トップ :: H 電気 :: H01 基本的電気素子




【発明の名称】 水銀収納カプセルの製造方法、水銀収納カプセル、それを用いた放電管及び放電管内への水銀放出物質の封入方法
【発明者】 【氏名】御前 英喜
【住所又は居所】大阪市淀川区野中南2丁目11番20号 日水化学株式会社内

【氏名】塩谷 健二
【住所又は居所】大阪市淀川区野中南2丁目11番20号 日水化学株式会社内

【氏名】西田 和生
【住所又は居所】大阪市淀川区野中南2丁目11番20号 日水化学株式会社内

【要約】 【課題】蛍光灯等の放電管に封入する水銀量を正確に計量できるうえ、安価に製造できる水銀収納カプセルの製造方法と、この水銀収納カプセルの製造方法により製造された水銀収納カプセルと、この水銀収納カプセルを用いる蛍光灯を提供することを目的とする。

【解決手段】水銀3を金属管1に充填した後、この金属管1を所定の間隔毎に複数の部位で押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、この押し潰した各部位で金属管1をせん断する。これにより、水銀3の切屑を出さずに、両端が押し潰されて閉じられた金属管1内に水銀3が充填されている水銀収納カプセル12を得ることができる。金属管1の両端部が押し潰されて閉じられている金属管1内の水銀3は、蛍光灯管13等の放電管内に組み込んだ後、所定の温度以上に加熱されたり金属管1に穴を開けたりするまで水銀収納カプセル12から放出されるおそれはない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀放出物質を金属又は高分子材料からなる管に充填した後、任意の間隔毎に複数の位置で当該管を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、前記管の押し潰された各部位で当該管を裁断することにより、管に水銀放出物質を封入した水銀収納カプセルを製造することを特徴とする水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項2】
金属又は高分子材料からなる管が、複数の水銀放出物質収納用膨出部とこの隣接する水銀放出物質収納用膨出部の間を連通する連通部とからなり、この管に水銀放出物質を充填した後、前記各連通部を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、前記管の押し潰された各部位で当該管を裁断することにより、管に水銀放出物質を封入した水銀収納カプセルを製造することを特徴とする水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項3】
水銀放出物質が水銀又は管への充填時に液状のアマルガムからなる請求項1又は2に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項4】
管が所定の位置で所定の長さにわたって当該管を径方向に押し潰される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項5】
管を所定の長さにわたって押し潰すと同時に、又はその後に、前記管の押し潰された部分に、当該管を裁断する位置の両側でそれぞれ少なくとも1回屈曲又は湾曲する部分を形成する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項6】
管を所定の長さにわたって押し潰すと同時に、又はその後に、前記管の押し潰された部分を当該管の軸心回りにひねって螺旋状に形成する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項7】
管がせん断、切断又は溶断のいずれかの方法により裁断される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項8】
管が高分子材料で形成されており、溶断がヒートシールによって当該管を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、前記管をヒートシールによって押し潰した各部位で当該管を熱裁断するものである請求項7に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項9】
管が裁断される位置を押し潰して圧着、閉じた後、裁断される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項10】
管が裁断される位置をせん断刃で押し潰して閉じた後、当該閉じた位置をせん断することにより裁断する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項11】
裁断された管の端部を、裁断と同時に、又は裁断後に、融着、溶接、ロウ付け、はんだ付け又は樹脂封止から選ばれた少なくとも一方法により密封する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の水銀収納カプセルの製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載された水銀収納カプセルの製造方法により製造されていることを特徴とする水銀収納カプセル。
【請求項13】
水銀収納カプセルが熱加工又は加圧加工或いは加熱・加圧加工によって球状化されてなる請求項12に記載の水銀収納カプセル。
【請求項14】
水銀放出物質が水銀である請求項12又は13に記載の水銀収納カプセル。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれか1項に記載された水銀収納カプセルが収納されていることを特徴とする放電管。
【請求項16】
水銀収納カプセルがペレットである請求項15に記載の放電管。
【請求項17】
水銀収納カプセルからなる熱陰極線又は熱陰極線リードを備える請求項15に記載の放電管。
【請求項18】
請求項12ないし14のいずれか1項に記載された水銀収納カプセルを真空引き用排気管内に収納して当該水銀収納カプセル内から水銀を気化、放出させて放電管内に入れた後、この放電管の排気孔と前記真空引き用排気管における水銀収納カプセル収納箇所との間で加熱溶断して排気孔を封止すると共に、水銀収納カプセルを除去することを特徴とする放電管内への水銀放出物質の封入方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯等の放電管に封入する水銀量を正確に計量できるうえ、安価に製造できる水銀収納カプセルの製造方法と、この水銀収納カプセルの製造方法により製造された水銀収納カプセルと、この水銀収納カプセルを用いる放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯において、電子の照射により紫外線を発する水銀を蛍光管灯球グローブの中に封入する方法としては、直接に水銀を蛍光管内に滴下する方法(特許文献1参照。)、水銀放出物質としてのアマルガムからなるペレットを蛍光管内に封入する方法(特許文献2参照。)、水銀を含浸させた多孔質体を蛍光灯管内に封入する方法(特許文献3参照。)、水銀を封入したガラスカプセルを蛍光灯管内に封入する方法(特許文献4参照。)、電極(冷陰極)の表面に水銀放出物質としてのアマルガムを塗布する方法、水銀放出物質としての粉末状のアマルガムを金属管に充填したものを蛍光灯管内に封入する方法(特許文献4参照。)などが挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開平6−96676号公報
【特許文献2】特開平6−260139号公報
【特許文献3】特開平6−20647号公報
【特許文献4】特表2003−526881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術のうち、直接に水銀を蛍光管内に滴下する方法においては、生産性を向上させて量産化を実現しようとすると、正確に水銀の微小滴を滴下することが困難になるという課題がある。
【0005】
又、水銀を含浸させた多孔質体を蛍光灯管内に封入する方法は、当該多孔質体に水銀を含浸させるために複雑な操作を要し、コスト高になる上、大気中に放散される水銀蒸気に関する環境対策に多大な費用を要するという課題を伴う。
【0006】
更に、水銀を封入したガラスカプセルを蛍光灯管内に封入する方法には、ガラスカプセルの中に封入される水銀量を正確に制御できないという課題がある。
【0007】
そして、電極(冷陰極)の表面に水銀放出物質としてのアマルガムを塗布する方法は、広く普及している熱陰極線を用いる蛍光灯には適用できないという課題がある。
【0008】
又、直管型で、40W品にはリボン方式のものが普及し、市販されている。
【0009】
