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【発明の名称】 マイクロ波加熱装置及びそれを用いた二酸化炭素分解方法
【発明者】 【氏名】伊藤 鉱一
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】小川 仁
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】油井 雅之
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】古橋 鉄太郎
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】馬目 一生
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】手塚 裕子
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【要約】 【課題】各種の化学反応、取り分けCO分解などの不均一系触媒反応を低エネルギーでかつ安定して実施できるマイクロ波加熱装置、及び、短時間に簡易かつ低エネルギーでCOを分解できる二酸化炭素分解方法を提供すること。

【解決手段】不均一系触媒を加熱するマイクロ波加熱装置であって、マイクロ波を発生する発振管と該発振管へ供給する電圧を制御する電圧制御装置と前記不均一系触媒の表面近傍の温度を計測する温度計測手段とを備え、前記電圧制御装置は目標温度入力手段を備え、入力された目標値と前記温度計測手段による計測値を用いて発振管へ供給する電圧を制御することを特徴とするマイクロ波加熱装置。上記のマイクロ波加熱装置内に設置した触媒を充填した反応器内に、CO/H混合ガスを導入し、触媒層にマイクロ波を発振する発振管へ供給する電圧を操作し、触媒の表面温度を実質的に一定の温度に保持し、二酸化炭素を分解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物質を連続的に加熱するマイクロ波加熱装置であって、
マイクロ波を発生する発振管と該発振管へ供給する電圧を制御する電圧制御装置と前記被加熱物質又はその表面近傍の温度を計測する温度計測手段とを備え、
前記電圧制御装置は目標温度入力手段を備え、入力された目標値と前記温度計測手段による計測値を用いて発振管へ供給する電圧を制御することを特徴とするマイクロ波加熱装置。
【請求項2】
被加熱物質が触媒であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項3】
温度計測手段がファイバー式温度計又は熱電対であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項4】
二酸化炭素分解用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項5】
請求項1に記載のマイクロ波加熱装置内に設置した触媒を充填した反応器内に、二酸化炭素含有ガスを導入し、前記触媒を加熱することにより二酸化炭素を分解する二酸化炭素分解方法であって、発振管の電圧を前記目標値と温度計による計測値をもとに60Vから110Vの間で制御することを特徴とする二酸化炭素分解方法。
【請求項6】
触媒がCu、Zn、Cr、Al、Au、Zrのいずれかの元素を1種類以上含むものである請求項5に記載の二酸化炭素分解方法。
【請求項7】
目標温度が120〜300℃の範囲であることを特徴とする請求項5又は6に記載の二酸化炭素分解方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素(CO)分解をはじめ各種反応装置として有用なマイクロ波加熱装置、及びそれを用いた二酸化炭素分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機合成において、マイクロ波加熱を用いれば、反応時間を従来の時間単位から分単位へと飛躍的に短縮できるため、近年、マイクロ波有機合成は活発に研究され、有機合成におけるグリーンテクノロジーとして世界的に注目されるようになってきた。例えば、特許文献1には、リン酸、水酸化アルミニウム、塩酸及び水を含有する液体組成物をマイクロ波照射で加熱することにより、反応温度90〜125℃、反応時間0.5〜1時間で結晶性リン酸アルミニウム水和物を合成する方法が開示されている。該製造法によれば、従来数時間ないし数十時間を要した水熱合成反応を、数分ないし1時間の範囲に短縮できるとされている。この方法ではマイクロ波の連続照射により原料混合物を反応温度まで昇温させた後、間欠的にマイクロ波を照射して反応温度を保持させている。
