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【発明の名称】 電圧制御型水晶発振器
【発明者】 【氏名】石川 匡亨
【住所又は居所】神奈川県高座郡寒川町小谷二丁目1番1号 東洋通信機株式会社内

【要約】 【課題】トランジスタのON抵抗を利用した発振回路において、周波数可変幅を大きく拡大した電圧制御型水晶発振器を提供することを目的とする。

【解決手段】電圧制御型水晶発振器5は、例えば、コルピッツ型発振回路等のような発振回路2と、これと接続する水晶振動子3と、外部から印加する外部制御電圧で容量を可変する容量可変回路6とにより構成し、容量可変回路6は、水晶振動子3と接地間にコンデンサC1とC2を直列接続し、コンデンサC2にはトランジスタTR1及びTR2のドレインをコンデンサC3側に、ソース側を接地側に接続する方向でトランジスタTR1及びTR2を接続する。更に、トランジスタTR1及びTR2のゲートには抵抗R1を介して外部から印加する外部制御電圧を入力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、
前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、
ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続し、前記複数のトランジスタのゲートを第一の抵抗を介して外部制御電圧を印加するための端子と接続したことを特徴とする電圧制御型水晶発振器。
【請求項2】
水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、
前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、
ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続しており、
外部制御電圧を印加するための端子と接地との間に、二つの抵抗を直列に接続した分圧回路を一つ設け、該分圧回路の中点を前記複数のトランジスタの内の少なくとも一つのゲートに接続し、他のトランジスタのゲートを外部制御電圧を印加するために端子と接続したことを特徴とする電圧制御型水晶発振器。
【請求項3】
水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、
前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、
ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続しており、
外部電圧を印加するための端子と接地との間に二つの抵抗を直列に接続した分圧回路を複数設け、該分圧回路の中点を前記複数のトランジスタの何れかのゲートに接続したことを特徴とする電圧制御型水晶発振器。
【請求項4】
水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、
前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、
ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続し、前記複数のトランジスタのゲートを第一の抵抗を介して外部制御電圧を印加するための端子と接続しており、
前記複数のトランジスタのゲートと接地との間に、カソード側を前記ゲートに接続したダイオードと、該ダイオードのアノードに所定の基準電位を印加するための電圧源とを直列接続した回路を挿入したことを特徴とする電圧制御型水晶発振器。
【請求項5】
前記ダイオードに印加する基準電圧を変化させることにより、前記容量可変回路の最小等価容量を調整可能としたことを特徴とする請求項4に記載の電圧制御型水晶発振器。
【請求項6】
前記複数のトランジスタは、夫々のトランジスタが動作状態となるしきい値が異なることを特徴とする請求項1乃至5に記載の電圧制御型水晶発振器。
【請求項7】
前記トランジスタがMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1乃至5に記載の電圧制御型水晶発振器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は電圧制御型水晶発振器に関し、特に容量可変回路を改良することにより、周波数可変幅を拡大すると共にその直線性にも優れ、更にはIC化を容易とした電圧制御型水晶発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部より電圧を印加して水晶発振器の発振周波数を可変する電圧制御型水晶発振器は、通信機器や電子機器等において周波数変調回路や位相同期回路等に用いられ安定した周波数源として機能している。
