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【発明の名称】 潤滑装置
【発明者】 【氏名】杉田 澄雄
【住所又は居所】神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

【要約】 【課題】吐出容量の小さいギヤポンプ等の安価な汎用ポンプを油圧ポンプとして用い、簡易な構造で低コストに、所定量の潤滑油を高速度で吐出させるとともに、ノズルからの潤滑油の液ダレ等を防止する。

【解決手段】潤滑装置10は、定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51に、油圧開放弁20が介在される。油圧開放弁20は、油圧ポンプ12からの油圧が所定値未満である状態では、油圧経路50,51を閉鎖させるとともに、油圧ポンプ12からの油圧が所定値に達した際には、油圧経路50,51を開通させる。これにより、油圧開放弁20は、油圧ポンプ12による油圧がONされた際、定量弁30の吐出シリンダ34の作動油室の油圧を急激に上昇させ、吐出ピストン35を高速度で動作させる。また、定量弁30において、蓄油量(蓄油ピストン面積×ストローク)は、吐出量(吐出ピストン面積×ストローク)より所定量小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の潤滑油をノズルから潤滑対象に向けて吐出させることにより、潤滑対象を潤滑する潤滑装置であって、
所定量の潤滑油を貯留するとともに、貯留した所定量の潤滑油をノズルに向けて送出させる定量弁と、前記定量弁に油圧を作用させるとともに、当該油圧をON/OFFさせる油圧ポンプと、
前記定量弁及び前記油圧ポンプ間の油圧経路に介在され、当該油圧ポンプからの油圧が所定値未満である状態では、前記油圧経路を閉塞させるとともに、当該油圧ポンプからの油圧が所定値以上になると、前記油圧経路を開通させる油圧開放弁とを備えたことを特徴とする潤滑装置。
【請求項2】
前記定量弁及び前記油圧ポンプ間の油圧経路において、前記油圧開放弁より上流側の配管が圧力によって膨張可能な材料からなり、かつ前記油圧開放弁より下流側の配管が、圧力による自身の体積膨張量が上流側より小さい配管材料からなることを特徴とする請求項1記載の潤滑装置。
【請求項3】
前記定量弁は、油圧ポンプとの間の油圧経路に連通される油圧主管と、
吐出ピストンを内部に変位可能に設けられ、当該吐出ピストンの変位方向一端側に、前記油圧主管に連通される作動油室を形成されるとともに、前記吐出ピストンの変位方向他端側に、吐出口を介してノズルに連通される給油室を形成される吐出シリンダと、
蓄油ピストンを内部に変位可能に設けられ、当該蓄油ピストンの変位方向一端側に、蓄油路に連通される蓄油室を形成される蓄油シリンダと、
前記油圧主管、前記吐出シリンダの前記給油室に連通される給油路、及び前記蓄油シリンダの前記蓄油室に連通される蓄油路をそれぞれ接続され、前記油圧ポンプからの油圧ONに伴って前記油圧主管と前記蓄油路を連通させるとともに、前記油圧ポンプからの油圧OFFに伴って、前記蓄油路と前記給油路を連通させる三方弁とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の潤滑装置。
【請求項4】
前記定量弁において、前記蓄油ピストンの蓄油容量が、前記吐出ピストンの吐出容量より所定量小さいことを特徴とする請求項3記載の潤滑装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、所定量の潤滑油をノズルから潤滑対象に向けて吐出させることにより、潤滑対象を潤滑するための潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から潤滑装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。図6に示されるように、潤滑装置100は、油圧ポンプ101から定量弁110の油圧主管111への油圧のON(加圧状態)/OFF(加圧解除状態)に伴って、所定量の潤滑油を定量弁110からノズル102を介して潤滑対象103に高速度で吐出させる。
【0003】
