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【発明の名称】 圧電発振器の製造方法
【発明者】 【氏名】中澤 利夫
【住所又は居所】滋賀県八日市市蛇溝町長谷野1166番地6号 京セラキンセキ株式会社滋賀八日市事業所内
【課題】取り扱いが簡便で、かつ、生産性にも優れた小型の圧電発振器を得ることができる圧電発振器の製造方法を提供する。

【解決手段】2つの空間部16a及び16bを有する発振器基板領域20と特性制御データ書込端子17及び特性測定端子18を有する捨代領域21とを有した母基板15を準備し、次に母基板15の各発振器基板領域20の表主面側に水晶振動素子5を取着させるとともに、蓋体によって気密封止後、水晶振動素子5の電気的特性を測定し、裏主面の空間部16bの内側底面に集積回路素子7を搭載し、次に特性制御データ書込端子17を介して各発振器基板領域20内の集積回路素子7に特性制御データを入力し、集積回路素子7内のメモリに特性制御データを格納し、最後に母基板15を各発振器基板領域20の外周に沿って切断することにより、各発振器基板領域20を捨代領域21より切り離すことによって圧電発振器を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基板の表主面に凹形状の第1の空間部と、該基板の裏主面に凹形状の第2の空間部とを形成し、該第1の空間部に圧電振動素子を搭載し蓋体を該第1の空間部開口部に被せて第1の空間部を気密封止し、該第2の空間部には、該圧電振動素子と電気的に接続する発振回路を組み込んだ集積回路素子、或いは該集積回路素子及び電子部品素子を搭載した圧電発振器の製造方法において、
表主面に第1の空間部と、裏主面に第2の空間部とを形成した矩形状の発振器基板領域と、該発振器基板領域の外周側面に該第2の空間部内に搭載する集積回路素子に電気的接続した特性制御データ書込端子と、第1の空間部内に搭載する圧電振動素子と電気的接続した特性測定端子とを設けた捨代領域を形成し、該捨代領域を外周に形成した該発振器基板領域が複数個マトリックスに配列されて一体に構成されている母基板を形成する工程Aと、
該母基板の各々の発振器基板領域の表主面に形成した該第1の空間部に、圧電振動素子を搭載し、各々の該第1の空間部の開口部を塞ぐように蓋体を配置し該第1の空間部を気密封止した後、該特性測定端子より圧電振動素子の特性を測定し、その特性値の良否を判定する工程Bと、
該工程Bにおいて特性が良と判定された圧電振動素子が搭載されている発振器基板領域の裏主面に形成した該第2の空間部に、該圧電振動素子と電気的に接続する集積回路素子、或いは該集積回路素子及び電子素子を搭載した後、該特性制御データ書込端子より集積回路素子に発振特性制御データを入力し、該集積回路素子内のメモリに発振特性制御データを格納する工程Cと、
該母基板を各々の該発振器基板領域の外周に沿って切断し、各該発振器基板領域をその発振機器板領域内に搭載した各電子素子と電気的に接続した該特性制御データ書込端子及び該特性測定端子が設けられている各該捨代領域から切り離し、複数個の圧電発振器を同時に得る工程Dと
を具備することを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項2】
前記工程Cにおいて、該母基板を形成する各該発振器基板領域に該集積回路素子を搭載することによって、該捨代領域に形成されている該特性制御データ書込端子と該集積回路素子とが、発振器基板領域及び該母基板の表面又は/及び内部に形成した配線導体を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる圧電発振器の製造方法に関するものであり、特に小型化に適した圧電発振器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用通信機器等の電子機器に圧電発振器が用いられている。かかる従来の圧電発振器としては、例えば、圧電発振器の一つである温度補償型水晶発振器では、下面に複数個の外部端子52が被着されている枠状基体51の上面に、内部に圧電素子である水晶振動素子54が収容されている容器体53を取着させるとともに、前記枠状基体51の内壁面と容器体53の下面とで囲まれるキャビティ部55に前記水晶振動素子54の振動に基づいて発振出力を制御する集積回路素子56やコンデンサ等の電子部品素子57を配設し、これらの集積回路素子56や電子部品素子57を前記容器体53の下面に搭載した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
