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【発明の名称】 色素増感型太陽電池製作用キットおよび色素増感型太陽電池の製作方法
【発明者】 【氏名】鹿山 進
【住所又は居所】富山県富山市西宮町3−1 昭和タイタニウム株式会社内

【氏名】田中 淳
【住所又は居所】千葉県千葉市緑区大野台1−1−1 昭和電工株式会社研究開発センター内

【要約】 【課題】安全にかつ簡便に色素増感型太陽電池を組み立てることができ、その組立作業の体験を通して、電気化学や物理化学、さらには光合成や生物化学の視点で生物化学や環境・エネルギー問題に関する知識を楽しみながら理解することができたり関心をもつきっかけを与えたりすることができるキットを提供すること。

【解決手段】金属酸化物分散液、透明電極基板、ヨウ素系電解液を基本部材とし、金属酸化物分散液が好ましくは金属酸化物微粒子、結着剤および分散媒からなり、さらに任意に増感色素または増感色素液、対極基板、鉛筆、テープ、スキージ棒、クリップ、スポイト、電気駆動部品からなる群より選ばれる1つ以上の部材を組み合わる、色素増感型太陽電池製作用キット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物分散液、透明電極基板、ヨウ素系電解液を基本部材とすることを特徴とする色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項2】
基本部材に、増感色素または増感色素液、対極基板、鉛筆、テープ、スキージ棒、クリップ、スポイト、電気駆動部品からなる群より選ばれる1つ以上の部材を組み合わせたことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項3】
金属酸化物分散液が、金属酸化物微粒子、結着剤および分散媒を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項4】
金属酸化物微粒子が、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムの単体、あるいはそれらの2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項5】
金属酸化物微粒子が、酸化チタンを60質量%以上含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項6】
金属酸化物微粒子が、BET比表面積が5〜500m2/gであって、透過型電子顕微鏡観察により測定される粒径が5〜500nmの一次粒径を有する粒子であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項7】
金属酸化物微粒子が、四塩化チタンを酸化性ガスで高温酸化することにより酸化チタンを製造する気相法において、四塩化チタンを含有するガス及び酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱し、それぞれ流速10m/秒以上で反応管に供給することにより反応させて得られる酸化チタンを含有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項8】
金属酸化物微粒子が、レーザー回折式粒度分布測定法にて測定された90%累積質量粒度分布径D90が2.2μm以下である酸化チタンを含有することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項9】
金属酸化物微粒子が、ロジン・ラムラー式による分布定数nが1.7以上である酸化チタンを含有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項10】
金属酸化物微粒子が、金属酸化物分散液中5〜60質量%であることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項11】
金属酸化物微粒子が、金属酸化物分散液中10〜40質量%であることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項12】
結着剤が、水酸基またはアミノ基を含有しない高分子化合物である請求項3〜11のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項13】
結着剤が、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体およびポリテトラフルオロエチレンから選ばれる高分子化合物の一つもしくはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3〜12のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項14】
結着剤が、平均分子量が500以上であることを特徴とする請求項3〜13のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項15】
結着剤が、平均分子量が1万以上であることを特徴とする請求項3〜14のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項16】
結着剤が、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.01〜20質量部の添加量であることを特徴とする請求項3〜15のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項17】
分散媒が、その骨格中に水酸基、カルボキシル基、ケトン基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基から成る群より選ばれる1つ以上を有する揮発性液体であることを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項18】
分散媒が、水、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチレングリコール、酢酸、アセチルアセトン、テレピン油、メチルピロリドンの単体あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3〜17のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項19】
透明電極基板が、表面抵抗値が20Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項20】
透明電極基板が、300〜800nmの波長の光に対して平均50%以上の透過性を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項21】
透明電極基板が、導電性酸化物膜にポリ(イソチアナフテンスルホン酸)、ポリ(チオフェンアルカンスルホン酸)、ポリ(チオフェンオキシアルカンスルホン酸)、ポリ(ピロールアルカンスルホン酸)、ポリ(アニリンスルホン酸)等の繰り返し単位を含む共重合体またはこれらの各種塩構造体および置換誘導体を複合化させた導電膜を含むことを特徴とした請求項1〜20のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項22】
ヨウ素系電解液が、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化メチルエチルイミダゾリウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムおよびヨウ素のいずれかあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項23】
ヨウ素系電解液が、水、エタノール、t−ブチルアルコール、アセトニトリル、エチレンカーボネート、メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネートからなる群より選ばれる1種以上を溶媒とすることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項24】
増感色素が、植物・動物の組織、食品、化粧品、医薬品からなる群より選ばれる1種以上から抽出した色素であることを特徴とする請求項2〜23のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項25】
増感色素が、ルテニウムビピリジウム錯体、キサンテン系色素、メタロシアニン色素、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2〜24のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項26】
