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【発明の名称】 自動給脂目詰まり表示システム
【発明者】 【氏名】岡本 一成
【住所又は居所】東京都世田谷区用賀四丁目10番1号 新キャタピラー三菱株式会社内

【氏名】古田 秀人
【住所又は居所】東京都世田谷区用賀四丁目10番1号 新キャタピラー三菱株式会社内

【要約】 【課題】分配弁を備えた自動給脂システムにて不適切な目詰まり表示を防止できるとともに、表示をしても自動的に解除できる自動給脂目詰まり表示システムを提供する。

【解決手段】グリースポンプ12から供給した油脂を、分配弁14,15,16,17により複数の給脂配管に順次分配する。これらの分配弁14,15,16,17の停止をグリースポンプ12からの給脂圧の上昇により圧力センサ21が検出する、この圧力センサ21からの圧力異常信号を受けて給脂の目詰まりをECM22が判断する。この目詰まりを判断したECM22からの指示によりモニタ23が目詰まりエラーを表示する。ECM22は、圧力センサ21により検出した給脂圧が上限設定値以上を所定時間継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタ23に指示するとともに、圧力センサ21により検出した給脂圧が上限設定値より低い解除設定値以下を所定時間継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタ23に指示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂タンク内の油脂を加圧供給する給脂ポンプと、
給脂ポンプから供給された油脂を複数の給脂配管に順次分配する分配弁と、
これらの分配弁の停止を給脂ポンプからの給脂圧の上昇により検出する圧力センサと、
この圧力センサからの圧力異常信号を受けて給脂の目詰まりを判断するコントローラと、
この目詰まりを判断したコントローラからの指示により目詰まりエラーを表示するモニタとを具備し、
コントローラは、
圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値以上を所定時間継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタに指示するとともに、
圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値以下を所定時間継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタに指示する
ことを特徴とする自動給脂目詰まり表示システム。
【請求項2】
圧力センサは、油圧ショベルのスイングフレーム上に設置されたストレージボックス内に設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の自動給脂目詰まり表示システム。
【請求項3】
コントローラは、
圧力センサの異常をモニタリングする
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動給脂目詰まり表示システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、給脂ポンプから供給された油脂を分配弁によって複数の給脂配管に順次分配する際の給脂の目詰まりエラーを表示する自動給脂目詰まり表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルのフロント作業装置に用いられている給脂対象のピンジョイント部(以下、これを「フロントピンジョイント部」という)は、すべり軸受構造であり、グリース潤滑を行っている。通常、オペレータがグリース給脂を行うが、オペレータのメンテナンス作業軽減のため、自動的にグリースを給脂する自動給脂システムが設置されている。
【0003】
この自動給脂システムは、図10に示されるように、グリースポンプPの吐出口に給脂配管を介して複数の分配弁V1,V2,V3,V4が接続され、各分配弁V1,V2,V3,V4からそれぞれ複数の給脂対象のピンジョイント部にグリースが順次供給される。
【0004】
この自動給脂システムが確実に作動しているかどうかは、最後部の分配弁V2,V4に設けられたディテクタスイッチ(電気式オン・オフセンサ)DS1,DS2により分配弁V2,V4の動作を検出し、その検出信号から、モニタ用エレクトロニック・コントロール・モジュール(以下、これを「コントローラ」という)ECMが異常判定をして、異常があればキャブ内のモニタMにてオぺレータに知らせている。
【0005】
