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【発明の名称】 コンデンサの製造方法および固定枠
【発明者】 【氏名】小岩崎 剛
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
【氏名】宮澤 和利
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
【課題】誘電体樹脂層と電極金属層との積層体の層間接着を強化しつつ、積層体とスペーサとの接着を抑制することができるコンデンサの製造方法を提供する。

【解決手段】誘電体樹脂層と電極金属層とが交互に積層されたコンデンサの製造方法において、誘電体樹脂層と電極金属層とを交互に積層した積層板を条に切断した個片31とスペーサ41とを交互に固定枠42に組込み、固定枠42に交互に組み込まれた個片31とスペーサ41とに外部電極となる金属を溶射し、個片31とスペーサ41とに作用する圧力を調整しながら個片31とスペーサ41とを加熱する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体樹脂層と電極金属層とが積層されたコンデンサの製造方法において、
前記誘電体樹脂層と前記電極金属層とを積層した積層板を条に切断した個片とスペーサとを交互に固定枠に組込み、
前記固定枠に交互に組み込まれた前記個片と前記スペーサとに外部電極となる金属を溶射し、
前記個片と前記スペーサとに作用する圧力を調整しながら前記個片と前記スペーサとを加熱することを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項2】
前記固定枠は、前記個片および前記スペーサを載せる底板と、
前記個片および前記スペーサの両側面に沿って前記底板から立設された一対の側板と、
前記個片および前記スペーサを前記底板に向かって押える押え板とを含む請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記個片と前記スペーサとを加熱する前に、前記個片と前記スペーサとに作用する圧力を調整するための圧力調整媒体を固定枠に組込む請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項4】
前記圧力調整媒体は、湾曲させた形状記憶合金を含む請求項3に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項5】
前記圧力調整媒体は、湾曲させたバイメタルを含む請求項3に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記圧力調整媒体は、弾性部材を含む請求項3に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項7】
前記弾性部材は、ゴムとプラスチックとの少なくとも1つを含む請求項6に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項8】
前記弾性部材は、バネを含む請求項6に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項9】
前記弾性部材は、波型形状の部材を含む請求項6に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項10】
前記誘電体樹脂層は、熱硬化性を有する請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項11】
前記積層板は、前記誘電体樹脂層と前記電極金属層とを回転するロールに交互に蒸着して形成した湾曲した積層板を一対の金属板に挟み込んで加圧して形成する請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項12】
前記積層板は、前記電極金属層を蒸着した前記誘電体樹脂層を折りたたんでプレスして形成する請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項13】
誘電体樹脂層と電極金属層とを積層した積層板を条に切断した個片とスペーサとを交互に組み込むための固定枠において、
前記個片と前記スペーサとに作用する圧力を調整する圧力調整部材を備えることを特徴とする固定枠。
【請求項14】
前記圧力調整部材は、圧力調整媒体を含む請求項15に記載の固定枠。
【請求項15】
前記圧力調整媒体は、湾曲させた形状記憶合金を含む請求項14に記載の固定枠。
【請求項16】
前記圧力調整媒体は、湾曲させたバイメタルを含む請求項14に記載の固定枠。
【請求項17】
前記個片および前記スペーサを載せる底板と、