水晶発振器の発振周波数を変化させるためには、水晶振動子からみた発振回路側の等価容量を変化させることが必要である。そこで、従来、等価容量を変化させる方法として二つの方法が用いられており、第一の方法は、発振回路を構成する容量素子として可変容量素子(バラクター)を用い、その容量値を外部から印加する電圧により制御することで発振回路側の等価容量を変化させて水晶発振器の発振周波数を可変するものである。又、第二の方法は、前記可変容量素子を用いずに、例えば、サーミスタ等を用いて水晶振動子からみた発振回路側の抵抗分を変化させて、等価的に容量分を変化させるというものである。
【0003】
近年、水晶発振器は一段と小型化が要求され、発振回路をIC化することが求められているが、前記二つの発振周波数の可変方法で、IC化し易い第一の方法が用いられることが多い。前記第二の方法は、ディスクリート部品であるサーミスタを使用しているため、発振回路をそのままIC化することが出来ない。そこで従来、サーミスタ機能の代替としてIC化が可能なトランジスタを用い、トランジスタのON抵抗を利用した第二の方法と同等な機能を有する方法によりIC化することがなされている。
【0004】
図12は、従来の電圧制御型水晶発振器の回路構成例である。図12は、発振回路側の等価容量分を変化させる手段として、コンデンサに並列にトランジスタを挿入し、このトランジスタのON抵抗を外部から印加する外部制御電圧により制御して、ON抵抗の変化を等価的に容量変化として得ることで水晶発振器の発振周波数を可変するものである。従来の電圧制御型水晶発振器1は、例えば、コルピッツ型発振回路等の発振回路2と、これと接続する水晶振動子3と、外部から印加する外部制御電圧で容量を可変する容量可変回路4とにより構成し、容量可変回路4は、水晶振動子3と接地間にコンデンサC1とC2を直列接続し、コンデンサC2の両端にトランジスタTR1を、ドレインをコンデンサC1側に、ソース側を接地側に接続する方向で接続する。更に、トランジスタTR1のゲートには抵抗R1を介して外部から印加する外部制御電圧を入力する。トランジスタTR1としては、通常、低いゲート電圧から動作(変化)するノンドープ型NchMOSトランジスタが使用され、そのしきい値電圧は、0V付近にあり、ゲートへの印加電圧は、0〜Vcc以内である。
【0005】
図13に、従来の電圧制御水晶発振器において、周波数可変特性に関するグラフを示す。図13(a)は、容量可変回路4の等価容量変化特性例を示し、横軸にはトランジスタTR1のゲートに外部から印加する外部制御電圧値VCONT(V)を示し、縦軸にはその時の図12に示したA点と接地間の等価容量CAP(pF)を示す。この例では、コンデンサC2=5pFとした場合を示し、ゲートに印加する外部制御電圧が0V付近では、トランジスタTR1がOFFとなるので等価容量は、コンデンサC2の値である5pFとなっている。
【0006】
図13(b)は、発振回路の周波数変化特性例を示し、横軸にはトランジスタTR1のゲートに外部から印加する外部制御電圧値VCONT(V)を示し、縦軸にはその時の周波数の変化量D(ppm)を示し、外部制御電圧である印加電圧が0.2Vの周波数を基準として、外部制御電圧を可変した際の周波数変化量を示している。例えば、外部制御電圧が1.4Vであると30ppmの周波数変化が得られることを示している。
【特許文献1】特開2001−16039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電圧制御型水晶発振器は、使用される用途により大きな周波数可変幅を要求される場合があるが、トランジスタのON抵抗を利用した発振回路では要求されるような大きな周波数可変幅を得ることは困難であった。例えば、従来例に使用されているMOSトランジスタのサイズL/W(素子の大きさと長さ)を変えることで多少は容量可変回路の等価容量の可変幅を大きくすることは出来るが、半導体プロセスの制約で限界が生じていた。
本発明は上述したような問題を解決するためになされたものであって、トランジスタのON抵抗を利用した発振回路において、周波数可変幅を大きく拡大した電圧制御型水晶発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係わる電圧制御型水晶発振器は、以下の構成をとる。
