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【発明の名称】 燃料電池発電システム及びその運転方法
【発明者】 【氏名】藤川 圭司
【住所又は居所】広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内
【氏名】大本 節男
【住所又は居所】広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内
【氏名】近藤 正實
【住所又は居所】広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内
【氏名】梶谷 寛士
【住所又は居所】広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内
【課題】燃料電池を起動する際のエネルギー損失を少なくして、エネルギー有効利用率の高い燃料電池発電システム及びその運転方法を提供する。

【解決手段】燃料電池11の燃料極11−1に水素を含有する燃料ガス12を供給すると共に、燃料電池11の空気極11−2に空気13を供給して発電する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料ガス12を燃焼する燃焼部21と、前記燃焼部21からの高温排ガス22で加湿用水40を高温蒸気43とする第1熱交換器42と、第1熱交換器42からの高温排ガス22で燃料電池11の冷却部11−3を冷却する冷媒23を熱交換する第2熱交換器44と、燃料電池11の冷却部11−3の入口側冷媒温度T1を計測する入口側温度計測器25とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の燃料極に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に、燃料電池の空気極に空気を供給して発電する燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部からの高温排ガスで加湿用水を高温蒸気とする第1熱交換器と、
第1熱交換器からの高温排ガスで燃料電池の冷却部を冷却する冷媒を熱交換する第2熱交換器と、
燃料電池の冷却部の入口側冷媒温度を計測する入口側温度計測器とを具備することを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記冷媒の冷却ラインに放熱部を有することを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項3】
請求項1において、
冷却部の出口側温度を計測する温度計測器を有することを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記冷却ラインが放熱部の熱交換媒体のラインとは独立していることを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項5】
請求項2において、
前記放熱部の代わりに、熱交換媒体を熱交換する第3熱交換器を有することを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
前記燃焼部出口に温度検知器と、燃焼用空気として供給する空気極からの排出空気量を調整する流量制御手段とを有することを特徴する燃料電池発電システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
前記燃焼部と前記第1熱交換器とを一体化した複合燃焼器又は、前記燃焼部と前記第1熱交換器及び第2熱交換器とを一体化した複合燃焼器を用いることを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項8】
水素を含む燃料ガスを燃料として電気出力を得る固体高分子型燃料電池を備えた燃料電池の運転方法であって、
