。このため導体層の上にもセラミックペーストが印刷されてしまい、導体層上に印刷されたセラミックペーストにより、積層されて上下に配置される導体層間を接続するための貫通導体が導体層と接続されなくなるという問題があった。
【0012】
さらに、導体が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを塗布し、乾燥後剥離することにより平坦なグリーンシートを形成する方法においては、積層工程において5乃至30MPaという高い圧力を加える必要がある。このような高い圧力をグリーンシートに加えると、グリーンシートや導体パターンの形状が変形してしまうこととなる。その結果、電子部品を作製した際、所望の寸法精度が得られないために電子部品上への部品実装が困難となったり、設計通りの導体パターンの形状が得られないために、特に高周波用配線基板等ではインピーダンス整合等の電気的特性が得られなくなるという問題があった。
【0013】
さらには、キャビティを有するような電子部品を製造する場合、キャビティとなる貫通穴を形成したグリーンシートとキャビティの底部となる貫通穴が形成されていないグリーンシートとを積層して圧着すると、グリーンシート積層体のキャビティ底部が反るという問題があった。これは、圧着するための加圧によりキャビティの周囲だけに圧力が加わり、キャビティ周囲のグリーンシートが加圧により伸びるのに対して、キャビティ底部には圧力が加わらないのでキャビティ底部のグリーンシートは周囲から押されることによる。これは、電子部品がより小型でキャビティ底部の厚みがより薄い場合により発生しやすい。キャビティ底部が反ると、水晶振動子やICチップ等の電子素子を搭載することが困難となる。搭載できても搭載された部品が傾くので、CCDやC−MOS等の光半導体素子を搭載した場合は受光精度が悪くなるという問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、デラミネーションがなく、かつ高い寸法精度を有する電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電子部品の製造方法は、支持体上に導体層を形成する工程と、前記導体層の形成された支持体上に第1のセラミックグリーンシートを作製する工程と、第2のセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを積層して加熱することによって前記導体層と前記第1,第2のセラミックグリーンシートから成る積層セラミックグリーンシートを形成する工程と、前記導体層が形成された前記積層セラミックグリーンシートを複数枚積層して加熱することによってセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを具備しており、前記第2のセラミックグリーンシートは、前記積層セラミックグリーンシートを作製する際および前記セラミックグリーンシート積層体を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有していることを特徴とする。
【0016】
本発明において好ましくは、前記溶融成分の融点が35乃至100℃であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至25質量部であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの分子量が8万乃至30万であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して8乃至20質量部であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの平均分子量が5万乃至80万であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至10℃であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明において好ましくは、前記積層セラミックグリーンシートを作製する工程の加熱は、前記溶融成分の融点より0乃至70℃高い温度で行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の電子部品の製造方法によれば、支持体上に導体層を形成する工程と、前記導体層が形成された支持体上に第1のセラミックグリーンシートを形成する工程とを具備していることから、前記導体層は前記第1のセラミックグリーンシート内に埋め込まれて形成されるため、前記第1のセラミックグリーンシートは導体の段差がなく平坦となり、加圧ムラに起因するデラミネーションの発生を抑えることができる。また、前記第2のセラミックグリーンシートは加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、まず別々に作製した前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを積層して加熱することによって前記積層セラミックグリーンシートを作製する際に前記第2のセラミックグリーンシートが軟化するので、前記第2のセラミックグリーンシートはその上また下に位置する前記第1のセラミックグリーンシートの表面形状に追従して変形することとなる。その結果、前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとの間に空隙が発生することなく前記第1,2のセラミックグリーンシート同士を密着させることができる。
【0029】
前記積層セラミックグリーンシート同士を積層して加熱した際には前記第2のセラミックグリーンシートが軟化するので、前記第2のセラミックグリーンシートはその上また下に位置する前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形することとなる。その結果、前記導体層周囲や導体層間に空隙が発生することなく前記積層セラミックグリーンシート同士が密着することとなり、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成して得られる電子部品はデラミネーションの発生のないものとなる。
【0030】
前記第2のセラミックグリーンシートは、加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、加熱のみで前記第2のセラミックグリーンシートが軟化して接着性を有するものとなるので、大きな加圧力により前期積層セラミックグリーンシートを圧着させる必要がない。さらに加熱しない常温においては前記第2のセラミックグリーンシートが軟化せず接着性を持たない為、加熱しない加工においてハンドリングが容易である利点をもつ。
【0031】
そして、前記導体層の形成される前記第1のセラミックグリーンシートは加熱時に溶融する溶融成分を含有しないことから、前記第1のセラミックグリーンシートは加熱時に変形することはなく、積層した前記積層セラミックグリーンシート同士が位置ずれしないように、また、軟化した前記第2のセラミックグリーンシートを前記第1のセラミックグリーンシートおよび導体層の表面形状に追従して変形するのを補助するために押さえる程度では変形しないものである。よって、前記積層セラミックグリーンシートおよびそれに形成された前記導体層の形状が変形することがなく、得られる前記セラミックグリーンシート積層体およびそれを焼成して得られる電子部品は高い寸法精度を有するものとなる。
【0032】
また、加熱時に溶融する溶融成分の融点が35℃乃至100℃であるものを用いた場合は、常温では前記第2のセラミックグリーンシートが軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易となり、加熱時に前記第1,2のセラミックグリーンシート中の有機バインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスによりデラミネーションが発生してしまうことがなく、より好ましいものとなる。
【0033】
また、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至25質量部であれば、前記第2のセラミックグリーンシートはその上または下に位置する前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形するため、層間での剥離やデラミネーションが発生することなく、かつ加圧による前記積層セラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さく、より好ましいものとなる。
【0034】
また、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの分子量が8万乃至30万であれば、前記第1のセラミックグリーンシートの保形性を維持し、前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が加熱により溶融した際に均一に分散し、前記第2のセラミックグリーンシートの溶融成分が十分な量を維持できるため、層間での剥離やデラミネーションが発生することなく、かつグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さく、より好ましいものとなる。
【0035】
また、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gであれば、前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が加熱により溶融した際に均一に分散され、かつ前記積層セラミックグリーンシートを加熱して前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が十分な量を維持できるため、層間での剥離やデラミネーションが発生することなく、かつ加圧による前記積層セラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さくなり、より好ましいものとなる。
【0036】
