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【発明の名称】 高伸度極細長繊維不織布
【発明者】 【氏名】岡崎 緑
【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラレ内

【氏名】辻本 拓哉
【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラレ内

【氏名】藤原 直樹
【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラレ内

【要約】 【課題】複合溶融紡糸し、化学薬品などを使用することなく、水で処理することにより、高伸度極細長繊維不織布を安定に提供する。

【解決手段】下記(A)と(B)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーよりなる極細長繊維束から構成され、以下の要件(a)および(b)
(a)極細長繊維の単繊維繊度が0.0005〜0.5dtexであること、
(b)極細長繊維不織布の長さ方向の破断伸度が100〜500%であること、
をともに満足していることを特徴とする極細長繊維不織布。
【請求項2】
極細長繊維不織布の幅方向の破断伸度が50〜500%である請求項1に記載の極細長繊維不織布。
【請求項3】
極細長繊維不織布の長さ方向及び幅方向の破断伸度がともに100〜400%である請求項1記載の極細長繊維不織布。
【請求項4】
長繊維不織布が、熱エンボス法、水流絡合法、およびニードルパンチ法からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段を用いて接合されている請求項1〜3のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
【請求項5】
熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンまたはポリエステルである請求項1〜4のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
【請求項6】
下記(A)と(B)
(A)けん化度90〜99.9モル%である水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール、
(B)MFRが30以下のポリプロピレンまたは8モル%以上のイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、
からなる極細繊維化可能な複合長繊維により構成される長繊維不織布から該(A)を水で溶解除去することを特徴とする極細長繊維不織布の製造方法。
【請求項7】
熱可塑性ポリビニルアルコール(A)が、炭素数4以下のαオレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を0.1〜15モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項6に記載の極細長繊維不織布の製造方法。
【請求項8】
熱可塑性ポリビニルアルコール(A)が、エチレン単位を0.1〜15モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項7に記載の極細長繊維不織布の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の極細長繊維不織布が基布として用いられている合成皮革。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の極細長繊維不織布が用いられている吸音材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールと他の熱可塑性ポリマーからなる複合長繊維不織布を水で処理して得られる、高伸度を有する極細長繊維不織布とその製造方法および該高伸度極細長繊維不織布を用いた合成皮革および吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不織布は産業資材、衣料等を始め幅広い分野で用いられている。なかでも、スパンボンド法で得られる長繊維不織布は短繊維を経ることなく直接長繊維をウェブ化することにより作られるので、生産性が高く、低コストであるという長所を有している。しかしながらスパンボンド不織布は一般に高強度、低伸度であり、かつ伸張モジュラスが高いため、成型加工時において深絞りの成型を行う場合、部分的に浮き上がりができたり、成型品の嵩を稼ぐことができないという欠点がある。
【0003】
またスパンボンド不織布は隠蔽性が低いため、これを改善するために用途によっては他の不織布と積層複合化して使用せざるを得ない場合もあった。例えば、極細繊維からなる不織布を積層一体化する方法が知られているが、これら積層不織布は、やはりスパンボンド不織布の伸張モジュラスが高いため、成型時の形状追従性に乏しく、できた成型品のボリューム感に欠け、硬い風合いとなってしまい用途が制限されてしまうという欠点があった。
【0004】
そこで従来のスパンボンド不織布よりも、高伸度で、嵩高く、ソフトな風合いを有する不織布を提供するために検討が行われている。
高伸度の不織布を得る方法としては、例えば、特開2004−36065公報には、未延伸、あるいは低延伸条件で紡糸を行い、150%以上の伸度を有する不織布を得る方法が記載されている。しかしながら、得られた繊維は5dtex以上の繊維径を有する、いわゆる太繊維からなるものであり、極細繊維からなる不織布が必要とされる用途分野には適応できないものである。さらに同公報で実際に製造されている不織布は短繊維不織布であり、長繊維不織布ではない。一般に短繊維不織布の場合には、繊維の抜けにより破断伸度が高くなる傾向があり、繊維の抜けが殆ど生じない長繊維不織布でも、同等の高伸度が本当に得られるのか大いに疑問である。
【0005】
一方、融点の異なる2種のポリマーを複合紡糸して得られる繊維からなる繊維ウェッブを所々熱圧着したのち、不織布の幅方向に拡張して繊維を分割して伸縮性のある極細繊維不織布シートを得る方法が特開平11−61621号公報に記載されているが、この公報に記載された方法で得られる不織布の破断伸度は不織布の長さ方向では、高々30%であり、到底、高伸度の不織布とは言いがたい。一般に、不織布の長さ方向は横方向よりも繊維の配向が起こりやすく、その結果、長さ方向の伸度は低くなりがちである。
【0006】
また、従来から極細繊維を製造する方法として、多成分系繊維の少なくとも1成分を有機溶剤により溶解除去して極細化する方法や、アルカリにより分解除去して極細化する方法が一般に用いられている。しかしながら、このような方法では、化学薬品の取り扱いの危険性や環境汚染などの面から特殊な設備が必要となり、作業者の安全衛生面や製造コストの点で十分満足できるものではなかった。また、除去する成分とは別の成分が好ましくない影響を受けるため、複合繊維を構成する成分の組合せが限定されたり、除去すべき成分が十分除去できないままで使用せざるを得ず、満足のいく品質の不織布が得られない場合があった。
