トップ :: H 電気 :: H04 電気通信技術




【発明の名称】 無線通信システム、無線通信装置、および無線基地局装置
【発明者】 【氏名】小野寺 浩司
【住所又は居所】東京都三鷹市下連雀五丁目1番1号 日本無線株式会社内

【氏名】浅見 重幸
【住所又は居所】東京都三鷹市下連雀五丁目1番1号 日本無線株式会社内

【氏名】野田 卓哉
【住所又は居所】東京都三鷹市下連雀五丁目1番1号 日本無線株式会社内

【要約】 【課題】無線通信装置が接続すべき無線基地局装置を短時間に選択することが可能な無線通信システム、その無線通信システムに適用される無線通信装置、および無線基地局装置を提供することを目的とする。

【解決手段】有線LANシステム30には各無線基地局装置20の位置情報を含む情報が配信される。各無線基地局装置20は、各無線基地局装置20の位置情報を含む報知信号を送信する。無線通信装置10は、報知信号を受信することで各無線基地局装置20の位置情報を含むデータベースを作成する。また、無線通信装置10はGPS受信機などの測位手段を備えており、自らの位置情報を取得する。無線通信装置10は自らの位置情報とデータベースとに基づいて最も近距離にある無線基地局装置20を選択し、当該無線基地局装置20に対して新規接続処理を実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線基地局装置と、
複数の無線基地局装置のうち少なくとも1つを選択し、選択した無線基地局装置と通信を行う無線通信装置と、
を備える無線通信システムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれは、無線基地局装置が設置されている位置を表す位置情報を含む報知信号を無線通信装置へ送信し、
無線通信装置は、無線基地局装置から報知信号を受信する報知信号受信手段と、
自らが存在する位置を測定する測位手段と、
を含み、
無線通信装置は、報知信号受信手段が受信した報知信号に含まれる無線基地局装置の位置情報と測位手段による測位結果とに基づいて、通信を行う無線基地局装置を選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
測位手段は衛星から送信される信号によって測位を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
複数の無線基地局装置のそれぞれは無線通信装置が測位を行うための測位信号を送信し、
測位手段は無線基地局装置から送信された測位信号に基づいて測位を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
複数の無線基地局装置のうち少なくとも1つを選択し、選択した無線基地局装置と通信を行う無線通信装置であって、
無線基地局装置が設置されている位置を表す位置情報を含む報知信号を、無線基地局装置から受信する報知信号受信手段と、
自らが存在する位置を測定する測位手段と、
を含み、
報知信号受信手段が受信した報知信号に含まれる無線基地局装置の位置情報と測位手段による測位結果とに基づいて、通信を行う無線基地局装置を選択することを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の無線通信装置において、
測位手段は衛星から送信される信号によって測位を行うことを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
請求項4に記載の無線通信装置において、
複数の無線基地局装置のそれぞれは無線通信装置が測位を行うための測位信号を送信する無線基地局装置であり、
測位手段は無線基地局装置から送信された測位信号に基づいて測位を行うことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
無線通信装置との通信を行う無線基地局装置であって、
無線基地局装置が設置されている位置を表す位置情報を含む報知信号を無線通信装置へ送信し、
無線通信装置が測位を行うための測位信号を送信することを特徴とする無線基地局装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線基地局装置と無線通信装置とを備える無線通信システム、無線通信システムに適用される無線通信装置ならびに無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等においては情報処理端末の設置位置が頻繁に変更されるため、情報処理端末が接続される通信網のすべてを有線接続によって構築することは好ましくない。そこで、通信網のうち根幹の部分を有線LANシステムで構築し、有線LANシステムと情報処理端末との間の通信は無線通信によって行う構成とした無線LANシステムが広く用いられている。無線LANシステムにおいては、情報処理端末が通信を行うエリアに無線基地局装置を設け、情報処理端末は、自ら備える無線通信装置を介して無線基地局装置との間の通信を確立する。この無線通信装置は、情報処理端末に容易に備え付けることができるようハードモジュール化されていることが多い。ここで、通信が確立している状態とは、複数の通信手段の間での通信プロトコルが決定しており、当該通信プロトコルを以て通信が可能な状態にあることをいう。以下の説明においては、無線通信装置と無線基地局装置との間の通信を確立することを、単に、無線通信装置と無線基地局装置とを接続する、と表現するものとする。
【0003】