対極基板が、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイトからなる群より選ばれる1種以上をポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、スチレン−ブタジエンゴムからなる群より選ばれる1種以上の結合剤で練り合わせた後にシート状に成形したもの、あるいは、ルテニウムメッシュ、白金板、白金繊維、白金からなる群より選ばれる1種以上を表面に担持した基板であることを特徴とする請求項2〜25のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項27】
グラファイトを担持した対極基板が、基板に鉛筆を用いて絵を描いたり、塗りつぶす方法で形成されることを特徴とする請求項2〜26のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キットを用いた色素増感型太陽電池の製作方法であって、金属酸化物を透明電極基板上で薄膜化させる方法が、金属酸化物分散液を透明電極基板に塗布する工程と、それに続く乾燥工程に分けられ、そのうちの塗布工程における分散液塗布方法がスキージ法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、噴霧法、スピンコート法から選ばれるいずれかあるいはそれらの方法の組み合わせであることを特徴とする色素増感型太陽電池の製作方法。
【請求項29】
前記分散液の乾燥工程における乾燥を120℃以下で行うことを特徴とする請求項28に記載の色素増感型太陽電池の製作方法。
【請求項30】
前記分散液の乾燥方法が、塗膜に温風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、電極基板を昇温する方法、塗膜に乾燥空気を吹き付ける方法のいずれかあるいはそれらの方法の組み合わせであることを特徴とする請求項28または29に記載の色素増感型太陽電池の製作方法。
【請求項31】
前記乾燥工程を経て得られる金属酸化物の薄膜を1μm以上40μm以下の膜厚とすることを特徴とする請求項28〜30のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の製作方法。
【請求項32】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キットと充電用エネルギーデバイス、冷却デバイス、表示素子、照明器具から成る群より選ばれる1種以上とが組み合わされた製作用キット。
【請求項33】
充電用エネルギーデバイスが、リチウムイオン電池、ケミカルキャパシタ電気二重層コンデンサ、ポリマー電池からなる群より選ばれる1種以上である請求項32に記載の製作用キット。
【請求項34】
冷却デバイスがペルチェ素子である請求項32に記載の製作用キット。
【請求項35】
表示素子が有機EL、液晶、LEDからなる群より選ばれる1種以上である請求項32に記載の製作用キット。
【請求項36】
照明器具が蛍光灯、電球、LEDからなる群より選ばれる1種以上である請求項32に記載の製作用キット。
【請求項37】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キットを使用して製作された色素増感型太陽電池。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、色素増感型太陽電池を製作することができるキット0および色素増感型太陽電池の製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の太陽電池はシリコン型太陽電池が主流となっているが、有害な原料の使用、高コストな製法等の観点から、新たな形式の太陽電池の研究、開発が行われて来た。
色素増感型太陽電池はその一つであり、1991年にローザンヌ工科大学のグレッツエル等によって報告(例えば非特許文献1参照)されて以来、シリコン型に代わる太陽電池として研究開発が進められている。
【0003】
一般的な色素増感型太陽電池は、色素電極、電解層、および対極の3つの部分から構成される。ここで色素電極とは、導電性ガラス等の、電極基板の上に増感色素の結合した、二酸化チタン等の金属酸化物層2が形成されている電極を示し、また対極とは、導電性ガラス等の電極基板の上に白金やグラファイトのような触媒層が形成された電極を指す。電解層は、電解質が溶解した溶液で、色素電極と対極で挟み込まれた部分である。ここでいう電極基板とは、ガラスや有機重合体等の電極基材にFTO,ITO等を塗布、乾燥させたものを示す。
【0004】
光電変換の機構は次のように説明されている。
まず、増感色素が光を吸収し、電子と正孔を発生する。発生した電子は金属酸化物層を通じて電極基板に到達し、外部へと取り出される。一方、発生した正孔は、電解層を通じて対極へと運ばれ、電極基板を通じて供給された電子と結合する。
【0005】
一方、近年の科学技術の発展は正に日進月歩であって、特に情報通信分野を中心とした技術革新は目ざましいものがあり、現代の我々の日常生活の大部分は科学技術の成果によって支えられているといっても過言ではない。このような科学技術の発展の影には、研究開発を行う技術者の地道な努力があることは言うまでもないが、このような技術者の技術的下地は小学校や中学校時代の勉強によって培われたものである。ところが、最近では子供、特に小学生や中学生の理科嫌い・理科離れが問題となっており、その原因は法則や公式の暗記を中心とした授業内容に興味を持てないことにあるのではないかと言われている。このような実情に鑑みて、最近では授業に多くの実験を採り入れようとする試みがなされている。
【0006】
しかし、行われる実験は既に組み立てられた市販の器具や装置を利用して行うものが多いため、生徒の自主性が引き出されにくく実験への興味を充分に引きつけることはできなかった。
【0007】
【非特許文献1】M.Graezel,Nature,353,737,(1991)
【非特許文献2】西野田電工株式会社、“花力発電キット”、[online]、インターネット<URL:http://www.nisinoda-electronics.co.jp/kit.htm>
【非特許文献3】旭産業株式会社、“旭環境学習キット、ナノクリスタル太陽電池学習キット”、[online]、インターネット<URL:http://www.sanmedia.or.jp/asahi/edu-kit/solar_equip.html>
【非特許文献4】Hohsen Corporation、“製品カタログ、色素増感型太陽電池”、[online]、インターネット<URL:http://www.hohsen.co.jp/jp/products/dssc/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
太陽電池に関しては、生徒に自ら組み立てさせる目的の学習用シリコン太陽電池キットが存在しているが、このような市販のキットにはシリコン太陽電池を入れるだけとか配線を繋ぐだけとかといったごく単純なものが多いために生徒の学習意欲をかき立てることができず、逆に構造が精緻で複雑なものは組立が難しいためにやる気を削いだり実験がうまく行えない場合があった。また、組み立てによって得られる装置については、得られる学習効果は高いが面白みがないものや、面白みはあるが充分な学習効果が得られないものが多かった。
【0009】
一方、色素増感型太陽電池は、電気化学や物理化学、さらには光合成や有機色素の視点で生物化学や環境・エネルギー問題などに深く関連するデバイスであり、学習教材キットとしては非常に有用なアイテムであると言える。しかし、既存のキット構成部材をみてみると(例えば非特許文献2、3、4参照)、二酸化チタン電極(光電極)としては、ガラス基板に対してすでに二酸化チタンが焼成された電極が部材となっていたり、もしくは、二酸化チタン膜の製膜に焼付け(500℃近い加熱)を必要とするものであった。前者の場合においては、二酸化チタンが色素増感型太陽電池の重要な構成要素であることや電極の作製過程を十分に理解することができず、後者の場合には、焼付けのためのオブンやアルコールランプなどの熱源が別途必要であったり、高温作業であるが故の危険性がある、なども問題点があった。
【0010】
また、電解質や色素溶液などには有機溶媒を用いるものが多く、その取り扱いについても危険性が内在していた。
また、トータルの電池製作作業には長時間を要するものが多く、短時間で効率的な学習を行うためには不具合であった。
【0011】
このように色素増感型太陽電池製作用キットについては、開示されてはいるが、学習の広がりや作業の効率・安全性の観点でいくつかの課題を有していた。特に、小学生向けの製作作業としては不具合であったと言わざるを得ない。