【0007】
一方、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することもある)は水溶性のポリマーであって、その基本骨格と分子構造、形態、各種変性により水溶性の程度を変えることができることが知られている。また、PVAは生分解性であることが確認されている。地球環境的に、合成物を自然界といかに調和させるかが大きな課題となっている現在、このような基本性能を有するPVAおよびPVA系繊維は多いに注目されている。
【0008】
以上述べたように、従来は、長さ方向に高伸度有し、かつ環境や作業者に対して危険な化学薬品を用いることなく極細長繊維不織布を得ることは困難であった。
【特許文献1】特開2004−36065公報
【特許文献2】特開平11−61621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高伸度を有し、かつ化学薬品などを用いることなく、水で処理することによる極細長繊維不織布の製造を可能とし、成形性、外観、風合等に優れた不織布、該不織布を用いた合成皮革および該不織布を用いた吸音材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、熱可塑性ポリマーよりなる極細長繊維束から構成され、以下の要件(a)および(b)
(a)極細長繊維の単繊維繊度が0.0005〜0.5dtexであること、
(b)極細長繊維不織布の長さ方向の破断伸度が100〜500%であること
をともに満足していることを特徴とする極細長繊維不織布である。
また本発明は、下記(A)と(B)
(A)けん化度90〜99.9モル%である水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール、
(B)MFRが30以下のポリプロピレンまたは8モル%以上のイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、
からなる極細繊維化可能な複合長繊維により構成される長繊維不織布から該(A)を水で溶解除去することを特徴とする極細長繊維不織布の製造方法である。
更に本発明は、該極細長繊維不織布が基布として用いられている合成皮革であり、また該極細長繊維不織布が用いられている吸音材である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールと熱可塑性ポリマーで構成し、溶融紡糸による複合長繊維不織布(いわゆるスパンボンド不織布)を用いることで、化学薬品などを使用することなく、水で処理することで高伸度かつ極細長繊維不織布を得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の不織布は、熱可塑性ポリマー(B)およびけん化度が90〜99.99モル%である水溶性熱可塑性PVA(A)から長さ方向に分割可能な複合長繊維からなる不織布(A)を水で処理し、該複合長繊維を構成する水溶性熱可塑性PVAを溶解除去することにより得られる熱可塑性ポリマーからなる極細長繊維不織布である。
【0013】
本発明におけるPVA(A)とは、PVAのホモポリマーは勿論のこと、例えば、共重合、末端変性、および後変性により官能基を導入した変性PVAも包括するものである。
【0014】
本発明に用いられるPVA(A)の粘度平均重合度(以下、単に重合度と略記する)は200〜800が好ましく、230〜600がより好ましく、250〜500が特に好ましい。重合度が200未満の場合には紡糸時に十分な曳糸性が得られない場合があり、その結果として満足な長繊維不織布が得られない場合がある。一方、重合度が800を越えると溶融粘度が高すぎて紡糸ノズルからポリマーを吐出することができず、満足な長繊維不織布を得られない場合がある。
【0015】
PVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを完全に再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
【0016】
本発明に用いられるPVA(A)のけん化度は90〜99.99モル%であり、92〜99.98モル%が好ましく、94〜99.96モル%がより好ましく、95〜99.95モル%が特に好ましい。けん化度が90モル%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な複合溶融紡糸を行うことができず、溶融紡糸と直結した本発明の複合長繊維不織布もできない。一方、けん化度が99.99モル%よりも大きいPVAは安定に製造することが困難である。
【0017】
PVAは、ビニルエステル系重合体のビニルエステル単位をけん化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
【0018】
本発明の複合長繊維不織布を構成する1成分であるPVA(A)は、ホモポリマーであっても共重合単位を導入した変成PVAであってもよいが、複合溶融紡糸性、親水性、繊維および不織布物性の観点からは、共重合単位を導入した変性PVAを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、種々のものが挙げられるが、例えば、入手のしやすさなどから、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類、オキシアルキレン基を有する単量体、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類に由来する単量体が好ましい。
【0019】
特に、共重合性、溶融紡糸性および繊維物性等の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類がより好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類およびビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に0.1〜15モル%存在していることが好ましく、2〜13モル%がより好ましい。
さらに、繊維物性が高くなることから、α−オレフィンとしてエチレンが導入された変性PVAを使用することが特に好ましい。エチレン単位の含有量としては3〜15モル%が好ましく、5〜13モル%がより好ましい。
【0020】
本発明で使用するPVAは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜200℃の範囲が適当である。
【0021】
本発明で使用するPVA(A)におけるアルカリ金属イオンの含有割合は、PVA(C)100質量部に対してナトリウムイオン換算で0.0001〜0.05質量部が好ましく、0.0001〜0.03質量部がより好ましく、0.0002〜0.01質量部が特に好ましい。アルカリ金属イオンの含有割合が0.0001質量部未満は工業的に製造困難である。またアルカリ金属イオンの含有量が0.05質量部より多い場合には複合溶融紡糸時の分解、ゲル化および断糸が著しく、安定に繊維化することができない場合がある。なお、アルカリ金属イオンとしては、カリウムイオン、ナトリウムイオン等が挙げられる。
