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【発明の名称】 画像記録装置
【発明者】 【氏名】石川 幹
【住所又は居所】名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内

【要約】 【課題】読取ヘッドと記録ヘッドとを共通の駆動手段で駆動させることにより、装置内のレイアウトや省スペース化に対する制約を軽減し、さらに必要に応じて、読取ヘッドと記録ヘッドのいずれか一方又は両方の駆動を選択的に行なう。

【解決手段】被記録媒体Pに沿って走査される記録ヘッド6及び原稿に沿って走査される読取ヘッド10の両走査方向が平行であるように構成され、記録ヘッド6及び読取ヘッド10のいずれか一方を走査方向に沿って移動させる駆動手段28と、記録ヘッド6と読取ヘッド10とを係脱可能に連結する連結手段29とが備えられ、この連結手段29は、記録ヘッド6と読取ヘッド10が連結されて一体的に走査方向に沿って移動される連結モードと、記録ヘッド6と読取ヘッド10との連結が解除されて、一方のみが走査方向に沿って移動される連結解除モードとに選択的に作動するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に沿って走査される読取ヘッドを有して原稿上の画像を読み取る画像読取部と、被記録媒体に沿って走査される記録ヘッドを有して被記録媒体上に画像を記録する記録部とを備える画像記録装置において、
前記記録ヘッド及び前記読取ヘッドの両走査方向が平行であるように構成され、
前記記録ヘッド及び前記読取ヘッドのいずれか一方を走査方向に沿って移動させる駆動手段と、
前記記録ヘッドと読取ヘッドとを係脱可能に連結する連結手段とが備えられ、
この連結手段は、前記記録ヘッドと前記読取ヘッドが連結されて一体的に走査方向に沿って移動される連結モードと、前記記録ヘッドと前記読取ヘッドとの連結が解除されて、一方のみが走査方向に沿って移動される連結解除モードとに選択的に作動することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記連結手段は、係合穴と、この係合穴に対する係合位置と離脱位置との間で変位可能な係合片と、この係合片を係合位置と離脱位置との間で変位させるアクチュエータと、からなり、前記記録ヘッド側及び前記読取ヘッド側のいずれか一方に係合穴が、他方に係合片がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記記録ヘッドに接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記画像読取部で読み取った原稿データを、前記記録部で記録する複写モードの場合には、
前記読取ヘッドを前記記録ヘッドと連結して、前記読取ヘッドを原点位置から所定位置まで走査し、前記原稿データの一部を読み取り、
前記所定位置にて前記記録ヘッドと前記読取ヘッドとの連結を解除して、前記記録ヘッドだけを、前記原稿データの一部を記録するように走査し、
さらに、前記所定位置にある前記読取ヘッドと前記記録ヘッドとを連結して、前記読取ヘッドを前記所定位置から次の所定位置まで走査し、前記原稿データの次の一部を読み取り、
前記次の所定位置にて前記記録ヘッドと前記読取ヘッドとの連結を解除して、前記記録ヘッドだけを、前記原稿データの次の一部を記録するように走査するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドと前記読取ヘッドのうちの前記係合解除モードの場合に走査されない他方のヘッドに対して、当該ヘッドを移動しないように固定する移動ロック手段が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に係り、特に、読取ヘッドを走査して原稿上の画像を読み取る画像読取部と、記録ヘッドを走査して被記録媒体上に画像を記録する記録部との両方を備えた画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置として、近年、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を備えた多機能装置が知られている。このような画像記録装置では、例えば、ファクシミリ機能によりデータ(ファクシミリデータ)を受信した場合や、PC等の外部装置からデータ(記録データ)を受信した場合、あるいはスキャナ機能により読み取ったデータ(原稿データ)に基づいてコピー機能を実行する場合には、プリンタ機能を用いて、被記録媒体上に画像を記録する。プリンタ機能が、例えば、シリアル型インクジェットプリンタによる場合には、通常、キャリッジに搭載された記録ヘッドが、被記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に移動しながらインクをデータに応じて吐出することにより、被記録媒体上に画像を記録するから、画像記録装置には、記録ヘッドを走査方向に沿って移動させるための駆動手段が必要であった。