燃料電池にて電気出力を発生させる前に、常温の可燃ガスを燃焼させることができる燃焼部にて前記水素含有ガスを燃焼させ、前記燃焼部の下流に設けた第1熱交換器にて前記排ガスの熱を利用して前記燃料電池の燃料極の加湿に必要な高温蒸気を生成し、前記蒸気を燃料電池燃料極入口に設けた燃料ガスのガス予熱混合器に供給して燃料ガス中の湿度を調節することを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記燃焼部の下流設けた第1の熱交換器の下流に、前記第1熱交換器を通過した高温排ガスから熱回収するための第2熱交換器を設け、該第2熱交換器へ燃料電池の冷却加熱を行なわせる冷媒を流通させ、前記燃料電池の循環冷媒を速やかに昇温し、燃料電池本体を加熱することを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記第2の熱交換器と燃料電池を連絡する前記冷媒の冷却ラインの途中に、熱交換媒体を流通する第3熱交換器を設け、熱交換媒体の流量を変化させ、燃料電池へ流入する循環冷媒の温度を所定の温度に制御することを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一つにおいて、
前記燃料電池の燃料極へ前記水素を含有する燃料ガスを供給するための管路に、流路を切替える切替え弁を設け、前記燃料電池にて電気出力を発生させる前は、切替弁を前記燃焼部へ供給する管路側に切替え、前記水素を含有する燃料ガスを前記燃焼部で燃焼させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項12】
請求項10において、
前記燃料電池の冷却ラインの燃料電池入口部付近又は出口部付近の少なくとも一方に温度計測器を設け、前記温度計測器の指示値が目標温度となるように、前記第3の熱交換器に流す冷水の流量を変化させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一つにおいて、
前記燃料電池循環水ラインの燃料電池入口部付近又は出口部付近の少なくとも一方に設けた温度計測器の指示値が目標温度に到達した後、前記燃料電池本体の燃料極へ前記水素を含有する燃料ガスを供給するための管路に、前記燃料電池の燃料極側に燃料ガスの流路を切替え、前記燃料ガスを燃料電池に供給した後、燃料極からの排出される燃料ガスを燃焼部にて燃焼させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項14】
請求項13において、
制御装置により燃料電池の健全度を確認した後、電気負荷と接続し、取出し電流値を所定の値まで引き上げ、定常発電状態に到達させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか一つにおいて、
前記燃焼部出口に温度検知器を設けると共に、燃焼用空気として供給する空気極からの排出空気量を調整する流量制御手段とを設け、前期温度検知器の指示値が目標温度となるように前記流量制御手段にて前記燃焼部に供給する空気量を変化させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を起動する際のエネルギー損失を少なくして、エネルギー有効利用率の高い燃料電池発電システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池(以後、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)と呼ぶ。)は、電解質に固体高分子のイオン交換膜を使用するものであり、流体となる燃料ガスである水素(又は水素含有ガス)及び酸化ガスである酸素(又は酸素含有ガス)を、それぞれ燃料極(アノード)、空気極(カソード)に供給して、固体高分子のイオン交換膜中を水素イオンが移動することで、電気化学(電池)反応を起して発電をするものである。通常は、PEFCに水素及び酸素を供給するため、様々な工夫を行っている。
【0003】
このような燃料電池を有する燃料電池発電システムは、家庭等における分散電源などとして注目されている。また、燃料ガスとして水素以外の都市ガスやLPGを用いる場合には、燃料改質器を用いて例えば水蒸気改質方法により水素リッチな改質された燃料ガスに変えて、燃料電池に供給するようにしている。そして、燃料電池では、前記改質された燃料ガスと酸化ガスである空気とを電気化学的に反応させて発電するようにしている。
【0004】
このような燃料電池においては、その発電初期の起動方法として以下のような提案がある。
