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【発明の名称】 バッキング処理された不織布の開繊装置
【発明者】 【氏名】吉井 秀伝志

【要約】 【課題】従来の技術では、バッキング処理された不織布を開繊した場合、繊維長を維持したまま開繊することが困難で、また、反端が開繊されずに塊となって開繊した繊維中に入り込み、不織布の再生原料としては不向きなものしか得ることが出来なかった。本発明はバッキング処理された不織布を繊維長を維持したまま開繊し、繊維とバッキング材に分離して繊維を回収し、再び不織布等の材料としてリサイクルすることを課題とする。

【解決手段】開繊されるバッキング付き不織布を反端まで確実に把持するために、針状の把持ロールをデッシュプレートと組み合わせ、バッキング付き不織布を定速で送入しながら、直針の植え込まれたシリンダーロールで開繊することによって、繊維長を確保しながらラテックスと繊維を分離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布からなる被加工物を解きほぐすために、表面に直針が植設されたシリンダーロールと、被加工物をデッシュプレートとの間で把持する把持ロールと、被加工物を一定速度でシリンダーロールと把持ロールに送り込む送り込みロールとからなる開繊部と、前記シリンダーロールと前記把持ロールとの間で開繊された被加工物を繊維と繊維以外の物質に分離する分離部とからなる開繊機において、繊維長を確保したまま被加工物の反端まで開繊し、繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする不織布開繊装置。
【請求項2】
前記被加工物が、バッキング処理された不織布であって、繊維長を確保したまま被加工物の反端まで開繊し、繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする請求項1記載の不織布開繊装置。
【請求項3】
前記被加工物が、熱溶融繊維をバインダーとした不織布であって、繊維長を確保したまま被加工物の反端まで開繊し、繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする請求項1記載の不織布開繊装置。
【請求項4】
前記把持ロールの針状の先端が、被加工物にささりながら被加工物を把持することを特徴とする請求項1乃至3のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【請求項5】
前記把持ロールの先端個数が4〜9個/cmあり、被加工物にささりながら被加工物を把持することを特徴とする請求項1乃至4のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【請求項6】
前記把持ロールの先端は、被加工物にささりながら繊維が把持されるように「かえり」が施されていることを特徴とする請求項1乃至5のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【請求項7】
前記シリンダーロールと前記把持ロールとの間で開繊された被加工物を繊維と繊維以外の物質に分離する分離部において、空気流によって被加工物を繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする請求項1乃至6のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、バッキング処理された不織布を開繊し、繊維とバッキング材に分離して繊維を回収し、再び不織布等の材料としてリサイクルする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用済み不織布をはじめ各種布帛を開繊し反毛する方法としては、ガーネットワイヤーをシリンダーロールに巻きつけ、布帛を一定量ずつ供給しガーネットワイヤーで引っかきながら、繊維にまで開繊する方法が一般に多く行なわれてきた。(特許文献1〜3参照)また、不織布を開繊する方法として、特許文献4において製造工程中に不織布原反から切り落とされた耳部を回収し、不織布に再生する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平09−31760号公報
【特許文献2】特開2000−328372号公報
【特許文献3】特開平08−60450号公報
【特許文献4】特開2003−201661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の技術で、バッキング処理された不織布を開繊した場合、繊維長を維持したまま開繊することは困難で、また、反端が開繊されずに塊となって開繊した繊維中に入り込み、不織布の再生原料としては不向きなものしか得ることが出来なかった。また、バッキング材と繊維とを分離する方法は、設備が大型となり、リサイクルコストが上昇することから、小型で、簡単にバッキング材と繊維とを分離し、不純物を除去できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、開繊されるバッキング付き不織布を反端まで確実に把持するために、針状の把持ロールをデッシュプレートと組み合わせ、バッキング付き不織布を定速で送入しながら、直針の植え込まれたシリンダーロールで開繊することによって、繊維長を確保しながらバッキング材と繊維を簡単に分離することが可能であることを見出し本発明に至ったものである。