【0003】
一方、スキャナ機能は、原稿の原稿面を読取ヘッド(光電変換素子を搭載したCCD、CIS等からなるヘッド)で読み取る。静置する読取ヘッドに対して、原稿を搬送させながら読み取る自動原稿搬送方式もあるが、一般的には、透明なガラス等からなる板状の載置台上に画像面を下に向けた状態で原稿を静置して、読取ヘッドを載置台の下方を原稿に沿って移動させて読み取りを行なう構成を有している。従って、画像記録装置には、読取ヘッドを走査するための駆動手段も必要であった。
【0004】
しかしながら、前記記録ヘッドや読取ヘッドを走査するための駆動手段としては、モータやタイミングベルト等の種々の部品が必要であるため、記録ヘッドと読取ヘッドとにそれぞれ駆動手段を配置していると、装置内のレイアウトや省スペース化に対して制約となるうえに、部品コストも嵩むという問題があった。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1には、記録ヘッドと読取ヘッドとを同じキャリッジに搭載し、これらが常に一体的に移動する構成が記載され、また、特許文献2には、記録ヘッドと読取ヘッドとを1つのタイミングベルトの互いに逆方向に移動する部分に接続し、このタイミングベルトを駆動することで、記録ヘッドと読取ヘッドとを同時に走行させるようにした構成が記載されている。すなわち、前記特許文献1及び2では、記録ヘッドと読取ヘッドとを1つの駆動手段で駆動して両方を常に同時に走査するように構成している。
【特許文献1】特開平9−109375号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2000−349981号公報(1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、例えば、原稿上の画像をコピーする場合には、載置台上に静置した原稿の画像を読取ヘッドを移動させながら読み取って、そのデータを記録ヘッドを往復移動させながら被記録媒体上に記録するから、記録ヘッドと読取ヘッドの両方の駆動が必要である。しかしながら、ファクシミリ送信の場合には、原稿上の画像を読み取るために読取ヘッドを駆動する必要はあるが、記録ヘッドの駆動は不要である。また、ファクシミリ受信の場合や、外部装置から受信したデータを記録する場合には、被記録媒体上に画像を記録するために記録ヘッドを駆動する必要はあるが、読取ヘッドの駆動は不要である。
【0007】
すなわち、画像記録装置において使用する機能によっては、記録ヘッドと読取ヘッドとを常に同時に駆動させる必要はないので、いずれか一方を選択的に駆動させたいという要望があった。
【0008】
また、必要の有無に拘わらず、常に2つのヘッドを1つの駆動手段で同時に駆動させていると、走行させる重量が常に大きいから、モータ等にかかる負担が大きいという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記課題を解消するものであり、読取ヘッドと記録ヘッドとを共通の駆動手段で駆動させることにより、装置内のレイアウトや省スペース化に対する制約を軽減し、さらに必要に応じて、読取ヘッドと記録ヘッドのいずれか一方又は両方の駆動を選択的に行なうことのできる画像記録装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における画像記録装置は、原稿に沿って走査される読取ヘッドを有して原稿上の画像を読み取る画像読取部と、被記録媒体に沿って走査される記録ヘッドを有して被記録媒体上に画像を記録する記録部とを備える画像記録装置において、前記記録ヘッド及び前記読取ヘッドの両走査方向が平行であるように構成され、前記記録ヘッド及び前記読取ヘッドのいずれか一方を走査方向に沿って移動させる駆動手段と、前記記録ヘッドと読取ヘッドとを係脱可能に連結する連結手段とが備えられ、この連結手段は、前記記録ヘッドと前記読取ヘッドが連結されて一体的に走査方向に沿って移動される連結モードと、前記記録ヘッドと前記読取ヘッドとの連結が解除されて、一方のみが走査方向に沿って移動される連結解除モードとに選択的に作動することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