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【発明の名称】 花粉ブロック用スプレー
【発明者】 【氏名】鈴木 博昭
【住所又は居所】愛知県安城市箕輪町蝮畔188番地 英昌化学工業株式会社内

【要約】 【課題】仮に花粉を屋内へ持ち込んだとしてもアレルギー発症の要因となるアレルゲンの不活化によりアレルギー発症を減少させることができ、更には衣服に花粉が付着するのを簡単に防止することができる花粉ブロック用スプレーを提供すること。

【解決手段】アミノ酸誘導体を分散剤とする花粉ブロック剤を、イオン交換水と噴射剤とともにスプレー本体に充填したものとした。花粉ブロック剤としては、アレルゲンを不活化するための無機化合物と、花粉の付着を防止するための無機化合物微粒子とからなるものが好ましい。更に、必要に応じて芳香剤や消臭剤や抗菌剤等の1種または2種以上を添加することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸誘導体を分散剤とする花粉ブロック剤を、イオン交換水と噴射剤とともにスプレー本体に充填したことを特徴とする花粉ブロック用スプレー。
【請求項2】
花粉ブロック剤が、アレルゲンを不活化するための無機化合物と、花粉の付着を防止するための無機化合物微粒子とからなる請求項1に記載の花粉ブロック用スプレー。
【請求項3】
花粉ブロック剤の濃度が1〜50重量%で残部をイオン交換水とした原液を、5〜50重量%の噴射剤とともにスプレー本体に充填する請求項1または2に記載の花粉ブロック用スプレー。
【請求項4】
芳香剤、消臭剤、抗菌剤の1種または2種以上が添加されている請求項1または2または3に記載の花粉ブロック用スプレー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー症状の要因となるアレルゲンの不活化によりアレルギー発症を減少させることができる花粉ブロック用スプレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
花粉症は、スギ花粉やヒノキ、ブタクサ、イネ等の多くの花粉がアレルゲンとなって発病し、最近ではスギ花粉が飛散する2〜4月頃だけでなく一年中発症する傾向にあり、その患者の数は増加の傾向にある。しかし、その治療法はまだ確立されていないのが現状であり、花粉症患者は外出時に目、鼻、口に花粉がなるべく触れないようにマスクや眼鏡、ゴーグル、帽子などで自己防御している。ところが、外出から帰って屋内に入ると、屋外で衣服に付着した花粉を持ち込むことになり、これが原因で発症するという問題点があった。
【0003】
そこで、特許文献1に示されるように、花粉付着防止織物が開発され、衣服への花粉の付着を防止して屋内への花粉の持ち込みを回避するようにしたものが提案されている。しかしながら、家にある全ての衣服をこのような花粉付着防止織物からなるものとすることは費用がかかるだけでなく現実には不可能であり、また従来の衣服が使用できなくなる等の不都合が生じるという問題点があった。
従って、従来の衣服に対応することができ、また仮に花粉を屋内へ持ち込んだとしてもアレルギー発症を減少させることができる新たな処理方法の開発が要求されていた。
【特許文献1】特開平2003−213541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、従来の衣服に対応することができ、また仮に花粉を屋内へ持ち込んだとしてもアレルギー発症の要因となるアレルゲンの不活化によりアレルギー発症を減少させることができ、更には衣服に花粉が付着するのを簡単に防止することができる花粉ブロック用スプレーを提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためになされた本発明の花粉ブロック用スプレーは、アミノ酸誘導体を分散剤とする花粉ブロック剤を、イオン交換水と噴射剤とともにスプレー本体に充填したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の花粉ブロック用スプレーは、アミノ酸誘導体を分散剤とする花粉ブロック剤を含有させたものであり、花粉ブロック剤の成分である無機化合物が衣服表面に付着している花粉のアレルギー発症の要因となるアレルゲンを不活化し、アレルギー発症を減少させることができる。また、これと同時に花粉ブロック剤の成分である緻密な無機化合物微粒子が布材表面にビッシリと並んだ薄膜状態となって、衣服表面への花粉そのものの付着を極力防止できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の好ましい形態を示す。
