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【発明の名称】 ドレン構造
【発明者】 【氏名】羽山 健二
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】簡易な構造により、液体のドレン孔からの噴出を防止し、また、強度上の問題を生じさせることのない構造を備えるドレン構造を提供する。

【解決手段】このドレン構造におけるドレンプラグ20Aは、軸部21に軸方向に延びる切欠面25が設けられている。ドレン孔10Hからドレンプラグ20Aを徐々に緩めると、ドレン孔10Hの外部に面する開口部10Sとフランジ部22との間に隙間が生じる。また、ドレン孔10Hとドレンプラグ20Aの軸部21との間には、ドレン孔10Hにドレンプラグ20Aを螺合させた状態においてもケーシング1の内部領域に通じる隙間Sが生じていることから、ドレン孔10Hとドレンプラグ20Aとの間に生じる隙間と、ドレン孔10Hの開口部10Sとフランジ部22との間の隙間とが連通し、徐々にオイルFを外部に排出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に蓄えられた液体を外部に排出するために設けられ、孔を構成する内壁面に雌ネジが形成されたドレン孔と、前記ドレン孔の開閉を行なうため、前記ドレン孔の雌ネジに螺合するための雄ネジが外表面に形成された軸部および前記ドレン孔の外部に面する開口部を外方側から覆うフランジ部を有するドレンプラグとを備える、ドレン構造であって、
前記ドレン孔の内壁面と前記ドレンプラグの軸部との間には、前記ドレン孔に前記ドレンプラグを螺合させた状態において、前記ケーシングの内部領域に通じる隙間が形成されることを特徴とする、ドレン構造。
【請求項2】
前記ドレンプラグの軸部には、軸方向に延びる切欠面が設けられ、前記ドレン孔に前記ドレンプラグを螺合させた状態において、前記切欠面と前記ドレン孔の内壁面との間に、前記隙間を形成することを特徴とする、請求項1に記載のドレン構造。
【請求項3】
前記ドレン孔の内壁面には、軸方向に延びる切欠面が設けられ、前記ドレン孔に前記ドレンプラグを螺合させた状態において、前記切欠面と前記ドレンプラグの軸部との間に、前記隙間を形成することを特徴とする、請求項1に記載のドレン構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、オイルフィルタ等に採用されるドレン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン等の内燃機関に用いられる潤滑油を濾過するためにオイルフィルタが用いられるが、このオイルフィルタは、内部に収容されているエレメントを定期的に点検する必要がある。この点検時には、オイルフィルタ内のオイルを一旦外部に排出する必要がある。エンジンに対して垂直方向に沿ってオイルフィルタが取り付けられる場合には、図8に示すように、オイルフィルタのケーシング1の下端部にオイルを排出するためのドレン構造が設けられる。
【0003】
このドレン構造は、ケーシング1の底面部2に設けられるドレン孔10Hと、このドレン孔10Hの開閉を実現させるためのドレンプラグ20Eとから構成されている。ドレン孔10Hを構成する内壁面11には、雌ネジ12が形成され、また、ドレンプラグ20Eは、ドレン孔10Hの雌ネジ12に螺合するための雄ネジ24が外表面に形成された軸部21およびドレン孔10Hの外部に面する開口部10Sを外方側から覆うフランジ部22を有している。また、フランジ部22の軸部21側の外周縁部近傍には、シール部材としてのOリング26が配設されており、また、フランジ部22の軸部21とは反対側には、ボルトネジ頭23が設けられている。
【0004】
このドレン構造によれば、図8に示すように、ドレンプラグ20Eを緩め、完全にドレン孔10Hからドレンプラグ20Eを取り外すことにより、ケーシング1内に蓄えられていたオイルFを、ドレン孔10Hから外部に排出することを可能とする。
【0005】
しかし、ケーシング1内に蓄えられていたオイルFは、ドレン孔10Hから一度に外部に排出されるため、オイルFがドレン孔10Hから噴出し、オイルFが周囲に飛散して床上にこぼれ、また、作業者の衣服および手足を汚すおそれがある。このような不都合を回避するために、図9に示す構造においては、ケーシング1の内側からドレン孔10Hを塞ぐように膜状部材30を配設し、外部から排出パイプ40をドレン孔10Hに突き刺すことで膜状部材30が破れ、排出パイプ40によりケーシング1内に蓄えられたオイルFを排出する方法が採用されている。
【0006】
しかしながら、この方法では、検査の度に膜状部材30を破損し、交換する必要があるため、検査コストの上昇を招いている。また、検査工場の全てに、排出パイプ40を配置させておく必要も生じる。
【0007】
