トップ :: H 電気 :: H02 電力の発電,変換,配電




【発明の名称】 瞬低補償装置、および電気二重層キャパシタの充電方法
【発明者】 【氏名】杉本 重幸
【住所又は居所】愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式会社内

【氏名】波多野 亮介
【住所又は居所】愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式会社内

【氏名】伊藤 裕通
【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式会社明電舎内

【要約】 【課題】瞬低補償装置の電気二重層キャパシタの充電時間を短縮する。

【解決手段】昇圧チョッパ7の制御装置8は、電気二重層キャパシタ5の充電開始時には定電力または定電流で定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後は定格電圧による一定電圧制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気二重層キャパシタを電源とする瞬低補償装置において、
前記電気二重層キャパシタから負荷に補償電力を供給した後、該電気二重層キャパシタの充電開始時には定電力または定電流でキャパシタ定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後定格電圧による一定電圧制御を行う充電手段を備えたことを特徴とする瞬低補償装置。
【請求項2】
前記充電手段は、電気二重層キャパシタの使用に伴う特性変化に合わせて前記最終充電電圧値を変更する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の瞬低補償装置。
【請求項3】
瞬低補償装置の電源とする電気二重層キャパシタの充電方法であって、
前記電気二重層キャパシタから負荷に補償電力を供給した後、該電気二重層キャパシタの充電開始時には定電力または定電流でキャパシタ定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後定格電圧による一定電圧制御を行う充電過程を有することを特徴とする電気二重層キャパシタの充電方法。
【請求項4】
前記充電過程は、電気二重層キャパシタの使用に伴う特性変化に合わせて前記最終充電電圧値を変更する過程を備えたことを特徴とする請求項3に記載の電気二重層キャパシタの充電方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタを電源とする瞬低補償装置に係り、特に電気二重層キャパシタの充電装置および充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ(以下EDLC)は、活性炭と電解液との界面に形成される電気二重層に蓄積される電気エネルギーを利用するもので、ファラッドオーダの電気容量を瞬時に充放電できる大容量コンデンサである。用途としてはメモリバックアップ用の小容量品から、電気自動車のパワーアシスト用としての中容量品、そして電力貯蔵用蓄電池の代替としての大容量無停電電源装置まで幅広く検討されている。例えば、EDLCは携帯型情報機器の無停電電源装置に適用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、EDLCは、その単位キャパシタの耐電圧が、その構成要素である電解液(電解質、溶媒)の電気分解電圧で決まり、水溶液系電解液の場合約1.2V、有機系電解液の場合2〜3Vである。溶媒分解電圧以上の電圧を印加するとキャパシタは破壊されるため、高電圧を要求される用途には、多数の単位キャパシタの直列接続で構成する。
【0004】
また、EDLCは、構造的には、電極とセパレータを渦巻き状に巻き、円筒形ケースに収納する捲回型と、電極セパレータが平板状の平板型があり、平板型は電極、セパレータ、電極、セパレータ、…と交互に積層するバイポーラ構造をとることができ、高電圧用途に適する。例えば、有機系電解液を使用した平板型構造で、40〜50セル積層した定格電圧100Vクラスのユニットが開発されている。中容量、大容量の電力貯蔵用途では、ユニットを並列、直列に組み合わせたモジュールを適用させる。
【特許文献1】特開2003−111305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力自由化や規制緩和の進展により、電力系統をめぐる環境は変化しつつあり、瞬時電圧低下や短時間停電への対応など電力品質を維持するための方策が望まれている。EDLCは鉛蓄電池と比較すると、長寿命、無保守、高入出力特性を有しており、電解コンデンサと比較すると、大容量の蓄電が可能であるため、瞬時電圧低下だけでなく、短時間停電の対応が可能なデバイスとなる。このため、EDLCの適用製品の一つとして、キャパシタ式瞬低対策装置が検討されている。