モニタMのメニュー機能から予め設定しておいた「給脂時間」と「給脂間隔」により自動で給脂を行う。給脂時間と給脂間隔は、エンジンが作動している時間のタイマでカウントし、エンジン停止中はキー・オン時でもタイマは進まない。給脂中は、モニタMにアイコンで表示し、給脂タンクのグリースレベルをチェックする。グリース不足であればモニタMに警告表示し、給脂配管などで目詰まりしている場合にも分配弁V1,V2,V3,V4が作動停止するので、この目詰まりを分配弁V2,V4に対し設置されたディテクタスイッチDS1,DS2により検出して、コントローラECMからモニタMに警告表示する。
【0006】
給脂対象のフロントピンジョイント部の必要給脂量は各ポイントにより異なるため、分配弁V1,V2,V3,V4と配管ラインの接続を組み合わせて、適正なグリ−ス量が供給されるように設計している。
【0007】
分配弁V1,V2,V3,V4の作動原理を説明すると、図11(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h)の順番で示されるように、自動給脂用のグリースポンプPから吐出されたグリースは、給脂配管を経由して分配弁内の複数のピストンA,B,C,Dを、A、B、C、D、A、B、C、Dの順番で順次作動させ、各吐出口2,7,5,3,1,8,6,4から、この順番で給脂配管にグリースが順次吐出される。
【0008】
したがって、給脂配管の1箇所でも目詰まりすれば、分配弁内のピストンA,B,C,Dが停止して、最終的にはその系の全ての給脂が停止する。
【0009】
グリース配管系の目詰まり検知は、図12に示されるように、分配弁VのピストンCに装着したディテクタスイッチDSにより行ない、分配弁VのピストンCが右方へ移動すると、このピストンCに一体化されたピンpnを介して、ディテクタスイッチDSの内部に嵌着されたスプリングspが圧縮され、このスプリングspからの押圧力により接点swが導通するので、この接点swの導通状態から、分配弁Vの作動状況がわかり、コントローラECMによる給脂の目詰まりか否かの判定、モニタMでの目詰まりエラーの表示が可能となる。
【0010】
この場合、モニタMでの目詰まりエラーの表示条件は、1給脂サイクルにディテクタスイッチDSが作動しなかったら、目詰まりと表示するが、実状は、自動給脂が正常に作動し給脂しているのに、モニタMに「目詰まり発生」と表示される不具合が多発している。
【0011】
この誤表示の原因としては、(1)ディテクタスイッチDSの作動信頼性が低い(ピンpnの動きをスプリングspを介して接点swに伝達する内部構造、接点swの導通と電流値が安定しないなど)、(2) 例えば図10におけるスイングフレーム分配弁V4のように、グリースポンプPから複数の分配弁V1,V3を経由して給油を受ける場合は、所定の給脂時間内にこのスイングフレーム分配弁V4のディテクタスイッチDS2が作動せずにエラー表示となる、(3) ディテクタスイッチDSのハーネスの断線などがある。
【0012】
一方、上記のような分配弁を備えた建設機械の自動給脂システムにおいて異常検知回路を設け、この異常検知回路に、モータや、グリースタンク内のグリース量を検出するグリース検出器とともに、給脂配管の圧力を検出する配管圧検出器、グリースポンプの吐出圧を検出するポンプ圧検出器等を接続し、モータの断線やグリースタンク内グリースが空になったことを検知するとともに、給脂配管の圧力異常、グリースポンプの加圧異常等のシステムの異常を検知し、異常表示部に表示信号を出力するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−202534号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような分配弁を備えた建設機械の自動給脂システムにおいて、グリースポンプから吐出されたグリースの給脂圧力は変動が大きく、給脂配管の圧力異常などが給脂配管などの目詰まりによるものか否かを異常検知回路が判断して適切に表示することは困難である。
【0014】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、分配弁を備えた自動給脂システムにおいて、不適切な目詰まりエラーの表示を防止できるとともに、不適切な目詰まりエラーの表示をしてもその表示を自動的に解除できるようにした自動給脂目詰まり表示システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明は、油脂タンク内の油脂を加圧供給する給脂ポンプと、給脂ポンプから供給された油脂を複数の給脂配管に順次分配する分配弁と、これらの分配弁の停止を給脂ポンプからの給脂圧の上昇により検出する圧力センサと、この圧力センサからの圧力異常信号を受けて給脂の目詰まりを判断するコントローラと、この目詰まりを判断したコントローラからの指