すなわち、潤滑装置100において、定量弁110は、油圧ポンプ101から油圧主管111への油圧ONに伴って、三方弁112により油圧主管111と蓄油シリンダ113とを連通させ、蓄油シリンダ113に所定量の潤滑油を蓄油させる。また定量弁110は、油圧ポンプ101から油圧主管111への油圧OFFに伴って、三方弁112により蓄油シリンダ113と吐出シリンダ114とを連通させ、蓄油シリンダ113に蓄油された潤滑油を吐出シリンダ114に供給させるとともに、吐出シリンダ114からノズル115に向けて吐出させる。
【0004】
定量弁110の吐出シリンダ114の内部における作動油室116側には、駆動ピストン117が設けられる。駆動ピストン117は、吐出ピストン114の油加圧面積より大きな油作用面積を有しており、作動油室116の油圧により変位されて、吐出シリンダ114の吐出ピストン118を押圧駆動する。これにより駆動ピストン117は、定量弁110の吐出シリンダ114からノズル115への潤滑油の吐出を高速度に行わせる。
【特許文献1】特開2002―130588号公報(第4〜5頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の潤滑装置100では、定量弁110の吐出ピストン118の変位速度を上げて潤滑油を高速度で吐出させるために、駆動ピストン117が用いられている。このため、油圧ポンプ101としては、油圧ONの指令の際に圧力がある程度急激に上昇する特性を有するポンプが必要とされる。
【0006】
すなわち、安価で吐出容量の小さいギヤポンプ等、油圧ONの指令の際に圧力が緩やかにしか上昇しない特性を有する油圧ポンプでは、定量弁110の吐出ピストン118の変位速度が不十分となり、潤滑油を吐出シリンダ114からノズル115に高速度で吐出させることができない。したがって、油圧ポンプ101に安価な汎用ギヤポンプ等を用いることはできず、低コスト化を図ることが困難であるという問題があった。
【0007】
また、定量弁110の吐出口119からノズル115への配管120内における潤滑油の圧縮性等に起因して、一部の潤滑油が定量弁110の吐出口119より高速度で吐出されず、ノズル115付近に残留してしまう。このような状態で、定量弁110からの潤滑油の吐出が何回か繰り返されると、ノズル115付近に残留した潤滑油が油滴となり、ノズル115からの所謂液ダレを生じてしまうという問題もあった。液ダレした潤滑油が潤滑対象に滴ると、余分な発熱を招き、温度が上昇するとか、周囲に飛散して汚損する等の不具合を生じる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で所定量の潤滑油を高速度で吐出させることができるものでありながら、吐出容量の小さいギヤポンプ等の安価な汎用ポンプを油圧ポンプとして用いることができ、かつノズルからの潤滑油の液ダレ等を防止することができる潤滑装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1)本発明の潤滑装置は、所定量の潤滑油をノズルから潤滑対象に向けて吐出させることにより、潤滑対象を潤滑する潤滑装置であって、所定量の潤滑油を貯留するとともに、貯留した所定量の潤滑油をノズルに向けて送出させる定量弁と、前記定量弁に油圧を作用させるとともに、当該油圧をON/OFFさせる油圧ポンプと、前記定量弁及び油圧ポンプ間の油圧経路に介在され、当該油圧ポンプからの油圧が所定値未満である状態では、油圧経路を閉塞させるとともに、当該油圧ポンプからの油圧が所定値以上になると、油圧経路を開通させる油圧開放弁とを備えたことを特徴とする。
【0010】
前記構成の潤滑装置によれば、定量弁が、油圧ポンプによる油圧のON/OFFに伴って、所定量の潤滑油を貯留するとともに、貯留した所定量の潤滑油をノズルに向けて送出させる。また、定量弁及び油圧ポンプ間の油圧経路に介在された油圧開放弁が、油圧ポンプからの油圧が所定値未満である状態では、油圧経路を閉塞させるとともに、油圧ポンプからの油圧が所定値以上になると、油圧経路を開通させる。
したがって、吐出容量の小さいギヤポンプ等の安価な汎用ポンプを油圧ポンプとして用いても、油圧ポンプから定量弁への十分な油圧及び油圧立ち上がり速度を確保することができる。これにより、定量弁からノズルを介して潤滑対象に向けて、所定量の潤滑油を高速度で吐出させることができる。