【0003】
一方、発電所、工場、自動車等の人間の社会的活動に伴って大気中に排出される二酸化炭素は地球温暖化の主たる原因であることが知られており、近年、この二酸化炭素の排出量を削減することが地球環境の保護の大きな課題となっている。このため従来より、発電所等の排煙や大気中の二酸化炭素を固定化し除去するためのシステムが種々提案されている。
【0004】
二酸化炭素の処理方法としては、概ね生物的方法、海洋貯留や地中貯留といった隔離、および化学的方法が挙げられる。光合成を利用する生物的方法はかなりの量のCOの処理が期待でき、しかも熱帯林の保護や砂漠化防止にも役立つので、現在広範な植樹と微細藻類の多量かつ連続的な培養、増殖を行う研究開発が行われている。しかし、微細藻類による処理反応は、微細藻類の表面で進行するため、微細藻類でCOを処理するためには広大な面積の微細藻類が必要となる問題がある。また、植樹・植林も広大な土地が必要であり、成長するまでに何年にも亘る時間が必要となる。
【0005】
COの海洋貯留、地中貯留等、隔離によるものは、圧入時に圧縮や液化のエネルギーが必要なこと、長期的にCOが安定して隔離されているかまだ不明な点も多いこと、生物への影響など環境への悪影響が未知であること、といった課題がある。
【0006】
化学的反応による還元は、触媒反応を利用する方法や、電気化学的還元、光化学的還元に分けられる。電気化学的還元は、特殊な電極を使用して電解溶液中のCOを分解し、ギ酸、メタン等を常温で生成する方法等が知られているが、大規模な反応槽が必要であり、反応を促進させるためには大量の電気エネルギーを供給する必要がある。
【0007】
光化学的還元は、半導体を利用した光電極反応による還元であり、還元に必要なエネルギーを太陽光から得る。これはCOを溶かした水溶液中に光電極を入れ、光を当てることによって一方の電極で水を酸化して酸素を得、他方の電極でCOを還元してCOを得るものが知られている。しかし、光電極の性能が十分でなく、反応の安定性に課題がある。
【0008】
触媒反応を利用するCOの還元は、COを一酸化炭素、メタノール等に転換してそれを利用するという手段等が知られており、このような化学的方法は、生物的方法や物理的方法に比べて、エネルギーの低減が図れる可能性があるが、基礎研究の段階である。
【0009】
このような二酸化炭素の分解反応にマイクロ波を利用した例としては、特許文献2に、二酸化炭素と水素の混合物をCu系触媒の存在下にメタノールに変換する際に、前記水素をマイクロ波を用いる硫化水素の分解によって取得する方法が開示されている。しかし、二酸化炭素分解反応自体にマイクロ波を利用したものではない。
【0010】
そこで、本発明者等は、二酸化炭素と水素との混合物に触媒存在下でマイクロ波を照射し、マイクロ波で触媒を加熱することにより触媒表面で二酸化炭素を分解する、新規な二酸化炭素分解方法を提案した(特願2004−332797)。しかし、触媒層にマイクロ波を照射することにより触媒の表面近傍の温度が上昇するため、反応温度を常時にほぼ一定に維持するためには、マイクロ波照射を随時停止しなければならず、その結果、触媒活性が低下し、反応時間の短縮が図れないという問題点があった。
【0011】
【特許文献1】特開2002−29716号公報(請求項1、段落番号0019、0023、0027、0035等)
【特許文献2】特開平7−173088号公報(請求項1〜2、請求項8、第4頁の図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、各種の化学反応、取り分けCO分解などの不均一系触媒反応を低エネルギーでかつ安定して実施できるマイクロ波加熱装置、及び、短時間に簡易かつ低エネルギーでCOを分解できる二酸化炭素分解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、化学反応をマイクロ波による加熱状態で行わせるに当り、反応器内にマイクロ波を発振する発振管へ供給する電圧を操作することにより、マイクロ波を連続照射した場合でも触媒表面近傍の温度を実質的に一定の温度に保持することができ、その結果、二酸化炭素の分解時間を飛躍的に短縮できることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)被加熱物質を連続的に加熱するマイクロ波加熱装置であって、