前記個片および前記スペーサの両側面に沿って前記底板から立設された一対の側板と、
前記個片および前記スペーサを前記底板に向かって押える押え板とをさらに備える請求項13に記載の固定枠。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および電気機器に用いられるコンデンサの製造方法およびコンデンサの製造方法に用いられる固定枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンデンサの製造方法では、誘電体樹脂層と電極金属層とが交互に積層された積層体を平面板に挟んだ状態で熱プレスを施すことにより、誘電体樹脂層と電極金属層とを接着させ、素子積層板を形成していた。
【特許文献1】特開平10−321461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のコンデンサの製造方法においては以下に述べるような問題がある。熱処理時の温度・圧力が不十分なために、電極金属層と誘電体樹脂層との間に十分な接着力が得られていなかった。その結果、その後の加工において縦割れ、膨れ等の層間剥離が発生するばかりでなく、完成したコンデンサ素子が高温高湿雰囲気におかれた場合には、電極金属層と誘電体樹脂層との間へ水分が侵入し電極金属層が腐食され静電容量の低下が発生する。一方、電極金属層と誘電体樹脂層との間へ水分が侵入し、浸入した水分がコンデンサ素子中に保持されたままコンデンサを装着し基板へリフロー等によりはんだ付けを行うと、はんだ付け時の高温による素子の割れ膨れ等により実装不良が発生するといった課題があった。
【0004】
また、層間接着力を確保するために高温で熱処理を行うと、誘電体樹脂が熱膨張するため、圧力がかかりすぎ、未硬化成分が浸出し積層体とスペーサとが接着して、折れ、表層のはがれが発生するという課題が発生していた。
【0005】
本発明の目的は、誘電体樹脂層と電極金属層との積層体の層間接着を強化しつつ、積層体とスペーサとの接着を抑制することができるコンデンサの製造方法および固定枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンデンサの製造方法は、誘電体樹脂層と電極金属層とが交互に積層されたコンデンサの製造方法において、前記誘電体樹脂層と前記電極金属層とを交互に積層した積層板を条に切断した個片とスペーサとを交互に固定枠に組込み、前記固定枠に交互に組み込まれた前記個片と前記スペーサとに外部電極となる金属を溶射し、前記個片と前記スペーサとに作用する圧力を調整しながら前記個片と前記スペーサとを加熱することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る固定枠は、誘電体樹脂層と電極金属層とを交互に積層した積層板を条に切断した個片とスペーサとを交互に組み込むための固定枠において、前記個片と前記スペーサとに作用する圧力を調整する圧力調整部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誘電体樹脂層と電極金属層との積層体の層間接着を強化しつつ、積層体とスペーサとの接着を抑制することができるコンデンサの製造方法および固定枠を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施の形態に係るコンデンサの製造方法においては、誘電体樹脂層と電極金属層とを交互に積層した積層板を条に切断した個片とスペーサとに作用する圧力を調整しながら個片とスペーサとを加熱する。このため、個片とスペーサとに作用する圧力が一定の範囲に保たれる。従って、個片とスペーサとに作用する圧力を、個片を構成する誘電体樹脂層と電極金属層との間の層間接着力は確保しつつ、個片とスペーサとの接着は抑制する圧力に調整することができる。従って、誘電体樹脂層と電極金属層との層間接着力を確保しつつ、個片とスペーサとの接着を抑制することができる。その結果、高品質なコンデンサを製造することができる。
【0010】
この実施の形態では、前記固定枠は、前記個片および前記スペーサを載せる底板と、前記個片および前記スペーサの両側面に沿って前記底板から立設された一対の側板と、前記個片および前記スペーサを前記底板に向かって押える押え板とを含むことが好ましい。固定枠に組み込んだ個片およびスペーサの他の両側面側から外部電極用金属を溶射できるからである。
【0011】
前記個片と前記スペーサとを加熱する前に、前記個片と前記スペーサとに作用する圧力を調整するための圧力調整媒体を固定枠に組込むことが好ましい。簡単な構成で、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できるからである。
【0012】