また、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して8乃至20質量部であれば、前記第1および第2のセラミックグリーンシートを積層して加熱することによって前記積層セラミックグリーンシートを作製する際に、前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が前記第1のセラミックグリーンシートへ拡散することを抑制することができ、かつ積層時に前記積層セラミックグリーンシートを加熱して前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が十分な量を維持できるため、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形することから、デラミネーションが発生することなく、かつ加圧によるセラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため、寸法ばらつきが小さく、より好ましいものとなる。
【0037】
また、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの分子量が5万乃至80万であれば、前記第1および第2のセラミックグリーンシートを積層して加熱することによって前記積層セラミックグリーンシートを作製する際に、前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が前記第1のセラミックグリーンシートへ拡散することを抑制することができ、かつ積層時に前記積層セラミックグリーンシートを加熱して前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が十分な量を維持できるため、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションが発生することなく、かつ加圧による前記積層セラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため、寸法ばらつきが小さく、かつ前記第1のセラミックグリーンシートの外観状態がよいため、より好ましいものとなる。
【0038】
また、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至5.0KOHmg/gであれば、前記第1および第2のセラミックグリーンシートを積層し加熱することによって前記積層セラミックグリーンシートを作製する際に、前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が前記第1のセラミックグリーンシートへ拡散することを抑制することができ、かつ積層時に前記積層セラミックグリーンシートを加熱して前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が十分な量を維持でき、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションが発生することなく、加圧による前記積層セラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため、寸法ばらつきが小さく、かつ前記第1のセラミックグリーンシートの外観状態がよいため、より好ましいものとなる。
【0039】
また、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であれば、前記第2のセラミックグリーンシートの保形性を維持し、かつ積層時に前記積層セラミックグリーンシートを加熱して前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が十分な量を維持でき、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションの発生がなく、かつ加圧による前記積層セラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため、寸法ばらつきが小さく、より好ましいものとなる。
【0040】
また、前記第2のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであれば、前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が加熱により溶融した際に均一に分散され、かつ積層時に前記積層セラミックグリーンシートを加熱して前記第2のセラミックグリーンシートに含有される溶融成分が十分な量を維持でき、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションの発生がなく、かつ前記積層セラミックグリーンシートへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため、寸法ばらつきが小さく、より好ましいものとなる。
【0041】
また、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至10℃であれば、前記第1および第2のセラミックグリーンシートを積層して加熱することによって前記積層セラミックグリーンシートを作製した際に、前記積層セラミックグリーンシートの付着及び割れや欠けを防ぐことができ、より好ましいものとなる。
【0042】
また、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gであるものを用いた場合、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれる無機粉末および有機バインダーが均一に分散されるため、寸法ばらつきが小さく、かつ加熱時に前記第2のセラミックグリーンシート層に含まれる溶融成分が前記第1のセラミックグリーンシート層および前記導体層の表面形状へ追従して変形するため、デラミネーションの発生がなく、より好ましいものとなる。
【0043】
また、前記積層セラミックグリーンシートを作製する工程の加熱を溶融成分の融点より0乃至70℃高い温度で行なうことにより、前記第2のセラミックグリーンシートから前記第1のセラミックグリーンシートへ適当な量の溶融成分が拡散することとなり、前記第2のセラミックグリーンシートと前記第1のセラミックグリーンシートの界面の接合強度が保たれ、かつセラミックグリーンシート積層体を作製する際の加熱時に、前記第2のセラミックグリーンシートが加熱のみで軟化して、前記第1のセラミックグリーンシート及び前記導体層の表面形状に追従して変形し、接着性を有するものとなるのに十分な量の溶融成分を前記第2のセラミックグリーンシート内に保持できる。
【0044】
また、キャビティを有する電子部品を製造する場合、大きな加圧力によりセラミックグリーンシートを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧によるグリーンシートの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能な電子部品を得ることができる。
【0045】
このように、本発明の製造方法によれば、セラミックグリーンシート間に空隙を発生させることがなく、セラミックグリーンシートや導体層の変形を抑えたセラミックグリーンシート積層体を得ることが可能となり、本発明の製造方法により作製された電子部品はデラミネーションがなく、高い寸法精度を有する電子部品となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の電子部品の製造方法について以下に詳細に説明する。
【0047】
図1は本発明の電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図であり、1は支持体、2は導体層、3は第1のセラミックグリーンシート、4は第2のセラミックグリーンシート、5は積層セラミックグリーンシート(以下、セラミックグリーンシートをCGともいう)、6はセラミックグリーンシート積層体である。
【0048】
まず図1(a)に示すように、支持体1上に導体層2を形成する。支持体1上に導体層2を形成する方法としては、例えば導体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)をスクリーン印刷法やグラビア印刷法、またはインクジェット印刷法等の印刷により形成する方法、または、セミアディテブ法、アディテブ法といっためっき法、サブトラクト法等の金属箔を加工する方法、または蒸着法等の所定パターン形状の金属膜を支持体1に直接形成する方法や、あるいは印刷により所定パターン形状に形成した導体厚膜や所定パターン形状に加工した金属箔、めっき法や蒸着法等により形成した所定パターン形状の金属膜を支持体1に転写する方法がある。
【0049】
導体材料としては、例えばW,Mo,Mn,Au,Ag,Cu,Pd(パラジウム),Pt(白金)等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。
【0050】
本発明において、導体層2を印刷法で形成する場合、導体ペーストは、導体粉末、有機バインダー(以下、バインダーともいう)、溶剤等を混合したものが用いられ、導体粒子の分散性や導体層2の硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してしてもよい。
【0051】
ここで、上記導体ペーストに適用されるバインダーとしては、従来より導体ペーストに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系、アルキド系のバインダーがより好ましい。またバインダーの添加量としては、導体粒子の形状、種類等により異なるが、バインダーの分解性に問題なく、かつ導体粒子を分散できる量であればよい。
【0052】
さらに、上記導体ペーストに適用される溶剤としては、上記の導体粉末とバインダーとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、テルピネオールやブチルカルビトールアセテート及びフタル酸等の可塑剤などが使用可能であるが、導体層2の形成後の溶剤の乾燥性を考慮し、テルピネオール等の低沸点溶剤などが好ましい。
