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【発明の名称】 給油装置およびフラッシング方法
【発明者】 【氏名】本田 大
【住所又は居所】長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工業株式会社長崎造船所内
【氏名】吉原 仁志
【住所又は居所】長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工業株式会社長崎造船所内
【氏名】梶原 範康
【住所又は居所】長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工業株式会社長崎造船所内
【課題】タービンの施工工期を短縮することを目的とする。

【解決手段】この給油装置100では、フラッシング作業時、油タンク11側の給油管5と戻り油管6とをバイパス管13により直結し、分断された給油管5と戻り油管6のフランジ9には塞ぎ板14を取り付ける。この状態で、油循環系統は、油タンク11から給油管5、バイパス管13、戻り油管6、ストレーナ12、油タンク11で構成され、軸受台1に接続された給油管5及び戻り油管6は当該循環系統から切り離されて軸受3に油が流れなくなる。このため、フラッシング作業時でも軸受3の温度が一定であるから、センタリング作業も同時に行え、タービン施工工期を短縮できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油供給手段と、
該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続すると共に前記軸受側に給油分断部分を有する給油管と、
前記軸受台と前記油供給手段とを接続すると共に前記軸受台側に戻り油分断部分を有する戻り油管と、
前記給油分断部分の前記油供給手段側端部と前記戻り油分断部分の前記油供給手段側端部とを連結するバイパス管と、
前記給油分断部分及び前記戻り油分断部分の各前記軸受台側端部に閉鎖可能に取付けられる開閉手段と、
を備えたことを特徴とする給油装置。
【請求項2】
油供給手段と、
該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続し、前記軸受側の一部に着脱可能に設けられた給油継ぎ管を有する給油管と、
前記軸受台と前記油供給手段とを接続し、前記軸受側の一部に着脱可能に設けられた戻り油継ぎ管を有する戻り油管と、
前記給油管における前記給油継ぎ管側端部と、前記戻り油管における前記戻り油継ぎ管側端部とを連結するバイパス管と、
を備えたことを特徴とする給油装置。
【請求項3】
油供給手段と、
該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続した給油管と、
前記軸受台と前記油供給手段とを接続した戻り油管と、
前記給油管の前記軸受側に設けたストレーナと、
該ストレーナと戻り油管とを接続するバイパス管と、
前記給油管における前記ストレーナの下流側に設けた第1開閉手段と、
前記バイパス管に設けた第2開閉手段と、
を備えることを特徴とする給油装置。
【請求項4】
油供給手段と、
前記油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続した給油管と、
前記軸受台と前記油供給手段とを接続した戻り油管と、
前記給油管の途中に設けたストレーナと、
該ストレーナと戻り油管とを接続するバイパス管と、
前記ストレーナ内に設けられ且つ油の流れ方向を下流側の給油管とバイパス管との間で切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする給油装置。
【請求項5】
油供給手段と、該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続する給油管と、前記軸受台と前記油供給手段とを接続する戻り油管と、を備えた給油装置のフラッシング方法において、
前記軸受台の近傍位置で、前記給油管と前記戻り油管とをバイパス管によって接続する工程と、
該バイパス管の下流側に位置する前記給油管及び前記戻り油管の各端部を閉じる工程と、
前記油供給手段から、前記給油管、前記バイパス管および前記戻り油管に油を循環させフラッシングを行う工程と、