下記特許文献1には、車両用タンクに適用されるドレン構造が開示されており、ドレンプラグに相当する液抜き栓が開示されているが、ドレン抜き開口部からのオイルの噴出に関する対策は何ら施されていない。また、特許文献2には、エンジンのオイルパンに設けられるドレンプラグの構造が開示されており、ドレンプラグ内にオイルを通過させるための逃がし通路が設けられている。しかし、ドレンプラグ内に貫通通路を設けることは、ドレンプラグの強度上の低下を招くおそれがある。
【特許文献1】実開平6−65469号公報
【特許文献2】実開平3−65100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、ケーシング内に蓄えられていた液体を排出する際に、従来のドレン構造では、ドレン孔から液体が一度に外部に排出されるため、液体がドレン孔から噴出し、液体が周囲に飛散して床上にこぼれ、また、作業者の衣服および手足を汚す点にある。また、液体の周囲への飛散を解消するために、ドレンプラグ内に液体が通過する貫通通路を設けた場合には、ドレンプラグの強度上の低下を招く点にある。したがって、この発明の目的は、比較的簡易な構造により、液体のドレン孔からの噴出を防止し、また、強度上の問題を生じさせることのない構造を備えるドレン構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に基づいたドレン構造においては、ケーシングの内部に蓄えられた液体を外部に排出するために設けられ、孔を構成する内壁面に雌ネジが形成されたドレン孔と、上記ドレン孔の開閉を行なうため、上記ドレン孔の雌ネジに螺合するための雄ネジが外表面に形成された軸部および上記ドレン孔の外部に面する開口部を外方側から覆うフランジ部を有するドレンプラグとを備えるドレン構造であって、上記ドレン孔の内壁面と上記ドレンプラグの軸部との間には、上記ドレン孔に上記ドレンプラグを螺合させた状態において、上記ケーシングの内部領域に通じる隙間を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
上記構成からなるドレン構造によれば、ドレンプラグをドレン孔に完全にねじ込んだ状態においては、ドレン孔の外部に面する開口部は、ドレンプラグのフランジ部によって覆われていることから、ケーシングの内部に蓄えられた液体がドレン孔を通じて外部に排出されることはない。ドレン孔に対してドレンプラグを徐々に緩めると、ドレン孔の外部に面する開口部とフランジ部との間に隙間が生じることになる。また、ドレン孔の内壁面とドレンプラグの軸部との間には、ドレン孔にドレンプラグを螺合させた状態においてもケーシングの内部領域に通じる隙間が形成されていることから、ドレン孔の内壁面とドレンプラグとの間に生じる隙間と、ドレン孔の開口部とフランジ部との間の隙間とが連通することとなる。これにより、これらの隙間から、ケーシングの内部に蓄えられた液体が徐々に外部に排出されることになる。その結果、液体をドレン孔から噴出させることなく、液体をケーシングの内部から外部に排出させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明に基づいた実施の形態におけるドレン構造について、図を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態において、上記背景技術の構成と同一または相当部分については、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さないこととする。
【0012】
まず、この発明に基づいた実施の形態におけるドレン構造について、図1から図4を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態におけるドレン構造に採用されるドレンプラグの構造を示す全体斜視図であり、図2は、本実施の形態におけるドレン構造の模式平面図である。また、図3は、本実施の形態のドレン構造における、ドレンプラグを締付けた状態での模式断面図であり、図4は、本実施の形態のドレン構造における、ドレンプラグを緩めた状態での模式断面図である。
【0013】
まず、図1を参照して、本実施の形態におけるドレンプラグ20Aの特徴は、上記背景技術におけるドレンプラグ20Eと比較した場合、軸部21に、軸方向に延びる切欠面25が設けられている点にある。このドレンプラグ20Aをドレン孔10Hに完全に螺合させた状態においては、図2および図3に示すように、ドレン孔10H内において、ドレン孔10Hの内壁面11とドレンプラグ20Aの軸部21との間には、ケーシング1の内部領域に通じる隙間Sが形成されることとなる。
【0014】