示により目詰まりエラーを表示するモニタとを具備し、コントローラは、圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値以上を所定時間継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタに指示するとともに、圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値以下を所定時間継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタに指示する自動給脂目詰まり表示システムであり、そして、給脂ポンプから吐出された油脂の給脂圧は変動が大きく、圧力センサにより検出された給脂圧の圧力異常などが分配弁、給脂配管などの目詰まりによるものか否かをコントローラが短時間で判断することは困難であるが、圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値以上を所定時間継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタに指示することで、不適切な目詰まりエラーの表示を防止できるとともに、圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値以下を所定時間継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタに指示することで、不適切な目詰まりエラーの表示をしてもその表示を自動的に解除できる自動給脂目詰まり表示システムを提供する。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の自動給脂目詰まり表示システムにおける圧力センサが、油圧ショベルのスイングフレーム上に設置されたストレージボックス内に設けられたものであり、そして、スイングフレーム上のストレージボックス内に圧力センサを設けることで、分配弁がどの場所に設置されていても、圧力センサの配線が断線するおそれをなくす。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の自動給脂目詰まり表示システムにおけるコントローラが、圧力センサの異常をモニタリングするものであり、そして、圧力センサの異常をモニタリングすることで、自動給脂目詰まり表示システムの信頼性を向上させる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、給脂ポンプから吐出された油脂の給脂圧は変動が大きく、圧力センサにより検出された給脂圧の圧力異常などが分配弁、給脂配管などの目詰まりによるものか否かをコントローラが短時間で判断することは困難であるが、圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値以上を所定時間継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタに指示することで、不適切な目詰まりエラーの表示を防止できるとともに、圧力センサにより検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値以下を所定時間継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタに指示することで、不適切な目詰まりエラーの表示をしてもその表示を自動的に解除できる自動給脂目詰まり表示システムを提供できる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、スイングフレーム上のストレージボックス内に圧力センサを設けることで、分配弁がどの場所に設置されていても、圧力センサの配線が断線するおそれを防止できる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、圧力センサの異常をモニタリングすることで、自動給脂目詰まり表示システムの信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図1乃至図9に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、自動給脂目詰まり表示システムを示し、油脂タンクとしてのグリースタンク11内に収容された油脂としてのグリースを加圧供給する給脂ポンプとしてのグリースポンプ12と、このグリースポンプ12から吐出されたグリースの給脂圧がリリーフ設定値を超えたときにグリースポンプ12から吐出されたグリースをグリースタンク11に逃がすリリーフ弁13と、グリースポンプ12から供給されたグリースを複数の給脂配管に順次分配する分配弁14,15,16,17と、これらの分配弁14,15,16,17の停止をグリースポンプ12からの給脂圧の異常な上昇により検出する圧力センサ21と、この圧力センサ21からの圧力異常信号を受けて給脂の目詰まりを判断するコントローラとしてのマシン用エレクトロニック・コントロール・モジュール(以下、これを「ECM」という)22と、この目詰まりを判断したECM22からの指示により目詰まりエラーを表示するモニタ23とを具備している。