本発明は、アミノ酸誘導体を分散剤とする花粉ブロック剤を、イオン交換水と噴射剤とともにスプレー本体に充填した点に特徴を有する花粉ブロック用スプレーである。
即ち、本発明者は特許文献1に記載されたような花粉付着防止織物に代わって、従来ある衣服にも簡単かつ手軽に適用することができ、そして衣服に花粉が付着したとしてもアレルギー発症の要因となるアレルゲンを不活化することができる方法について研究を行い、スプレー処理によりそれを実現するに至ったのである。
【0008】
前記花粉ブロック剤は、衣服上に付着した花粉に対しアレルギー発症の要因となるアレルゲンを不活化させるとともに、衣服表面への花粉そのものの付着を防止するためのものである。この花粉ブロック剤はアミノ酸誘導体を分散剤としている。アミノ酸誘導体を用いることで無機化合物からなる花粉ブロック剤を溶液中に均一に分散させるのである。また、人体へ直接に触れることもあるので無害であることも必要である。従って、アミノ酸誘導体は花粉ブロック剤の分散性に優れ、かつ人体にも安全性の高いアミノ酸系の界面活性剤ということになる。
【0009】
本発明では花粉ブロック剤は、アレルゲンを不活化するための無機化合物と、花粉の付着を防止するための無機化合物微粒子とからなる
アレルゲンを不活化するための無機化合物とは、アレルギー発症の要因となるアレルゲンを不活化するものであり、例えばヘクトライト等の無機鉱物である。メカニズム的には、アレルゲンは本来水溶性のタンパク質であるので、これを化学的に無機化合物と反応させることにより疎水化し、例えば鼻の粘膜や喉の粘膜等からアレルゲンを吸収されにくくして花粉症等の症状を和らげるのである。
なお、このメカニズムは花粉アレルゲンのみでなく、ダニアレルゲンやハウスダストアレルゲン等のあらゆるアレルゲンに作用し、種々のアレルギー発症を抑制することが可能である。
【0010】
一方、花粉の付着を防止するための無機化合物微粒子としては、ナノメートル単位(nm)の微粒子からなる酸化チタン、酸化亜鉛、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムから選択される1種または2種以上の無機化合物が用いられる。この無機化合物は、衣服の表面に緻密に並んで薄膜状の状態で覆い、花粉が衣服上に付着しにくく、かつ付着しても脱落しやすい性能を付与するためのものである。
【0011】
また、スプレー本体には、花粉ブロック剤の濃度が1〜50重量%で残部をイオン交換水とした原液が、5〜50重量%の噴射剤とともに充填されている。
原液中における花粉ブロック剤の濃度が1重量%未満では、十分にアレルゲンを不活化し、また花粉の付着を防止することができず、一方、50重量%より多くても過剰品質で生産コストが高くなるからである。
【0012】
噴射剤としては、ジメチルエーテル(DME)や液化石油ガス(LPG)などの液化ガスおよび窒素、炭酸ガス、酸化窒素ガスなどの圧縮ガスが用いられ、これらの噴射剤から1種または2種以上を選択して用いることができる。
噴射剤が5重量%未満では、花粉ブロック成分を最後まで噴射し切れないおそれがあるとともに噴霧特性も良好でなく、一方、50重量%より多いと溶解度の兼ね合いから花粉ブロック剤と分離してしまうおそれがあるからである。
前記のイオン交換水は、花粉ブロック剤をスプレー本体内において分散させるものである。この場合、花粉ブロック剤をイオン交換水に可溶化して均一に分散させる目的でエタノールを添加することも好ましい。
【0013】
本発明において、花粉ブロック剤は1〜50%濃度の範囲、好ましくは3〜10%濃度の範囲で使用する。濃度を1〜50%としたのは、1%未満では大量にスプレー処理しないと十分な花粉付着防止効果が得られず効率が悪くなり、また50%より多いと過剰品質で生産コストが高くなるからである。
【0014】
更に、スプレー本体に使用目的等に応じて、芳香剤、消臭剤、抗菌剤の1種または2種以上を添加することもできる。
【0015】
このように構成した本発明の花粉ブロック用スプレーを用いて布材表面をスプレー処理すると、図1に示されるように、布材1の表面には花粉ブロック剤2の粒子がビッシリと並んで薄膜状態で覆われることとなる。