請求項1に記載の電圧制御型水晶発振器は、水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続し、前記複数のトランジスタのゲートを第一の抵抗を介して外部制御電圧を印加するための端子と接続するよう構成する。
【0009】
請求項2に記載の電圧制御型水晶発振器は、水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続しており、外部制御電圧を印加するための端子と接地との間に、二つの抵抗を直列に接続した分圧回路を一つ設け、該分圧回路の中点を前記複数のトランジスタの内の少なくとも一つのゲートに接続し、他のトランジスタのゲートを外部制御電圧を印加するために端子と接するよう構成する。
【0010】
請求項3に記載の電圧制御型水晶発振器は、水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続しており、外部電圧を印加するための端子と接地との間に二つの抵抗を直列に接続した分圧回路を複数設け、該分圧回路の中点を前記複数のトランジスタの何れかのゲートに接続するよう構成する。
【0011】
請求項4に記載の電圧制御型水晶発振器は、水晶振動子と、該水晶振動子の一方の端子に接続した発振回路と、水晶振動子の他方の端子に接続した容量可変回路とにより構成する電圧制御型水晶発振器であって、前記容量可変回路は、第一のコンデンサと第二のコンデンサを直列に接続して第一のコンデンサ側の一端を前記水晶振動子と接続すると共に、前記第二のコンデンサ側の一端を接地しており、ドレイン同志及びソース同志を、夫々接続した複数のトランジスタからなる並列回路を、ドレイン側が前記第一のコンデンサと第二のコンデンサの接続点に接続する方向で第二のコンデンサの両端に並列に接続し、前記複数のトランジスタのゲートを第一の抵抗を介して外部制御電圧を印加するための端子と接続しており、前記複数のトランジスタのゲートと接地との間に、カソード側を前記ゲートに接続したダイオードと、該ダイオードのアノードに所定の基準電位を印加するための電圧源とを直列接続した回路を挿入するよう構成する。
【0012】
請求項5に記載の電圧制御型水晶発振器は、前記ダイオードに印加する基準電圧を変化させることにより、前記容量可変回路の最小等価容量を調整可能とするよう構成する。
【0013】
請求項6に記載の電圧制御型水晶発振器は、前記複数のトランジスタが、夫々のトランジスタが動作状態となるしきい値が異なるよう構成する。
【0014】
請求項7に記載の電圧制御型水晶発振器は、前記トランジスタがMOSトランジスタであるよう構成する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、6及び7に記載の発明は、電圧制御型水晶発振器の周波数可変幅を容易に増加することが可能となり、電圧制御型水晶発振器を使用する上で大きな効果を発揮することが出来る。
【0016】
請求項2、3、6及び7に記載の発明は、電圧制御型水晶発振器の周波数可変幅を増加させると共に、外部制御電圧の変化に対する周波数可変幅のリニアリティを改善出来、電圧制御型水晶発振器を使用する上で大きな効果を発揮することが出来る。
【0017】
請求項4、5、6及び7に記載の発明は、容量可変回路において、最大等価容量を維持しながら最小等価容量を任意に設定できると共に、所定の基準電圧を調整することにより等価容量の容量範囲を可変することが出来、電圧制御型水晶発振器を使用する上で大きな効果を発揮することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電圧制御型水晶発振器の第一の実施例を示す回路構成である。図1は、コンデンサに並列にトランジスタを挿入し、このトランジスタのON抵抗を外部から印加する外部制御電圧により制御する際に、しきい値電圧の異なるトランジスタ追加して二段構成で制御するようにしたもので、二つのトランジスタのON抵抗の変化を等価的に容量変化として得ることで水晶発振器の発振周波数を可変するものである。
【0019】
電圧制御型水晶発振器5は、例えば、コルピッツ型発振回路等のような発振回路2と、これと接続する水晶振動子3と、外部から印加する外部制御電圧で容量を可変する容量可変回路6とにより構成し、容量可変回路6は、水晶振動子3と接地間にコンデンサC1とC2を直列接続し、コンデンサC2には、トランジスタTR1及びTR2のドレインをコンデンサC3側に、ソース側を接地側に接続する方向でトランジスタTR1及びTR2を接続する。更に、トランジスタTR1及びTR2のゲートには抵抗R1を介して外部から印加する外部制御電圧を入力する。