尚、このような容器体53の基板や上述した枠状基体51は、通常、ガラス−セラミック等のセラミック材料によって一体的に形成されており、その内部及び表面には配線導体が形成され、従来周知のセラミックグリーンシート積層法等を採用することによって製作されている。また、容器体53の内部若しくは外側面等には、水晶振動素子54の電気的特性を測定する為の測定端子が形成されていることが一般的であった。(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
更に、前記集積回路素子56の内部には、水晶振動素子54の温度特性に応じて作成された温度補償データに基づいて水晶発振器の発振出力を補正するための温度補償回路が設けられており、温度補償型水晶発振器を組み立てた後、上述の温度補償データを集積回路素子56内のメモリに格納するために、枠状基体51の下面や外側面等に温度補償データ書込用の特性制御データ書込端子(図示せず)を設けておくのが一般的であった。
【0005】
前記のような圧電発振器の製造方法については、以下のような文献が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000―151283号公報(図2、図5)
【特許文献2】特開2002―190710号公報(図1)
【0007】
尚、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の圧電発振器においては、枠状基体51の下面や外側面等に温度補償データを書き込むための特性制御データ書込端子が設けられており、これらの特性制御データ書込端子を配置させるための広いスペースが枠状基体51の表面に必要となることから、その分、枠状基体51の面積が面方向もしくは厚み方向に大きくなり、全体構造の小型化に供しないという不都合があることに加え、圧電発振器をマザーボード等の外部電気回路に搭載する際に両者の接合に用いられている導電性接合材の一部が特性制御データ書込端子に付着して圧電発振器の外部接続用端子との間でショートを招く恐れがあり、そのため、前記外部端子に対応したマザーボード側の電極形状に自由度がなくなる等、製品の取り扱いが煩雑であるという不都合もあった。
【0009】
また、同様に内部に圧電振動素子の電気的特性を測定する為の測定端子が設けられており、これらの測定端子を配置させるための広いスペースが容器体内部に必要となることから、小型化に適さないという欠点があった。更に、同様に内部に測定端子を形成する場合、集積回路素子搭載時に、集積回路素子と測定端子との間で浮遊容量が発生し、電気的特性に影響を与えるという欠点があった。
【0010】
また、上述の特性制御データ書込端子が枠状基体51の外側面に配置させてある場合は、枠状基体51の製作に用いられるセラミック製の母基板に貫通穴を開けて、その内面に電極パターンを被着させる等の複雑な加工プロセスが必要となり、それによって生産性の低下を招いてしまう上に、枠状基体51の外側面に設けられている特性制御データ書込端子に書込装置のプローブ針を直接当てて書込作業を行うことが極めて困難であることから、個々の圧電発振器を特性制御データ書込用のソケットに装着する等して特性制御データを書き込まなければならず、その場合、ソケット等の製造設備が別途、必要になるとともに、個々の圧電発振器をソケットに装着する等の煩雑な工程が必要となり、製造プロセスが複雑化する欠点を有していた。
【0011】
更に上述した従来の圧電発振器においては、容器体53がセラミックグリーンシート積層法等によって一体的に形成されており、かかる製法によって得られる容器体23の下面に集積回路素子56が搭載されていることから、圧電発振器を"複数個取り"の手法によって製造するにあたり、容器体23が切り出される母基板に集積回路素子56を搭載した後で母基板を分割するような場合には、分割に伴う衝撃が集積回路素子56に対して直接的に伝わり、この衝撃によって集積回路素子56そのものや集積回路素子56と容器体53との接合部に破損を招来する欠点が誘発される。従って、従来の製造プロセスにおいては、通常、容器体53だけを"複数個取り"の手法によって製作し、分割後に得られた個々の個片に水晶振動素子54や集積回路素子56を個別に搭載することによって製品を組み立てるようにしており、その場合、個々の個片をキャリアに搭載して保持させた上、集積回路素子26等の搭載作業を行う必要があることから、その分、製造設備が増え、製造工程も複雑化する欠点を有していた。
【0012】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、取り扱いが簡便で、かつ、生産性にも優れた小型の圧電発振器を得ることができる圧電発振器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の圧電発振器の製造方法は、絶縁性の基板の表主面に凹形状の第1の空間部と、前記基板の裏主面に凹形状の第2の空間部とを形成し、前記第1の空間部に圧電振動素子を搭載し蓋体を前記第1の空間部開口部に被せて第1の空間部を気密封止し、前記第2の空間部には、前記圧電振動素子と電気的に接続する発振回路を組み込んだ集積回路素子、或いは前記集積回路素子及び電子部品素子を搭載した圧電発振器の製造方法において、