そこで、本発明の目的は、安全にかつ簡便に色素増感型太陽電池を組み立てることができ、その組立作業の体験を通して、電気化学や物理化学、さらには光合成や生物化学の視点で生物化学や環境・エネルギー問題に関する知識を楽しみながら理解することができたり関心をもつきっかけを与えたりすることができるキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、金属酸化物微粒子、結着剤および溶剤を含有する金属酸化物分散液を提供することにより、上記課題が解決できることを見出した。すなわち、本発明は以下の各発明を含むものである。
【0013】
〔1〕
金属酸化物分散液、透明電極基板、ヨウ素系電解液を基本部材とすることを特徴とする色素増感型太陽電池製作用キット。
〔2〕
基本部材に、増感色素または増感色素液、対極基板、鉛筆、テープ、スキージ棒、クリップ、スポイト、電気駆動部品からなる群より選ばれる1つ以上の部材を組み合わせたことを特徴とする上記〔1〕に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0014】
〔3〕
金属酸化物分散液が、金属酸化物微粒子、結着剤および分散媒を含有していることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔4〕
金属酸化物微粒子が、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムの単体、あるいはそれらの2種類以上の混合物であることを特徴とする上記〔3〕に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0015】
〔5〕
金属酸化物微粒子が、酸化チタンを60質量%以上含むことを特徴とする上記〔3〕または上記〔4〕に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔6〕
金属酸化物微粒子が、BET比表面積が5〜500m2/gであって、透過型電子顕微鏡観察により測定される粒径が5〜500nmの一次粒径を有する粒子であることを特徴とする上記〔3〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0016】
〔7〕
金属酸化物微粒子が、四塩化チタンを酸化性ガスで高温酸化することにより酸化チタンを製造する気相法において、四塩化チタンを含有するガス及び酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱し、それぞれ流速10m/秒以上で反応管に供給することにより反応させて得られる酸化チタンを含有することを特徴とする上記〔3〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔8〕
金属酸化物微粒子が、レーザー回折式粒度分布測定法にて測定された90%累積質量粒度分布径D90が2.2μm以下である酸化チタンを含有することを特徴とする上記〔3〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0017】
〔9〕
金属酸化物微粒子が、ロジン・ラムラー式による分布定数nが1.7以上である酸化チタンを含有することを特徴とする上記〔3〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔10〕
金属酸化物微粒子が、金属酸化物分散液中5〜60質量%であることを特徴とする上記〔3〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0018】
〔11〕
金属酸化物微粒子が、金属酸化物分散液中10〜40質量%であることを特徴とする上記〔3〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔12〕
結着剤が、水酸基またはアミノ基を含有しない高分子化合物である上記〔3〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0019】
〔13〕
結着剤が、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体およびポリテトラフルオロエチレンから選ばれる高分子化合物の一つもしくはそれらの混合物であることを特徴とする上記〔3〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔14〕
結着剤が、平均分子量が500以上であることを特徴とする上記〔3〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0020】
〔15〕
結着剤が、平均分子量が1万以上であることを特徴とする上記〔3〕〜〔14〕のいずれかに記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔16〕
結着剤が、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.01〜20質量部の添加量であることを特徴とする上記〔3〕〜〔15〕のいずれかに記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0021】
〔17〕
分散媒が、その骨格中に水酸基、カルボキシル基、ケトン基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基から成る群より選ばれる1つ以上を有する揮発性液体であることを特徴とする上記〔3〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔18〕
分散媒が、水、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチレングリコール、酢酸、アセチルアセトン、テレピン油、メチルピロリドンの単体あるいはそれらの混合物であることを特徴とする上記〔3〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0022】
〔19〕
透明電極基板が、表面抵抗値が20Ω/□以下であることを特徴とする上記〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔20〕
透明電極基板が、300〜800nmの波長の光に対して平均50%以上の透過性を有することを特徴とする上記〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0023】
〔21〕
透明電極基板が、導電性酸化物膜にポリ(イソチアナフテンスルホン酸)、ポリ(チオフェンアルカンスルホン酸)、ポリ(チオフェンオキシアルカンスルホン酸)、ポリ(ピロールアルカンスルホン酸)、ポリ(アニリンスルホン酸)等の繰り返し単位を含む共重合体またはこれらの各種塩構造体および置換誘導体を複合化させた導電膜を含むことを特徴とした上記〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔22〕
ヨウ素系電解液が、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化メチルエチルイミダゾリウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムおよびヨウ素のいずれかあるいはそれらの混合物であることを特徴とする上記〔1〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0024】
〔23〕
ヨウ素系電解液が、水、エタノール、t−ブチルアルコール、アセトニトリル、エチレンカーボネート、メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネートからなる群より選ばれる1種以上を溶媒とすることを特徴とする上記〔1〕〜〔22〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔24〕
増感色素が、植物・動物の組織、食品、化粧品、医薬品からなる群より選ばれる1種以上から抽出した色素であることを特徴とする上記〔2〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0025】
〔25〕
増感色素が、ルテニウムビピリジウム錯体、キサンテン系色素、メタロシアニン色素、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記〔2〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔26〕
対極基板が、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイトからなる群より選ばれる1種以上をポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、スチレン−ブタジエンゴムからなる群より選ばれる1種以上の結合剤で練り合わせた後にシート状に成形したもの、あるいは、ルテニウムメッシュ、白金板、白金繊維、白金からなる群より選ばれる1種以上を表面に担持した基板であることを特徴とする上記〔2〕〜〔25〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
