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【発明の名称】 面状ヒータ装置
【発明者】 【氏名】豊嶋 正吾
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日本碍子株式会社内

【氏名】安達 博人
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 エヌジーケイ・キルンテック株式会社内

【要約】 【課題】応答性にすぐれること、材料ロスを防止できること、偏流に対応する前記是正構造を不要とすることを達成できる面状ヒータ装置を提供する。

【解決手段】支持板3に1本のリボン状発熱線4を巻き廻して、支持板3面に発熱線の複数の発熱面41を平行に配設した面状ヒータ2に特徴があり、この支持板3は、その平行な対向辺の1辺に山形凹凸31aをピッチPで繰り返し形成し、他の辺に1/2ピッチずらせた同形の山形凹凸31bを同ピッチPで繰り返し形成したものである。1本のリボン状発熱線4を、前記山形凹凸31aの山形斜面32aに沿って巻き回し、かつ、図1に示すように、対向する両辺の山形凹凸間(31aと31bとの間)に架設して、支持板3面に対して前記リボン状発熱線4の発熱面41を平行に、かつ支持板面上にその発熱面41を複数本、並列して配設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板に1本のリボン状発熱線を巻き廻して、支持板面にその発熱線の発熱面を平行に設した面状ヒータを具備したことを特徴とする面状ヒータ装置。
【請求項2】
前記面状ヒータが、支持板の対向辺の1辺に山形凹凸を繰り返し形成し、他の辺に1/2ピッチずらせた同形の山形凹凸を繰り返し形成するとともに、1本のリボン状発熱線を前記山形斜面に沿って巻き回し、かつ対向する両辺の山形凹凸間に架設して、支持板面に対して前記リボン状発熱線の発熱面を平行に、かつ支持板面上にその発熱面を複数本、並列して配設したものである請求項1に記載の面状ヒータ装置。
【請求項3】
前記支持板が、マイカプレートまたはアルミナプレートからなる非吸水性電気絶縁材である請求項1または2に記載の面状ヒータ装置。
【請求項4】
前記支持板が、表裏貫通した空間を設けた枠状プレートである請求項3に記載の面状ヒータ装置。
【請求項5】
リボン状発熱線を配設した前記支持板の表面に、外周表面を固定する枠部材を装着した請求項2、3または4に記載の面状ヒータ装置。
【請求項6】
リボン状発熱線を配設した前記支持板を収容、固定するケースが、補強構造を持つ請求項2〜5のいずれかに記載の面状ヒータ装置。
【請求項7】
面状ヒータの前面に、リボン状発熱線の垂れ下がり防止片を備えた枠部材を取り付けた請求項2〜6のいずれかに記載の面状ヒータ装置。
【請求項8】
面状ヒータのリボン状発熱線の上面に、熱電対の先端部を直接スポット溶接した請求項2〜7のいずれかに記載の面状ヒータ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱応答性に優れた面状ヒータ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成形部品など製造に際して、面積の広い樹脂板を加熱する場合、各種面状ヒータ装置が用いられてきた。例えば、セラミック体中に電熱線を埋め込んだセラミック埋め込み遠赤外線ヒータを多数個、配列させた面状ヒータ装置がある。(特許文献1を参照)このようなセラミック埋め込み遠赤外線ヒータは、電熱線が外部に露出していないので耐久性に優れるものの、ヒータ自体の熱容量が大きいため、通電後、所定温度に到達するまでかなりの時間を要するので応答性に劣り、断続的な加熱運転には不適当であった。また非常時に通電を遮断しても、安全な温度域に降温するまでに時間がかかるという問題もあった。
【0003】
このような応答性を改良した面状ヒータとして、鉄ニッケル系、ニッケルクロム系など所定材質のヒータ用金属薄板をエッチング加工またはプレス打ち抜き加工などによって、往復パターンの発熱部を形成した面状ヒータがある。(特許文献2を参照)この面状ヒータ装置の1例を図13に示すが、このヒータ装置1は、薄板金属ヒータ素材を前記手段で往復パターンの発熱部11に成形し、その折り返し部12を固定ねじ21でヒータ支持板2に固定したもので、往復パターン11も両端部を通電端子13、13としている。
【0004】
このようなヒータ装置では、装置の熱容量が小さくできるので、応答性が大幅に改善されるものである。しかし、ヒータ用金属薄板の一部が除去されるので材料ロスが生じることになる。さらにエッチングまたは打ち抜き加工そのものがコスト高の原因となり、全体が高価なものとなった。また材料の電気抵抗値にばらつきがあった場合、ヒータ抵抗値の調整がほとんどできないという不具合があるうえ、発熱部11の折り返し部12付近での電流の偏り(偏流)を防止するため、特別な是正構造を付加する必要あるなどの問題点があった。
【特許文献1】特公昭45−017947号公報:特許請求の範囲