【0006】
すなわち前記課題を解決するために本発明は以下の手段を提供する。
[1]不織布からなる被加工物を解きほぐすために表面に直針が植設されたシリンダーロールと、被加工物をデッシュプレートとの間で把持する把持ロールと、被加工物を一定速度でシリンダーロールと把持ロールに送り込む送り込みロールとからなる開繊部と、前記シリンダーロールと前記把持ロールとの間で開繊された被加工物を繊維と繊維以外の物質に分離する分離部とからなる開繊機において、繊維長を確保したまま被加工物の反端まで開繊し、繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする不織布開繊装置。
【0007】
[2]前記被加工物が、バッキング処理された不織布であって、繊維長を確保したまま被加工物の反端まで開繊し、繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする前項1記載の不織布開繊装置。
【0008】
[3]前記被加工物が、熱溶融繊維をバインダーとした不織布であって、繊維長を確保したまま被加工物の反端まで開繊し、繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする前項1記載の不織布開繊装置。
【0009】
[4]前記把持ロールの針状の先端が、被加工物にささりながら被加工物を把持することを特徴とする前項1乃至3のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【0010】
[5]前記把持ロールの先端個数が4〜9個/cmあり、被加工物にささりながら被加工物を把持することを特徴とする前項1乃至4のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【0011】
[6]前記把持ロールの先端は、被加工物にささりながら繊維が把持されるように「かえり」が施されていることを特徴とする前項1乃至5のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【0012】
[7]前記シリンダーロールと前記把持ロールとの間で開繊された被加工物を繊維と繊維以外の物質に分離する分離部において、空気流によって被加工物を繊維と繊維以外の物質に分離することを特徴とする前項1乃至6のいづれか1項に記載の不織布開繊装置。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、従来のようにガーネットワイヤーではなく、直針が植設されたシリンダーロールで被加工物を少しずつ解きほぐすため、繊維を切断することが少なく、繊維長を確保したまま開繊することができる。また、被加工物をデッシュプレートと把持ロールの間で反端までしっかりと把持するので、ローラーで挟んで送るロール送りのように、反端が挟みきらずに送り込まれることがなく、被加工物の反端まで確実に開繊することができる。つぎに、分離部があるので、開繊された繊維と繊維以外の物質に分離される。
【0014】
[2]の発明では、被加工物がバッキング処理によってバッキング材と固く固定されているが、被加工物をデッシュプレートと把持ロールの間で反端までしっかりと把持し、繊維がバッキング材から引き抜かれるように開繊するので、繊維長を確保したまま不織布の反端まで開繊される。
【0015】
[3]の発明では、被加工物が、熱溶融繊維をバインダーとした不織布で、非溶融繊維が熱溶融繊維によって固く固定されていても、被加工物をデッシュプレートと把持ロールの間で反端までしっかりと把持し、被加工物を少しずつ解きほぐすため、非溶融繊維の繊維長を確保した状態で、反端まで開繊される。
【0016】
[4]の発明では、把持ロールの先端が、被加工物にささりながらディシュプレートとの間で被加工物を部分的に確実に保持するので、被加工物を反端まで開繊することができる。
【0017】
[5]の発明では、把持ロールの先端個数が4〜9個/cmあり、被加工物にその先端がささりながらディシュプレートとの間で被加工物を確実に保持するので、被加工物の反端まで開繊することができる。
【0018】
[6]の発明では、把持ロールの先端に「かえり」が施されているので、さらに確実に被加工物にささりながら把持し、被加工物の反端まで開繊することができる。
【0019】