前記圧力調整媒体は、湾曲させた形状記憶合金を含むことが好ましい。温度上昇に伴って形状記憶合金の曲率が大きくなるので、個片を構成する誘電体樹脂層の熱膨張による変位を吸収することができ、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できる。
【0013】
前記圧力調整媒体は、湾曲させたバイメタルを含むことが好ましい。温度上昇に伴ってバイメタルの曲率が大きくなるので、個片を構成する誘電体樹脂層の熱膨張による変位を吸収することができ、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できる。
【0014】
前記圧力調整媒体は、弾性部材を含むことが好ましい。個片を構成する誘電体樹脂層の熱膨張による変位を弾性部材の弾性変位で吸収することができ、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できる。
【0015】
前記弾性部材は、ゴムとプラスチックとの少なくとも1つを含むことが好ましい。誘電体樹脂層と面接触するように構成できるので、誘電体樹脂層の熱膨張による変位を接触面全体で均一に吸収できる。
【0016】
前記弾性部材は、バネを含むことが好ましい。バネの線径、直径およびバネの個数を調整することで、誘電体樹脂層の熱膨張による変位を吸収する弾性変位の弾性係数の自由度を広くとることができる。
【0017】
前記弾性部材は、波型形状の部材を含むことが好ましい。誘電体樹脂層の熱膨張による変位を均一に吸収できる。
【0018】
前記誘電体樹脂層は、熱硬化性を有することが好ましい。リフローによるはんだ付け時のコンデンサの耐熱性を高くすることができる。
【0019】
前記積層板は、前記誘電体樹脂層と前記電極金属層とを回転するロールに交互に蒸着して形成した湾曲した積層板を一対の金属板に挟み込んで加圧して形成することが好ましい。高い生産性でコンデンサを製造できる。
【0020】
前記積層板は、前記電極金属層を蒸着した前記誘電体樹脂層を折りたたんでプレスして形成することが好ましい。高い生産性でコンデンサを製造できる。
【0021】
本実施の形態に係る固定枠には、個片とスペーサとに作用する圧力を調整する圧力調整部材が設けられている。このため、個片とスペーサとに作用する圧力を、個片を構成する誘電体樹脂層と電極金属層との間の層間接着力は確保しつつ、個片とスペーサとの接着は抑制する圧力に調整することができる。従って、誘電体樹脂層と電極金属層との層間接着力を確保しつつ、個片とスペーサとの接着を抑制することができる。その結果、高品質なコンデンサを製造することができる。
【0022】
この実施の形態では、前記圧力調整部材は、圧力調整媒体を含むことが好ましい。簡単な構成で、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できるからである。
【0023】
前記圧力調整媒体は、湾曲させた形状記憶合金を含むことが好ましい。温度上昇に伴って形状記憶合金の曲率が大きくなるので、個片を構成する誘電体樹脂層の熱膨張による変位を吸収することができ、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できる。
【0024】
前記圧力調整媒体は、湾曲させたバイメタルを含むことが好ましい。温度上昇に伴ってバイメタルの曲率が大きくなるので、個片を構成する誘電体樹脂層の熱膨張による変位を吸収することができ、個片とスペーサとに作用する圧力を調整できる。
【0025】
前記個片および前記スペーサを載せる底板と、前記個片および前記スペーサの両側面に沿って前記底板から立設された一対の側板と、前記個片および前記スペーサを前記底板に向かって押える押え板とをさらに備えることが好ましい。固定枠に組み込んだ個片およびスペーサの他の両側面側から外部電極用金属を溶射できるからである。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係るコンデンサの製造装置の構成を示す図であり、図2は、この製造装置によって製造される積層体の構成を示す断面図である。図1を参照すると、真空槽46内において冷却ロール41の表面にマージン形成ユニット44によりオイル蒸気を所定のパターンに噴霧する。そして、電子ビームによる電極蒸着源42により電極金属を蒸着する。オイルが付着していない箇所に電極金属が付着し、オイルが付着している箇所では気化したオイルにより電極金属は吹き飛ばされ付着しないため、オイルパターンによる電極蒸着部と非蒸着部とを得る。その上に樹脂蒸着源43により樹脂層を蒸着付着し、紫外線照射装置45により紫外線を照射し、硬化させる。マージン形成ユニット44、電極蒸着源42および樹脂蒸着源43には、それぞれ図示しないシャッターが設けられてあり、このシャッターの開閉によりオイル、金属および樹脂の付着を調整する。