を含むことを特徴とする給油装置のフラッシング方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気タービン等のフラッシングに使用される給油装置およびフラッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンやガスタービンでは、潤滑油配管内のスラッジや異物を取り除くため、据付時又は定期点検時にフラッシング作業を行う。図9は、従来の軸受用油の給油装置の一例を示す構成図である。軸受台901にはカバー902が設けられ、その内部には軸受903が位置している。また軸受台901には、給油管905と戻り油管906とが接続されている。給油管905は、タービン軸904と軸受903との間まで油を供給する。また、給油管905には、フラッシング用のエレメントを内蔵したストレーナ907及びオリフィスストレーナ908が設けられている。また、オリフィスストレーナ908には、バイパス配管909が設けられ、このバイパス配管909の他端は、前記戻り油管906に接続されている。なお、バイパス配管909には、油流量を調整し又は油の流れを止めるための弁910が設けられている。
【0003】
この軸受用油の給油装置900では、給油管905から油が軸受903に供給され。この油がタービン軸904と軸受903との間に油膜を形成すると共に当該部分を冷却する。軸受903から排出された油は、軸受台901の下側に設けた戻り油管906に入り、図示しない油タンクに戻される。フラッシング作業時には、オリフィスストレーナ908からバイパス配管909に油を分流させる。このバイパス配管909の油の流量は、弁910で調整される。配管内のスラッジや異物は、ストレーナ907及びオリフィスストレーナ908によって捕捉される。
【0004】
上記給油装置900では、油を軸受903に流すと、油温が軸受903に伝播して温度が上昇し、タービン軸904のセンタリングに影響を及ぼすため、フラッシング作業とセンタリング作業を同時に行えないという問題点があった。通常、タービン据付作業には1ヶ月強を要し、フラッシング作業に2ヶ月強を有するため、センタリング作業とフラッシング作業とが同時に行えない場合、タービン施工完了までに合計3ヶ月〜4ヶ月が必要となってしまう。
【特許文献1】特開平6−1595888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タービン施工工期を短縮できる給油装置およびフラッシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、この発明に係る給油装置は、油供給手段と、該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続すると共に前記軸受側に給油分断部分を有する給油管と、前記軸受台と前記油供給手段とを接続すると共に前記軸受台側に戻り油分断部分を有する戻り油管と、前記給油分断部分の前記油供給手段側端部と前記戻り油分断部分の前記油供給手段側端部とを連結するバイパス管と、前記給油分断部分及び前記戻り油分断部分の各前記軸受台側端部に閉鎖可能に取付けられる開閉手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
給油分断部分の前記油供給手段側端部と前記戻り油分断部分の前記油供給手段側端部とをバイパス管によって接続することで、給油管及び戻り油管を直結できる。このため、フラッシング時に軸受台側に油が流れず、軸受が大気温度に維持されるから、フラッシング作業と並行してタービン軸のセンタリング作業を行うことができる。
また、軸受台の油漏れに注意を払う必要がないので、循環系統内の油の流速を高めることができる。
なお、給油分断部分及び前記戻り油分断部分の各前記軸受台側端部には、開閉手段により閉鎖する。なお、開閉手段は、例えば板状体や弁等からなる。
【0008】
また、この発明に係る給油装置は、油供給手段と、該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続し、前記軸受側の一部に着脱可能に設けられた給油継ぎ管を有する給油管と、前記軸受台と前記油供給手段とを接続し、前記軸受側の一部に着脱可能に設けられた戻り油継ぎ管を有する戻り油管と、前記給油管における前記給油継ぎ管側端部と、前記戻り油管における前記戻り油継ぎ管側端部とを連結するバイパス管と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
フラッシングを行う際は、給油継ぎ管及び戻り油継ぎ管はバイパス管に換装されて給油管と戻り油管とが直結される。これにより、フラッシング時に軸受台側に油が流れず、軸受が大気温度に維持されるから、フラッシング作業と並行してタービン軸のセンタリング作業を行うことができる。
【0010】
また、この発明に係る給油装置は、油供給手段と、該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続した給油管と、前記軸受台と前記油供給手段とを接続した戻り油管と、前記給油管の前記軸受側に設けたストレーナと、該ストレーナと戻り油管とを接続するバイパス管と、前記給油管における前記ストレーナの下流側に設けた第1開閉手段と、前記バイパス管に設けた第2開閉手段と、を備えることを特徴とする給油装置。