例えば熱輸送媒体循環回路を有する燃料電池において、循環回路内に循環水を加熱する手段と冷却する手段と循環する手段とを有する燃料電池発電システムの提案がある。さらに、循環回路中に冷却手段の短絡(バイパス)回路とバイパス流量調整手段を有する提案がある。さらに熱交換した熱交換媒体の熱を蓄熱するための手段を有する提案がある(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2000―113900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の提案では、循環水回路上に電気ヒータやラジエータといった外部電力をエネルギー源とすることを想定したものであり、現状の運転操作の課題であるエネルギー損失の低減を達成できるものではなく、逆にエネルギー消費量が増大する、という課題がある。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑み、燃料電池を起動する際のエネルギー損失を少なくして、エネルギー有効利用率の高い燃料電池発電システム及びその運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、燃料電池の燃料極に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に、燃料電池の空気極に空気を供給して発電する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料ガスを燃焼する燃焼部と、前記燃焼部からの高温排ガスで加湿用水を高温蒸気とする第1熱交換器と、第1熱交換器からの高温排ガスで燃料電池の冷却部を冷却する冷媒を熱交換する第2熱交換器と、燃料電池の冷却部の入口側冷媒温度を計測する入口側温度計測器とを具備することを特徴とする燃料電池発電システムにある。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記冷媒の冷却ラインに放熱部を有することを特徴とする燃料電池発電システムにある。
【0010】
第3の発明は、第1又は2の発明において、冷却部の出口側温度を計測する温度計測器を有することを特徴とする燃料電池発電システムにある。
【0011】
第4の発明は、第2の発明において、前記冷却ラインが放熱部の熱交換媒体のラインとは独立していることを特徴とする燃料電池発電システムにある。
【0012】
第5の発明は、第2の発明において、前記放熱部の代わりに、熱交換媒体を熱交換する第3熱交換器を有することを特徴とする燃料電池発電システムにある。
【0013】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一つの発明において、前記燃焼部出口に温度検知器と、燃焼用空気として供給する空気極からの排出空気量を調整する流量制御手段とを有することを特徴する燃料電池発電システムにある。
【0014】
第7の発明は、第1乃至6のいずれか一つの発明において、前記燃焼部と前記第1熱交換器とを一体化した複合燃焼器又は、前記燃焼部と前記第1熱交換器及び第2熱交換器とを一体化した複合燃焼器を用いることを特徴とする燃料電池発電システムにある。
【0015】
第8の発明は、水素を含む燃料ガスを燃料として電気出力を得る固体高分子型燃料電池を備えた燃料電池の運転方法であって、燃料電池にて電気出力を発生させる前に、常温の可燃ガスを燃焼させることができる燃焼部にて前記水素含有ガスを燃焼させ、前記燃焼部の下流に設けた第1熱交換器にて前記排ガスの熱を利用して前記燃料電池の燃料極の加湿に必要な高温蒸気を生成し、前記蒸気を燃料電池燃料極入口に設けた燃料ガスのガス予熱混合器に供給して燃料ガス中の湿度を調節することを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0016】
第9の発明は、第8の発明において、前記燃焼部の下流設けた第1の熱交換器の下流に、前記第1熱交換器を通過した高温排ガスから熱回収するための第2熱交換器を設け、該第2熱交換器へ燃料電池の冷却加熱を行なわせる冷媒を流通させ、前記燃料電池の循環冷媒を速やかに昇温し、燃料電池本体を加熱することを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0017】
第10の発明は、第8又は9の発明において、前記第2の熱交換器と燃料電池を連絡する前記冷媒の冷却ラインの途中に、熱交換媒体を流通する第3熱交換器を設け、熱交換媒体の流量を変化させ、燃料電池へ流入する循環冷媒の温度を所定の温度に制御することを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0018】
第11の発明は、第8乃至10のいずれか一つの発明において、前記燃料電池の燃料極へ前記水素を含有する燃料ガスを供給するための管路に、流路を切替える切替え弁を設け、前記燃料電池にて電気出力を発生させる前は、切替弁を前記燃焼部へ供給する管路側に切替え、前記水素を含有する燃料ガスを前記燃焼部で燃焼させることを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0019】