【0028】
この装置を用いて、まず真空槽46内を1×10(Torr)の圧力とした後、マージン形成ユニット44のオイル温度を190℃とし、電極蒸着源42を所定の蒸発率を有する温度にし、樹脂蒸着源43の温度を150℃とし、オイル、蒸着電極および樹脂をこの順番に蒸着させる。この時冷却ロール41を周速40m/分のスピードで回転し、230Wの紫外線ランプを100mmの距離から照射する。上記条件が安定した後、マージンシャッター、電極蒸着源シャッターおよび樹脂蒸着源シャッターを開き積層を開始する。すると、冷却ロール41が1回転する毎に図2に示すように誘電体樹脂層12と電極金属層13との交互の積層ができ、所定の積層数に達したら、各シャッターを閉じ冷却ロール41の運転を停止する。誘電体樹脂層12はジメチロールトリシクロデカンジアクリレートによって構成されており、電極金属層13はアルミニウムによって構成されている。誘電体樹脂層12と電極金属層13とは交互に約200層積層され、この積層体の厚みは約0.9mmである。
【0029】
次に冷却ロール41から積層板を分割して取り外し、この湾曲した積層板22を図3に示すように一対の金属板21に挟み、積層板22が平坦になるように加圧する。その後、この積層板22を金属板21で加圧固定して高温炉の中で150℃で2時間熱処理する。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る積層板22を条に切断した個片31を示す斜視図である。熱処理した積層板22を図4に示すように、条に細分化して個片31を形成する。個片31の長さは例えば約180mmであり、幅は例えば約1.6mmであり、高さは例えば約0.9mmである。
【0031】
図5は条に切断された個片31とスペーサ32とを交互に固定枠42に組み込んだ状態を示す斜視図であり、図6は固定枠42の構成を示す正面図である。固定枠42は、個片31およびスペーサ32を載せるための底板42Aと、個片31およびスペーサ32の両側面に沿って底板42Aから立設された一対の側板42Bと、個片31およびスペーサ32を挟んで底板42Aと対向する位置で一対の側板42Bに取り付けられた天板42Cとを含む。
【0032】
側板42Bは、ボルト46Bによって底板42Aに取り付けられている。一番上のスペーサ32の上には、押え板42Dが設けられる。天板42Cは、個片31およびスペーサ32を側板42Bに沿って底板42Aの上に交互に組み込み、その上に押え板42Dを組み込んだ後、ボルト46Cによって側板42Bに取り付けられる。スペーサ32は、例えば冷間圧延鋼板であるSPCCによって構成され、その厚みは約0.1mmである。天板42Cには、押え板42Dを押す押ねじ49が設けられる。
【0033】
そして、固定枠42に組み込まれた個片31およびスペーサ32の両側面にしんちゅう、CuまたはZnで構成された外部電極用金属を厚み約0.1mmに溶射する。
【0034】
次に側板42Bに天板42Cをボルト46Cで締め付ける。そして、押ねじ49のトルクを9.8×10-2N・m(1kg・cm)以上4.9×10-1N・m(5kg・cm)以下に調整することにより、個片31、スペーサ32に作用する圧力を調整する。
【0035】
その後、固定枠42に組み込まれた個片31およびスペーサ32に対して260℃で6時間の熱処理を行う。このとき、個片31の誘電体樹脂層の熱膨張による上方向への変位が、押え板42Dを押す押ねじ49が取り付けられた天板42Cのたわみ変形、および両側板42Bの熱膨張による伸びにより吸収される。そして、個片31およびスペーサ32に作用する圧力が約1MPa〜約0.5MPaに調整される。このため、個片31とスペーサ32との接着を抑制することができるので、外観不良のない積層体が得られた。
【0036】
図7は、熱処理後の積層体をコンデンサ素子に形成し、プリント基板に実装した後、40℃95%RHの高温高湿槽中で耐湿性試験を行い層間の接着状態を静電容量の変化で評価したグラフである。横軸は耐熱性試験の試験時間を示しており、縦軸はコンデンサ素子の静電容量変化率を示している。線C2は熱処理を実施しなかったコンデンサ素子の静電容量変化を示している。このコンデンサ素子では、層間への水分の浸入が著しいため、電極を形成するアルミニウムが腐食される。このため、静電容量の低下が早期に発生している。線C1は本実施の形態で圧力を約0.5〜1.0MPaに保ちながら熱処理を行ったコンデンサ素子の静電容量変化を示している。圧力を一定に保ったために層間の接着力が確保でき水分が浸入しにくく電極の腐食も少ない。このように実施の形態1によれば、静電容量の低下時期が遅く、耐湿性および耐熱性が良好で高性能なコンデンサが得られる。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、誘電体樹脂層12と電極金属層13とを交互に積層した積層板22を条に切断した個片31とスペーサ32とに作用する圧力を調整しながら個片31とスペーサ32とを加熱する。このため、誘電体樹脂層と電極金属層との層間接着力を確保しつつ、個片31とスペーサ32との接着を抑制することができる。その結果、高品質なコンデンサを製造することができる。