表主面に第1の空間部と、裏主面に第2の空間部とを形成した矩形状の発振器基板領域と、前記発振器基板領域の外周側面に該第2の空間部内に搭載する集積回路素子に電気的接続した特性制御データ書込端子と、第1の空間部内に搭載する圧電振動素子と電気的接続した特性測定端子とを設けた捨代領域を形成し、前記捨代領域を外周に形成した該発振器基板領域が複数個マトリックスに配列されて一体に構成されている母基板を形成する工程Aと、
前記母基板の各々の発振器基板領域の表主面に形成した前記第1の空間部に、圧電振動素子を搭載し、各々の前記第1の空間部の開口部を塞ぐように蓋体を配置し前記第1の空間部を気密封止した後、前記特性測定端子より圧電振動素子の特性を測定し、その特性値の良否を判定する工程Bと、
前記工程Bにおいて特性が良と判定された圧電振動素子が搭載されている発振器基板領域の裏主面に形成した前記第2の空間部に、前記圧電振動素子と電気的に接続する集積回路素子、或いは前記集積回路素子及び電子素子を搭載した後、前記特性制御データ書込端子より集積回路素子に発振特性制御データを入力し、前記集積回路素子内のメモリに発振特性制御データを格納する工程Cと、
前記母基板を各々の前記発振器基板領域の外周に沿って切断し、各前記発振器基板領域をその発振機器板領域内に搭載した各電子素子と電気的に接続した前記特性制御データ書込端子及び前記特性測定端子が設けられている各前記捨代領域から切り離し、複数個の圧電発振器を同時に得る工程Dと
を具備することを特徴とする圧電発振器の製造方法である。
【0014】
また本発明の温度補償型水晶発振器の製造方法は、前記工程Cにおいて、該母基板を形成する各該発振器基板領域に該集積回路素子を搭載することによって、該捨代領域に形成されている該特性制御データ書込端子と該集積回路素子とが、発振器基板領域及び該母基板の表面又は/及び内部に形成した配線導体を介して電気的に接続されることを特徴とする前項に記載の圧電発振器の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特性制御データを集積回路素子に書き込むのに使用される特性制御データ書込端子及び圧電振動素子の諸特性を測定する為の特性測定端子を母基板の捨代領域に設けておき、圧電振動素子の特性の良否判定及び特性制御データの書き込みを完了した後で切り離すようにしたことから、基板領域内に特性制御データ書込端子及び特性測定端子を配置させるための広いスペースは不要となり、圧電発振器の全体構造を小型化することができる。
【0016】
また、同様に特性測定端子を母基板の捨代領域に設けておき、圧電振動素子の電気的特性を測定後、切り離すようにしたことから、面積を一定以上確保できるので、圧電振動素子の測定を容易にすることができる。しかもこの場合、圧電発振器の製造プロセスは比較的簡素となる上に、個々の圧電発振器に特性制御データを書き込むためのソケット等の設備は一切不要であり、これによって圧電発振器の生産性を高く維持することもできる。
【0017】
また本発明の製造方法によって得られる圧電発振器には、上述した如く特性制御データ書込端子が存在していないことから、圧電発振器をマザーボード等の外部電気回路に搭載する際、両者の接合に用いられている導電性接合材の一部が特性制御データ書込端子に付着してショートを起こすといった不都合を発生することはなく、製品の取り扱いを簡便になすことができる。
【0018】
また本発明の場合、前記母基板は集積回路素子を搭載した後で分割されるようになっており、集積回路素子の搭載時、母基板自体が集積回路素子搭載用のキャリアとして機能することから、従来例の項で説明したような集積回路素子搭載用のキャリアは不要であり、母基板の分割によって得られた個々の子基板をキャリアに搭載するといった煩雑な作業も一切不要となる。これによっても、圧電発振器の生産性が向上されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の製造方法によって製作された圧電発振器の一つである温度補償型水晶発振器の斜視図、図2は図1に図示した温度補償型水晶発振器を切断線A1−A2で切断した場合の断面図、図3の(a)は本発明の製造方法で使用される母基板及び蓋板を水晶振動素子を搭載する表主面側より見た斜視図であり、(b)は(a)に図示した母基板の一部(一つの発振器基板領域及びそれに対する捨代領域)を拡大した拡大斜視図である。また、図4の(a)は、図3(a)に図示した母基板を集積回路素子等を搭載する裏主面側よりみた斜視図であり、(b)は(a)に図示した母基板の一部(一つの発振器基板領域及びそれに対する捨代領域)を拡大した拡大斜視図である。尚、図1乃至4にあって、説明を明りょうにするため構造体の一部を図示せず、また寸法も一部誇張して図示している。特に各部分の厚さ寸法は、本発明を理解し易くするためにデフォルメした形で現している。