無線LANシステムは、オフィス内での通信に留まらず様々な通信態様に応用することができる。例えば、屋外に無線基地局装置を設けることで、屋外の特定のエリアにおいて通信サービスを行う等である。無線LANシステムにおける無線基地局装置の1台当たりのサービスエリア、すなわち単位サービスエリアは半径数10mから数100mの間で任意に設計できるため、全サービスエリアの広さの微細な調整を行うことができる。サービスエリア内に存在する移動体は無線通信装置を備えることで無線基地局装置と通信を行う。この無線通信装置は、移動に伴って受信電界強度が低下して通信状態が悪化した場合には、接続すべき無線基地局装置を順次交換していくハンドオーバ処理を行い、移動体が単位サービスエリアを跨いで別の単位サービスエリアに移動した場合であっても引き続き通信状態を維持することができる。
【0004】
無線LANシステムでは、現在接続している無線基地局装置との間の通信状態が悪化したことを契機として、無線通信装置が他の無線基地局装置との接続を図ろうとする場合、無線通信装置は新たに接続する無線基地局装置を検索する処理を実行する。この処理では、検索に供するためのリクエスト信号を無線通信装置が複数の無線基地局装置に向けて送信する。無線通信装置は、リクエスト信号を受信した複数の無線基地局装置からリクエスト信号に対する応答であるレスポンス信号を受信し、レスポンス信号に基づいて通信品質が最も良好な無線基地局装置を検索する。
【0005】
なお、無線通信装置と無線基地局装置との間の通信品質を保持しつつハンドオーバ処理を行う技術については、次の文献に開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−64538号公報
【特許文献2】特開2004−32366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線LANシステムにおいてハンドオーバ処理を行う際には、無線通信装置は、無線チャネルをこれから接続しようとする無線基地局装置との間で使用するものに適合させる必要がある。使用する無線チャネルは各無線基地局装置ごとに異なり、各無線基地局装置に割り当てられた無線チャネルは予め無線通信装置側では把握されていない。ここで、各無線基地局装置ごとに異なる無線チャネルが割り当てられているのは、仮に全ての無線基地局装置に同一の無線チャネルを割り当てたとすると、無線基地局装置間で干渉が生じ、通信品質の劣化を招いてしまうためである。
【0008】
そこで、ハンドオーバ処理は、無線通信装置が規定されている全ての無線チャネルについてリクエスト信号を送信し、リクエスト信号に対するレスポンス信号に基づいて通信品質が最も良好な無線基地局装置を検索する処理を経て行われるのが一般的である。このため、検索処理に際して全ての無線チャネルについてリクエスト信号を送信してレスポンス信号を受信するための時間が必要とされることになり、ハンドオーバ処理を行うために長時間を要する。高速移動する移動体に無線通信装置を設ける場合には、ハンドオーバ処理は移動速度に従って短時間で行われる必要があるため、従来技術の無線LANシステムをそのまま適用することは困難である。
【0009】
本発明はこのような課題に対してなされたものであり、無線通信装置が接続すべき無線基地局装置を短時間に選択することが可能な無線通信システム、その無線通信システムに適用される無線通信装置、および無線基地局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の無線基地局装置と、複数の無線基地局装置のうち少なくとも1つを選択し、選択した無線基地局装置と通信を行う無線通信装置と、を備える無線通信システムであって、複数の無線基地局装置のそれぞれは、無線基地局装置が設置されている位置を表す位置情報を含む報知信号を無線通信装置へ送信し、無線通信装置は、無線基地局装置から報知信号を受信する報知信号受信手段と、自らが存在する位置を測定する測位手段と、を含み、無線通信装置は、報知信号受信手段が受信した報知信号に含まれる無線基地局装置の位置情報と測位手段による測位結果とに基づいて、通信を行う無線基地局装置を選択することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る無線通信システムにおいては、測位手段は衛星から送信される信号によって測位を行う構成とすることが好適である。
【0012】
また、本発明に係る無線通信システムにおいては、複数の無線基地局装置のそれぞれは無線通信装置が測位を行うための測位信号を送信し、測位手段は無線基地局装置から送信された測位信号に基づいて測位を行う構成とすることが好適である。
【0013】
また、本発明は、複数の無線基地局装置のうち少なくとも1つを選択し、選択した無線基地局装置と通信を行う無線通信装置であって、無線基地局装置が設置されている位置を表す位置情報を含む報知信号を、無線基地局装置から受信する報知信号受信手段と、自らが存在する位置を測定する測位手段と、を含み、報知信号受信手段が受信した報知信号に含まれる無線基地局装置の位置情報と測位手段による測位結果とに基づいて、通信を行う無線基地局装置を選択することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る無線通信装置においては、測位手段は衛星から送信される信号によって測位を行う構成とすることが好適である。
【0015】
また、本発明に係る無線通信装置においては、複数の無線基地局装置のそれぞれが無線通信装置が測位を行うための測位信号を送信する無線基地局装置である場合に、測位手段は無線基地局装置から送信された測位信号に基づいて測位を行う構成とすることが好適である。