【0038】
なお、押え板42Dを押す押ねじ49のトルクを調整することにより、個片31、スペーサ32に作用する圧力を調整する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば押え板42Dを油圧によって押圧する油圧機構を設けて個片31、スペーサ32に作用する圧力を調整してもよい。
【0039】
図8は、誘電体樹脂層の熱膨張率を示すグラフであり、横軸は試験時間を示しており、縦軸は誘電体樹脂層の熱膨張率および温度を示している。曲線L2は、試験時間の経過に応じた温度の変化を示す。曲線L1は、誘電体樹脂層の熱膨張率を示す。図8に示すように、温度が上昇する間、誘電体樹脂層は熱膨張し、温度が一定である間、誘電体樹脂層は若干熱収縮する。曲線L3は、曲線L1の誘電体樹脂層とは異なる材料によって構成された他の誘電体樹脂層の熱膨張率を示す。曲線L3の他の誘電体樹脂層は、曲線L1の誘電体樹脂層よりも熱膨張率が大きい。曲線L1の誘電体樹脂層のように熱膨張率が比較的小さい誘電体樹脂層であれば、図6を参照して前述した構成により、個片31およびスペーサ32に作用する圧力を調整することができる。曲線L3のように熱膨張率が比較的大きい誘電体樹脂層の場合は、実施の形態2以降で後述する構成により、個片31およびスペーサ32に作用する圧力を調整することができる。
【0040】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係る条に切断された個片31とスペーサ32とを交互に固定枠42に組み込んだ状態を示す斜視図である。実施の形態1で図5を参照して前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0041】
図9に示すように、個片31およびスペーサ32と天板42Cとの間に、圧力調整媒体である湾曲させた形状記憶合金51を組み込んでもよい。そして、260℃で6時間の熱処理を行う。このとき、湾曲させた形状記憶合金51の湾曲率が温度上昇とともに小さくなる。このため、個片31とスペーサ32とに作用する圧力が調整される。
【0042】
図10は、実施の形態2に係る条に切断された個片31とスペーサ32とを交互に固定枠42に組み込んだ他の状態を示す斜視図である。個片31およびスペーサ32と天板42Cとの間に、圧力調整媒体である湾曲したバイメタル61を組み込んでもよい。そして、260℃で6時間の熱処理を行うと、湾曲させたバイメタル61の湾曲率が温度上昇と共に小さくなる。このため、個片31とスペーサ32とに作用する圧力が約0.5〜1.0MPaに調整される。このため、個片31とスペーサ32との接着を抑制することができ、外観不良のない積層体を得ることができた。このようにして製造されたコンデンサも図7の線C1のような層間接着状態を示し、耐熱性および耐湿性が良好で高性能なコンデンサが得られた。
【0043】
図11は、実施の形態2に係る条に切断された個片31とスペーサ32とを交互に固定枠42に組み込んださらに他の状態を示す斜視図である。圧力緩和媒体として弾性体であるPTFE(デュポン社製、商品名「テフロン(登録商標)」)71を個片31およびスペーサ32と天板42Cとの間に組み込んでもよい。そして、260℃で6時間の熱処理を行うと、個片31の熱膨張がPTFE71の弾性変位によって吸収され、個片31とスペーサ41とに作用する圧力が約0.5〜1.0MPaに調整される。このため、個片31とスペーサ32との接着を抑制することができ、外観不良のない積層体を得ることができた。このようにして製造されたコンデンサも図7の線C1のような層間接着状態を示し、耐熱性および耐湿性が良好で高性能なコンデンサが得られた。
【0044】
図12は、実施の形態2に係る条に切断された個片31とスペーサ32とを交互に固定枠42に組み込んださらに他の状態を示す斜視図である。圧力調整媒体であるバネ81を個片31およびスペーサ32と天板42Cとの間に組み込んでもよい。そして、260℃で6時間の熱処理を行うと、個片31の熱膨張と固定枠42の熱膨張との差による変位をバネ81がたわむことで吸収するので、個片31とスペーサ32とに作用する圧力が、約0.5〜1.0MPaに調整される。このため、個片31とスペーサ32との接着を抑制することができ、外観不良のない積層体を得ることができた。このようにして製造されたコンデンサも図7の線C1のような層間接着状態を示し、耐熱性および耐湿性が良好で高性能なコンデンサが得られた。