【0022】
本発明において、特定量のアルカリ金属イオンをPVA中に含有させる方法は特に制限されず、PVAを重合した後にアルカリ金属イオン含有の化合物を添加する方法、ビニルエステルの重合体を溶媒中においてけん化するに際し、けん化触媒としてアルカリイオンを含有するアルカリ性物質を使用することによりPVA中にアルカリ金属イオンを配合し、けん化して得られたPVAを洗浄液で洗浄することにより、PVA中に含まれるアルカリ金属イオン含有量を制御する方法などが挙げられるが後者のほうが好ましい。
なお、アルカリ金属イオンの含有量は、原子吸光法で求めることができる。
【0023】
けん化触媒として使用するアルカリ性物質としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが挙げられる。けん化触媒に使用するアルカリ性物質のモル比は、酢酸ビニル単位に対して0.004〜0.5が好ましく、0.005〜0.05が特に好ましい。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括添加しても良いし、けん化反応の途中で追加添加しても良い。けん化反応の溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましく、含水率を0.001〜1質量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.003〜0.9質量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.005〜0.8質量%に制御したメタノールが特に好ましい。
【0024】
洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、水などが挙げられ、これらの中でもメタノール、酢酸メチル、水の単独もしくは混合液がより好ましい。
洗浄液の量としてはアルカリ金属イオンの含有割合を満足するように設定されるが、通常、PVA100質量部に対して、300〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜100時間が好ましく、1時間〜50時間がより好ましい。
【0025】
本発明で使用するPVA(A)における25℃におけるpKaが5.0以下の酸基を有する酸の含有割合は、下記で表すαが0.01〜1であることが好ましく、0.03〜0.8がより好ましく、0.05〜0.6が特に好ましい。本発明では、下記に表すαの式中の酸の含有率は中和滴定法で求めた値を酢酸に換算したものを意味する。pKaとは、酸の解離定数をKaとするとき、pKa=−logKaで定義したものである。酸のpKaが5.0を越える酸基を有する酸を用いた場合および酸含有割合が下記で表すαで0.01〜1から外れる場合は、複合溶融紡糸時のPVAの分解、ゲル化および断糸が著しく、安定に繊維化することができない場合がある。なお、25℃におけるpKaが5.0以下の酸基を有する酸としては、酢酸、リン酸、第一リン酸ナトリウム等が挙げられる。
α=ポリビニルアルコール中の酸含有率(質量%)/ポリビニルアルコール中のアルカリ金属イオン含有率(質量%)
【0026】
本発明において、25℃におけるpKaが5.0以下の酸基を有する酸をPVA中に特定量含有させる方法は特に制限されず、ビニルエステルの重合体を溶媒中においてけん化した後に、pKaが5.0以下の酸基を有する酸を使用することによりPVA中に該酸を配合し、けん化して得られたPVAを洗浄液で洗浄することにより、PVA中に含まれる酸含有量を制御する方法、乾燥したPVAを酸を含有する溶媒で処理することにより特定量の酸を含有させる方法、PVAのペレットを作成する際に特定量の酸を添加することによって含有させる方法等が挙げられる。なお、酸の含有量は、PVAからのメタノール抽出分を水酸化ナトリウム水溶液によって中和滴定することで求めることができる。
【0027】
また本発明の目的や効果を損なわない範囲で、PVAには融点や溶融粘度を調整する等の目的で可塑剤を添加することが可能である。可塑剤としては、従来公知のものが使用できるが、ジグリセリン、ポリグリセリンアルキルモノカルボン酸エステル類、グリコール類にエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加したもの等が好適に使用される。そのなかでも、ソルビトール1モルに対してエチレンオキサイドを1〜30モル%付加した化合物が好ましい。
【0028】
本発明で使用されるPVAは、生分解性を有しており、活性汚泥処理あるいは土壌に埋めておくと分解されて水と二酸化炭素になる。PVAを溶解した後の廃液の処理には活性汚泥法が好ましい。該PVA水溶液を活性汚泥で連続処理すると2日間から1ヶ月で分解される。また、本発明に用いるPVAは燃焼熱が低く、焼却炉に対する負荷が小さいので、PVAを溶解した排水を乾燥させてPVAを焼却処理してもよい。
【0029】
また、本発明で複合繊維を構成するもう一方の成分である熱可塑性ポリマー(以下Bと称することがある)としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンおよびその共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート-ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルおよびその共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン12、ナイロン6−12等の脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、エチレン単位を20モル%から70モル%含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスチレン系、ポリジエン系、塩素系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系のエラストマー等の中から少なくとも一種類を選んで用いることができるが、本発明に用いるPVA(A)と複合紡糸しやすい点から、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドが好ましく、さらに入手のしやすさ、加工性の点から、ポリオレフィン、特にポリプロピレンがより好ましい。
もちろん、熱可塑性ポリマー(B)として、2種以上の熱可塑性ポリマーを使用してもよい。
【0030】