ところで、水銀放出物質としての粉末状のアマルガムを金属管に充填した水銀収納カプセルを蛍光灯管内に封入する方法により製造された水銀収納カプセルは熱陰極線に用いることが可能であり、粉末状アマルガムの表面の大部分が金属管で被覆されているので、大気中への水銀蒸気の放散による環境汚染の度合が低いという利点を伴っている。
【0010】
しかしながら、この方法では、粉末状のアマルガムを充填した金属管を裁断する時にその断面が金属管を横切る方向に切断するために、水銀放出物質を含んだ切屑が発生するので、作業環境を改善するための対策に多大な費用を要するいう課題が生じる。
【0011】
又、粉末状のアマルガムを充填した金属管を裁断する時にその切断面に当該粉末状のアマルガムが噛み込んで当該粉末状のアマルガムが露出し、この切断面から大気中への水銀蒸気の放散による作業環境の汚染が生じるので、この作業環境を改善するための対策に多大な費用を要するという問題も残されている。
【0012】
更に、直径が大きい管状金属容器に粉末状のアマルガムを充填し、これを2対のローラ間を多段階にわたって通過させて当該管状金属容器を縮小させ、これによって、所要の細管径にした後、複数のディスペンサ要素単体に切断するものであるが、粒度の均一性及び粒度分布の均一性を担保することが困難であり、充填された粉末状アマルガムの粒度や粒度分布の差異によって各ディスペンサ要素単体中の水銀量にバラツキが生じるとの問題も有る。
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために完成されたものであって、蛍光灯等の放電管に封入する水銀量を正確に計量できるうえ、安価に製造できる水銀収納カプセルの製造方法と、この水銀収納カプセルの製造方法により製造された水銀収納カプセルと、この水銀収納カプセルを用いる蛍光灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る水銀収納カプセルの製造方法(以下、本発明第1方法という。)においては、前記目的を達成するため、水銀放出物質を金属又は高分子材料からなる管に充填した後、所定の間隔毎に複数の位置で当該管を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、前記管の押し潰された各部位で当該管を裁断することにより、管に水銀放出物質を封入した水銀収納カプセル(以下、適宜カプセルと略称する。)を製造することを特徴とする、との技術的手段を採用したものである。
【0015】
本発明に係る水銀収納カプセルの製造方法(以下、本発明第2方法という。)においては、金属又は高分子材料からなる管が、複数の水銀放出物質収納用膨出部とこの隣接する水銀放出物質収納用膨出部の間を連通する連通部とからなり、この管に水銀放出物質を充填した後、前記各連通部を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、前記管の押し潰された各部位で当該管を裁断することにより、管に水銀放出物質を封入した水銀収納カプセルを製造することを特徴とするものである。
【0016】
本発明第1方法と本発明第2方法との相違点は、本発明第1方法の管における管径が一定であるものを用いるのに対し、本発明第2方法の管における管径が複数の膨出部とこの隣接する膨出部の間を連通する連通部とからなるものを用いる点において異なり、従って、以下の説明において、本発明第1方法と本発明第2方法とに共通するときには本発明方法と記載して重複説明を避ける。
【0017】
本発明第1方法においては、水銀放出物質を金属又は高分子材料からなる管に充填した後、所定の間隔毎に複数の部位で当該管を径方向に押し潰して閉じることにより、管内の水銀放散物質をこの押し潰された部位の両側に押し退けることができる上、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間に水銀放出物質を隙間なく、しかも水銀放出物質の流動を堰止めた状態で充填することができる。
【0018】
又、本発明第2方法においては、金属又は高分子材料からなる管が、複数の水銀放出物質収納用膨出部とこの隣接する水銀放出物質収納用膨出部の間を連通する連通部とからなり、この管に水銀放出物質を充填した後、前記各連通部を径方向に押し潰して閉じることにより、管内の水銀放散物質をこの押し潰された部位の両側に押し退けることができる上、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間、特に、膨出部に水銀放出物質を隙間なく、しかも水銀放出物質の流動を堰止めた状態で充填することができる。
【0019】
そして、本発明方法においては、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間に水銀放出物質を隙間なく充填することができるので、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間隔、換言すると、管の内径と管を裁断する長さを適宜設計することにより、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間に充填される水銀放出物質の量(水銀量)を簡単に、しかも、すこぶる正確に設定できるうえ、水銀収納カプセルを廉価に製造できるのである。
【0020】
もちろん、本発明方法によれば、両端が押し潰されることにより閉じられている管とその内部に封入された水銀放出物質とを備える水銀収納カプセル、即ち、本発明に係る水銀収納カプセルを得ることができるのである。
【0021】
本発明、つまり本発明方法、本発明に係る水銀収納カプセル及びそれを用いた放電管について更に詳細に説明すれば、以下の通りである。
【0022】
本発明において、前記水銀放出物質とは、蛍光灯等の放電管(以下、単に放電管という。)の点灯時において当該放電管の管内温度で所定の水銀蒸気圧になるように水銀蒸気を放出することができる物質のことであり、水銀及びアマルガムが含まれるのであり、このアマルガムは常温で固体のものでも液状のものでも良好であるが、少なくとも管への充填時に、加熱や加温によって、液状であることを要する。
【0023】
前記アマルガムとしては特に限定されるものではないが、例えばチタンとのアマルガムや、銅、錫、亜鉛、銀又は金等の単一金属等のアマルガム、銅・錫合金、銅・銀合金、銅・珪素合金、銅・錫・ミッシュメタル合金、又は真鍮等の合金とのアマルガムなどを用いることができる。
【0024】
これらの水銀放出物質の中では、コストが安く、しかも、常温で優れた流動性を示し、例えば重力や注入或いは真空吸引などにより微細な金属管内に容易に充填することができる水銀を用いることが好ましい。
【0025】
なお、アマルガムには、必要に応じて、促進剤及び/又はゲッター物質を添加することが可能である。
【0026】
ここで、前記ゲッター物質とは、放電管内の放出ガスを吸収して真空度を維持する物質であり、例えば亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金、バナジウム、バナジウム合金、鉛、鉛合金、コバルト又はミッシュメタル合金等から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0027】
本発明方法において、前記水銀放出物質を充填する管としては押し潰して閉じることができる性質を備える材料で形成されていれば特に限定されるものではなく、具体的には、金属管や高分子材料製管が挙げられるのであり、特に、熱可塑性の高分子材料製管が、押し潰してヒートシールで閉じ、これと同時に、又はこの後に、管の押し潰された各部位で当該管を熱裁断(溶断)し得るので好ましい。
【0028】
本発明方法で用いられる金属管の素材としては、水銀とアマルガムを形成する金属を用いてもよいが、一般的には、金属管がその内部に封入された水銀とのアマルガムを形成し、表面から水銀を放出し難くなるのを防止するために、アマルガムを形成し難い金属であることが好ましく、具体的には、例えばマンガン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの中から選択される2種以上の金属の合金、或いはこれらの中から選択された1種以上の金属とこれら以外の他の金属から選択された1種以上の金属との合金などが挙げられる。又、管の横断面形状としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば円形、四角形等の多角形、楕円形等のものが挙げられる。
【0029】
本発明第1方法において、この金属管又は高分子材料製管においてその管径としては、特に限定されるものではないが、最も好適なのは、金属管の場合、内径1mm以下で、しかも直線状の管では1〜3mのものであり、コイル状等の巻回された管では200mまでの市販品が容易に入手できるステンレススチール(例えば日本工業規格のSUS304)からなる管、や熱可塑性の高分子材料製管が挙げられる。この熱可塑性の高分子材料製管の場合には、内径1mm以下で、しかもパイプ状の管では1mのものであり、長尺状の管では500m巻の市販品が挙げられる。