第12の発明は、第10の発明において、前記燃料電池の冷却ラインの燃料電池入口部付近又は出口部付近の少なくとも一方に温度計測器を設け、前記温度計測器の指示値が目標温度となるように、前記第3の熱交換器に流す冷水の流量を変化させることを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0020】
第13の発明は、第8乃至12のいずれか一つの発明において、前記燃料電池循環水ラインの燃料電池入口部付近又は出口部付近の少なくとも一方に設けた温度計測器の指示値が目標温度に到達した後、前記燃料電池本体の燃料極へ前記水素を含有する燃料ガスを供給するための管路に、前記燃料電池の燃料極側に燃料ガスの流路を切替え、前記燃料ガスを燃料電池に供給した後、燃料極からの排出される燃料ガスを燃焼部にて燃焼させることを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0021】
第14の発明は、第13の発明において、制御装置により燃料電池の健全度を確認した後、電気負荷と接続し、取出し電流値を所定の値まで引き上げ、定常発電状態に到達させることを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【0022】
第15の発明は、第8乃至14のいずれか一つの発明において、前記燃焼部出口に温度検知器を設けると共に、燃焼用空気として供給する空気極からの排出空気量を調整する流量制御手段とを設け、前期温度検知器の指示値が目標温度となるように前記流量制御手段にて前記燃焼部に供給する空気量を変化させることを特徴とする燃料電池の運転方法にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、起動時の燃料電池の昇温および燃料極加湿用蒸発の生成を行なえるため、起動エネルギーの低減による高効率システムの実現とシステムのコンパクト化が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
[実施形態]
本発明による実施形態に係る燃料電池の発電システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る燃料電池の発電システムを示す概念図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池の発電システムは、燃料電池11の燃料極11−1に水素を含有する燃料ガス12を供給すると共に、燃料電池11の空気極11−2に空気13を供給して発電する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料ガス12を燃焼する燃焼部21と、前記燃焼部21からの高温排ガス22で加湿用水40を高温蒸気43とする第1熱交換器42と、第1熱交換器42からの高温排ガス22で燃料電池11の冷却部11−3を冷却する冷媒23を熱交換する第2熱交換器44と、燃料電池11の冷却部11−3の入口側冷媒温度T1を計測する入口側の度計測器25−1とを具備するものである。
【0026】
上記構成のシステムにおいて、燃料電池にて電気出力を発生させる際に、常温の燃料ガス12を燃焼させる燃焼部21にて前記燃料ガス12を燃焼させ、前記燃焼部21の下流に設けた第1熱交換器42にて前記高温排ガス22の熱を利用して前記燃料電池の燃料極11−1の加湿に必要な高温蒸気43を生成し、前記高温蒸気43を燃料電池燃料極入口側に設けた燃料ガス12のガス予熱混合器であるドレイン分離機能付熱交換器51に供給して燃料ガス12中の湿度を調節するようにしている。
【0027】
また、第1熱交換器42で熱交換した高温排ガス22を第1熱交換器42の下流に設けた第2熱交換器44に流通させ、該第2熱交換器44に燃料電池の冷却加熱を行なわせる燃料電池の循環冷媒23を流通させ、前記高温排ガス22から熱回収することで、前記燃料電池11の冷媒23を速やかに昇温させることができ、燃料電池11の加熱に寄与することとなる。
【0028】
これにより、発電初期におけるエネルギーを有効活用することができる。
前記入口側冷媒温度T1を計測するのは、燃料電池の健全性を維持するためであり、所定の設定温度に達した場合には、制御装置(CPU)にて制御し、熱交換媒体(例えば水又は空気)27の供給量を増大させて、所定温度に維持するようにしている。
【0029】