【0011】
フラッシングを行う際は、第1開閉手段によりストレーナ下流の給油管の流れを止めると共に、バイパス管の第2開閉手段を開け、給油管及び戻り油管をバイパス管により直結する。これにより、フラッシング時に軸受台側に油が流れず、軸受が大気温度に維持されるから、フラッシング作業と並行してタービン軸のセンタリング作業を行うことができる。
また、軸受台の油漏れに注意を払う必要がないので、循環系統内の油の流速を高めることができる。
なお、フラッシング作業が終了したら、第1開閉手段を開け、第2開閉手段を閉じることで、油が給油管を介して軸受に供給される。
【0012】
また、この発明に係る給油装置は、油供給手段と、前記油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続した給油管と、前記軸受台と前記油供給手段とを接続した戻り油管と、前記給油管の途中に設けたストレーナと、該ストレーナと戻り油管とを接続するバイパス管と、前記ストレーナ内に設けられ且つ油の流れ方向を下流側の給油管とバイパス管との間で切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
フラッシングを行う際は、ストレーナの切替手段を用いて油の流れ方向をバイパス管側に切り替え、給油管及び戻り油管をバイパス管により直結する。これにより、フラッシング時に軸受台側に油が流れず、軸受が大気温度に維持されるから、フラッシング作業と並行してタービン軸のセンタリング作業を行うことができる。
また、軸受台の油漏れに注意を払う必要がないので、循環系統内の油の流速を高めることができる。
なお、フラッシング作業が終了したら、ストレーナの切り替え手段により油の流れ方向を給油管側に切り替えることで、油が給油管を介して軸受に供給される。
【0014】
また、この発明に係る給油装置のフラッシング方法は、油供給手段と、該油供給手段とタービン軸の軸受を支持する軸受台とを接続する給油管と、前記軸受台と前記油供給手段とを接続する戻り油管と、を備えた給油装置のフラッシング方法において、前記軸受台の近傍位置で、前記給油管と前記戻り油管とをバイパス管によって接続する工程と、該バイパス管の下流側に位置する前記給油管及び前記戻り油管の各端部を閉じる工程と、前記油供給手段から、前記給油管、前記バイパス管および前記戻り油管に油を循環させフラッシングを行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
このように、軸受台の近傍位置で、前記給油管と前記戻り油管とをバイパス管によって接続して、油供給手段から、給油管、バイパス管および戻り油管に油を循環させフラッシングを行うので、フラッシング時に軸受台側に油が流れず、軸受が大気温度に維持されるから、フラッシング作業と並行してタービン軸のセンタリング作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の給油装置およびフラッシング方法によれば、センタリング作業とフラッシング作業とを並行して行えるので、タービン施工工期を大幅に短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。
[第一実施形態]
【0018】
図1は、この実施形態の軸受用油の給油装置を示す基本概念図である。図1(a)は、タービンの軸受に油を流している状態を示す。
この給油装置100では、軸受台1にカバー2が設けられ、タービン軸4は当該軸受台1の軸受3により支持される。軸受台1には、給油管5および戻り油管6が接続されている。給油管5は、軸受台1に接続する部分から軸受4まで繋がり、軸受3とタービン軸4との間に油を供給する。戻り油管6は、軸受台1の下部に設けられている。
また、給油管5および戻り油管6は、軸受台1の外の位置で分割構造となっている。具体的には、給油管5の一部が、着脱構造の継ぎ管(給油継ぎ管)7となり、戻り油管6の一部が着脱構造の継ぎ管(戻り油継ぎ管)7’となっている。継ぎ管7,7’の両側には、取り合い用のフランジ8,8’が設けられている。
【0019】
なお、給油管5と継ぎ管7との接合部分Aが本発明の給油分断部分を構成し、戻り油管6と継ぎ管7’との接合部分Bが本発明の戻り油分断部分を構成している。
また、給油管5及び戻り油管6の分断された端部にも取り合い用のフランジ9が設けられている。また、前記給油管5の油導入端には、油ポンプ10が設けられている。油ポンプ10は、油タンク11内の油を軸受3まで運搬する。戻り油管6の端部には、油に混入したスラグや異物等を補足するストレーナ12が設けられている。
【0020】
この給油装置100では、フラッシング作業を行う場合、図1(b)に示すように、油タンク11側の給油管5と戻り油管6とをバイパス管13により直結する。一方、分断された給油管5と戻り油管6のフランジ9には、開閉手段である塞ぎ板14が取り付けられる。