【0030】
このように、本発明第1方法において、管の内径は、1mm以下であることが好ましく、特に、0.75mm以下であることが、水銀量を正確に制御できる上、金属管の場合、線形のカプセルを小さい螺旋形に曲げるなどの加工が容易になるので特に好ましい。
【0031】
本発明第1方法において、内径が1mmを超える金属管を用いる場合には、例えば圧延、押出成形、引抜成形などにより金属管の内径を1mm以下に細くした後、水銀放出物質を当該金属管に充填しても良いが、水銀放出物質の充填性を良好にするために、内径が1mmを超える金属管に水銀放出物質を充填してから圧延や引抜成形により当該金属管の内径を1mm以下、更に、内径を0.75mm以下に細くすることが最も好ましい。
【0032】
なお、この金属管又は水銀放出物質を充填した金属管を圧延する方法としては、特に限定はされないが、例えばこれをダイスで絞る押し出し加工で多段階にわたって通過させて当該金属管を細くし、これによって、所要の細管径に圧延方法を採用すればよい。
【0033】
又、本発明第2方法においては、本発明第1方法と同様の材質で管が形成されるが、この場合、金属又は高分子材料からなる管が、複数の水銀放出物質収納用膨出部とこの隣接する水銀放出物質収納用膨出部の間を連通する連通部とからなるものであり、この膨出部としては、連通部より外方に膨らんだ状態であり、例えば卵形、紡錘状、略球状又は球状等のものが挙げられるのであり、又、連通部としては、帯状又は細管状のものなどが挙げられるのであり、従って、例えば吹き込み成形、加熱吹き込み成形等によってこのような形状に成形し易い高分子材料、特に、熱可塑性合成樹脂を用いるのが望ましい。
【0034】
本発明第2方法においては、このような膨出部を水銀収納カプセルとすることによって転がり易く、一層確実に放電管内や排気管内に入れることができるので望ましい。
【0035】
本発明方法において、前述の管に必要とされる性質を備える素材としては、特に、水銀放出物質を充填する時に形状変化が生じない程度の剛性を備え、所定の温度以上では軟化し、押し潰して閉じることができる高分子材料が望ましい。
【0036】
即ち、本発明方法においては、前記管が高分子材料で形成されており、この管に水銀放出物質を充填後、ヒートシールによって当該管を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、当該管をヒートシールによって押し潰した各部位で熱裁断(溶断)し得るものも好適に用いることができる。
【0037】
本発明方法において、このように水銀放出物質を充填した高分子材料製管を用い、当該管をヒートシールによって押し潰した各部位で熱裁断(溶断)すると、熱裁断に際して管内の水銀放出物質が露出して管外の大気に接触することがなくなり、熱裁断に際して水銀蒸気が管外に拡散されるおそれがなくなる上、加工屑の発生がなくなるのである。
【0038】
このように、本発明方法において、水銀収納カプセルを製造するにあたり、ヒートシールによる方法を用いると、当該水銀収納カプセルを製造する作業環境を改善することができる上、製造されたカプセルを破壊しない限り、水銀放出物質がカプセル外の大気に接触する恐れが無くなり、しかも水銀蒸気がカプセルから漏れる恐れも無くなるので、カプセルの流通段階においても環境を改善することができる。
【0039】
本発明方法において、前記管の素材としての高分子材料としては、放電管の使用中における最高雰囲気温度において有機物質の蒸散や有機分解ガスを発生しないものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば超高分子量ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフロロアルキレート(PFA)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)等の合成樹脂やポリウレタンやブタジエンさらにNBR等の各種ゴム(例えば熱可塑性エラストマーを含む。)等が挙げられる。
【0040】
前述のように、管を高分子材料で形成する場合、一般的には、管が熱可塑性の高分子材料で形成され、且つヒートシールによって当該管を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、前記管をヒートシールによって押し潰した各部位で当該管を熱裁断する方法が挙げられるが、例えばポリテトラフロロエチレン(PTFE)のような高分子材料で形成された管のときには、熱をかける事なく室温で、管を押圧するだけで当該管を径方向に押し潰して閉じる(圧着する)ことができるのであり、このように、管を押圧するだけで当該管を径方向に圧着し、これと同時に、又はこの後に、前記管を押し潰した各部位で当該管を裁断しても良いのである。
【0041】
前記金属管又は高分子材料製管の肉厚は、所要の強度が得られる限り特に限定されるものではないが、コストダウンを図るために、例えば内径1mm以下のステンレススチールからなる金属管の場合には、肉厚0.09〜0.18mmの市販品を用いればよいのであり、又、高分子材料製管、例えば内径1mm以下の熱可塑性ポリイミド製管(グンゼ株式会社製 商品名 サーモレクス)の場合には外径が0.4〜1.9mm、内径が0.3〜1.8mmの市販品が挙げられるのであり、又、ポリエーテル・エーテル・ケトン製管の場合には外径が1.59mmのものでは内径が0.13〜1.00mmのものが挙げられるのであり、更に、市販されている外径が0.6mm、内径が0.4mm、肉厚が0.1mmのPFA管、外径が0.76mm、内径が0.3mm、肉厚が0.08mmのPTFE管等が挙げられる。
【0042】
このように、高分子材料で管を製造すると、この管には柔軟性があり、当該管を螺旋状に巻回した状態で当該管に水銀放出物質を充填したり、ヒートシールや溶断更に圧着、裁断によって高速で水銀収納カプセルを製造できるのであり、その結果、生産性が良好で、至極廉価に水銀収納カプセルが製造できるので望ましい。
【0043】
ところで、本発明方法において、前記水銀放出物質を管に充填する方法としては、例えば水銀放出物質の流動性と自重を利用して管の上端から水銀放出物質を注入する方法、液状の水銀放出物質の池に両端が開放された管を浸漬して、水銀放出物質の流動性を利用して管に水銀放出物質を流入させる方法、液状の水銀放出物質の池に両端が開放された管の下端部を浸漬し、上端部から真空吸引することにより大気圧を利用して管に水銀放出物質を充填する方法等の方法の中から選択された方法を採用すれば良いのである。
【0044】
これらの方法の中では、短時間で気泡を混入させることなく確実に管に水銀放出物質を充填し得るために、水銀放出物質の流動性と自重を利用して管の上端から水銀放出物質を注入する方法、あるいは液状の水銀放出物質の池に両端が開放された管の下端部を浸漬し、上端部から真空吸引することにより大気圧を利用して管に水銀放出物質を充填する方法を採用することが好ましい。
【0045】
即ち、本発明方法においては、水銀又は液状アマルガムなどの水銀放出物質を貯留した水銀池の底部に開閉弁を介在させた少なくとも一個の流路に、前記各管の上端部を連結、連通し、水銀放出物質の流動性と自重を利用して水銀放出物質を流下させて当該管内に水銀放出物質を充填すると共に、当該管の下端部を径方向に押し潰して閉じたり、真空吸引装置に開閉弁を介在させた真空吸引路を介して前記管の上端部を連通させると共に、水銀放出物質を貯留した水銀池に当該管の下端部を沈漬した後、前記管内を真空にすることにより当該水銀放出物質を前記管内に水銀池の表面から所定の高さまで吸引し、更にこの後、前記開閉弁を閉弁してから、前記金属管の下端を池から抜き上げて、水銀の粘度や表面張力更に大気圧並びに管との摩擦等の影響により前記所定量の水銀放出物質を前記管内に保持させる方法を採用することが好ましい。
【0046】
本発明方法において、水銀放出物質が常温で液状である水銀を用いると、水銀放出物質を液化させるために加熱する必要がないので、一層コストを削減できる結果、極めて有益である。
【0047】
又、水銀放出物質を管内に充填する方法としては、内径が所定の太さ、例えば内径が1mmを超える太い金属管の場合には、例えば常温で液状アマルガム或いは加熱によって液状アマルガムからなる水銀放出物質を充填する方法を採用し、この後、水銀放出物質が充填されている管を所定の太さ、例えば内径が1mm以下になるまで圧延などにより小径に形成する方法を採用してもよいが、前述したように、水銀放出物質を充填した後に金属管を圧延する工程を省いてコストダウンを図るため、液状の水銀放出物質を予め所定の太さ、例えば内径1mm以下に形成された細管に真空吸引などにより吸引して充填する方法などを採用することが好ましい。