【0045】
図13は、実施の形態2に係る条に切断された個片31とスペーサ32とを交互に固定枠42に組み込んださらに他の状態を示す斜視図である。波形形状をしたステンレス製の圧力調整媒体91を個片31およびスペーサ32と天板42Cとの間に組み込んでもよい。そして、260℃で6時間の熱処理を行うと、個片31の熱膨張が波形状の圧力調整媒体91によって吸収され、個片31とスペーサ32とに作用する圧力が約0.5〜1.0MPaに調整される。このため、個片31とスペーサ32との接着を抑制することができ、外観不良のない積層体を得ることができた。このようにして製造されたコンデンサも図7の線C1のような層間接着状態を示し、耐熱性および耐湿性が良好で高性能なコンデンサが得られた。
【0046】
(実施の形態3)
図14は実施の形態3に係る積層板の構成を示す斜視図であり、図15は実施の形態3に係る積層板の製造方法を示す断面図である。
【0047】
前述した実施の形態1では、誘電体樹脂層と電極金属層とを回転する冷却ロール41に交互に蒸着して形成した湾曲した積層板22を一対の金属板21に挟み込んで加圧して積層板を形成する例を示した。しかしながら本発明はこれに限定されない。図14および図15に示すように、電極金属層を蒸着した誘電体樹脂層を折りたたんでプレスして積層板を形成してもよい。
【0048】
誘電体樹脂層1の上に、幅方向の端部に幅2mmのマージン部3を設けて電極金属層2を形成した金属化フィルム4を構成する。金属化フィルム4の厚みは約7μmであり、幅は約40mmである。そして金属化フィルム4を重ね合わせ、図15に示すように、折り幅が約50mmになるように折りたたむ。次に4.9Pa(50kg/cm2)のプレス圧によりプレスして積層板を得る。
【0049】
このように、積層板は電極金属層を蒸着した誘電体樹脂層を折りたたんでプレスして形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、電子機器および電気機器に用いられるコンデンサの製造方法、コンデンサおよびコンデンサの製造方法に用いられる固定枠に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態1に係るコンデンサの製造装置の構成を示す図
【図2】実施の形態1に係るコンデンサの製造装置によって製造される積層体の構成を示す断面図
【図3】実施の形態1に係るコンデンサの製造装置によって製造される積層体の熱処理方法を示す図
【図4】実施の形態1に係る積層板を条に切断した個片を示す斜視図
【図5】実施の形態1に係る条に切断された個片とスペーサとを交互に固定枠に組み込んだ状態を示す斜視図
【図6】実施の形態1に係る固定枠の構成を示す正面図
【図7】実施の形態1に係る熱処理後の積層体をコンデンサ素子に形成し、プリント基板に実装した後、40℃95%RHの高温高湿槽中で耐湿性試験を行い層間の接着状態を評価したグラフ
【図8】実施の形態1に係る誘電体樹脂層の熱膨張率を示すグラフ
【図9】実施の形態2に係る条に切断された個片とスペーサとを交互に固定枠に組み込んだ状態を示す斜視図
【図10】実施の形態2に係る条に切断された個片とスペーサとを交互に固定枠に組み込んだ他の状態を示す斜視図
【図11】実施の形態2に係る条に切断された個片とスペーサとを交互に固定枠に組み込んださらに他の状態を示す斜視図
【図12】実施の形態2に係る条に切断された個片とスペーサとを交互に固定枠に組み込んださらに他の状態を示す斜視図
【図13】実施の形態2に係る条に切断された個片とスペーサとを交互に固定枠に組み込んださらに他の状態を示す斜視図
【図14】実施の形態3に係る積層板の構成を示す斜視図
【図15】実施の形態3に係る積層板の製造方法を示す断面図
【符号の説明】
【0052】
12 誘電体樹脂層
13 金属電極層
22 積層板
31 個片
32 スペーサ
42 固定枠
42A 底板
42B 側板
42C 天板
42D 押え板
46C ボルト
46D ボルト
49 押ねじ
51 形状記憶合金
61 バイメタル
71 PTFE
81 バネ
91 圧力緩和媒体
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年6月28日(2004.6.28)
【代理人】 【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ

【公開番号】 特開2006−13242(P2006−13242A)
【公開日】 平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願番号】 特願2004−190187(P2004−190187)