記連結手段は、係合穴と、この係合穴に対する係合位置と離脱位置との間で変位可能な係合片と、この係合片を係合位置と離脱位置との間で変位させるアクチュエータと、からなり、前記記録ヘッド側及び前記読取ヘッド側のいずれか一方に係合穴が、他方に係合片がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記駆動手段は、前記記録ヘッドに接続されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置において、前記画像読取部で読み取った原稿データを、前記記録部で記録する複写モードの場合には、前記読取ヘッドを前記記録ヘッドと連結して、前記読取ヘッドを原点位置から所定位置まで走査し、前記原稿データの一部を読み取り、前記所定位置にて前記記録ヘッドと前記読取ヘッドとの連結を解除して、前記記録ヘッドだけを、前記原稿データの一部を記録するように走査し、さらに、前記所定位置にある前記読取ヘッドと前記記録ヘッドとを連結して、前記読取ヘッドを前記所定位置から次の所定位置まで走査し、前記原稿データの次の一部を読み取り、前記次の所定位置にて前記記録ヘッドと前記読取ヘッドとの連結を解除して、前記記録ヘッドだけを、前記原稿データの次の一部を記録するように走査するように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置において、前記記録ヘッドと前記読取ヘッドのうちの前記係合解除モードの場合に走査されない他方のヘッドに対して、当該ヘッドを移動しないように固定する移動ロック手段が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドと読取ヘッドのいずれか一方を駆動手段と接続し、連結手段により記録ヘッドと読取ヘッドとの連結及び連結解除を切換え可能に構成しているから、1つの駆動手段により、記録ヘッドと読取ヘッドの両方を同時に駆動したり、駆動手段と接続した一方のみを駆動したりできる。その結果、駆動手段を両方にそれぞれ設ける場合に比べて、省スペース化が図れるとともに、装置内でのレイアウトの自由度が高められる。また、必要がない場合には、記録ヘッドと読取ヘッドのいずれか他方、駆動しないので、駆動手段に係る重量的な負担を軽減させることができ、耐久性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、連結手段は、係合穴とそれに係脱作動する係合片とによる単純な構成であるから、記録ヘッド及び読取ヘッドへの取り付けが容易であるとともに、連結及び連結解除の動作を確実にさせることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、記録ヘッドに駆動手段を接続すると、記録ヘッドのみを単独で駆動させることができるので、読取ヘッドより記録ヘッドの方が使用頻度が高い場合に有効である。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、原稿データを分割して読み取り、原稿データの読み取り毎に記録を行うように構成しているから、原稿データを記憶する手段に記憶容量を小さいものを採用でき、その結果、原稿データを記憶する手段の部品コストを低減することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明によれば、記録ヘッドと読取ヘッドのうちの係合解除モードの際に走査されない他方のヘッドは、移動ロック手段で確実に固定されるので、係合解除モードになった位置でそのまま待機状態が保持されるだけでなく、一方のヘッドが走査されることによりその振動等が伝播しても、位置ずれが生じることなくその位置を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態の画像記録装置の正面図、図2は画像記録装置の側面図、図3は図1のIII −III 線矢視縦断面図、図4は図1のIV−IV線矢視横断面図、図5は図2のV−V線矢視縦断面図、図6は図1のVI−VI線矢視縦断面図、図7(a)は連結モードの状態を示す説明図、図7(b)は連結解除モードの状態を示す説明図、図8は制御の主要部のブロック図、図9(a)及び図9(b)は原稿の読取位置と被記録媒体への記録位置との関係を示す説明図、図10(a)は移動ロック手段におけるロック状態を示す縦断面図、図10(b)は移動ロック手段におけるロック解除状態を示す縦断面図、図11(a)は移動ロック手段におけるロック状態を示す斜視図、図11(b)は移動ロック手段におけるロック解除状態を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に適用したものである。なお、以下の説明では、便宜上、図1、図4及び図5におけるY軸方向の左右を画像記録装置1の左右と記し、図2、図3及び図6におけるX軸方向の左を画像記録装置1の前(手前)、X軸方向の右を画像記録装置の後ろ(奥)と記して説明する。