【0048】
前述の方法において、管内に水銀放出物質を真空吸引によって充填するには、金属管内の真空度(減圧度)を調整することにより、例えば水銀の場合には管内の水銀の液面高さを水銀池の液面から76cm以下の範囲で自由に調整したり、水銀池の液面から76cm以下の範囲で当該管を螺旋状に巻回して長尺状の管に水銀を充填したりすることができるのであり、この点は水銀池の底部から重力を用いて水銀放出物質を流下させて管内に当該水銀流失物質を充填させる場合においても同様に行うことができるので好ましい。
【0049】
即ち、本発明方法においては、前記管を直立させることは必要ではなく、具体的には、例えば200mの長さを有する直管状の管を傾斜させたり、螺旋状に曲げたりした後、水銀池の液面から76cm以下の範囲で当該管内に水銀放出物質を確実に充填することができるのである。
【0050】
本発明において、管を径方向に押し潰して閉じる方法としては、例えばロールプレスなどのプレス機械を用いて管を所定の長さにわたって押し潰して閉じる方法と、シザーズ(鋏)、シヤー(せん断機)などを用いていわば1点で押し潰して閉じる方法とがあり、高分子材料からなる管を用いる場合には、必要に応じて、管を例えば高周波加熱により加熱して軟化させた状態で管を径方向に押し潰して閉じたり、ヒートシール等の方法を好適に採用することができる。
【0051】
本発明方法において、管を所定の長さにわたって径方向に押し潰して閉じる方法を採用する場合には、管が所定の長さにわたって偏平板状に押し潰して閉じられるが、この場合には管がその軸心を中心に対称的な偏平板状になるように押し潰してもよく、又は、管の直径方向の一方の肉壁が他方の肉壁に偏る偏平板状になるように押し潰してもよい。
【0052】
本発明方法において、管を所定の長さにわたって偏平になるように押し潰して閉じる方法を採用する場合には、管を押し潰すと同時に、又は管を押し潰した後に、この押し潰された部位において、管を裁断する点の軸方向両側でそれぞれ少なくとも1回屈曲又は湾曲する波板形に押し潰しても良いのである。
【0053】
又、本発明方法において、管を所定の長さにわたって偏平になるように押し潰して閉じる方法を採用する場合には、管を押し潰した後に前記管をその軸心回りに捩ることにより、例えば偏平板状に押し潰された部位を螺旋状の3次元曲面形状に形成することも可能である。
【0054】
このように管を押し潰した部位を屈曲又は湾曲させたり、軸心回りにひねって螺旋状に捩ったりすると、押し潰しにより重ね合わされた管壁の間の極微小な隙間が更に小さくなり、大気が管の内外にわたって流動することを一層確実に防止できるようになり、管内の水銀放出物質から管外に水銀蒸気が拡散することを防止できるので、有益である。
【0055】
本発明方法において、所定の間隔毎に複数の位置で管を径方向に押し潰して閉じる方法としては、当該管を隣接する複数の位置で同時に押し潰す方法を採用してもよいが、押し潰しにより管内の圧力が増大して水銀放出物質が押し潰しの妨げとなることを防止するために、わずかに時間的な差を置いて管の一方の端から順に押し潰す方法を採用することが好ましい。
【0056】
即ち、前述した方法で所定量の水銀放出物質を管内に保持させた状態で管の下端を押し潰して閉じた後(ヒートシール等の封止方法も含む。)、管の上端を大気中に開放し、更にこの後、予め定められた複数の位置で下側から順に管を押し潰して閉じる方法を採用することが好ましい。
【0057】
ところで、管を押し潰して閉じる方法は特に限定されるものではないが、例えば管を挟み込む1段又は複数段の対をなすピンチローラを備えるローラープレスを用いればよく、高分子材料製管を押し潰して閉じるためには、特に限定されないが、例えば高分子材料製管を挟み込む1対のヘッドとこの1対のヘッドの少なくとも一方を介して高分子材料からなる管を加熱して軟化させる高周波溶融装置を備えるヒートシーラを用いればよいのである。
【0058】
前記ローラープレスの少なくとも一方のピンチローラの外周面に少なくとも1つの突起を形成すると、この突起により所定の間隔毎に複数の位置で当該管が径方向に押し潰されて閉じられ、この突起の無い部分に挟み込まれる管の部分、つまり突起に挟み込まれない管の部分が水銀或いはアマルガムを収納する収納部となるのである。
【0059】
前記ヒートシーラのヘッドは特に限定されるものではないが、ローラープレスのピンチローラと同様に、外周面に少なくとも1つの突起が形成されているローラで構成すると、その突起により所定の間隔毎に複数の位置で当該管が径方向に押し潰されて閉じられ、この突起の無い部分に挟み込まれる管の部分、つまり突起に挟み込まれない管の部分に水銀或いはアマルガムを充填することができる。
【0060】
前記の水銀或いはアマルガムの各収納部に収納される水銀放出物質は、当該収納部の下側の部分を押し潰して閉じた後、当該収納部の上側の部分を押し潰す時に、当該収納部の上側の収納部に収納されている水銀放出物質から分離され、当該収納部に密封される。
【0061】
又、収納部の上側で押し潰される部分の水銀放出物質は、押し潰す圧力又は押し潰す圧力と水銀放出物質の表面張力により下側又は上側の収納部に押し込められるので、水銀放出物質が当該収納部に隙間無く収納されると共に、押し潰して閉じた管の部分に水銀放出物質が残留することはない。
【0062】
本発明方法において、シザーズ(鋏)、シヤー(せん断機)などを用いて管をいわば1点で押し潰して閉じる方法を採用する場合には、前記管をせん断するせん断刃で管を挟み、せん断刃の間隔を狭めることにより、前記管がせん断刃で押し潰されて裁断位置で閉じられる。そして、引続きせん断刃の間隔を狭め、必要に応じてせん断刃を差違えることにより前記管をせん断により裁断することができる。
【0063】
即ち、この方法を採用すれば、管を押し潰して閉じることがせん断刃により管をせん断する過程で実現されるので、工程数を削減して大幅なコストダウンを図ることができる。
【0064】
又、この方法においても、予め設定された全部位の裁断を同時に行ってもよいが、押し潰しにより管内の圧力が増大して水銀放出物質が押し潰しの妨げとなることを防止するために、わずかに時間的な差を置いて管の一方の端から順に押し潰す方法を採用することが好ましい。
【0065】
ところで、本発明において、裁断とは裁断面を機械的に分断することを広く意味しており、その方法としては、スライサ、ダイシングマシン、ソーイングマシンなどによる切削又は研削により切断する方法や、はさみ、せん断機などによりせん断する方法などが含まれる他、溶断する方法も含まれる。もちろん、切断する方法には管を加熱して軟化させた状態で切断する方法が含まれ、せん断する方法には管を加熱して軟化させた状態でせん断(溶断)する方法等が含まれる。
【0066】
本発明方法において、前記管を押し潰して裁断する位置の間隔は、特に限定されるものではなく、本発明方法により製造される水銀収納カプセルの用途により自由に設計される。
【0067】
即ち、本発明に係る水銀収納カプセルはその長さは特に限定されるものではないが、特に、例えば熱陰極線用の線材あるいは熱陰極線のリードとして利用するために5〜10数mmの長さに裁断されたり、例えば放電管内に封入するペレットとして利用するために、例えば0.5mm〜10mmの長さに裁断されたりする。
【0068】
ところで、本発明方法によれば、カプセルに収納される水銀放出物質の量を管の内径と裁断長さによって正確に制御できるので、前記水銀収納カプセルから放出可能な水銀量の制御は管の内径と裁断寸法に依存して正確に行うことができる。この制御は内径が1mm以下の管を用いる場合には一層高い精度で行うことができるのであり、管の内径が更に小さくなる0.75mm以下の管を用いる場合には、一層高い精度の制御ができるので望ましい。
【0069】
なお、例えば内径0.5mm未満の管を用いる場合には、設定された長さの水銀収納カプセルの両端部を所定の長さにわたって押し潰し、その押し潰した部位の中間部を螺旋形に巻いたり、波形或いはジグザグに屈曲させたりすることが著しく容易になり、このように構成すると、裁断箇所の密封性が著しく向上する結果、裁断に際して管内の水銀放出物質が露出して管外の大気に接触することがなくなる上、裁断に際して水銀蒸気が管外に拡散されるおそれがなくなったり、加工屑の発生がなくなるのである。
【0070】
又、本発明方法においては、金属管の押し潰された部位で当該金属管を溶断することにより裁断する方法を採用する場合には、特に、短時間で高エネルギーを集中できるレーザー溶断を行うのが望ましい。
【0071】
