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【発明の名称】 飛行時間型質量分析装置
【発明者】 【氏名】山口 真一
【住所又は居所】京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所内

【要約】 【課題】多重周回軌道を形成するイオン光学系においてイオンの時間的収束を達成するものは開発されているが、構成がかなり限定され設計の自由度に乏しい。

【解決手段】イオンが周回軌道Pを離れる位置から軌道P外の検出器10との間の飛行経路上に反射器9を設置し、該反射器9の電場条件を適宜に定めることにより、扇形電場4、7を形成するイオン光学系2でイオンの時間収束が為されていなくても反射器9で収束性を補償し、イオン源1を出発してから検出器10に到達するまでの系全体としてイオンの時間収束を達成する。それにより、イオン源1を出発する際に同一質量数のイオンが持つエネルギーがばらついても、検出器10にほぼ同時に到達するようにできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)各種イオンを略同一の軌道に沿って1乃至複数回繰り返し飛行させるための周回型又は往復型の反復軌道を形成する電場形成手段と、
b)前記反復軌道上又は該軌道外にあって前記各種イオンの飛行出発点となるイオン源と、
c)前記反復軌道外にあって該軌道を1乃至複数回繰り返し飛行して該軌道を離れた後のイオンを検出する検出器と、
d)イオンが前記反復軌道を離れる位置と前記検出器との間、又は前記イオン源とイオンが前記反復軌道に入る位置との間に配設され、前記イオン源を出発したイオンが前記検出器に到達するまでの飛行軌道全体としてイオンが時間的に収束するように収束性を補償する補償手段と、
を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項2】
前記補償手段は到来したイオンを折り返すような電場を形成する反射器であることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置。
【請求項3】
前記補償手段は扇形電場を形成する電極であることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、分析対象であるイオンが略同一の軌道を周回運動又は往復運動するように飛行空間が形成された飛行時間型質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行時間型質量分析装置(以下、TOFMSと略す)では、一般的に、電場により加速したイオンを電場及び磁場を有さない飛行空間内に導入し、検出器に到達するまでの飛行時間に応じて各種イオンを質量数毎に分離する。或る質量数差を有する2種類のイオンに対する飛行時間の差は飛行距離が長いほど大きくなるから、質量数分解能を高くするためにはできるだけ飛行距離を長く確保することが好ましい。
【0003】
しかしながら、装置の大きさなどの制限によって多くの場合、直線的な飛行距離を長くとることは困難であるため、飛行距離を実効的に長くするような各種の構成が従来より提案されている。例えば特許文献1に記載のTOFMSでは、2乃至4個の扇形電場を用いて8の字状の閉じた周回軌道を形成し、この軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を実効的に長くしている。
【0004】
上記特許文献1或いは非特許文献1などで指摘されているように、一般にTOFMSにおいて高い分析精度を得るためにはイオンの時間的収束及び空間的収束が重要である。イオンがこうした収束条件を満たしていれば、或る一つの出発点から異なるエネルギーを持ち異なる方向に同時に出発したイオンが、その方向やエネルギーの相違にも拘わらず同時に同一の到着点に到達すると言われている。但し、実際には、質量数毎のイオン強度を測定するという目的であれば空間的な収束性はそれほど厳密である必要はない。何故なら、イオン検出器の検出面は或る程度の面積を有しているため、必ずしも同一点に到着しなくても検出が可能だからである。したがって、より重要なのは時間的な収束性であると言える。
【0005】
【特許文献1】特開平11−195398号公報