【0022】
図1及び図3に示すように、画像記録装置1のハウジング2の底部には、ハウジング2の前側の開口部2aから差し込み可能な給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3には、A4サイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等の被記録媒体Pを、その短辺が用紙搬送方向(X軸方向、副走査方向)と直交する方向(Y軸方向、主走査方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)されて収納できるようになっている。
【0023】
給紙カセット3の奥側(図3における右側)には、用紙分離用の土手部(図示せず)が設けられ、また、基端(上端)がハウジング2に回動可能に支持され且つ先端(下端)に給紙ローラ(図示せず)を備えたアーム(図示せず)が、その給紙ローラを給紙カセット3に堆積状態で収納された被記録媒体Pの最上層に当接するように配置されている。これにより、給紙カセット3の被記録媒体Pは、最上層から1枚ずつ分離搬送される。分離された被記録媒体Pは、上方へ反転するUターンパス(図示せず)を介して給紙カセット3の上側に設けられた記録部4に給送される。プリンタ機能を実現する記録部4には、記録ヘッド6を搭載した略箱型のキャリッジ5が、Y軸方向(主走査方向)に往復移動可能に設けられている。この実施形態では、記録ヘッド6としてインクジェット式のヘッドが、キャリッジ5の下面側からノズル(図示せず)を露出させるように搭載されており、キャリッジ5の下面側を搬送される被記録媒体Pに対して、Y軸方向(主走査方向)に往復移動しながらインクを吐出するように構成されている。
【0024】
記録部4にて記録された被記録媒体Pがその記録面を上向きにして排出される排紙部27は、給紙カセット3の上側に形成されており、前記開口部2aが排紙部27に連通する排紙口として利用される。
【0025】
ハウジング2における上部には、コピー機能やファクシミリ機能等における原稿読取を実現する画像読取部7が配置されている。この画像読取部7は、その一側端に設けられた枢軸(図示しない)により上下開閉回動可能に構成され、また、画像読取部7の上面を覆う原稿カバー体8は、その後端に設けられた枢軸(図示しない)により上下開閉回動可能に装着されている。
【0026】
画像読取部7には、原稿カバー体8を上側に開けて原稿を載置することができる載置台として載置用ガラス板9が設けられ、また、載置用ガラス板9の下方には、原稿に対する読取ヘッド10としてイメージスキャナ装置(CIS;Contact Image Sensor)が配置されている。そして、載置用ガラス板9に原稿面を下向きにして静置された原稿を、読取ヘッド10がY軸方向(主走査方向)に走査して読み取るようになっている。
【0027】
読取ヘッド10は、図3に示すように、X軸方向(副走査方向)に長い箱体状に形成されており、その長さ寸法は、載置用ガラス板9における載置可能な原稿のX軸方向(副走査方向)の長さ寸法よりも長く形成されており、読取開始位置から読取終了位置までY軸方向に沿って片道走査されることで読取が行なわれる。
【0028】
この読取ヘッド10は、ハウジング2におけるX軸方向の略中央部にてY軸方向(主走査方向)に延びるガイド軸11と、ハウジング2のX軸方向の端部寄りにて同じくY軸方向(主走査方向)に延びるガイド部材12、13とに支持されて、Y軸方向(主走査方向、図3の紙面と直交する方向)に摺動可能に構成されており、記録ヘッド6を備えたキャリッジ5と上下に平行に走査される。また、ハウジング2には、読取ヘッド10の摺動範囲の限界位置を規定するために、左端リミッタ25と右端リミッタ26とが設けられている(図5参照)。
【0029】