マイクロ波を発生する発振管と該発振管へ供給する電圧を制御する電圧制御装置と前記被加熱物質又はその表面近傍の温度を計測する温度計測手段とを備え、
前記電圧制御装置は目標温度入力手段を備え、入力された目標値と前記温度計測手段による計測値を用いて発振管へ供給する電圧を制御することを特徴とするマイクロ波加熱装置、
2)被加熱物質が触媒であることを特徴とする前記1)に記載のマイクロ波加熱装置、
3)温度計測手段がファイバー式温度計又は熱電対であることを特徴とする前記1)又は2)に記載のマイクロ波加熱装置、
4)二酸化炭素分解用であることを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載のマイクロ波加熱装置、
5)前記1)に記載のマイクロ波加熱装置内に設置した触媒を充填した反応器内に、二酸化炭素含有ガスを導入し、前記触媒を加熱することにより二酸化炭素を分解する二酸化炭素分解方法であって、
発振管の電圧を前記目標値と温度計による計測値をもとに60Vから110Vの間で制御することを特徴とする二酸化炭素分解方法、
6)触媒がCu、Zn、Cr、Al、Au、Zrのいずれかの元素を1種類以上含むものである前記5)に記載の二酸化炭素分解方法、及び、
7)目標温度が120〜300℃の範囲であることを特徴とする前記5)又は6)に記載の二酸化炭素分解方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のマイクロ波加熱装置によれば、マイクロ波を発振する発振管へ供給する電圧を操作し、被加熱物質又はその表面近傍温度を実質的に一定に保持することができるので、触媒を用いたCO分解などの不均一系触媒反応を、低エネルギーかつ短時間で実施できる。
【0016】
また、本発明の二酸化炭素分解方法によれば、不均一系触媒を用いた二酸化炭素分解反応の所要時間を大幅に短縮することができ、より少ないエネルギーで比較的簡易な装置で二酸化炭素分解反応を実施できる。しかも、有用なメタノールの生産性を高めることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をより詳細に説明する。図1は本発明のマイクロ波加熱装置の一例を示す概略図である。1はマイクロ波加熱装置(図1は装置内に反応器を設置した例を示している)、20は被加熱物質へマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置、21は被加熱物質又はその表面近傍の温度を計測する熱電対、22は発振管へ供給する電圧を制御する電圧制御装置、23はマイクロ波を発振する発振管である。前記電圧制御装置22は目標温度入力手段を備え、入力された目標値と熱電対による温度計測値を用いて発振管へ供給する電圧を制御する。
【0018】
図1に示すマイクロ波加熱装置には、装置20内に設置された反応器10内に触媒13が充填されている。マイクロ波加熱装置から発振したマイクロ波によって触媒13を加熱し、触媒表面温度を予め設定した目標温度に制御しながら、反応器10の上部から原料ガス(CO含有ガス)を供給して二酸化炭素分解反応を進行させる。
【0019】
本発明によるマイクロ波加熱装置は、液体及び固体等の被加熱物質を加熱することにより化学反応を生じさせる化学反応用装置に好適であり、マイクロ波を連続照射した場合でも被加熱物質の温度をほぼ一定に保持することができるため、反応系を安定に維持できる。また、被加熱物質として触媒を加熱した場合は、その触媒活性を継続して維持することができる。ここで、被加熱物質は本発明のマイクロ波加熱装置をCO分解に適用することを考慮すれば不均一系触媒(詳細は後述する)が好ましいが、マイクロ波吸収性を有するものであれば特に限定されない。
【0020】