【非特許文献1】石原盛男ほか2名、「パーフェクト・スペース・アンド・タイム・フォーカシング・イオン・オプティクス・フォー・マルチターン・タイム・オブ・フライト・マス・スペクトロメーターズ(Perfect space and time focusing ion optics for multiturn time of flight mass spectrometers)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリー(International Journal of Mass Spectrometry)、197(2000)、p.179-189
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のTOFMSにおいて周回軌道を形成するイオン光学系では、複数の扇形電場を二重対称の関係に配置することで時間的収束を達成できるとされている。しかしながら、ここで考慮されているのは多重周回軌道における時間的収束性であり、イオン源から放出されたイオンがその多重周回軌道に乗るまでの飛行軌道や、イオンが多重周回軌道を所定回数周回した後にその軌道を離れて検出器に到達するまでの飛行軌道については考慮されておらず、必ずしも十分に高い精度で以て質量分析が行えるとは限らない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、従来よりも良好なマススペクトルを作成し、それに基づいて高い精度で以て各イオンの質量数を算出することができる飛行時間型質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る飛行時間型質量分析装置は、
a)各種イオンを略同一の軌道に沿って1乃至複数回繰り返し飛行させるための周回型又は往復型の反復軌道を形成する電場形成手段と、
b)前記反復軌道上又は該軌道外にあって前記各種イオンの飛行出発点となるイオン源と、
c)前記反復軌道外にあって該軌道を1乃至複数回繰り返し飛行して該軌道を離れた後のイオンを検出する検出器と、
d)イオンが前記反復軌道を離れる位置と前記検出器との間、又は前記イオン源とイオンが前記反復軌道に入る位置との間に配設され、前記イオン源を出発したイオンが前記検出器に到達するまでの飛行軌道全体としてイオンが時間的に収束するように収束性を補償する補償手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
ここで、電場形成手段により形成される反復軌道は、狭い飛行空間内で長い飛行距離を確保することを目的として、ほぼ同一の軌道上をイオンが繰り返し飛行することを可能とするものであればその形状を問わず、例えば、円形状、長円形状、8の字形状等の周回軌道、或いは、直線又は曲線状等の往復軌道などとすることができる。また、ここで言うイオン源とは、必ずしも分子又は原子からイオンを生成する手段を意味するものではなく、イオンを飛行空間に導入するためのイオンの出発点となり得るものであればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るTOFMSでは、イオンがイオン源を発してから検出器に到達するまでの飛行軌道を大別して3つに分けることができる。即ち、イオン源から上記反復軌道に乗るまでの入射軌道、電場形成手段により形成される反復軌道、及び、イオンがその反復軌道を離れてから検出器に到達するまでの出射軌道である。但し、イオン源が上記反復軌道上に配置された構成では入射軌道は実質的に存在せず、イオン源から出射された時点で上記反復軌道に乗ることになる。
【0011】
本発明において、反復軌道は、上記特許文献1に記載のような質量分析装置とは異なり必ずしも時間的収束性を有していなくてもよい。したがって、上記電場形成手段は、複数の扇形電場を二重対称の関係に配置するといった特殊な構成を採る必要はなく、構成上の自由度が高い。その代わりに本発明では、イオンが反復軌道を離れる位置と検出器との間のイオン経路上、又はイオン源とイオンが反復軌道に入る位置との間のイオン経路上に、電場によってイオンの軌道を適宜変化させるための補償手段を設ける。こうした補償手段の一態様として、到来したイオンを折り返すような電場を形成する反射器である構成とすることができる。また別の態様として、扇形電場を形成する電極である構成としてもよい。
【0012】
それぞれ時間に関する位置、角度、エネルギーについて収束が為されていないイオンが上記のような補償手段に導入されると、それぞれの要素のばらつきに応じて電場から受ける力が相違し、例えば異なる位置で折り返される、或いは異なった曲率の湾曲軌道を通る、等の軌道の微小な相違によってばらつきが修正され、最終的に検出器に到達する時点では時間的収束性が達成される。