【実施例1】
【0020】
これらの図に示す温度補償型水晶発振器は、容器体1の上面内部に圧電素子である水晶振動素子5を収容し、前記容器体1の下面内部に集積回路素子7とを取着させた構造を有している。前記容器体1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板2と、42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成るシールリング3と、シールリング3と同様の金属から成る蓋体4とから成り、前記基板2の上面にシールリング3を取着させ、その上面に蓋体4を載置・固定させることによって容器体1が構成され、シールリング3の内側に位置する基板2の上面に水晶振動素子5が実装される。
【0021】
前記容器体1は、その内部、具体的には、基板2の上面とシールリング3の内面と蓋体4の下面とで囲まれる空間内に水晶振動素子5を収容して気密封止するためのものであり、基板2の上面には水晶振動素子5の振動電極に接続される一対の搭載パッド8a等が、基板2の下面には集積回路素子7の接続パッド7aに接続される複数個の電極パッド8b等がそれぞれ設けられ、これらのパッドは基板表面の配線パターンや基板内部に埋設されているビアホール導体等によって、対応するパッド同士、相互に電気的に接続されている。
【0022】
一方、前記容器体1の内部に収容される水晶振動素子5は、所定の結晶軸でカットした水晶片の両主面に一対の振動電極を被着・形成してなり、外部からの変動電圧が一対の振動電極を介して水晶片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こす。
【0023】
ここで容器体1の金属製の蓋体4を容器体1の配線導体を介して後述するグランド端子用の外部端子9に接続させておけば、その使用時、蓋体4がアースされることによりシールド機能が付与されることとなるため、水晶振動素子5や後述する集積回路素子7を外部からの不要な電気的作用より良好に保護することができる。従って、容器体1の蓋体4は容器体1の配線導体8を介してグランド端子用の外部端子9aに接続させておくことが好ましい。そして、上述した容器体1の下面に取着される集積回路素子7は、集積回路素子7が囲繞されている壁部の中央部に位置するようにして並設されている。上述したグランド端子用外部端子9aを含む4個の外部端子9は、温度補償型水晶発振器をマザーボード等の外部電気回路に搭載する際、外部電気回路の回路配線と電気的に接続されるようになっている。
【0024】
また一方、容器体1の下面に取着される集積回路素子7としては、上面に前記容器体1の電極パッド8bに接続される複数個の接続パッド7aを有した矩形状のフリップチップ型ICが用いられ、その回路形成面には、周囲の温度状態を検知する感温素子(サーミスタ)、水晶振動素子5の温度特性を制御補償する温度補償データを有し、この温度補償データに基づいて前記水晶振動素子5の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられている。このような集積回路素子7の発振回路で生成された発振出力は、外部に出力された後、例えば、クロック信号等の基準信号として利用されることとなる。
【0025】
次に上述した温度補償型水晶発振器の製造方法について説明する。
(工程A)
まず、表主面に水晶振動素子を搭載する第1の空間部16a、及び裏主面に集積回路素子を搭載する第2の空間部16bを有する矩形状の発振器基板領域20の各4側面に、複数個の特性制御データ書込端子17及び測定端子18を有する捨代領域21を形成して、これらをマトリックス状に配置した母基板15を準備する。このような母基板15は、ガラス−セラミック等の低温焼成基板材料,アルミナセラミックス等のセラミック材料等によって形成されており、例えば800℃〜1200℃の比較的低い温度で焼成が可能なガラス−セラミック材料等から成る複数の誘電体層を積層することによって構成されており、各誘電体層に設けられたAg、Cu、W、Mo等の金属材料からなる導体がそれぞれ回路配線や接続パッドを形成している。尚、矩形状をなす配線基板を形成する各誘電体層の厚みは、例えば20μm〜300μmに設定される。また、母基板15には特性制御データ書込端子17や外部端子9等を含む所定の配線パターンが形成されている。
【0026】