記録部4には、記録ヘッド6を備えた前述のキャリッジ5の他に、図4に示すように、キャリッジ5をその走査方向に駆動する駆動手段28として、左右(Y軸方向)に延びる平行な2枚の平板状のガイド板14、15と、被記録媒体Pの搬送方向(矢印A方向)下流側のガイド板14よりも下流側に設けられたタイミングベルト16と、このタイミングベルト16が掛け渡された2つのプーリ17と、駆動側のプーリ17に連結されたCR(キャリッジ)モータ24とが備えられている。タイミングベルト16にキャリッジ5の搬送方向(矢印A方向)下流側の側部が固定されており、CR(キャリッジ)モータ24の回転駆動が、プーリ17及びタイミングベルト16を介して、キャリッジ5に伝達され、キャリッジ5とともに記録ヘッド6をY軸方向(主走査方向)に走査させる。さらに、記録部4には、キャリッジ5の下面側を搬送される被記録媒体Pを支持する板状のプラテン18と、キャリッジ5のY軸方向(主走査方向)の位置を検知するためのキャリッジエンコーダ58(図8参照)も備えられている。
【0030】
被記録媒体Pを搬送する搬送ローラとして、プラテン18を挟んで、搬送方向上流側にレジストローラ30を、搬送方向下流側に排紙ローラ19をそれぞれ配置しており、被記録媒体Pのキャリッジ5の下面側への搬送と、記録済みの被記録媒体Pの排紙部27からの排出を行うようにしている。
【0031】
ハウジング2の上側の前方には、各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部20が設けられている。また、ハウジング2には、カラー記録のための複数色のインク(例えば、Y(イエロー),M(マゼンタ)、C(シアン),Bk(ブラック)の4色)を個別に貯留するインクカートリッジ(図示せず)が静置されており、このインクカートリッジのインクを、インク供給管(図示せず)を介してキャリッジ5の記録ヘッド6に供給できるようになっている。
【0032】
記録ヘッド6と読取ヘッド10との間には、連結手段29が設けられており、記録ヘッド6と読取ヘッド10のうちの一方が他方に対して係脱可能に連結するように構成されている。また、連結解除モードになったときに、読取ヘッド10の位置を固定するための移動ロック手段70が設けられている。連結手段29は、読取ヘッド10がX軸方向に長い形状を有しているから、読取ヘッド10におけるX軸方向の略中央部に設けられることが、移動時のバランスをよくするために望ましい。この実施形態では、記録ヘッド6を搭載したキャリッジ5の上面に係合穴21を、読取ヘッド10の箱体の下面に係合片22をそれぞれ設け、係合片22が係合穴21に対する係合位置と離脱位置との間で変位して、係脱作動するようになっており、係合片22に移動ロック手段70が設けられている。この係合片22の駆動及び移動ロック手段70の詳細については後述する。
【0033】
これにより、図7(a)に示すように、キャリッジ5の係合穴21に読取ヘッド10の係合片22が係合している場合には、駆動手段28が接続されたキャリッジ5(記録ヘッド6)と読取ヘッド10とが連結モードとなり、キャリッジ5に接続された駆動手段28によりこれらを一体的に移動させる。図7(b)に示すように、係合穴21から係合片22が離脱している場合には、キャリッジ5(記録ヘッド6)と読取ヘッド10とが連結解除モードとなり、駆動手段28はキャリッジ5(記録ヘッド6)のみを移動させる。従って、キャリッジ5の移動範囲は、記録ヘッド6の記録範囲と、読取ヘッド10の読取範囲のいずれか大きい方の範囲に合わせて設定される。この実施形態では、後に詳述するが、読取ヘッド10の読取範囲の方が大きいので、この読取範囲をカバーできるようにキャリッジ5の移動範囲が設定されている。
【0034】
次に、この画像記録装置1の制御の概略を、図8に示す主要部のブロック図を参照しながら説明する。画像記録装置1には、データ処理等の記録動作の制御を行うゲートアレイ回路G/A51、キャリッジ5の位置を検出するためのキャリッジエンコーダ58、画像記録装置1全体の制御を行なうCPU52、その全体の制御プログラムが格納されたROM59、制御に伴う一時的なデータを格納するためのRAM60、設定操作や設定状態の表示を行なう前記操作パネル部20、記録(印字)データの出力を行なう外部装置(パーソナルコンピュータ等のコンピュータシステム)であるPC63と接続するためのインターフェースI/F53、画像読取部7で原稿データを読み取った場合にそれを格納するイメージメモリ54、CPUにそれぞれの駆動回路を介して接続された、キャリッジ移動用のCRモータ24(図1参照)と搬送ローラを駆動するためLFモータ55と係合片22を駆動するための電磁ソレノイド23、記録位置に被記録媒体Pがあるか否かを検出する給紙センサ57、ヘッドドライバ61、Y,M,C,Bkの4色分の吐出が可能な記録ヘッド6及び電源(図示せず)等を備えている。読取ヘッド10の位置については、キャリッジエンコーダ58により検知することができる。
【0035】
このように構成された画像記録装置1の動作について、図5、図6及び図9を用いて説明する。図5は、キャリッジ5及び読取ヘッド10が連結モードで中央部に位置する場合と、連結解除モードで左端部及び右端部に位置する場合の、3つの状態を同時に図示している。