【0053】
本発明における支持体1は、導体層2及び第1,2のCG3,4を成形できるものであればよく、従来から用いられているポリエチレンテレフタレート(以下、PET)やポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化エチレン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂等の樹脂製の他、上質紙、成形紙等の紙製の支持体を用いることができる。
【0054】
第1および第2のCG3,4を形成する支持体1の表面には、第1,2のCG3,4形成後、支持体1からの剥がし性を向上するため、離型層等の表面処理層を形成してもよい。離型層の種類としては大別してシリコーン系の離型剤と、非シリコーン系の離型剤があり、非シリコーン系の離型剤としてはフッ素系のなどを用いることができる。この離型剤としては商品形態別にいえば無溶剤型、エマルジョン型、溶剤型のいずれでも使用し得る。またこの離型層の厚みは、用いられる離型剤の種類等により異なるが、第1および第2のCG3,4を支持体1から剥がすことができ、かつ導体ペーストを用いて導体を形成する場合、離型剤により導体層2形成時に導体ペーストのハジキが発生しない程度の厚みであればよい。
【0055】
支持体1に導体を形成する場合、導体層2の形成を容易にするため、表面に処理を行い粗面を形成することもできる。粗面の形成方法としては、例えばウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。また支持体内に空孔や無機粒子等を混合し埋め込むことにより、支持体表面に粗面を形成する方法なども適用できる。また粗面の形成は、離型層等の表面処理層の性能が維持できる範囲であれば、表面処理層の形成前でも後でもよい。
【0056】
次に、図1(b)に示すように、導体層2の形成された支持体1上に第1のCG3を作製し、別の支持体上に第2のCG4をそれぞれ作製する。第1のCG3および第2のCG4は、セラミック粉末、バインダー、溶剤等を混合したセラミックスラリーをドクターブレード法,リップコーター法,ダイコーター法等により形成する方法によって得ることが可能である。セラミック粉末の分散性やCGの硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してしてもよい。また、第2のCG4は、積層CG5やCG積層体6を作製する工程において加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有している。
【0057】
本発明の他に積層CG5を形成する方法として、導体層2の形成された支持体上1に形成された、第1のCG3上に第2のCG4のスラリーを塗布して形成する方法や、導体層2の形成された支持体1上に塗布された第1のCG3のスラリー上に第2のCG4のスラリーを塗布して形成する方法においても、積層CG5を製造することが可能である。この方法では、積層CG5を形成する際、第1および第2のCG3,4またはスラリーの混合、同一化を防止するため、第1および第2のCG3,4またはスラリーの溶解度パラメーターの差をある範囲内に設定する必要がある。これに対して、本発明の電子部品の製造方法では、第1のCG3と第2のCG4とを別々に形成し、積層して加熱することによって導体層2及び第1および第2のCG3,4からなる積層CG5を作製することから、積層CG5を形成する際に混合、同一化することがなく、より広い溶解度パラメーターのCGまたはセラミックスラリーを使用することができる。
【0058】
第1のCG3の厚さは、導体層2の間隔に空隙が発生しないように、導体層2の形状が変化しない程度に導体層2の厚みより厚くなるように形成される。また、導体層2の形成された支持体1上に第1のCG3を作製する方法として、導体層2の形成された支持体1と別の支持体上に形成された第1のCG3を積層し、圧力や温度をかけ、導体層2を第1のCG3内へ埋め込むことにより、導体層2を第1のCG3へ転写する方法も適用できる。これは、導体層2を形成した支持体上にセラミックスラリーを塗布する場合と比較し、導体層2がセラミックスラリー内の溶剤により溶解しやすい場合には、導体層2の溶解により、導体欠損による電気接続不良(オープン)や導体層2間の電気的短絡(ショート)等の電気特性不良が発生せず、より好ましい。
【0059】
上記セラミックスラリーを得るためのセラミック粉末としては、例えばセラミック配線基板であれば、Al,AlN,ガラスセラミック粉末(ガラス粉末とフィラー粉末との混合物)等が挙げられ、積層コンデンサであればBaTiO系,PbTiO系等の複合ペロブスカイト系セラミック粉末が挙げられ、電子部品に要求される特性に合わせて適宜選択される。
【0060】
ガラスセラミック粉末のガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(ただし、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは同じまたは異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは上記と同じである),SiO−B−MO系(ただし、MはLi、NaまたはKを示す),SiO−B−Al−MO系(ただし、Mは上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0061】
また、ガラスセラミック粉末のフィラー粉末としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等のセラミック粉末が挙げられる。
【0062】
セラミックスラリーに配合されるバインダーとしては、従来よりセラミックスラリーに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系バインダーがより好ましい。
【0063】
溶剤としては、上記のセラミック粉末とバインダーとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、トルエン,ケトン類,アルコール類の有機溶媒や水等が挙げられる。これらの中で、トルエン,メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール等の蒸発係数の高い溶剤はスラリー塗布後の乾燥工程が短時間で実施できるので好ましい。
【0064】
第2のCG4に含有される溶融成分は、積層CG5やCG積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となるものであり、炭化水素,脂肪酸,エステル,脂肪アルコール,多価アルコール等が挙げられる。スラリーを調整する際の溶媒への溶解性を考慮すると、分子量が小さくかつ極性を有する炭化水素,エステル,脂肪アルコール,多価アルコールが好ましい。さらに上述したアクリルバインダーとの相溶性を考慮すると、エステル,脂肪アルコール,多価アルコールがより好ましい。
【0065】
溶融成分は上記のものの中でも、その融点が35乃至100℃であるものが好ましい。この範囲の融点のものを用いると、常温では第2のCG4が軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易となる。また、CG積層体6を作製する工程における加熱時に、積層CG5中のバインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスによるデラミネーションが発生してしまうことがないからである。融点が35乃至100℃である溶融成分としては具体的には、ヘキサデカノール,ポリエチレングリコール,ポリグリセロール,ステアリルアミド,オレイルアミド,エチレングリコールモノステアレート,パラフィン,ステアリン酸,シリコーン等が挙げられる。
【0066】
第2のCG4に含有される溶融成分の含有量は、使用するバインダー成分およびその量や、使用する溶融成分により異なるが、溶融成分が溶融した状態で第2のCG4が軟化し、その下に位置する積層CG5の第1のCG3およびその中に埋め込まれた導体層2と隙間無く接触するような量であればよい。
【0067】
また、第2のCG4に含まれるバインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至25質量部であることが好ましい。上記添加量が19質量部よりも低いと、第1および第2のCG3,4を積層し加熱した際、第2のCG4が十分軟化せず、層間での剥離やCG積層体6の内部にデラミネーションが発生する。また、上記添加量が25質量部よりも高いと、第2のCG4が変形した際、積層CG5全体が変形するため、寸法ばらつきが大きくなる。また、CG積層体6を焼成する際に、第1のCG3および導体層2の表面上に第2のCG4のバインダーの分解ガスが過剰に発生し、ブクやデラミネーションが発生する。
【0068】
また、第2のCG4含まれるバインダーの分子量は8万乃至30万であることが好ましい。上記分子量が8万よりも低いと、常温でのバインダーの流動性が過剰となり、第2のCG4が変形し保形性が得られない。そのため、積層CG5同士を積層してCG積層体6を形成する際に、積層CG5同士を積層し加熱した際、CG積層体6の寸法ばらつきが大きくなる。また、CG積層体6を焼成する際に、加熱により第1のCG3および導体層2の表面上に、第2のCG4のバインダーの分解ガスが積層CG5内部で局所的に過剰に発生し、ブクやピンホール、デラミネーションが発生する。上記分子量が30万を超えると、バインダー同士が絡まりやすくなるためバインダーの凝集が発生し、第2のCG4に含まれる溶融成分の分布にムラが発生する。そのため、CG積層体6の寸法ばらつきが大きくなり、第1および第2のCG3,4を積層し加熱した際、第2のCG4が十分軟化せず、層間での剥離や、積層CG5同士を積層し加熱した際、第2のCG4内に軟化しない箇所が発生し、ブクやデラミネーションが発生する。
【0069】