【0011】
2)前記1)記載の潤滑装置であって、前記定量弁及び油圧ポンプ間の油圧経路において、前記油圧開放弁より上流側の配管が圧力によって膨張可能な材料からなり、かつ前記油圧開放弁より下流側の配管が、圧力による自身の体積膨張量が上流側より小さい配管材料からなることが好ましい。
これによると、例えば油圧開放弁の下流側で、油圧ポンプの吐出容量以上の流量を瞬間的に必要とした場合でも、油圧開放弁の上流側の配管がアキュムレータ(圧力蓄積器)としての機能を果たす。これにより、油圧ポンプの吐出容量以上の流量が瞬間的に確保される。
【0012】
3)前記1)又は2)記載の潤滑装置であって、前記定量弁は、油圧ポンプとの間の油圧経路に連通される油圧主管と、吐出ピストンを内部に変位可能に設けられ、吐出ピストンの変位方向一端側に、油圧主管に連通される作動油室を形成されるとともに、吐出ピストンの変位方向他端側に、吐出口を介してノズルに連通される給油室を形成される吐出シリンダと、蓄油ピストンを内部に変位可能に設けられ、蓄油ピストンの変位方向一端側に、蓄油路に連通される蓄油室を形成される蓄油シリンダと、油圧主管、吐出シリンダの給油室に連通される給油路、及び蓄油シリンダの蓄油室に連通される蓄油路をそれぞれ接続され、油圧ポンプからの油圧ONに伴って油圧主管と蓄油路を連通させるとともに、油圧ポンプからの油圧OFFに伴って、蓄油路と給油路を連通させる三方弁とを備えることが好ましい。
【0013】
4)前記3)記載の潤滑装置であって、前記定量弁において、蓄油ピストンの蓄油容量が、前記吐出ピストンの吐出容量より所定量小さいことが好ましい。具体的には、吐出容量を蓄油容量より例えば2〜10%程度小さくすることが好ましく、特に好ましくは10%である。
これによると、潤滑油の吐出時、ノズル付近に付着した潤滑油は、油圧ポンプの油圧がOFFされた際、定量弁の吐出ピストンの戻り行程において、ノズルから定量弁の吐出口側に吸い込まれる。これにより、ノズルからの潤滑油の液ダレ等が防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の潤滑装置によれば、簡易な構造で所定量の潤滑油を高速度で吐出させることができるものでありながら、吐出容量の小さいギヤポンプ等の安価な汎用ポンプを油圧ポンプとして用いることができ、かつノズルからの潤滑油の液ダレ等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る潤滑装置の一実施形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である潤滑装置を示す概略断面図、図2は図1の潤滑装置の定量弁の油圧ONで油圧主管と給油路が遮断された状態を模式的に示す概略断面図、図3は図2の状態から蓄油シリンダに潤滑油を流入される定量弁の状態を模式的に示す概略断面図、図4は図3の状態から油圧OFFされた際の定量弁の状態を模式的に示す概略断面図、図5は図1の潤滑装置の油圧開放弁を示す概略断面図である。
【0016】
図1〜図5を参照すると、潤滑装置10は、潤滑油タンク11に貯留された潤滑油を、油圧ポンプ12から油圧開放弁20を介して定量弁30に送り、定量弁30で所定量の潤滑油を貯留させるとともに、貯留した潤滑油を、定量弁30からノズル40を介して潤滑対象(図1では、垂直軸を支持する軸受60)に向けて、所定量(微量)を高速度で吐出させる。
【0017】
すなわち、油圧ポンプ12は、例えば吐出容量3.3cc/sで、モータ駆動のギヤ式汎用ポンプである。油圧ポンプ12は、定量弁30の油圧主管31に連通されており、油圧主管31に油圧を作用させるとともに、当該油圧を加圧状態(ON)又は加圧解除状態(OFF)に切替可能である。
【0018】
図1〜図4を参照すると、定量弁30は、油圧ポンプ12から油圧主管31への油圧ON(加圧状態)に伴って、三方弁32を介して油圧主管31と蓄油シリンダ33を連通させ、蓄油シリンダ33に所定量の潤滑油を蓄油させる。また、定量弁30は、油圧ポンプ12から油圧主管31への油圧OFF(加圧解除状態)に伴って、三方弁32を介して蓄油シリンダ33と吐出シリンダ34を連通させ、蓄油シリンダ33に蓄油された潤滑油を吐出シリンダ34に供給させるとともに、吐出シリンダ34からノズル40に向けて吐出させる。