衣服表面に残存している花粉3は、花粉ブロック剤2中のアレルゲンを不活化するための無機化合物が作用して、花粉に対しアレルギー発症の要因となるアレルゲンを不活化させるので、アレルギー症状の発現を極力抑えることとなる。この結果、仮に花粉を屋内へ持ち込んだとしてもアレルギー発症の要因となるアレルゲンの不活化によりアレルギー発症を減少させることができることとなる。
【0016】
更には、ナノメートル単位の微粒子からなる花粉の付着を防止するための無機化合物微粒子により形成されている花粉ブロック剤2の薄膜は、マクロ的にはプレーンであり、ミクロ的にはナノレベルで微小な凹凸状態となっている。従って、花粉3は前記薄膜上に付着しにくくなり、また付着したとしても手で軽く叩く程度ですぐに脱落してしまうこととなり、衣服表面への花粉の付着が極力防止されることとなる。なお、払い落とされずに付着している花粉は前記アミノ酸誘導体によりアレルゲンの不活化により、アレルギー発症が減少されることは勿論である。
【実施例】
【0017】
<実施例1>
アミノ酸誘導体を分散剤とし、更にアレルゲンを不活化するための無機化合物と、ナノメートル単位の微粒子からなる花粉の付着を防止するための無機化合物微粒子とを含有する花粉ブロック剤(大原パラヂウム(株)製の商品名「パラファインDP−Z」)の水分散液(濃度は5%):4重量%と、イオン交換水:75重量%と、ジメチルエーテル(DME):21重量%からなるスプレー(正味量:150ml)を作成した。
このスプレーにより噴霧処理した布地をスギ花粉アレルゲン液に浸漬し、上澄み液を検体として、酵素を標識として用い、抗原抗体反応を利用して測定する酵素免疫測定法(ELISA測定)により、スギ花粉アレルゲンの不活化性を調べた。この結果、上記のスプレーによりスプレー処理を行った布地の不活化率は50%以上であり、未処理のものが1%であるのに比べて優れたアレルゲンの不活化性を有することが確認できた。
【0018】
<実施例2>
実施例1と同様に処理した布地をダニアレルゲン抽出液に浸漬し、ダニアレルゲン簡易検査キット(シントーファイン株式会社の商品名「マイティチェッカー」)によりダニアレルゲンの不活化性について調べた。
この結果は、本発明のスプレー処理を行った布地のダニアレルゲンレベルが5μg(50匹)/m以下であり、未処理のものが35μg(350匹)/m以上であるのに比べて優れたダニアレルゲンの不活化性を有することが確認できた。
【0019】
<実施例3>
布地(綿ブロード、T/Cブロード)の表面に、実施例1のスプレーで噴霧処理し吊り干しで自然乾燥させた。スプレー処理した布地とスプレー処理しない布地の花粉の減少率を下記の式により算出して調べた。
減少率(%)=(払い落とし処理前の花粉数−払い落とし処理後の花粉数)
/(払い落とし処理前の花粉数)×100
払い落とし処理は軽く手で払う程度の振動を与えるものであり、払い落とし処理前の花粉数は布地に均一に花粉を付着させた状態である。この払い落とし処理前後の花粉数をマイクロスコープ(150倍)により撮影し、それぞれの花粉の個数をカウントして、前記式から減少率(%)を算出した。
この結果、本発明のスプレー処理を行ったものは花粉の減少率が、綿ブロード:49.8%、T/Cブロード:64.8%であり、スプレー処理をしないものは花粉の減少率が、綿ブロード:24.6%、T/Cブロード:22.2%であり、本発明の花粉付着防止効果が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の花粉付着防止の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 衣服
2 花粉ブロック剤
3 花粉
【出願人】 【識別番号】593117730
【氏名又は名称】英昌化学工業株式会社
【住所又は居所】愛知県安城市箕輪町蝮畔188番地
【出願日】 平成16年11月29日(2004.11.29)
【代理人】 【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄

【識別番号】100059096
【弁理士】
【氏名又は名称】名嶋 明郎

【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫

【公開番号】 特開2006−152477(P2006−152477A)
【公開日】 平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願番号】 特願2004−343582(P2004−343582)