この状態で、軸受台1から延出する給油管5及び戻り油管6は、油循環系統から完全に切り離される。即ち、油循環系統は、油タンク11から給油管5、バイパス管13、戻り油管6、ストレーナ12、油タンク11で構成され、軸受台1に接続された給油管5及び戻り油管6は、その内部に残留している油と共に当該循環系統から切り離される。
その結果、フラッシング時には軸受3に油が流れなくなる。従来は、軸受3の温度変化がタービン軸4のセンタリングに悪影響を及ぼしていたのでフラッシング作業と同時にセンタリング作業を行えなかったが、本実施形態の構成では、既述のように軸受3に油が流れず、それゆえ当該軸受3の温度が変化しないため、フラッシング作業中でもセンタリング作業が可能になる。
【0021】
また、本実施形態の構成によれば、フラッシング時の油流速を大幅に増やすことができる。即ち、給油管5及び戻し油管6をバイパス管13で直結してあるため、油ポンプ10の吐出量を大きくして油流速を上げても、軸受台1及び軸受3には油が循環しないので、当該部分の油漏れに注意を払う必要がない。このため、油の流速を大幅に増加でき、その結果、配管内のスラグや異物を効率的に洗い流すことができるようになる。
なお、切り離された軸受台1側の給油管5及び戻し油管6ならびに軸受3については、センタリング作業が完了し、継ぎ管7,7’を接続した後にフラッシングすればよい。
【0022】
別の観点では、軸受台1に接続された給油管5及び戻り油管6は、油循環系統から空間を以って熱的に分断されている。このため、油循環系統に高温の油が流れていても、軸受台1側の給油管5及び戻し管6との間には空気層があるため、当該油循環系統の熱が殆ど伝達され難い。この結果、軸受台1は略大気温度を維持するので、センタリング作業を正確に行える。
なお、フラッシング作業が1〜2ヶ月の長期間になると、バイパス管13からの放射熱が軸受台1側の給油管5及び戻り油管6に伝達される可能性があるが、これに対しては、給油管5及び戻り油管6との距離が十分とれるようにバイパス管13の形状を工夫するか(例えば、給油管5及び戻り油管6から直角に曲げて、対向する軸受台1側の給油管5及び戻り油管6から離す等)、或いはこれらの間に発砲ウレタン等の断熱材を介在させるのがよい(図示省略)。
【0023】
以上、この給油装置100は、バイパス管13により給油管5及び戻り油管6を直結し、軸受台1に油が循環しないようにするので、タービン軸のセンタリング作業と並行かつ独立してフラッシング作業を行うことができる。このため、タービンの施工工期を大幅に短縮することができる。また、油循環系統内でフラッシング油を高速循環させることができるので、フラッシング効率が向上する。
[第二実施形態]
【0024】
図2は、この発明の第二実施形態に係る給油装置を示す基本概念図である。この給油装置150では、軸受台1にカバー2が設けられ、タービン軸4は当該軸受台1の軸受3により支持される。
軸受台1には、給油管5および戻り油管6が接続されている。給油管5は、軸受台1に接続する部分から軸受3まで繋がり、軸受3とタービン軸4との間に油を供給する。戻り油管6は、軸受台1の下部に設けられている。
また、給油管5には、フラッシング用の仮ストレーナ51が設けられている。この仮ストレーナ51は、油に混入したスラグや異物を捕捉する。また、給油管5の仮ストレーナ51下流には、開閉手段である閉止板52が設けられる。
仮ストレーナ51と戻り油管6との間には、バイパス管53が設けられている。バイパス管53には、開閉手段である弁54が設けられている。前記給油管5の油導入端には、油ポンプ10が設けられている。油ポンプ10は、油タンク11内の油を軸受3まで運搬する。
【0025】
この給油装置150では、フラッシング作業を行う場合、閉止板52で給油管5の油の流れを止め且つ弁54を開けることにより、油タンク11側の給油管5と戻り油管6とをバイパス管53により直結する。その結果、フラッシング時には軸受3に油が流れなくなる。従来は、軸受3の温度変化がタービン軸4のセンタリングに悪影響を及ぼしていたのでフラッシング作業と同時にセンタリング作業を行えなかったが、本実施形態の構成では、既述のように軸受3に油が流れず、それゆえ当該軸受3の温度が変化しないため、フラッシング作業中でもセンタリング作業が可能になる。
なお、センタリング作業が終了したら、弁54を閉じ且つ閉止板52を取り外し、給油管5を介して軸受3に油を供給し、軸受3のフラッシングをする。
【0026】
この給油装置150によっても、タービン軸のセンタリング作業と並行かつ独立してフラッシング作業を行うことができるから、タービンの施工工期を大幅に短縮できる。
[第三実施形態]
【0027】