【0019】
吐出シリンダ34の内部には、吐出ピストン35が、図1中の上下方向に沿って変位可能に設けられる。吐出シリンダ34において、吐出ピストン35の変位方向一端側(図2中、下端側)には、油圧主管31を連通される作動油室36が形成されるとともに、吐出ピストン35の変位方向他端側(図2中、上端側)には、吐出口37に連通される給油室38が形成される。吐出口37は、油路41を介してノズル40に連通される。
【0020】
吐出ピストン35は、吐出ピストン付勢バネ39によって、吐出シリンダ34内における作動油室36側(図2中、下側)に常時付勢されている。吐出ピストン付勢バネ39の付勢力は、作動油室36に油圧ポンプ12からの油圧が作用した際の吐出ピストン35の変位力より小さくなるように設定されている。これにより、吐出ピストン35は、油圧ポンプ12からの油圧ON状態で給油室38側(図2中、上側)に変位され、給油室38内に貯留された潤滑油を、吐出口37からノズル40に向けて吐出させる。
【0021】
また、吐出シリンダ34の内部における作動油室36側(図1中、下側)には、駆動ピストン42が、図1中の上下方向に変位可能に設けられる。駆動ピストン42は、吐出ピストン35の油加圧面積より大きな油作用面積を有しており、作動油室36の油圧により図1中の上方に変位されて吐出ピストン35を押圧駆動することにより、吐出シリンダ34の吐出口37からノズル40への潤滑油の吐出を高速度に行わせる。
【0022】
三方弁32は、内部に傘弁43が設けられており、油圧主管31、吐出シリンダ34の給油室38に連通される給油路44、及び蓄油シリンダ33の蓄油室45に連通される蓄油路46の三方にそれぞれ接続されている。傘弁43は、傘弁本体43aの外周に可撓傘片43bを形成されており、傘弁本体43bを弁バネ47によって、給油路44及び蓄油路46を閉塞する側(図1中、上側)に常時付勢されている。
【0023】
三方弁32は、油圧ポンプ12からの油圧ON/OFFに伴う傘弁43の動作により、油圧主管31、給油路44及び蓄油路46の流路切替えを行い、油圧ポンプ12による油圧ONでは油圧主管31と蓄油路46を連通させるとともに、油圧ポンプ12による油圧OFFでは給油路44と蓄油路46を連通させる。
【0024】
すなわち、三方弁32において、傘弁43は、油圧ポンプ12による油圧ONで、可撓傘片43bに油圧主管31からの油圧を加えられ、可撓傘片43bを縮径される(図3参照)。これにより、油圧主管31と蓄油路46が連通される。
【0025】
また、傘弁43は、油圧ポンプ12による油圧OFFで、油圧主管31からの油圧を受けなくなり、かつ蓄油路46からの油圧を受ける。これにより、傘弁43は、弁バネ47の付勢力に抗して、傘弁本体43aを給油路44から離間する側(給油路を開く側、図1中の下側)に変位されるとともに、可撓傘片43bが拡径され、油圧主管31を閉塞させる。すなわち、油圧主管31を閉塞させた傘弁本体43aが、給油路44を開く側に変位されることにより、給油路44と蓄油路46が連通される。
【0026】
蓄油シリンダ33の内部には、蓄油ピストン48が、図1中の上下方向に沿って変位可能に設けられる。蓄油シリンダ33において、蓄油ピストン48の変位方向一端側(図1中、上端側)には、蓄油路46に連通される蓄油室45が形成されている。蓄油室45の容積は、吐出シリンダ34の給油室38の容積と等しい。蓄油ピストン48は、蓄油ピストン付勢バネ49によって蓄油室45側(図1中、上側)に常時付勢されている。
【0027】
すなわち、蓄油ピストン48は、油圧ポンプ12による油圧がOFFされた際、三方弁32を介して給油路44と蓄油路46が連通され、吐出シリンダ34の給油室38から給油路44及び蓄油路46を介して蓄油室45に潤滑油が供給されるのに伴って、蓄油室45の油圧によって蓄油ピストン付勢バネ49の付勢力に抗して図1中の下側に変位される。これにより、蓄油ピストン48は、蓄油室45内に所定量の潤滑油を貯留させるとともに、所定の油圧を保持させる。
【0028】