【0016】
また、本発明は、無線基地局装置が設置されている位置を表す位置情報を含む報知信号を無線通信装置へ送信し、無線通信装置が測位を行うための測位信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無線通信装置が接続すべき無線基地局装置を短時間に選択することが可能な無線通信システム、その無線通信システムに適用される無線通信装置、および無線基地局装置を実現することができる。したがって、無線通信装置が無線チャネルを切り換えながら高速移動した場合であっても、高速なハンドオーバ処理を行うことが可能な無線通信システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の第1の実施形態に係る無線通信システム1の構成を示す図である。無線基地局装置20は有線LANシステム30に接続されており、無線通信と有線通信との間のインターフェースとしての役割を果たす。各々の無線基地局装置20は独自の単位サービスエリア50を形成し、複数配置された無線基地局装置20によって全サービスエリアの拡大が図られる。このような構成によって、各無線基地局装置20は、有線LANシステム30によって伝送された情報を無線通信装置10に送信し、無線通信装置10は無線基地局装置20を介して有線LANシステム30に情報を送信することができる。ここでは、例としてIEEE802.11仕様に基づいて構築されるシステムに本実施形態を適用する場合について考えるが、この通信仕様に限らず、他の通信仕様についても適用可能であることはいうまでもない。
【0019】
各無線基地局装置20は、自らと接続している無線通信装置10に対して、全サービスエリアを形成する全ての無線基地局装置20についての接続情報を報知する。以下、無線基地局装置20が接続情報を報知するための信号を報知信号とする。ここで接続情報は、無線基地局装置識別符号、無線基地局装置20の地球における位置座標、無線チャネル、物理層の種別、新規接続処理開始電界強度、および新規接続処理確定電界強度を含む情報であるものとし、その他無線通信装置と無線基地局装置20との接続を行うのに必要な情報を含ませることができる。
【0020】
無線基地局装置識別符号とは、無線基地局装置20を有線LANシステム30あるいは無線通信装置10の側で識別するための符号である。
【0021】
無線基地局装置20の地球における位置座標は無線基地局装置20が設置されている位置を表すもので、地球上における緯度、経度、および標高で表される。無線基地局装置20を設置する場合には、その設置位置座標を設置者が予め測定し、無線基地局装置20に記憶させておくものとする。また、無線基地局装置20に衛星測位システムの受信機を設け、衛星測位システムによって設置位置座標を測定する構成とすることも可能である。以下、地球における位置座標を単に絶対位置と表現する。
【0022】
無線チャネルとは、無線通信装置10と無線基地局装置20との間の無線通信を行うためのチャネルをいう。例えば、2.4GHz帯を用いるIEEE802.11b/g仕様では周波数分割チャネルが用いられており、日本国内においては14チャネルが定義されている。一般に、無線通信を行うためのチャネルとしては、周波数分割チャネルの他に、符号分割チャネル、時分割チャネル等がある。
【0023】
物理層の種別は、無線通信装置10と無線基地局装置20との間の通信プロトコルを確定するための一要素であり、例えば、IEEE802.11仕様では、11a、11b、11g等が定められている。
【0024】
新規接続処理開始電界強度は、無線基地局装置20と接続している無線通信装置10が受信する信号の電界強度が低下して、当該無線通信装置10が新たな無線基地局装置20の検索を開始する条件とする電界強度をいう。新規接続処理開始電界強度は無線通信装置10の側で観測される電界強度を基準として、無線基地局装置20それぞれについて定められている。
【0025】
新規接続処理確定電界強度は、無線通信装置10に対して無線基地局装置20への接続を許可する条件となる電界強度をいう。この電界強度も新規接続処理開始電界強度と同様、無線通信装置10の側で観測される電界強度を基準として、無線基地局装置20それぞれについて定められている。
【0026】
一般に、有線LANシステム30で伝送される信号は符号を配列した、いわゆるフレームで構成されており、そのフレームはヘッダ部とペイロード部とに分けられる。ヘッダ部が信号を伝送するために必要な処理に関する情報を含んでいるのに対し、ペイロード部は信号の伝送を依頼したアプリケーションソフト等が伝送の目的とする情報、すなわち情報の実質的な内容を含んでいる。無線基地局装置20が無線通信装置10に報知する接続情報は、有線LANシステム30に接続されている無線基地局装置20で生成される。そして、接続情報を生成した無線基地局装置20は、接続情報を有線LANシステム30で伝送される信号のペイロード部に記述し、同報通信により各無線基地局装置20に配信する。また、有線LANシステム30に集中管理装置(図示せず)を接続し、接続情報を一括管理して各無線基地局装置20に配信する構成とすることも可能である。
【0027】