【0026】
〔27〕
グラファイトを担持した対極基板が、基板に鉛筆を用いて絵を描いたり、塗りつぶす方法で形成されることを特徴とする上記〔2〕〜〔26〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キット。
〔28〕
上記〔1〕〜〔27〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キットを用いた色素増感型太陽電池の製作方法であって、金属酸化物を透明電極基板上で薄膜化させる方法が、金属酸化物分散液を透明電極基板に塗布する工程と、それに続く乾燥工程に分けられ、そのうちの塗布工程における分散液塗布方法がスキージ法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、噴霧法、スピンコート法から選ばれるいずれかあるいはそれらの方法の組み合わせであることを特徴とする色素増感型太陽電池の製作方法。
【0027】
〔29〕
前記分散液の乾燥工程における乾燥を120℃以下で行うことを特徴とする上記〔28〕に記載の色素増感型太陽電池の製作方法。
〔30〕
前記分散液の乾燥方法が、塗膜に温風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、電極基板を昇温する方法、塗膜に乾燥空気を吹き付ける方法〕のいずれかあるいはそれらの方法の組み合わせであることを特徴とする上記〔28〕または〔29〕に記載の色素増感型太陽電池の製作方法。
【0028】
〔31〕
前記乾燥工程を経て得られる金属酸化物の薄膜を1μm以上40μm以下の膜厚とすることを特徴とする上記〔28〕〜〔30〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の製作方法。
〔32〕
上記〔1〕〜〔27〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キットと充電用エネルギーデバイス、冷却デバイス、表示素子、照明器具から成る群より選ばれる1種以上とが組み合わされた製作用キット。
〔33〕
充電用エネルギーデバイスが、リチウムイオン電池、ケミカルキャパシタ電気二重層コンデンサ、ポリマー電池からなる群より選ばれる1種以上である上記〔32〕に記載の製作用キット。
〔34〕
冷却デバイスがペルチェ素子である上記〔32〕に記載の製作用キット。
〔35〕
表示素子が有機EL、液晶、LEDからなる群より選ばれる1種以上である上記〔32〕に記載の製作用キット。
〔36〕
照明器具が蛍光灯、電球、LEDからなる群より選ばれる1種以上である上記〔32〕に記載の製作用キット。
〔37〕
上記〔1〕〜〔27〕のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池製作用キットを使用して製作された色素増感型太陽電池。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるキットによれば、焼き付け工程を経ることなしに、強固で効率の良い電極膜を製造できるために安全にかつ簡便に色素増感型太陽電池を組み立てることができ、その組立作業の体験を通して、色素増感型太陽電池の重要な構成要素を理解しつつ、電気化学や物理化学、さらには光合成の視点で生物化学や環境・エネルギー問題に関する知識を楽しみながら吸収することができる。
本発明のキットは、学生の学習教材として使うこともできるし、DIYセットとして使うこともできる。組立後は、実際に電池として様々な用途に使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明におけるキットは少なくとも次の(i)〜(iii)の部材を含有する。
(i) 透明電極基板
(ii) 金属酸化物分散液
(iii) ヨウ素系電解液
以下、詳細に説明する。
【0031】
(i)透明電極基板について:
電極基板を構成する電極基材は、ガラスであっても、有機重合体であってもかまわない。
有機重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフイン、ナイロン6、ナイロン66、アラミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ピニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エボキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースおよびレーヨンその他のセルロース誘導体、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、フツ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0032】
透明電極基板は、前述の電極基材上に、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン等、またはそれら混合物の導電性酸化物薄膜を形成させることで得ることが好ましい。これらの中でも、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、あるいはこれら混合物が導電性酸化物薄膜として特に好ましい。
【0033】
薄膜の形成方法は、例えば、塩化インジウムと塩化スズのエタノール溶液を加熱した電極基材に吹き付ける方法、対象とする導電性酸化物ターゲットをArガス雰囲気下でスパッタリングする方法、酸素雰囲気下で対象導電性酸化物を真空蒸着する方法やイオンプレーティング法が挙げられる。後処理として、酸化雰囲気下、電極基材の種類に合わせた温度で加熱し、結晶性を高めることも効果的である。薄膜形成方法によって電極基板の表面抵抗は異なるが、いずれの薄膜形成法でも表面抵抗値が20Ω/□以下になるように調製することが好ましい。膜厚は0.005〜10mmが好ましく、0.05〜1mmがさらに好ましい。太陽光線に対する透過性は、300〜800nmの波長の光に対して、平均50%以上の透過性を有することが好ましい。
【0034】
また導電膜として前記導電性酸化物膜と併用して導電性高分子を複合化させてもかまわない。導電性高分子としては、ポリチオフェンやポリアニリンや、ブレンステッド酸基を有するπ共役系水溶性導電性高分子などが挙げられる。前記水溶性導電性高分子のブレンステッド酸基は、π電子共役主鎖に直接置換、スペイサーを介して置換、例えばアルキレン側鎖あるいはオキシアルキレン側鎖を介して置換した自己ド−プ型導電性高分子であれば良く、必ずしも化学構造の一次構造には制限されない。具体的なポリマ−としては、ポリ(イソチアナフテンスルホン酸)、ポリ(チオフェンアルカンスルホン酸)、ポリ(チオフェンオキシアルカンスルホン酸)、ポリ(ピロールアルキルスルホン酸)、ポリ(アニリンスルホン酸)等の繰り返し単位を含む共重合体またはこれらの各種塩構造体および置換誘導体等を挙げることができる。
【0035】
(ii)金属酸化物分散液について
金属酸化物分散液は、金属酸化物微粒子、結着剤および溶剤を含有する金属酸化物分散液であることが好ましい。
金属酸化物としては、色素増感型太陽電池に使用可能なものであれば、際限無く使用可能であるが、例えば、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムの単体、あるいはそれらの2種類以上の混合物を使用することができる。
【0036】
微粒子としては、例えば、窒素を用いたBET比表面積測定法によって測定された比表面積が、5〜500m2/gであって、透過型電子顕微鏡観察により測定される粒径が5〜500ナノメートル(nm)の一次粒径を有する粒子を使用することが可能である。
このような条件を満たす金属酸化物微粒子としては、例えば、比表面積粒径が15〜40nm(10〜100m2/g)の二酸化チタン、あるいは、粒径が10〜200nm(5〜150m2/g)の酸化スズ、粒径が10〜500nm(5〜150m2/g)の酸化亜鉛、およびそれらの混合物などが挙げられる。また、金属酸化物微粒子は、乾燥状態あるいは溶剤に分散した状態のいずれも使用できる。その中でも二酸化チタンを使用することが好ましい。なお、二酸化チタンは酸化チタンと略称されることが多いが、本願の二酸化チタンには酸化チタンと略称される全てのものを含む。
【0037】
金属酸化物微粒子として、二酸化チタンを使用する場合、結晶性が高く、表面に有機物が吸着していないことが好ましい。二酸化チタンの製造方法は、特に限定されず、公知のいずれの製造方法も採用可能である。四塩化チタンを酸化性ガスで高温酸化する気相法で製造した二酸化チタン(以下、気相法二酸化チタンと称することがある)が好ましいが、湿式法で製造した二酸化チタンでも使用可能である。例えば、湿式法で製造した二酸化チタンから溶剤を除去した後に、熱処理(例えば200℃以上)することで、表面に吸着した有機物を除去する方法が推奨できる。有機物除去の有無は、熱処理に対する質量減少を測定した場合、200〜400℃の範囲で、質量減少が停止した時点で確認することができる。