熱可塑性ポリマー(B)にポリプロピレンを用いる場合、安定な複合紡糸を行うためには溶融粘度の低い、高MFRポリプロピレンが有効であるが、本発明者らは、ポリプロピレンのMFR値が高いほど得られる極細長繊維不織布は低伸度化する傾向にあることを見出した。すなわち、本発明が目的とする高伸度の不織布は、MFR30以下のポリプロピレンを用いて初めて得ることができ、好ましくはMFR値28以下、より好ましくはMFR値25以下でのポリプロピレンを用いることで不織布の伸度はさらに向上する。しかし、あまりMFR値が低いと紡糸が困難となることからMFR値の下限値としては5.0が目安である。なお、MFR値は2種のポリプロピレンを混合して上記範囲とすることも可能である。また、ポリプロピレンには、破断伸度が本発明で規定する範囲から外れない限り他のポリマーをブレンドすることは問題ない。
【0031】
また、熱可塑性ポリマー(B)としてポリエステルを用いる場合には、本発明の目的とする高伸度の極細長繊維不織布を得るためには、イソフタル酸を8モル%以上共重合させたポリエチレンテレフタレートを用いることが必要であることを見出した。より好ましくはイソフタル酸を9モル%以上共重合させたポリエチレンテレフタレート系ポリエステル場合であり、この場合には得られる不織布の伸度はさらに向上する。しかし、共重合割合があまりに高くなると繊維物性が低下することとなるのでイソフタル酸の共重合比率としては30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下である。本発明において、ポリエステルを用いる場合には、破断伸度が本発明で規定する範囲から外れない限り、イソフタル酸以外の共重合モノマー単位が存在していても良い。またポリエチレンテレフタレートには、破断伸度が本発明で規定する範囲から外れない限り、他のポリマーをブレンドすることは問題ない。
【0032】
本発明に用いる熱可塑性ポリマー(B)とPVA(A)とからなる複合長繊維不織布の(B)と(A)の質量比は5/95〜95/5であり、10/90〜90/10がより好ましい。好適な範囲を外れた場合は、複合した効果が現れない場合がある。
【0033】
また本発明の目的や効果を損なわない範囲で、熱可塑性PVA(A)および熱可塑性ポリマー(B)には、必要に応じて銅化合物等の等の安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤を重合反応時、またはその後の工程で添加することができる。特に熱安定剤としてヒンダードフェノール等の有機系安定剤、ヨウ化銅等のハロゲン化銅化合物、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属化合物を添加すると、繊維化の際の溶融滞留安定性が向上するので好ましい。
【0034】
また必要に応じて平均粒子径が0.01μm以上5μm以下の微粒子を0.05質量%以上10質量%以下、重合反応時、またはその後の工程で添加することができる。微粒子の種類は特に限定されず、たとえばシリカアルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の不活性微粒子を添加することができ、これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。特に平均粒子径が0.02μm以上1μm以下の無機微粒子が好ましく、紡糸性、延伸性が向上する。
【0035】
次に、本発明に用いる熱可塑性ポリマー(B)とPVA(A)とからなる長繊維で構成された複合不織布の製造方法について説明する。本発明の長繊維で構成された複合不織布は、溶融紡糸と直結したいわゆるスパンボンド不織布の製造方法によって効率良く製造することができる。
【0036】
例えば、熱可塑性ポリマー(B)とPVA(A)とをそれぞれ別の押し出し機で溶融混練し、引き続き、それぞれの溶融したポリマー流を紡糸頭に導き、流量を計量し合流させて紡糸ノズル孔から吐出させ、この吐出糸条を冷却装置により冷却せしめた後、エアジェット・ノズルのような吸引装置を用いて、目的の繊度となるように、1000〜6000m/分の糸条の引取り速度に該当する速度で高速気流により牽引細化させた後、開繊させながら移動式の捕集面の上に堆積させて不織布ウェブを形成させ、引き続きこのウェブを部分圧着して巻き取ることによって複合長繊維不織布を得ることができる。この際、得られる極細長繊維不織布の伸度を考慮すると、従来より低めの1000〜3000m/分の引取り速度にすることが好ましい。
【0037】
本発明の複合長繊維不織布を構成する複合長繊維の複合断面としては、分割性や分割後の極細長繊維の均一性、不織布、該不織布を用いた合成皮革、該不織布を用いた吸音材としての品質、物性等を考慮すると、分割成分がくさび型または扇型の形状を呈する放射状分割型複合繊維、分割成分が短冊状の形状を呈する多層貼り合せ型の分割型複合繊維、マトリクス中に複数の分割成分が分散した形状の海島型複合繊維を有するものが好ましい。複合長繊維の断面形状がミカンの断面形状型、扇型、あるいは貼り合せ型の形状を有する場合には、複合繊維を構成する極細繊維形成分(B)は水溶性熱可塑性PVA(A)により2〜20個に分割されているのが生産性の点で好ましい。また複合断面形状が海島型である場合には、(B)が島成分、(A)が海成分を構成しており、かつ島数として2〜800の範囲が生産性の点で好ましい。
【0038】
本発明において複合長繊維不織布を構成する繊維化の条件は、ポリマーの組合せ、複合断面に応じて適宜設定する必要があるが、主に、以下のような点に留意して繊維化条件を決めることが望ましい。
紡糸口金温度は、複合長繊維を構成するポリマーのうち高い融点を持つポリマ−の融点をMpとするとき、(Mp+10)℃〜(Mp+80)℃が好ましく、せん断速度(γ)500〜25000sec−1、ドラフト(V)50〜2000で紡糸することが好ましい。また、複合するポリマーの組合せから見た場合、紡糸時における口金温度とノズル通過時のせん断速度で測定したときの溶融粘度が近接したポリマーを組合せて複合紡糸することが紡糸安定性の面から好ましい。
【0039】
本発明におけるPVAの融点Tmとは、示差走査熱量計(DSC:例えばMettler社TA3000)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である。せん断速度(γ)は、ノズル半径をr(cm)、単孔あたりの重合体吐出量をQ(cm/sec)とするときγ=4Q/πrで計算される。またドラフトVは、引取速度をA(m/分)とするときV=5A・πr/3Qで計算される。
【0040】
本発明の複合繊維を製造するに際して、紡糸口金温度が複合長繊維を構成するポリマーのうち高い融点を持つポリマーの融点Mp+10℃より低い温度では、該ポリマーの溶融粘度が高すぎて、高速気流による曳糸・細化性に劣り、またMp+80℃を越えるとPVAが熱分解しやすくなるために安定した紡糸ができない。また、せん断速度は500sec−1よりも低いと断糸しやすく、25000sec−1より高いとノズルの背圧が高くなり紡糸性が悪くなる。ドラフトは50より低いと繊度むらが大きくなり安定に紡糸しにくくなり、ドラフトが2000より高くなると断糸しやすくなる。
【0041】