本実施例において追加して使用したトランジスタTR2は、トランジスタTR1として使用しているノンドープ型NchMOSトランジスタと比べてしきい値電圧が高く、0.7V近辺にあるNchMOSトランジスタである。
【0020】
図2は、図1に示す実施例において、周波数可変特性に関するグラフである。図2(a)は、容量可変回路6のトランジスタTR2の動作による等価容量変化特性例を示す。図2(a)は、トランジスタTR1の動作を停止して、トランジスタTR2のゲートのみに外部制御電圧を印加した際の図1に示したA点と接地間の等価容量を示す。横軸にはトランジスタTR2のゲートに外部から印加する外部制御電圧値VCONT(V)を示し、縦軸にはその時の図1に示したA点と接地間の等価容量CAP(pF)を示す。この例では、コンデンサC2=5pFとした場合を示し、ゲートに印加する外部制御電圧が0〜0.7V付近では、トランジスタTR2がOFFとなるので等価容量は、コンデンサC2の値である5pFとなっている。
【0021】
一方、図2(b)は、容量可変回路6のトランジスタTR1の動作による等価容量変化特性例を示す。図2(b)は、トランジスタTR2の動作を停止して、トランジスタTR1のゲートのみに外部制御電圧を印加した際の図1に示したA点と接地間の等価容量を示す。横軸にはトランジスタTR1のゲートに外部から印加する外部制御電圧値VCONT(V)を示し、縦軸にはその時の図1に示したA点と接地間の等価容量CAP(pF)を示す。この例では、コンデンサC2=5pFとした場合を示し、ゲートに印加する外部制御電圧が0V近辺では、トランジスタTR1がOFFとなるので等価容量は、コンデンサC2の値である5pFとなっている。
そこで、容量可変回路6における等価容量の変化は、前記図2(a)及び図2(b)に示した等価容量の変化特性を合成したものとなる。
【0022】
図2(c)は、容量可変回路6の全体の等価容量変化特性例を示す。図2(c)は、トランジスタTR1及びTR2のゲートに外部制御電圧を印加した際の図1に示したA点と接地間の等価容量を示す。横軸にはトランジスタTR1及びTR2のゲートに外部から印加する外部制御電圧値VCONT(V)を示し、縦軸にはその時の図1に示したA点と接地間の等価容量CAP(pF)を示す。図2(c)に示す如く、外部制御電圧が低い時はトランジスタTR1の動作により等価容量が変化し、外部制御電圧が0.7V近辺を越えるとトランジスタTR2の動作が加わり、等価容量の変化を増大する。即ち、ノンドープ型NchMOSトランジスタが使用されるトランジスタTR1の動作による等価容量変化特性では、外部制御電圧が上昇するに連れて等価容量変化が鈍く成るが、そこへNchMOSトランジスタが使用されるトランジスタTR2の動作による等価容量変化特性が加わり、トランジスタTR1とTR2の動作による合成等価容量が、高い外部制御電圧まで大きく変化することとなり、これによって水晶発振器の発振周波数は大きな周波数変化を得ることが出来る。
【0023】
図2(d)に、図1に示した電圧制御型水晶発振器の周波数変化特性例を示す。図2(d)は、横軸に外部から印加する外部制御電圧値VCONT(V)を示し、縦軸にはその時の周波数の変化量D(ppm)を示し、制御電圧である外部制御電圧が0.2Vの周波数を基準として、外部制御電圧を可変した際の周波数変化量を示している。図2(d)に示す如く、従来の電圧制御型水晶発振器の周波数変化と比べ、本実施例に於ける電圧制御型水晶発振器の周波数変化は大きなものが得られている。
【0024】
次に、本第一の実施例の変形例を図3に示す。図3に示す如く、電圧制御型水晶発振器7は、容量可変回路8においてトランジスタTR3を追加したものであり、容量可変回路の等価容量変化量を更に大きく変化させたい場合に、トランジスタを更に追加して使用することも可能である。
【0025】
次に、本発明に係わる第二の実施例について説明する。近年、電圧制御型水晶発振器について、周波数可変幅を増大する要求の他、その周波数変化が外部制御電圧に対して直線的に変化するリニアリティ(直線性)も要求されることが多い。そこで、前述した第一の実施例において、周波数変化の外部制御電圧に対するリニアリティを高める手段について説明する。
周波数変化の外部制御電圧に対するリニアリティを高めるためには、外部制御電圧に対し等価容量がリニアに変化することが必要となる。
【0026】