上記発明の具体的な構成例を以下に示す。図3は、この発明の第三実施形態に係る軸受用油の給油装置を示す構成図である。なお、同図はフラッシング作業時の構成を示している。
この給油装置200は、給油管205及び戻り油管206を接続し且つ油ポンプ210を有する油供給装置211を備える。給油管205は、各軸受台201に対して分岐接続されている。図示の蒸気タービン250は、高中圧タービン251、低圧第1タービン252、低圧第2タービン253を収納する3つの車室を有し、各車室の両側においてタービン軸を軸受で支持している。
【0028】
スラスト軸受239及び第1軸受231の軸受台201aには、フラッシング用仮ストレーナ254が常設されており、分岐した給油管205aはこの仮ストレーナ254に接続される。
仮ストレーナ254には、バイパス管255,256が設けられており、各バイパス管255,256には、開閉手段である流量調整用の弁257,258が設けられている。各バイパス管255,256の他端は、戻り油管206aに接続されている。
【0029】
図4は、スラスト軸受239及び第1軸受231の軸受台201aにおける具体的接続例を示す説明図である。図4(a)は上面図、図4(b)は側面図である。
通常は、給油管205aからフレキシブルホース260を介してスラスト軸受239及び第1軸受231に油を供給する。据付時又は定期点検を行う際のフラッシング作業時には、まず、図4(a)に示すように、各フレキシブルホース260の端部に栓261をし、次に、図4(b)に示すように、給油管205aに流量調整用の弁257,258を介してフレキシブルホース259,262(図3のバイパス管255,256に相当)を取り付け、このフレキシブルホース259,262の他端を戻り油管206aのドレン穴263に挿入する。
この際、オイルミスト等の上昇を防ぐため、ドレン穴263はフレキシブルホース259,262ごとプラスチックのカバー264で覆う。弁257,258は開いておく。これにより給油管205aと戻り油管206aを直結できる。
この構成では、軸受台201a内に油流を持つフレキシブルホース259,262が存在することになるが、これは、殆どの蒸気タービンにおいて給油管及び戻り油管が軸受台の直下にあり、後述するようなフランジ取り合いのバイパスが困難だからである。
しかしながら、係る構成でも、給油管205a及び戻り油管206aがフレキシブルホース259,262により直結されているので、フラッシング時に油が軸受239,231に流れない。このため、軸受231の温度上昇を防止できる。
【0030】
第2軸受232及び第3軸受233の軸受台201bには、上記同様の仮ストレーナ265が設けられているが、この仮ストレーナ265の上流の給油管205b及び下流の戻り油管206bを、継ぎ管(図示省略。図1参照)とのフランジ取り合い構造とする。フラッシング作業時には、前記継ぎ管を取り外し、油供給装置211側の給油管205bと戻り油管206bとを直結するバイパス管266を設ける。このバイパス管266には流量調整用の弁267が設けられる。一方、軸受台201b側の給油管205b及び戻り油管206bのフランジには、開閉手段である塞ぎ板268が設けられる。
【0031】
図5は、第2軸受232及び第3軸受233の軸受台201bにおける具体的接続例を示す説明図である。
このように、油供給装置211側の給油管205b及び戻り油管206bを略U字形状のバイパス管266で直結し、軸受台201b側の給油管205b及び戻り油管206bには、塞ぎ板268を設ける。バイパス管266には流量調整弁269を設ける。
このようにすれば、給油管205b及び戻り油管206bがバイパス管266により直結されているので、フラッシング時に油が軸受232,233に流れない。このため、軸受232,233の温度上昇を防止できる。
また、当該構成は、軸受台201b側の給油管205b及び戻り油管206bとパイパス管266とが空気層を介して分断されているので、バイパス管266内を流れる油の温度が軸受台201bに伝播し難い。このため、100度以上の高温油でフラッシングすることもできる。
更に、軸受台201b側の給油管205b及び戻り油管206bとパイパス管266との間に断熱材を介在させても良い。
【0032】
第4軸受234及び第5軸受235の軸受台201cには、給油管205c及び戻り油管206cが接続され、当該給油管205c及び戻り油管206cにはフラッシング用仮ストレーナ270,271が常設されている。
また、軸受台201cと仮ストレーナ270,271との間には、開閉手段である閉止板272,273が設けられている。この閉止板272,273は、フラッシング作業時に仮ストレーナ270,271から油が流入するのを阻止する。
仮ストレーナ270,271には、流量調整用の弁274,275を有するバイパス管276,277が設けられ、このバイパス管276,277により給油管205cと戻り油管206cとが直結されている。