【0023】
分配弁14,15,16,17は、図11(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h)の順番で示されるように、グリースポンプ12から吐出されたグリースの給脂圧により、この分配弁14,15,16,17内の複数のピストンA,B,C,Dを順次作動させ、各吐出口2,7,5,3,1,8,6,4から、この順番で給脂配管にグリースを順次吐出させるものであり、このため、給脂配管の1箇所でも目詰まりすれば、作動が停止する。
【0024】
図2は、この自動給脂目詰まり表示システムが搭載された作業機械または建設機械としての油圧ショベルであり、履帯式の下部走行体24に旋回軸受25を介して上部旋回体のスイングフレーム26が旋回可能に設けられ、このスイングフレーム26上には、後部にエンジンなどの動力装置27およびカウンタウエイト28が搭載され、前部に作業装置31が搭載され、この作業装置31の一側部にキャブ32が、他側部に工具などを収納するストレージボックス33が搭載されている。
【0025】
作業装置31は、スイングフレーム26に対しブームシリンダ34cにより回動されるブーム34が軸支され、ブーム34の先端部に対しアームシリンダ35cにより回動されるアーム35が軸支され、アーム35の先端部に対しバケットシリンダ36cにより回動されるバケット36が軸支されている。
【0026】
グリースポンプ12および圧力センサ21は、この油圧ショベルのスイングフレーム26上に設置されたストレージボックス33の内部に設けられ、分配弁14,15は、ブーム34の基端部上に設置され、分配弁16は、スイングフレーム26のブーム取付ブラケット37の側面に設置され、分配弁17は、アーム35の基端部側面に設置されている。モニタ23は、キャブ32内の運転席前方に設置されている。
【0027】
図3は、ストレージボックス33の内部を示し、タンク取付台41にポンプ取付板42を介してグリースポンプ12を設置し、このグリースポンプ12の吐出配管43にセンサ取付ブロック44が接続され、このセンサ取付ブロック44に、グリースポンプ12からの給脂圧を検出して給脂圧に応じた電気信号を出力する圧力センサ21を接続する。この圧力センサ21のハーネス21hは、エンジンルームの下部に引出し、エンジンルーム下部のコネクタ(図示せず)を介してECM22に接続する。
【0028】
図4に示されるように、ストレージボックス33内のグリースポンプ12から圧力センサ21のセンサ取付ブロック44を経た給脂配管45は、燃料タンク46とブーム取付ブラケット37との間を通し、ブーム取付ブラケット37の下部を回り込むようにして左右ブラケット間の先端中央部に位置する接続部47まで配設され、この接続部47は、フレキシブルな給脂配管(図示せず)を介して、図5(b)に示されるように一方のブームフート34R上に位置する接続部49に接続され、この接続部49は給脂配管51を経て分配弁14に接続され、この分配弁14は、給脂配管52を経て分配弁15に接続されるとともに、給脂配管53を経て図6に示されたアーム35の分配弁17に接続されている。
【0029】
図5(b)に示された分配弁15は、給脂配管54,55を経て左右のブームフート34L,34Rの軸受に、給脂配管56,57を経て左右のブームシリンダ34cのロッド側の軸受58に、給脂配管59を経てアームシリンダ35cのヘッド側の軸受60に、それぞれ接続されている。
【0030】
図6に示されたアーム35の分配弁17は、給脂配管61を経て左右のブーム・アーム間の軸受62に、給脂配管63を経てアームシリンダ35cのロッド側の軸受64に、給脂配管65を経てバケットシリンダ36cのヘッド側の軸受66に、それぞれ連通されている。
【0031】
図5に示された分配弁15から引出された給脂配管67は、接続部68よりフレキシブルな給脂配管(図示せず)を介して、図4に示された接続部69に接続され、給脂配管71を経て分配弁16に接続され、この分配弁16から給脂配管72を介して左右のブームシリンダ34cのヘッド側の軸受73にグリースを分配供給するとともに、旋回軸受25にグリースを分配供給する。
【0032】