定量弁32において、蓄油量(蓄油ピストン面積×ストロークst−c)は、蓄油ピストン48のストロークst−cと、吐出ピストン35のストロークst−dの調整により、吐出量(吐出ピストン面積×ストロークst−d)より所定量小さくなるように設定されている。すなわち、蓄油ピストン48の蓄油容量は、吐出ピストン35の吐出容量より所定量小さい。
【0029】
したがって、潤滑油の吐出時、ノズル40付近に付着した潤滑油は、油圧ポンプ12の油圧がOFFされた際、定量弁32の吐出ピストン35の戻り行程において、ノズル40から吐出口37側に吸い込まれる。これにより、ノズル40からの潤滑油の液ダレ等が防止される。例えば、吐出量を蓄油量より10%程度小さく設定すると、ノズル40からの潤滑油の液ダレをほぼゼロとすることができる。
【0030】
また、図1及び図5に示すように、定量弁32において、油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51には、油圧開放弁20が介在される。
油圧開放弁20は、油圧が所定値未満である状態では、油圧経路50,51を閉塞させるとともに、油圧ポンプ12からの油圧が所定値に達した際には、油圧経路50,51を開通させる。これにより、油圧開放弁20は、油圧ポンプ12による油圧がONされた際、吐出シリンダ34の作動油室36の油圧を急激に上昇させ、吐出ピストン35を高速度で動作させる。
【0031】
定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51において、油圧開放弁20より上流側の配管50は、圧力によって膨張可能な材料、例えば、ナイロンチューブが用いられる。これにより、油圧開放弁20の下流側で、油圧ポンプ12の吐出容量以上の流量が瞬間的に必要とされた場合でも、油圧開放弁20の上流側の配管50が膨張することによって、アキュムレータ(圧力蓄積器)としての機能を果たす。これにより、油圧ポンプ12の吐出容量以上の流量が瞬間的に確保される。
【0032】
また、定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51において、油圧開放弁20より下流側の配管51は、圧力による体積膨張量が上流側より小さい配管材料、例えば、ステンレス管が用いられる。これにより、定量弁30の吐出シリンダ34の作動油室36に作用する油圧の低下が防止され、定量弁30から高圧の潤滑油が吐出に必要な流量でノズル40に供給される。
【0033】
本実施形態の作用を説明する。
潤滑装置10は、潤滑油タンク11に貯留された潤滑油を、油圧ポンプ12から油圧開放弁20を介して定量弁30に送り、定量弁30で所定量の潤滑油を貯留させるとともに、貯留した潤滑油を定量弁30からノズル40を介して、潤滑対象である軸受60に向けて高速度で吐出させる。
【0034】
すなわち、油圧ポンプ12によって油圧がONされると、定量弁30において、図2に示すように、三方弁32の傘弁43がβ面に押し付けられ、油圧主管31と給油路44が遮断される。吐出ピストン35は、油圧主管31からの油圧により給油室38側(図2中、上側)に変位され、給油室38に貯留された潤滑油を、吐出口37よりノズル40に向けて吐出させる。
【0035】
同時に、図3に示すように、三方弁32の可撓傘片43bが縮径されてα部が開き、潤滑油が、蓄油路46を介して蓄油シリンダ33に流入される。潤滑油は、蓄油ピストン48を図3の下側に押下しつつ、蓄油シリンダ33の蓄油室45に貯留される。この際、蓄油室45に貯留される潤滑油量は、吐出シリンダ34の給油室38から吐出口37に吐出される潤滑油量に等しいか、若しくは10%程度少ない所定量である。
【0036】
一方、油圧ポンプ12によって油圧がOFFされると、定量弁30において、図4に示すように、蓄油ピストン48が、蓄油ピストン付勢バネ49の付勢力によって元の位置(図4中、上側)に戻される。また、三方弁32の可撓傘片43bが拡径されてα部が閉じ、蓄油ピストン48が戻った際の潤滑油が、三方弁32の傘弁本体43aを図4中の下方向に僅かに押下してβ面を開放させる。これにより、潤滑油は、給油路44を介して吐出シリンダ34の給油室38に流入される。
【0037】