また、第2のCG4に含まれるバインダーの酸価は0.1乃至0.8KOHmg/gであることが好ましい。上記酸価が0.1KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、第2のCG4内部に無機粉末とバインダーの凝集等の不均一な分布が発生することにより、溶融成分が不均一な分布となる。積層CG5を積層し加熱した際に、第2のCG4の軟化にムラが発生し、その下に位置する別の積層CG5’の第1のCG3および導体層2の表面形状に追従して変化しない箇所が発生し、層間での剥離やデラミネーションが発生し、寸法ばらつきも大きくなる。上記酸価が0.8KOHmg/gを超えると、バインダーの結合性が強くなるため、バインダーの凝集が発生し、溶融成分の分布にムラが発生する。その結果、積層CG5同士を積層して加熱した際、第2のCG4内に軟化しない箇所が発生し、層間での剥離やデラミネーションが発生し、寸法ばらつきも大きくなる。
【0070】
また、第1のCG3に含まれるバインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して8乃至20質量部であることが好ましい。上記添加量が8質量部未満であれば、第1および第2のCG3,4を積層して加熱することによって積層CG5を作製した際に、第1のCG3の密度が低いため第2のCG4内の溶融成分が拡散し、第2のCG4内に必要な量の溶融成分量を維持できない。その為、積層CG5同士を積層し加熱した際、第2のCG4は軟化せず、CG積層体6の内部にデラミネーションが発生する。上記添加量が20質量部より多い場合、第1および第2のCG3,4を積層して加熱することによって積層CG5を作製した際に、第1のCG3内のバインダーが第2のCG4に拡散し、それにともない溶融成分は第2のCG4から第1のCG3へ拡散するため、第2のCG層内に必要な量の溶融成分量を維持できない。その為、積層CG5同士を積層し加熱した際、第2のCG4は軟化せず、CG積層体6の内部にデラミネーションが発生する。
【0071】
また、第1のCG3に含まれるバインダーの分子量が5万乃至80万であることが好ましい。上記分子量が5万より低い場合、積層CG5を作製する際に、第2のCG4に含有される溶融成分が第1のCG3へ拡散するため、第2のCG4において十分な量の溶融成分の量が維持できず、CG積層体6を作製する際、第2のCG4は第1のCG3および導体層2の表面形状に追従して変形せず、デラミネーションが発生する。上記分子量が80万より高い場合、バインダー同士の結合力が強くなり、第1のCG3に含まれる原料成分が均一に分散されないため、第1のCG3内にピンホール等の外観不良が発生し、製品での絶縁不良の要因となる。
【0072】
また、第1のCG3に含まれるバインダーの酸価が0.1乃至5.0KOHmg/gであれば、上記酸価が0.1KOHmg/gより低い場合、積層CG5を作製する際に、第2のCG4に含有される溶融成分が第1のCG3へ拡散するため、第2のCG4において十分な量の溶融成分の量が維持できず、CG積層体6を作製する際、第2のCG4は第1のCG3および導体層2の表面形状に追従して変形せず、デラミネーションが発生する。上記酸価が5.0KOHmg/gより高い場合、バインダー同士の結合力が強くなり、第1のCG3に含まれる原料成分が均一に分散されないため、第1のCG3内にピンホール等の外観不良が発生し、製品での絶縁不良の要因となる。
【0073】
また、第2のCG4に含まれるバインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であることが好ましい。上記ガラス転移点が−20℃より低いと、常温でのバインダーの流動性が過剰となるため、第2のCG4同士の付着が発生しハンドリングが困難となる上、第2のCG4が加熱により変形した際、積層CG5全体が変形し寸法ばらつきが大きくなる。ガラス転移点が0℃より高いと、積層CG5同士を積層し加熱した際、第2のCG4が軟化せず、積層CG5はその下に位置する別の積層CG5’の第1のCG3および導体層2の表面形状に追従して形状変化しないため、デラミネーションが発生し、寸法ばらつきが大きくなる。
【0074】
また、第2のCG4に含まれるバインダーの水酸基価は0.1乃至5KOHmg/gであることが好ましい。上記水酸基価が0.1KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、無機粉末とバインダーがそれぞれ凝集するため、溶融成分の分布ムラが発生する。積層CG5を加熱した際、第2のCG4が軟化しない部分が発生し、デラミネーションが発生し、寸法ばらつきが大きくなる。バインダーの水酸基価が5KOHmg/gを超えると、無機粉末とバインダーの結合性が過剰に強くなり、バインダーと溶融成分が相溶しにくくなる。そのため、第2のCG4に含有される溶融成分が均一に分散されず、バインダーと相溶して第2のCG4に含有される溶融成分も均一に分散されず、積層CG5を加熱して溶融成分が溶融した状態でも第2のCG4が充分に軟化しない部分が発生する。そのため、積層CG5はその下に位置する別の積層CG5’の第1のCG3および導体層2の表面形状に追従して形状変化せず、デラミネーションが発生し、寸法ばらつきが大きくなる。
【0075】
また、第1のCG3に含まれるバインダーのガラス転移点が−20乃至10℃であることが好ましい。ガラス転移点が−20℃より低いと、常温でのバインダーの流動性が過剰となり積層CG5同士の付着が発生する。上記ガラス転移点が10℃より高いと、第1のCG3の保形性が不十分となり取り扱う際に第1のCG3の割れや欠け等の外観不良が発生しやすくなる。
【0076】
また、第1のCG3に含まれるバインダーの水酸基価は5乃至100KOHmg/gであることが好ましい。水酸基価が5KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、第1のCG3内部に無機粉末とバインダーの分布ムラによる密度ムラが発生する。そのため、第2のCG4が加熱により変形した際、積層CG5の変形にムラが発生するため、高寸法精度が維持できないし、無機粉末の密度ムラによるデラミネ−ションが発生し、寸法ばらつきが大きくなる。水酸基価が100KOHmg/gを超えると、バインダーの結合性が過剰に強くなり、バインダーの凝集が発生し、第1のCG3内部に無機粉末とバインダーの分布ムラによる密度ムラが発生する。そのため、第2のCG4が加熱により変形した際、積層CG5の変形にムラが発生するため、デラミネ−ションが発生し、寸法ばらつきが大きくなる。
【0077】
次に図1(c)に示すように、導体層2を形成した第1のCG3と第2のCG4を積層して溶融成分が溶融状態となり軟化して変形する程度の温度で加熱し、導体層2と第1のCG3と第2のCG4からなる積層CG5を作製する。
【0078】
ここで、積層CG5を作製するときの加熱は、溶融成分の融点より0乃至70℃高い温度で行なうことが重要である。これにより、第2のCG4から第1のCG3へ適当な量の溶融成分が拡散することとなり、第2のCG4と第1のCG3の界面の接合強度が保たれ、かつCG積層体6を作製する際の加熱時に、第2のCG4が加熱のみで軟化して別の積層CG5の第1のCG3及び導体層2の表面形状に追従して変形し、接着性を有するものとなるのに十分な量の溶融成分を第2のCG4内に保持できるからである。
【0079】
溶融成分の融点より低い温度で積層すると、第2のCG4が軟化しないので、第2のCG4はその上また下に位置する第1のCG3及び導体層2の表面形状に追従して変形することができず、第1のCG3と第2のCG4との間に空隙が発生する場合があり、また第2のCG4から第1のCG3へ溶融成分が拡散しないので、第1のCG3と第2のCG4の界面の接合強度が保たれず、積層CG5に貫通導体を形成するための貫通孔や、キャビティを形成するための貫通穴を形成する等の加工をする際に界面に剥がれが発生する場合がある。
【0080】
また溶融成分の融点より70℃を超えて高い温度で積層すると、加熱時に第2のCG4から第1のCG3への溶融成分の拡散する量が大きすぎるため、第2のCG4内に十分な量の溶融成分を保持できず、積層CG5を積層した際に第2のCG4に接する別の積層CG5の第1のCG3や導体層2の表面形状に追従して変形できず、セラミック層間にデラミネーションが発生するためである。好ましくは、加熱は溶融成分の融点より0乃至70℃高い温度で行ない、加熱温度を120℃以下とすると、加熱時に積層CG5中のバインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスによるデラミネーションが発生することがない。このためには、上述したように、溶融成分の融点が35乃至100℃であるものを用いればよい。ここで積層CG5を作製する際の加熱時間は、加熱温度や第1のCG3及び第2のCG4の無機原料やバインダ、溶融成分等のCGに含まれる原料の種類や量、第1のCG3及び第2のCG4の厚み等のCGの特性、積層装置や加熱方法等の積層条件により異なり、溶融成分の拡散により第2のCG4と第1のCG3の界面の接合強度が保たれ、かつCG積層体6を作製する際の加熱時に第2のCG4が軟化して変形し、かつ接着性を有するものとなるように調整される。なお、上述したような溶融成分及び加熱温度の場合であれば、加熱時間は0.1秒〜10分程度であればよい。
【0081】
さらに、第1のCG3と第2のCG4とを積層し加熱して積層CG5を作製する際の加熱は、好ましくは、溶融成分の融点より10乃至60℃高い温度で行なうと、第2のCG4及び第1のCG3のシート厚みまたは積層時間等の積層条件が変動した際にも第2のCG4から第1のCG3へ適当な量の溶融成分が拡散し、かつ積層後に積層CG5をしばらく加熱したまま放置しておいても、第2のCG4内に十分な量の溶融成分を保持できる。
【0082】
またこのとき、図1(b)のように厚みの薄い第2のCG4を支持体1’上に保持した状態で、第1のCG3を積層する方が、第2のCG4の破れや欠け等が発生しにくく、ハンドリングの容易さの点でより好ましい。また、このとき、積層した積層CG5同士が位置ずれしないように、軟化した第2のCG4が、第1のCG3の表面形状に追従して変形するのを補助するために押さえる程度の加圧(0.1〜1MPa)を行なうと、より精度よく確実な圧着が可能となる。
【0083】