ECM22は、図7乃至図9に示されるようにグリースポンプ12から吐出されて圧力センサ21により検出された給脂圧をモニタリングしており、図7は、給脂開始時のエア抜きの過程を示し、分配弁14,15,16,17が作動開始する約18MPaまで給脂圧が徐々に上昇し、図8はエア抜き完了後の定常作動波形を示し、ディテクタスイッチ信号(オン/オフ信号)とともに最大20MPaまで上昇する給脂圧が規則的に繰返しているので、正常な給脂状態であることが分かる。
【0033】
ECM22は、図9に示されるように圧力センサ21により検出された給脂圧がエラー判定値となる上限設定値(例えば32MPa)以上を所定時間(例えば30秒間)継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタ23に指示するとともに、圧力センサ21により検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値(例えば30MPa)以下を所定時間(例えば30秒間)継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタ23に指示する機能を有する。
【0034】
また、ECM22は、圧力センサ21の異常をモニタリングする機能も有する。例えば、グリースポンプ12を駆動する信号が出力されていても、圧力センサ21による給脂圧の変動が検出されない場合は、圧力センサ21に断線、ショート、故障などの異常が発生していることがわかるので、この圧力スイッチの異常をモニタ23に表示する。
【0035】
このように、従来の図12に示されたディテクタスイッチDSを止め、圧力センサ21による検知システムを搭載して、目詰まりエラーの表示条件は、給脂圧32MPa以上を30秒継続したら、モニタ23に目詰まりエラーを表示するとともに、目詰まりエラーの解除条件は、給脂圧30MPa以下を30秒継続したら、目詰まりエラー表示を解除するように設定する。
【0036】
圧力センサ21は、油圧回路で使用しており、高い実績がある部品であるとともに、グリースからの耐食性に問題のないことを確認できたので用いる。ただし、油圧回路では脈動ノイズを除くため圧力センサ21の内部にオリフィスが入っているが、給脂圧の検出では、土砂の混入があってもオリフィスで詰まらないようにするために、このオリフィスを取外した圧力センサを用いる。
【0037】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0038】
図7は、最初に給脂を開始するときのエア抜き過程での圧力センサ21により検出された給脂圧の変化を示し、分配弁14,15,16,17のピストンが作動開始する約18MPaまでは、グリースポンプ12の吐出圧波形で給脂圧が徐々に上昇する。
【0039】
図8は、エア抜き完了後の分配弁14,15,16,17による正常給脂状態を示し、最大20MPaまで上昇する給脂圧の定常作動波形が規則的に繰返される。
【0040】
この給脂は、モニタ23のメニュー機能から予め設定しておいた「給脂時間」と「給脂間隔」により自動で行う。給脂時間と給脂間隔は、エンジンが作動している時間のタイマでカウントし、エンジン停止中はキー・オン時でもタイマは進まない。給脂中は、モニタ23にアイコンで表示し、グリースタンク11のグリースレベルもチェックする。グリース不足であればモニタ23に警告表示する。
【0041】
そして、分配弁14,15,16,17またはこれらの分配弁14,15,16,17から分岐された給脂配管などに目詰まりが発生すると、図9に示されるように、圧力センサ21により検出された給脂圧がエラー判定値となる上限設定値(例えば32MPa)を超え、さらにリリーフ弁13で設定されたリリーフ圧(例えば35MPa)を超えると、リリーフ弁13のリリーフ作用によりグリースポンプ12の吐出配管43がグリースタンク11に連通するので、給脂圧がいったん大幅に低下し、例えば28MPa程度まで下降する。
【0042】
その後、給脂圧は徐々に上昇復帰して、給脂圧がエラー判定値となる上限設定値を再度超えてから、この上限設定値以上を所定時間(例えば30秒間)継続した場合は、このことを認識したECM22は、目詰まりエラーの表示をモニタ23に指示し、警告表示させる。
【0043】
このとき、目詰まりエラーの表示条件である「給脂圧32MPa以上を30秒継続」は、一時的な給脂圧の異常上昇などをカットするので、不適切な目詰まりエラーの表示を防止できる。
【0044】
一方、モニタ23に目詰まりエラーがいったん表示されても、圧力センサ21で検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値(例えば30MPa)以下を所定時間(例えば30秒間)継続した場合は、目詰まりエラー表示の解除をモニタ23に指示し、不適切な目詰まりエラーの表示があっても、その表示を自動的に解除できる。
【0045】