ここで、図3に示すように、ドレンプラグ20Aをドレン孔10Hに完全にねじ込んだ状態においては、ドレン孔10Hの外部に面する開口部10Sは、ドレンプラグ20Aのフランジ部22によって覆われ、また、Oリング26によってシールされていることから、ケーシング1の内部に蓄えられたオイルFがドレン孔10Hを通じて外部に排出されることはない。次に、ドレン孔10Hに対してドレンプラグ20Aを徐々に緩めると、図4に示すように、ドレン孔10Hの外部に面する開口部10Sとフランジ部22との間に隙間が生じることになる。また、ドレン孔10Hの内壁面11とドレンプラグ20Aの軸部21との間には、ドレン孔10Hにドレンプラグ20Aを螺合させた状態においてもケーシング1の内部領域に通じる隙間Sが生じていることから、ドレン孔10Hの内壁面11とドレンプラグ20Aとの間に生じる隙間と、ドレン孔10Hの開口部10Sとフランジ部22との間の隙間とが連通することとなる。
【0015】
これにより、図4中の矢印に示すように、上記連通した隙間から、ケーシング1の内部に蓄えられたオイルFを徐々に外部に排出されることができる。その結果、オイルFをドレン孔10Hから噴出させることなく、ケーシング1の内部から外部にオイルFを徐々に排出させて、オイルFの周囲への飛散を防止し、床上の汚れ、作業者の衣服および手足の汚れを防止することが可能となる。また、ドレンプラグを貫通させる流路を形成する必要がないため、ドレンプラグの強度低下を招くこともない。
【0016】
なお、上記ドレンプラグ20Aにおいては、軸部21に軸方向に延びる切欠面25を一箇所設ける場合について説明したが、ドレン孔10Hにドレンプラグ20Aを螺合させた状態において、ケーシング1の内部領域に通じる隙間Sを生じる観点に立てば、図5に示すように、軸部21の対向する面に1対の切欠面25a,25aを設けて、ケーシング1の内部領域に通じる隙間Sを2箇所とした、ドレンプラグ20Bを採用することも可能である。また、切欠面として平面形態のものを図示したが、図6に示すように、軸方向に直交する断面が凹形状の切欠面25bを用いた、ドレンプラグ20Cを採用することも可能である。
【0017】
また、切欠面を有さないドレンプラグ20Dを用い、図7に示すように、ドレン孔10Hの内壁面11に軸方向に延びる切欠面11a(軸方向に直交する断面が凹形状)を設け、ドレン孔10Hにドレンプラグ20Eを螺合させた状態において、切欠面11aとドレンプラグ20Eの軸部21との間に隙間Sを形成するドレン構造を採用することも可能である。
【0018】
なお、上記実施の形態においては、オイルフィルタに採用されるドレン構造について説明したが、オイルフィルタに限定されることなく、オイルパン、その他の液体を蓄える容器等に広く本発明のドレン構造を適用することが可能である。
【0019】
したがって、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に基づいた実施の形態におけるドレン構造に採用されるドレンプラグの構造を示す全体斜視図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態におけるドレン構造の模式平面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態のドレン構造における、ドレンプラグを締付けた状態での模式断面図である。
【図4】この発明に基づいた実施の形態のドレン構造における、ドレンプラグを緩めた状態での模式断面図である。
【図5】この発明に基づいた他の実施の形態におけるドレン構造の模式平面図である。
【図6】この発明に基づいたさらに他の実施の形態におけるドレン構造の模式平面図である。
【図7】この発明に基づいたさらに他の実施の形態におけるドレン構造の模式平面図である。
【図8】背景技術のドレン構造における、ドレンプラグを緩め付けた状態での模式断面図である。
【図9】他の背景技術のドレン構造を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ケーシング、2 底面部、10H ドレン孔、10S 開口部、11 内壁面、11a,25,25a,25b 切欠面、12 雌ネジ、20A,20B,20C,20D,20E ドレンプラグ、21 軸部、22 フランジ部、23 ボルトネジ頭、24 雄ネジ、26 Oリング、F オイル、S 隙間。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成16年11月15日(2004.11.15)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫

【識別番号】100112852
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 正

【公開番号】 特開2006−138437(P2006−138437A)
【公開日】 平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願番号】 特願2004−330176(P2004−330176)