無線基地局装置20は、有線LANシステム30から取得した接続情報を含む信号を報知信号として、自らに接続されている無線通信装置10に送信する。報知信号の送信の際には、接続情報を仕様で規定されているデータフレームに記述し、無線周波数帯の搬送波に変調して送信することとすればよい。接続情報は、無線通信装置10の移動や無線基地局装置20の配置変更に対処するために、予め定められた時間t1ごとに生成され報知信号が送信される。また、無線基地局装置20が固定配置されている場合には、定期的な接続情報の生成は冗長となるため、後述する無線通信装置10からの報知要求に応じて接続情報の生成および報知信号の送信を行うこととすればよい。
【0028】
次に、無線通信装置10の構成および動作について無線通信システム1の動作と共に説明する。図2は無線通信装置10の構成を示す。無線基地局装置20から送信された信号は、無線通信システム送受信部11において受信され、有線LAN/情報処理端末インターフェース部14を介して情報処理端末(図示せず)に入力される。また、情報処理端末から出力された信号は、有線LAN/情報処理端末インターフェース部14を介して無線通信システム送受信部11から送信され、無線基地局装置20で受信される。有線LAN/情報処理端末インターフェース部14は有線LANシステム30と情報処理端末との間の通信プロトコルの整合をとるものであり、これによって情報処理端末は、無線通信装置10を介して有線LANシステム30上の情報資源にアクセスすることができる。
【0029】
いま、無線通信装置10が、無線基地局装置識別符号がAである無線基地局装置20Aと接続されているものとすれば、記憶部15の無線基地局装置識別領域15aには無線基地局装置識別符号Aが記憶される。装置制御部12はこれを参照することで、無線通信装置10が無線基地局装置20Aに接続されていることを認識する。
【0030】
[報知信号の受信]
無線通信装置10は、無線通信システム送受信部11において接続先の無線基地局装置20から報知信号を受信する。装置制御部12は、受信された報知信号に含まれている各無線基地局装置20の接続情報に基づいて、図3のような構成のデータベース40を作成して記憶部15のデータベース領域15bに記憶する。報知信号が時間間隔t1ごとに送信されるシステム設定となっている場合には、無線通信装置10が報知信号を受信するために無線基地局装置20に対して何らはたらきかける必要はない。しかしながら、無線通信装置10からの報知要求に応じて接続情報の生成および報知信号の送信を行うシステム設定となっている場合には、次のような報知要求を行う必要がある。
【0031】
報知要求においては、装置制御部12が予め設定された時間ごとに報知要求信号を生成し、無線通信システム送受信部11を介して接続先の無線基地局装置20に送信する。報知要求信号を受信しそれを受諾した無線基地局装置20は、接続情報の生成および報知信号の送信を行う。
【0032】
また、接続情報にその接続情報が生成された時刻を含ませておき、装置制御部12は記憶部15のデータベース領域15bを予め定められた時間間隔で参照して当該時刻を読み取り、予め定められた有効時間が経過したときに報知要求信号の送信を行う構成とすることも可能である。
【0033】
[無線通信装置の絶対位置の取得]
無線通信装置10は、予め定められた時間間隔t2で、位置情報受信部13において自らの絶対位置を算出するための情報を取得する。この時間間隔t2は、無線通信装置10を備える移動体の移動速度と単位サービスエリア50の直径等に基づいて、後述するハンドオーバ処理が支障なく行うことができるよう決定されることが好ましい。絶対位置は、衛星測位システムの衛星から送信される測位信号、あるいは測位用固定局装置を配置することで構成された固定局測位システムから送信される測位信号を受信し、これらの測位信号から測位に必要な情報を抽出することによって算出することができる。位置情報受信部13は、無線通信装置10の絶対位置の情報を装置制御部12に入力する。装置制御部12は、記憶部15における装置位置記憶領域15cに自らの絶対位置を記憶させ、時間間隔t2で更新を行う。
【0034】
[ハンドオーバ処理]
ここで、ハンドオーバ処理について図4を参照しつつ説明する。図4はハンドオーバ処理のうち無線通信装置10が行う処理の流れを示したものである。ハンドオーバ処理は、新規接続処理を開始するか否かの判定を行う処理(S1)、新規接続処理(S2からS7)、および切断処理に大きく分けられ、以下、順に説明する。
【0035】
(1)新規接続処理を開始するか否かの判定(S1)
新規接続処理を開始するか否かを判定する処理は次の2つの判定を経て行われる。一つは受信電界強度が新規接続処理開始電界強度を下回っているか否かの判定であり(以下、受信電界強度判定とする。)、もう一つは現在接続されている無線基地局装置20が無線通信装置10から最も近距離にあるか否かの判定である(以下、距離判定とする。)。受信電界強度判定と距離判定はいずれを先に行ってもよく、受信電界強度判定を先に行う処理については図5を、距離判定を先に行う処理については図6を参照して説明する。
【0036】
(i)受信電界強度判定を先に行う処理(S1−1)
無線通信装置10は、接続先の無線基地局装置20との通信を行いつつ、無線通信システム送受信部11において受信電界強度を測定し、その値を装置制御部12に入力する(S1−1−1)。装置制御部12はその値が入力されるとともに記憶部15のデータベース領域15bに記憶されているデータベース40を参照し、受信電界強度が新規接続処理開始電界強度以上であるか否かを確認する。受信電界強度が新規接続処理開始電界強度を下回った場合、装置制御部12は距離判定を開始する。また、受信電界強度が新規接続処理開始電界強度以上の場合には、受信電界強度の測定が繰り返される(S1−1−2)。