【0038】
次に気相法酸化チタンの製造方法について説明する。
気相法における粒子の成長機構には大別して2種類あり、一つは、CVD(化学的気相成長)であり、もう一つは粒子の衝突(合体)や焼結による成長である。本発明の目的とするような超微粒子状の酸化チタンを得るためには、いずれの成長時間も短くしなければならない。すなわち、前者の成長においては、予熱温度を高めておいて化学的反応性(反応速度)を高めること等により成長を抑えることができる。後者の成長においては、CVDが完結した後速やかに冷却、希釈等を行い、高温滞留時間を極力小さくすることにより、焼結等による成長を抑えることができる。
【0039】
原料となる四塩化チタンを含有するガスは、該ガス中の四塩化チタン濃度が10〜100%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜100%である。四塩化チタン濃度が10%以上のガスを原料として用いると、均一核の発生が多くなり、または反応性が高くなるので、CVD支配による成長した粒子が形成されにくくなり、粒度分布の狭い粒子が得られる。
【0040】
また、四塩化チタンを含有するガス中の四塩化チタンを希釈するガスは四塩化チタンと反応せず、かつ酸化されないものを選択すべきである。具体的には、好ましい希釈ガスとして、窒素、アルゴン等が挙げられる。
【0041】
四塩化チタンを含有するガスと酸化性ガスの予熱温度は500℃以上であることが必要であり、好ましくは800℃以上である。予熱温度が500℃より低いと、均一核の発生が少なく、かつ反応性が低いため粒度分布のブロードな粒子となってしまう。
四塩化チタンを含有するガスと酸化性ガスを反応管に導入する際の流速は10m/秒以上であることが好ましい。流速を大きくすることによって、両者のガスの混合が促進されるからである。反応管へのガスの導入温度が500℃以上であれば、混合と同時に反応は完結するので均一核の発生が増進され、かつ、CVD支配による成長した粒子が形成されるゾーンを短くすることができる。
【0042】
本発明においては、反応管に導入されたガスが十分に混合されるように、原料ガスが反応管へ導入されることが好ましい。ガスが十分に混合されれば、反応管内におけるガスの流体状態については特に制限はないが、好ましくは、例えば、乱流が生じる流体状態である。また、渦巻き流が存在していてもよい。
【0043】
なお、原料ガスを反応管に導入する導入ノズルとしては、同軸平行流、斜交流、十字流等を与えるノズルが採用されるが、これらに限定されない。一般に同軸平行流ノズルは、斜交流や十字流を与えるノズルに比べて混合の程度は劣るが、構造が簡単なので設計上好ましく用いられる。
【0044】
例えば、同軸平行流ノズルの場合は、内管に四塩化チタンを含有するガスを導入する。ただし、内管径は50mm以下であることが、ガスの混合の観点から好ましい。
本発明においては、反応管内に導入されたガスの反応管内における流速はガスの混合を完全に行うためには大きいことが好ましく、特に、平均流速で5m/秒以上であることが好ましい。反応管内のガスの流速が5m/秒以上であれば、反応管内における混合を十分に行うことができ、CVD支配による成長した粒子の発生が少なく、粒度分布のブロードな粒子が生成されることがない。
【0045】
反応管内におけるこの反応は発熱反応であり、反応温度は製造された超微粒子酸化チタンの焼結温度より高温である。反応装置からの放熱はあるものの、反応後、急冷しないかぎり製造された微粒子は焼結が進行し、成長した粒子になってしまう。本発明においては、反応管内の600℃を越える高温滞留時間は3秒以下とし、その後急冷することが好ましい。
【0046】
反応後の粒子を急冷させる手段としては、反応後の混合物に多量の冷却空気や窒素等のガスを導入したり、水を噴霧したりすること等が採用される。
二酸化チタンは、アナターゼ型結晶構造の二酸化チタンやブルッカイト型結晶構造の二酸化チタンを含むことが好ましい。また、二酸化チタンのBET比表面積が、10〜100m2/gであることが好ましく、20〜75m2/gであることがさらに好ましい。 また、二酸化チタンの粒度分布はシャープであることが好ましい。具体的に、粒度分布の測定手順について以下に説明する。
【0047】
二酸化チタン0.05gに純水50ml及び10%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液100μlを加えたスラリーに、3分間超音波照射(46KHz、65W)する。このスラリーをレーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所 SALD−2000J)にかけて、粒度分布を測定する。このようにして測定された粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90の値が小さければ、親水性溶媒に対して良好な分散性を示していると判断される。本発明における二酸化チタンのレーザー回折式粒度分布測定法にて測定された90%累積質量粒度分布径D90は、2.2μm以下であることが好ましい。
さらに、二酸化チタン粒度の均一性については、ロジン・ラムラー(Rosin−Rammler)式を用い、その分布定数(n)で規定することができる。以下に、ロジン・ラムラー式について簡単に説明するが、その詳細についてはセラミック工学ハンドブック((社)日本セラミック協会編 第1版)第596〜598頁に記載されている。
ロジン・ラムラー式は下記式(1)で表される。
R=100exp(−bDn) (1)
ただし式中、Dは粒径を表し、RはD(粒径)より大きな粒子の全粒子に対する百分率であり、nは分布定数である。
ここで、b=1/Den とおくと、(1)式は
R=100exp{−(D/De)n } (2)
のように書き換えられる。ただし、Deは粒度特性数、nは分布定数と呼ばれる定数である。
(1)式または(2)式から下記式(3)が得られる。
log{log(100/R)}=nlogD+C (3)
ただし、式中、Cは定数を表す。上記式(3)から、x軸にlogD、y軸にlog{log(100/R)}の目盛をつけたロジン・ラムラー(RR)線図にそれらの関係をプロットするとほぼ直線となる。その直線の勾配(n)は粒度の均一性の度合いを表し、nの数値が大きいほど粒度の均一性に優れていると判断される。
【0048】
本発明における二酸化チタンのロジン・ラムラー式による分布定数nは1.7以上であることが好ましく、1.7以上3.5以下であることがさらに好ましい。
金属酸化物微粒子として、前記の二酸化チタン(二酸化チタンA)を使用する場合、細孔を維持しつつ金属酸化物膜の単位体積あたりの比表面積を高くする目的で、比表面積100〜500nmの粒径を有する別の種類の二酸化チタン(二酸化チタンB)を、質量比率B/Aが0.01〜0.5の範囲で併用することが好ましい。
【0049】
なお、超微粒子二酸化チタンの製造方法として、湿式による公知の製造方法も採用可能である。製造方法は特に限定されないが、特開平11−43327号公報に記載の製造方法であれば、結晶性の高い二酸化チタンが得られるので好ましい。湿式による製造方法を採用した場合には、ゾルから、水等の溶剤を除去した後に、熱処理(例えば200℃以上)することで、表面に吸着した有機物等を除去することが好ましい。有機物除去の有無は、熱処理に対する質量減少を測定した場合、200〜400℃の範囲で、質量減少が停止した時点で確認することができる。
【0050】
湿式による製造方法として、例えば、四塩化チタンを加水分解して超微粒子二酸化チタンゾルを得ることができる。加水分解する四塩化チタン水溶液中の四塩化チタンの濃度は低過ぎると生産性が悪く、生成する水分散二酸化チタンゾルから二酸化チタン微粒子を製造する際に効率が低く、また濃度が高過ぎると反応が激しくなり、得られる二酸化チタンの粒子が微細になりにくい。従って、ゾルの生成時において、二酸化チタンの濃度は、0.05〜10モル/リットルが好ましい。
【0051】
そのためには加水分解される四塩化チタン水溶液中の四塩化チタンの濃度は前記した生成する二酸化チタンの濃度と大差ない値、即ちほぼ0.05〜10モル/リットルとすればよく、必要ならば以後の工程で少量の水の添加もしくは濃縮することで濃度を0.05〜10モル/リットルに調整してもよい。
【0052】
加水分解における温度は50℃以上、四塩化チタン水溶液の沸点迄の範囲が好ましい。50℃未満では加水分解反応に長時間を要する。加水分解は上記の温度に昇温し、10分から12時間程度保持して行われる。この保持時間は加水分解の温度が高温側にある程短くてよい。四塩化チタン水溶液の加水分解は四塩化チタンと水との混合溶液を反応槽中で所定の温度に加熱してもよく、また水を反応槽中で予め加熱しておき、これに四塩化チタンを添加し、所定の温度にしてもよい。この加水分解により一般的にはブルーカイト型結晶構造にアナターゼ型結晶構造及び/又はブルーカイト型結晶構造が混合した二酸化チタンが得られる。