更に、本発明方法において、金属管としてなまし管を用いた場合や管径によっては押し潰しだけで管端部を完全に密閉し得ることがあるが、この完全密閉が困難な場合には、前述したように押し潰した部分を屈曲させたり、湾曲させたり、ねじったりすることにより密閉することができる他、金属管を切断又はせん断した後、当該切断又はせん断した部位を、溶融、溶接、ロウ付け、はんだ付け又は樹脂封止の中の少なくとも一方法によって確実に密封するのが好ましいのであり、又、この方法において、高分子材料製管の場合においては、必要に応じて、樹脂封止を行うのが望ましい。
【0072】
この完全に密閉する方法としてはその目的が達成されるのであれば特に限定されるものではないが、特に、金属管の場合には、微細な箇所を短時間で、しかも高エネルギーを集中できるレーザー溶接が最も好ましい。
【0073】
又、前記樹脂による完全に密閉する方法としてはその目的が達成されるのであれば特に限定されるものではないが、裁断箇所を溶融樹脂や樹脂溶液中に浸漬したり、或いは裁断箇所に溶融樹脂や樹脂溶液を吹き付けたりする方法が採用される。
【0074】
本発明方法において、このように溶融、溶接、ロウ付け、はんだ付け又は樹脂封止の中の少なくとも一方法によって確実に密封すると、管内の水銀放出物質が露出して管外の大気に接触することがなくなったり、水銀蒸気が管外に拡散されるおそれがなくなるのである。
【0075】
又、本発明方法において、このように構成すると、水銀収納カプセルを製造する作業環境を改善することができる上、製造されたカプセルを破壊しない限り、水銀放出物質がカプセル外の大気に接触する恐れが無くなり、しかも水銀蒸気がカプセルから漏れる恐れも無くなるので、カプセルの流通段階においても環境を改善することができる。
【0076】
次に、本発明に係る水銀収納カプセルにおいては、前述の本発明方法により製造されたものであり、両端が押し潰されることにより閉じられている金属管あるいは高分子材料製管の内部に封入された水銀放出物質を備えることを特徴とする、との技術的手段を採用したものである。
【0077】
本発明の水銀収納カプセルによれば、押し潰し(ヒートシールも含む。)により閉じられ、水銀放出物質が無い部位を裁断してカプセル化されているのであり、このため、管の内径と裁断長さを制御することによって水銀量を正確に計量できるうえ、安価に製造できるのである。
【0078】
本発明の水銀収納カプセルにおいては、当該水銀収納カプセルを熱加工又は加圧加工或いは加熱・加圧加工によって球状化させると、この水銀収納カプセルは転がり易く、従って、一層確実に放電管内や排気管内に入れることができるので好ましい。
【0079】
又、本発明の水銀収納カプセルにおいては、前述の理由により、水銀放出物質が水銀であるものが望ましい。
【0080】
次に、本発明に係る放電管においては、前述の本発明に係る水銀収納カプセルを備えることを特徴とするので、蛍光灯等の放電管に封入する水銀量を正確に計量できる等の前述の利点が発生するのである。
【0081】
本発明に係る放電管において、水銀収納カプセルを熱陰極線あるいはそのリードとして用いる場合には、熱陰極線の発熱により水銀収納カプセルの温度が上昇すると、金属管内の水銀が膨張して、例えば押し潰しにより閉じられている管端部を開く。この結果、金属管の内部と放電管内の雰囲気とが連通し、水銀が金属管内からその周囲の雰囲気中に放散され、これにより、放電管の内部温度(雰囲気の温度)に対応する蒸気圧の水銀が放電管内に確保されるようになる。
【0082】
又、本発明に係る放電管において、前記水銀収納カプセルを当該放電管内に封入されるペレットとして用いる場合には、管内温度が所定値以上に上昇すると、水銀収納カプセル内部の水銀蒸気圧が上昇して、例えば管端を押し開くことにより当該管内からこの管外の放電管内部に水銀が放散されるのであり、その結果、放電管の内部温度(雰囲気の温度)に対応する蒸気圧の水銀が放電管内に確保されるようになる。
【0083】
更に、水銀収納カプセルを加熱による熱膨張又は水銀の蒸気圧によって当該カプセルを開くにあたり、その加熱方法としては特に限定されるものではないが、熱線・電磁波(高周波誘導加熱)などによるふく射熱による方法或いはレーザー等によって水銀収納カプセルに穴を開ける方法等が好適に採用される。
【0084】
なお、水銀放出物質を封入した管(カプセル)の端部は最初に開かれた時に塑性変形されたり、水銀放出物質を封入した管を破壊したりして、水銀は、必要な時には、この管に妨げられることなく管外、つまり放電管内に放出されるのである。
【0085】
ところで、水銀放出物質を封入した管において、予め、その管の周面に切溝又は薄肉部を形成しておき、当該管内外の圧力差が一定以上になると、この切溝又は薄肉部が破断して前記管の内外が容易に連通するように構成することも可能である。
【0086】
更に、本発明に係る放電管内への水銀放出物質の封入方法においては、前述の本発明に係る水銀収納カプセルを真空引き用排気管内に収納して当該水銀収納カプセル内から水銀を気化、放出させて放電管内に入れた後、この放電管の排気孔と前記真空引き用排気管における水銀収納カプセル収納箇所との間で加熱溶断して排気孔を封止すると共に、水銀収納カプセルを除去することを特徴とするものである。
【0087】
このように構成すると、蛍光灯等の放電管内に、水銀放出後の水銀収納カプセルが残存することがなく、その結果、この放電管を振っても不快音が発生しないので、当該放電管の使用者に安心感を与えるのである。
【発明の効果】
【0088】
以上に説明したように、本発明第1方法においては、水銀放出物質を金属又は高分子材料からなる管に充填した後、所定の間隔毎に複数の部位で当該管を径方向に押し潰して閉じることにより、管内の水銀放散物質をこの押し潰された部位の両側に押し退けることができる上、隣接する押し潰しにより閉じられた部分(部位)の間に水銀放出物質を隙間なく、しかも水銀放出物質の流動を堰止めた状態で充填することができる。
【0089】
その結果、本発明第1方法においては、隣接する押し潰しにより閉じられた部分(部位)の間隔、換言すると、管の内径と管の裁断長さを適宜設計することにより、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間に充填される水銀放出物質の量(水銀量)を簡単に、しかも、すこぶる正確に設定できるうえ、水銀収納カプセルを廉価に製造できるなどの効果を奏するのである。
【0090】
本発明方法において、水銀放出物質を充填した管を所定の位置で裁断することにより、当該管を径方向に押し潰して閉じると共に、裁断する方法を採用する場合には、工程数を削減して大幅なコストダウンを図ることができるなどの効果を得ることができる。
【0091】
本発明方法において、水銀放出物質としては、水銀又はカプセル化のときに液状のアマルガムが用いられるが、水銀放出物質として常温で液状の水銀を用いると、アマルガムを製造する工程やアマルガムを加熱する工程を省略してコストダウンを図ることができる効果が得られる上、水銀放出物質の充填が常温で容易に行えるので管内への水銀放出物質の充填工程のコストを削減することができる効果を得ることができるのであり、これらの効果の相乗によりすこぶる大幅なコストダウンを図ることができるという効果も得ることができる。
【0092】
又、本発明方法において、金属管がアマルガムを形成し難い金属からなる方法を採用すると、短期間の内に金属管が内部の水銀とアマルガムを形成し、その表面から水銀を放出することを長期間にわたって防止できるので、品質の長期安定性を図ることができるなどの効果を得ることができる。
【0093】
更に、本発明方法においては、管が高分子材料で形成されており、この管に水銀放出物質を充填後、ヒートシールによって当該管を径方向に押し潰して閉じ、これと同時に、又はこの後に、当該管をヒートシールによって押し潰した各部位で熱裁断(溶断)すると、管外への水銀蒸気ないし水銀放出物質の拡散及び管表面から大気中への水銀蒸気の放散を確実に防止することができるのであり、しかも、管内の水銀放散物質をこの押し潰された部位の両側に押し退けてヒートシール箇所には水銀放出物質が存在しないから、熱裁断(溶断)に際して水銀蒸気が管外に拡散されるおそれがなくなる上、加工屑の発生もなくなるのであり、更に、長期間にわたり品質を保存できると共に環境に対する安全性をすこぶる高くすることができるなどの効果を得ることができる。
【0094】
このように、本発明方法において、水銀収納カプセルを製造するにあたり、ヒートシールによる方法を用いると、水銀蒸気が管外に拡散されるおそれがなくなるので、当該水銀収納カプセルを製造する際の作業環境を改善することができるのであり、また製造されたカプセルを破壊しない限り、水銀放出物質がカプセル外の大気に接触する恐れが無くなる上、高速で水銀収納カプセルが製造できる結果、生産性が良好で、至極廉価に水銀収納カプセルを製造できるのであり、しかも、水銀蒸気がカプセルから漏れる恐れも無くなるので、当該水銀収納カプセルの流通段階においても環境を改善することができるなどの効果を奏するのである。
【0095】