[7]の発明では、分離部において開繊された被加工物に空気流を当てることにより、比重の軽い繊維は遠くに飛ばされることから、簡単に繊維と繊維以外の物質に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の不織布開繊装置について図面を参照して説明する。図1は不織布開繊装置の一実施形態を示す断面図である。送り込みロール3によって被加工物4は一定速度で把持ロール2に送られる。把持ロール2は、徐々に距離を狭めながら配置されるディッシュプレート5との間に被加工物4を挟みながらディッシュプレート5の先端に至るまで被加工物4にささりながらしっかり把持し、一定速度で被加工物4を回転するシリンダーロール1に送り込む。シリンダーロール1には直針6が植設されており、被加工物4をディッシュプレート5との間で少しずつくしけずりながら開繊し、繊維とそれ以外の物質に分離する。開繊機カバー内はファンによる吸引装置7により、空気流が作られており比重の軽い繊維は遠くに飛ばされ、比重の重いバッキング材等は近くに落下することから、簡単に繊維と繊維以外の物質に分離することができる。
【0021】
送り込みロール3は、被加工物4を把持しながら把持ロール2に送ることができれば特に限定しないが、被加工物4をしっかり把持するために、摩擦係数の高いゴムロールあるいはゴムを巻きつけたロール等が好ましい。また、送り込みロール3は被加工物4の厚みに応じて送り込みロール3の間隔と回転速度を調整できるようにするのが好ましい。
【0022】
図2は本発明の把持ロール2とディッシュプレート5とシリンダーロール1との関係を示した拡大断面図である。把持ロール2は徐々に距離を狭めながら配置されるディッシュプレート5との間に被加工物4を挟みながら、回転するシリンダーロール1に送り込む。把持ロール2は被加工物4にささりながら把持し、ディッシュプレート5の先端に至るまで把持しながらシリンダーロール1に、被加工物4を一定量ずつ送り込む。ディッシュプレート5と把持ロール2との間隔は被加工物4の厚さによって0.2〜20mmに調整できることが好ましい。次ぎに、ディッシュプレート5とシリンダーロール1との間隔は1.5mm以内に設定するのが好ましい。1.5mmより広い間隔に設定すると繊維の塊となることが多く発生し好ましくない。
【0023】
把持ロール2の先端個数が4〜9個/cmあるのが好ましい。4個/cmより少ないと、開繊されないで繊維の塊となることがあり好ましくない。また9個/cmより多いと、被加工物4にささりにくくなり被加工物の反端までしっかりと保持されなくて未開繊部分が残ることがあり好ましくない。
【0024】
把持ロール2の形状は被加工物4にささることができれば特に限定されないが、図4にあるような「かえり」のあるような形状であれば、更に確実に開繊できる。把持ロール2は、シリンダーロールのように、直針を植え込んでもよいし、針布を巻いて作成してもよいし、図3や、図4のように薄い円盤状の薄板鋼鈑の先端を鋭角に尖らしたり、「かえり」のある針状にして、軸上に重ね合わせて円筒状の把持ロールとしてもよい。
【0025】
ディッシュプレート5の形状は図2にあるように把持ロール2の外形に合わせて水平からやや上に反り上がり、先端は尖らさずにシリンダーロール1の外形に合わせて沿わせるような形状にするのが好ましい。丁度シリンダーロール1と把持ロール2との隙間を埋めるように、シリンダーロール1の外形に沿わせた形状にするのが望ましい。また、ディッシュプレート5をシリンダーロール1に沿わせる長さは、繊維長にもよるが100〜200mmが好ましい。また、ディッシュプレート5は把持ロール2との距離を徐々に狭めながら先端にいたるように配置されることにより、把持ロール2の把持力を徐々に増すようになる。また把持ロール2は、被加工物4の厚さに応じて設定位置を調整できるようにするほうが好ましい。
【0026】
本発明はシリンダーロールに直針を使用するので、ガーネットワイヤーのように、強い力で強引に引き裂くことがなく、長い繊維長を確保できる。また、直針であるので開繊された繊維は、シリンダーロールに付着することなく自然に開繊機カバー内に飛ばされる。
【0027】
開繊機カバー内はファンによる吸引装置8により、空気流が作られており比重の軽い開繊された繊維は遠くに飛ばされ別室に移送される。比重の重い繊維以外のバッキング材等は近くに落下するので、簡単に繊維と繊維以外の物質に分離することができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の開繊機について、具体的な実施例、及び比較例を説明する。
<実施例1>
長さが50mmで 、針根元太さ2mmの直針を、5mm間隔で千鳥状に均一に直径600mmのシリンダーロールに植設した。次に把持ロールとして、図3のように厚さ1.0mmの薄板鋼鈑を切り、軸を通して重ね合わし直径150mmの把持ロールを作成した。把持ロール2の先端個数は4個/cmであった。次に図2におけるディッシュプレートとシリンダーロールとの間隔aを0.5mmに設定し、シリンダーロールと把持ロールとの間隔は1.5mmに設定し、シリンダーロールの表面速度を8.0m/分とした。
【0029】