本発明においては、エアジェット・ノズルのような吸引装置を用いて吐出糸条を牽引細化させるに際し、1000〜6000m/分の糸条の引取り速度に該当する速度で高速気流により牽引細化させることが好ましい。さらに得られる極細長繊維不織布の伸度を考慮すると1000〜3000m/分の引取り速度とすることがより好ましい。吸引装置による糸条の引取り条件は、紡糸ノズル孔から吐出する溶融ポリマーの溶融粘度、吐出速度、紡糸ノズル温度、冷却条件などにより適宜選択するが、1000m/分未満では、吐出糸条の冷却固化遅れによる隣接糸条間の融着が起こる場合があり、また糸条の配向・結晶化が進まず、得られる複合不織布は、粗雑で機械的強度の低いものになってしまい好ましくない。一方、3000m/分を越えると、得られる不織布に十分な伸度を付与することができない場合があり、6000m/分を越えると吐出糸条の曳糸・細化性が追随できず糸条の切断が発生して、安定した複合長繊維不織布の製造ができない。
【0042】
さらに、本発明のPVA系複合長繊維不織布を安定に製造するに際し、紡糸ノズル孔とエアジェット・ノズルのような吸引装置との間隔は30〜200cmが好ましい。該間隔は使用するポリマー、組成、上記で述べた紡糸条件にもよるが、該間隔が30cmより小さい場合には、吐出糸条の冷却固化遅れによる隣接糸条間の融着が起こる場合があり、また糸条の配向・結晶化が進まず、得られる複合不織布は、粗雑で機械的強度の低いものになってしまい好ましくない。一方、2000cmを越える場合には、吐出糸条の冷却固化が進みすぎて吐出糸条の曳糸・細化性が追随できず糸条の切断が発生して、安定した複合長繊維不織布の製造ができない。また、本発明において、複合長繊維の太さとしては0.5〜10dtexの範囲が抽出後に得られる不織布物性や、製造条件上の点で好ましい。
【0043】
本発明においては、複合長繊維不織布からPVA(A)を水で溶解除去することにより、熱可塑性ポリマー(B)の極細長繊維不織布を製造することが重要である。複合長繊維不織布からPVA(A)を水抽出する方法に特に制約はなく、染色機等の熱水中で処理する方法やウォータージェット法のように高圧水流を噴射する方法等、任意の方法を適宜選択することができる。抽出水は中性でかまわないし、アルカリ水溶液、酸性水溶液、あるいは界面活性剤等を添加した水溶液であっても良い。抽出処理温度は目的に応じて適宜調整すればよいが、処理温度は高いほど処理時間が短くなる。熱水を用いて抽出する場合には、50℃以上で処理するのが好ましく、80℃以上で抽出処理を行うのが特に好ましい。また、ウォータージェット法は、PVAの溶解除去と同時に分割極細長繊維間の接合が可能という点で、非常に有効な方法ある。
【0044】
本発明では、複合長繊維不織布よりPVA(A)を水で溶解除去して得られる熱可塑性ポリマー(B)の極細長繊維の各々が0.0005dtex〜0.5dtexの繊度を有していることが必要で、0.001dtex〜0.45dtexの繊度を有することが好ましく、0.002dtex〜0.4dtexの繊度を有することがより好ましく、0.005dtex〜0.35dtexの繊度を有することが特に好ましい。極細化後の長繊維の繊度が0.0005dtex未満の場合には、極細繊維の繊維強度が低くなり、長繊維不織布としての機能を十分に果たすことができず、その結果、該極細長繊維不織布を用いた品質の良好な合成皮革、および該極細長繊維不織布を用いてなる吸音材を製造することができない。一方、極細繊維の繊度が0.5dtexよりも大きい場合には、極細化が十分でなく、合成皮革の柔軟性、外観が低下する。また吸音材として使用する際には、十分な吸音性能を得ることができない。
【0045】
本発明では、複合長繊維不織布よりPVA(A)を水で溶解除去して得られる熱可塑性ポリマー(B)からなる極細長繊維不織布の長さ方向(MD方向)の破断伸度が100〜500%であることが必要である。好ましくは100〜450%の伸度を有することであり、さらに100〜400%の伸度を有する場合がより好ましい。長さ方向および幅方向の少なくとも一方向の破断伸度が100%より低い場合には成型性が不十分となり、その結果品質良好な合成皮革、合成皮革を用いた成型体、あるいは該不織布を用いてなる吸音材、その他成型体を製造することができない場合がある。一方、伸度が500%以上の場合には形態安定性が不十分となる。
【0046】
また、本発明において、幅方向(CD方向)の破断伸度も縦横の方向性を気にせずに成形物を得る上で好ましく、具体的には幅方向の破断伸度が50〜500%である場合が好ましく、より好ましくは極細長繊維不織布の長さ方向及び幅方向の破断伸度がともに100〜400%である場合である。幅方向の破断伸度を高めるためには、上記したように長さ方向の伸度を高める手段と同一の手段を用いればよい。具体的には、使用するポリプロピレンとしてMFR値の低いものを使用する方法や使用するポリエステルとしてイソフタル酸を前記したような量で共重合したものを使用する方法等を用いればよい。
【0047】
一般に公知の不織布では、不織布の幅方向の伸度の方が、長さ方向の伸度よりも高くなり、幅方向の破断伸度が100%を越えるものは従来から公知であるが、長さ方向の伸度まで100%を越えるような高伸度のもの、特に長繊維不織布は実存しない。
また本発明において、長さ方向の破断伸度に対する幅方向の破断伸度の比、すなわち、CD方向破断伸度/MD方向破断伸度が0.1〜10であることが成形性の点で好ましく、より好ましくは0.4〜2.5の範囲、もっとも好ましくは0.5〜2.0である。一般に従来の不織布は、CD方向の破断伸度が高い場合は、この比の値が高く極めて方向性の高いものが主体であるが、本発明ではこの値が低く、等方性に優れていると言える。この比を大きくするためには、紡糸速度、開繊性、エンボス処理条件を適宜調節すればよい。
【0048】
本発明では、以上のようにして得られる複合長繊維不織布および分割極細長繊維不織布を熱エンボス法、エマルジョン接着法、ウォータージェット法、ニードルパンチ法、超音波シール法、粉末ドット接着法、スルーエアー法、ステッチボンド法等の接合方法により形態を保持する方法が採用される。その中でも、極細長繊維不織布の外観、品質等の観点から、熱エンボス法、ウォータージェット法、ニードルパンチ法が特に好ましい。接合をどの段階で行うかについて特に制限はなく、必要に応じて適宜実施することが可能である。例えば、PVA(A)を水抽出する前であってもよいし、分割極細化の後でもよい。
【0049】
また熱エンボス法のような熱圧着処理を行う場合には、処理条件の上で特に制約はないが、熱圧着部全面積は、不織布の全面積に対して30%以下とすることが好ましく、より好ましくは10〜25%の範囲にすることが、不織布の伸度、柔軟性、嵩高さを良好に発揮させる上で好ましい。このようにして得られた極細長繊維不織布は目付が5〜300g/mの範囲が得られる不織布の取扱性、加工性、均質性、並びに不織布製造条件上の点で好ましい。
【0050】
さらに、本発明で得られる極細長繊維不織布は、単独で使用するのみではなく、ホモの長繊維不織布、メルトブローン等の他の方法で製造される不織布等と積層して用いることが可能であり、上記の用途に用いる場合、実用機能をさらに付与することができる。
【0051】