【0013】
上述したように反復軌道の時間的収束性を確保するには電場形成手段の構成が非常に限定されるが、本発明に係るTOFMSによれば、反復軌道は自由度が大きく、その軌道外に比較的簡単な構成、つまり上記補償手段を追加するだけで、イオン源から検出器までの系全体としての時間的収束性を確保することができる。それによって、同一質量数を有するイオンはほぼ同時に検出器に到達するので、良好なマススペクトルを得ることができ、これに基づく定性分析、定量分析の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、以降の説明に使用するイオンの軌道の表現法について説明する。上記特許文献1に記載の構成との対比を明確にするために、これと同様の表現法を用いることとする。即ち、いま、イオンが入射面から入射し、扇形電場などを含む任意のイオン光学系により輸送されて出射面から出射する場合を想定する。また、中心軌道を通る特定エネルギーを有し特定質量数を持つイオンを特定イオンとして定めて基準とする。位置、飛行方向(角度)及びエネルギーに関し、この特定イオンからずれた初期値を有して入射面を出発したイオンが、出射面において中心軌道を進んだイオンに対して持つ空間及び時間のずれは、周知のイオン光学系の理論より次のような一次近似式で表される。
X=(x|x)x+(x|a)a+(x|d)d …(1)
A=(a|x)x+(a|a)a+(a|d)d …(2)
L=(t|x)x+(t|a)a+(t|d)d …(3)
ここで、Xは出射位置における軌道平面内での中心軌道に直交する方向の位置のずれ、Aは出射位置における飛行方向(角度)のずれ、Lは出射位置における時間のずれ、xは入射位置における軌道平面内での中心軌道に直交する方向の位置のずれの初期値、aはその方向における角度のずれの初期値、tは入射位置における時間のずれの初期値、dは入射位置におけるエネルギーのずれの初期値をそれぞれ表す。なお、一般には軌道平面に垂直な面での軌道も重要であるが、本発明の説明においてはこの軌道は重要性が低いので省略する。また(x|x)、…、(t|d)は、このイオン光学系において()内の記号の要素に依存する常数である。
【0015】
いま、ポシェンリエデール(ポシェンリエデール(W. P. Poshenrieder)、「マルチプル-フォーカシング・タイム-オブ-フライト・マス・スペクトロメーターズ パートII TOFMS・ウィズ・イコール・エネルギー・アクセラレーション(Multiple-Focusing Time-Of-Flight Mass Spectrometers Part II TOFMS With Equal Energy Acceleration)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリー・アンド・イオン・フィジックス(Int. J. Mass. Spectrom. Ion Phys.)、9(1972)、p.357参照)が提案しているような閉曲線の軌道(以下、閉軌道という)を持つTOFMSのイオン光学系について考える。このようなイオン光学系では、理想的には入射点から出発したイオンは上記閉軌道を飛行した後、再びこの入射点に戻って来る。その場合、1周回の閉軌道でイオンの周回飛行が完結するTOFMSと考えればよい。一方、イオンが上記閉軌道を多周回回った後に、初めて入射点に戻る場合も考えられるが、その場合には、入射点に戻る最低の周回数だけ回った軌道を1周とみなせばよい。いずれにしても、1周の閉軌道を持つイオン光学系が有すべき特性は、上記(1)、(2)、(3)式の記号を用いて、空間的には、
(x|x)=±1 …(4)
(x|a)=0 …(5)
(x|d)=0 …(6)
で与えられ、時間的には、
(t|x)=0 …(7)
(t|a)=0 …(8)
(t|d)=0 …(9)
で与えられることになる。(5)式及び(6)式はそれぞれ空間における角度及びエネルギーの収束(空間的二重収束)条件を表し、(7)式、(8)式及び(9)式はそれぞれ時間に関する位置、角度及びエネルギーの収束(時間的三重収束)条件を表している。但し、上述したように、ここでは空間的収束条件は考えず、時間的収束条件のみに着目する。
【0016】
さて、本発明に係るTOFMSの一実施例として、最も単純なイオン光学系の一つである扇形電場を2つ用いたTOFMSについて考える。図1はこの実施例によるTOFMSのイオン光学系2の概略構成図、つまり本発明で言うところの反復軌道を示す図である。
【0017】