【0033】
図6は、第4軸受234及び第5軸受235の軸受台201cにおける具体的接続例を示す説明図である。
軸受台201cに接続している給油管205cには、フラッシング用の仮ストレーナ270,271が設けられている。この仮ストレーナ270,271には、流量調整用の弁274,275を介してバイパス用のフレキシブルチューブ278(バイパス管276,277に相当)が設けられている。フレキシブルチューブ278の他端は、戻り油管206cのドレン穴279に挿入されており、このドレン穴279は、オイルミストの飛散を防止するため、プラスチックのカバー280により塞がれている。
【0034】
また、軸受台201c側の給油管205cは、閉止板272,273により油の流れが止められている。閉止板272,273は、断熱性の高い材料で構成するのが好ましい。例えば、発砲ウレタン等の一般的断熱材を挟んだ板や、中空構造の板等を用いるのが好ましい。
これにより、循環側の給油管205c及び戻り油管206c内の油の熱が、軸受台201c側に封入された状態の油に伝播し、軸受234,235の温度が上昇するのを防止できる。反対に、このような断熱対策を施すことで、高温油によりフラッシング作業を行うことができる。
【0035】
また、第6軸受236の軸受台201dには、上記第2軸受232および第3軸受233と同様の仮ストレーナ281が設けられている。また、この仮ストレーナ281の上流の給油管205d及び下流の戻り油管206dは、継ぎ管(図示省略。図1参照)とのフランジ取り合い構造とされている。
フラッシング作業時には、バイパス管282により、前記継ぎ管を取り外し、油供給装置211側の給油管205dと戻り油管206dとを直結する。このバイパス管282には流量調整用の弁283が設けられる。一方、給油管205d及び戻り油管206dのフランジには、開閉手段である塞ぎ板284が設けられる。
第6軸受236の軸受台201dの具体的接続例は、図5に示したものと同様である。
【0036】
上記図4〜6の構成によれば、軸受231〜236をバイパスして油を循環させ、軸受台201に油が循環しないようにするので、タービン軸のセンタリング作業と並行独立してフラッシング作業を行うことができる。このため、タービンの施工工期を大幅に短縮できる。
また、油循環系統内でフラッシング油を大量かつ高速に循環させることができるので、フラッシング効率が向上する。従来は軸受を介してフラッシングしており、軸受台から油が漏れないように注意しながら油を循環させていたが、この実施形態ではバイパス管で直結し、軸受を介さず油循環させるので、当該パイパス管の径を拡大し、より多くの油を流せるようにできるからである。
[第四実施形態]
【0037】
図7は、この発明の第四実施形態に係る軸受用油の給油装置を示す構成図である。この給油装置は、フラッシング用の仮ストレーナ254に、下流への油の流れを遮断するストレーナアダプタ350(図8参照)を設けた構成である。
また、仮ストレーナ254には、バイパス管301が接続されており、ストレーナアダプタ使用時に油の流れがバイパス管側に切り替えられるようになっている。
【0038】
図8は、図7に示した仮ストレーナとストレーナアダプタの一例を示す説明図である。
図8(a)に示すように、この仮ストレーナ254は、底付き円筒体351からなり、その側面に油が通過する穴352が設けられている。この穴352には給油管205aが接続される。また、開口側には、バイパス管301を接続した蓋353が設けられ、この蓋353は円筒体351に対して着脱可能に固定される。円筒体351内部には楕円形状のストレーナ板354が設けられている。ストレーナアダプタ350は、図8(b)に示す通常運転用と図8(c)に示すフラッシング用とが用意される。
【0039】
図8(b)は、通常運転用のストレーナアダプタ350Aを示し、このストレーナアダプタ350Aを円筒体351の蓋353を取って内部に入れると、このストレーナアダプタ350Aの円筒側面及び円筒軸方向傾斜側が開いているので、給油管205aからの油はストレーナ板354を通過して、再び給油管205aに導入される。
次に、図8(c)は、フラッシング用のストレーナアダプタ350Bを示し、これを円筒体351の中に入れると、このストレーナアダプタ350Bが円筒軸方向右側および円筒側面に開口しているため、給油管205aからの油はバイパス管301側にその流れが切り替わる。
なお、切り替え構造は、図8に示したものに限定されない。また、他の仮ストレーナ265,270,271,281及びストレーナアダプタも同様の構成である。
【0040】
図7に戻り、軸受台201aの仮ストレーナ254には、バイパス管301が設けられている。バイパス管301には、流量調整用の弁302が設けられている。また、当該バイパス管301は、その下流側が戻り油管206aに接続されている。