本発明の不織布は、従来のポリプロピレン、ポリエステル、その他素材からなる不織布が用いられている用途に広く使用可能である。例えば、ワイパー用途、フィルター用途、絶縁材用途、電池セパレータ用途、キャパシタ用セパレータ用途、その他エレクトロニクス用途、油吸着材用途、セメント用配合材用途、ゴム用配合材用途、各種テープ基材などの資材用途、紙おむつ・ガーゼ・ホータイ・医療用ガウン・サージカルテープなどの医療・衛材用途、衣料部材用途、防護用途、車両内装材用途、吸音材用途、断熱材用途、農業用資材用途、衛材用途、インテリア用途、人工皮革・合成皮革類の基布用途、包剤用途、印刷物基材用途、収納材用途、土壌安定材用途、流砂防止材用途、補強材用途、鞄靴材用途、その他生活・産業用資材用途である。
【0052】
なかでも、本発明の不織布は高伸度であるため、高度な成形性が必要である成形部材に適している。例えば、自動車のドアトリム、天井材、座席シート、インパネ、他、自動車内装材、鞄靴材、吸音材、食品用フィルターバッグ、防虫・芳香剤容器等で使用される用途である。
【0053】
特に本発明の不織布は、曲面を覆ったり、曲面用に加工される合成皮革の基布に適している。次に本発明の極細長繊維不織布を基布として合成皮革を得る方法に関して述べる。合成皮革は、基布の上に弾性樹脂で代表される合成樹脂を塗布するか或いは基布に含浸して製造される。
使用される合成樹脂としては、極細長繊維不織布一体化して柔軟な皮膜を形成するもの、或いは柔軟な基体層を形成するものであれば良く、例えばポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などが使用される。
【0054】
合成樹脂には、必要に応じて帯電防止剤、導電性物質、可塑剤、安定剤、界面活性剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤、充填剤、着色剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0055】
合成樹脂と極細長繊維不織布を用いて合成皮革にする方法には特に制限はない。例えば、長繊維不織布上に、合成樹脂層を、公知の方法によって押出し、ラミネートする方法、加熱圧着法やペースト加工にて積層形成する方法等により合成皮革が得られる。または同じく天然皮革様の表面シボを有する離型紙上に樹脂を塗布し、乾燥後、この合成樹脂層の上に接着層としての2液型ポリウレタン系樹脂溶液接着剤を公知の方法により塗布し、その上に本発明で得られた極細長繊維不織布を積層し、その後、離型紙を剥離することによって合成皮革を得ることもできる。さらに本発明の極細長繊維不織布にポリウレタンで代表される高分子弾性体樹脂の溶液またはエマルジョン液を含浸し、湿式または乾式凝固等の方法により樹脂を凝固させることにより基体層を製造し、その上に銀面層を付与することにより銀面層付合成皮革が得られ、また基体層をバッフィングして、表面の極細繊維を露出させることによりスエード調またはヌバック調の合成皮革が得られる。更に、極細化処理前の不織布に高分子弾性体を含浸凝固させた後に、極細化する方法を用いても良い。
このようにして得られる合成皮革は高伸度を有していることから、いろんな加工品、例えば靴の甲皮、インテリア製品の表面材として、更にカメラケース、貴重品の収納ケースや小箱等の深絞り成形品に加工することが出来る。
【0056】
また、本発明の高伸度極細長繊維不織布は吸音材の表面材としても好適に用いることができる。一例として本発明の極細長繊維不織布をガラス繊維やフェルトからなる母材の上に配置した状態で加圧加熱成型することにより一体化された吸音材を製造することができる。このとき従来の不織布のように、成型追従性が低いと成型が非常に深い場合など形状に追従できずに皺が生じたり、深絞りのコーナー部が破断してしまうという問題が生じる。この問題は、特に吸音材の場合には、厚み低下が全体の吸音性能の低下を招くことになり、可能な限り回避する必要のある現象である。
【0057】
そこで本発明の極細長繊維不織布を用いることで立体成型時、特に深絞り成型時においても優れた成型追従性を有する吸音材が得られるが、さらに特筆すべきことは、該極細長繊維不織布を用いた吸音材は使用している母材単体に比べ、非常に優れた吸音性能を発揮するのである。これは表面材に使用している繊維が極細繊維であるということによる吸音性能の向上に加え、この不織布が成型加工時に適度に伸びることにより、母材の厚みを確保することで、母材本来の性能を維持できるためであると推定している。
【実施例】
【0058】
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において、各物性値は以下のようにして測定した。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
【0059】
[PVAの分析方法]
PVAの分析方法は特に記載のない限りはJIS−K6726に従った。
変性量は変性ポリビニルエステルあるいは変性PVAを用いて500MHz1H−NMR(JEOL GX−500)装置による測定から求めた。
アルカリ金属イオンの含有量は原子吸光法で求めた。
【0060】
[PVA中の酸の含有量の分析方法]
絶乾したPVA20gを使用して、メタノール100mLを用いてメタノールソックスレー抽出を3日間行った。抽出液50mLに蒸留水50mLおよびフェノールフタレインを数滴加え、抽出液中の酸を1/1000Nの水酸化ナトリウム水溶液により中和滴定し、わずかに赤色を呈したところを終点とした。次式によりPVA中の含有酸量を酢酸に換算した。
酢酸(%)=(0.12×滴定量mL×100)/(1000×20)
【0061】
[融点]
PVAの融点は、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を調べた。
【0062】
[紡糸状態]
溶融紡糸の状態を観察して次の基準で評価した。
◎:極めて良好 ○:良好、
△:やや難あり ×:不良
【0063】
[不織布の状態]
得られた不織布を目視観察および手触観察して次の基準で評価した。
◎:均質で極めて良好 ○:ほぼ均質で良好、
△:やや難あり ×:不良
【0064】
[不織布目付、厚さ]
JIS L1906に準じて測定した。
【0065】
[平均繊維径]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を500倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維について、交わった近辺の繊維の太さを更に拡大した写真から求め、倍率換算して得られる値を用いた。そしてこれら繊維の100本の平均値を平均繊維径とし、この繊維径を直径とする円を求め、その円を断面積として繊維の繊度を算出した。
【0066】
[不織布強度、破断伸度]
JIS L1906に準じて測定した。
【0067】
[極細長繊維不織布の深絞り成形性]
得られた極細長繊維不織布を金型を用いて直径10cm、深さ5cmのコップ状の形状に成形した。その結果、得られた成形品を以下の基準で判断した。
◎:皺や裂け部がない ○:皺がわずかに発生
△:大きな皺が発生 ×:裂け部が発生
【0068】
[合成皮革の成形性]
成型試験時の状態を観察して次の基準で評価した。