図1において、対向して配置される2つの扇形電場4、7を形成するために、それぞれ同心円の一部を切り取った形状の内側電極と外側電極とを対とする電極が3、6が設けられ、扇形電場4、7によりイオンは8字状の周回軌道Pに沿って周回し得る。このようなイオン光学系2について、サクライ(T.Sakurai)らは(サクライほか2名(T.Sakurai, T.Matsuo and H Matsuda)、「イオン・オプティクス・フォー・タイム-オブ-フライト・マス・スペクトロメーターズ・ウィズ・マルチプル・シンメトリー(Ion Optics For Time-Of-Flight Mass Spectrometers With Multiple Symmetry)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリー・アンド・イオン・プロセシズ(Int. J. Mass Spectrom. Ion Proces.)、63(1985), p.273参照)、軌道が閉じているかいないかに拘わらず、面対称を持つ系について2個の電場の組み合わせを考慮した結果、上記のような時間的収束条件を満たす系は存在しないことを証している。
【0018】
一方、例えばリフレクトロン型TOFMSなどに利用される反射器を用いたTOFMSについて、マミリン(B.A.Mamyrin)ら(マミリンほか3名(B.A.Mamyrin, V.I.Karataev, D.V.Shmikk and V.A.Zagulin)、「ザ・マス-リフレクトロン、ア・ニュー・ノンマグネティック・タイム-オブ-フライト・マス・スペクトロメーター・ウィズ・ハイ・リゾリューション(The Mass-Reflectron, A New Nonmagnetic Time-Of-Flight Mass Spectrometer With High Resolution)」、Sov. Phys. JEPT, Vol.37, No.1, (1973), p.45参照)は、上記(9)式、つまり(t|d)=0を満たす条件を求め、これによって質量数の分解能を向上させた例を提示している。こうしたことから、少なくとも(t|d)の項、即ち時間に関するエネルギーの収束条件については、多重周回軌道で以て時間的収束が達成されなくても、イオンがその多重周回軌道を脱してから検出器に到達するまでの間に反射器を設置し、その反射器で適切な反射電場を設定することにより上記収束条件を満たす、つまり0にすることができることが論理的に明らかである。
【0019】
そこで、1つの実施例として、図1に示したイオン光学系2を利用したイオンの飛行経路として図2に示すような構成とする。この構成では、入口側の扇形電場4を形成する電極3にイオン入射孔5を形成し、その外側にイオン源1を配置してある。また、もう一方の出口側の扇形電場7を形成する電極6にはイオン出射孔8を形成し、その外側に反射器9を配置し、反射器9で反射されたイオンが到達する位置に検出器10を配置してある。両電極3、6には図示しない電圧発生回路からそれぞれ所定の電圧が印加され、それによって電極3、6内に扇形電場4、7が形成される。また、反射器9にも所定の電圧が印加され、イオンと逆極性であって所定の電位勾配を有する電場が形成される。
【0020】
動作を説明すると、例えばマトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI=Matrix-assisted Laser Desorption Ionization)などを利用したイオン源1から引き出された各種イオンは、当初は直進してイオン入射孔5を通過して8字状の周回軌道Pの直線部に沿って進む。その後に、電極3、6により形成される扇形電場4、7により、イオンは8字状の周回軌道Pに乗り1乃至複数回周回飛行する。イオンが周回軌道Pの直線部を飛行しているときに出口側の扇形電場7が解除されると、イオンはそのまま直進してイオン出射孔8を通過し、つまり周回軌道Pを離れ、反射器9に達する。反射器9はリフレクトロン型TOFMSに使用されている反射器と同様の構成を有し、導入されるイオンと逆極性の電場の電位勾配によってイオンを跳ね返す。その際に、同一質量数を有するイオンであっても大きなエネルギーを持つイオンほど奥まで進んだ位置で折り返され、実質的に飛行距離が長くなる。それによって反射器9で反射されて出てゆく際には、エネルギーのばらつきによる時間収束性が改善される。
【0021】
なお、基本的にはイオン光学系2で時間収束性は必要ないものの、反射器9で補償できる範囲には限界があるから、極端に時間収束性を悪化させるようなイオン光学系の構成はあまり適切でない。