【特許文献2】特開2001−126847公報:請求項1、図1、図14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、応答性にすぐれること、材料ロスを防止できること、偏流に対応する前記是正構造を不要とすることを達成できる面状ヒータ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題は、支持板に1本のリボン状発熱線を巻き廻して、支持板面に発熱線の発熱面を平行に配設した面状ヒータを具備することを特徴とする本発明の面状ヒータ装置によって、解決することができる。そして、本発明は、この面状ヒータを、支持板の対向辺の1辺に山形凹凸を繰り返し形成し、他の辺に1/2ピッチずらせた同形の山形凹凸を繰り返し形成するとともに、1本のリボン状発熱線を前記山形斜面に沿って巻き回し、かつ対向する両辺の山形凹凸間に架設して、支持板面に対して前記リボン状発熱線の発熱面を平行に、かつ支持板面上にその発熱面を複数本、並列して配設した形態とするのが好ましい。
【0007】
さらに、本発明では、前記支持板が、マイカプレートまたはアルミナプレートからなる非吸水性電気絶縁材であるのが好ましく、またその形状としては、表裏貫通した空間を設けた枠状プレートであるのが好ましい。
また、リボン状発熱線を配設した前記支持板の表面に、外周表面を固定する枠部材を装着するのがより好ましい。また、リボン状発熱線を配設した前記支持板を収容、固定するケースが、補強構造を有するものであるのがより好ましい。
さらに、面状ヒータの前面にリボン状発熱線の垂れ下がり防止片を備えた枠部材を取り付けた構造とすることが好ましく、面状ヒータのリボン状発熱線の上面に、温度制御用の熱電対の先端部を直接スポット溶接した構造とすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の面状ヒータ装置は、このように、露出したリボンヒータを用いるので応答性にすぐれている。また、1本のリボン状発熱線を巻き廻して面状ヒータを構成しているので、材料ロスが全く発生しないという利点が得られる。そのうえ、1本のリボン状発熱線を巻き廻してヒータとするので、部分的な電流の偏りが生じないので、前記した是正構造は必要としないという優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した面状ヒータ装置として、工業的価値はきわめて大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の面状ヒ−タ装置に係る実施形態について、図1〜6を参照しながら説明する。
本発明の面状ヒ−タ装置の特徴は、図1に例示するリボン状発熱線4を複数列に配設した面状ヒータ2を用いる点にあり、そして、支持板3に1本のリボン状発熱線4を巻き廻して、支持板3面に発熱線の複数の発熱面41を平行に配設した面状ヒータ2にそのポイントがある。
【0010】
さらに具体的に説明すると、本発明では、1本のリボン状発熱線4を巻き廻すために、図2に示す形状の支持板3を用いる。この支持板3は、その平行な対向辺の1辺に山形凹凸31aをピッチPで繰り返し形成し、他の辺に1/2ピッチずらせた同形の山形凹凸31bを同ピッチPで繰り返し形成したものである。
【0011】
そして、1本のリボン状発熱線4を、図3に示すように、前記山形凹凸31aの山形斜面32aに沿って巻き回し、かつ、図1に示すように、対向する両辺の山形凹凸間(31aと31bとの間)に架設して、支持板3面に対して前記リボン状発熱線4の発熱面41を平行に、かつ支持板面上にその発熱面41を複数本、並列して配設して好ましく構成される。
【0012】
ここで、リボン状発熱線4は、端部42、42から引き出され、入力端子(図示せず)に接続される。なお、この実施形態では、山形斜面32aは角度45度の傾斜角とするのがよい。また、支持板3には、固定用孔33が外周に4箇所設けてある。
【0013】
本発明の面状ヒータ装置は、以上説明した面状ヒータ2を主要部材とするもので、その、部材構成例を図4に示す。図4では、四角枠付きケース51内において、前記面状ヒータ2は発熱面41を表面に向け、固定用孔33を取付金具52にねじ止めして収容、配設されている。なお、所要電力は、入力端子53、53から供給されるものである。また、ここで四角枠付きケース51はその平面部に、発熱線からの輻射熱による変形を緩和するため、プレスによる絞り部51aなどの折り曲げ部分からなる補強構造をもつことが好ましい。
【0014】
さらに、面状ヒータ2の表面に、その外周表面を枠状に固定する枠部材54を装着して、発熱面41の両端部分を押し圧するように構成すると、面状ヒータ2を下向きに設置した場合に、前記発熱面41が垂れるのを防止できるのでより好ましい。この枠部材54には、耐熱性、電気絶縁性などからアルミナ焼結セラミックスが好適である。
【0015】
さらに、本発明に用いられる支持板3について補足すると、その材質としては、マイカ(雲母質)プレートまたは焼結アルミナプレートのような非吸水性電気絶縁材を利用するのが好適である。その厚さは、表面サイズにもよるが1mm〜5mmのものが利用可能である。またその形状としては、図5に例示するように、表裏貫通した多数の円孔空間34(図5A)や、中央をえぐった空間35(図5B)を設けた枠状プレートとすれば、その支持板自体の熱容量が一層小さなものとなるので温度応答性がより改善される利点が得られるので好ましい。
【0016】