吐出シリンダ34は、蓄油シリンダ33から給油室38に流入される潤滑油の油圧と、吐出シリンダ付勢バネ39の付勢力によって、元の位置(図4中、下側)に戻される。これにより、吐出シリンダ34の給油室38には、次回に吐出される潤滑油が充填・貯留され、次回の潤滑油吐出の準備が完了する。
【0038】
ここで、油圧ポンプ12の吐出容量は、例えば3.3cc/sであり、油圧ポンプ12がONされた後、例えば、設定圧力2.5MPaに達するまでに約0.3秒かかる。
【0039】
一方、潤滑対象となる高速回転する軸受60の潤滑に必要な条件を、潤滑油の吐出量0.001cc、吐出速度20m/s、ノズル径φ0.1mmとすると、吐出時間は、0.006秒(吐出量+ノズル出口面積+吐出速度)となり、この吐出時間内に駆動ピストン42を必要なストローク量だけ変位させる必要がある。このため、油圧ポンプ12から4.5cc/s(駆動ピストン面積×吐出ピストンストローク÷吐出時間)の潤滑油の供給が必要となる。
【0040】
そこで本実施形態では、図1及び図5に示すように、定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51中に介在された油圧開放弁20が、ポンプ側圧力p1>傘弁付勢バネ22のバネ力f1/面積s1となるまで、傘弁21によって面23で圧力シールする。ここで、f1/s1は、2.0MPaに設定される。そして、油圧ポンプ12の圧力がそれより上昇すると、油圧開放弁20の傘弁21が図5中の右側に変位され、油圧ポンプ12から定量弁30の油圧主管31への油圧経路50,51が開通される。
【0041】
したがって、吐出容量が小さく、圧力立ち上がり速度の小さいギヤポンプ等の安価な汎用ポンプを、油圧ポンプ12として用いながら、上述の要求される条件(油圧ポンプ12から4.5cc/sの潤滑油供給)を満たすことができる。これにより、所定量の潤滑油を高速度で定量弁30からノズル40へ吐出させることができるとともに、油圧ポンプ12の選定範囲が拡大され、低コスト化が可能となった。また、選定される油圧ポンプ12の油圧立ち上がり特性によって、吐出速度が変化する等の不具合も回避される。
【0042】
潤滑油の吐出後には、油圧ポンプ12による油圧がOFFされることにより、定量弁30の吐出ピストン35、駆動ピストン42、蓄油ピストン48が復動され、元の位置に戻される。すなわち、油圧ポンプ12による油圧がOFFされると、油圧ポンプ12に設けられた脱圧機構(図示しない)により、図5に示す圧力p1が略大気圧となる。
【0043】
この際、油圧開放弁20の傘弁21は、圧力p2>傘弁付勢バネ22のバネ力f1/面積s2となるまで閉じない。面積s1と面積s2の比は、1:100程度と大きいため、油圧ポンプ12の油圧OFF後の圧力p2は、定量弁30の各ピストン35,42,48の復動に十分な圧力0.02MPaまで低下する。これにより、定量弁30の吐出ピストン35、駆動ピストン42、蓄油ピストン48が復動される。
【0044】
以下、上述と同様の動作が繰り返される。これにより、所定量(微量)の潤滑油が、定量弁30の吐出口37からノズル40を介して軸受60に向けて高速度で吐出される。
【0045】
以上のように上記実施形態によれば、潤滑装置10において、定量弁30は、油圧ポンプ12による油圧主管31への油圧ONに伴って、三方弁32を介して油圧主管31と蓄油シリンダ33を連通させ、蓄油シリンダ33に所定量の潤滑油を蓄油させる。また、定量弁30は、油圧ポンプ12による油圧主管31への油圧OFFに伴って、三方弁32を介して蓄油シリンダ33と吐出シリンダ34を連通させ、蓄油シリンダ33に蓄油された潤滑油を吐出シリンダ34に供給させるとともに、吐出シリンダ34からノズル40に向けて潤滑油を吐出させる。
したがって、簡易な構造でありながら、所定量の潤滑油を定量弁からノズル40を介して軸受60に向けて高速度で吐出させることができ、軸受60の潤滑を的確かつ確実に行うことができる。
【0046】
また、定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51には、油圧開放弁20が介在される。油圧開放弁20は、油圧ポンプ12からの油圧が所定値未満である状態では、油圧経路50,51を閉塞させるとともに、油圧ポンプ12からの油圧が所定値に達した際には、油圧経路50,51を開通させる。これにより、油圧開放弁20は、油圧ポンプ12による油圧がONされた際、定量弁30の吐出シリンダ34の作動油室36の油圧を急激に上昇させ、吐出ピストン35を高速度で動作させる。