被加工物として、SBRラテックスを厚さの4分の一まで含浸したニードルパンチ不織布(ポリエステル繊維、1.5デシテックス、繊維長60mm、厚さ7mm、目付300g/cm)を、送りロールにて、2.0m/分の速度でディッシュプレート上に送り、把持ロールに刺され把持されながらシリンダーロールで開繊した。
【0030】
開繊機カバー内は吸引装置8により、空気流が作られており比重の軽い開繊された繊維は遠くに飛び、吸引ダクトによって移送されて別室に運ばれる。比重の重い繊維以外のバッキング材等は近くに落下し開繊機カバー内に貯まる。別室に移送された繊維の繊維長は20〜60mmでラテックス等の不純物もなくリサイクル原料として直ぐに使用のできるものが得られた。
【0031】
<実施例2>
長さが50mmで 、根元太さ3mmの直針を、9mm間隔で千鳥状に均一になるようにした以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維長は20〜60mmでラテックス等の不純物がやや増加傾向ではあったが、問題なくリサイクル原料として使用のできるものが得られた。
【0032】
<実施例3>
把持ロールとして、図3のように厚さ0.5mmの薄板鋼鈑を切り、軸を通して重ね合わしたところ、把持ロール2の先端個数は9個/cmであった以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維長は20〜60mmとなり、ラテックス等の不純物も少なくリサイクル原料として良好なものが得られた。
【0033】
<実施例4>
把持ロールの形を図4のように厚さ1.0mmの薄板鋼鈑を切り、かえりのついたものを使用した以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維長は20〜60mmとなり、ラテックス等の不純物も実施例1よりも少なくリサイクル原料として良好なものが得られた。
【0034】
<実施例5>
実施例1において被加工物として、熱溶融繊維を混綿し熱処理された不織布(ポリエステル繊維、1.5デシテックス、繊維長60mm、厚さ7mm、目付300g/cm)を使用した以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維長は20〜60mmとなり、リサイクル原料として良好なものが得られた。
【0035】
<比較例1>
把持ロールとして、直径100mmのゴムロールとした以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維長は20〜60mmであったが、ラテックス等の不純物も増加し、反端が混入してリサイクル原料として使用のできるものとはならなかった。
【0036】
<比較例2>
厚さ3.0mmの薄板鋼鈑を切り、把持ロール2の先端個数が2個/cmとした以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維の塊となることがありリサイクル原料として使用のできるものとはならなかった。
【0037】
<比較例3>
針長さが8.0mmのガーネットワイヤーを直径600mmのシリンダーロールに巻きつけた以外は実施例1と同様にして、被加工物を開繊してみたところ、繊維長は5〜35mmと短くなり、ラテックス等の不純物もかなり増加し、回収率も悪くリサイクル原料として使用のできるものではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
バインダー樹脂でコーティングされた不織布や、熱溶融繊維をバインダーとした不織布等のリサイクルに特に有用な方法で、繊維長を確保したまま反端まで開繊することができるので、リサイクルされる用途も広く多くの製品に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】不織布開繊装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の把持ロール2とディッシュプレート5とシリンダーロール1との関係を示した拡大断面図である。。
【図3】把持ロールを構成する薄板鋼鈑の一実施形態を示す図である。
【図4】把持ロールを構成する薄板鋼鈑のかえりの一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シリンダーロール
2 把持ロール
3 送り込みロール
4 被加工物
5 ディッシュプレート
6 直針
7 吸引装置
8 繊維以外の物質
9 繊維
10 カバー
11 かえり
12 軸穴
【出願人】 【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
【出願日】 平成16年8月19日(2004.8.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−57198(P2006−57198A)
【公開日】 平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願番号】 特願2004−238985(P2004−238985)