◎:極めて良好 ○:良好、
△:やや難あり ×:不良
【0069】
[合成皮革の成形試験後外観]
成型試験後の得られた成形体を観察して次の基準で評価した。
◎:極めて良好 ○:良好、
△:やや難あり ×:不良
【0070】
[吸音率]
JISA−1405に従って垂直入射法により吸音率を求めた。代表値として1000Hz、2000Hzの値を求めた。
【0071】
実施例1
[エチレン変性PVAの製造]
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm(5.8×10Pa)となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cm(5.8×10Pa)に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。
【0072】
得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、0.5%酢酸濃度の水/メタノール=20/80混合溶液1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAに水/メタノール=20/80の混合溶液2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、さらにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。その後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVA(PVA−1)を得た。
【0073】
得られたエチレン変性PVAのけん化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.001質量部であった。続いて、上記で得た変性PVAを50℃で10時間真空乾燥させた絶乾のPVA20gを、メタノール100mLを用いてメタノールソックスレー抽出を3日間行った。抽出液50mLに蒸留水50mLおよびフェノールフタレインを数滴加え、抽出液中の酸を1/1000Nの水酸化ナトリウム水溶液での中和滴定により測定した酢酸の含有量は、変性PVA100質量部に対して0.00008質量部であり、PVA中の酢酸とナトリウムイオンの比を表す値αは0.08であった。
【0074】
また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをDMSO−d6に溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5で鹸化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置して鹸化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であった(表1)。
【0075】
【表1】


【0076】
上記で得られたPVAを東洋精機(株)ラボプラストミル(2軸、20mmφ、L/D=28)を用いて設定温度220℃、スクリュー回転数100rpmで溶融押出することによりペレットを製造した(表1)。
【0077】
上記で得られたPVA(PVA−1)ペレットと、メルトフローレート(MFR)が25g/10分、融点が170℃のポリプロピレン(PP)を準備し、それぞれのポリマーを別の押し出し機で、230℃±1℃に加熱して溶融混練し、不織布を構成する複合長繊維の繊維軸に直交する繊維断面に占める質量比率がPVA/PP=30/70になるように220℃の16分割型の複合紡糸パック(図1)に導き、ノズル径0.35mmφ×1008ホール、吐出量625g/分、せん断速度2500sec−1の条件で紡糸口金から吐出させ、紡出フィラメント群を20℃の冷却風で冷却しながら、ノズルから80cmの距離にあるエジェクターにより高速エアーで1500m/分の引取り速度、ドラフト410で牽引細化させ、開繊したフィラメント群をエンドレスに回転している捕集コンベア装置上に捕集堆積させ長繊維ウエブを形成させた。紡糸状態は、断糸は全く見られず、断面形状も極めて良好であった。
【0078】
次いで、このウェブを130℃に加熱した凹凸柄エンボスロールとフラットロールとの間で、線圧50kg/cmの圧力下で通過させ、エンボス部分熱圧着させることにより、単繊維繊度1.85dtexの長繊維からなる目付88g/mの16分割型複合長繊維不織布を得た。得られた不織布は均質なもので極めて良好であった。複合長繊維不織布の製造条件および製造結果を表2に記載する。
【0079】
【表2】


【0080】
得られた複合長繊維不織布約50mについて、ウォータージェット法(水圧150kg/cm、不織布通過速度3m/分)により、複合長繊維の分割および接合処理を実施した。さらに、サーキュラー型染色機(水浴700L、90℃、不織布回転速度約50m/分)を用い、30分間×2回、熱水中で処理することにより、複合長繊維不織布中のPVA成分を完全に抽出除去した。PVA抽出の完了は、不織布をヨウ素溶液で呈色させることにより確認した。次いで、このウェブを80℃熱風乾燥機中を通して約1分間乾燥させることにより、ポリプロピレンの極細長繊維不織布を得た。
極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値等について評価した結果を表3に示す。得られた不織布は風合い、品質、成形性もよく十分な伸度を有した。
【0081】
【表3】


【0082】
実施例2
水流絡合処理を実施しない以外は実施例1と同じ条件にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た。さらにそれから得た極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値、性能等について評価した結果を表3に示す。得られた不織布は風合い、品質、成形性もよく十分な伸度を有した。
【0083】
実施例3
PPのMFR値が異なる以外は実施例1と同じ条件にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た。さらにそれから得た極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値、性能等について評価した結果を表3に示す。得られた不織布は風合い、品質、成形性もよく十分な伸度を有した。
【0084】
実施例4
表2に記載する型状の複合紡糸用口金を用い、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整し、水流絡合処理を行わないこと以外は実施例1と同じ条件下にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た。さらにそれから得た極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値、性能等について評価した結果を表3に示す。得られた不織布は風合い、品質、成形性もよく十分な伸度を有した。
【0085】