ここで、発電初期においては、燃料ガス12は管路L3と管路L4とを切替える切替弁V1により、管路L4側に切替え、燃焼部21で全て燃焼するようにしている。そして、冷媒23を高温排ガス22で加熱し、燃料電池11の温度が所定の作動となった際に、切替弁V1を切替え、管路L3側に燃料ガス12を供給することで、燃料極11−1に燃料を供給して発電に供するようにしている。この際、ドレイン分離機能付熱交換器51にて高温蒸気43により燃料ガス12が調湿される。
【0030】
更に、前記燃焼部の下流に配した第2熱交換器44と燃料電池本体をつなぐ冷媒23の冷却ラインL1の途中に、冷媒23を通水する第3熱交換器45を配し、熱交換媒体27の流量を変化させることにより、燃料電池へ流入する冷媒23の温度を所定の温度に制御することができる。なお、単なる空気等による放熱部とするようにしてもよい。
【0031】
また、前記冷却ラインL1は閉鎖ラインとすることが好ましい。これは、燃料電池で用いる冷媒である水はイオン濃度が低いものを用いており、閉鎖ラインとしない場合には、外部から供給する水のイオンを除去するために膨大な設備を必要として発電コストが割高となるのを防止している。なお、前記冷却ラインL1は必要に応じて、運転中あるいは停止中に、図示しない水処理装置を介して外部から水道水を補給する操作を行なうようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、第3熱交換器45は、熱交換媒体27を積極的に熱交換するため第3熱交換器45で熱交換された熱交換媒体27はポンプ33−2を介して循環され、貯湯槽32において蓄熱するようにしている。なお、この循環ラインL12は燃料電池11の冷却部11−3の冷却ラインL1とは独立な循環ラインとしている。これは、前記貯湯槽32は、常温の水道水を供給しており、燃料電池で生成したお湯を出湯する目的で使用するためであり、通常、図示しない給水ラインと排水ラインとを更に、具備しており、それらにより外部とのやり取りを行うようにしている。
【実施例1】
【0033】
以下、本発明の発電方法にかかる好適な実施例について図2乃至3を参照しつつ説明する。
図2は常温で起動させる場合であり、図3は発電に際して燃料ガスを加湿する概略図である。本実施例かかる燃料電池発電システムは、図1に示す実施形態のシステムを基本構造とする燃料電池の発電システムであり、同一構成部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
【0034】
ここで、図2に示すように、燃料ガス12を供給する燃料供給ラインL10の切替弁V1の上流側にはガス予熱混合器であるドレイン分離機能付熱交換器51を設けており、冷却ラインL1に介装した切替弁V3を管路L5切替えることでドレイン分離機能付熱交換器51を経由して冷却部11−3に冷媒23を供給するようにしている。また、切替弁V3の切替えで管路L6に流路を切替えるバイパスラインも有している。なお、本実施例では冷媒23として冷却水を用いている。
【0035】
先ず、燃料電池を常温で起動させる工程(工程A)について、図2を参照しつつ工程A―1)〜工程A―6)の説明を行う。
A―1)燃料供給ラインL10から供給された燃料ガス12は、ドレイン分離機能付熱交換器51を通過した後、切替弁V1の切替により、管路L3に流通し、燃料電池11の燃料極11−1に送られる。また、図示しない空気ブロアから加湿装置41を経由で燃料電池の空気極11−2に空気13が供給される。
A―2)これにより、燃料ガス12の供給量に応じて取得可能な負荷の範囲内で、任意の電気負荷を瞬時に接続し、発電を開始する。
A―3)発電状態では燃料電池11の燃料極11−1に供給された燃料ガス12中の水素のうち70%〜99%を消費し、残りは未反応のまま管路L7から排出される。この未反応水素を含む燃料ガス12aは図示しないドレイン分離器にて凝縮水を除去後に、燃焼部21にて燃焼処理される。ここで燃焼用の空気13は、空気極11−2にて酸素を消費された空気に含まれる凝縮水を、図示しないドレイン分離器にて除去後に切替弁V5経由で燃焼部21に供給される。
A―4)燃焼部21を出た高温排ガス22は、加湿用水40を蒸発する第1熱交換器42及び第2熱交換器44にて抜熱され、排出ラインL2より系外に排気される。
A―5)前記工程A−1)と同時に、ポンプ33−1を作動させ、燃料電池11の冷媒23を冷却ラインL1にて循環させる。ポンプ33−1を出た冷媒23は、切替弁V3の切替えにより、管路L5に流通し、ドレイン分離機能付熱交換器51を経由で燃料電池11の冷却部11−3を通過する際に発電時に発生する熱を回収する。その後、冷媒23は切替弁V2にて第2熱交換器44に送られ、高温排ガス22により加熱される。この循環により、燃料電池11は徐々に昇温される。