【0047】
したがって、吐出容量の小さいギヤポンプ等の、通電させた際に圧力が緩やかにしか上昇しない特性を有する安価な汎用ポンプを、潤滑装置10の油圧ポンプ12として用いることができ、低コスト化を図ることができる。また、選定する油圧ポンプ12の油圧立ち上がり特性によって吐出速度が変化する等の不具合を回避することができる。
【0048】
更に、定量弁30において、蓄油量(蓄油ピストン面積×ストロークst−c)は、吐出量(吐出ピストン面積×ストロークst−d)より所定量小さい。
したがって、ノズル40からの潤滑油の液ダレ等を防止することができ、液ダレした潤滑油が潤滑対象に滴り、周囲に飛散して汚損する等の不具合を防止することができる。特に、図1に示すような垂直軸を支持する軸受60の潤滑では、液ダレした潤滑油が軸受60内部に侵入すると、急激な温度上昇を伴う等の不具合を発生する恐れがある。しかし、本実施形態によれば、そのような不具合の発生を確実に防止することができる。また、チェーンや歯車の潤滑では、チェーン又は歯車に液ダレした潤滑油が付着する等の不具合を防止することができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51に介在される圧力開放弁として、自身の圧力のみによって作動する油圧開放弁20を用いたが、これに限らない。すなわち、例えば、外部よりON/OFF可能な電磁弁等を、油圧開放弁20として用い、電磁弁等の油圧開放弁20のON/OFFにより、定量弁30の油圧主管31及び油圧ポンプ12間の油圧経路50,51の開通又は閉鎖を行うように構成することもできる。
【0050】
また、本発明により得られる潤滑装置は、工作機械の主軸軸受や歯車、チェーン等の潤滑に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態である潤滑装置を示す概略断面図である。
【図2】図1の潤滑装置の定量弁の油圧ONで油圧主管と給油路が遮断された状態を模式的に示す概略断面図である。
【図3】図2の状態から蓄油シリンダに潤滑油を流入される定量弁の状態を模式的に示す概略断面図である。
【図4】図3の状態から油圧OFFされた際の定量弁の状態を模式的に示す概略断面図である。
【図5】図1の潤滑装置の油圧開放弁を示す概略断面図である。
【図6】従来の潤滑装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 潤滑装置
11 潤滑油タンク
12 油圧ポンプ
20 油圧開放弁
21 傘弁
30 定量弁
31 油圧主管
32 三方弁
33 蓄油シリンダ
34 吐出シリンダ
35 吐出ピストン
36 作動油室
37 吐出口
38 給油室
39 吐出ピストン付勢バネ
40 ノズル
42 駆動ピストン
43 傘弁
44 給油路
45 蓄油室
46 蓄油路
47 弁バネ
48 蓄油ピストン
49 蓄油ピストン付勢バネ
50 油圧主管及び油圧ポンプ間の油圧経路(油圧開放弁より上流側の配管)
51 油圧主管及び油圧ポンプ間の油圧経路(油圧開放弁より下流側の配管)
60 潤滑対象(軸受)
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【住所又は居所】東京都品川区大崎1丁目6番3号
【出願日】 平成16年8月11日(2004.8.11)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光

【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛

【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子

【公開番号】 特開2006−52777(P2006−52777A)
【公開日】 平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願番号】 特願2004−234165(P2004−234165)