また前記母基板15の発振器基板領域20に形成されている第1の空間部16a及び第2の空間部16bは矩形状であり、かつ発振器基板領域20を縦断するように形成されており、上述のようにして製作した母基板15の各発振器基板領域20をパンチング等で矩形状に打ち抜くことによって所定の第1の空間部16a及び第2の16bが穿設される。このような母基板15の裏主面側には、発振器基板領域20に複数個の外部端子9が、捨代領域21に複数個の特性制御データ書込端子17及び特性測定端子18がそれぞれ設けられている。
【0027】
(工程B)
次に、前記母基板15の各発振器基板領域20の上面に水晶振動素子5が収容し、蓋板12を複数の第1の空間部16aを塞ぐようにして取着させ、しかる後、母基板15の捨代領域21に設けた複数個の特性測定端子18を介して各第1の空間部16a内の水晶振動素子5の電気的特性を測定する。前記容器体1は、先に述べたように、基板2とシールリング3と蓋体4とで構成されており、その内部の第1の空間部16aに水晶振動素子5を収容させている。
【0028】
例えば、基板2をセラミック材料により形成する場合は、セラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面等に配線導体となる導体ペーストを所定パターンに印刷・塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することによって基板2を製作し、得られた基板2の上面に水晶振動素子5を搭載する。このとき、水晶振動素子5の振動電極と基板上面の搭載パッド8aとは導電性接合材10を介して電気的・機械的に接続される。そして、基板2の上面に、水晶振動素子5を囲繞するようにしてシールリング3を載置・固定し、かかるシールリング3の上面に蓋体4を従来周知の抵抗溶接等によって接合することにより容器体1が組み立てられる。
【0029】
尚、シールリング3及び蓋体4は、従来周知の金属加工法を採用し、42アロイ等の金属を所定形状に成形することによって製作され、前記シールリング3は、基板2の上面に予め被着させておいた導体層にロウ付けすることによって基板2に固定される。また上述のように、シールリング3と蓋体4とを抵抗溶接によって接合する場合、シールリング3や蓋体4の表面には予めNiメッキ層やAuメッキ層等が被着される。
【0030】
(工程C)
母基板15を上下に裏返し、前記第2の空間部16bの内側底面に集積回路素子7を搭載する。次に、母基板15の捨代領域21に設けた複数個の特性制御データ書込端子17を介して各発振器基板領域20内の集積回路素子7に特性制御データである温度補償データを入力し、集積回路素子7内のメモリにその温度補償データを格納する。また一方、前記集積回路素子7としては、先に述べたように、容器体1の第2の空間部16bの内側底面に形成した電極パッド8bと対向する位置に複数個の接続パッド7aを有した矩形状のフリップチップ型ICが用いられる。
【0031】
前記集積回路素子7は、その一面に設けられている複数個の接続パッド7aが、母基板15の裏主面側で第2の空間部16b内に露出する電極パッド8bに半田又は金属バンプなどのの導電性接合材11を介して当接されるようにして容器体1上に載置され、しかる後、前記導電性接合材11を熱の印加等によって溶融させ、接合パッド7a及び電極パッド8bを導電性接合材11を介して接合することによって集積回路素子7が容器体1に搭載される。
【0032】
かかる工程Cにおいては、各々の第2の空間部16bに集積回路素子7を搭載することによって、集積回路素子7内の電子回路が母基板15内に形成された配線導体等を介して水晶振動素子5や外部端子9等と電気的に接続され、また同時に、捨代領域20の特性制御データ書込端子17と集積回路素子7とが母基板15に形成された配線導体を介して対応する素子又は端子間同士が電気的に接続されることとなる。
【0033】
ここで、母基板15と集積回路素子7とは導電性接合材11を介して接合されており、両者の非接合部には所定の隙間が存在しているため、集積回路素子7を半田や金属バンプ等の導電性接合材11を介して第2の空間部16bの内部底面に搭載する際、この接合に必要な熱を上述の隙間等から容器体1−集積回路素子7間の導電性接合材11に対して良好に伝達させることができ、集積回路素子7を効率良く、確実に搭載することが可能となる。これにより、温度補償型水晶発振器の信頼性及び生産性を向上させることができる。
【0034】
このような温度補償データの書込作業は、温度補償データ書込装置(図示しない)のプローブ針を特性制御データ書込端子17に当てて、水晶振動素子5の温度特性に応じて作成された温度補償データを集積回路素子7の温度補償回路内に設けられているメモリに入力し、これを記憶させることによって行なわれる。尚、ここで集積回路素子7に書き込まれる温度補償データは、水晶振動素子5毎の温度特性バラツキを補正するためのものであり、その温度補償型水晶発振器に使用される水晶振動素子5の温度特性を事前に測定しておくことにより得られるものである。この場合、個々の温度補償型水晶発振器の集積回路素子7に温度補償データを書き込むためのソケット等の設備は一切不要であり、これによっても温度補償型水晶発振器の生産性向上に供することができる。