本発明の面状ヒータ装置は、以上説明したように、リボン状発熱線を露出した状態で用いるので応答性に優れるのは言うまでもない。例えば、図6に示すように、セラミック埋め込み遠赤外ヒータでは、温度曲線Aに示すように通電開始後3分経過しても飽和温度に到達しないが、本発明の面状ヒータ装置では温度曲線Bに示すように約10秒後には飽和温度に達するという高い応答性が得られる。
【0017】
このように、本発明では優れた応答性が得られるので、間歇加熱の場合には、加熱効率が高められるとともに加熱過程の電力ロスも低減できる。さらに、1本のリボン状発熱線を巻き廻して面状ヒータを構成しているので、発熱材の材料ロスが全く発生しないという格別の利点が得られる。そのうえ、発熱面の往復、折り返し部分においても、従来ヒータのように断面積の変化が存在しないので、部分的な電流の偏りが生じないので、材料劣化が生じないから従来のような是正構造も不要であるというメリットも得られる。
【0018】
以上に説明した実施形態では、図4に示されるように四角形の枠部材54によって面状ヒータ2の外周部を押さえたが、ヒータ使用中にリボン状発熱線4が熱膨張し、加熱面が下向きの場合には中央部が垂れ下がることがある。そこで図7、図8に示すように、面状ヒータ2の前面に取り付けられる枠部材54をリボン状発熱線4の垂れ下がり防止片55を備えたものとし、また、垂れ下がり防止片55はリボン状発熱線どうしが接触することができない様に図9に示すように内側となる面に隔壁構造56を持ち、面状ヒータ2の中央部の垂れ下がりを防止することが好ましい。なお垂れ下がり防止片55は必ずしも1つである必要はないが、数を増やすと発熱面が遮蔽されるため、図示のように最も垂れ下がり易い中央部に1つ設けることが好ましい。
【0019】
また、本発明の面状ヒータ装置には温度を検出して出力を制御するための熱電対が取り付けられるが、従来の面状ヒータの場合には絶縁性の筒状体を取り付け、その内部に熱電対の先端部を挿入・固定するのが普通であった。しかし図10、図11に示すように、熱電対60を構成する2本の金属線の先端をクロスさせ、リボン状発熱線4の中央部上面に直接スポット溶接することにより、構造の簡素化とコストダウンを図ることができる。
【0020】
さてこの種の面状ヒータ装置は、125mm×125mmのサイズで、1個当たりの発熱量が570〜580Wであるものが一般的で、事実上の規格となっている。従来品は巻き線密度に限界があり、単位面積当たりの発熱量を上記制約に合わせるために、トランスで電圧を30V程度まで落として通電していた。
【0021】
しかし本発明の面状ヒータ装置は、前記したような特殊なリボン状発熱線4の巻き廻し構造を採用したので、巻き線密度により決定される単位面積あたりの抵抗値を従来品よりも高めることができ、電圧を50Vとして運転しても上記制約に対応可能である。そこで図12に示すように4個の面状ヒータ装置を直列に接続し、その両端に工業用電源電圧である200Vを印加する運転方法を採用することができる。このような方法を採用すれば、従来のようにトランスを設置する必要がなくなり、大幅なコストダウンが可能となる。なお本発明の面状ヒータ装置は巻き線密度の調整可能幅が大きいので、必ずしも4個直列接続のみならず、2個直列接続や6個直列接続も可能である。このような使用方法が可能となるのも、本発明の大きな利点である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の面状ヒータ装置を説明するための面状ヒータの正面図。
【図2】本発明の支持板を示す正面図。
【図3】発熱線の巻き回し状態を説明するための支持板と発熱線の要部斜視図。
【図4】本発明の面状ヒータ装置を示す正面図(A)、側面図(B)。
【図5】本発明の支持板の他の形態(A)(B)を示す正面図。
【図6】本発明の応答性を示すグラフ。
【図7】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【図9】枠部材の内側面を示す平面図とそのA−A断面図である。
【図10】熱電対の取付構造を示す断面図である。
【図11】熱電対の取付構造を示す平面図と側面図である。
【図12】本発明の面状ヒータ装置の4個直列接続状態を示す平面図である。
【図13】従来の面状ヒータ装置を示す正面図。
【符号の説明】
【0023】
2:面状ヒータ
3:支持板、31a、31b:山形凹凸,32a、32b:山形斜面
4:リボン状発熱線、41:発熱面


【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号
【識別番号】591076109
【氏名又は名称】エヌジーケイ・キルンテック株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号
【出願日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【代理人】 【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄

【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫

【公開番号】 特開2006−261095(P2006−261095A)
【公開日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願番号】 特願2005−354342(P2005−354342)