特に、本発明方法においては、このように、高分子材料で管を製造すると、この管は柔軟性があるので、当該管を螺旋状に巻回した状態で水銀放出物質を充填することによって狭い空間でも作業が可能になる上、ヒートシールや溶断、更に圧着、裁断によって高速で水銀収納カプセルを製造できるのであり、その結果、生産性が良好で、至極廉価に水銀収納カプセルを製造できるなどの効果を奏するのである。
【0096】
本発明第2方法においては、金属又は高分子材料からなる管が、複数の水銀放出物質収納用膨出部とこの隣接する水銀放出物質収納用膨出部の間を連通する連通部とからなり、この管に水銀放出物質を充填した後、前記各連通部を径方向に押し潰して閉じることにより、管内の水銀放散物質をこの押し潰された部位の両側に押し退けることができる上、隣接する押し潰しにより閉じられた部分の間、特に、膨出部に水銀放出物質を隙間なく、しかも水銀放出物質の流動を堰止めた状態で充填することができるのであり、このような膨出部を水銀収納カプセルとすることによって転がり易く、一層確実に放電管内や排気管内に入れることができるなどの効果を奏するのである。
【0097】
更に、本発明方法において、高分子材料製管をヒートシールする場合や金属管としてなまし管を用いた場合更に管径によっては押し潰しだけで管端部を完全に密閉し得る場合があり、このように構成することにより、管を水銀放出物質が押し退けられて無くなっている部位で裁断するので、裁断時や裁断後、水銀収納カプセルが放電管に組込まれるまでの間に水銀放出物質から大気中に水銀蒸気が放散される恐れや水銀放出物質を含む加工屑が発生する恐れが無くなるのであり、一方、この完全密閉が困難な場合においては、押し潰した部位を屈曲させたり、湾曲させたり、ねじったりすることによって確実に密閉にしたり、あるいは金属管を裁断した後、当該裁断した部位を、溶融、溶接、ロウ付け、はんだ付け又は樹脂封止などの中の少なくとも一方法によって確実に密封すると、管内の水銀放出物質が露出して管外の大気に接触することがなくなったり、水銀蒸気が管外に拡散されるおそれがなくなるなどの効果を奏するのである。
【0098】
又、本発明方法において、このように構成すると、水銀収納カプセルの製造を含めた放電管の製造工程における作業環境に対する改善・安全性の向上や、製品の流通過程における環境に対する安全性を著しく高めることができる上、製造されたカプセルを破壊しない限り、水銀放出物質がカプセル外の大気に接触する恐れが無くなり、しかも水銀蒸気がカプセルから漏れる恐れも無くなるので、カプセルの流通段階においても環境を改善することができるなどの効果を奏するのである。
【0099】
次に、本発明に係る水銀収納カプセルにおいては、前述の本発明方法により製造されたものであり、両端が押し潰されて閉じられた金属管あるいは高分子材料製管と、その内部に封入された水銀放出物質とを備えることを特徴とするものであり、このため、管の内径と裁断長さを制御することによって水銀量を正確に計量できるうえ、安価に製造できるなどの効果を奏するのである。
【0100】
本発明に係る水銀収納カプセルにおいて、当該水銀収納カプセルが確実に密封されているものであると、水銀収納カプセルが放電管に組込まれるまでに、水銀放出物質が大気中に放散される恐れがないという効果と、流通を含めた放電管製造工程における環境に対する改善・安全性を著しく高めることができるなどの効果を得ることができる。
【0101】
又、本発明に係る水銀収納カプセルにおいて、前記水銀放出物質が水銀である場合には、アマルガムを作る工程を省略して大幅にコストダウンを図ることができるという効果を得ることができる上、水銀放出物質の充填が常温で容易に行えるので、水銀放出物質を金属管に充填する工程のコストを大幅に削減することができる効果を得ることができる。そして、これらの効果の相乗によりすこぶる大幅なコストダウンを図ることができるという効果を得ることができる。
【0102】
本発明に係る水銀収納カプセルにおいて、水銀収納カプセルが熱加工又は加圧加工或いは加熱・加圧加工によって球状化されてなると、この水銀収納カプセルは転がり易く、従って、一層確実に放電管内や排気管内に入れることができるので、生産性が良好である上、一層品質の安定した放電管が得られるなどの効果を奏するのである。
【0103】
次に、本発明に係る放電管においては、前述の本発明に係る水銀収納カプセルを備えることを特徴とするものであるから、蛍光灯等の放電管に封入する水銀量を正確に計量できる等、当該水銀収納カプセルに起因する前述の効果を発現するのである。
【0104】
本発明に係る放電管において、水銀収納カプセルを熱陰極線あるいはそのリードとして用いる場合には、熱陰極線の発熱により水銀収納カプセルの温度が上昇すると、金属管内の水銀が膨張して、例えば押し潰しにより閉じられている管端部が開く。この結果、金属管の内部と放電管内の雰囲気とが連通し、水銀が金属管内からその周囲の雰囲気中に放散されるので、放電管の内部温度(雰囲気の温度)に対応する蒸気圧の水銀が放電管内に確保されて優れた放電・発光効果が得られるのである。
【0105】
又、本発明に係る放電管において、水銀収納カプセルを当該放電管内に封入されるペレットとして用いる場合には、管内温度が所定値以上に上昇すると、水銀収納カプセル内部の水銀蒸気圧が上昇して管端を押し開くことにより当該管内からこの管外の放電管内部に水銀が放散されるのであり、その結果、放電管の内部温度(雰囲気の温度)に対応する蒸気圧の水銀が放電管内に確保されて優れた放電・発光効果が得られるのである。
【0106】
更に、本発明に係る放電管内への水銀放出物質の封入方法においては、本発明に係る水銀収納カプセルを真空引き用排気管内に収納して当該水銀収納カプセル内から水銀を気化、放出させて放電管内に入れた後、この放電管の排気孔と前記真空引き用排気管における水銀収納カプセル収納箇所との間で加熱溶断して排気孔を封止すると共に、水銀収納カプセルを除去することを特徴とするものであり、このように構成すると、放電管内に、水銀放出後の水銀収納カプセルが残存することがなく、その結果、この放電管を振っても不快音が発生しないので、当該放電管の使用者に安心感を与えるなどの効果を奏するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0107】
以下、本発明を蛍光灯に適用した場合を例にとって、当該発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0108】
図面において、図1は本発明の一実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法を採用した蛍光灯製造方法のフロー図であり、図2はその水銀収納カプセルの製造方法に用いられる水銀充填装置の構成図であり、図3はその水銀収納カプセルの製造方法に用いられるローラープレスの構成図であり、図4はその水銀収納カプセルの製造方法に用いられるローラープレス及びシザーズの構成図であり、図5は本発明方法の一実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法により製造された水銀収納カプセルの縦断側面図であり、図6は本発明の一実施例に係る蛍光灯を部分的に切除して示す側面図である。又、図7は本発明の他の実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法を採用した蛍光灯製造方法のフロー図であり、図8はその水銀収納カプセルの製造方法に用いられるローラープレスの構成図であり、図9はその水銀収納カプセルの製造方法に用いられるローラーカッタの構成図であり、図10はこの水銀収納カプセルの製造方法により製造された水銀収納カプセルの縦断側面図である。更に、図11は本発明の又他の実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法に用いられるヒートシーラ及びシザーズの構成図であり、図12はこの水銀収納カプセルの製造方法により製造された水銀収納カプセルの縦断側面図である。又更に、図13は本発明の更に他の実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法に用いられる管の断面図であり、図14はその管の正面図であり、図15はその水銀収納カプセルが用いられる蛍光灯の断面図である。
【0109】
図1に示すように、本発明の一実施例に係る蛍光灯の製造工程においては、順次処理される水銀充填工程、押し潰し工程、裁断工程からなる水銀収納カプセル製造工程と、この水銀収納カプセル製造工程により製造された水銀収納カプセルを蛍光管に組込む組込工程とを含む。
【0110】
図2に示すように、水銀充填工程では、例えば外径0.81mm、内径0.51mm、肉厚0.15mm、長さ1mのステンレススチールからなる金属管1と、水銀池2に貯留された水銀3からなる水銀放出物質(以下、水銀という。)と、真空吸引装置4とを具備し、この金属管1の上端と当該真空吸引装置4とを開閉弁5を介在させた真空吸引路6で接続した後、当該金属管1の下端部を前記水銀池2の水銀3に浸漬する。