【0035】
(工程D)
そして最後に、前記母基板15を各々の発振器基板領域20の外周に沿って切断することにより、各発振器基板領域20をその周囲に形成されている捨代領域21より切り離す。前記母基板15の切断は従来周知のダイシング等によって行なわれ、かかる切断工程を経て母基板15が個々の発振器基板領域毎に分割される。これにより、個々に集積回路素子7を搭載してなる複数個の温度補償型水晶発振器が同時に得られる。
【0036】
またこの場合、母基板15は集積回路素子7を搭載した後で分割されるようになっており、集積回路素子7の搭載時、母基板15自体が集積回路素子搭載用のキャリアとして機能することから、従来例の項で説明したような集積回路素子搭載用のキャリアは不要であり、母基板15の分割によって得られた個々の小片の基板をキャリアに搭載するといった煩雑な作業も一切不要となる。これによっても、温度補償型水晶発振器の生産性が向上されるようになる。
【0037】
そして、上述した製造工程においては、特性制御データ書込端子17及び特性測定端子18を母基板15の捨代領域21に設けておき、温度補償データの書き込みを完了した後並びに水晶振動素子5の電気的特性を測定した後で切り離すようにしたことから、特性制御データ書込端子17や特性測定端子18を第2の空間部16bの内部面上に配置させるための広いスペースは不要となり、温度補償型水晶発振器の全体構造を小型化することができる。
【0038】
また、上述の工程A〜Dを経て得られる最終製品の温度補償型水晶発振器には、特性制御データ書込端子17が存在していないことから、温度補償型水晶発振器をマザーボード等の外部電気回路に搭載する際、両者の接合に用いられている導電性接合材の一部が特性制御データ書込端子に付着してショートを起こすといった不都合を発生することもなく、製品の取り扱いを簡便になすことができる。
【0039】
尚、本発明は上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、例えば集積回路素子に入力する特性制御データは温度特性データに、また、搭載する圧電素子を水晶振動素子に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0040】
また、上述した実施形態においては、捨代領域21の特性制御データ書込端子17及び測定端子18を外部端子9の配列に沿って平行に配置させるようにしたが、これに代えて、捨代領域21の特性制御データ書込端子17及び特性測定端子18を外部端子9の配列と直交する方向に配置させるようにしても構わない。
【0041】
また更に上述した実施形態においては、容器体1の蓋体4をシールリング3を介して基板2に接合させるようにしたが、これに代えて、基板2の上面に接合用のメタライズパターンを形成しておき、このメタライズパターンに対して蓋体4をダイレクトに溶接するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本発明の製造方法によって製作した温度補償型水晶発振器の斜視図である。
【図2】図2は図1に図示した温度補償型水晶発振器の断面図である。
【図3】図3において、(a)は本発明の製造方法で使用される母基板及び蓋板を水晶振動素子を搭載する表主面側より見た斜視図であり、(b)は(a)に図示した母基板の一部(一つの発振器基板領域及びそれに対する捨代領域)を拡大した部分拡大斜視図である。
【図4】図4において、(a)は、図3(a)に図示した母基板を集積回路素子等を搭載する裏主面側よりみた斜視図であり、(b)は(a)に図示した母基板の一部(一つの発振器基板領域及びそれに対する捨代領域)を拡大した部分拡大斜視図である。
【図5】図5は従来の製造方法によって製作した温度補償型水晶発振器の断面図。
【符号の説明】
【0043】
2・・・基板
3・・・シールリング
4・・・蓋体
5・・・水晶振動素子
7・・・集積回路素子
15・・・母基板
16a・・第1の空間部
16b・・第2の空間部
17・・・特性制御データ書込端子
18・・・特性測定端子
20・・・発振器基板領域
21・・・捨代領域
【出願人】 【識別番号】000104722
【氏名又は名称】京セラキンセキ株式会社
【住所又は居所】東京都狛江市和泉本町1丁目8番1号
【出願日】 平成16年6月30日(2004.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−19940(P2006−19940A)
【公開日】 平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願番号】 特願2004−194442(P2004−194442)