なお、必要に応じて上下の層間の導体層2同士を接続するためのビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を形成してもよい。これら貫通導体は、パンチング加工やレーザ加工等により積層CG5に形成した貫通孔に、導体ペーストを印刷やプレス充填により埋め込む等の手段によって形成される。貫通穴加工は、積層CG5が厚い場合、パンチング加工が積層CG5の表裏の貫通穴径に差異がなく、好ましい。また貫通穴を加工する際、積層CG5は支持体1から剥がして行ってもよいが、支持体1上に保持したまま行うと積層CG5の変形を防止できるのでより好ましい。
【0084】
キャビティを有する電子部品を製造する場合、次のCG積層体6を作製する工程より前に、キャビティ形状の貫通穴を金型による打ち抜き等により積層CG5の一部に形成しておく。貫通穴の形成は、キャビティの内壁面への導体層2の形成の有無や形成方法に応じて、導体層2を形成する前でもよいし、形成した後でもよい。
【0085】
次に図1(d)に示すように、位置合わせして積み重ねた積層CG5を、溶融成分が溶融状態となり第2のCG4が軟化して変形する程度の温度つまり溶融成分の融点程度の温度で加熱することでCG積層体6を作製する。ここで、積層する際に支持体1から積層CG5を剥がすことも可能であり、この際に必要に応じて加熱等の処理を施すことも可能である。また、このとき、積層した積層CG5が位置ずれしないように、また、軟化した第2のCG4を第1のCG3およびその中に埋め込まれて形成された導体層2に押さえる程度の加圧を行なうと、より精度よく確実な圧着が可能となる。このとき、積層CG5同士の接着性を向上させるために、溶剤とバインダーや可塑剤等を混合した接着剤を用いてもよい。
【0086】
CG積層体6を作製する工程において、第2のCG4は加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、導体層2が埋め込まれた積層CG5を積層して加熱した際に第2のCG4が軟化するので、第2のCG4はその下側に位置する積層CG5の第1のCG3及びその中に埋め込まれた導体層2からなる表面形状に追従して変形する。これにより、導体層2の周囲や導体層2間に空隙が発生することなく積層CG5同士が密着し、CG積層体6を焼成して得られる電子部品はデラミネーションが発生しない。
【0087】
また、第2のCG4は、加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、加熱のみで第2のCG4が軟化して接着性を有するので、大きな加圧力により積層CG5を圧着させる必要がない。そして、導体層2が埋め込まれて形成された第1のCG3は加熱時に溶融する溶融成分を含有しないことから、第1のCG3は加熱時に変形することはなく、積層した積層CG5同士が位置ずれしないように、また、軟化した第2のCG4を第1のCG3およびその中に埋め込まれて形成された導体層2に押さえる程度では変形しない。よって、積層CG5およびその中に埋め込まれて形成された導体層2の形状が変形することがなく、さらに加圧による積層CG5への歪がなく得られるCG積層体6およびそれを焼成して得られる電子部品は高い寸法精度を有するものとなる。
【0088】
なお、CG積層体6を作製する際の加熱温度を120℃以下とすると、積層CG5中のバインダーや可塑剤等の有機成分が分解し、分解ガスが発生することがないので、よりデラミネーションの少ない積層体を作製することが可能となる。
【0089】
例えば、加熱時に溶融する溶融成分を含有しない積層CG層5を用いた場合、CG積層体6および電子部品の寸法精度は±0.5%(寸法誤差)程度であったが、本発明の溶融成分を含有する積層CG5を用いた場合、CG積層体6および電子部品の寸法精度は±0.2%程度となり、大幅に向上することが実験により判明した。
【0090】
また、キャビティを有する電子部品を製造する場合、大きな加圧力により積層CG5を圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧による積層CG5の伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能な電子部品を得ることができる。
【0091】
図1(d)の最下部に位置する積層CG5としては、第1のCG3のみで構成される積層CG5’を用いればよい。積層コンデンサのように表面に導体層2が露出しない電子部品の場合、図1(d)の最上部に位置する積層CG5には導体層2が形成されていない積層CG5を用いればよく、積層セラミック配線基板のような両面に導体層2が露出する電子部品の場合、最下部のCG5’の両面に導体層5を形成したものを用いればよい。
【0092】
支持体1上に形成された溶融成分を含有した第2のCG4上に、溶融成分を含有しない第1のCG3を形成して積層CG5を形成し、この積層CG5の第1のCG3上に導体層2を形成した後、導体層2が形成された積層CG5を複数枚加熱して積層する方法でもデラミネーションを防止し、かつ積層加圧による変形のない電子部品を製造することができる。この方法では、導体層2の厚み以上に溶融成分を含有した第2のCG4の厚みが必要となるので、積層CG5の厚みが薄い場合、溶融成分を含有した、つまり加熱で変形する第2のCG4の厚みの占める割合が高くなり、積層CG5全体が変形し易くなる。これに対して、本発明の製造方法は、積層CG5の導体層2が形成された面は実質的に平坦な面であるため、この面の形状に追従して変形する第2のCG4の厚みを薄くすることができる。よって、積層CG5の厚みが薄い場合であっても、積層時の加熱による積層CG5の変形が抑えられて高寸法精度が確保できるのでより好ましい。
【0093】
そして最後に、CG積層体6を焼成することにより本発明の電子部品が作製される。焼成工程は有機成分の除去とセラミック粉末の焼結の工程とから成る。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲でCG積層体6を加熱することで行ない、有機成分を分解、揮発させ、焼結温度はセラミック組成により異なり、約800〜1600℃の範囲内で行なう。焼成雰囲気はセラミック粉末や導体材料により異なり、大気中、還元雰囲気中、非酸化性雰囲気中等で行なわれ、有機成分の除去を効果的に行なうために水蒸気等を含ませてもよい。
【0094】
焼成後の電子部品はその表面に露出した導体層2の表面には、導体層2の腐食防止のために、または半田や金属ワイヤ等の外部基板や電子部品との接続手段の良好な接続のために、NiやAuのめっきを施すとよい。
【0095】
セラミック材料としてガラスセラミックスのような低温焼結材料を用いる場合、CG積層体6の上下面にさらに拘束グリーンシートを積層して焼成し、焼成後に拘束シートを除去するようにすれば、より高寸法精度のセラミック基板を得ることが可能となる。拘束グリーンシートは、Al等の難焼結性無機材料を主成分とするグリーンシートであり、焼成時に収縮しないものである。この拘束グリーンシートが積層された積層体は、収縮しない拘束グリーンシートにより積層平面方向(xy平面方向)の収縮が抑制され、積層方向(z方向)にのみ収縮するので、焼成収縮に伴う寸法ばらつきが抑制される。このときの拘束グリーンシートも本発明の積層CG5と同様の第1のCG3と第2のCG4とを有する構成にすると、拘束グリーンシートを積層して圧着する際にも大きな加圧力を必要とせず、得られる電子部品はより高寸法精度のものとなるのでよい。
【0096】
また、このような拘束焼成法を用いる場合は、拘束グリーンシートにより積層平面方向の収縮が抑制されるので、焼成時に収縮しない金属箔や金属膜等を導体層2として用いることがより容易となる。金属箔や金属膜で形成された導体層2は、印刷による方法で形成された導体層2と比較して導体抵抗が小さく、また、その形状のばらつきが小さいため、信号伝達速度の向上、導体抵抗等の安定、高周波信号を伝達した際の信号の損失減少による高周波特性の向上等の電気特性の向上が得られるので、より好ましい。
【0097】
また、拘束グリーンシートには難焼結性無機成分に加えて、焼成温度以下の軟化点を有するガラス成分、例えば積層CG5中のガラスと同じガラスを含有させるとよい。焼成中にこのガラスが軟化して積層CG5と結合することにより、積層CG5と拘束グリーンシートとの結合が強固になり、より確実な拘束力が得られるからである。このときのガラス量は難焼結性無機成分とガラス成分を合わせた無機成分に対して0.5〜15質量%とすると拘束力が向上し、かつ拘束グリーンシートの焼成収縮が0.5%以下に抑えられる。
【0098】
焼成後、拘束シートを除去する。除去方法としては、例えば研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。
【0099】
以上のような方法で作製された電子部品は、その内部にデラミネーションを有さず寸法精度の高いものであるので、電子部品として要求される優れた電気特性や気密性の高いものとなる。
【実施例1】
【0100】
最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0101】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0102】
次に、第2のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で18,19,20,23,25,26,30質量部を各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製した。このセラミックスラリーを用いて、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを作製した。
【0103】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0104】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。その際の剥離強度は、CG積層体を剥離した際の剥離発生箇所を双眼顕微鏡にて観察し、剥離箇所が第1のCG内である場合を良品とした。
【0105】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体(セラミックス)を作製した。この焼結体のクロスセクション(断面)の観察を行い、セラミック層間のデラミネーション、ブクやピンホールの発生の有無及び製品寸法を調査した。第2のCGのバインダー量別の評価結果を表1に示す。