図4は、本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第二の実施例を示すものであり、図4(a)は、図1と異なる容量可変回路9の構成のみを示している。第一の実施例においては、等価容量の変化特性を調整するためにはトランジスタの素子サイズを変える方法しかなかったが、図4(a)に示す如く、第二の実施例においては、一方のトランジスタTR1のゲートに印加する外部制御電圧を、抵抗R2及びR3を挿入することにより分圧した。この分圧比をトランジスタの性能や回路定数に合わせて調整することにより外部制御電圧の変化を鈍くして、容量可変回路9の等価容量変化をリニアにすることを可能とした。残りのトランジスタTR2のゲートは、外部制御電圧を供給するための端子と直接接続されている。
【0027】
図4(b)は、容量可変回路9の変形例を示す構成図である。本変形例に於いては、トランジスタTR1のゲートに入力する外部制御電圧を抵抗R2及びR3で分圧すると共に、トランジスタTR2のゲートに入力する外部制御電圧を抵抗R4及びR5で分圧するようにしたものであり、容量可変回路10の等価容量変化をリニアにする際の調整精度をより高めたものである。
そこで、図4(b)に示した容量可変回路10に於いて、具体例について説明する。図4(b)において、コンデンサC1=60pF、コンデンサC2=6pF、抵抗R2=R4=100kΩ、抵抗R3=100kΩ、抵抗R5=150kΩとし、トランジスタTR1をしきい値電圧の低いノンドープ型NchMOSトランジスタとし、トランジスタTR2をNchMOSトランジスタとし、端子Bと接地間の等価容量の変化を示すと図5のようになる。
【0028】
図5は、図4(b)に示す容量可変回路10の等価容量特性例を示す図であり、図5(a)は、外部制御電圧を変化させた際の容量可変回路10の等価容量の変化を示す図である。図5(a)において、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸は図4(b)に示したB点と接地間の等価容量CAP(pF)を示し、図1に示した第一の実施例と、本第二の実施例とを比較して記載した。同図から明らかなように、第一の実施例と比べて本第二の実施例は、外部制御電圧に対する等価容量の変化のリニアリティが著しく改善された。
【0029】
次に、本第二の実施例において、抵抗R3を可変し分圧比を調整することで、外部制御電圧に対する等価容量の変化量を変化させることが可能である。
図5(b)は、図4(b)に示した容量可変回路10において、分圧比を可変した際の等価容量の変化を示す図である。図5(b)において、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸は図4(b)に示したB点と接地間の等価容量CAP(pF)を示し、抵抗R3を50kΩから200kオームまで50kΩステップで可変した際には等価容量が変化し、この例では50kΩとした時に最も直線性がよくなることが判る。尚、図4においては、二つのトランジスタを並列接続したものを例示したが、トランジスタを三つ以上用いたものに適用してもよく、何れかのトランジスタのゲートが分圧回路に接続されていればよい。
【0030】
次に、本発明に係わる第三の実施例について説明する。昨今、水晶発振器のIC化が進み、水晶発振器をより小型化することが望まれている。発振回路をIC化する際に小型化の妨げになっているのはコンデンサであり、コンデンサ容量が大きいと大きな面積を必要とする。そこで、本第三の実施例は電圧制御型水晶発振器のより小型化を図るため、第一の実施例で説明した電圧制御型水晶発振器において、容量可変回路で使用していたコンデンサC2を削除可能とする手段について説明する。
【0031】
図6に、本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第三の実施例を示し、図6(a)は、図1に示した第一の実施例から容量可変回路6のみを示したものである。又、図7は、外部制御電圧を可変した際の容量可変回路6の等価容量の変化を示す。図7のグラフは、実際には曲線と成るが説明を容易にするため直線としている。図6(a)において、C−D間の等価容量はコンデンサC1と、コンデンサC2と二つのトランジスタTR1及びTR2のON抵抗とで得られる等価容量の合成値となる。そこで、合成容量を設定する際は、その最小値をコンデンサC2の値で、最大値をコンデンサC1の値で夫々決定し、容量可変回路6の容量値を大きく変化させるためには、コンデンサC1を大きな値に設定し、コンデンサC2を小さな値に設定すればよい。
【0032】