ストレーナアダプタ350Aを挿入した場合は、給油管205aから供給された油は、仮ストレーナ254内を通過してスラスト軸受291及び第1軸受231に供給される。
一方、フラッシング作業のため前記仮ストレーナ254内にストレーナアダプタ350Bを挿入した場合、異物を捕捉するストレーナ部分が当該ストレーナアダプタ350Bにより塞がれ、下流の給油管205aに流れなくなる。また、ストレーナアダプタ350Bによりバイパス管301に油の流れが切り替えられる。
これにより、給油管205a、仮ストレーナ254、バイパス管301及び戻り油管206aの間を油が循環し、油が軸受239,231に流れない。このため、軸受239,231の温度上昇を防止できる。
また、第三実施形態のような複雑な配管作業(フレキシブルチューブ259,262の交換)が不要になる。
【0041】
同様に、軸受台201bの仮ストレーナ265にも、流量調整用の弁304を有するバイパス管303が設けられ、その下流側が戻り油管206bに接続されている。
ストレーナアダプタ350Aを挿入した場合は、給油管205bから供給された油は、仮ストレーナ265内を通過して第2軸受232及び第3軸受233に供給される。
一方、フラッシング作業のため仮ストレーナ265内にストレーナアダプタ350Bを挿入した場合、異物を捕捉するストレーナ部分が当該ストレーナアダプタ350Bにより塞がれ、下流の給油管205bに流れなくなる。また、ストレーナアダプタ350Bによりバイパス管303に油の流れが切り替えられる。
これにより、給油管205b、仮ストレーナ265、バイパス管303及び戻り油管206bの間を油が循環し、油が軸受232,233に流れない。このため、軸受232,233の温度上昇を防止でき且つ油の流速を高められる。また、第三実施形態のようなフランジや閉止板268が不要であり、構造を簡単にできる。
【0042】
軸受台201cの給油構造は第三実施形態と同じであるので説明を省略する。
軸受台201dの仮ストレーナ281は、上記同様に、流量調整用の弁306を有するバイパス管305が設けられ、その下流側が戻り油管206dに接続されている。ストレーナアダプタ350Aを挿入シタ場合、給油管205dから供給された油は、仮ストレーナ281内を通過して第6軸受236に供給される。
一方、フラッシング作業のため仮ストレーナ281内にストレーナアダプタ350Bを挿入した場合、ストレーナ板が当該ストレーナアダプタ350Bにより塞がれ、下流の給油管205dに流れなくなる。また、ストレーナアダプタ350Bによりバイパス管305に油の流れが切り替えられる。
これにより、給油管205d、仮ストレーナ281、バイパス管305及び戻り油管206dの間を油が循環し、油が軸受236に流れない。このため、軸受236の温度上昇を防止でき且つ油の流速を高められる。
また、第三実施形態のようなフランジや閉止板284が不要であり、構造を簡単にできる。
【0043】
以上、この給油装置300は、上記第三実施形態の給油装置と同様の効果を奏すると共に、簡単な構造でフラッシング作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第一実施形態に係る軸受用油の給油装置を示す概念図である。
【図2】この発明の第二実施形態に係る給油装置を示す基本概念図である。
【図3】この発明の第三実施形態に係る軸受用油の給油装置を示す構成図である。
【図4】スラスト軸受及び第1軸受の軸受台における具体的接続例を示す説明図である。
【図5】第2軸受及び第3軸受の軸受台における具体的接続例を示す説明図である。
【図6】第4軸受及び第5軸受の軸受台における具体的接続例を示す説明図である。
【図7】この発明の第四実施形態に係る軸受用油の給油装置を示す構成図である。
【図8】図7に示した仮ストレーナとストレーナアダプタの一例を示す説明図である。
【図9】従来の軸受用油の給油装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
100 給油装置
1 軸受台
2 カバー
3 軸受
4 タービン軸
5 給油管
6 戻り油管
7 継ぎ管
8,9 フランジ
10 油ポンプ
11 油タンク
12 ストレーナ
13 バイパス管
14 塞ぎ板
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成16年11月10日(2004.11.10)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生

【公開番号】 特開2006−138346(P2006−138346A)
【公開日】 平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願番号】 特願2004−326446(P2004−326446)