【0106】
表1で、剥離強度の欄が「○」は、CG積層体を剥離した際に、剥離箇所が第1のCG内であったことを示す。「△」は、第1のCG外であったことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CG積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、ブク/ピンホール有無の欄が「○」は、焼結体内部にブクやピンホールがないことを示す。「△」は、CG積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にブクやピンホールが見られたことを示す。
【表1】


【0107】
表1より、第2のCGに含まれるバインダーの添加量が19質量部未満の試料No.1は、剥離箇所が第1のCG外であり、焼結体内部にデラミネーションが発生した。
【0108】
また、上記添加量が25質量部より大きい試料No.6,7は、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが見られ、ブク/ピンホールが見られた。
【0109】
これに対して、上記添加量が19乃至25質量部の試料No.2,3,4,5は、剥離箇所は第1のCG内で、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションが無く、ブク/ピンホールも見られなかった。
【実施例2】
【0110】
実施例1と同様に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0111】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0112】
次に、第2のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂の分子量を4万,8万,10万,20万,30万,36万,50万で各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製した。このセラミックスラリーを用いて、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。この第2のCGを用い、5枚重ねて常温で24時間放置し、第2のCG同士がくっつくかどうかの評価を行った。
【0113】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0114】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。その際の剥離強度は、CG積層体を剥離した際の剥離発生箇所を双眼顕微鏡にて観察し、剥離箇所が第1のCG内である場合を良品とした。
【0115】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーション及びブクやピンホールの発生の有無及び製品寸法を調査した。第2のCGのバインダーの分子量別の評価結果を表2に示す。
【0116】
表2で、第2のCGの保形性の欄が「○」は、第2のCGを成形した後、それを5枚重ねて常温で24時間放置しても、互いの第2のCGがくっつくこと無く保形性を維持していたことを示す。「△」は、第2のCGの成形はできたが、成形後に第2のCGを5枚重ねて常温で24時間放置すると互いの第2のCGがくっついてしまい、保形性を維持できなかったことを示す。また、剥離強度の欄が「○」は、CG積層体を剥離した際に、剥離箇所が第1のCG内であったことを示す。「△」は、第1のCG外であったことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さかったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、ブク/ピンホール有無の欄が「○」は、焼結体内部にブクやピンホールがないことを示す。「△」は、CG積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にブクやピンホールが見られたことを示す。
【表2】


【0117】
表2より、第2のCGに含まれるバインダーの分子量が8万未満の試料No.1は、第2のCGの保形性が維持できず、積層寸法の寸法バラツキが0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが発生し、ブク/ピンホールが見られた。
【0118】
また、上記分子量が30万より大きい試料No.6,7は、剥離箇所が第1のCG外であり、積層寸法の寸法バラツキが0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが発生し、ブク/ピンホールが見られた。
【0119】
これに対して、上記分子量が8万乃至30万の試料No.2,3,4,5は、第2のCGの保形性が得られ、剥離箇所が第1のCG内で、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションが無く、ブク/ピンホールも見られなかった。内層デラミネーションが無く、寸法ばらつきに優れたものであった。
【実施例3】
【0120】
実施例2と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0121】
次に、第1のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0122】
次に、第2のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーの酸価を0.0,0.1,0.5,0.8,0.9,1.5で各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製した。このセラミックスラリーを用いて、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0123】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0124】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。その際の剥離強度は、CG積層体を剥離した際の剥離発生箇所を双眼顕微鏡にて観察し、剥離箇所が第1のCG内である場合を良品とした。
【0125】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーション及びブクやピンホールの発生の有無及び製品寸法を調査した。第2のCGのバインダーの酸価別の評価結果を表3に示す。
【0126】
表3で、剥離強度の欄が「○」は、CG積層体を剥離した際に、剥離箇所が第1のCG内であったことを示す。「△」は、第1のCG外であったことを示す。内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さかったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。
【表3】


【0127】
表3より、第2のCGに含まれるバインダーの酸価が0.1KOHmg/g未満の試料No.1は、剥離箇所は第1のCG外であり、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
【0128】
また、上記酸価が0.8KOHmg/gより大きい試料No.5,6は、剥離箇所は第1のCG外であり、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
【0129】
これに対して、第2のCGに含まれるバインダーの添加量が0.1乃至0.8質量部の試料No.2,3,4は、剥離箇所は第1のCG内で、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションが無かった。
【実施例4】
【0130】
実施例3と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0131】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で6,8,10,12,15,18,20,22,24質量部を各々外添加し、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加して調合し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0132】
次に、第2のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部を外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製した。
【0133】
次に、このセラミックスラリーをPETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0134】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0135】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。
【0136】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションを調査した。そして、第1のCGに含まれるバインダーの添加量別の評価の結果を表4に示す。
【0137】
表4の内層デラミネーション有無の欄の「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CG積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。
【表4】


【0138】
表4より、第1のCGに含まれるバインダーの添加量が8質量部未満の試料No.1は、焼結体内部にデラミネーションが発生した。
【0139】