【0022】
図3は上記実施例の変形例によるTOFMSのイオン経路図である。この例では、イオン源1は三次元四重極型のイオントラップであり、一対のエンドキャップ電極11、12とリング電極13とから成り、入口側エンドキャップ電極11には入射孔が出口側エンドキャップ電極12には出射孔が形成されている。例えば外部のイオン生成部で生成されたイオンがこのイオントラップに導入され、その内部に一旦保持され、所定のタイミングで以て出射孔から放出される。イオントラップは周回軌道P上にあるため、イオントラップ内でのイオンの出発点は周回軌道P上であるとみなすことができる。
【0023】
一旦、イオントラップからイオンが放出された後には、周回軌道P上を飛行するイオンはイオントラップの入射孔から入って出射孔から抜けるだけであるので、イオントラップは無いものとみなすことができる。この構成でも、イオン光学系2で時間収束性が達成されていなくても、反射器9でイオンを反射させる際にエネルギーのばらつきについての時間収束性が改善され、異なるエネルギーを以てイオントラップから出発したイオンがほぼ同時に検出器10に到達する。
【0024】
反射器9に代えて、周回軌道Pの外側に他の構成の補償手段を設置することもできる。図4は扇形電場を形成する電極20を利用した例である。扇形電場をイオンが通過する際に、そのイオンが持つエネルギーによって、エネルギーの大きなものは相対的に外周側を通り、エネルギーの小さなものは内周側を通過する。それによって飛行距離が相違し、時間的なずれが補償されてほぼ同時に検出器10に到達し得る。
【0025】
また、上記実施例では、イオンが周回軌道Pを離れる位置つまりイオン出射孔8から検出器10に到達するまでの飛行軌道上に反射器9や電極20等の補償手段を設置していたが、周回軌道Pへの入射側、即ちイオン源1とイオン入射孔5との間の飛行軌道上に上記と同様の構成の補償手段を設けても、同じような効果を得ることができる。図5は入射側の軌道上に反射器9を設置した例である。この例では、イオン源1から出発したイオンはまず反射器9で折り返されイオン入射孔5に向かって進み、周回軌道Pに乗る。
【0026】
また、上記実施例はイオン光学系2として2つの扇形電極を組み合わせたものについて述べたが、イオン光学系2の構成はこれに限らず、その構成の自由度は非常に大きい。例えば、松田(松田久「らせん軌道TOF質量分析計の改良」、J. Mass Spec. Soc. Jpn., Vol.49, No.6 (2001), p.227参照)は、扇形電場を用いた螺旋型軌道を有するTOFMSを提案しているが、このようなTOFMSにおいてもその螺旋型軌道の外側に配置した反射器等の補償手段により、最終的にイオンを時間的に収束させて検出することができる。即ち、反復軌道は完全なる同一軌道を通るものでなくてもよい。
【0027】
さらにまた、上記実施例はいずれも本発明の一実施例であるから、上述した以外の点についても、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例によるTOFMSのイオン光学系の概略構成図。
【図2】本発明の一実施例によるTOFMSで図1のイオン光学系を含むイオンの全飛行経路を示す構成図。
【図3】本発明の変形例によるTOFMSでのイオンの全飛行経路を示す構成図。
【図4】本発明の変形例によるTOFMSでのイオンの全飛行経路を示す構成図。
【図5】本発明の変形例によるTOFMSでのイオンの全飛行経路を示す構成図。
【符号の説明】
【0029】
1…イオン源
2…イオン光学系
3、6…電極
4、7…扇形電場
5…イオン入射孔
8…イオン出射孔
9…反射器
10…検出器
20…電極
P…周回軌道
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【住所又は居所】京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地
【出願日】 平成17年2月15日(2005.2.15)
【代理人】 【識別番号】100095670
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良平

【公開番号】 特開2006−228435(P2006−228435A)
【公開日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願番号】 特願2005−37132(P2005−37132)