一般に、コンデンサをIC化した際に、コンデンサの電極とIC基板間に寄生容量が発生する。IC基板は、通常、接地電位であるため、コンデンサの電極と接地間に寄生容量が発生することとなる。この寄生容量は、半導体のプロセスによっても異なるが、設計容量値に対して20%程度寄生する。従って、端子Dを接地として使用し、コンデンサC1の寄生容量が発生する側の電極をトランジスタ側に接続することで、コンデンサC1の寄生容量がコンデンサC2と同じ働きをもつことになり、コンデンサC2を削除することが可能となる。実際、コンデンサC1は大きな容量値であるためその寄生容量も大きくなり、十分にコンデンサC2の代わりを果たすことが可能である。
【0033】
図6(b)は、本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第三の実施例を示すものであり、図1と異なる容量可変回路11の構成のみ示している。図6(b)に示す如く、コンデンサC1のトランジスタ側には寄生容量C1が発生し、コンデンサC2を回路から削除することが出来る。
つまり、コンデンサC1に、対接地間に発生する寄生容量がある程度の値を持つように設定することにより、コンデンサC2を削除して電圧制御型水晶発振器をIC化する上で、更に小型化を図ることが可能となる。
【0034】
次に、本発明に係わる第四の実施例について説明する。本第四の実施例は、第一の実施例として説明した電圧制御型水晶発振器において、容量可変回路の二つのコンデンサC1とC2を用いた等価容量の調整方法を容易とするための手段を追加したものである。本実施例においては、説明を容易にするため、図8に示した容量可変回路12を用いて説明する。
図8に示した容量可変回路12において、コンデンサC1=100pF、コンデンサC2=5pF、抵抗R5=100kΩとすると、E−F間の等価容量特性は図9の如くなる。
図9に、容量可変回路12の等価容量特性例を示す。
図9(a)は、容量可変回路12において、外部制御電圧を変化させた際の容量可変回路の等価容量の変化を示す図であり、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸は図8に示したE―F間の等価容量CAP(pF)を示す。
【0035】
図8において、E−F間の等価容量を可変する際はコンデンサC1及びC2を調整することで可能である。E−F間の等価容量の最大値を増加させるためにはコンデンサC1を大きくすればよく、一方、最小値を減少させるためにはコンデンサC2を小さくすればよい。図9(b)に、コンデンサC1を可変した場合の等価容量の変化を示し、図9(c)に、コンデンサC2を可変した場合の等価容量の変化を示す。
図9(b)は、容量可変回路12において、コンデンサC1を可変して外部制御電圧を変化させた際の容量可変回路の等価容量の変化を示す図であり、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸は図8に示したE―F間の等価容量CAP(pF)を示す。
【0036】
図9(c)は、容量可変回路12において、コンデンサC2を可変して外部制御電圧を変化させた際の容量可変回路の等価容量の変化を示す図であり、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸は図8に示したE―F間の等価容量CAP(pF)を示し、コンデンサC2は5pFから20pFまで5pFステップで可変した場合を示す。
図9(c)において、等価容量の最小値を大きくするためにコンデンサC2を大きくしたい場合、等価容量特性の変化が緩やかとなっており、従って、外部制御電圧に対する等価容量の変化である容量可変感度が低下するという現象が生ずる。そのため、コンデンサC2を大きくした上で容量可変感度を増加する場合、その対策として等価容量の最大値を増加させるためコンデンサC1を更に大きくする必要があり、従って、容量可変範囲をIC化した際にコンデンサが占める面積が大きくなることから、ICチップのサイズの増大化を招いて得策ではない。
そこで、本第四の実施例においては、外部制御電圧の入力回路にダイオードを用いたクリップ電圧回路を設けた。
【0037】
図10は、本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第四の実施例を示すものであり、図1と異なる容量可変回路13の構成のみを示している。図10に示す如く、トランジスタTR1のゲートに所定の基準電位Vrefを印加したダイオードD1のカソードを接続した。そこで、仮にVref=1.2V、ダイオードD1のVbe=0.7Vとすると、クリップ電圧は0.5V(Vref−Vbe)となり、容量可変回路13に印加する外部制御電圧が0.5V以下になっても、トランジスタTR1のゲート電圧VGは0.5V以下とならない。
【0038】