また、本発明による二酸化炭素分解方法は、本発明のマイクロ波加熱装置内に設置した反応器内に触媒を充填し、二酸化炭素含有ガスを導入し、前記触媒を加熱することにより二酸化炭素を分解するものである。
【0021】
本発明で用いる二酸化炭素含有ガスは、少なくとも二酸化炭素を含むガス等であればよく、COガスの他、石炭、石油、LNG、プラスチック等の燃焼により生じた燃焼排ガスや、熱風炉排ガス、高炉排ガス、転炉排ガス、燃焼排ガス等の製鉄所副生ガスなど二酸化炭素を1〜40容量%含有する排ガス、自動車エンジンの排気ガス等が挙げられる。
【0022】
上記の二酸化炭素含有ガスは、COの還元を促進するための還元性ガスを含有することが好ましく、還元性ガスとしては水素が最も好ましい。この場合、二酸化炭素と水素の割合(モル比)は50/50〜5/95、好ましくは30/70〜8/92、より好ましくは20/80〜10/90の範囲とするのがよい。水素の混合割合が高くなるほど、二酸化炭素の分解は進み易くなるが、二酸化炭素の固定化効率を考慮すると上記範囲が好ましい。二酸化炭素の分解反応は下記式(1)〜(2)に従って進行すると推察されるが、先ずCOがCOに還元された後、更に還元されてメタノールが生成する。
【0023】
CO + H → CO + HO (1)
CO + 2H → CHOH (2)
【0024】
本発明で用いる触媒としては、マイクロ波吸収性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは(A)Cu、Zn、Cr、Al、Au、Zrのいずれかの元素を1種類以上含む金属酸化物、金属複合酸化物、或いはこれらの酸化物を多孔質体に担持した触媒等が挙げられる。これらの触媒は1種又は2種以上を任意に組合せて用いることができる。触媒の中でもCO分解能に優れる点より、CuO−ZnO、CuO−ZnO−Cr、CuO−ZnO−Al等の複合酸化物が特に好ましい。
【0025】
二酸化炭素からのメタノール生成反応は2段反応であることから、COをより短時間で分解するために、前記の触媒に、更に、(B)酸化チタン等の金属酸化物を担体とするパラジウム触媒等を併用することもできる。また、触媒のマイクロ波吸収性を高めるために、SiC等の加熱用媒体を触媒に混合することもできる。
【0026】
二酸化炭素を分解する場合は、上記触媒を反応器内に充填した後、反応器内を窒素ガス等の不活性ガスで置換する。次に、二酸化炭素含有ガスを反応器内へ導入するが、還元性ガスを併用する場合は、二酸化炭素含有ガスと還元性ガスが所定の割合で反応器内に存在するようにすれば良い。反応器内へ二酸化炭素含有ガスを導入した後、或いは導入前、或いは導入と同時に、反応器外から、反応器内に充填された触媒にマイクロ波を照射する。
【0027】
入力する温度目標値は、使用する触媒の種類によっても異なるが、100〜300℃、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃の範囲内に設定するのがよい。本発明では、反応器内の温度の変動幅は±10℃以内、特に±5℃以内にすることが好ましい。
【0028】
また、CO分解反応における反応圧力は、常圧、加圧の何れでもかまわないが、通常、0.1MPa(常圧)〜30MPa、好ましくは0.1MPa(常圧)〜20MPa、より好ましくは常圧である。
【0029】
照射するマイクロ波の出力は電圧制御装置により制御されるが、発振管の電圧を上記の目標値と温度計測手段による計測値をもとに60Vから110Vの間で制御する。この範囲内であれば、マイクロ波を連続して照射することができ、それにより触媒活性を継続して維持できるので、二酸化炭素の分解を短時間かつ低エネルギーで実施することができる。照射するマイクロ波の周波数は、通常、1GHz〜2.45GHzである。
【0030】
反応時間は、反応に供する二酸化炭素の濃度、又は反応触媒の種類等に応じて適宜に決定することができるが、通常は、30〜120分間反応させる。
【0031】
触媒の加熱又は触媒への触媒活性付与工程において、反応器内の触媒層へ供給するガスの流速は、反応器の空塔速度以下であればよいが、特に0.5〜2.0L/分程度が好ましい。ガス流速をこの範囲より小さくすると、触媒とガスとの均一な接触が困難となり、一方、ガス流速をこの範囲より大きくすると、二酸化炭素の分解反応が不充分となり、また、熱のロスが増加するため不利である。また、後述のように、供給ガスを循環使用することがより好ましい。