【0037】
例えば、装置制御部12は、記憶部15の無線基地局装置識別領域15aに記憶されている無線基地局装置識別符号がAであることを認識すると、図3のデータベース40の無線基地局装置識別符号Aを有する無線基地局装置20Aに対する新規接続処理開始電界強度を参照する。いまの場合、新規接続処理開始電界強度は−85dBmであり、受信電界強度−85dBmを下回ったときに距離判定を開始すべきであると判断される。
【0038】
距離判定を開始すべきであると判断した装置制御部12は、記憶部15のデータベース領域15bと装置位置記憶領域15cを参照することで、無線通信装置10の絶対位置とデータベース40に記述されている各無線基地局装置20の絶対位置を取得する(S1−1−3)。そして、取得した無線通信装置10の絶対位置と各無線基地局装置20の絶対位置に基づいて、各無線基地局装置20までの距離を算出し、最も近距離にある無線基地局装置20を選択する(S1−1−6)。これは、サービスエリア内の電波の伝播状況が一様であるとした場合には、最も近距離にある無線基地局装置20との間の通信品質が最も良好であると予想されるためである。なお、最も近距離にある無線基地局装置20を選択する処理は、後述する絶対位置取得成否判定を経て行われる(S1−1−4)。これは、位置情報受信部13が絶対位置に関する情報を正常に取得したか否かを判定するものである。絶対位置に関する情報が正常に取得できなかったと判定された場合には現在の処理から離れて後述する失敗時処理(S1−1−5)へと導かれる。
【0039】
最も近距離にある無線基地局装置20の選択によって、現在接続されている無線基地局装置20と同一の無線基地局装置20が選択された場合は、新規接続処理を開始することなく、現在接続されている無線基地局装置20との接続を維持する(S1−1−7)。これは、現在接続されている無線基地局装置20が、無線通信装置10から最も近距離にある無線基地局装置20であり、接続先の無線基地局装置20を変更しても通信品質が改善される可能性が低いためである。また、現在接続されている無線基地局装置20と同一の無線基地局装置20が選択された場合、当該無線基地局装置20が独自に形成する単位サービスエリア50内に無線通信装置10が存在している蓋然性は高く、受信電界強度の低下は、障害物の存在など無線基地局装置20からの距離が遠くなったこと以外の現象に起因するものと考えられるためである。
【0040】
現在接続されている無線基地局装置20とは異なる無線基地局装置20、例えば、無線基地局装置識別符号Bを有する無線基地局装置20Bが選択された場合には、装置制御部12は新規接続処理を開始するか否かを判定する処理を終了し、新規接続処理を開始する(S1−1−7)。
【0041】
(ii)距離判定を先に行う処理(S1−2)
上述の受信電界強度判定を先に行う処理(S1−1)では、装置制御部12が受信電界強度が新規接続処理開始電界強度を下回ったと判断した場合に距離判定を開始し、距離判定において、最も近距離にある無線基地局装置20が現在接続中の無線基地局装置20ではないと判断された場合に新規接続処理を開始する。ここで説明する距離判定を先に行う処理では、まず、装置制御部12が最も近距離にある無線基地局装置20を選択し、この選択結果に基づいて、最も近距離にある無線基地局装置20が現在接続中の無線基地局装置20ではないと判断された場合に電界強度判定を開始する。そして、電界強度判定によって受信電界強度が新規接続処理開始電界強度を下回ったと判断された場合に新規接続処理を開始する。
【0042】
装置制御部12は無線通信装置10の絶対位置が時間間隔t2で更新されるごとに記憶部15における装置位置記憶領域15cを参照し、絶対位置に変化がないか否かを監視する。絶対位置に変化がみられた場合、装置制御部12は、記憶部15のデータベース領域15bと装置位置記憶領域15cとを参照することによって、無線通信装置10の絶対位置と各無線基地局装置20の絶対位置を取得する(S1−2−1)。そして、取得した無線通信装置10の絶対位置と各無線基地局装置20の絶対位置とに基づいて、各無線基地局装置20までの距離を算出し、最も近距離にある無線基地局装置20を選択する(S1−2−4)。これは、サービスエリア内の電波の伝播状況が一様であるとした場合には、最も近距離にある無線基地局装置20との間の通信品質が最も良好であると予想されるためである。なお、最も近距離にある無線基地局装置20を選択する動作は、後述する絶対位置取得成否判定を経て行われる(S1−2−2)。これは、位置情報受信部13が絶対位置に関する情報を正常に取得したか否かを判定するものである。絶対位置に関する情報が正常に取得できなかったと判定された場合には現在の処理から離れて後述する失敗時処理(S1−2−3)へと導かれる。
【0043】
最も近距離にある無線基地局装置20の選択によって、現在接続されている無線基地局装置20と同一の無線基地局装置20が選択された場合、受信電界強度判定を行うことなく、現在接続されている無線基地局装置20との接続を維持する(S1−2−5)。これは、現在接続されている無線基地局装置20が、無線通信装置10から最も近距離にある無線基地局装置20であるため、接続先の無線基地局装置20を変更しても通信品質が改善される可能性が低いためである。
【0044】