【0053】
加水分解における四塩化チタン水溶液の昇温速度は早い方が得られる粒子が細かくなるので、好ましくは0.2℃/min以上、さらに好ましくは0.5℃/min以上である。この方法によってゾル中の二酸化チタン粒子は平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.1μmの範囲の結晶性のよいものとなる。製造方法はバッチ式に限らず、反応槽を連続槽にして四塩化チタンと水を連続投入しながら、投入口の反対側で反応液を取り出し、引き続き脱塩素処理するような連続方式も可能である。
【0054】
結着剤とは、少量を添加することによって金属酸化物分散液の溶媒が除かれた後も金属酸化物微粒子同士を接触した状態で固定する役割を果たし得るものをいう。また分散体を基板等に塗布し、製膜させる際に生じるひび割れや、基材からの剥離を防止する働きを有する。
【0055】
このような機能を有するものであれば、制限なく使用することができる。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリル酸塩、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、N−ビニルアセトアミド−アクリルアミド共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、ポリN−ビニルホルムアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピリジン、ビニルピリジン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルピロリドンから選ばれる高分子化合物の一つもしくはそれらの混合物等を結着剤として添加することができるが、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体およびポリテトラフルオロエチレンが好ましく、中でもポリビニルピロリドンが好ましい。ポリアクリル酸塩を使用する場合、塩としてアルカリ金属類あるいはアルカリ土類金属類が好ましく、中でもナトリウム、リチウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウムがより好ましい。
【0056】
また、結着剤は高分子量であるほど性能が高くなる。具体的には、平均分子量は500以上が好ましく、1万以上がさらに好ましい。
【0057】
結着剤の使用量は、結着性能が発現する範囲であれば少ないほどよい。具体的には、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.01〜20質量部添加することが好ましい。さらに、0.1〜10質量部が好ましい。また、結着剤は、増感色素が金属酸化物上に担持されることを妨げる原因となる官能基(すなわち、水酸基あるいはアミノ基)を含まないことが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリアミンなどは電極の性能を低減させる場合がある。
【0058】
分散液に使用する溶剤は、金属酸化物微粒子を分散させるとともに、結着剤を分散、溶解あるいは膨潤させることにより、金属酸化物微粒子と結着剤とを混合を促進することができる揮発性液体であれば制限なく使用できる。具体的には、その骨格中に水酸基、カルボキシル基、ケトン基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基を有する揮発性液体が好ましい。例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチレングリコール、酢酸、アセチルアセトン、テレピン油、メチルピロリドンの単体あるいはそれらの混合物が使用できる。キット製作の安全の観点からは、その中でも、水が好ましい。
金属酸化物微粒子、結着剤および溶剤を用いて金属酸化物分散液を作製する方法は、特に限定されず、一般的な分散方法が使用可能である。具体的には、乳鉢、ペイントコンディショナー、ホモジナイザー、超音波撹拌機などが挙げられる。
【0059】
なお、金属酸化物微粒子の使用量は、金属酸化物分散液中、5〜60質量%とするのが好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
【0060】
(iii)ヨウ素系電解液について
電解液としては、通常の色素増感型太陽電池に使用可能なものであれば特に制限はなく使用可能であるが、ヨウ素を含む電解液を使用することが好ましい。
具体的には、電解質としてヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化メチルエチルイミダゾリウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムおよびヨウ素を含むものを例示することができる。
【0061】
溶媒としては、水やアルコール類、または非プロトン性極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等のC4以下のアルコール、アセトニトリル、エチレンカーボネート、メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。キット製作の安全の観点からは、その中でも、水が好ましい。焼酎やウオッカのような酒類であってもよい。
【0062】
市販のヨウ素系うがい薬(例えばイソジン(商標)消毒薬、明治製菓株式会社製)やヨウ素系消毒液(例えばヨードチンキ、オリエンタル薬品工業株式会社製)などを電解液として用いることもできる。これらのものは取り扱いの安全上好ましい。またそれらのヨウ素系うがい薬やヨウ素系消毒液に前記電解質を追加溶解させたものを用いることもできる。
【0063】
また、電池外部への電解液の液漏れあるいは電極物質の溶出などの抑制、電池内での電解液のかたよりや液枯れによる内部インピーダンスの上昇あるいは内部短絡の問題を回避する手段として、電解質の固体化もしくは擬固体化することも安全上、有効である。
【0064】
(iv)その他の部材について
また、その他の部材として、増感色素液、鉛筆(対極用)、テープ(スペーサー用)、スキージ棒(金属酸化物分散液塗布用)、クリップ(電極挟み用)、スポイト、モーター付きプロペラなどの電気駆動部品などを、単独もしくは組み合わせてキットとすることができる。
【0065】
金属酸化物表面に担持する増感色素としては、具体的には、ルテニウムビピリジウム錯体、キサンテン系色素、メロシアニン色素、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体などである。また、植物・動物の組織や食品・化粧品・医薬品などから抽出することもできる。植物の組織の例としては、葉、茎、果実、根を挙げることができる。
【0066】
植物としては、アカカタバミ、アカザ、アカネ、アキノノゲシ、アサガオ、アリアケスミレ、アレチウリ、イタチハギ、イヌタデ、イヌナズナ、イヌホオズキ、イモカタバミ、ウシハコベ、エゾタンポポ、エゾノキツネアザミ、エノコログサ、オオイヌノフグリ、オオキンケイギク、オオケタデ、オオバコ、オオブタクサ、オオマツヨイグサ、オドリコソウ、オニタビラコ、オニノゲシ、オニユリ、オヘビイチゴ、カタバミ、カモガヤ、カラスノエンドウ、カラスビシャク、カラフトホソバハコベ、カナムグラ、キカラスウリ、キクイモ、キクニガナ、ギシギシ、キジムシロ、キショウブ、キツネノマゴ、キュウリグサ、キランソウ、キンエノコロ、キンミズヒキ、クサノオウ、クサフジ、クズ、クルマバナ、ケチョウセンアサガオ、ゲンノショウコ、コナスビ、サギゴケ、サクラ、ジシバリ、シロツメクサ、シロバナシナガワハギ、シロバナマンジュシャゲ、スイカズラ、スカシタゴボウ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、セイタカアワダチソウ、セイヨウタンポポ、ゼニアオイ、タチアオイ、タチイヌノフグリ、タネツケバナ、ダンドボロギク、チカラシバ、チチコグサモドキ、チョウセンヨメナ、ツメクサ、ツユクサ、ツルフジバカマ、ツルマメ、ツルマンネングサ、トキワハゼ、ドクダミ、ナギナタコウジュ、ナズナ、ナツズイセン、ニワゼキショウ、ヌスビトハギ、ネジバナ、ノビル、ノボロギク、ノミノフスマ、ハコベ、ハハコグサ、ハマエンドウ、ハルジオン、ヒガンバナ、ヒナタイノコズチ、ヒメオドリコソウ、ヒメクグ、ヒメジョオン、ヒメスイバ、ヒメムカシヨモギ、ヒルガオ、ヒルザキツキミソウ、ヒレハリソウ、ブタクサ、ブタナ、フランスギク、ヘクソカズラ、ヘラオオバコ、ホトケノザ、マツヨイセンノウ、マルバアサガオ、ミズヒキ、ミゾソバ、ミチヤナギ、ミツバツチグリ、ミヤコグサ、ムシトリナデシコ、ムラサキカタバミ、ムラサキサギゴケ、ムラサキツメクサ、メナモミ、メマツヨイグサ、モミジルコウ、モクレン、モモイロヒルザキツキミソウ、ヤエザキオオハンゴンソウ、ヤエムグラ、ヤブガラシ、ヤブカンゾウ、ヤブヘビイチゴ、ヨウシュヤマゴボウ、リンゴ、ワスレナグサなどを例示することができる。