【0111】
この後、開閉弁5を開き、金属管1内を予め設定された真空度の真空にすると、水銀は金属管1内に水銀池2の水銀3の表面部から、例えば76cm以下の高さまで吸引されて充填され、この状態で開閉弁5を閉じ、必要に応じて、真空吸引路6を真空吸引装置4から抜き取ってから当該金属管1を水銀池2から徐々に持ち上げると、前記所定量の水銀3を前記金属管1内に保持させた状態となり、その後直ちに、下端部を押し潰し、後述する方法で当該押し潰した部位を溶接することにより水銀2が金属管1内に確実に密封される。
【0112】
この場合、前記押し潰した部位の溶接は、レーザー溶接機(ミヤチテクノス株式会社製 ML−2050A)を用い、出力3.0kw、照射時間6/1000秒、エネルギー量18ジュールの溶接条件で行った。
【0113】
そして、図3に示すように、押し潰し工程では、水銀3を充填された状態で容器2から持ち上げられた金属管1の下端をローラープレス7の1対のピンチローラ8の間に上から挿入し、各ピンチローラ8の外周面に設けた突起9で挟んで押し潰す。
【0114】
このように押し潰された金属管1の下端部の水銀は、押し潰す圧力と水銀3の表面張力により金属管1の上側に押し上げられるようにして金属管1内に閉じ込められるので、金属管1の下端から水銀3が零れ落ちることはなく、又、押し潰された部位にも水銀3は残留しないのである。
【0115】
なお、この実施例では、両側のピンチローラ8に突起9を設け、金属管1がその中心軸に関して対称的に押し潰されるようにしているが、一方のピンチローラ7の外周面を単純な円筒面に形成したり、一方のピンチローラ7の突起8に対応するように他方のピンチローラ7に凹溝を設けたりして、押し潰された部分の軸が他の部分の軸から偏るように押し潰してもよいのである。
【0116】
さて、金属管1の下端部を押し潰して閉じた後、金属管1を更にピンチローラ7の間に送り込むと、前記突起8の間隔を置いた複数の位置で下から順に金属管1が押し潰されて閉じられる。
【0117】
金属管1内の水銀3は、押し潰される部分(部位)の間に形成される収納部(水銀収納カプセル)に収納されるが、この収納部(水銀収納カプセル)への水銀3の充填量は、金属管1の内径と収納部の長さを選択することによって正確に設定できる。例えば内径が0.51mmの金属管1に5mgの水銀3を充填するためには、1.86mmの長さの収納部を挟んでその両側の部分(部位)を押し潰す。
【0118】
ところで、前述のように、金属管1内の水銀3は、押し潰される部分(部位)の間に形成される収納部に収納されるが、この収納部への水銀3の充填量は、金属管1の内径と収納部の長さを選択することによって正確に設定できる。この場合、金属管1に例えば5mgの水銀3を充填するにあたり、例えば金属管1として外径が2.00mm、内径が0.49mmのものを用い、この金属管1に水銀3を充填して収納部を2.0mmの長さに設定すると、直径と長さが等しいほぼ球状になって転がり易く、当該収納部(水銀収納カプセル)40を確実に蛍光灯管13に収納し得るのである。
【0119】
図4に示すように、前記裁断工程では、前記ピンチローラ8の間から連続的に送り出されてくる金属管1が、シザーズ(鋏)10を用いて、押し潰された部分における中間点で次々と裁断されていく。
【0120】
このシザーズ10は互いに刺し違える1対のせん断刃11を備え、両せん断刃11の間に金属管1の押し潰された部分を挟んだ後、両せん断刃11を刺し違えさせることにより金属管1を所定の長さに裁断する。
【0121】
もともと、せん断によれば切屑が出るおそれはないので水銀3の切屑が発生するおそれはなく、又、せん断される金属管1の部分には水銀3は存在していないので、せん断に際して水銀3が金属管1から漏洩するおそれはないのである。
【0122】
もちろん、押し潰しにより閉じられた部分をせん断以外の方法で裁断しても、せん断される金属管1の部分には水銀3は存在していないので、裁断に際して水銀3が金属管1から漏洩するおそれはないのである。
【0123】
又、このように裁断された部分は押し潰しにより閉じられている部分であるので、この閉じられた金属管1の両端部から金属管1内の水銀3(水銀蒸気)が漏れ出す恐れもないのである。
【0124】
そして、この実施例においては、必要に応じて押し潰して裁断された部位が、前記条件でレーザー溶接が行われ、これによって、水銀3が当該金属管1内に完全に密封されている。
【0125】
図5に示すように、この水銀収納カプセル12は、例えば外径0.81mm、長さ10mmで両端を押し潰して閉じた金属管1と、その内部に充填された水銀3とを備えており、又、この水銀収納カプセル12は、例えば図6に示すように、適当に屈曲させ、蛍光灯管13の熱陰極線14のリードとしての端部処理を行った後、前記組込工程において、蛍光灯管13の熱陰極線14のリードとして当該蛍光灯管13の端部に設けたステム15に支持される。
【0126】
この後、この実施例では、溶接により金属管1の端部を確実に密封しているので、例えばレーザーによって水銀収納カプセル12の収納部に穴を開けることにより、当該水銀収納カプセル12内の水銀3が該水銀収納カプセル12外に拡散できるようにする。
【0127】
なお、金属管1の端部が溶接により封止されず、単に押し潰しにより閉じられている場合には、例えば蛍光灯管14に組み込んだ水銀収納カプセル12を所定の温度以上に加熱し、内部の水銀3を膨張させることにより金属管1の内圧を上昇させ、少なくとも一方の押し潰された部分の隙間を押し開くようにして水銀3を金属管1の外に押し出させる。この場合において、水銀収納カプセル12を加熱する方法としては特に限定されるものではないが、電磁波(高周波誘導加熱)による誘導発熱を用いる方法等を採用すればよいのである。
【0128】
水銀収納カプセル12から蛍光灯管14内に放散される水銀量は当該水銀収納カプセル12への水銀3の充填量に依存して決定されるのであり、又、水銀収納カプセル12への水銀3の充填量は上述のように金属管1の内径と長さにより簡単に、且つ正確に設定できるのであり、結局、水銀収納カプセル12から蛍光灯管14内に放散される水銀量は金属管1の内径と裁断長さを適宜設計することにより簡単に、且つ正確に設定できるのである。
【0129】
図7に示すように、本発明方法の他の実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法を採用する蛍光灯製造方法においては、前例の押し潰し工程と裁断工程に代えて、押し潰し工程と裁断工程が実質的に同時に行われる封緘工程が行われる。
【0130】
即ち、この封緘工程では、図7に示すように、前記ピンチローラ8の突起9に互いに突合されるせん断刃11を一体に形成したローラープレス7が用いられ、このローラープレス7のピンチローラ8の間に金属管1を送り込むことにより、水銀3が充填されている金属管1の所定の複数位置を下側の所定の位置から順次上方に向かって押し潰し、この各押し潰される部位の中央(中間点)で押し潰しと同時に金属管1を裁断する。
【0131】
そして、この場合においても、前記実施例の場合と同様に、裁断後に前記条件で管端部のレーザー溶接が行われ、これによって、水銀3が当該金属管1内に完全に密封されている。そして、これにより、図5に示すように、両端を押し潰して閉じた金属管1と、その内部に充填された水銀3を備える水銀収納カプセル12を得ることができる。
【0132】
この実施例に係る水銀収納カプセル製造方法によれば、金属管1の押し潰し工程と裁断工程とが封緘工程の1工程になるので、工程数を削減して大幅なコストダウンを図ることができる。
【0133】
又、この実施例によれば、ローラープレス7とシザーズ10を一体化することにより、水銀収納カプセルを製造する装置の部品点数を削減することができると共に、その構成を簡単にすることができるので、設備コストを大幅に削減することができるのである。
【0134】
この実施例のその他の構成、作用ないし効果は、前述した前例と同様であるので、重複説明を避けるため省略する。
【0135】
又、図4に示された押し潰し工程と裁断工程に代えて、一工程の封緘工程を行う水銀収納カプセル製造方法は、図9に示すように、周面に周方向に等間隔を置いてせん断刃11を突設した1対のローラ16を備えるローラーカッタ17を用いて実施することも可能である。
【0136】
このローラーカッタ17のせん断刃11の間に水銀3を充填した金属管1を噛み込ませると、金属管1はせん断刃11に押し潰されて閉じられ、これに引き続いてせん断刃11によりせん断される。
【0137】
この場合においても押し潰してせん断された部位は、前記条件でレーザー溶接が行われ、これによって、水銀3が当該金属管1内に確実に密封されている。
【0138】