このように、グリースポンプ12から吐出されたグリースの給脂圧は変動が大きく、圧力センサ21により検出された給脂圧の圧力異常などが分配弁14,15,16,17、給脂配管などの目詰まりによるものか否かをECM22が短時間で判断することは困難であるが、圧力センサ21により検出された給脂圧が上限設定値以上を所定時間継続した場合に、目詰まりエラーの表示をモニタ23に指示することで、不適切な目詰まりエラーの表示を防止できるとともに、圧力センサ21により検出された給脂圧が上限設定値より低い解除設定値以下を所定時間継続した場合に、目詰まりエラー表示の解除をモニタ23に指示することで、不適切な目詰まりエラーの表示をしても、その表示を自動的に解除できる自動給脂目詰まり表示システムを提供できる。
【0046】
また、分配弁14,15,16,17がブーム34、アーム35などのフロント構造物に装着されているので、これらの分配弁14,15,16,17と共に設けられた従来のディテクタスイッチDSには、断線の心配があったが、スイングフレーム26上に設置された工具収納用のストレージボックス33内に圧力センサ21を設け、圧力センサ21のハーネス21hも、このストレージボックス33内で配線するので、分配弁14,15,16,17がどの場所に設置されていても、圧力センサ21の配線が断線するおそれを防止できる。
【0047】
さらに、圧力センサ21からの出力信号を監視することで、圧力センサ21の断線、ショートなどの異常についてもモニタリングしているので、この自動給脂目詰まり表示システムの信頼性を向上できる。
【0048】
このように、自動給脂機能が正常に作動しているのに、モニタ23に「目詰まり発生」と表示される不具合を解消できる。
【0049】
なお、グリースポンプ12の吐出配管43に圧力センサ21を設置するとともに、分配弁16,17に従来のディテクタスイッチDS(図12)を設置して、これらの圧力信号およびディテクタスイッチ信号をECM22でモニタリングするようにしても良い。この場合は、例えばディテクタスイッチ信号があるにもかかわらず圧力センサ21からの圧力信号がない場合は、圧力センサ21の断線、ショートなどの故障を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る自動給脂目詰まり表示システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】(a)は同上表示システムが搭載された油圧ショベルの平面図、(b)はその側面図である。
【図3】同上表示システムの給脂ポンプおよび圧力センサを取付けたストレージボックス内の斜視図である。
【図4】同上表示システムのスイングフレーム側の給脂配管を示す平面図である。
【図5】(a)は同上表示システムのブーム側の給脂配管を示す側面図、(b)はそのブームフート部分の平面図である。
【図6】(a)は同上表示システムのブーム・アーム間の給脂配管を示す側面図、(b)はその部分に用いられた分配弁および給脂配管の拡大図である。
【図7】同上表示システムによる給脂開始時のエア抜き過程における正常給脂時の圧力計測結果を示すグラフである。
【図8】同上表示システムによる定常作動時における正常給脂時の圧力計測結果を示すグラフである。
【図9】同上表示システムによるリリーフ時の圧力計測結果を示すグラフである。
【図10】従来の自動給脂目詰まり表示システムを示すブロック図である。
【図11】(a)〜(h)は分配弁の作用を順次示す説明図である。
【図12】分配弁およびこの分配弁に取付けられていた従来のディテクタスイッチDSの断面図である。
【符号の説明】
【0051】
11 油脂タンクとしてのグリースタンク
12 給脂ポンプとしてのグリースポンプ
14,15,16,17 分配弁
21 圧力センサ
22 コントローラとしてのECM
23 モニタ
26 スイングフレーム
33 ストレージボックス
【出願人】 【識別番号】000190297
【氏名又は名称】新キャタピラー三菱株式会社
【住所又は居所】東京都世田谷区用賀四丁目10番1号
【出願日】 平成16年6月29日(2004.6.29)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄

【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡

【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也

【公開番号】 特開2006−10014(P2006−10014A)
【公開日】 平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願番号】 特願2004−190858(P2004−190858)