A―6)燃料電池11は、高分子膜の劣化を防止するために90℃以下(好ましくは80℃以下)で使用する必要がある。そのため、工程A−5)の昇温工程にて燃料電池11の温度が90℃以上に上昇するのを防止するため、冷却ラインL1の燃料電池冷却部11−1の入口部に設置した温度計測器25−1が90℃以下の所定の温度となるように、冷却ラインL1中に設置した第3交換器45の流量を制御するようにしている。
【0036】
次に、燃料電池を発電工程(工程B)について、図3を参照しつつ工程B―1)〜工程B―2)の説明を行う。
B―1)燃料供給ラインL10から供給される燃料ガス12は低加湿状態のため、燃料電池セルの乾燥による劣化を防止するためには充分に加湿されたガスを供給する必要がある。よって、燃焼部21で燃焼開始する際に、第1熱交換器42に加湿用水40を供給し、高温蒸気43を生成させ、ドレイン分離機能付熱交換器51にて燃料ガス12と高温蒸気43とを混合させ、燃料ガス12を積極的に加湿する。
B―2)このとき、加湿用の高温蒸気43を安定して生成するために、燃焼部21に供給される空気極11−2からの排出空気量を切替制御弁V5にて制御して、燃焼部21の出口の排ガス22の温度を温度計測器25−3で計測し、200℃以上(好ましくは300〜600℃)の高温に維持するようにしている。
【0037】
この結果、常温で燃料電池発電が瞬時に可能となると共に、燃料極に供給する燃料ガス12の加湿を施すことができるので、エネルギー効率が良好なものとなる。
【実施例2】
【0038】
次に、他の実施例として、昇温起動とする場合について説明する。
図4乃至図6にかかる燃料電池発電システムは、図1に示す実施形態のシステムを基本構造とする燃料電池の発電システムであり、同一構成部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
ここで、図4は、起動して燃料電池の昇温が完了するまでの概略図である。図5は昇温起動によるアノードの加湿用蒸気生成の概略図である。図6は昇温起動による発電開始から定常発電までの概略図である。
【0039】
先ず、燃料電池の昇温起動の燃料電池の昇温までの工程(工程C)について、図4を参照しつつ工程C―1)〜工程C―4の説明を行う。
C―1)燃料供給ラインL10から供給された燃料ガス12は、ドレイン分離機能付熱交換器51を通過し、切替弁V1にて燃料電池の燃料極11−1をバイパスする管路L4側に送られ、燃焼部21に供給される。また、空気13は、加湿器41を経由して燃料電池空気極11−2に送られ、排出空気は切替弁V5により燃焼部21に供給される。
なお、起動初期において、図示しない空気ブロアからの空気を燃料電池をバイパスさせて直接燃焼部21に供給することにより、加湿器41が十分機能するまでの燃料電池の高分子膜の乾燥による劣化を抑制することも出来る。
C―2)燃焼部21は常温にて燃焼開始可能な燃焼器(例えば、例えば白金系モノリス触媒等の常温燃焼触媒反応器など)であり、高温となった高温排ガス22は第1熱交換器42及び第2熱交換器44に通過させた後、外に排出する。
C―3)工程C−1)と同時に、ポンプ33−1を作動させ、燃料電池11の冷却ラインL1に冷媒23を循環させる。ポンプ33−1を出た冷媒23は、V3にてドレイン分離機能付熱交換器51をバイパスする管路L6側を通り、燃料電池11の冷却部11−3を経由後、切替弁V2にて第2熱交換器44に送られ、第2熱交換器44にて燃焼部21の高温排ガス22により加熱される。この循環により、燃料電池11は徐々に昇温される。
C―4)燃料電池11は、高分子膜の劣化を防止するために90℃以下(好ましくは80℃以下)で使用する必要がある。そのため、工程C−3)の昇温工程にて燃料電池11の温度が90℃以上に上昇するのを防止するため、冷却ラインL1の冷却部11−3の入口部に設置した温度計測器25−1が90℃以下の所定の温度となるように、冷却ラインL1中に設置した第3熱交換器45に流す熱交換媒体27の流量を制御するようにしている。
【0040】
次に、燃料電池の昇温起動においてアノードの加湿用蒸気の生成工程(工程D)について、図5を参照しつつ工程D−1)の説明を行う。
D―1)燃料電池11の燃料ガス12を加湿するための蒸気は、第1熱交換器42に加湿用水40を供給して高温蒸気43を発生させている。得られた蒸気は、ドレイン分離機能付熱交換器51にて燃料ガス12と混合させ、燃料ガス12を加湿加温する。