次に、現在接続されている無線基地局装置20とは異なる無線基地局装置20、例えば、無線基地局装置識別符号Bを有する無線基地局装置20Bが選択されたとする。上記(i)受信電界強度判定を先に行う処理と同様、無線通信装置10は現在の接続先の無線基地局装置20との通信を行いつつ、無線通信システム送受信部11において受信電界強度を測定し、その値を装置制御部12に入力する(S1−2−6)。そして、装置制御部12はその値が入力されるとともに記憶部15のデータベース領域15bを参照し、受信電界強度が新規接続処理開始電界強度以上であるか否かを確認する(S1−2−7)。
【0045】
現在接続されている無線基地局装置20Aから受信した信号の受信電界強度が新規接続処理開始電界強度以上である場合、たとえ無線基地局装置20Bが最も近距離にある無線基地局装置20であると選択されている場合であっても、新規接続処理を行うことなく、現在接続されている無線基地局装置20Aとの接続が維持される(S1−2−7)。これは、通信品質が確保されている以上、いたずらに処理負荷を増大させる必要はないためである。
【0046】
現在接続されている無線基地局装置20Aから受信した信号の受信電界強度が新規接続処理開始電界強度を下回った場合、装置制御部12は新規接続処理を開始するか否かを判定する処理を終了し、新規接続処理を開始する。
【0047】
上述の(i)受信電界強度判定を先に行う処理、(ii)距離判定を先に行う処理のいずれにおいても、新たに接続する無線基地局装置20は、無線通信装置10から最も近距離にある無線基地局装置20であり、いずれによっても高速ハンドオーバ処理に適した処理が実現できる。(i)の処理は受信電界強度判定に係る処理負荷が少なくなるという観点から、無線基地局装置20がサービスエリア内に密に設置されている場合に有利である。また、(ii)は各無線基地局装置20が独自に形成する単位サービスエリア50の境界領域で電界強度が不安定となる場合に有利である。電磁界強度が不安定であることによって接続が切断される以前に、無線通信装置10が移動した際には最も近距離にある無線基地局装置20の選択が随時行われており、迅速に通信品質が良好な無線基地局装置20へのハンドオーバ処理を行うことができるためである。
【0048】
(2)新規接続処理
次に、無線通信装置10を選択された無線基地局装置20へ新たに接続する際の無線通信装置10の動作について図4を参照して説明する。以下、この処理を新規接続処理とする。上述の、(i)受信電界強度判定を先に行う処理、(ii)距離判定を先に行う処理のいずれにおいても、新たに接続する無線基地局装置20は無線通信装置10から最も近距離にある無線基地局装置20である。先の例では、この無線基地局装置20は無線基地局装置20Bである。以下、この例に従い、先に接続されていた無線基地局装置20は無線基地局装置20Aであり、新たに接続すべき無線基地局装置20は無線基地局装置20Bであるものとする。
【0049】
装置制御部12はデータベース40における無線基地局装置20Bに対する無線チャネルおよび物理層の種別を参照し、これに従ってリクエスト信号を生成して無線通信システム送受信部11を介して無線基地局装置20Bに向けて送信する。すなわち、データベース40に示されるように、無線チャネルおよび物理層の種別は無線基地局装置20ごとに異なっており、選択された無線基地局装置20Bに適合した通信プロトコルおよび無線チャネルを選択した上でリクエスト信号を送信するわけである(S2)。無線基地局装置20Bは、リクエスト信号を受信して接続要求を受諾するとレスポンス信号を無線通信装置10に送信する(S3)。無線通信装置10は、無線通信システム送受信部11においてレスポンス信号を受信し(S3)、装置制御部12は受信されたレスポンス信号によって無線基地局装置20Bが接続要求を受諾したことを認識し、無線基地局装置20Bとの接続動作を開始する。なお、ここで説明したリクエスト信号およびレスポンス信号は、IEEE802.11仕様においてはプローブリクエストフレームおよびプローブレスポンスフレームとして規定されている。
【0050】
ここで、無線基地局装置20Bから送信されたレスポンス信号に基づいて、無線通信装置10は無線基地局装置20Bから送信された信号の受信電界強度を測定する。すなわち、無線通信装置10の無線通信システム送受信部11は受信電界強度を測定し、その値を装置制御部12に入力する(S4)。装置制御部12はその値が入力されるとともに記憶部15のデータベース領域15bを参照し、受信電界強度が新規接続処理確定電界強度以上であるか否かを確認する(S5)。受信電界強度が新規接続処理確定電界強度以上である場合は、装置制御部12は無線基地局装置20Bとの新規接続処理を継続し完了する(S7)。例えば、図3のデータベース40では無線基地局装置20Bに対する新規接続処理確定電界強度は−77dBmであり、無線基地局装置20Bから送信された信号の受信電界強度が−77dBm以上である場合には新規接続処理が継続される。
【0051】
ここで、受信電界強度が新規接続処理確定電界強度に満たない場合には、装置制御部12は新規接続処理を中止して回復処理を行う(S6)。回復処理とは、通信プロトコルおよび無線チャネルを先に接続されていた無線基地局装置20Aのものに戻し、ハンドオーバ処理を開始する前の状態、すなわち先に接続されていた無線基地局装置20Aへの接続を再開する処理をいう。
【0052】
新規接続処理では、予め最も近距離にある無線基地局装置20を選択しているため、全ての無線チャネルについてリクエスト信号を送信する必要がない。IEEE802.11仕様に基づいて構築されたシステムであれば、無線通信装置10がパッシブ・スキャンモードで動作するものとして、プローブ処理を省略して認証手順から接続処理を開始することが可能となる。
【0053】