【0006】
図4にキャパシタ式瞬低対策装置の概略構成を示す。この装置では、常時は系統(商用電源)1からモータやエキシマレーザ励起電源等の負荷2に高速遮断スイッチ3を通して電力供給(常時商用給電方式)が行われており、系統電圧の瞬低(瞬時低下、または瞬時停電)検知を行うことにより、瞬時に高速遮断スイッチ3を解放し、インバータ4を通してEDLC5に蓄電された電気エネルギーを供給することで瞬低補償を行っている。
【0007】
補償時間はEDLCの容量により、通常は1秒〜60秒までが考えられるが、殆どの瞬低は2秒補償でまかなうことができる。短時間で大電流放電を行うため、内部抵抗Rで発生するIRドロップによる電圧低下を極力抑えるため、EDLCとしては内部抵抗Rの低いものが望まれる。瞬低補償時は、インバータ等変換装置の使用電圧範囲内で復電後の同期引き入れ時間を含めた2〜3秒の放電を行う。その後、次の瞬低に備えるため、短時間に充電を行う必要がある。
【0008】
EDLCの充電制御方式は、従来は定電流、または定電力で定格電圧まで行い、その後一定電圧で充電を行っていた。ところが放電時の約半分の電力、あるいは電流で充電を行う場合、EDLCの内部抵抗によるIRドロップ分の電圧上昇を伴うことで、3〜4秒で定格電圧まで到達し、その後の定電圧充電では電流が絞られ、充電電流が充分に小さくなるまで約数秒を要していた。
【0009】
図5に200kVA級キャパシタ式瞬低補償装置の、定格電力(170kW)3秒放電後、定電力100kWで充電を行ったときの電圧・電流特性を示す。ここでは定電力で4秒、定電圧で6秒、瞬低補償後充電が完了するまで約10秒間要していた。
【0010】
多重雷等による瞬低の場合、短時間の間に複数回の瞬低補償が行われる可能性があり、その場合上記の充電時間では瞬低補償ができなくなることがあった。
【0011】
また、EDLCは、長期にわたって使用すると、その特性変化に伴い上記の充電時間がさらに延びることになり、瞬低補償がますます難しくなる。
【0012】
本発明の目的は、充電時間を短縮することができる瞬低補償装置および電気二重層キャパシタの充電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記の課題を解決するため、電気二重層キャパシタの充電開始時には定電力または定電流で定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後定格電圧による一定電圧制御を行うようにしたもので、以下の装置、方法を特徴とする。
【0014】
(1)電気二重層キャパシタを電源とする瞬低補償装置において、
前記電気二重層キャパシタから負荷に補償電力を供給した後、該電気二重層キャパシタの充電開始時には定電力または定電流でキャパシタ定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後定格電圧による一定電圧制御を行う充電手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
(2)前記充電手段は、電気二重層キャパシタの使用に伴う特性変化に合わせて前記最終充電電圧値を変更する手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
(3)瞬低補償装置の電源とする電気二重層キャパシタの充電方法であって、
前記電気二重層キャパシタから負荷に補償電力を供給した後、該電気二重層キャパシタの充電開始時には定電力または定電流でキャパシタ定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後定格電圧による一定電圧制御を行う充電過程を有することを特徴とする。
【0017】
(4)前記充電過程は、電気二重層キャパシタの使用に伴う特性変化に合わせて前記最終充電電圧値を変更する過程を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によれば、電気二重層キャパシタの充電開始時には定電力または定電流で定格電圧よりも高く、定格電圧+IRドロップ電圧よりも低い最終充電電圧値まで充電し、その後定格電圧による一定電圧制御を行うようにしたため、充電時間を短縮することができる。
【0019】
また、使用に伴う電気二重層キャパシタの特性変化に合わせて、定電力または定電流で行う最終充電電圧値を変えることにより、長期的にも充電時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施形態1)