また、上記添加量が20質量部より大きい試料No.8,9も、焼結体内部にデラミネーションが発生した。
【0140】
これに対して、上記添加量が8乃至20質量部の試料No.2,3,4,5,6,7は、内層デラミネーションが無かった。
【実施例5】
【0141】
実施例4と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0142】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂の分子量を1万,5万,10万,40万,80万,90万,100万で各々調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0143】
次に、第2のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0144】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0145】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。また、第2のCGの裏面を観測し、ピンホールを調査した。
【0146】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーション及びブクやピンホールの発生の有無及び製品寸法を調査した。第1のCGに含まれるバインダーの分子量別の評価の結果を表5に示す。
【0147】
表5おける内層デラミネーション有無の欄の「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、第1のCG層のピンホール有無の欄の「○」は、第1のCG層の裏面にピンホールがないことを示す。「△」は、第1のCG層の裏面にピンホールが見られたことを示す。
【表5】


【0148】
表5より、第1のCGに含まれるバインダーの分子量が5万未満の試料No.1は、焼結体内部にデラミネーションが発生した。
【0149】
また、上記分子量が80万より大きい試料No.6,7は、第1のCGの裏面にピンホールが発生した。
【0150】
これに対して、上記分子量が5万乃至80万の試料No.2,3,4,5は、内層デラミネーションが無く、第2のCGの裏面にピンホールも無く、優れたものであった。
【実施例6】
【0151】
実施例5と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0152】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂の酸価を0.0,0.1,0.5,1.0,5.0,8.0KOHmg/gで各々調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0153】
次に、第2のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0154】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0155】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着して、CG積層体を作製した。また、第1のCG層の裏面を観測し、ピンホールを調査した。
【0156】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーション及び製品寸法を調査した。そして、第1のCGに含まれるバインダーの酸価別の評価結果を表6に示す。
【0157】
表6おける内層デラミネーション有無の欄の「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、第1のCGのピンホール有無の欄の「○」は、第1のCGの裏面にピンホールがないことを示す。「△」は、第1のCG層の裏面にピンホールが見られたことを示す。
【表6】


【0158】
表6より、第1のCGに含まれるバインダーの酸価が0.1KOHmg/g未満の試料No.1は、焼結体内部にデラミネーションが発生した。
【0159】
また、上記酸価が5.0KOHmg/gより大きい試料No.6は、第1のCGの裏面にピンホールが発生した。
【0160】
これに対して、上記酸価が0.1乃至5.0KOHmg/gの試料No.2〜5はデラミネーションおよびピンホールの発生はなく、優れたものであった。
【実施例7】
【0161】
実施例6と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0162】
次に、第1のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0163】
次に、第2のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーのガラス転移点を−25,−20,−10,−5,0,5,10℃で各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。この第2のCGを用い、5枚重ねて常温で24時間放置し、第2のCG同士がくっつくかどうかの評価を行った。
【0164】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0165】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着して、CG積層体を作製した。
【0166】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションの有無及び製品寸法を調査した。そして、第2のCGに含まれるバインダーのガラス転移点別の評価結果を表7に示す。
【0167】
表7で、第2のCGの保形性の欄の「○」は、第2のCGを成形した後、それを5枚重ねて常温で24時間放置しても、互いの第2のCGがくっつくこと無く保形性を維持していたことを示す。「△」は、第2のCGの成形はできたが、成形後に第2のCGを5枚重ねて常温で24時間放置すると、互いの第2のCGがくっついてしまい、保形性を維持できなかったことを示す。また、積層寸法の欄の「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さかったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄の「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。
【表7】


【0168】
表7より、第2のCGに含まれるバインダーのガラス転移点が−20℃よりも低い試料No.1は、第2のCGの保形性が維持できず、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
【0169】
また、上記ガラス転移点が0℃より高い試料No.6,7は、剥離箇所が第1のCG層外であり、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
【0170】
これに対して、上記ガラス転移点が−20乃至0℃の試料No.2〜5は、第2のCGの保形性が得られ、かつ剥離箇所が第1のCG層内で、かつ積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%よりも小さく、焼結体内部にデラミネーションは見られなかった。
【実施例8】
【0171】
実施例7と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0172】
続いて、第1のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第2のCG用のセラミックスラリーを調製し、上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0173】
次に、第2のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーの水酸基価を0,0.1,1,3,4,5,5.5,6KOHmg/gで各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0174】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0175】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。
【0176】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションの有無及び製品寸法を調査した。そして、第1のCGのバインダーの水酸基価別の評価結果を表8に示す。
【0177】
表8における積層寸法の欄の「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さかったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄の「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。
【表8】


【0178】
表8より、第2のCGに含まれるバインダーの水酸基価が0.1KOHmg/g未満の試料No.1は、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
【0179】
また、上記水酸基価が5KOHmg/gより大きい試料No.7,8は、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
【0180】
これに対して、上記水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gの試料No.2〜6は、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%よりも小さく、かつ焼結体内部にデラミネーションは見られなかった。
【実施例9】
【0181】