【0036】
なお、この実施形態では、コストの削減を図って前記イメージメモリ54(図8参照)に記憶容量の小さいものを使用している。そのため、原稿データの大きさによっては、一度に1枚の原稿を全部読み取ることができない。そこで、本実施形態では、1枚の原稿の読み取りを複数回に分割して行い、原稿データの一部を読み取った後に、読み取った分の原稿データを記録部7で記録し、続いて次の一部を読み取った後に、読み取った分の原稿データを記録するという方式を採用した。
【0037】
従って、載置用ガラス板9に載置された原稿は、読取ヘッド10のホームポジションに近い側が読取開始側(原点位置)となって、Y軸方向に走査されるライン状の読取ヘッド10により断続的に読み取りが行なわれる。
【0038】
一方、被記録媒体は、前述したように、給紙カセット3に、短辺をY軸方向(走査方向)に沿わせて収容され、短辺側が先端となって記録部4に反転搬送されるので、短辺側が記録開始側となる。そのため、原稿データを分割して読み取り、読み取る度に被記録媒体に記録していくためには、原稿をその短辺側が読取開始側となるように載置用ガラス板9に載置する必要がある。従って、図9(a)に示すように、原稿Sは、その短辺をY軸方向に一致させて載置されて、Y軸方向(原稿Sの長さ方向)に走査される読取ヘッド10で読み取られる。また、図9(b)に示すように、被記録媒体Pは、その短辺をX軸方向に一致させて搬送されて、Y軸方向(被記録媒体Pの幅方向、長さ方向に直交する方向)に走査される記録ヘッド6により記録される。換言すれば、画像記録装置1では、原稿Sと被記録媒体Pとは互いに直交する向きに配置される。また、キャリッジ5の移動範囲は、被記録媒体Pの記録範囲よりも大きい原稿Sの読取範囲により規定される。
【0039】
なお、図9(a)及び図9(b)は、原稿S及び被記録媒体Pをそれぞれ上方から見た状態を示している。原稿Sは載置用ガラス板9に原稿面を下向きにして載置されるため、図9(a)は、原稿Sの原稿面と反対側の面から見た状態を示している。
【0040】
画像記録装置1においては、読取ヘッド10と記録ヘッド6とは前の動作(処理)が終了した時点で、それぞれのホームポジションに移動して待機している(図5の右側に図示した状態)。読取ヘッド10のホームポジションは、右端リミッタ26に当接する位置である。記録ヘッド6(キャリッジ5)のホームポジションは、キャリッジ5の記録領域の右外側に設けられた位置であり、ノズル等のメンテナンス処理、乾燥防止のキャップによる被覆等が行なわれる位置である。
【0041】
そして、原稿が載置用ガラス板9に載置され、画像読取部7で読み取った原稿データを記録部4で記録するという複写モード(コピー機能)が、次の動作として操作パネル部20で操作された場合には、キャリッジ5が、駆動手段28により、読取ヘッド10と連結可能な位置に移動させられた後、電磁ソレノイド23によって読取ヘッド10の係合片22が、キャリッジ5の係合穴21に対する係合位置に変位させられる。これによりキャリッジ5と読取ヘッド10とは連結モードとなる。
【0042】
次に、連結モードの状態で、読取ヘッド10を原稿SのP1−P2ラインからP3−P4ラインまで走査し、この領域の原稿データを読み取る。そして、係合片22を係合穴21から離脱する位置に変位させて、キャリッジ5と読取ヘッド10とを連結解除モードにする。これにより、読取ヘッド10は連結が解除された位置でそのまま待機状態となる一方、キャリッジ5のみが駆動手段28によって記録開始位置に移動する。読取ヘッド10の待機状態は移動ロック手段70により保持される(後に詳述する)。そして、キャリッジ5の記録ヘッド6の走査と、被記録媒体Pの搬送方向(矢印A方向)への移動とが協働して、被記録媒体PのP1′からP4′に、読み取った分の原稿データを全て記録する。
【0043】
次に、キャリッジ5が駆動手段28により、読取ヘッド10が待機している位置まで移動させられ、再び係合片22が係合穴21に係合して、キャリッジ5と読取ヘッド10とが連結モードとなる。そして、先の読み取り部分に引き続き、P5−P6ラインからP7−P8ラインまでを読み取った後、キャリッジ5と読取ヘッド10とは前述と同様に連結解除モードとなる。そして、キャリッジ5は先の記録部分に連続する位置に移動し、前述と同様にキャリッジ5の記録ヘッド6の走査と、被記録媒体Pの搬送方向(矢印A方向)への移動とが協働して、被記録媒体PのP5′からP8′に、読み取った次の分の原稿データを全て記録する。そして、原稿Sの原稿データを全て被記録媒体Pに記録するまで、キャリッジ5と読取ヘッド10とは連結モードと連結解除モードとを切換ながら動作する。