【0032】
上述のようにして触媒への触媒活性付与を行った後、反応器にガスを導入し、二酸化炭素と水素とを気−固接触反応させることにより、二酸化炭素を分解することができる。
【0033】
ここで、本発明の装置及び方法においては、触媒の表面近傍の温度を計測し、計測した温度に基づいて触媒層にマイクロ波を発振する発振管の電圧を操作し、発振するマイクロ波の出力を制御することによって、反応器内に仕込んだ触媒の表面温度を適切な温度に保持するものである。発振管の電圧の操作は手動でも行うことは可能であるが、自動制御機器を用いる方が好ましい。自動制御機器は、反応器内の温度が入力されると、発振管の電圧が制御されるように設置する。自動制御のアルゴリズムは反応器内温度が適切に制御できるものであれば特に限定はないが、PID制御が一般的である。また、触媒の表面近傍の温度は、ファイバー温度計或いは熱電対等を用いることにより、簡単に極めて高い精度で計測できるものである。
【0034】
本発明の二酸化炭素分解方法では、触媒の表面温度を一定に保持しつつ、該触媒と接触する二酸化炭素と水素の混合ガスにマイクロ波を照射することが重要であり、二酸化炭素、水素及び触媒が一定温度で十分接触するように、発振管の電圧を操作することにより、触媒表面の温度を制御する。この方法によれば、マイクロ波が触媒に当ることによって触媒が優先的に活性化され、かつ、過剰のマイクロ波の照射を抑制でき、触媒表面温度が一定に保持されるので、エネルギー利用効率を著しく高めることが可能になると共に、二酸化炭素の分解反応を安定して短時間で実施することができる。
【0035】
また、本発明の二酸化炭素の分解反応においては、二酸化炭素と水素を予め混合した混合ガスを反応器に導入してもよく、二酸化炭素ガスと水素ガスを別々に反応器に導入し、ガス流、或いは、窒素等の不活性ガス流による混合操作等により混合した混合ガスを、触媒と接触反応させることも可能である。
【0036】
ただし、混合ガスを分離した後に再び混合することは効率的ではないため、反応器より排出されるガスは、生成ガスと未反応の二酸化炭素及び水素を分離し、二酸化炭素及び水素を含むガスは分離せずにリサイクルガスとして再び反応器に導入する方法が経済的である。
【0037】
本発明の方法を用いて反応器内の触媒表面温度を適切に維持する具体的な制御方式の一例を図1及び図2に基づき詳しく説明する。
【0038】
図1において、14は反応器10内に充填した触媒13によって形成された触媒層内に挿入された温度センサー、20は触媒層にマイクロ波を照射する発振管23を備えたマイクロ波照射装置であり、11は触媒仕切り板、12はガス分散器として用いるボールフィルターである。また、図2において、10は反応器であり、2は原料ガスとして反応器に供給するCO/H混合ガス、3は不活性ガス、5は排気口兼サンプリング管、6はパージガスで、4はインピンジャーである。また、7はガス移送ポンプ、8は流量計、9は圧力計である。更に、F1は原料ガス、F2は原料ガスを含む生成ガス、F3は生成ガス、F4はパージガス、F5はリサイクルガスを示す。
【0039】
ここで、反応器内温度は温度センサー21で測定する。温度センサーによる測定値は入力値として22の電圧制御装置に送られる。電圧制御装置はその値から設定されたアルゴリズムに従い、10のマイクロ波照射装置内の発振管23に対して出力信号を送り、供給する電圧を操作する。22の電圧制御装置で制御された発振管23は、触媒表面温度を設定温度に維持するために必要なマイクロ波を発振する。電圧が高くなればなるほど発振されるマイクロ波が強くなり、電圧が低いほど低くなるため反応器内温度を制御でき、適切な温度に保持される。また、反応器内には11の触媒仕切り板、12のボールフィルターが設置されているため、原料混合ガスの触媒層との接触をより均一条件で行うことができる。なお、触媒に担持される金属種や担持体の種類によってもマイクロ波に対する発熱量が異なるが、電圧を操作することにより、容易に適切な温度に保持される。
【0040】