第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂のガラス転移点を−22,−20,0,10,20,25℃で各々外添加して調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、スラリーを調製し、ダイコーターシート成形機を用いて、成形速度2m/分、成形シート幅が250mmの条件にて第1のCGを厚み100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0182】
次に、第2のCG用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーを外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0183】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0184】
この積層CGを用い、常温で取り扱う際の積層CG同士の付着や、積層CGの割れ欠けの評価を行った。第1のCGに含まれるバインダーのガラス転移点別の評価結果を表9に示す
表9におけるシート付着の欄の「○」は、積層CGを常温で取り扱う際に、積層CG同士が付着せずに取り扱いが容易であったことを示す。「△」は、常温で重ねるだけで積層CG同士が付着し取り扱いが難しいものであったことを示す。シート割れ欠けの欄の「○」は、常温で取り扱う際に積層CGに割れや欠けが起こらずに取り扱いが容易であったことを示す。「△」は、常温で取り扱う際に積層CGに割れや欠けが起こり取り扱いが難しいものであったことを示す。
【表9】


【0185】
表9より、第1のCGに含まれるバインダーのガラス転移点が−20℃未満の試料No.1は積層CGのシート付着が発生した。
【0186】
また、上記ガラス転移点が10℃より大きい試料No.5,6は、積層CGのシート割れや欠けが発生した。
【0187】
これに対して、上記ガラス転移点が−20乃至10℃の試料No.2〜4は、シート付着が無く、シート割れや欠けが発生せず、優れたものであった。
【実施例10】
【0188】
実施例8と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0189】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂の水酸基価を0,3,5,10,20,40,60,80,100,104,110KOHmg/gで各々調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCG用のセラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0190】
次に、第2のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0191】
これらの第1のCGと第2のCGを40℃、0.5MPaで積層して加熱することによって、導体層と第1,第2のCGとから成る積層CGを形成した。
【0192】
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。
【0193】
それから、得られたCG積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用のセラミック焼結体を作製した。
【0194】
この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーション及びブクやピンホールの発生の有無及び製品寸法を調査した。そして、第1のCGに含まれるバインダーの水酸基価別の評価の結果を表10に示す。
【0195】
表10における内層デラミネーション有無の欄の「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、積層寸法の欄の「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%以下であったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。
【表10】


【0196】
表10より、第1のCGに含まれるバインダーの水酸基価が5KOHmg/g未満の試料No.1,2は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
【0197】
また、上記水酸基価が100KOHmg/gより大きい試料No.10,11は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
【0198】
これに対して、上記水酸基価が5乃至100KOHmg/gの試料No.3〜9は、内層デラミネーションが無く、かつ寸法ばらつきに優れたものであった。
【実施例11】
【0199】
まず実施例10と同様に、最初に、支持体であるPETフィルム上に、タングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
【0200】
次に、第1のCG用に、平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属酸化物の酸化クロムとを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸イソブチル樹脂を固形分で10質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、第1のスラリーを調製した。上記導体層を形成したPETフィルム上にリップコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGを作製した。
【0201】
また、第2のCG用に、第1のスラリーと同様のセラミック粉末100質量部に対してバインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部、溶融成分を各々10質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、第2のスラリーを調製した。溶融成分は、融点が40℃のテトラデカノール、50℃のヘキサデカノール、60℃のオクタデカノールを各々主成分とするものを用いて3種類の第2のスラリーを調製し、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGを形成した。
【0202】
次に、上記第1のCGの上に第2のCGを重ねあわせて、表1に示すような加熱温度で加熱し、0.5MPaの圧力で加圧することにより積層CGを作製した。得られた積層CGは、第1のCGと第2のCGにテープを貼り付け、このテープを互いに反対の方向に引っ張ることにより、第1のCGと第2のCGとの界面の接合強度を評価した。その界面で剥離せず、第1のCG内または第2のCG内で破断した場合を良品とした。
【0203】
次に、導体層を形成した積層CGSをそれぞれ4層重ねあわせて厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCG積層体を作製した。得られたCG積層体は、水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持することにより有機成分を除去した後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間焼成することで評価用のセラミック焼結体を作製した。
【0204】
この焼結体の断面(クロスセクション)観察を行い、セラミック層間のデラミネーションの発生の有無を評価した。溶融成分の融点に対する積層CGを作製する際の加熱温度による接合強度およびデラミネーションの評価結果を表11に示す。
【表11】


【0205】
表11の接合強度の欄の「○」は、第1のCGと第2のCGとの界面で剥離せず、第1のCG内または第2のCG内で破断したことを示す。また「△」は、第1のCGと第2のCGとの界面で容易に剥がれたことを示す。また、デラミネーションの欄の「○」は、焼結体のセラミック層間や配線導体周辺にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、セラミック層間や配線導体周辺にデラミネーションの発生が見られたことを示す。
【0206】
表11より、溶融成分の融点より低い加熱温度で積層CGを作製した場合、第1のCGと第2のCGとの界面で容易に剥離し、積層CG作製後のハンドリングで剥がれやすいものあった。
【0207】
また、各溶融成分の融点より70℃を超えて高い加熱温度で積層CGを作製した場合、焼結体のセラミック層間や配線導体周辺にデラミネーションが発生した。
【0208】
これに対して、溶融成分の融点より0乃至70℃高い温度で加熱して積層した場合、第1のCGと第2のCGとの接合強度は第1および第2のCGの強度以上と十分であり、かつセラミック層間にデラミネーションもなく優れたものであった。
【0209】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能である。たとえば、上述の実施の形態の例では、無機粉末とバインダーと溶媒を添加混合してセラミックスラリーを作製したが、CGに柔軟性を付与するために可塑剤を添加してもよく、また無機粉末の分散性を高めるために分散剤を添加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図である。
【符号の説明】
【0211】
1・・・支持体
2・・・導体層
3・・・第1のセラミックグリーンシート
4・・・第2のセラミックグリーンシート
5・・・積層セラミックグリーンシート
6・・・セラミックグリーンシート積層体
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
【出願日】 平成16年10月27日(2004.10.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−121016(P2006−121016A)
【公開日】 平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願番号】 特願2004−312170(P2004−312170)