【0067】
食品としては、赤ワイン、日本茶、紅茶、コーヒー、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、ざくろの種、ビング種チェリー、柑橘系の緑色の葉、アメリカンチェリー、赤紫蘇、紫キャベツ、トマト、ドラゴンフルーツ、パイナップル、紫サツマイモ、ハイビスカスティーなどを例示することができる。
【0068】
光活性電極上に増感色素を担持する方法は一般的に用いられるもので、増感色素を溶解させた液に光活性電極を浸すことで行う。植物・動物の組織や食品・化粧品・医薬品から色素を抽出したり、溶解したりするための溶媒としては、水やアルコール類が好ましい。焼酎やウオッカのような酒類であってもよい。
【0069】
次に、キット製作の好ましい手順について説明する。
(1)色素電極の作製
下敷きとして、濃色の板や紙・ゴムマットなどを敷き、そこに透明電極基板を置く。導電側を表にして、基板の手前側の縁および左右の縁に幅1cm程度の幅で縁取りする形でテープを貼り下敷きに固定する。テープとしては、スコッチ(登録商標)メンディングテープ 810(住友スリーエム株式会社製)などを例示することができる。
【0070】
次に手前側に、前記金属酸化物分散液をスポイトで滴下する。金属酸化物としては前記気相法二酸化チタンが好ましく溶媒としては水が安全上好ましい。横一線に垂らすことでもいい。それをガラス棒などを用いてスキージ方式にて基板全面に液を塗布する。あるいはドクターブレード法、スクリーン印刷法、噴霧法、スピンコート法などでもよい。
塗布後、速やかにヘアドライヤーで温風を送風するか、太陽光や赤外線ランプなどにあてるか、電極基板を昇温するか、塗膜に乾燥空気を噴きつけるなどの方法で、乾燥する。3分間程度で乾燥する場合、基板温度は40℃以上あれば十分である。好ましくは60℃〜120℃である。基板温度が40℃より低いと膜の強度が十分ではなく、120℃より高温だと作業時に火傷の恐れがあるので好ましくない。乾燥に1時間以上かける場合は、基板温度は30℃以上であればよい。乾燥に5時間以上かける場合は、基板温度は20℃以上であればよい。
【0071】
金属酸化物の薄膜の膜厚は1μm以上40μm以下であることが好ましい。膜厚が1μm未満の場合、薄膜内の光線の散乱や吸収が不十分となり、光電変換効率が低下する場合がある。膜厚が40μmを超えると、電解質の拡散抵抗が大きくなったり、あるいは電子の移動距離が長くなったりするため、必ずしも性能が向上しないばかりか、成膜作業が繁雑になってしまう傾向にある。
【0072】
乾燥後、増感色素溶液もしくは増感色素抽出液に浸漬する。増感色素がルテニウムビピリジウム錯体、キサンテン系色素、メロシアニン色素、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体などの場合には、それらの溶液に10℃〜60℃で10分以上浸漬すればよく、好ましくは20分以上である。溶媒としては、水やエチルアルコールなどが安全上好ましい。
【0073】
浸漬後、ドライヤーで熱風乾燥してもいいし、風乾してもかまわない。電極基材の材質がガラスである場合は、電気炉やガスバーナー等を利用して比較的高温条件で乾燥させることもできるが、作業の安全性を考慮すれば、乾燥温度はできるだけ低いことが好ましい。
【0074】
(2)対極の作製
対極としては電気抵抗が2000Ω/□以下のもので、かつ触媒作用を有する材料であれば、透明であっても不透明であっても制限なく使用できる。ここでいう触媒作用とは光活性電極上で酸化された電解質が対極上で過電圧を生じることなく還元するように作用するものである。具体的には、白金、ルテニウム、グラファイト、カーボンブラックがこの機能を有する。従って、対極の電解層に接する部分に、これらの成分のいずれかあるいは複数が存在することが必要である。対極の例を挙げると、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイトをポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、スチレン−ブタジエンゴム等の結合剤で練り合わせた後にシート状に成形したもの、あるいは、ルテニウムメッシュ、白金板、白金繊維、白金を表面に担持した電極などがある。これらの作製に用いる手法としては、混合法、蒸着法、電気化学的手法、反応化学的手法等一般に用いられる方法が挙げられる。また、鉛筆を用いて絵を描いたり、塗りつぶす方法であってもよい。絵を描きながら製作できる工程は楽しみが増加するので好ましい。その場合、HB以下の硬度である、やわらかい鉛筆を用いるのが好ましい。さらに2B以下の鉛筆を用いるのが好ましい。
【0075】
(3)電池組立て
前記(1)の色素電極と(2)の対極を重ね合わせる。この時、両極のショートを防ぐために、いずれかの電極の左右の縁に1cm程度の幅でテープにより縁取りされていることが好ましい。
重ね合わせたら、その左右をクリップで挟み、固定する。
【0076】
次に、上部の両極の隙間から前記ヨウ素系電解液を注入する。スポイトなどを用いて隙間に垂らすと、毛細管現象によって両極間に電解液を浸透させることができる。ヨウ素系電解液の溶媒としては、水やエチルアルコール、プロピレンカーボネートが安全上好ましい。
【0077】
(4)電気駆動部品との結線
前記(3)で組立てられた電池を電気駆動部品と結線する。
電気駆動部品としては、例えばプロペラモーター(マブチモーター株式会社製RF−330TKに市販のプロペラを組み合わせたもの)などを例示することができる。駆動電圧としては、0.7V以下のものが好ましい。さらに好ましくは0.5V以下である。駆動電流としては、100mA以下が好ましく、さらに好ましくは40mA以下である。
【0078】
本発明による色素増感型太陽電池の1例を図1に示す。色素増感型太陽電池は、大きく、色素電極、電解層、および対極の3つの部分から構成される。ここで色素電極1とは、導電性ガラス等の電極基板2の上に増感色素の結合した、二酸化チタン等の金属酸化物層5が形成されている電極を示し、また対極6とは、導電性ガラス等の電極基板2の上に白金やグラファイトのような触媒層7が形成された電極を指す。電解層8は、電解質が溶解した溶液で、色素電極1と対極6で挟み込まれた部分である。ここでいう電極基板2とは、ガラスや有機重合体等の電極基材3にFTO,ITO等の透明導電膜4を塗布、乾燥させたものを示す。電池の側面は例えばテープ9などで封止する。例えば、色素電極1および対極6とランプ10の間を結線11して回路が完成する。この状態で色素増感型太陽電池を太陽光の下に置くと、発電が起きて、ランプ10が点灯する。
【0079】
本発明のキットを用いて製作された色素増感型太陽電池は、光、熱、音響等の発生、運動などの機能を有する物品に備えることで、太陽光、室内光、蛍光灯、白熱電球などの照明用電灯のみならずその他各種の光源からの光が照射される環境下において、その機能のための電力源として利用することができる。
【0080】
また、リチウムイオン電池やケミカルキャパシタや電気二重層キャパシタなど充電用エネルギーデバイスと組み合わせた複合充電素子、ペルチェ素子など冷却デバイスと組み合わせた複合冷却素子、有機ELや液晶LEDなどの表示素子と組み合わせた複合表示素子などとして利用することができるし、蛍光灯、電球、LED等の照明器具とも組み合わせることもできる。また、ポリマー電池との複合素子とすることもできる。そのポリマー電池とは、少なくとも、化合物の酸化還元反応に伴う電子授受を電気エネルギーとして取り出す電極と、電解液または固体電解質もしくはゲル電解質を有するポリマー電池において、前記電極を構成する正極および負極の活物質が、前記酸化還元反応に伴う電子授受にプロトンの結合・脱離が関与し得る、窒素原子を含むπ共役高分子または/及びキノン系化合物であり、前記電解液または固体電解質もしくはゲル電解質がプロトンを含み、正極および負極の活物質の酸化還元反応に伴う電子授受が、前記窒素原子に結合または配位しているプロトンあるいは生成したヒドロキシル基のプロトンの結合・脱離にのみ関与して行われるように、前記電解液または固体電解質もしくはゲル電解質のプロトン濃度が設定され動作電圧が制御されていることを特徴とするポリマー電池である。
これらのデバイスや素子を色素増感型太陽電池製作用キットと組み合わせた製造用キットを提供することも可能である。
【0081】
特に、色素増感型太陽電池の電極基板に樹脂を採用し、前記の組み合わせる素子や部品もフレキシブルな基材をベースにすれば、得られる複合素子もフレキシブルにすることができる。
【0082】