以上は、電圧操作方法の一例であるが、上記以外のいかなる方法を用いても、マイクロ波発振管の電圧を操作することによれば、反応器内の触媒表面温度を精度よく制御し、反応温度を維持することが可能となる。不活性ガスとしてはアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガスなど系内の反応に影響を与えないものであれば特に限定はないが、経済性の面から窒素ガスが好ましい。リサイクルガスには不活性ガス、二酸化炭素、水素以外に反応器内で生成するメタン、アルデヒド、一酸化炭素等のガス類が含まれることもあるが、反応に対し大きな影響を与えることはないため、必ずしもそれらのガスを除去する必要はない。また、本発明の方法は、固定床反応器、撹拌床反応器、並びに流動層反応器で実施することもできる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
図1に示す触媒仕切り板、ガス分散器、温度センサーを備えた内径37mm、高さ165mmの反応器を用い、二酸化炭素の分解反応を行った。この反応器にCuO−ZnO−Al系触媒50gを加え、反応器を、図1に示すマイクロ波を照射する発振管を備えたマイクロ波加熱装置1内に設置した。窒素ボンベより装置内に窒素を供給し、装置内を窒素雰囲気にした。CO/H=20/80(モル比)の混合ガスを充填した容量10リットルのテドラーパックを、反応装置の配管内に設置した。循環ポンプを起動させ、テドラーパック内のガスを流しながら排気口に排気を行った。テドラーパック内のガスが全て排気された後、排気、循環ポンプを停止させた。
【0043】
再度、CO/H=20/80(モル比)の混合ガスを充填した容量10リットルのテドラーパックを、反応装置の配管内に設置し、循環ポンプを起動させ1.0L/minの流速でガスを流しながら、周波数2.45GHzのマイクロ波を反応装置に照射して250℃まで昇温させた。その際、発振管の電圧操作により反応器内温度が150℃で一定に保持されるように反応器内温度の自動制御を作動させた。常圧、温度150℃で60分間加熱を行いCOの固定化反応を行った。
【0044】
図2に基づき、より具体的に反応器内温度制御方法を説明する。10の反応器内温度は21の温度センサーにより測定した。その値は、入力信号として22の電圧制御装置に送り、電圧制御装置は、その入力値(設定温度:150℃)からPID制御のアルゴリズムに従い、23の発振管に対する電圧を制御するようにした。この方法によって電圧を変化させることにより、反応器内温度を一定に維持させた。反応中の電圧は64Vであった。
【0045】
反応器内には、原料ガスを連続的に流量1.0L/minで触媒層に流通させ、60分間反応を行った。この間、反応器内温度は振れ幅が小さく、±0.5℃で維持することができた。
【0046】
反応後、配管中のガス及びインピンジャー内の液体をガスクロマトグラフィーを用いてそれぞれ分析し、同定・定量した。その結果、ガス中にCOが15.3%、液層中にメタノールが4.23mg生成した。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のマイクロ波加熱装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の二酸化炭素分解装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 マイクロ波加熱装置
2 二酸化炭素と水素の混合ガス
3 不活性ガス
4 インピンジャー
5 排気口兼サンプリング管
6 パージガス
7 ポンプ
8 流量計
9 圧力計
10 反応器
11 触媒仕切り板
12 ボールフィルター
13 触媒
14 熱電対
20 マイクロ波照射装置
21 温度センサー
22 電圧制御装置
23 発振管
F1 原料ガス(CO/H混合ガス)
F2 原料ガスを含む生成ガス
F3 生成ガス
F4 パージガス
F5 リサイクルガス
【出願人】 【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
【出願日】 平成17年2月4日(2005.2.4)
【代理人】 【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子

【公開番号】 特開2006−216412(P2006−216412A)
【公開日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願番号】 特願2005−28507(P2005−28507)