(3)切断処理
次に、新規接続処理が完了した後、無線基地局装置20Aとの接続を切断する処理について説明する。無線基地局装置20Bへの新規接続処理が完了した場合、無線基地局装置20Bは以前から無線通信装置10と接続されていた無線基地局装置20Aに、有線LANシステム30を介して移動通知信号を送信する。移動通知信号を受信した無線基地局装置20Aは、以前から接続状態にあった無線通信装置10との接続を切断する処理を行う。一方、無線通信装置10の装置制御部12は、記憶部15の無線基地局装置識別領域15aに無線基地局装置識別符号Bを記憶させる。これによって、無線基地局装置20と接続される無線基地局装置20は無線基地局装置20Aから無線基地局装置20Bに完全に切り換えられたことになり、これを以てハンドオーバ処理が完了する。IEEE802.11f仕様においては、切断処理に係る一連の動作は、ムーブ・ノーティファイの発行、デアソシエーションの発行として規定されている。この規定によれば、無線基地局装置20Aは、以前から接続状態にあった無線通信装置10に対して通信の切断を要求する無線切断信号を送信することとなる。しかしながら、いまの場合、無線通信装置10は無線基地局装置20Bへの新規接続処理を既に完了しているため、無線基地局20Aから送信された無線切断信号を受信することはできない。したがって、無線基地局装置20Aは、必ずしも無線切断信号を送信する必要はない。
【0054】
[絶対位置取得成否判定]
無線通信装置10は、予め定められた時間間隔t2で衛星測位システムあるいは固定局測位システムからの測位信号を受信し、自らの絶対位置に関する情報を取得する。しかしながら、測位システムの電波状況によっては、自らの絶対位置に関する情報を取得できないことがあり、ハンドオーバ処理に支障をきたすおそれがある。
【0055】
そこで、無線通信装置10は、位置情報受信部13が絶対位置に関する情報を正常に取得したか否かを判定する絶対位置取得成否判定を行い、絶対位置に関する情報が正常に取得できなかったと判定された場合には現在の処理から離れて失敗時処理を開始する。
【0056】
絶対位置取得成否判定においては、無線通信装置10の位置情報受信部13は、算出された絶対位置が、測位信号を正常に取得して算出されたものであるのか、測位信号が正常に取得されなかったために大きな誤差を含む蓋然性が高いものであるのかを示す絶対位置取得成否信号を装置制御部12に入力する。
【0057】
絶対位置取得成否信号が、絶対位置の取得に失敗した旨を示す場合、装置制御部12は失敗時処理を行う。失敗時処理においては記憶部15における装置位置記憶領域15cに自らの絶対位置を記憶させる動作を行わず、算出された絶対位置が測位信号を正常に取得して算出されたものであると判定された場合の処理に戻る(S1−1−5、S1−2−3)。このようにすることで、絶対位置の取得に失敗した場合には、記憶部15の装置位置記憶領域15cに記憶されている直近の絶対位置が用いられることとなる。
【0058】
しかしながら、無線通信装置10自らの絶対位置に関する情報が長時間に亘って取得できない場合には、記憶されている直近の絶対位置と、実際に無線通信装置10が存在する絶対位置とが大きく異なり、記憶部15に記憶されている直近の絶対位置を使用する意義に欠ける。
【0059】
そこで、装置制御部12が、絶対位置取得成否信号が絶対位置の取得に失敗した旨を連続して示した回数をカウントし、当該回数が予め設定した回数を超えた場合には従来技術におけるハンドオーバ処理を実行する構成としてもよい。従来技術におけるハンドオーバ処理とは、先述のように、定義された全ての無線チャネルについてリクエスト信号を送信し、リクエスト信号に対するレスポンス信号に基づいて通信品質が最も良好な無線基地局装置20を検索する処理である。このようにすることで、可能な限り有線LANシステム30との接続を良好に維持することができる。
【0060】
本発明の第1の実施形態の構成における動作の概要をまとめると図7のようになる。
(1)有線LANシステム30に接続情報が配信される。
(2)各無線基地局装置20は報知信号を送信する。
(3)無線通信装置10は、報知信号を受信することで各無線基地局装置20の接続情報を取得し、これによってデータベースを作成する。
(4)無線通信装置10が移動し、ハンドオーバ処理の一環としての新規接続処理開始の判断がなされると、最も近距離にある無線基地局装置20への新規接続処理が実行される。
(5)新たに接続が開始された無線基地局装置20は、以前に接続されていた無線基地局装置20に対して有線LANシステム30を介して移動通知信号を送信する。
(6)以前に接続されていた無線基地局装置20は、無線通信装置10との接続を切断する処理を行う。
【0061】
本発明の第1の実施形態における無線通信装置10は、図2に示すような位置情報受信部13を備える必要がある。これは、先述のように、衛星測位システムの衛星から送信される測位信号、あるいは固定局測位システムの測位用固定局装置から送信される測位信号を受信するものである。
【0062】
無線通信装置10が屋外で使用される場合には、既存のシステムである衛星測位システムを適用することが好適である。しかしながら、無線通信装置10が屋内で使用されるような場合には、衛星測位システムでは十分な精度で位置情報を取得することができないため、測位用固定局装置を屋内に設置した固定局測位システムを構築することが好ましい。
【0063】