図11は、図10に示す実施例において、容量可変回路13の等価容量特性例を示す図である。図11(a)は、容量可変回路13のゲート電圧VGの変化を示し、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸はトランジスタTR1のゲートへの印加電圧VGを示し、点線はクリップ電圧回路を付加しない場合を示し、実線はクリップ電圧回路を付加した場合を示す。図11(a)に示す如く、クリップ電圧回路を付加した事によりトランジスタTR1のゲートへの印加電圧は0.5Vを下回ることは無い。
そこで、クリップ電圧を付加した場合と付加しない場合とで、等価容量特性の相違について図11(b)に示す。
【0039】
図11(b)は、容量可変回路13において、外部制御電圧を変化させた際の容量可変回路の等価容量の変化を示す図であり、横軸は外部より印加する外部制御電圧VCONT(V)を示し、縦軸は図10に示したE―F間の等価容量CAP(pF)を示す。本グラフは、最小等価容量を20pFに設定したもので、点線はクリップ電圧回路を付加しない場合であり、実線はクリップ電圧回路を付加した場合を示す。
クリップ電圧回路を付加しない場合は、最小等価容量を20pFにするため、コンデンサC2=20pFとする必要があり、最大等価容量が低下している。一方、クリップ電圧回路を付加した場合は、コンデンサC2=5pFとしても最小等価容量は20pFが確保でき、最大等価容量はコンデンサC2=5pFにおける特性となるので十分大きな値を得ることが出来る。
【0040】
従って、第四の実施例によれば、クリップ電圧回路を付加しない場合に生ずる最小等価容量を増加させた時に最大等価容量が減少するという現象を防止し、最大等価容量を十分確保しながら最小等価容量を任意の値に調整することが可能となった。又、本実施例においては、説明を容易にするため容量可変回路に使用しているトランジスタを1個の場合について説明したが、第一の実施例の如くトランジスタを複数使用した場合においても適応可能である。
以上本発明に係わる実施例においては、水晶発振器を例として説明したが、他の圧電発振器一般に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る電圧制御型水晶発振器の第一の実施例を示す回路構成である。
【図2】図1に示す実施例において、周波数可変特性に関するグラフである。
【図3】第一の実施例の変形例である。
【図4】本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第二の実施例を示すものである。
【図5】図4(b)に示す容量可変回路10の等価容量特性例を示す図である。
【図6】本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第三の実施例を示すものである。
【図7】外部制御電圧を可変した際の容量可変回路6の等価容量の変化を示すものである。
【図8】容量可変回路12の構成を示すものである。
【図9】容量可変回路12の等価容量特性例を示すものである。
【図10】本発明に係わる電圧制御型水晶発振器の第四の実施例を示すものである。
【図11】図10に示す実施例において、容量可変回路13の等価容量特性例を示す図である。
【図12】従来の電圧制御型水晶発振器の回路構成例である。
【図13】従来の電圧制御水晶発振器において、周波数可変特性に関するグラフを示すものである。
【符号の説明】
【0042】
1・・電圧制御型水晶発振器、 2・・発振回路、
3・・水晶振動子、 4・・容量可変回路、
5・・電圧制御型水晶発振器、 6・・容量可変回路、
7・・電圧制御型水晶発振器、 8・・容量可変回路、
9・・容量可変回路、 10・・容量可変回路、
11・・容量可変回路、 12・・容量可変回路、
13・・容量可変回路、
C1、C2・・コンデンサ、 D1・・ダイオード、
R1、R2、R3、R4、R5・・抵抗、
TR1、TR2、TR3・・トランジスタ
【出願人】 【識別番号】000003104
【氏名又は名称】エプソントヨコム株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区塚越三丁目484番地
【出願日】 平成16年6月30日(2004.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−19877(P2006−19877A)
【公開日】 平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願番号】 特願2004−193630(P2004−193630)