このとき、燃料電池11の循環冷却ラインL1の切替弁V3をドレイン分離機能付熱交換器51を経由する管路L5に切り替えておくことで、常時、ドレイン分離機能付熱交換器51から排出される燃料ガス12の露点温度を燃料電池の温度とほぼ同じ状態に保持することができる。
【0041】
次に、燃料電池の昇温起動の燃料電池の発電開始から定常発電までの工程(工程E)について、図6を参照しつつ工程E―1)〜工程E―6)の説明を行う。
E―1)冷却ラインL1の燃料電池11の冷却部11−3の出口部に設置した温度計測器25−2の指示値が目標温度に到達したら昇温完了と判断する。
E―2)燃料ガス12の切替弁V1を燃料電池側(管路L3)に切替え、燃料ガス12を燃料電池11の燃料極11−1に供給する。
E―3)また、燃焼部21に供給する空気13を、燃料電池11の空気極11−2をバイパスする経路で供給している場合には、燃料電池11に供給するラインに切り替え、燃料電池11の空気極11−2及び切替弁V5経由で燃焼部21に送るようにする。
E―4)ここで、燃料電池11の電圧値により燃料電池の健全度を確認し、発電準備状態とする。電池の健全度は、燃料電池の電圧値が所定の電圧に達していることで確認することができる。
E―5)燃料電池11が発電準備状態となったことを確認後、原料供給量に応じて取得可能な負荷の範囲内で、任意の電気負荷を瞬時に接続し、発電を開始する。
E―6)発電状態では燃料電池11の燃料極11−1に供給された燃料ガス12中の水素のうち70%〜99%を消費し、残りは未反応ガスのまま管路L7から排出され、図示しないドレイン分離器にて凝縮水を除去後に、燃焼部21に送られ、ここで燃焼処理される。このとき燃焼部21への供給するガスの可燃性ガス濃度は発電開始とともに一気に低下し、燃焼部出口の排ガス温度(T3)が低下するため、加湿水蒸気を安定して生成するために燃焼部21に供給される空気極11−3からの排出空気の量を切替制御弁V5にて制御して、燃焼部21出口の高温排ガス22の温度を200℃以上(好ましくは300〜600℃)の高温に維持するようにしている。
【0042】
このように、本実施例によれば、簡略かつコンパクトな装置構成にて、固体高分子型燃料電池本体及び燃料となる水素を含有する燃料ガス12を、燃料電池が速やかに安定出力が得られる湿潤状態へと移行させ、燃料電池を起動する際のエネルギー損失を少なくして、エネルギー有効利用率の高いものを提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかる燃料電池発電システムは、水素含有ガスを燃料として発電する固体高分子型燃料電池を備えた発電システムに適用することで、固体高分子型燃料電池を速やかに安定出力状態が得られる温度へ移行させることができ、燃料電池を起動する際のエネルギー損失を少なくすることができると共に良好な湿潤状態を保持することができ、エネルギー有効利用率の高い発電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る燃料電池の発電システムを示す概念図である。
【図2】実施例1の常温で起動させる場合の概略図である。
【図3】実施例1の発電に際して燃料ガスを加湿する概略図である。
【図4】実施例2の起動から燃料電池の昇温が完了するまでの概略図である。
【図5】昇温起動によるアノードの加湿用蒸気生成の概略図である。
【図6】昇温起動による発電開始から定常発電までの概略図である。
【符号の説明】
【0045】
11 燃料電池
11−1 燃料極
11−2 空気極
11−3 冷却部
12 燃料ガス
13 空気
21 燃焼部
22 高温排ガス
42 第1熱交換器
44 第2熱交換器
45 第3熱交換器
25−1、25−2、25−3 温度計測器
L1 冷却ライン
L2 排出ライン
L12 循環ライン
L3〜L11 管路
33−1、33−2 ポンプ
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成16年12月22日(2004.12.22)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明

【公開番号】 特開2006−179345(P2006−179345A)
【公開日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願番号】 特願2004−372157(P2004−372157)