【0044】
なお、上記説明は、イメージメモリ54の記憶容量が少ない場合の動作であるが、勿論、イメージメモリ54の記憶容量が、1枚の原稿の読み取りに十分な容量を有している場合には、キャリッジ5と読取ヘッド10とを連結モードにして、1枚の原稿Sのデータ全てを1回の連続的な読取ヘッド10の走査で読み取り、その後に連結解除モードにしてキャリッジ5のみを走査し、読み取った原稿データを被記録媒体Pに連続して記録するように動作させてもよい。
【0045】
また、画像記録装置1のその他の機能として、ファックスで受信したデータや外部装置から受信したデータを被記録媒体に記録するというプリンタ機能のみを使う場合には、キャリッジ5と読取ヘッド10とを連結解除モードにしておき、キャリッジ5のみを駆動させる。また、ファック機能を使い、原稿を読み取って送信する場合には、キャリッジ5と読取ヘッド10とを連結モードにして、キャリッジ5を介して読取ヘッド10を駆動させる。
【0046】
次に、係合片22の駆動及び移動ロック手段70について図10及び図11を用いて説明する。但し、図11では、読取ヘッド10及びその支持部72の図示を省略している。移動ロック手段70は、キャリッジ5と読取ヘッド10とが連結解除モードになって、係合片22が係合穴21から離間したときに、読取ヘッド10の位置を固定してその移動を阻止するように動作するものである。図10(a)及び図10(b)に示すように、読取ヘッド10の箱体の下面から垂下する支持部72には、移動ロック手段70として、読取ヘッド10が摺動するガイド軸11に対して接離動可能にロックレバー71が設けられている。支持部72の上下方向の中途部には、横方向(X軸方向、水平方向)に延びる貫通穴(図示せず)が設けられており、この貫通穴にロックレバー71が挿通されている。また、支持部72の下端部の内側には、角筒状の電磁ソレノイド23が固定されており、電磁ソレノイド23の中空部分に係合片22が上下方向に移動可能に挿通されている。そして、電磁ソレノイド23を励磁・消磁することにより、係合片22を、支持部72の下端部から下方に突出してキャリッジ10側の係合穴21に係合する係合位置と、支持部72の内部に略収納される離脱位置との間で変位(上下動)させることができる。
【0047】
係合片22の上端部には、係合片22の上下動によりロックレバー71をX軸方向に移動させてガイド軸11に対して接離動させる第1ガイド面22aが設けられている。ここでは、第1ガイド面22aは、その上端がガイド軸11から離れる方向に傾斜する下向きの傾斜面に形成されており、ロックレバー71の基端部には、第1ガイド面22aに面接触する第2ガイド面71bが形成されている。
【0048】
ロックレバー71の接離動方向(X軸方向)の先端部71aは、略板状を呈しているが、そのガイド軸11側の面には、ガイド軸11の周面に沿って密着可能な曲面形状部が設けられている。また、ロックレバー71の接離動方向(X軸方向)の中途部には、コイルバネ73が巻回されている。このコイルバネ73は、ロックレバー71がガイド軸11から離間した位置(連結モード)にあるときに、ロックレバー71の先端部71aと支持部72の側面との間で圧縮され、ロックレバー71がガイド軸11に接触した位置(連結解除モード)にあるときには、ロックレバー71の先端部71aをガイド軸11へ押圧するように設けられている。ガイド軸11に当接する先端部71aの部位には、高摩擦部材(ゴムや布等)を設けてもよい。
【0049】
このように構成することで、キャリッジ5と読取ヘッド10とが連結モードになるときには、図10(b)及び図11(b)に示すように、電磁ソレノイド23の磁力により係合片22が下方に突出して係合穴21(図10及び図11には図示せず)に係合する。そしてこの係合片22の下方への移動に伴って、ロックレバー71の第2ガイド面71aが第1ガイド面22aに案内され、ロックレバー71自体がガイド軸11から離間する方向に移動させられる。この状態でキャリッジ5と読取ヘッド10とが駆動手段28で一体的に駆動されると、読取ヘッド10はガイド軸11に沿って滑らかに摺動する。このとき、コイルバネ73は、支持部72の側面と先端部71aとの間で圧縮されている。
【0050】