ところで、金属管1はせん断される位置から次第に膨らむ形に押し潰されるが、押し潰される時に水銀3はせん断される位置の両側に押し退けられ、せん断される位置では、金属管1がその位置に水銀3が無い状態に押し潰され、閉じられてからせん断されるので、裁断に際して金属管1から水銀3が漏洩するおそれは全くないのである。
【0139】
又、図10に示すように、裁断により金属管1の両端が閉じられているので、裁断後、水銀収納カプセル12を蛍光灯に組み込むまでに金属管1内の水銀3が大気中に放散されるおそれもないのである。
【0140】
この実施例に係る水銀収納カプセル製造方法のその他の構成、作用ないし効果は図4に示す蛍光灯の製造方法におけるそれらの説明と同様であるので、重複説明を避けるため省略する。
【0141】
図11及び図12に示すように、本発明の又他の実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法では、合成樹脂で形成された管(以下、合成樹脂製管という。)16を挟んで径方向に押し潰す一対のヘッド18と、これらのヘッド18を介して合成樹脂製管16を軟化温度以上、有機分解ガス発生温度未満の温度(例えば250℃)に加熱する高周波加熱器と、前記ヘッダ18を互いにその他方に向かって進退させる例えばエアシリンダからなるヘッダ駆動手段19を備えるヒートシーラ17が用いられる。
【0142】
前記合成樹脂製管16としては、例えば市販されている外径が0.6mm、内径が0.4mm、肉厚が0.1mmのPFA管を用い、この合成樹脂製管16に上述した手法により所定量の水銀3を充填した後、前記ヒートシーラ17を用いて当該合成樹脂製管16の下端部をシールした後、この合成樹脂製管16を所定の速度で間欠的にヒートシーラ17に送り込み、その送り込みを停止している間に高周波加熱器を作動させながらヘッド18の間隔を閉じることにより、合成樹脂管16を所定の間隔毎に複数の位置で当該管を径方向に押し潰して閉じることによってヒートシールされる。
【0143】
前記ヒートシーラ17の下方にはシザーズ10が設けられ、ヒートシーラ17からその下方に送り出された合成樹脂製管16を、その押し潰された部位の中間点で裁断することにより、合成樹脂製管16に水銀3を封入した本発明に係る水銀収納カプセル20が製造される。
【0144】
なお、製造時間を短縮するために、前記シザーズ10のせん断刃11はヒートシーラ17のヘッド18と同期して開閉される。
【0145】
図12に示すように、この製造方法により製造された水銀収納カプセル20の合成樹脂製管16の両端部は高周波加熱器により加熱、溶融されて一体化した後、硬化しているので、水銀3は水銀収納カプセル20内に確実に密封されることになる。
【0146】
この実施例に係る水銀収納カプセル製造方法のその他の構成、作用ないし効果は図4に示す蛍光灯製造方法におけるそれらの説明と同様であるので、重複説明を避けるため省略する。
【0147】
なお、この実施例ではシザーズ10のせん断刃11をヒートシーラ17のヘッド18から独立して設けているが、ヒートシーラ17のヘッド18にせん断刃11を組み込み、押し潰し及び加熱による合成樹脂製管16の閉塞とせん断による裁断を一工程で行うように構成してもよい。
【0148】
本発明の更に他の実施例に係る水銀収納カプセルの製造方法においては、図13と図14に示すように、管軸方向に任意の間隔を置いて、他の部分よりも管径方向に膨出させた複数の各膨出部31と、この膨出部31,31間を連通させる連通部32とからなる合成樹脂製管30が用いられる。
【0149】
この合成樹脂製管30は軸方向の全長にわたって断面形状及び断面積が一様な市販の合成樹脂製管を、例えば所定形状の金型を用い、加熱吹き込み成形することによって形成される。
【0150】
この膨出部31は、図13に示すように、連通部32に関して両側に対称的に膨出する形状に形成されているが、連通部32の片面側に膨出する形状に形成したり、連通部32の片面側と反対面で位置を異ならせて片面側又は反対面側に膨出する形状に形成したりしても良いのである。
【0151】
又、この膨出部31の形状は、図13及び図14に示すように、球形に形成されているが、楕円形、卵形、紡錘形、太鼓形、俵形等の任意の形状のものを採用することができる。
【0152】
前記各連通部32は、前記各膨出部31の径よりも小さい細管に形成されているが、各膨出部31の径よりも大小の帯形に形成したり、管径方向の寸法が全周囲にわたって略均一な形状に形成したりしてもよいのである。
【0153】
この膨出部31と連通部32からなる合成樹脂製管30に水銀3を充填した後、例えばヒートシールによって前記連通部32を押し潰して閉塞し、前記連通部32から水銀3を移動させると共に、当該連通部32からその軸方向の前後の膨出部31に水銀3を押し込めて封止する。
【0154】
この連通部32の閉塞と同時に、又はこの後に、水銀3が封入されている連通部32を裁断することにより、前記連通部32を除去し、更に、必要に応じて、連通部32を除去してから加熱処理により一層丸めることによって前記膨出部31に水銀3が密封され、一層丸みのある水銀収納カプセルが得られる。
【0155】
そして、図15に示すように、このようにして得た水銀収納カプセル40は、例えば放電管としての蛍光灯管13の端部に形成される真空引き用排気管21内に収納されるが、この水銀収納カプセル40が丸くて転がり易いので、当該水銀収納カプセル40を確実に蛍光灯管13に収納し得るのである。
【0156】
この後、前記水銀収納カプセル40内から水銀を気化、放出させて蛍光灯管13内に入れた後、この蛍光灯管13の排気孔22と前記真空引き用排気管21における水銀収納カプセル収納箇所23との間に形成された縊路部24で加熱溶断して排気孔22を封止すると共に、水銀収納カプセルを除去する。
【0157】
これにより、水銀収納カプセルが残留しない蛍光灯管13を得ることができるから、この蛍光灯管13を振っても不快音が発生しないので、当該蛍光灯管13の使用者に不快感を与えることが無くなり、安心感を与えることになるのである。
【0158】
この実施例のその他の構成、作用ないし効果は、前記本発明方法の一実施例におけるそれらと同様であるので、ここでは説明の重複を避けるために、これらの詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、本発明方法の一例を示すフロー図である。
【図2】図2は、本発明方法に用いられる水銀充填装置の構成図である。
【図3】図3は、本発明方法に用いられるローラープレスの一例を示す構成図である。
【図4】図4は、本発明方法に用いられるローラープレス及びシザーズの構成図である。
【図5】図5は、本発明に係る水銀収納カプセルの縦断側面図である。
【図6】図6は、本発明に係る蛍光灯の側面図である。
【図7】図7は、本発明方法の他例を示すフロー図である。
【図8】図8は、本発明方法に用いられるローラープレスの他例を示す構成図である。
【図9】図9は、本発明方法に用いるローラーカッタの構成図である。
【図10】図10は、本発明に係る水銀収納カプセルの他の例を示す縦断側面図である。
【図11】図11は、本発明方法に用いられるヒートシーラ及びシザー図の構成図である。
【図12】図12は、本発明に係る水銀収納カプセルの又他の例を示す縦断側面図である。
【図13】図13は、本発明方法の更に他の例に用いられる管の断面図である。
【図14】図14は、本発明方法の更に他の例に用いられる管の正面図である。
【図15】図15は、本発明に係る蛍光灯の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0160】
1 金属管
2 水銀池
3 水銀(水銀放出物質)
4 真空吸引装置
5 開閉弁
6 真空吸引路
7 ローラープレス
8 ピンチローラ
9 突起
10 シザーズ(鋏)
11 せん断刀
12 水銀収納カプセル
13 蛍光灯管
16 合成樹脂製管
17 ヒートシーラ
18 ヘッド
20 水銀収納カプセル
21 真空引き用排気管
22 排気口
23 水銀収納カプセル収納箇所
24 隘路部
30 管
31 膨出部
32 連通部
40 袋
41 膨出部
42 連通部
【出願人】 【識別番号】501365468
【氏名又は名称】日水化学株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区野中南二丁目11番20号
【出願日】 平成17年6月1日(2005.6.1)
【代理人】 【識別番号】100084630
【弁理士】
【氏名又は名称】澤 喜代治

【公開番号】 特開2006−19255(P2006−19255A)
【公開日】 平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願番号】 特願2005−161588(P2005−161588)