図1は、瞬低補償装置の構成を示す。同図は、図4と同様に、常時は系統(商用電源)1から負荷2に高速遮断スイッチ3Aを通して電力供給しており、系統電圧の瞬低検知を行うことにより、瞬時に高速遮断スイッチ3Aを解放し、EDLC5からインバータ4および高速遮断スイッチ3Bを通して負荷2に補償電力を供給する。この装置において、EDLC5の充電装置は、商用電源1から直流電力を得る整流器6と、この直流出力を昇圧してEDLC5を充電する昇圧チョッパ7と、昇圧チョッパ7の制御装置8で構成する。
【0021】
制御装置8は、EDLC5から負荷2への補償電力供給を終えた後、インバータ4を運転停止して商用電源1から負荷2への電力供給を開始したときに発生する充電指令で昇圧チョッパ7の制御を開始する。この制御はEDLC5の電圧Vおよび充電電流Iの検出信号を基にした定電力充電により最終充電電圧値まで充電し、その後に定格電圧による定電圧充電を行う。
【0022】
例えば、200kVA級キャパシタ式瞬低対策装置の場合、定電力(100kW)で定格電圧(625V)よりも4%高い値(650V)まで充電を行い、その後に定格電圧による一定電圧制御を行う。
【0023】
図2にそのときの電圧・電流特性を示す。この結果、650Vまでの充電が約6秒で終了し、それ以降は定格電圧625Vに下げ、充電電流は殆ど流れないで約7秒で充電が完了した。この特性からも明らかなように、従来の図5の特性と比べて、約3割の充電時間短縮を図ることができた。
【0024】
ここで、定電力充電または定電圧充電時の最終充電電圧が定格電圧(625V)よりもあまり高くならないように、設定電圧は定格電圧(625V)+IRドロップ(図1の装置では約30V)よりも小さい値に設定することが好ましい。
【0025】
(実施形態2)
EDLCは使用に伴い少しずつ特性変化を起こす。200kVA級瞬低補償装置に適用したEDLCは10年使用後に静電容量が13%低下し、内部抵抗が50%増加することが見込まれている。10年後の定格出力後の充電時間は、内部抵抗が増加することにより、長くなることが予想される。特性変化を見込んでキャパシタ数を削減して、200kVA級瞬低補償装置に組み込み、図3にそのときの電圧(V1)・電流(I1)特性を示し、満充電状態になるまでに約11秒要した。
【0026】
そこで、本実施形態では、10年使用後においても充電時間を短くするため、定電力(100kW)で定格電圧(625V)よりも約6%高い値(660V)迄充電を行い、その後に定格電圧(625V)による定電圧充電を行う方式を採った。図3のV2,I2にそのときの電圧・電流特性を示す。これより約8秒で充電を完了することができる。
【0027】
なお、実施形態では、充電開始時にはEDLCを定電力充電する場合を示すが、これは定電流充電とすることでもよい。
【0028】
また、実施形態では、200kVA級キャパシタ式瞬低対策装置に本発明を適用した場合で示すが、100kVA級の瞬低補償装置など、瞬低補償される装置の定格電圧の違いによって最終充電電圧値までの充電と、定電圧充電での電圧および電流が適宜変更される。
【0029】
また、実施形態では、EDLCの充電回路を昇圧チョッパ方式とする場合を示すが、チョッパに代えてインバータと整流回路で構成する方式、さらにインバータ4を双方向性電力変換器に構成してEDLCの充電装置として利用する方式など適宜設計変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を示す瞬低補償装置の構成図。
【図2】実施形態1における充電時の電圧・電流特性。
【図3】実施形態2における充電時の電圧・電流特性。
【図4】瞬低補償装置の概略構成図。
【図5】従来の充電時の電圧・電流特性。
【符号の説明】
【0031】
1 商用電源
2 負荷
3、3A、3B 高速遮断スイッチ
4 インバータ
5 電気二重層キャパシタ(EDLC)
6 整流器
7 昇圧チョッパ
8 制御装置
【出願人】 【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番17号
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市東区東新町1番地
【出願日】 平成16年9月2日(2004.9.2)
【代理人】 【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛

【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久

【公開番号】 特開2006−74903(P2006−74903A)
【公開日】 平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願番号】 特願2004−255037(P2004−255037)