実施例5
紡糸速度を変更する以外は実施例1と同じ条件にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た。さらにそれから得た極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値、性能等について評価した結果を表2に示す。得られた不織布は風合い、品質、成形性もよく目的の伸度を有した。
【0086】
実施例6〜12
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に記載するPVAを用い、表2に記載する熱可塑性ポリマーを用い、表2に記載する紡糸条件を採用し、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整する以外は実施例1と同じ条件下にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た後、表2に示すエンボス温度にて部分熱圧着して複合長繊維不織布とした。次いで、実施例8、実施例11および実施例12に関しては実施例1と全く同じ条件下にて水流絡合処理およびPVA抽出処理を実施した。複合繊維成分の質量比率はパックへのポリマー導入量を変えることで調整させた。得られた極細長繊維不織布の物性評価結果、性能等を表3に示す。得られた不織布は風合いや成形性も良く、十分な伸度を有した。
【0087】
比較例1
水流絡合処理およびPVA抽出処理を実施しないこと以外は実施例1と全く同じ条件にて不織布を得た。紡糸性および得られた不織布の状態の結果を表2および表3に示す。PVAの抽出処理を実施しないと、得られる不織布には十分な伸度を付与することができず、また極細繊維を得ることもできない。
【0088】
比較例2
表2に記載する型状の複合紡糸用口金を用い、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整し、水流絡合処理を行わないこと以外は実施例1と同じ条件下にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た。得られた極細長繊維不織布の物性値や性能等について表3に示す。この結果、不織布繊度が0.0004dtexと細く、目的とする伸度が得られなかった。
【0089】
比較例3
PPのMFR値が異なる以外は実施例1と同じ条件にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た。極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値、性能等について評価した結果を表3に示す。目的とする伸度を有する不織布を得ることができなかった。
【0090】
比較例4および比較例5
表2に示す熱可塑性ポリマー(C)を用い、表2に記載する熱可塑性ポリマーを用い、表2に記載する紡糸条件を採用し、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整する以外は実施例1と同じ条件下にてPVA系複合長繊維からなる不織布を得た後、表2に示すエンボス温度にて部分熱圧着して複合長繊維不織布とした。更にこれから得られた極細長繊維不織布の繊度、目付、厚さ、物性値、性能等について評価した結果を表3に示す。目的とする伸度を有する不織布を得ることができなかった。
【0091】
比較例6
ポリプロピレン成分のみで表2に示す紡糸条件、後加工条件で不織布を製造した。紡糸性および得られた不織布の状態の結果を表2及び表3に示す。十分な伸度を付与することができず、さらに繊度が高いためにソフトで緻密な風合いの不織布を得ることができなかった。
【0092】
比較例7
表1に示すPVAを用いて不織布製造を試みたが、PVAの熱分解による酢酸を含むガス発生とゲル化のために断糸多発し、安定な繊維形成ができず、不織布形成ができなかった。
【0093】
実施例13
・合成皮革製造、成形性試験
実施例1で得られた極細長繊維不織布上に0.30mmの塩化ビニル樹脂よりなるシートを積層し、塩ビレザーを作成した。この合成皮革の成形性について縦10cm×横10cm×深さ5cmの箱型の金型を用いて成型加工試験−1を実施し、このときの成形状態を目視観察した。結果を表4に示した。該不織布は高伸度であり、柔軟性を有するため、金型に追従し、表皮材にシワや、亀裂が入らず、また、外観品位の高いものが得られた。
【0094】
【表4】


【0095】
実施例14
実施例1で得られた極細長繊維不織布上に0.30mmのオレフィン系樹脂を押出複合化処理した。この合成皮革の成形性について実施例13と同様に成型加工試験1を実施し、このときの成形状態を目視観察した。結果を表4に示した。該不織布は高伸度であり、柔軟性を有するため、金型に追従し、表皮材にシワや、亀裂が入らず、また、外観品位の高いものが得られた。
【0096】
比較例8、比較例9および参考例1
表3に示す基材を用いる以外は実施例13と同様にして合成皮革を得、成形加工試験1を実施した。比較例8では不織布の伸度が十分でないために、成型後は破れが生じた。比較例9では成型時、皺を生じた。また、繊度が高いため、加工後の合成皮革表面の外観品位、意匠性に欠けるものであった。参考例1では基材にメルトブロー不織布を用いているため繊度は低いが、不織布の伸度が十分でないために、成形性は十分でなく、皺を生じた。結果を表4に示した。
【0097】
・吸音材評価試験
実施例15、比較例10および参考例2
吸音材母材としてフェルトを準備し、これに上記実施例1、比較例6で得られた不織布をそれぞれ表面に配置し、縦10cm×横10cm×深さ10mmの箱型の金型を用いて成型一体化した(成形加工試験2)。このときの成型状態を目視観察した。また得られた成型体について吸音率を測定した。結果を表5に示す。
【0098】
【表5】


【0099】
これらの結果より比較例6の不織布を用いて成型加工した場合には成型加工時に母材がつぶれてしまい、成型後の厚みが薄くなってしまった。このためか、吸音性能についても、母単体よりもやや低い値になってしまった。これに対し、実施例1の不織布を用いた吸音材は、優れた吸音率を示した。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明で使用される分割型複合長繊維の複合形態の一例を示す繊維断面図
【符号の説明】
【0101】
B:熱可塑性ポリマー
A:水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール
【出願人】 【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地
【出願日】 平成16年8月27日(2004.8.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−63488(P2006−63488A)
【公開日】 平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願番号】 特願2004−248355(P2004−248355)