そのような色素増感型太陽電池やその複合素子を利用した物品の例としては、例えば、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、文房具、衣類、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、意匠性窓ガラス、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、掲示板、配管、看板、アドバルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、衛生資材、自動車用品、玩具、交通信号機、道路標識、装飾品、テント、クーラーボックスなどのアウトドア用品、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱器や冷却器用の電源などを挙げることができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例および比較例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
実施例1:
(透明電極基板の準備)
エイアイ特殊硝子株式会社製の透明導電ガラス基板A110U80を、50mm□にカットした。
(色素溶液の調製)
エタノール(関東化学(株)製、試薬特級)に、ルテニウム錯体色素(Ru(dcbpy)2(NCS)2 小島化学薬品(株)製)を3mmol/Lの濃度で溶解させた。
【0085】
(ヨウ素系電解液の調製)
プロピレンカーボネート(関東化学(株)製、試薬特級)に、ヨウ化リチウム(キシダ化学(株)製、純度97%)を0.1mol/リットルの濃度で、ヨウ素(関東化学(株)製、試薬特級)を0.05mol/リットルの濃度で、テトラブチルアンモニウムヨウ素塩(Acros Organics製、純度98%)を0.5mol/リットルの濃度で溶解させた。
【0086】
(二酸化チタンの合成)
ガス状四塩化チタン4.7Nm3/時間(Nは標準状態を意味する。以下同じ)と窒素16Nm/時間とを混合してなる四塩化チタンを含有するガスを1,100℃に、空気20Nm/ 時間と水蒸気25Nm3/時間とを混合してなる酸化性ガスを1,000℃にそれぞれ予熱し、同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速92m/秒、97m/秒で反応管に導入した。同軸平行流ノズルの内管径は20mmとし、内管に四塩化チタンを含有するガスを導入した。
【0087】
反応管の内径は100mmであり、反応温度1,250℃における管内流速は計算値で13m/秒であった。反応管内における高温滞留時間が0.2秒となるように、反応後冷却空気を反応管に導入し、その後、テフロン(登録商標)製バグフィルターを用いて超微粒子粉末を捕集した。
【0088】
得られた微粒子二酸化チタンは、BET比表面積が102m2/gであった。そのBET法比表面積から一次粒子の粒径D1を、粒子を球形に換算して(A)式より求めることができる。
D1=6/ρS(A)
(式中、ρは粒子の比重(g/cm3)、SはBET法比表面積(m2/g))
(A)式で求めた一次粒径は、15nmであった。
【0089】
また、X線回折装置にかけて構造解析を行った結果、アナターゼ型結晶を92質量%、ルチル型結晶を質量8%含有していた。また、レーザー回折式粒度分布測定法により測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は2.0μmであり、ロジン・ラムラー式におけるn値は1.9であった。なお、n値はレーザー回折において得られた3点データ、D10,D50、D90をそれぞれRR線図においてR=90%、50%、10%としてプロットし、それら3点の近似直線から求めた。
【0090】
(二酸化チタン分散液の調整)
250mlポリエチレン製容器(内径Φ73mm×75mm)に、前記微粒子二酸化チタン10.0gおよび平均分子量1万のポリN−ビニルアセトアミドの5質量%水溶液10.0g、純水30.0g、ジルコニアボール(Φ3mm)200gを入れ、ペイントコンディショナーにて30分間振とうさせ、二酸化チタン分散液を得た。
【0091】
(教材キットの組み合わせ)
透明電極基板(前述) 2枚、色素溶液(前述) 50ml、ヨウ素系電解液(前述) 10ml、二酸化チタン分散液(前述) 10ml、およびプロペラモーター(マブチモーター株式会社製RF−330TKに市販のプロペラを組み合わせたもの)を組み合わせて色素増感型太陽電池の教材キットとした。
【0092】
以下、本教材キットを用いて色素増感型太陽電池の作製を行った。
(色素電極の作製)
下敷きとして黒いゴムマットを敷き、そこに前記透明電極基板を置いた。導電側を表にして、基板の手前側の縁および左右の縁に幅1cm程度の幅で縁取りする形でスコッチ(登録商標)メンディングテープ 810(住友スリーエム株式会社製)を貼り下敷きに固定した。
次に手前側に、前記二酸化チタン分散液をスポイトで横一線に垂らし、それをガラス棒を用いてスキージ方式にて基板全面に液を塗布した。
【0093】
塗布後、速やかにヘアドライヤーで温風をあて、基板温度は40℃〜50℃にて3分間乾燥した。
次に、前記色素溶液に20℃で15分浸漬した後、ヘアドライヤーで冷風乾燥した。
(対極の作製)
前記透明電極基板の導電面を、2Bの鉛筆を用いて黒く塗りつぶした。
【0094】
(電池組立て)
前記色素電極の左右の縁に1cm程度の幅でスコッチ(登録商標)メンディングテープ 810により縁取りした後、前記対極と重ね合わ、その左右をクリップで挟んだ。
次に、前記ヨウ素系電解液をスポイトを用いて両極の隙間に垂らし、両極間に電解液を浸透させた。
【0095】
(電気駆動部品との結線)
前記電池とプロペラモーター(マブチモーター株式会社製RF−330TKに市販のプロペラを組み合わせたもの)を結線し、晴天時に外に出て色素電極側を太陽光にかざしたら、勢いよくプロペラが回った。
色素増感型太陽電池の一連の作製、プロペラ駆動まで約30分で完了することができた。身近な物品を多く用いることにより、作業は楽しみながら行うことができ、かつ簡便である。また火傷の恐れのある高温作業がなく、安全である。そうして、色素増感型太陽電池の重要な構成要素や電気化学や物理化学、さらには光合成や生物化学の視点で生物化学や環境・エネルギー問題に関する知識に対して親しみと興味を容易に抱かせることができる。
【0096】
実施例2:
電気駆動部品をプロペラモーターからテスターに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。晴天時に外に出て色素電極側を太陽光にかざしたら、電圧0.6V、15mAの出力が得られた。
【0097】
実施例3:
透明電極基板のサイズを100mm□に、増感色素をブルーベリー果実を擂り潰した果汁に、ヨウ素系電解液をイソジン(商標)消毒薬(明治製菓株式会社製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。晴天時に外に出て色素電極側を太陽光にかざしたら、勢い良くプロペラが回転した。
【0098】
比較例1:
酸化チタン分散液にポリN−ビニルアセトアミド水溶液を添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を行ったが、色素溶液に浸漬している間に酸化チタン膜が剥離し、色素増感型太陽電池を製作することが出来なかった。
【0099】
比較例2:
酸化チタン分散液を、比表面積6m2/gの酸化チタン(昭和電工株式会社製スーパータイタニアG1)を用いて調製した以外は実施例1と同様の操作を行った。晴天時に外に出て色素電極側を太陽光にかざしてもプロペラは回転しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は色素増感型太陽電池の構造を示す。
【符号の説明】
【0101】
1 色素電極
2 透明電極基板
3 ガラス基板
4 ITO(透明導電層)
5 二酸化チタン粒子、増感色素
6 対極
7 触媒層
8 電解層
9 封止フィルム
10 ランプ
11 結線
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝大門1丁目13番9号
【出願日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬

【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次

【識別番号】100082898
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 雅也

【公開番号】 特開2006−108080(P2006−108080A)
【公開日】 平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願番号】 特願2005−261149(P2005−261149)