キャリッジ5と読取ヘッド10とが連結解除モードになるときには、電磁ソレノイド23が消磁され、圧縮されていたコイルバネ73の復元力により、ロックレバー71が、図10(a)及び図11(a)に示すように、その先端部71aをガイド軸11に接触させる(押圧する)位置に移動する。そして、ロックレバー71の第2ガイド面71bがガイド軸11に近づく方向に移動するのに伴って、第1ガイド面22aが係合片22を上方に引き上げるように案内される。これにより、係合片22が係合穴21から離間するとともに、ロックレバー71がガイド軸11に密着し、その結果、支持部72を介して読取ヘッド10がガイド軸11に固定されるロック状態となる。すなわち、キャリッジ5と読取ヘッド10とが連結解除モードになると、その位置で、読取ヘッド10はガイド軸11に固定され、読取ヘッド10の移動が阻止された状態となる。従って、この状態で駆動手段28がキャリッジ5のみを駆動させてその振動が読取ヘッド10に伝わっても、読取ヘッド10は位置ずれすることがなく、連結解除モードとなった位置での待機状態が確実に保持されるのである。
【0051】
なお、係合片22の駆動方法、アクチュエータの種類、及び移動ロック手段70は、上記構成に限定するものではなく、適宜変更可能である。
【0052】
上記実施形態で説明したように、読取ヘッド10の駆動と記録ヘッド6(キャリッジ5)の駆動とを1つの駆動手段28により行なっているから、従来それぞれに駆動手段を設けていた場合に比べて、画像記録装置1における省スペース化が図れ、全体のレイアウトに対する自由度も高められる。
【0053】
また、1つの駆動手段28で駆動しながら、必要に応じて、記録ヘッド6(キャリッジ5)のみを単独で駆動するように切換できるから、常に読取ヘッド10と記録ヘッド6(キャリッジ5)とを一体的に駆動させる場合に比べて、CR(キャリッジ)モータ24等の駆動手段28に係る重量的な負担も軽減することができる。
【0054】
また、移動ロック手段70を設け、連結解除モードでは、連結が解除された位置で読取ヘッド10が固定され、その移動が阻止されるようにしているから、再び連結モードとなるときに、連結が解除された位置に戻ったキャリッジ5(記録ヘッド6)と読取ヘッド10とを確実に連結することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、読取ヘッド10に比べて使用頻度の高い記録ヘッド6(キャリッジ5)に、駆動手段を接続するようにしたが、読取ヘッド10に駆動手段を接続するように構成してもよい。この場合には、移動ロック手段は、記録ヘッド6側に設けられ、連結解除モードの際には、記録ヘッド6が移動しないように固定される。また、上記実施形態の連結手段29は、記録ヘッド6側に係合穴21を、読取ヘッド10側に係合片22を設ける構成としたが、係合穴21と係合片22の取り付けは、逆であってもよい。
【0056】
また、記録へッド6にインクジェット式のヘッドを適用して説明したが、上記と同様に走査されるヘッドであれば、必ずしもインクジェット方式のヘッドでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態の画像記録装置の正面図である。
【図2】画像記録装置の側面図である。
【図3】図1のIII −III 線矢視縦断面図である。
【図4】図1のIV−IV線矢視横断面図である。
【図5】図2のV−V線矢視縦断面図である。
【図6】図1のVI−VI線矢視縦断面図である。
【図7】(a)は連結モードの状態を示す説明図、(b)は連結解除モードの状態を示す説明図である。
【図8】制御の主要部のブロック図である。
【図9】(a)及び(b)は原稿の読取位置と被記録媒体への記録位置との関係を示す説明図である。
【図10】(a)は移動ロック手段におけるロック状態を示す縦断面図、(b)は移動ロック手段におけるロック解除状態を示す縦断面図である。
【図11】(a)は移動ロック手段におけるロック状態を示す斜視図、(b)は移動ロック手段におけるロック解除状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像記録装置
2 ハウジング
4 記録部
5 キャリッジ
6 記録ヘッド
7 画像読取部
9 載置用ガラス板
10 読取ヘッド
16 タイミングベルト
21 係合穴
22 係合片
24 CR(キャリッジ)モータ
28 駆動手段
29 連結手段
70 移動ロック手段
【出願人】 【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号
【出願日】 平成17年3月29日(2005.3.29)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【公開番号】 特開2006−279422(P2006−279422A)
【公開日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願番号】 特願2005−94379(P2005−94379)