測位用固定局装置が送信する測位信号には、測位用固定局装置の絶対位置の情報や送信時刻の情報等を含む測位情報が含まれている。無線通信装置10は測位用固定局装置から送信された測位信号を受信した時刻と測位情報に含まれる送信時刻とに基づいて測位用固定局装置からの距離を算出する。また、測位信号の受信電界強度を用いて測位用固定局装置からの距離を算出することも可能である。無線通信装置10は、複数の測位用固定局装置からの距離と、それぞれの測位用固定局装置の絶対位置とに基づいて自らの絶対位置を算出する。
【0064】
ここで、測位用固定局装置は無線基地局装置20と異なる装置として構成することも、同一装置として構成することも可能である。また、屋内をサービスエリアとする場合には固定局測位システムを無線通信装置10の測位手段として適用し、屋外をサービスエリアとする場合には衛星測位システムを無線通信装置10の測位手段として適用するというように、状況に合わせて測位手段を選択することが可能な構成としてもよい。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は第1の実施形態の無線通信システム1における無線基地局装置20を測位用固定局装置と同一装置として構成し、これを測位基地局装置22として建造物の内部に設置した無線通信システム3の構成を示す。各測位基地局装置22は互いに有線LANシステム30を介して接続されており、有線LANシステム30と無線通信装置10との間のインターフェースとして動作するのみならず、固定局測位システムの測位用固定局装置としても動作する。また、有線LANシステム30には、各測位基地局装置22の設置位置を記憶管理する位置管理サーバ60が接続されている。各測位基地局装置22の屋内における設置位置を変更した場合には、位置管理サーバ60の記憶管理内容を書き換えればよい。無線通信装置10がサービスエリア内を移動するとともに接続先の測位基地局装置22を切り換えていくハンドオーバ処理は、第1の実施形態で行われている処理と同様のものである。
【0066】
本実施形態は、衛星測位システムではカバーしきれない高層ビルが立ち並ぶ市街地やコンサートホール、スタジアムのような大型屋内施設に適用する場合に好適である。
【0067】
次に、本発明の第3の実施形態について図9を参照して説明する。本実施形態の無線通信システム5は、第1の実施形態の無線通信システム1における無線通信装置10を自動車80などの高速移動体に搭載したものである。無線通信装置10の位置情報受信部13としては、GPS衛星70からの測位信号を受信することで測位を行うGPS測位装置を用いることが好適である。GPS測位システムはカーナビゲーション等で広く用いられており、屋外で10m程度の測位分解能を以て測位を行うことが可能である。
【0068】
無線基地局装置20は自動車80が走行するエリアに配置される。自動車80に搭載された無線通信装置10は、自動車80が高速移動するとともにハンドオーバ処理を行い、接続先の無線基地局装置20を切り換えていく。本実施形態では高速なハンドオーバ処理が可能であるため、広帯域データ通信や途切れのない音声通信を快適に行うことができる。
【0069】
なお、GPS測位システムの代わりに、GLONASS測位システム、GALILEO測位システム等を利用することも可能である。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明した。本発明はこれらの実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で様々な実施形態が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】無線通信装置の構成を示す図である。
【図3】データベースの構成を示す図である。
【図4】ハンドオーバ処理の流れを示す図である。
【図5】新規接続処理を開始するか否かの判定において、受信電界強度判定を先に行う場合の処理の流れを示す図である。
【図6】新規接続処理を開始するか否かの判定において、距離判定を先に行う場合の処理の流れを示す図である。
【図7】第1の実施形態の構成における動作の概要をまとめて示した図である。
【図8】第2の実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【図9】第3の実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1,3,5 無線通信システム、10 無線通信装置、11 無線通信システム送受信部、12 装置制御部、13 位置情報受信部、14 有線LAN/情報処理端末インターフェース部、15 記憶部、15a 無線基地局装置識別領域、15b データベース領域、15c 装置位置記憶領域、20、20A、20B、20C、20D 無線基地局装置、22 測位基地局装置、30 有線LANシステム、40 データベース、50 単位サービスエリア、60 位置管理サーバ、70 GPS衛星 80 自動車。
【出願人】 【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
【住所又は居所】東京都三鷹市下連雀5丁目1番1号
【出願日】 平成16年11月8日(2004.11.8)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純

【公開番号】 特開2006−135716(P2006−135716A)
【公開日】 平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願番号】 特願2004−323277(P2004−323277)